Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ハッピーバースデイとドンブラ最終回

誕生日なので

 

翔花&晶華『NOVAちゃん、おめでとう♪』

NOVA「ああ、ありがとう」

翔花「それと、ドンブラザーズ最終回おめでとう。感動したよ(涙目)」

NOVA「ああ、作品スタッフ&キャストの方々にありがとうだな」

翔花「これで最後だと思うと、淋しくて哀しくて涙が出て来るけど、まだ終わらないんだよね」

NOVA「ああ。5月にはゼンカイとの共演映画が待っている。楽しみだ」

晶華「NOVAちゃん、ドンブラ動画を貼り付けすぎ。それより、今日見た映画の話をしようよ」

NOVA「それはまた後からな。まずは誕生日話からだ」

 

ドンブラと誕生日

 

NOVA「それにしても、ドンブラザーズって番組は俺と強い縁があったみたいだな。何せ、誕生日祝いに最終回をプレゼントしてくれるんだから」

晶華「それはたまたま偶然でしょう。戦隊が2月に終わるのはいつものことで、2月の終わりの方に誕生日だったら、7作に1回は誕生日と戦隊最終回がかぶるものだろうし」

NOVA「そう思って調べてみたんだ。過去に2月26日に最終回を迎えた戦隊を。するとこうだった」

 

・暴太郎戦隊ドンブラザーズのみ。

 

晶華「嘘? 47作もあって、ドンブラだけってこと?」

NOVA「大体、戦隊は2月の上旬に終わって、中旬に番組交代ってケースが多いんだな。2月下旬に番組が終わったのは、前作のゼンカイジャーが2月27日で、その前のキラメイジャーが2月28日。2月に終わって、3月にスタートってタイムスケジュールになったのはキラメイ以降の話だ。あと、番組開始が2月26日ってのは、『特命戦隊ゴーバスターズ』が唯一だ」

NOVA「まあ、たまたま最終回と誕生日が重なっただけだと、そこまでエモくはならないんだけど、前回の49話で『少し早いけど桃井タロウの誕生日祝いをする』ってことになった時に、俺自身が一緒に祝ってもらったような気分になってな。別に、番組にそういう気持ちはなかったとしても、こういうのは受け取る方の気持ちだからな。年甲斐もなく、自分が番組に祝ってもらえたように感じたんだ」

翔花「あれ? 何だか、わたしたちもドンブラに誕生日を祝ってもらったような覚えがあるんだけど?」

NOVA「それは、この記事にも書いたんだが、ドンブラザーズ5話が4月3日放送で、犬塚翼の誕生日を祝ったりする話なんだな」

NOVA「お前たちの誕生日が3月28日だから、花粉症ガール4周年記事という名目で当ブログのあれこれを振り返って誕生日気分になっていたら、ドンブラも近いタイミングで誕生日ネタをやってくれた。どうも、ドンブラザーズという作品はハッピーバースデイと縁があったようだ」

翔花「とにかく、これでわたしも1年間の戦隊追っかけを完了して、戦隊の何たるかが分かったような気がするの」

NOVA「いや、それはどうかな? ドンブラは戦隊の定石を相当に覆した作品だから、これを見て戦隊を分かるのは、仮面ライダー響鬼を見てライダー全体を論じるようなもの。いわゆる異色作を基準に全体を考えるのは、キノコを見て森の木々を語るようなものだぞ」

翔花「それでもドンブラにも受け継がれた戦隊のエッセンスはしっかり分かったもん」

NOVA「ほう。だったら言ってみろ。お前がドンブラから何を学んだか」

 

翔花「その1。戦隊はグループヒーローの代表。どんなに強いリーダーでも、仲間の絆があってこそ無敵になれる」

NOVA「確かに、それは一理あるな。本質と言えるかもしれない」

 

翔花「その2。戦隊はメカやロボットなどが活躍する。ドンオニタイジンを始め、ロボ太郎や鬼頭はるかさんの運転する車、それに神輿を見て、ああ、格好いいなって感じた。これが戦隊メカなんだって」

NOVA「ちょっと待て。戦隊でメカロボが活躍するのは道理だ。しかし、例に挙げるのが、はるかの車や神輿ってのはどうなんだ?」

翔花「だって、戦隊は車やバイクだって使うでしょ。これを見てよ」

翔花「鬼頭はるかさんの車は、慣れないメカを操縦する訓練回と、そのメカが勝利の鍵となって仲間のピンチを救う話のオマージュなのよ」

NOVA「そう言われてみれば、そう読みとれなくはないのか、あの回。惜しむらくは、はるかの車があの回だけの登場ってことだな。はるかの車だから、鬼頭ハルカーと名付けても良い気がしてきた」

翔花「それに、あの神輿には桃井タロウ様のバイク、エンヤライドンが搭載されている。つまり、バイクの発進カタパルトみたいなもの。神輿は過去戦隊における大型母艦のオマージュでもあるのよ。すなわち、バトルシャークさんやデンジタイガーさん、ジャガーバルカンさんの遠い子孫みたいなものね」

NOVA「そうなのか? 確かに神輿の上にバイクが乗っている姿は笑えたが、あれが戦隊メカを搭載した母艦の立ち位置だと考えれば、全ての辻褄が合う……ような気がする。エンヤライドンは初期ロボの合体パーツの一つだし、サイズに関して言えば、巨大ロボ戦をミニロボで代行したのが初期ドンブラだったからな。ロボが縮んだなら、母艦が縮んでもおかしくはない。そうか、神輿はドンモモタロウ専用母艦とも言うべき存在だったのか」

翔花「乗り物に乗って主人公が登場するシチュエーションはこれにも近いワクワク感があったわ」

NOVA「確かに、初期の桃井タロウはズバットのオマージュみたいなこともしていたが、神輿はバイクの発進カタパルトみたいなもので、メカ出撃シーンのコミカルオマージュと思えば、あの登場シーンのキター感、ワクワク感も納得できるってもんだ」

翔花「そして神輿が変形して、ロボの合体強化パーツになるもんね」

NOVA「いや、これは神輿が変形したんじゃないだろう?」

翔花「変形シーンが画面で描かれていないだけで、神輿と、それをかつぐ力士さんたちと、舞い踊る天女さんたちが融合合体して誕生するのがオミコシフェニックスなの。わたしのドンブラ脳はそう言っている」

NOVA「そういうのを、ただの脳内補完って言うけどな。まあ、お前がそれで納得しているなら、それでいいか。何も目くじら立てて否定することでもあるまいし」

 

翔花「ところで、さっき思ったんだけど、デンジピンクの桃井あきらさんって、桃井タロウ様の親戚なの?」

NOVA「そんなの俺が知るか。タロウは拾い子だから、そう言うことは桃井姓の桃井陣パパに聞け」

翔花「聞いても無駄よ。あの人、思わせぶりなことしか言わなくて、大事なことはほとんど何も教えてくれなかったじゃない」

NOVA「最初はドンブラの司令役だと思ってたんだがな。司令は結局、黒介人が持って行った」

翔花「喫茶店や食べ物屋の主人が司令役ってのも、東映ヒーローでよくあるパターンよね」

NOVA「ああ。コミカルな異色作とは言え、伝統へのオマージュは細部の設定でこだわりを見せていたんだよな。本筋がトンチキだっただけで」

 

翔花「その3。戦隊は名乗りが大事」

NOVA「それは確かにそうだ。うん、最終回の名乗りはムラサメも含めて、感動ものだったもんな。この感動はマジレンジャーの魔法家族以来のエモさだった」

NOVA「兄弟戦隊5人で始まったチームが、両親に加えて、追加メンバーのヒカル先生がヒロインのマジブルーと恋愛関係で結ばれて家族の一員になって、最終話で家族戦隊に結実するのが上手いなあって感じた」

翔花「ドンブラは最初、名乗らない戦隊だったんだけど、劇場版とか大事なエピソードで名乗りを見せて、名乗りの価値をルーティンワークではなくて、一種の儀式にまで昇格させた。ドンブラザーズがメンバー揃って名乗るだけで、ファンの人がキターって喝采するのは素晴らしすぎると思う」

NOVA「名乗りの稀少価値を高め、一大エンタメイベントにまで昇華したもんなあ」

 

翔花「最後にヒトツ鬼の名前を全部チェックすると、ゼンカイとドンブラとアキバを除いた全戦隊が網羅できる。すなわち、ドンブラは非公認を除く全ての戦隊を内に含んでいる」

NOVA「確かにそうだな。ドンブラを見れば、全ての戦隊をマスターできる……とまでは言わんが、全ての戦隊の入り口程度はのぞき見ることができるのは事実だと考える。そして、47戦隊と47都道府県を組み合わせようって企画があってな」

NOVA「我が兵庫県は、未来戦隊タイムレンジャーとなった」

翔花「時空魔術師らしい結果で良かったわね」

NOVA「屋久島のある鹿児島は、当ブログオリジナルの明鏡戦隊メガネンジャーの元ネタ的な電磁戦隊メガレンジャーだし、リンクしているように思う」

翔花「ヒノキちゃんのコンパーニュは何県だっけ?」

NOVA「阿蘇のふもとだから熊本だな。そこは忍者戦隊カクレンジャーが当てられている」

翔花「シロちゃんが喜びそう」

晶華「でも、忍者といえば三重ってイメージだけど?」

NOVA「おお、話に入って来たな」

晶華「ドンブラ脳同士の濃い会話にはうかつに入れないわよ。私までドンブラ脳に染められちゃ、このブログが終わってしまうって思ったんだから!」

NOVA「まあ、一人ぐらいドンブラから距離を置いた娘がいてもいいんだけどな。それで三重の戦隊だが、手裏剣戦隊ニンニンジャーだから問題ない。東京がゼンカイジャーで、ドンブラは桃太郎の岡山県だな。他にも自分の出身県とか現在の住所がどの戦隊かチェックしてネタにするのも一興かと思う。たまに、何で? って選定基準が見えない組み合わせもあるが、そこで『おいおい、俺の出身県が何でこの戦隊なんだよ? こっちの方が良かった』と不満を述べるのも、話のネタにはなるかもな。ただし、作品の悪口にならないようにするのがマナーってもんだ。こっちの方が好きとアピールするのはいいが、これに当たって最悪なんてことは口にしないのが節度ってものだろう」

翔花「わたしはドンブラが良かったな」

NOVA「岡山は兵庫のお隣だから、ご近所同士だ」

翔花「ああ。ドンブラの近所だったら納得ね。いつでも遊びに行けるし」

NOVA「いや、隣といっても、兵庫は東の阪神間(摂津)と西の播磨、北の但馬や丹波で結構距離があるからなあ。阪神間は都会イメージが強く、播磨と北部は自然が豊かな地域で全然風土が違う。まあ、その多様性が県の魅力と言えるが、行政管理は結構大変らしい。神戸の都会の役所が、北部の雪やイノシシの問題を書類で見ないといけないこともあるらしいし」

晶華「まさか戦隊で地理の勉強ができるとは思わなかったわ」

 

アントマンの父娘話

 

NOVA「さて、ドンブラタイムもこれぐらいにして、次に誕生日に見たアントマン映画だ」

晶華「私たちを連れて行ってくれてありがとう♪」

NOVA「本当は、特撮仲間の友人と見に行くつもりだったんだ。デッカーとのダブルヘッダーを予定していたんだが、先方の仕事の都合がつかなくてな。デッカーは来週に見に行くことになった」

翔花「リア友とのスケジュール合わせが上手く行かなかったから、わたしたちを連れて行くことになった、と」

NOVA「結局、それで良かったけどな。父娘の関係に焦点を当てた、量子世界の多元宇宙映画だったから、当ブログの話題にもちょうどいいし」

晶華「最近のアベンジャーズは、父と娘ってテーマが結構多いわね」

NOVA「ヒーローとヒロインのラブロマンスを描いたシリーズ初期の時代から15年近く経過して、父親ヒーローとパートナー・ヒロイン、そして新キャラの若い娘ヒロインに需要が高まっているのかな。父と息子の物語はこれまでも結構あったが、この場合、息子が主人公で、入り組んだ父親との関係がテーマになることが多かった。一方、アメコミヒーロー映画で、父親と娘の関係にスポットを当てた作品は、この5年ほどから頻出して来たように思える」

翔花「わたしたちの影響ね」

NOVA「逆だ、逆。俺がそういう時代の空気を予見して、これからは父娘の物語が旬になると感じたから、お前たちがいる。結果は大当たりだって感じてる」

晶華「マルチバースと父娘の物語って意味で、アントマン3は当ブログとの相性も抜群って感じ」

NOVA「マルチバースの良いところは、異世界でどんなに派手に暴れ回っても、現実世界への影響が少ないってことだな。ハリウッド映画としては可能なかぎり、主人公ヒーローに派手に暴れさせたい。しかし、毎作品がいつもいつも地球の危機って展開にはし難い。単発ものならそれでOKでも、シリーズでそういう話を続けると、『宇宙戦艦ヤマト』みたいになってしまう」

翔花「どういうこと?」

NOVA「ヤマトの世界では、ほぼ毎シリーズが地球滅亡の危機で酷いことになっているんだ。いや、滅亡しかけた地球がヤマトの活躍と星を超えた愛の力で救われるのはいい。問題は、滅びかけた地球が数年で復興して、前作の危機がなかったように立ち直っていることだな。ヤマトの世界は、キャラクターの継続性は見られるが、世界観の継続性は重視されていない。酷いケースだと、『ヤマト3で覇権を競ったガルマン=ガミラス帝国とボラー連邦は、完結編の物語の邪魔になるから、宇宙規模の災害であっさり滅ぼしてしまいました』ってノリで、物語を作ったこと。言わば、作品ごとにリセットされる世界観が70年代当時の日本のSFアニメで、その旧弊を破ったのがガンダム宇宙世紀ということになる」

晶華「キャラクターではなく、世界の継続性かあ」

NOVA「70年代までと80年代以降では、求められる世界観のリアリティが異なるってことだな。もちろん、単発作品なら作品内だけの整合性を考えればいいんだけど、長期シリーズの場合、前の物語の影響が次の物語にどのようにつながっているかを考える必要がある。70年代はキャラクターの歴史だけを考えればよくて、80年代になると世界観のつながりまで考えられるようになった。ガンダム宇宙世紀で『ミノフスキー粒子がいきなり消滅しました』って根幹設定の改変をされても、ファンは受け付けないってことだ」

晶華「ミノフスキー粒子は後付けの理屈で、どんどん役割が増えて行ったと思うけど」

NOVA「最初は電波撹乱効果だけだったけど、後付けでミノフスキー物理学なんて概念が構築されて、ビーム兵器も、ホワイトベースが航空力学を無視した形態で空を飛べるのも、劇中の科学的ツッコミ点の多くをミノフスキー粒子って魔法の粉で説明するようになって行ったな。しかし、ガンダムの凄いのは、1作めでジオンが敗れた後も、ジオンの残党が火種となって、長らくくすぶり続けた世界観だ。ジオンの要素を消すために、逆シャアの0093年から30年を経過させた0123年になって、ようやくガンダムもジオンも知る人ぞ知る程度の扱いになっている」

晶華「30年が経過したってことは、主人公も当然、変わっているわね」

NOVA「キャラクターの世代交代で紡がれる新たな世界観……ってことで宇宙世紀はさらに違う物語を生み出せたんだけど、ヤマトはそれに失敗した。ついでに言えば、エヴァも物語の主人公の次世代継承という意味では失敗しているんだが、旧エヴァからリブートした作品で主人公のシンジだけを14年先の未来に送り飛ばすことで、新たな物語世界を構成している。序と破は旧エヴァの焼き直し感覚が強く、Qとシンでそれまでの土台に新展開を構築している。まあ、90年代の世相と、2007年以降の約15年間の世相の違いもそれぞれ反映されたのだとは思うが、そこは深く掘り下げない」

翔花「ヤマトは今も続いているよね」

NOVA「2012年の2199シリーズから、旧作の矛盾の多い行き当たりばったりな世界観の整合性を、現在の創作設定技術(リアリティを加味した辻褄合わせの穴埋め)でブラッシュアップした試みを続けている形だな。設定の素材を旧シリーズから発掘しながら、作品ごとにバラバラの部品をどう一つの継続した世界観として再構築しているかが面白いんだが、旧作の豪快な力技を削いでいるので、キャラの悩みが深まりすぎて爽快感が欠落しているようにも思えるな。旧作ヤマトは感情的な勢い任せの作品で、新作ヤマトのシリーズは理屈先行でウジウジした作品。熱血漢だった古代進碇シンジみたいな鬱屈キャラになってしまったので、2202以降もスパロボ世界に放り込んで、メンタルを鍛えてやって欲しいと思ったり」

 

晶華「NOVAちゃん、いつものことだけど話が脱線しているよ」

NOVA「おっと、ヤマトからアントマンの父娘関係に話を戻さないと。ならば、禁断の秘技『復活篇』を使うしかないか」

NOVA「復活篇の見どころは、やはりブルーノアも復活したことだな」

晶華「いや、そっちに行くと、ますます脱線が止まらなくなりそうだし。今はブルーノアの話じゃなくて、古代父娘の話に進むつもりじゃなかったの?」

NOVA「おっと、そうだった。危うく『YAMATO2520』の話に流れるところだったぜ」

翔花「一応、ヤマトさんにも世代を超えた未来の話があったんだね」

NOVA「ガンダムが30年時を進めたので、ヤマトは300年時を進めたんだが、さすがに300年も経つと、世界観の継承なんて意味もなくなるし、ガンダムで言うところのアナザー感がついて回るな。それでも人気作品になれば、また違う未来があったのかもしれないが」

晶華「ほとんど黒歴史みたいな作品ね」

NOVA「YAMATO2520と、黒歴史という言葉で有名なターンAガンダムの共通点は、シド・ミードが主人公メカに関わったということだな。それはともかく、ヤマトはいろいろ世代交代を試みたんだが、その度に失敗して後に続かず、今は旧作リブートをコツコツ続けている最中だ。で、ヤマトの話題に切り替わったのは、『復活篇』が父娘のドラマに挑んだからなんだけど、そこには致命的な問題があった」

翔花「何?」

NOVA「やはり、劇中で父娘の距離があり過ぎて、『ヤマトよ永遠に』の映画の際にプロデューサー氏が言ってたような遠距離恋愛みたいなドラマになったことだな。父親としては、娘を戦場から遠ざけながら、それでも娘を守るために戦いたい。娘は遠くから父親の生還を祈る銃後のドラマみたいになって、それがどうにも21世紀の価値観では古臭いんだ。少なくとも、今のエンタメ価値観では、娘が父と同じ戦場に立って新時代のヒーローを目指すのが主流だろう。もちろん、父親は心配するが、できればそばに居て、娘をさりげなくフォローしてやる。MCUは父親のヒーロー姿を目標にした女性ヒーローが主流になっているような感じだ」

晶華「女の子だって戦いたい。それが20年前のプリキュアのテーマだったりするもんね」

NOVA「フェミニズム運動には活動内容について賛否両論いろいろあるが、要は役割分担をどう考えるかって話だ。既存の価値観では、男性が戦場で戦い、女性が銃後を守るの一辺倒だったのが、女性が戦場で戦い、男性が銃後を守るサポーター役も引き受けて、男女ともに個々の価値観をすり合わせて納得できる自由を見つけ出そうって話のはず」

翔花「うん、女の子だって戦える社会ね」

NOVA「ところが、戦う相手が古い価値観の男性および女性になってしまっているんだな。この場合の古い価値観とは、『男性が戦場に出ないといけない。女性はサポート役をしなければいけない』という強制であるなら批判していいんだが、『戦場で戦いたい男性もいるし、サポートをしたい男性もいる』『女性だって積極的に戦いたい者もいるし、サポート役の方が性に合っている者もいる』という当然の事実を無視して、『男性のサポート役をしたい女性』を古い価値観の名誉男性と貶めたり、自分たちの新しいと称する変革のみが正義で、他は悪と断罪して、多様性から逆行している偏狭ぶりに陥っているんだ」

翔花「何だかややこしい話になってない?」

NOVA「では、プリキュアで話そう。基本的に、プリキュアには肉体派な攻撃役、慎重な知性派のコンビから始まって、その後、役割分担がいろいろ広がって、防護壁を張る守護役とか、チームのムードメーカーとか、陽キャ陰キャという性格分類まで含めて、多彩なキャラクターが描かれてきた。だけど、ここで役割を一つきりに固定しましょう、男に媚びるような名誉男性キャラは一掃しましょうってな話を作り、『フェミニズムプリキュア』という作品を提案するとしよう。どうなる?」

晶華「どうなるって、そんなの考えたことないから分からないわよ」

NOVA「フェミニズムと一口で言っても、派閥がいろいろあるらしくて、大きく分類すると3種類。女性差別からの解放と自由を唱えたリベラル系、資本主義社会が賃金などの問題で女性差別の原因になっていると考えるマルクス主義のソーシャル系、全ての男性は潜在的に女性を脅かす敵であると主張する急進的かつ過激なラディカル系になるのかな」

晶華「男は敵だって考えるラディカル系だと、プリキュアという概念が成立しないわね」

NOVA「まあ、ラディカル系は恋愛や家族制度すら女性を貶める原因になるとして批判するからな。プリキュアという作品は、『女の子が男の代わりに悪を倒すヒーローになる』という前提で、ヒーローの守るべき対象には異性だからって差別は入れてはいけないんだ」

翔花「確かに、男性ヒーローが『俺は男しか助けない。女なんて助けたくない』とか、逆に『女しか助けない』なんて言ってたら、ヒーローの資質を疑うわね」

NOVA「後者は、『BASTARD』のダークシュナイダーが言いがちだが、まあ彼を模範的なヒーローと見なす者は少ないな。傲岸不遜な悪の魔法使いであって、女の子のためだけに戦うと(下心丸出しで)公言していて、女の敵だと称される男の欲望の化身だから。しかし、ラディカルなフェミニズムも、本人の性別はともかくDS的な言葉を発しがちなので、とてもプリティでキュアする存在にはなりにくい」

晶華「アベンジャーズもそうだけど、最近は男性に代わって戦う女性ヒーローが増えているのよね」

NOVA「これが男性側の需要なのか、女性側の需要なのか、それとも双方の要望が一致しているゆえの結果なのか、いまいち分かりにくいが、アイアンマンも、ソーも、ブラックパンサーも、ホークアイも、ドクター・ストレンジも、そして今回のアントマン&ワスプも後継キャラや同種の役割を持った相棒女性が登場して、物語も女性主導で展開することが多くなってきた。完全に男性主導の物語と言えば、現在のMCU界隈ではキャプテン・アメリカスパイダーマンとロキぐらいじゃないか?」

晶華「スパイダーマンは、アニメのスパイダーバースが女性主導になっている感じね」

NOVA「プリキュアはもちろん、女児アニメとして戦う女の子が男顔負けの活躍をする作品シリーズだから、男が従に回るのが基本だが、令和ライダーも女性ライダーの進出が相次いで、次第にドラマ内での役割も高まって来る感じだし、ドンブラも女性が語り部を担当して実質主役みたいな立ち位置でもあったし、現在放送中のJOJOも父親を助けようとする娘が主人公だし、80年代だと『男性に負けまいと片意地を張るタイプの女性キャラ』が目立っていた感じだが、最近は女性ヒーロー(従来のヒロインではなく)が普通に物語上の重要な役割や社会的ポジションを確立して、しばしば男に媚びることなく上から命ずる立場で活動している。リベラル系のフェミニストなら、普通に納得できる時代じゃないかな」

 

翔花「ところで、どうしてこんなフェミニズムがどうこうって話になってるの?」

NOVA「それはな、現在のMCUフェミニズムに汚染されているという一部の批判があってな。今回のアントマン&ワスプもそういう傾向がある。物語の中心にいるのが、先代ワスプのジャネット・ヴァン・ダインと、娘の現ワスプのホープヴァン・ダイン、そして主人公の2代めアントマンのスコット・ラングの娘キャシー・ラングの3世代ヒロインだ。彼女たちが話を引っ張り、そこで発生したトラブルをスコットと、初代アントマンのハンク・ピムがいろいろ翻弄されながら尻拭いする話になっている」

晶華「アクティブなのはヒロインたちであって、男性キャラは草食系というか慎重な性格なのに、巻き込まれて悲鳴を上げながら、それでも娘や妻のために、ひいては家族のためにトラブル解決に奔走する作品だったわね」

NOVA「あと、今回の、そして今後のMCUシリーズ全体のヴィランとなる予定の征服者カーンに敵対する、レジスタンスのリーダーとして活躍するジェントーラも女性キャラだし、とにかく味方側で物語を主導するのが全て女性だ。女性が世界を少しでも良くしようとし、リーダーシップを取ろうと頑張り、そして強大な敵に対して勝てずにピンチに陥るところを、頼りないと思われた男性陣が意地と奇策と奇跡を起こして、逆転の糸口をつかむ。自分たちの不始末を必死にカバーする男の姿に感じ入った女性たちが、男をサポートしながら共に強大な敵を打ち倒す展開だ」

翔花「トラブルの原因は、ジャネットさんとキャシーさんね」

NOVA「これまでのアントマンシリーズでは、トラブルメーカーが大体ハンクとスコットだったんだ。どちらもヒーローなんだけど、コミカル風味の作品だからダメなパパ色の強いキャラで、しっかり者のホープに助けられる役どころだったんだ。だけど、今回はハンクもスコットも家族と一緒の日常を守るために、トラブルメーカーであることを忌避している。どっちも、のんびり自分たち家族の生活を満喫することを希望していて、世界を良くしようと対外的にアクティブな信念を持つのは女性キャラの方だったんだな」

晶華「良きパパであろうとヒーロー生活を半ば引退していたようなスコットさんと、良きパパや祖父であろうとしつつ、趣味の研究生活に邁進してるハンクさん。だけど、妻や娘が起因となった量子世界の大事件に巻き込まれてしまう、と」

NOVA「正義感の強いのも女性であって、ハンクもスコットも、今回は完全に家族を守るために、仕方なく世界を救う戦いに頑張る小市民的キャラだ。テーマ的には『小さき者が勇気を出して世界を救う』というホビットに通じるものがあって、大上段で正義を論じるキャラよりも、こういう方が感情移入しやすくて好きだな」

翔花「娘のために頑張ったら、何だかよく分からないけど、世界を救っちゃった。まあ、俺の人生はそういうものだってトボけたことを言っちゃうのがアントマンってことね」

NOVA「同じ虫系ヒーローでも、MCUスパイダーマンの3と違って、悲壮感のまるでない終わり方はシリアスとコメディの配分が非常に良くて、しかもタイムリーにスコットたちの最後の場面がキャシーへのハッピーバースデイだもんな。俺も一緒に祝ってもらった気になったよ」

晶華「娘の誕生日祝いなんだから、私たちが祝ってもらったのよ」

翔花「そうよ、そうよ。NOVAちゃんばかり祝ってもらってズルい」

NOVA「お前たちの誕生日は来月だろうが。何にせよ、ドンブラとアントマンの2大ヒーロー作品に、誕生日を祝ってもらえるなんて、実に良縁だったな」

(当記事 完)