Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

劇場版ドンブラ王様の話

映画を観た後で

 

翔花「わ〜い、ドンブラ映画よかったよ。……短かったけど」

NOVA「う〜ん」

晶華「どうしたの、NOVAちゃん」

NOVA「いや、今年はポスターカレンダーが劇場でもらえなかったんだな。入場者特典がカードだった」

晶華「って、カード2枚を嬉しくて貼り付けたい気持ちは分かるけど、どうして背景にトッキュウジャーなのよ?」

NOVA「いや、トッキュウジャーは今回どうでもいいんだけどな。ただ、カードにドンブラとキングオージャーは写っているのに、今回の映画の一方の主役と言うべきキョウリュウジャーが写ってないだろう。だから、手頃な昔の映画の入場者特典を背景に付けた。昔の戦隊VS映画ではメモ帳なんてもらっていたんだな。この2年は大型のポスターカレンダーだったけど」

翔花「入場者特典を並べるだけで、記事書きできそうね」

NOVA「まあ、カードとか、ミニ玩具風の人形とか、メモ帳とか、これまでもいろいろもらったけど、別にコレクションとして大事に保管しているわけじゃないからな。処分したものもいっぱいあるし。メモ帳は実用品として使えるから、たまたま残していただけだ。まあ、使ったことはないので、白紙だけど。ゲームブックの攻略メモに使えるかな、と今、気づいた」

晶華「もったいない。こういうのは未使用のまま、メルカリかネットオークションに出して、マニアが高値で買ってくれたら、よっしゃラッキーって言うのが今の時代のネットライフってものよ」

NOVA「う〜ん、もらった物を売って商売というのも何だかなあって思うんだよ」

晶華「邪魔になって捨てるよりはマシ。今の時代の女の子は、彼氏からもらったプレゼントも平気でオークションに出すって聞いたし」

NOVA「それって一部の遊び人女の話じゃないのか? 俺だったら、人からもらった物をそういう風に商売のネタに使おうとは思わないぞ。ましてや恋人からのプレゼントだろう? 愛って、お金に置き換えていいものなのか?」

晶華「相手によるんじゃないかしら? 本命からもらった物は大事にするけど、自分が使わない物とかはお金に換えて、そのお金で彼氏と美味しい食事をするのも一つの愛の形で、そういうやりくり上手な女性の方が、生きる力(バイタリティ)があるとも言えるし」

NOVA「う〜ん、世知辛くて生々しい話だが、愛は幻想、幻想だけでは人は生きていけないってことだな。どんなに高い理想を抱いていても、人間、おまんまは食っていかないといけねえ。甘いことばかり言ってると、今に命を落とすぞ。金金金の世の中を渡って行くには、したたかに立ち回ることも覚えないとな……って八丁堀の声が聞こえて来るようだ」

晶華「それも幻聴だし」

翔花「そうだよ、NOVAちゃん。今は八丁堀さんの話よりも、ドンブラよ。必殺脳は封印して、ドンブラの世界に行くんだから」

NOVA「まあ、メイン舞台はハーカバーカだったけどな。死んだ戦士が、金ピカフォームでゴージャスタイムで大暴れして、坂本監督の豪快なアクションでマルチバースな展開を示す荒れた話だった」

晶華「それって昨日のニチアサ・ライダーの話と混ざっているわよ」

NOVA「いや、混ざってないぞ。キョウリュウジャーパートは坂本監督だったし、金ピカフォームも事実。マルチバースも間違いない映画だった。先週から俺たちが語って来た要素も、それなりに反映していたタイムリーな映画体験だったと言えよう」

翔花「トラックに轢かれて、異世界転移ってネタが出たときは笑ったわね」

NOVA「まさか、ドンブラでそのネタが出るとは思わなかったな。まあ、脚本家はドンブラの神こと井上敏樹大先生ではなくて、キングオージャーの高野水登さんだったが、しっかりドンブラ脳を再現していて、違和感がほぼゼロだった。短い尺の中に、長年のドンブラマニア(と言っても、2年強だが)を唸らせる仕掛けがいっぱいあって、高野さんの戦隊脚本家としての力量やセンスを大いに感じさせてくれた。自分のストーリーではなく、他人の設定やストーリーをきちんと汲んで、しっかりとコピーして整合性を付ける力は大したものだ。ドンブラに整合性云々を言うのも何だが、ドンブラ世界にはドンブラ世界の流儀がある。下手な脚本家だと、単にハチャメチャを書けばいいんだろうって考えるかもしれないが、ドンブラの流儀を外したハチャメチャはこれじゃない感を覚える。だが、今回のドンブラストーリーは、ドンブラ脳に開眼したこの俺をも唸らせるドンブラ・ザ・ドンブラな映画だった」

翔花「うん。全てのドンブラファンは安心して見に行くといいわ。もちろん、ゼンカイザーブラックファンやキングオージャーやキョウリュウジャーファンの人もお勧めよ。最後に主人公が死んで、お通夜で終わったりはしないし」

NOVA「最初に死ぬもんな」

 

(ここからはネタバレ満載で行くので、映画を未見の方は要注意。それにしても、この前置きだけで何回ドンブラって書いたのか、自分^^;)

 

ドンブラ編

 

NOVA「さて、今回の映画で俺が最初に気にしていたのは、去年のVSゼンカイ映画のストーリーがちゃんと反映されているかだった」

翔花「去年の映画だと、カシワモチ王が出て来て、桃井タロウさまが死んで、ソノイ様がTV本編でタロウさまに託された命(タロウ汁)をタロウさまに返して、復活したタロウさまがもう一度、ドンブラザーズのリーダーに返り咲いて、それに逆ギレしたジロウさんがタロウさまにトチ狂って襲いかかったのをソノイ様が相手して、最後に力尽きたソノイ様がおでんを食べながら死んじゃう話だったのね(涙目)」

NOVA「そう、ソノイの死。これが前作最大のネタバレ秘密といっても過言ではない。そして、今回の映画の予告編では、ソノイの姿が映っていない。犬塚翼とラブラブ逃避行生活を続けているソノニや、プロのマンガ家生活を送っている鬼頭はるかと共にいるソノザ編集長はしっかり登場しているのに、やはりソノイは死んだから出て来ないのか、と思っていたら……」

翔花「ここからは重大なネタバレをします。読みたくない人は、寝て下さい。ネタバレが終わったら、起こしてあげるから」

 

 ソノイは、ハーカバーカでおでん屋を営んでいて、戦い終わったタロウとギラの前に現れた。

 ハーカバーカでカブト虫のギィちゃんと再会できるかも、と期待して、自ら「ギィちゃんなんて嫌いだ」と嘘をついて自殺したタロウだったが、ソノイが「生きるも死ぬも想いは変わらず、つながっている。住む世界が違うだけだ。おでんと同じようにな」と哲学的にまとめる。

 「そうだな。ギィちゃんは俺の心の中にいる。また、いつでも会える」と納得したタロウは、ギラとも「また会おう」と別れを告げて、ハーカバーカから共に消える。ギラとタロウが生の世界に戻ったのを見届けたソノイは、自分も背後に潜む影に声をかける。

「タロウと出会わなくて良かったのか?」

 そこに飛んでいたのは、カブト虫のギィちゃんだった。

 

翔花「はい、寝ていた人は、起きていいわよ。最後のネタバレは終わったから。起きて来ない人は、そのままハーカバーカで安眠しているといいわ。ここから先は生きて(起きて)いる人だけが読める話だから」

NOVA「とりあえず、カブト虫のギィちゃんネタが拾われるとは……いや、ネットでネタとして語られてはいたんだが、公式できちんと拾われるとはな。これでカブト虫のギィちゃんは、キングオー世界のハーカバーカでソノイと一緒にいたことが確定したわけだ」

翔花「NOVAちゃん、何をネタバレしてるのよ。わたしがせっかく映画未見の人にネタバレしないよう眠らせていたのに、起きてから話し続けるなんて、わたしの配慮は何だったの?」

NOVA「あ、すまん、映画未見の読者。仕方ない、ここから先のネタバレを全部読んでも、記事の全文を読んだら忘れるように暗示を施しておこう。お前がこの記事を読んだ後で、しばらく経つと、そのドンブラの記憶は封印されて、お前は元どおりの日常生活を送ることができる。しかし、桃井タロウの笑い声が聞こえると、その縁によって封印された記憶が呼び戻ってドンブラ脳の世界に帰ってくる呪いだ」

晶華「NOVAちゃん、人を呪うのはやめて」

NOVA「ああ、うっかり言い間違えた。ドンブラは呪いじゃなくて、祝福だった。うん、ドンブラ脳は天からの授かりものだから安心して、続きを読むといいぞ」

翔花「まあ、ここまで読んでいる読者さんはとっくにドンブラ脳だと思うから、気にする必要はないわ。もしもドンブラ脳じゃない人がうっかり間違えて、この記事を読んだとしても、縁ができたと思って、ドンブラの世界にようこそすればいいし、この世はハッピーパラダイスになればいい」

NOVA「ドンブラの世界だと、あの世もハッピーパラダイスになってそうだけどな。生死の境を簡単に飛び越えちゃうし」

 

晶華「で、ドンブラ教の勧誘はそれぐらいにして、タロウさん以外の人はどうして死んだの?」

NOVA「ギラはシュゴッダム王宮で、キビ団子を食べている最中に、喉を詰まらせて死んだ……って、お前もいっしょに映画に行ったんだから知っているはずだろう?」

晶華「私は知ってるけど、知らない読者さんのために質問してあげてるの。読者さんは感謝するように」

NOVA「感謝を押しつけるのはどうかと思うが、せっかくの質問だし、答えておこう。ギラが団子を喉に詰まらせている間に、桃井タロウが『お届け物です。ハンコ下さい』とシュゴッダム王宮に現れる。さすがは届け屋、異世界だろうときちんと届けてくれる。届け屋後輩のブンブンジャーもそのうち異世界だろうと、爆上げだあっと叫んで普通に届けてくれる未来が見えた」

晶華「とにかく、何の疑問も感じる間もなく、桃井タロウはシュゴッダムに現れたのね」

NOVA「そして、団子を喉に詰まらせて苦しんでいるギラの喉に強引に手を突っ込んで、団子を取り出そうとしたものの、ドンブラ世界ではそれで団子を取り出せたかもしれないが、たぶん異世界ながらドンブラ世界よりもリアリティ・レベルが高いキングオー世界の住人であるギラはショックで死んでしまった」

晶華「つまり、桃井さんがギラを殺した、と?」

NOVA「まあ、医者が患者を助けようとしたが果たせずに……って感じだな。桃井タロウに罪はない。死因はきび団子を喉に詰まらせての窒息死だ」

晶華「で、桃井さんはシュゴッダム国王殺害の罪で投獄されて処刑されたわけね」

NOVA「お前、映画を見て来たのに、よくもそんな読者を騙すような嘘をつけるな」

晶華「フフン。私の言葉は半分が妄言よ。たとえ、真実を語っていても、嘘を混ぜていれば、読者はどこまでがネタバレで、どこまでが妄言か判断がつかず、結局、映画を見て真実が何なのか確認しないといけなくなるって寸法よ」

NOVA「まあ、ドンブラについては、たとえ真実を語っていても、妄言にしか聞こえないところがあるからな」

 

翔花「一方そのころ、現世のドンブラ世界では、忍者もろもろおじさんの大野さんがトラックに跳ねられて、死にかけていました」

NOVA「そこに現れたジロウは、猿原先生が『この男はヒトツ鬼常習犯だから、うかつに関わらない方がいい』と言うものの、『何を言ってるんですか。ヒーローである者は苦しんでいる人を見殺しにはできません』と言って助けようとするのだが、どうやって助けたらいいのか悩んでいる間に、死にかけた大野さんが再び王様鬼として覚醒。『トラックにはねられて死んだんだから異世界転生だ〜』って感じに叫んで、その場にいたドンブラの面々と、その場にいないドンブラの面々も(なぜか)ヒトツ鬼パワーで王様の世界に飛ばされるわけだ」

晶華「ドンブラ世界にも、『トラックにはねられて異世界転生』って概念があったのね」

NOVA「こういうラノベネタは齢30歳の高野さんだから書けたネタだと思う。たぶん御年64歳の大先生には世代的に出にくいセンスなんじゃないかな」

翔花「まあ、いくつになっても若者のセンスに敏感な作家さんはいるかもしれないけど、やっぱり若者の流行の面白さをストレートに作品に投入できるのってフットワークの軽さが必要だと思うの」

NOVA「とにかく異世界転生って概念だけでも、若者向きのファンタジー小説をそれなりに読んでないと、発想できないキーワードだし、それは異世界ファンタジーのキングオージャーの脚本家ならではのワード選択だと思う」

晶華「それで、なろう系小説を知ってる若者には十分説明になってるもんね。まあ、説明が通じなくても、力技で押し通すところは、いつものドンブラだし」

NOVA「まだ説明をワードだけでも、きちんとしているのが高野さんなんだ。大先生レベルだと、説明抜きに押し通したりもするし、考えるな感じろのレベルに達しているからな」

翔花「でも、まだ死んだわけじゃないのよね。キングオー世界に飛ばされただけで」

NOVA「ここからの各キャラの遭遇と死に方が面白い。いや、死に方が面白いというと不謹慎だが、次々とギャグめいた死に方ドラマを見せるし、死んでないのに大野さんのヒトツ鬼パワーでハーカバーカ送りにするし、とにかくハチャメチャに死ぬ。リストアップするとこんな感じだ」

 

・ヤンマとジェラミーのところに飛ばされた猿原先生。

 ジェラミーと猿原先生の間で、創作談義が為されて、互いに相手の才能を褒め称えるも、ヤンマの嘘発見装置で2人とも嘘をついている(心にもないおべんちゃらを言ってる)ことが判明し、電流バリバリで処刑される。ヤンマもいっしょに巻き込まれて、ハーカバーカに。

 

・ヒメノとリタのところに飛ばされたマンガ家と編集長。

 ヒメノとリタは『実写版もっふんといっしょ』を見て、感想女子トーク。そこに現れたはるかも、もっふんの感想を述べるも、「もっふんが子ども向き作品なのに、オタクに媚びすぎているところがあって、視聴対象をないがしろにしている面があるのでは?」と指摘して、リタの「大人と子どもの両方楽しめる作品の何が悪い?」という反論を招く。

 はるかは編集長の意見を求めるが、編集長はリタの意見を是として「マニアをも唸らせてこその傑作だ」という意見に対し、プロデューサーのヒメノは「もっふんは子ども向きに作っている作品だから、マニアが大きな顔をして大人目線で偉そうに批判するのは美しくない」と述べる。

 ファンと作り手のマニアックな論争に発展している後ろで、大野さんの王様鬼が自己紹介をしているけど、誰もがスルーしている(存在に気づいていない)ために、激怒した王様鬼はその場の全員をハーハバーカ送りの刑に処す。

 

・カグラギのところに飛ばされたジロウ。

 2人は互いのマッチョに鍛えた筋肉美を見て、意気投合。交流相撲を果たそうとするも、熱いキン肉の激突で相討ち死亡。

 今回のジロウは、吹っ切れたのか、ひたすら脳筋ヒーロー街道を突き進んで、敏樹先生が書くよりもおバカになってます。でも、セリフだけは再現していて、「処刑だ」と言ってみたり、まあ、こういうジロウもらしいかな、と。あまりネガティブな性格でもなかったしね。ヒーローに憧れる勢いだけのバカという形に吹っ切れて、NOVA的には好印象でした。

 まあ、NOVAはマッチョな脳筋キャラじゃないので、今回のジロウはNOVAみたいな傾向が薄れたけど。

 

・ゴッカンにいるラクレスとスズメのところに飛ばされた雉野。

 仲睦まじい2人の姿に、自分と夏美さん(ミホちゃんじゃない)の話をして、イチャラブ夫婦談議に突入しかけたり。

 異世界に来てしまったようなので、何とか頑張って夏美の待つ元の世界に戻りたい雉野。彼に同情したスズメとラクレスは、「異世界を渡るには、巨大ロボのキングオージャーの力を使えば何とかできるかも」と助言する。しかし、キングオージャーの名前を聞いた雉野は昔の記憶を思い出す。ドンブラザーズ45話において百獣鬼と化した雉野は、先行ゲスト出演したロボ・キングオージャーに倒されたのだ。

 キングオージャーの記憶に苛まれた雉野は、こんな恐ろしいところにはいられないと宣言し、ラクレスたちの好意を振り切って、単身、ゴッカンの雪原に足を踏み入れて凍死。

 

・シュゴッダムに来た犬塚とソノニの逃亡者コンビ。

 最初は戸惑うも、この異世界なら自分たちを知る者はいないから安穏な生活を送れるのでは? と喜ぶソノニだが、何故かシュゴッダムでも、犬塚とソノニによく似た指名手配犯がいるみたいで、結局、官憲に追われることに。

 その逃亡劇の最中のどさくさで死亡。話回しがテキトーだけど、まあ、テンポを良くするためには仕方ない。

 

翔花「ということで、様々な交流劇と、対立劇と、他のメンバーのドラマには全く絡まない犬塚さん(ドンブラの原作どおりと言えば、まあその通り)の末に、ハーカバーカでチーム集結したキングオージャー組と、ドンブラザーズ&脳人の2人が対峙します」

NOVA「前作であれだけやらかして敵対するに至ったジロウが、普通にドンブラの仲間として受け入れられているのは、嬉しいところだ。何だかんだ言って正義のヒーローに憧れる熱い男だし、言動が時々危なっかしいのと、空気が読めないままに思い込みで暴走しがちなのと、二重人格なのを除けば、悪い奴じゃないからな」

晶華「自己紹介乙」

NOVA「いや、俺は二重人格じゃないぞ。単に躁鬱なだけで、人格分裂とまでは言ってない。別人格が勝手に言ったことだから責任能力はない、なんて書いたことはないはず。まあ、たまに無意識の勢いで、夜、寝ている間に記事が仕上がっているケースもないわけじゃないが、自動筆記みたいな能力も興が乗れば稀に発動することもあるぐらい」

翔花「よっぽど疲れているときに、でも書きたい気持ちが溢れて、肉体の限界を越えて無我の境地で書くってことね」

NOVA「それで書けた記事が傑作だったらいいんだけどな。たいていは何これ、変だけど面白いからまあいいか、誰かを傷つけるような話じゃないなら削除する必要もないだろうって思うわけで(明確な悪意むき出しで、読むに耐えないような文章は自動筆記では確認されていない)」

晶華「自動筆記をコントロールできたらいいのにね」

NOVA「それができるなら、今の1.5倍の速度で書けるかもしれんが、どこか無理が生じるだろうから、極めるつもりもない。とにかく、躁鬱と二重人格は異なるってことで」

翔花「でも、創作家って自分と異なる人格のキャラを何人も描き分けないといけないから、分裂症状を発症しやすいのよね」

NOVA「それをきちんと引き出しごとに分けて整理しながら、必要に応じて取り出したり、服をコーディネートするみたいに用途別に色分けしたりしているんだろう。好きな色が青系と決まっていても、今日は赤の気分とか、この場面ではこの色が相応しいけど、この色は邪魔だから省くとか、デザイン意図もあるのと同様、演技の引き出しや文章描写の引き出しとか、その組み合わせ方とかアレンジとか、いろいろな思考をパッケージング化したのが、人に語れて披露できる技術なんだと思う」

晶華「整理が不十分だとカオスになるってことね」

NOVA「ドンブラを見ていると、面白いカオスと、つまらないカオスの違いが分かる」

晶華「面白いカオスって?」

NOVA「一言で言えば、『風吹けば桶屋が儲かる』論理だな。風が吹く→砂が舞い上がり、目を傷つける事故が増える→目の見えない盲人が芸事として三味線を習う→三味線の需要が増えて、ネコの皮が狩られる→ネコが減ってネズミが増える→ネズミが桶をかじるので、桶が売れる……といった論理の流れだ。今の時代にそのまま受け入れられる話ではないが、時代性を考えると、それぞれの→の間に、一応の整合性は付けられるんだ」

晶華「でも、砂が舞い上がったから、盲人が増えるってのは飛躍しすぎだと思う。『風が吹けば、眼鏡屋が儲かる』だったら、もっと分かりやすいと思うの」

NOVA「分かりやすかったらカオスと言わないだろう? ごちゃごちゃして分かりにくいからカオスなんだ。ちなみに、論理がつながってないだけで、言葉足らずなのもカオスとは言えない。空虚なのをカオスとは言わないからな」

翔花「空っぽな部屋を、ごちゃごちゃしているとは言わないもんね」

NOVA「整理整頓のために何でも捨てるという考えもあって、全てを捨ててスッキリというのは、必要最低限な暮らしだけで、そこに遊びがない。それではつまらない。面白くするには、多少のカオスな情報量が必要なんだ」

晶華「スッキリし過ぎると、つまらないのは分かった。でも、つまらないカオスってのは、そういうのじゃないよね。カオスはごちゃごちゃしている。ごちゃごちゃしていて、かつ、つまらないって?」

NOVA「情報量は多いけど、そこに論理の筋道がほとんど見られないこと。筋は通っているようで、それが過剰にエスカレートしたり、無茶な理屈で爆上がったりすると、見ていて面白い。そんなバカな、と言いたくなるけど、そのバカに筋があるから、細かく解説されると納得できたりもする。つまり、解説を自分で補完したくなったり、誰かの解説を読んで納得が得られて作品鑑賞が楽しくなる。それがドンブラの楽しさの一つとも言える」

翔花「なるほど。ドンブラは筋が通っているってことね」

NOVA「変な筋だけどな。例えば、『桃井タロウは真正直なので、嘘をつくと死ぬ』という作品世界の論理がある。『真正直』という属性はよくある性格だが、それが度を越したエスカレートぶりを発揮したら、『嘘をつくと死ぬ』だ。普通は『嘘をつくと後ろめたい気持ちになって、落ち込む』ぐらいが常人の範囲だろう」

晶華「ああ。『真正直』→『嘘をつくと死ぬ』と→がつながった」

NOVA「すると、次の筋をつなげるといい。『嘘をつくと死ぬ』→『死ねばハーカバーカにいるギィちゃんに会えると聞いた』→『ギィちゃんに会いたいタロウは、ギィちゃんが嫌いだと嘘をつぶやいて自殺した』。ここまでのつながりで何が分かる?」

翔花「桃井タロウさまはギィちゃんが本当に大好き」

NOVA「劇中で『唯一の友だちだった』とまで言ってたもんな。この話の元ネタはドンブラザーズ18話だが、そのギィちゃんとの縁で、桃井タロウをシュゴッダムに招き寄せ、ハーカバーカにまで到達したのが、今回のドラマの骨子である」

晶華「でも、ギィちゃんとは会わず仕舞いなのよね」

NOVA「生死の世界の壁を越えて、想いがつながっているというテーマがあったのかもしれないし、今のタロウにはギィちゃん以外にもいろいろな縁やお供たち(お友だち)ができているから、死んだ友=ソノイとの再会でそれを確認できたわけだし、会えなくても縁は縁だ。精神的に成長を遂げた桃井タロウは、ギィちゃんとの思い出は大事にしながら、生者の世界で、また多くの縁を紡いで行けるというエンディングになってる。現に、ハーカバーカで別れたギラとももう一度、シュゴッダムで『縁を届けに来た』と直後の再会劇を見せている」

晶華「ふつうは、『また会えるさ』というようなセリフで別れたら、再会までは時間を置くものでしょうに」

NOVA「『また会えるさ』としみじみと別れを告げた後、1、2分程度のインターバルですぐに会って縁を結ぶ。伏線回収早すぎでしょ、となる。キングオージャー劇中では、伏線を仕込んで回収するのに時間を掛けすぎた長編作家の脚本家が、このドンブラとの共演編ではわずか30分の上映時間でいくつもの(ドンブラからの)伏線を超高速に回収して、ドラマを紡ぎ上げて行ってる。伏線の仕込みと回収の見事さは、1年間のレギュラー放送で定評を得た(けど時間をかけ過ぎると批判のあった)高野さんが、このドンブラ映画での濃密な伏線回収ネタをいっぱい拾って、原作を知っている者にはネタの宝庫ぶりに感じ入らせてくれた。非常に密度の濃い映画だった」

翔花「井上敏樹さんだと?」

NOVA「謎は投げっぱなしで、回収されない伏線らしきものも結構ある(異世界イデオンとか、ドン王家ってのは、本筋に関係ないからと裏設定的に放置)のに対し、高野さんは結構、緻密で細かい気質なので、ドンブラの大雑把な部分を細かく拾い上げて行って、勢いと精密さをうまく混ぜ合わせたな、と」

晶華「クライマックスの戦隊対決劇は、非常に大雑把だったよね」

NOVA「そっちは、キョウリュウジャーの方に譲ったんだよな。笑ったのが、ドンブラは戦隊恒例(ドンブラではレア)な名乗りを見せてくれたのに、いざキングオージャーが名乗ろうとギラが音頭を取り始めると、ドンモモタロウは邪魔だとギラを弾き飛ばして、いきなり戦闘に入るわけだ」

翔花「キングオージャーは名乗らせてもらえない」

晶華「ドンモモタロウは人の話を聞かないところがあるから」

NOVA「さらに笑ったのは、味方のキングオージャー側も、ギラをスルーして勝手に敵に向かって行ったことだな」

晶華「キングオージャーも、ドンブラほどじゃないけどバラバラで、全員揃っての名乗りがレアな方だから」

NOVA「今回の戦隊は、キョウリュウジャーも合わせて、『集まりの悪い戦隊ばかり』だということに今、気が付いた。まあ、キョウリュウジャーの場合は、序盤のメンバー集結までの話だったけど、ドンブラは犬塚の正体バレまで本当に長かったからなあ。5人揃うよりも先に6人めと顔見知りになるなんて、空前絶後だと思うぞ」

翔花「でも、ロボは毎回と言っていいほど、きちんと出ていたのよね。キングオージャーはロボが出ない回が多すぎた」

NOVA「映画にも雉野絡みのイメージシーンにしか出なかったからな。シュゴッドを見つめる桃井タロウが、『ここは虫の王国か。だったら、ギィちゃんを知らないか?』と近くの子どもに尋ねるシーンで効果的に背景演出されてはいたが」

晶華「ロボは出なかった、と」

NOVA「ドンオニタイジンとキングオージャーの共演はなしだったな。あと笑ったのが、バトル前にそれぞれのキャラが一言ずつ相手を攻撃するセリフを述べるんだが、各人の戦う理由が見事にバラバラなんだな。いつものように何も知らない犬塚さん(とソノニ)は『何だかよく分からないが、あいつらを倒せばいいんだな』とか言い出すし」

翔花「戦う理由が、創作作品の作家性、作品性の違いだなんてメンバーが半数以上もいるなんて、NOVAちゃんのツボにハマり過ぎよね」

NOVA「たぶん、あの戦場に俺もいたら、熱い討論で盛り上がって、倒されていたかもしれない」

晶華「倒されちゃうの?」

NOVA「だって、相手はプロマンガ家の鬼頭先生と、ソノザ編集長と、不動の裁判長と、もっふんのプロデューサーのイシャバーナ女王と、風流人の先生と、番組ナレーターだぜ。俺なんかが飛び込んで行っても、勝てる見込みがない。大体、あの世界に俺が飛び込んだら、いつ新星鬼としてヒトツ鬼化するか知れたものじゃないし」

翔花「ドンブラ劇中に出て来たのは、超新星鬼であって、実は新星鬼って未登場なのよね。つまり、NOVAちゃんが新星鬼になる可能性はまだ残っている」

NOVA「ドンブラ世界に行くと、鍛えてないのに鬼になってしまうからな。とにかく、タイトルどおりドンブラザーズとキングオージャーが不毛な戦いを始めていると、『俺を無視するな』と王様鬼の大野さんが乱入し、ドンモモタロウが『ええい、邪魔だ。お供たち、あのヒトツ鬼を先に倒すぞ。全ての決着はそれからだ』と高笑いを上げ、何だかノリが合うな、とギラもつられて高笑い。そこに喫茶どんぶらのマスター介人が『いいものあるよ』とお届け物に登場するんだな」

晶華「前後関係がとっ散らかっている気もするけど、介人さんが3年連続で戦隊VS映画に登場したのは確かね。でも、調達屋さんみたいに『お困りのようだね』じゃないんだ」

NOVA「元々、桃井タロウがシュゴッダムに届けに来たのが、黄金フォームへのパワーアップアイテムだったらしいんだな。もう、ゼンカイザーブラックに変身はしたものの本当に顔見せだけで、お届け物に来ただけだった」

翔花「時代は届け屋なのよ。桃井タロウさまがその流れを作った」

NOVA「否定する材料はないな。とにかく、ヒトツ鬼を両戦隊の協力で倒して、さあ、続きのバトルを……とギラが言うと、オニシスターが『何だかよく分からないけど、ヒトツ鬼を倒したらスッキリしちゃった。楽しかったから、じゃあまたね』と王様鬼の作ったゲートを使って、自分たちの世界に帰ってバトル終了だ」

晶華「ああ、どうやって死の世界から帰ったんだろうと思っていたら、王様鬼の作ったゲートだったのね、あれ」

NOVA「まあ、大野さんが結果的に全ての元凶になった感じだから、怪人を倒して帰れるというのは当然だろう。それ以上の尺はないし」

翔花「すごく情報量の多い映画だったよね」

NOVA「ドンブラ集大成としては、申し分なしだろう。これでソノイが出なかったら寂しさを覚えるところだったが、バトルの後で登場して、ギィちゃんと生死観とおでんの話できれいにオチを付けてくれた。やはり、桃井タロウの心友として命を落としたソノイとギィちゃんがセットなのが上手いと思ったんだよ」

晶華「で、最後に両チームが仲良くダンスで終わりだっけ」

NOVA「そして、次はキョウリュウジャーだが、ドンブラだけで話が長引いたので、続きはジカーイジカイのお話だ」

(当記事 完)