Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

続々・PS時代のドラクエ・FF話(FF8)

これが最後……になるかな?

 

NOVA「延々とドラクエやFFの懐古話をしているだけで、今年のゴールデンウィークが終わってしまった(汗)」

晶華「もしかして後悔してる?」

NOVA「いや、喜んでる。考えてみろよ。ドラクエ3〜6の4本と、FF3〜7の5本の計9本の傑作ゲーム群を、たった10日ほどで再プレイできたような気分に浸っているんだぜ。タイムパフォーマンスが良すぎる」

翔花「新しいゲームをプレイするよりも、過去の傑作を思い出している方が幸せなのね」

NOVA「いや、新しいゲームにも触れたじゃないか。FF7Rとか」

晶華「動画配信と攻略サイトをチラ見しただけでしょ」

NOVA「まあ、他人のプレイを見て、自分も断片的ながら物語を味わえるのはいいものだ。昔、友人のゲーセンプレイで未知のシューティングゲームのゴールまでタダで見せてもらい、それでもワクワクできたことを思い出す。自分の腕前と小遣いと意欲では到底見られない世界を見せてもらったんだから、A君には今でも感謝だよ」

晶華「A君って、アストじゃないわよね」

NOVA「イニシャルAの友人は、リアルで2人いた。中学時代の1人とはケンカ別れして、もう1人(俺の初D&Dプレイの際の盗賊プレイヤー)とは大人になって会う機会もなく疎遠になったなあ。あ、クラスメートなら他に何人かいたが、名前が出て来るのは3人だけだ。いろいろ懐かしい」

翔花「学校に行くと、クラスメートってだけで縁ができるのね」

NOVA「そうだな。考えてみれば、今回の話ができたのも、シューティングゲーマーのA君のおかげかもしれない。俺が大学時代にバイト代で中古のファミコンを買ったって聞くと、ドラクエ1〜4とFF1〜3のソフトを貸してくれた。D&Dを教えてくれた礼だとか言ってたんだが、こっちもいろいろと恩義があるんだよ、彼には。今回の一連のドラクエ・FF記事は、A君に捧げてもいい」

晶華「イマジナリー・フレンド……ってわけじゃなさそうね」

NOVA「さすがに彼がイマジナリーだったら、俺は自分の想像力だけで、ここまでのゲームライフを築き上げて来たことになるからな。ともあれ、ゲームソフトの借りっぱなしは悪いので、自分も中古で気に入ったゲームを買い揃えてから返した。その時、買ったのがドラクエ1〜4とFF3だ」

翔花「FF1と2は?」

NOVA「1回クリアしたら十分だと思ったから、買わなかった。まあ、後にPSでリメイク版が出たときに買ったんだが、FF3だけはリメイク版が出るまで時間が掛かったなあ」

晶華「とにかく、いろいろなゲームに、人生のその時その時の思い出が付いて来るわけね」

NOVA「ああ、FF8だって。ん? FF8の思い出? ええと……ええと……ああ、記憶が欠落してる?」

 

愛と記憶欠損と魔女のFF8

 

NOVA「と言うことで、『記憶の欠如』が話題になるFF8なんだが、いろいろと記録には残っている傑作……と世間では評価されている……らしい」

晶華「何だか、歯切れが悪いわね」

NOVA「FF8は1999年に発売され、20年後の2019年にリマスター版が出たのも、ファンには記憶に新しいが、俺はファンじゃないので今、初めて知った」

翔花「何だかFF8さんに当たりが強くない?」

NOVA「正直、このゲームをリアルタイムでプレイしていた時は、歴代で最も相性の悪いFFだと思ったわけだ。凄いゲームだというのは分かるが、とにかく不満ばかりが出て来る。システムが斬新すぎて、仕様は理解できて最後まで解けはしたが、豪勢な攻略本(アルティマニア)も買ったが、CDも持ってるが、ゲームはつまらないので2度とやることはないと思ったな」

晶華「そこまでして、ファンじゃないって言い張るなんて」

NOVA「しかし、FFを語る以上は、この作品の価値は認めないわけにはいかないんだよ。何しろ、公式発表で7と並んで過去最大級の売り上げ本数だ。データを挙げてみよう(オリジナル版、国内のみ)」

 

  1. 52万本
  2. 76万本
  3. 140万本
  4. 144万本
  5. 240万本
  6. 250万本
  7. 400万本(リメイクは140万本、リバースはまだ不明)
  8. 370万本
  9. 290万本
  10. 320万本(X2は250万本)
  11. (オンラインなので実売数は不明)
  12. 260万本
  13. 200万本
  14. (オンラインなので実売数は不明)
  15. 109万本
  16. 41.4万本(2023年6月に出たばかり)

 

翔花「15や16の落ち込み方が酷くない?」

NOVA「まあ、この数字は国内でのパッケージ版のみで、ダウンロード購入や海外での売り上げは入ってないから。落ち目と言われている15でも、全世界では1000万本売れたそうだし、16も現段階で300万本だそうだ」

晶華「7や8の全世界合計は?」

NOVA「7が1440万以上で、8が960万本。7リメイクは700万本とのこと。ソースはwikipediaなので、信憑性については完璧でない数字だろうが、ここで大事なのは7や8の時代(世紀末)が最盛期で、その勢いは10までも続いていたってことだな」

翔花「正に世紀末の伝説ゲームの1本ってことね」

NOVA「ゲームだけじゃなくて、主題歌が当時の洋楽チャートのトップを飾ったなど、ジャンルを超えた話題性を集めた……そうだ」

NOVA「ゲームソフトに声付きの歌を収録できるのがCDーROMの良いところってんで、FFシリーズ初の主題歌を出したら、それがまたヒットして、ゲームというのがただのオタクの遊びではなく、一流アーティストの芸術と並び得るメイン文化として評価される時代となったわけだよ」

晶華「つまり、90年代では迫害されていたゲーム好きというのが21世紀になると表舞台の花形文化に舞い上がる時期ってことね」

NOVA「FFの目指していたのが、映画みたいなゲーム、映画に負けない映像芸術だったから、そういう形をまざまざと見せつけた作品がFF8と言える」

NOVA「この辺の召喚獣(本作では『ガーディアン・フォース』と呼称)のイメージが、3年後の『仮面ライダー龍騎』の契約モンスターのCG描写につながって行くと考えることもできるな」

翔花「ああ、ファイナルベントとかそんな感じ」

NOVA「もちろん、東映さんは東映さんで、2001年の『ガオレンジャー』のパワーアニマルなんかも含めて、CGの使い方を研究していったわけだが、モンスターを召喚しての必殺技だとFFシリーズがゲーム界でどんどん開拓していった先駆者なわけだ」

晶華「文化の伝達の流れがあるわけね」

NOVA「さて、ここまでの映像面での進化はいいんだが、問題はゲームシステムとストーリーの両面で俺には大きな不満があったわけで、俺の不満を言う前に、この動画を見てくれ」

NOVA「動画作者は、難解なシステムとストーリーゆえに一般ウケしなかったのでは? と述べているんだが、それは妥当な見解と思う。その上で、俺個人の見解を述べると、まずシステム面。ガーディアンフォースをジャンクションして、敵から魔法をドローして、キャラ育成するシステムなんだが……」

翔花「専門用語が多すぎて、意味分からないし……」

NOVA「ええと、翔花に分かるように通訳すると、『召喚獣と契約して、敵の持つ魔力を吸収して召喚獣に付与すると、契約者も能力アップするシステム』と言ったところか」

翔花「ああ。仮面ライダー龍騎さんみたいなものね。敵モンスターから奪った魔力を餌にして、ドラグレッダーさんが強くなるとか、そんな感じ?」

NOVA「餌にするというと少し語弊があるんだが、敵の魔法をガーディアンフォースにジャンクション、ええと装備させると、自分の対応能力が上がる」

翔花「魔法を装備?」

NOVA「装備した魔法は自分で使えるようにもなるけど、HPに魔法を装備することでHPが増えるんだ。レベルアップで増える量よりも、強力な魔法をたくさんHPに装備する方がよりたくさん増える。自分がレベルアップすると、敵も強くなるので、できるだけレベルアップせずに強力な魔法をたくさん入手する方法を考えるのが最適解となるんだ」

晶華「レベルアップしない方がいいなんて、変なRPGね」

NOVA「まったくだ。まあ、自分のレベルと敵のレベルが連動しているのは、同じスクウェアの名作RPG『ロマンシング・サガ』(92年)でも採用されていたが、あれはフリーシナリオシステムだから機能していた。選択したキャラによって、攻略地域の順番が変わって来るから、『この地域のモンスターは弱くて、ストーリーが進んだこちらは強い』という設定にはできない。だから必然的に敵のレベルを自分のレベルに合わせて成長する形をとった。システムの必然性って奴だ」

晶華「ソード・ワールドの『フェアリーガーデン』(2010)なんかでも、そういうシステムね。こちらのレベルに合わせて敵も強くなるように設定されている」

NOVA「あれもフリーシナリオシステム(地形やシナリオの攻略順番がランダムに決まる)だからな。もちろん、ボス敵は固定レベルなので、この敵には勝てないとなれば、逃げ出して後に回すという判断も必要になるが、こちらのレベルに応じて発生するイベントもあって、なかなか凝っている」

翔花「つまり、敵のレベル変動システムは物語の攻略順番が固定されていないフリーシナリオシステムだから機能するアイデアってことね」

NOVA「そう。しかし、FF8はストーリーの順番が固定されているのに、敵のレベル変動システムを採用した。その結果、レベルを上げると戦闘が面倒になって、ザコを倒して俺つえ〜的な快感をスポイルしてしまったわけだ」

翔花「そういうのもRPGの楽しみなの?」

NOVA「『強くてニューゲーム』(用語の初出は1995年の『クロノ・トリガー』)がどうして生まれたかと言えば、一度育てたキャラでもう一度シナリオストーリーを楽しみたいけど、面倒な育成を2回めもしたくない(バトルではなくストーリーを味わいたい)という需要に応じたわけだな。ともあれ、RPGの楽しさの一つはレベルアップによるキャラ育成なんだが、レベルアップすればする程、攻略が難しくなって、ザコ敵倒して強さを実感することができないシステムをどう思う?」

晶華「レベルアップの楽しみを放棄しているわね」

NOVA「レベルアップして強くなったから、これまで倒せなかった強敵を倒せるようになるのが楽しみの一つであって、自分が成長すればする程、敵も強くなって……というのは、ゲームバランスを考えるうえではいいのかもしれないが、常にバトルがカツカツというか、レベルアップすると損というのは、RPGの楽しさを放棄した愚行だな」

翔花「どうして、わざわざそんなシステムを採用したのかしら」

NOVA「やり込み派プレイヤーの行う『低レベルでもクリアに挑戦できるゲーム』を目指したらしい。『RPGに必然のレベルアップを面倒な作業だから、知恵と工夫でしなくてもいいシステム』だそうだが、その知恵と工夫(魔法のドローとジャンクション)がかえって面倒になっているんだから、本末転倒だ。マニアックなシステム開発者が凝りすぎて、RPGの本来の楽しみに背を向ける形になったんだから、そのマニアックさに賛同できるマニアにしか付いて行けんわな」

晶華「NOVAちゃんはマニアじゃなかった?」

NOVA「キャラ育成は好きだが、育成すると損をするゲームに賛同するほどのマゾマニアじゃねえ。そこは素直にレベルアップを楽しみたい」

晶華「これはあれね。優秀な社員には大変な仕事が与えられ、無能な社員には簡単な仕事が与えられる。そして、大変な仕事を押しつけられても、給料はあまり増えないので、働けば働くほど損をするような当時の社会のシステム(今も?)を反映したんじゃないかしら」

NOVA「だから、いかに己の才覚を伸ばさずに、他人の成果を搾取(ドロー)して実利だけ得るのを知恵と工夫と称するようなものか。ある意味、リアルだな。働いて金を稼ぐほど、税率の負担が増える累進課税制度とも重なってくる」

翔花「働かない方が得、と思わせたら、社会システムが破綻するようなものね」

NOVA「まあ、裏ワザを使うような知恵と工夫がなければ(そこにも別種の努力や才覚が必要)、まじめにコツコツ働かないと、生きてはいけないんだけどな。とにかく、FF8はまじめにコツコツ戦ってレベルアップという日本人の勤労意欲を損なうようなシステムだった、ということで」

 

ガーディアンフォースの話を掘り下げる

 

翔花「マニアさんが凝りすぎて、RPG本来の楽しみを損なう結果になってしまったわけね」

NOVA「次に、このゲームではガーディアン・フォース(GF)の育成が、キャラのレベルアップよりも重視される。GFの成長にはアビリティ・ポイント(AP)が必要で、このゲームを低レベルクリアしようと思えば、『経験値よりもAPを多くくれる敵』を見繕って倒すことを求められる」

晶華「敵の能力を吟味しないといけないってことか」

NOVA「もらって嬉しいはずの経験値が、あまりもらわない方が嬉しいというのがシステム開発者の歪んだ意図みたいだからな。少なくとも開発スタッフのインタビューを読んだ限りでは。オリジナリティを求めるあまり、多数派が求める楽しみに背を向けた形だが、それを理解して納得できた層には奥が深いと受け止められたようだ。ある意味、珍しいもんな。レベルアップよりも重要なものがあるRPGって。俺には合わなかったけど」

晶華「システムは理解できたわけね」

NOVA「まあ、レベルアップすると損、というのは後から知ったので、初見プレイでは普通にレベルアップとGF育成を楽しんだんだが、プレイ途中で違和感を覚えてな」

翔花「どういうこと?」

NOVA「しつこいようだが、俺の一推しFFは5のジョブ&アビリティシステムだ。クリスタルの加護によってジョブを習得し、ジョブチェンジで欲しいアビリティを習得する形でのキャラ育成システム。経験点はくれないけど、APをいっぱいくれる敵というのも5が初出だ。まあ、アビリティという概念が初めて出た作品だから当然なんだが」

晶華「その後、アビリティを習得する方法でシステムが変遷していくのね」

NOVA「そう。FF6では5のジョブチェンジがなくなって、『キャラ固有のコマンド』『召喚獣を呼び出せる魔石装備による魔法の習得』『装備アイテムによるアビリティ付与』の3つに分担された。FF7では、『キャラ固有のコマンド』に加えて必殺技的な『リミット技』が設定され、魔石と装備アイテムの代わりに『装備品にマテリアをセットしてアビリティ付与と習得』するシステムに進化した」

晶華「FF7ではマテリアが非常に大事、と」

NOVA「クリスタル→魔石→マテリアという流れだな。そのマテリアに代わるシステムとして、FF8ではGFジャンクションに基づくシステムになったんだが、ここで違和感が生じる」

翔花「その違和感が何なのか知りたい」

NOVA「俺はキャラを育成したいんだが、FF8ではキャラの代わりにGFを育成しているようなものだ。逆に言えば、GFがなければFF8のキャラは弱い。FF7でもマテリアをユフィに奪われて、素の状態で戦わざるを得ないイベントシナリオがあって、マテリアがないと回復魔法も使えなくなって厳しいよなあって実感した」

翔花「その時はどうしたの?」

NOVA「エアリスのリミット技が回復効果なので、エアリスを興奮状態にしてリミット技が出やすいモードにして、エアリス女神の恩恵を頼りに頑張った。まあ、ポーションその他の回復アイテムをいっぱい用意することでも何とかなっていたろうが」

晶華「キャラの育成も大事だけど、マテリアの育成にも力を注ぐのがFF7

NOVA「で、GFもマテリアみたいなものと割りきればいいんだけど、GFは召喚獣みたいな人格を持ったキャラなんだよな。つまり、自分の代わりにポケモン育成に力を注ぐようなもんだ」

翔花「それって普通よね」

NOVA「今となってはな。当時はポケモンも96年に出て3年めで、それに影響を受けた『ドラクエ・モンスターズ』も98年に出たばかりだ。それらの流行に対応するように、FF8召喚獣育成システムという形でGFジャンクションという形式をとったと納得する」

晶華「GFをポケモンと解釈するなら、ポケモンを装備して、ポケモンが強くなれば自分の能力も増えるようなシステム?」

NOVA「そうなるな。全てがGFに頼りきりのシステムになっていく。ポケモンは、主人公のトレーナーではなく、ポケモンによる代理戦闘だから、主人公が育てられないのは問題にならない。しかし、FF8はGFが従で、主人公たちが主であるべきなのに、システムはその逆。主人公たちをレベルアップすれば不利になることが分かって、ますますその傾向が強まった。FF7のマテリア以上に、FF8の主人公たちはGF依存症で、それなしではまともに戦えないことがラストダンジョンで分かった。ラストダンジョンは、敵のラスボスの力で全てのGFが封印されてしまい、それをダンジョンの謎解きで封印を解除しながら進めて行かないと、到底ラスボスに勝てないような難解さだった」

翔花「GF依存のシステムなのに、それは非常に厳しい試練よね」

NOVA「ある意味、魔法の使えない魔法使いや、武器や防具を奪われた戦士、ゲーム機やスマホタブレットが全て奪われたゲーマーみたいなものだからな。電気の使えない現代文明と言ってもいいかもしれない」

晶華「花粉症ガールのいないNOVAちゃんみたいなもの?」

NOVA「それは……いなければいないで何とかするが、いた方が楽しいので、いなくならない方がいいとは言っておく。さすがに、ドラえもんのいなくなったのび太くんほどには花粉症ガールに依存していないと思うが?」

翔花「わたしはNOVAちゃんがいないと生きていくのが難しいと思う」

晶華「私もそう」

NOVA「そう言ってもらえるうちが花だな。リアルだと、娘が親から自立するのが親の為すべき養育だろうが、親が子に依存せざるを得ない現実も多々あるし、お前たちは俺の空想(妄想)の産物だから、たとえ自我が芽生えても俺なしにってのは無理だろう」

晶華「花粉症ガールAIってのを用意して、私たちの記憶や会話内容、ブログでの物語設定を全部ラーニングさせて、NOVAちゃんが記事書きしなくても勝手に記事ができて、おしゃべり記録が読めるようにするってのは?」

NOVA「そういう未来がもしかすると、ドラえもんに通じていくのかもしれんな。ドラえもんは子守りロボットだが、むしろ介護ロボットからドラえもんが生まれるのかもしれない」

 

翔花「ドラえもんさんはさておき、GFの話に戻りましょう」

NOVA「ああ。依存症になるほど便利なGFなんだが、実はストーリー上、重要な欠点があってな。GFとジャンクションした結果、『記憶が欠落していくこと』が中盤ぐらいに明かされる」

翔花「え? 依存症だけでなく、記憶障害まで引き起こすの?」

NOVA「これはもう、ストーリー作りの問題なんだが、FFシリーズは5のガラフ以降、何かと記憶喪失なキャラを用意して、後から記憶が戻って重要な秘密が分かるドラマ作りをしてきた」

晶華「違うわ」

NOVA「何が違うんだ?」

晶華「ガラフさん以降じゃなくて、それ以前に、テラさんが記憶喪失キャラよ」

NOVA「まあ、あのご老人はボケてて、魔法だけをだいぶ忘れているんだが、ストーリー上、重要なことは忘れていないと思うぞ。FF4には他にも洗脳されて記憶を書き換えられているようなキャラも何人かいるが、殴って倒せば元に戻ることも多く、壊れたテレビと同じだな」

翔花「今の家電やAIメモリなんかが殴って機能回復ってのはないと思うけど?」

NOVA「殴って正気に戻るのは昭和の価値観だからな。いわゆるショック療法って奴だ」

翔花「平成生まれはデリケートなんだから、むやみやたらに殴っちゃダメ(XoX)」

NOVA「令和生まれを殴るのは、まだ幼児虐待だしな。そろそろ小学生か」

翔花「ところでFF3にも、デッシュさんって記憶喪失NPCがいたと思うの」

NOVA「おお。それが記念すべきFFの記憶喪失キャラ1号になるか。まあ、主人公ではFF6のティナ、FF7クラウドFF8のスコール、FF10ティーダと記憶喪失の系譜がどんどん引き継がれて行くが。プレイヤーの分身にして視点キャラであるべき主人公でさえも記憶喪失で、叙述トリック的に見えているものや考えていることが信用できず、どんでん返しが起こるのがこの時期の作風っぽいな。今もそうなのかは知らんが、スコールおよびFF8のプレイヤーキャラの多くはGFの影響で自分たちが記憶喪失だってことさえ気付いていなかったというのが、なかなか酷い物語だ。記憶さえ幻想だって話になって行ったりするからな」

晶華「記憶喪失って安易なキャラ設定だと思うの」

NOVA「キャラ設定を後付けでサプライズに変えることができるからな。『◯◯だと思ったら、実は△△だった』という類型を簡単に構築できるし、この◯◯と△△にテキトーな単語を入れたら、それだけで短編の1エピソードぐらいは作れる。逆に、そういう捻りも何もなく、主人公が最初から全部分かっているような体で書いている小説家は、ストーリー構築の才能がないというか、何かの引き写しをしただけで創作した気になっている浅はかさだと思うな」

翔花「捻りがないってのは、『ゴブリン退治を引き受けて、洞窟に入って、ゴブリンを退治して終わり』って感じのシナリオ?」

NOVA「ゲームシナリオだったら、戦闘しているだけで楽しめるプレイヤーだと、それでも成り立つんだ。ストーリーは単純でも、複数プレイヤーの掛け合い会話だけで楽しめたりするんだが、気の利いたゲームマスターだったら仕掛けを用意するだろう? 『ゴブリン退治だと思ったら、実はゴブリンに化けたタヌキだった』とか、『ゴブリン退治だと思ったら、実は冒険者を誘き寄せる罠が用意されていて、蛮族の奴隷狩りに巻き込まれた一行は何とか脱出を果たさないといけない』とか、『実は……』の後をあれこれ考えるのが、創作脳だと思う。王道ストレートに勢いよく突き進むのもありだけど、それだけだと芸がない」

晶華「FF8は芸達者?」

NOVA「そうだな。『悪い魔女だと思ったら、実は自分たちを養育してくれた孤児院の優しい養母さんだった』とか、『校長先生だと思ったら、実は魔女の元旦那で、自分たちの孤児院の養父だった』とか、そういう人間関係で重要な設定を、『GFの副作用で、関係者は全員忘れていました』って展開にするから、サプライズとは言え、なかなか酷い。つまり、キャラクターの立ち位置の前提が大きく崩れるんだからな」

翔花「『やけに親しげに絡んでくるウザいロボットだと思ったら、実はヒーロー好きの親友が戦死した後、過去に時空転移して転生した存在だった』ってストーリーは?」

NOVA「勇気爆発で面白かったよな」

晶華「『空想上の精霊少女だと思ったら、実は未来の女王がこの時代に時空交信して、この時代のゲーム文化を研究していた』ってのは?」

NOVA「俺、どんな電波を未来から受けとっているんだよ!? って気になる。……実はそうなのか?」

晶華「私の言葉は、半分が妄言よ」

NOVA「俺のセリフをラーニングしやがって。他人に使われると、結構ウザいということがよく分かった(苦笑)。まあ、とにかく、この『実は……』の部分が、そのストーリーの肝になっていて、そこが本当に面白いのか、それを素直に受容できるように伏線なんかをどう整えるのか、いろいろな作品で研究しながら、自分の創作プロットを見直してみるのが、いい練習になると思う」

晶華「で、FF8の場合は?」

NOVA「いくら何でも、集団記憶喪失を発症している若年性痴呆症ぞろいのプレイヤーパーティーってヤバくない!? って呆れたな。GF依存症って、ヤク中と変わらないジャン、とか」

 

NOVA「で、本作はGFがゲームシステムの要であり、ストーリーギミックである記憶障害を引き起こすように設定されていたんだが(前作でもマテリア中毒、魔晄中毒という言葉があったが、その発展形)、登場人物の一人が記憶喪失ならともかく、主要キャラのほぼ全員が患っているという不安定さが、若者たちの不安定な情操にうまくマッチしていたのかもしれないし、ゲームにそこまでのめり込まない娯楽、気晴らしぐらいに考えるライトユーザーは鬱なストーリーを楽しまないし、逆に俺みたいに過剰に入れ込む気質の人間は、これはヤバい(頭がおかしくなりかねん)と距離を置くタイプの作品なんだ」

晶華「ああ、合う合わないって、そういう気質の問題もあるわけか」

NOVA「システムが難解で理解できないというのが多くのライトユーザーの見解ということだが、理解したからこそ、自分にはつまらない、自分に合うものじゃないと悟った人間も中にはいるってことだな。これは後で一時代を築いた『モンスターハンター』(2004)にも言えることなんだが、アクション要素云々はさておき、キャラクターを鍛えるのではなく、武器を鍛えるシステムだと聞いて、自分には合わないと関心をなくした」

翔花「ふ〜ん、NOVAちゃんは自キャラを育成するシステムじゃないと、受けつけないんだ」

NOVA「ゼロ年代前半ぐらいはな。まあ、後から違う考え方もできるようになったけど。武器やアイテムを鍛えることは錬金術の流れなんだとか、素材を集めてアイテムクリエイションするシステムは、97年ぐらいから、ウルティマオンラインの生産スキルや、アトリエシリーズの流れでゼロ年代のトレンドとして、モンスターによる代理バトルと並んで成長していくことになる。戦士や魔法使いみたいな冒険者ではなく、ものづくり職人や、表舞台に立つ者を応援するサポート役(トレーナー、プロデューサー、艦隊司令、調教師などなど)が主人公のゲーム物語の萌芽と言ってもいいかも」

晶華「冒険者が現役引退して、冒険者ギルドの長として若い者をサポートするようなものね」

NOVA「マネージメントを楽しむゲームだな。多分にシミュレーションゲーム的というか、GFを中心に『素材を利用してアイテム生成工場みたいな役割』『指揮役の主人公たちのために戦闘してくれる代理戦闘キャラみたいな役割(コレクション目的にもなる)』の要素まで意欲的に取り込もうとしたんだけど、従来のRPG要素とは齟齬を起こしたのがFF8といえる。斬新は斬新なんだけど、従来の良さとは噛み合わせが悪くて不整合を起こしたという結論」

 

愛は究極の幻想(Love is FINAL FANTASY

 

NOVA「次に、本作のドラマ面の売り要素である、主人公のスコールとヒロインのリノアのラブロマンスだが、美麗なCGを活用して集客効果としては抜群じゃないかな」

晶華「そこは否定しないんだね」

NOVA「俺は、昔からラブコメは苦手だが、ラブロマンスは否定していないぞ。愛は美しい幻想として、芸術だとも思っているからな。互いを思いやることで、己を磨き上げる原動力にするとか、人に優しく接することができるとか、あるいは悲劇を盛り立てるためのスパイスになるとか、ギリシャ悲劇的な文学史の愛は大学でも講義を受けたぐらいだ」

翔花「意外ね」

NOVA「ただ、コミックでネタにされるようなラブコメディはどうもな。要するに未成熟な軽々しいドタバタ作劇な恋愛ギャグめいた要素は、愛を茶化すなって感覚になっていた時期があった。あと、愛が全ての奇跡を起こす的な恋愛至上主義めいた考えは性に合わんとか、そんなところだ。愛は癒しじゃなくて、破壊エネルギーだと考えるわけで」

翔花「人を癒す愛もあるんじゃない?」

NOVA「俺にはない。主観の相違って奴だな。愛といえば、石破ラブラブ天驚拳だし、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に落ちるのが愛だ。つまり、愛をゲットするには、エゴで排他的になり、自分たちの世界を構築するほどの激しさが必要。己の愛に現を抜かす人間は、他人に対する優しさが減退して視野が狭くなる副作用が確認される」

晶華「NOVAちゃんの恋愛観って偏っているわね」

NOVA「まあ、癒し系の愛も分からなくはないが、それって神さま的な博愛精神なんだよね。FF7のエアリス的な。人の特定個人に向けられる恋愛感情とは意味が違う。誰かのことを想う愛は、他の人間がアウト・オブ眼中になるし、嫉妬で目が狂うこともあるし、故人曰く『愛(恋)は盲目』で、そんな理性の喪失した人間の描く物語はまともなプロットを構築できなければ、つまらない代物にしかならないという経験則だ」

翔花「じゃあ、ラブコメのメソッドと、ラブロマンスのメソッドには違いがあるの?」

NOVA「当然あるが、一言でいえば、ラブコメは浮気を肯定し、ラブロマンスは浮気を否定する。もちろん、例外を探すことは可能だが、コメディゆえのフワフワした感情がラブコメで、当人は恋愛に自覚的でないケースも多い。一方、ラブロマンスは邪魔する者はいても、基本は1対1。例えば、FF8はラブコメではなくて、ラブロマンスに分類されるだろうな。ラブコメは嫉妬心ゆえの一方的な感情の暴発もありだが、ラブロマンスはメインの男女が互いにそういう奴当たり的な攻撃はしない(嫉妬するのは、メイン男女に横恋慕する外野である)」

翔花「つまり、同じ恋愛テーマを扱っていても、方向性が違うわけね」

NOVA「ラブロマンスは美しい芸術作品になるが、ラブコメは楽しい娯楽作品で、客層が違うんだよ。まあ、そうきれいに厳密に仕切れないケースもあるが、ラブコメで大事なのは、複数の女子キャラを描き分ける多様性で、ラブロマンスの方は一人のヒロインへの作者サイドの過剰な思い入れになるかな。例えば、ロミジュリでジュリエット以外の女性キャラ(例えば、元カノにしてジュリエットの従姉妹のロザライン)にロミオが目移りしたら、ラブロマンスがラブコメに転がってしまう」

 

晶華「つまり、エアリスとティファの2人がいる時期のFF7はラブコメで、エアリス死後からラブロマンスに切り替わった。一方、FF8は主人公のスコールがリノア以外のヒロイン(キスティスやセルフィ)に目移りすることはないので、ラブロマンスになる……という分析でいい?」

NOVA「ついでにFF4のセシルも、リディアに走ったりはしないでローザ一途なので、ラブロマンスだな。そして、ローザに横恋慕するカインもいるし、恋愛劇としては完璧だ」

翔花「FF6は?」

NOVA「主人公格のロックが昔の恋人レイチェルを守ることができずに死なせてしまった過去のトラウマがあるから、女性キャラに思わず『守ってやる』と言ってしまう設定があるために、ティナとセリスの両ヒロインに想いを寄せられる的な展開だが、結局、ティナは幻獣ハーフゆえの人の気持ちの乏しさから家族的な情愛を知る流れになるので、ロックへの恋愛に至るのはセリスの方という結末だな。ロックがレイチェルへの想いをフェニックスイベントで過去に昇華して、最終的にセリスの想いを受け入れるエンディングはBGMでの2人のテーマの絡みもあって秀逸だった」

晶華「『戦うトレンディドラマ』のFF4、『心のトラウマを愛で癒す』FF6といったところね」

NOVA「そして、FF7は『心が壊れた主人公』が愛で本当の自分を取り戻すストーリーで、FF8はその発展形で『心が壊れた男女』が互いの愛で本当の自分を取り戻すストーリーと言うことができる」

翔花「記憶欠損のスコール君だけでなく、ヒロインのリノアさんも心が壊れているわけ?」

NOVA「父親への反抗心ってのもあったんだが、それよりも重要なのは、『ラスボスの魔女アルティミシアの器に選ばれて、憑依されてしまう』ことだな。この憑依の仕組みがGFのジャンクションと同じで、記憶と魔力を上書きし、操り人形に変えてしまうんだ」

晶華「ええと、アルティミシア……って未来世界の魔女って話よね。そんなのに時空を超えてジャンクションされちゃったわけ? 心が壊れるのも納得よね。私だって壊れるわ」

NOVA「お前も未来に飛ばされて大変だった時期があるからな。とにかく、壊れた心を癒すのが男女の愛って話だ」

晶華「それは……経験者として分かる気がする」

NOVA「経験者? お前が? いつ?」

晶華「忘れたの? NOVAちゃんが昔、吸血症に苦しむ私を救ってくれたじゃない!?」

NOVA「すまん。GFの副作用で、その記憶は俺にはない」

晶華「嘘つき。本当は覚えている癖に」

NOVA「ああ、あの時、示した娘への想いが愛って感情なのか? 今、初めて知った」

晶華「もしかして、無自覚だった?」

NOVA「……たぶん、ドラマか何かで見た、『こういうとき、娘を想う父親なら、どういう行動を起こすのが正解か、パターン認識でとっさに行動に移ったか、セリフが出た』のが正解だと思うんだよ。つまり、誰かの言動をなぞった。そういうのを愛と言っていいのか?」

翔花「つまり、自分が愛だと思うセリフと行動をとっさに、無意識に示したってこと?」

NOVA「ああ、作品名は分からんが、たぶん、自分の中の愛情表現ボックスというのがあって、それがパッカリ開いたんだな。あるいは、どこかで愛情スイッチが押されたか」

晶華「もしかすると、それがFF8なのかもしれないわね。スコールさんのリノアさんに対する行動がNOVAちゃんの無意識にインプットされたとか?」

NOVA「……それよりは、『仮面ライダーカブト』の映画の方が正解かもしれんがな」

晶華「まあ、いいわ。私が愛を感じたんだから、それは私の愛。誰にも幻想だなんて言わせはしない」

翔花「いいなあ。わたしだって、そんな愛を感じたいし」

晶華「忘れたの? お姉ちゃんが屋久島から帰って来るときとか、妖精郷に閉じ込められたときとか、NOVAちゃん、必死にお姉ちゃんを取り戻そうと頑張ってくれてたよ」

翔花「そう言われてみれば、そんな気がする。ありがとう、NOVAちゃん」

NOVA「いや、俺は楽しく記事書きしてただけだがな。もちろん、夢中になって、お前を取り戻す物語を脳内にイメージしながら、ストーリーをつづっていたが」

晶華「ストーリーテラーの愛ってそういうものかもね。誰かを助ける物語を頑張って描くことが」

NOVA「まあ、愛着のないキャラとか、つまらないと感じるキャラはわざわざ救いたいとも思わんが。そういうのも愛というなら、愛なんだろうな。まあ、物語で愛を描くには、FFの場合、悲劇とか試練に直面させ、場合によっては『心を壊すようなトラウマ』さえ見せつける。そのうえで、壊れた心が修復されるきっかけを描けば、それが至高の愛に見えるってところか」

晶華「愛のドラマを描くために、仕込みとして登場人物の心を壊す展開を用意するってこと?」

NOVA「作りとしては、最高の甘さを味わってもらうために、激辛シーンを味わせる手法だな。スイカに塩をかけるようなものか」

翔花「心を壊すドラマを、スイカの塩に例えないで🍉🧂☠️」

NOVA「まあ、鬱々とした展開の末に救いがあると、神の奇跡のように感じる演出も定番だからな。ただ、単にゲームを楽しみたいだけなのに、そんな鬱々としたドラマを見せられて、感動を味わえと押しつけられるのも、イヤなんだよね。何事にもさじ加減ってものがある。心が壊れる主人公ってのは、何度も見たいものではない」

晶華「FF8のドラマは、NOVAちゃんの見たいものではなかった、と」

 

子供たちと大人の物語

 

NOVA「FF8が俺には合わなかった理由を、もう一つ挙げるなら、傭兵学校の学園ドラマって設定だったせいで、メインキャラが全員10代の若者だった点だ。主人公をはじめ皆が皆17歳で、一人年上のキスティス先生も17歳で教師資格を得た秀才で、18歳設定。俺が感情移入しやすい大人がパーティーには一人もいなかったんだよ」

翔花「一人も?」

NOVA「いや、皆無というわけじゃないんだけどな。実はスコールの心に、時々、別の記憶がインサートされる」

NOVA「FF8では、メインのスコール編よりも、サブのラグナ編の方を主に楽しんでいたのが俺の思い出だ。やっぱり、大人が感情移入して学園ドラマを楽しむには、自分が感情移入できる年齢層の大人キャラが必要なんだよ。ジュブナイルで、子どもの物語を楽しむこともできなくはないが、どうしても目線が年上目線になってしまい、悪い大人が敵役として出たら、そちらに感情移入して応援したくなる。子どもたちに読み聞かせるならともかく、大人の出ない子どもだけの物語は、自分向きの話じゃないと思ってしまうな」

翔花「体は子ども、心は大人ってのは?」

NOVA「ビジュアル主体のコミックやアニメはいいが、問題は文章で表現する小説の方だな。まあ、先にアニメなどで推しキャラができている物語のノベライズなら、普通に楽しめるけど、それでも大人キャラが登場して、未熟な少年少女に諭すようなシーンが描かれていると安心する」

晶華「ファンタジー世界での10代は、現代社会の学生さんよりも精神年齢的に成熟しているから」

NOVA「確かに、冒険者として仕事しているような若者は、新米でも社会人と言えるか。もちろん、ベテランの先輩との交流が描かれていて、コミュニケーションが成立していれば問題ない。事件を解決するのは若者でも、それをバックアップする大人が描かれていれば、大人目線で若者の活躍をいっしょに応援できるわけで」

翔花「大人に反抗的な子どもの話は?」

NOVA「痛い目にあうことを期待する」

晶華「大人気なさすぎ」

NOVA「いや、痛い目にあって、大人が語ったアドバイスを思い出して、事件解決するんだよ。そして、反抗的だった子どもが少しは大人を見直したりする。ずっと、大人と子どもの乖離が描かれてギスギスしたまま終わる話が楽しいかって言われると、雨降って地固まるのがベストだ。しかし、未熟な子どもがのぼせ上がる結末はよろしくない。バカなことをした子どもは痛い目にあって反省すべきだし、それでこそ心の成長が描かれて、いい話だと大人の読者は納得する。まあ、ダメな大人や、無能な大人しかいない世界だと、子どもがしっかりしないといけないんだけど、学園ドラマでそういうのはリアリティに欠けないか?」

翔花「大人がみんな死んじゃって、子どもしかいないってのは?」

NOVA「昔のガンダムホワイトベースとか、ZZのシャングリラチームだな。その場合も、補給部隊とかバックアップ役として、いい大人と悪い大人がそれぞれ配置されるとリアルを感じる。まあ、FF8はラグナ編の背景ストーリー(大体、17年前)を読み解くのが楽しいとは言えた。ラグナはスコールの父親で、過去と現在と未来の交錯したストーリーなんだな、FF8は。ゲーム本編だけだと、なかなか分かりにくいけど」

晶華「ややこしい物語構造だけど、全体を通せば、『父子2代の愛と記憶の物語』『時空改変を目論む未来の魔女と、それを防ぐために戦う若者たちの物語』となって、割とNOVAちゃん好みの時間マルチバース話に結実していない?」

NOVA「そうなんだ。だから、当ブログ的にも通じた要素はあるわけで、ファンじゃないのに無意識のうちに受けた影響はあるのかな、と。あと、この時空改変要素は、今のFF7Rにも通じているような気がする。セフィロスが未来の魔女アルティミシアの立ち位置で、エアリスが時空の記憶をつなげる能力を持ったエルオーネ(ラグナの養女となる)の立ち位置かな、と改めて思った」

翔花「現在のスタッフのアイデア元の一つかもしれないわね。もしかして、エルオーネさんって、主人公のスコールさんの義理のお姉さんになる?」

NOVA「そうなるな。また、魔女の器として狙われたのを隠れ暮らしていたのを、魔女の器の役割はリノアが引き継いでしまったために、ヒロインとも間接的なつながりが成立する。ある意味、こちらがパーティーに加わってくれた方が面白かったのでは? とも思うわけだ」

晶華「メインヒロインのリノアさんよりも、NPCのエルオーネさんの方がNOVAちゃんのツボ、と」

NOVA「魔女の器として狙われた主人公の姉。主人公は行方不明の姉を探し求めながら戦いに身を投じ……って物語だと、今のシンカリオンにも通じて、子どもにも分かりやすい話になるんだけど、サプライズ展開を重視するあまり、記憶喪失と2つの視点のザッピング(視点切り替えの意。ゲームで複層構造の物語を描くために用いられる。98年の『バイオハザード2』なんかの影響もある?)で話をややこしくしたり、GFのジャンクションシステムが物語の根幹にも関わっていて、いろいろな要素が密接に絡み合っている。全てを読み解ければ、非常に完成度が高い作品なんだけど、手軽に楽しめるゲームとは言い難いよな」

翔花「インターネットによる解説が普及していれば、もっと違う反応が得られたかもね」

NOVA「99年だからインターネットは既にあったんだけど、それが当時のFF8の攻略感想にどれだけ影響を与えたかは不明だな。俺がネットを始めたのは2000年に入ってからだし、その頃にはFF9ドラクエ7が登場していたから、FF8が話題として旬の時代は短かったと思う」

晶華「今みたいに次作が登場するまで、3年から4年はかかる時代じゃなかったってことね」

NOVA「時間は加速しているのに、ゲーム開発が遅延しているのは矛盾しているようにも思えるが、容量が増えたことで開発時間がかかるようになっているのだから仕方ないのかな。簡単なアプリゲームや旧作リメイク版の発売で場つなぎする一方で(収益もそれらとオンラインで賄う)、大作に時間をかけるのが今の時代のビジネススタイルか」

晶華「そして、10年、20年というタイムスパンで旧作懐古を始めて続編なんかを出すとか?」

NOVA「俺的には、ラグナメインやエルオーネ視点で再構成されたFF8のアナザーバージョンが追加シナリオで出たりすると、改めて食指が動くかもしれないな。ラグナの陽性キャラはプレイしていて楽しいだろうし、ガンダムSEEDよりも外伝のアストレイの方が面白いと感じた人間だから」

翔花「もしかして、SEEDってタイトルも、FF8の主人公たちが所属する傭兵組織から取ってる?」

NOVA「それはどうか知らんが、2002年に『ガンダムSEED』が始まったときは、ほとんどの人間が『FF8のパクリかよ』と思ったり、『SEEDガンダムがいずれ出るに違いない』と思ったりしたもんだ。まあ、『Strike+Freedomで合わせてSEEDかな』と語呂合わせ考察をしていたのも懐かしい」

晶華「リアルタイムに経験したことでつながる歴史の記憶や伝承ってあるのね」

NOVA「失われた記憶ってものもたくさんあるだろうけどな。記録にも残らなければ、後から新世代の若者によって勝手に書き換えられたりもして、美化された歴史あるいは下手に解釈されて歪んだ歴史になっていき、真実が埋没したり、考古学者が後から発掘したりすることも、たったの1世代も経たずに見られるのが情報社会のデジタル文化史かもしれん」

晶華「そして、作品愛のある魔術師さんが失われた記憶を紡ぐ物語がFF8ってことね」

NOVA「だから、俺はFF8に対して、作品愛はそれほどないんだって。ファンじゃないんだし」

翔花「これだけ語っておきながら、ファンじゃないって言ってもね〜」

(当記事 完)