Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

続・最後のPS時代のFF話(FF9その他)

まさか2記事に渡るとは

 

NOVA「前回に続いて、FF9話を掘り下げることになった」

晶華「前回は、原点回帰というテーマ性に隠れた『21世紀に向けての多様なFFシリーズ展開への入り口』という歴史的意義や、植松音楽の系譜、そして主人公ジタンさんのキャラ性や、盗賊キャラへの掘り下げなんかを話したわね」

NOVA「やはり根底にあるテイストが、宮崎駿監督の『未来少年コナン』『カリオストロの城』『天空の城ラピュタ』や、鳥山さんの『ドラゴンボール』みたいな王道冒険物語に通じるんだよ。それらの主人公少年たち(およびルパンのおじさま)を足して割ったような陽性主人公が、カゴの中のお姫さまを助けるボーイ・ミーツ・ガール感の一方で、不器用なスタイナーとベアトリクスの古風なおっさんと美女の関係性も大人的な萌え要素だったりする。スタイナーはイケメンキャラじゃなく、コミカルに描かれているせいか、あまり人気があるとは思えないが、ビビとの魔法剣コンビぶりとか、主人公の引き立て役として立派なバイプレイヤーだと思うんだな」

翔花「いろいろと掘り下げて語りたいみたいね」

NOVA「予定よりも長引いているが、よろしく頼む。ファイナルファンタジーシリーズについて、ここまで延々と掘り下げた懐古話をする機会も、今後はそうそうないと思うしな。語りたいところは、語り尽くしておきたい。なお、本記事までの資料は俺の記憶のほかに、この書籍だ」

晶華「FF10までのシリーズ懐古本みたいね。それ以降はこれがいいかしら」

NOVA「25周年本は持ってない辺り、その辺ではシリーズへの興味が薄れていたんだなあ。その後、30周年本は出てなさそうで、今は37周年になるだろうから、40周年のときにまた何かの祭りになるかなあ」

翔花「その時には、FF7Rの物語も完結しているといいわね」

 

FF9の多元世界観

 

NOVA「さて、キャラクタードラマを中心に話しがちで、世界観はざっと原点回帰のファンタジーとしか語っていないので、もう少し掘り下げてみよう。FF9の世界は、ガイアとテラ、2つの地球が背景にある」

翔花「ガイア様とテラ様、2つの女神がいるのかしら?」

NOVA「女神はいなかったと思うがな。ええと、ガイアがFF9の現在の世界に当たり、テラは失われた古代の異星文明に当たるか。言葉としては、ガイアがギリシャ語で、テラがローマのラテン語由来だから、ガイアの方が古いと思うんだが、FF9のガイアの方が自然豊かな遅れた文明で、テラの方は先進的ながら滅亡しそうなためにガイアにこっそり侵略していたって背景が終盤に語られる」

翔花「つまり、テラの方が悪役ってこと?」

NOVA「悪役と単純に考えていいのかは分からんが、ガイアから見れば、テラは世界が寿命を迎えたので移民に来た連中なんだな。しかし、自分たちの文明の方が優れていると考えるテラ人は、遅れたガイア人との共存よりも、ガイア人を戦争で自滅させて、後からガイアの根幹を為すクリスタルをテラのクリスタルに塗り替えて、ガイアのテラ化計画を企てた。ガイア人の魂を世界から放逐して、純粋なテラ人の魂だけの理想郷をガイアという世界の器に構築しようって壮大な計画だ」

晶華「魂とか器とか、そういうレベルで生物や世界を操作できる文明ってことね、テラは」

NOVA「具体的に言うなら、日本という国に外国人が移民で入って来て、日本文化を根絶やしにして、日本に自分たちの理想郷を構築して……って書くと、完全に侵略行為だな。ただ侵略の手段として、直接の武力行使という野蛮な手段ではなくて、生き物を好戦的にさせる『魔力の霧』を生み出して、大陸中にばら撒いた。その霧がモンスターを生み出す原因になったり、大陸にあった三国家(アレクサンドリア、リンドブルム、ブルメシア)の戦争の要因になったりしている」

翔花「直接攻撃ではなくて、化学兵器を用いて間接的に滅びを誘発するなんて、卑怯な連中! そんな奴ら、滅びてしまうといい」

NOVA「じっさい、ほとんど滅びているようなものだけどな。テラ人が作った人造生命体ジェノムの最古老リーダーであるガーランドが、眠れるテラ人の魂を蘇らせる器作りとしてガイア乗っ取り計画を遂行しているという話で、そのための手駒としてジタンや兄のクジャ、妹のミコトを創造したことになっている」

翔花「ああ、敵ボスが主人公を創造主みたいに生み出したってこと?」

NOVA「しかし、ジタンは、自分より優秀な弟に嫉妬した兄クジャによって捨てられて、ガイア人の中で育てられる。結局、ガーランドから失敗作と見下されたクジャが、ガイア人滅亡計画の主導者として送り込まれ、ジタンとの因縁の対決を展開することになったんだ。そういう背景をジタンは全く何も知らず、終盤でいろいろと打ち明かされたときも、多少は動揺しつつも『そんなの関係ねえ』とばかりに現在の自分を肯定する。

「結局、ガーランドは反旗を翻したクジャに倒され、クジャがラスボスになるかと思いきや、ジタンに敗れたクジャの絶望の念が形となった『永遠の闇』がラスボスになって、それまで散々悪事を働いてきたクジャは解放される。ジタンは兄クジャの命を助けて、兄弟の因縁もこれで終了。ジタン自身は怨念とか過去への執着を解放し、他人を赦す器の大きさを示すんだな。非常に格好いい出来すぎな主人公だ」

晶華「テラ人の魂はどうなったの?」

NOVA「自暴自棄になったクジャの手で、ガイア地球の内部に裏世界として存在していたテラごと、完全に滅ぼされる。もう、物語ギミックとしては、『ややこしい過去の諸々は全部クジャが罪をかぶって滅ぼしてくれた』から、後はクジャに天罰が降りかかって、それをジタンが赦したら、きれいに大団円を迎えるよね、と。もう、ジタン自身には暗い罪を背負わせない作劇で一貫している。ここまで熱い綺麗事だけで駆け抜けて全くブレなかったヒーローも、悩み多き主人公の多いFFではむしろ珍しい。劇中人物がみんなジタンに感化されるのも分かるってものだ」

翔花「で、そんなジタンさんと対極の敵役ダークヒーローがクジャさんね」

NOVA「俺にはクジャの魅力が語れそうにないが、世の中にはクジャ好きな層もいるんだなあ、と知ったのは、ネット世界ならではの発見だ。ゴルベーザみたいな重厚硬派なダーク兄キャラ(こっちは好き)と並べて、対比させると新たな魅力を感じるのかもしれないが」

 

ガーネットとエーコ、召喚士の系譜

 

NOVA「FF9では、メインヒロインのガーネットと、幼女枠のエーコ、2人の召喚士が登場して、どちらをメインに使うか論争も聞かれた」

晶華「王道ダメージ役がガーネットさんで、少しトリッキーな召喚獣を使うのがエーコちゃんと言ったところかしら」

NOVA「近年のリマスターなどで、声がついたことで声優ファンの推しも出るかもしれないな。ガーネットは能登さんかあ」

翔花「ドンブラの、ムラサメ君のマザー役ね。結局、その正体は謎のままだったけど」

NOVA「もしかすると、ムラサメの制御AIに仕込まれた学習補助プログラムなのかもしれないな、マザーの正体は。どうもムラサメしか認識していないようでもあるし、人間で言えば、脳内に信仰対象である神や仏の人格を設けているような」

晶華「ああ。現実にはいないかもしれないけど、自分を制御する良心や行動動機の象徴みたいな空想的存在……と言っていいのかな?」

NOVA「まあ、妄想とまでは言わないが、人は幼少期からの両親や教師、先輩や作品キャラや創作家、歴史上の偉人など憧れの対象、推し、モデルケースその他の存在から、いろいろ学び、影響を受けるだろう? 例えば、俺の尊敬する偉人に坂本龍馬宮本武蔵なんかがいるが、そういう人物の言葉や生き方を模倣したくなるときもあるし、マネでなくても参考にしながら、自分の生き方のモデル、人格構築の糧にするだろう? もちろん、100%のコピーは無理だし、一部は幻想交じりの憧れになっていたりもするだろうが、そういう規範意識の象徴がムラサメにとってのマザーかもしれん……と今、思いついた」

晶華「能登麻美子さんから、そこまで妄想を広げられるのがNOVAちゃんの長所であり、欠点ね」

NOVA「ああ、外付け軌道修正回路がないと、どこまで寄り道するか分からん。ええと、一方でエーコ役の金元寿子さんは何のキャラを知っているかな?」

翔花「キュアピース!」

NOVA「なるほど。あと、オルフェンズのヒロインの1人、アトラか。近年のセーラーマーキュリー役なのも知らなかった」

晶華「声優話はさておき、キャラとしてはどうなの? どっちも白魔法の使える召喚士で、ゲームのキャラ性能としては完全に被ってるんですけど?」

NOVA「ガーネットは回復役として貴重だけど、イベントでパーティから外れるシーンがそこそこあるからな。その代役的な立ち位置がエーコということになる。FF5〜8までだとジョブチェンジやら魔石やマテリアやらを駆使して、アビリティや魔法の使用キャラをプレイヤーが自由にカスタマイズすることが普通にできたので、メインの回復役をストーリーの局面に応じて切り替えることは容易だった。それが困難なFFは1と4だけで、白魔道士的なジョブはほぼパーティに必須だろう」

翔花「ドラクエだと、主人公は生粋戦士の2以外、ほぼ確実にホイミを覚えて、パーティに回復魔法の使い手が一人もいないという局面は、ほぼないもんね」

NOVA「4の1章のライアンはホイミンが付いてくるし、3章のトルネコぐらいか。まあ、彼の章は敵が強くないし、防御力も高いからダメージもあまりくらわないし、薬草だけでHP回復はまかなえるわけで」

晶華「ゲームバランスの問題で、回復役は必須。でも、メインヒロインのガーネットさんはイベント離脱があるので、代役のサブヒロインのエーコちゃんが必要、と」

NOVA「似たケースだと、FF4でメインヒロインのローザ加入前は幼女リディアが白魔法を使えるし、ローザの一時離脱時は幼女ポロムや賢者テラが回復役になれる。また主人公のセシルがパラディンとして回復魔法も使えるな」

晶華「ゾットの塔だと、セシルさんやテラさんだけだと回復が追いつかないので、ポーションとかハイポーションをいっぱい購入して進めるのがいいらしいけどね」

翔花「メインヒロインの回復代行役は、必ず幼子という法則でもあるのかしら?」

NOVA「主人公とメインヒロインの恋愛ドラマがメインの場合、代役サブヒロインが幼子じゃないと、三角関係になりそうで、ドラマの主題がブレちゃうからじゃないか? セシルがリディアに手を出したり、ジタンがエーコと恋仲になるのは、仮にそれを願うプレイヤーがいたとしても、4や9の本編ストーリーでは興醒めだ。主人公の三角関係は別の作品で妄想するのが望ましい」

晶華「まあ、ローザさんは親友のカインに任せて、セシルさんはリディアちゃんと引っ付かせるというIFもありだけど?」

NOVA「だったら、エッジは?」

晶華「5人パーティだと、1人あぶれるのが問題ね」

NOVA「ともかく、ただでさえ、セシルーローザーカインの三角関係でややこしいんだ。そこにリディアを巻き込ませると大変だからな。ティナーロックーセリスや、ティファークラウドーエアリスーザックスみたいなややこしい人間関係は、FF9に持ち込んで欲しくない」

晶華「でも、ガーネットージタンーエーコの三角関係が見られるんでしょ?」

NOVA「エーコの場合は、ジタンに恋したというよりも、友だちが欲しいとか、お芝居のような恋愛劇に憧れてるとかそっちだろう? だから、ジタンとガーネットの恋愛劇にも素直に応援できたわけで、恋に恋する段階ってことだ」

晶華「ジタンは憧れのお兄さんではあっても、恋ではないってこと?」

NOVA「少女マンガ的なパターンだと、優しいお兄さんと憎まれ口を叩きがちなムカつく男子(でも気になる)の天秤に揺れる主人公ヒロインは定番だと思うが、今はどうなってるのかよく知らん」

翔花「プリキュアだと、サポート役の男子が時々登場してるけど、彼が他の男友だちと仲良くしてる光景が描かれないのよね。プリキュア以外に友だちがいないのかしら? と言いたくなってしまう」

NOVA「悟くんの悪口はやめるんだ。有能サポーターとして結構、感情移入してるんだからさ。そういうツッコミを入れるなら、ブンブンジャーの調女史だって、同性の友人がいそうに見えないんだが、未来ちゃんとのWヒロイン回が早く来ないかなあ」

晶華「そうね。悟くんは貴重な有能メガネ男子枠なので、悪口禁止。それより、友だちがいなさそうなのは、まゆちゃんよ。早くキュアリリアンに変身しないかしら?」

NOVA「声がグリッドマンの新条アカネだからな。プリキュアに変身するまでは、これで間に合わせておけ」

翔花「どんどん話が脱線しているね」

NOVA「いや、アカネちゃんに至って、戻って来た感じだろう? 彼女だって怪獣召喚士なんだから、幻獣召喚士のガーネットやエーコの話につなげられる。では、ここでFF召喚士の系譜をおさらいしよう」

 

  • FF3:初の召喚魔法登場。使用ジョブは幻術士と魔界幻士の2職。幻術士は白黒2種の召喚獣をランダムに呼び出し、魔界幻士は白黒融合した召喚獣による強力な範囲攻撃を使用できる。
  • FF4:召喚士と呼称されるジョブは、リディアが初。幼いときは限定的な白魔法と黒魔法、そしてチョコボを召喚可能。成長後は白魔法が使えなくなるけど、全ての黒魔法と召喚魔法を使いこなす攻撃呪文のエキスパートになる。カワイイ。
  • FF5ジョブチェンジで誰でも召喚士になれる。物語面では、3人いるヒロインのいずれもが竜系のモンスターと心を通わせることができて、その絆の力で死後も召喚獣となって力を貸してくれるイベントあり。
  • FF6:魔石を装備することで誰でも召喚士になれる(コマンド入力できないバーサーク雪男のウーマロを除く)。物語面では、幻獣ハーフの少女ティナが召喚獣のドラマの中心。
  • FF7:召喚マテリアで誰でも召喚士になれる。物語面での重要度は前後作に比べて大きくないが、PSで進化した映像表現で派手な演出がますます加速した。
  • FF8:ガーディアンフォース(GF)と呼ばれ、ゲームシステムや物語で非常に重要な役割を果たす。全員がジャンクションで召喚士になれるが、契約に当たって記憶障害を引き起こすというデメリットが示され、時間と記憶にまつわるストーリーギミックとして非常に印象的だった。後にタイムレンジャー仮面ライダー電王、また仮面ライダーバイスなどに通じるドラマの先駆けかもしれないが、それらの番組の放送時に本作を思い出さなかったのは、やはりGFの記憶喪失の副作用をNOVA自身が受けていたからだろうか。
  • FF9:召喚士というジョブにスポットが当たり、誰でも使えるGFから、特別な人間にしか使えない特殊能力に戻った。ヒロインの出生の秘密にも関わる重要度を帯びているが、世界観としては『テラのガイア侵略に際して、召喚士の能力が邪魔だから昔、ガーランドの手で滅ぼされた一族』という意義づけしかなく、どうも人間社会において幻獣使いは滅ぼされるものというお約束があったらしい*1。幻獣メインの物語が描かれると、幻獣使いの召喚士一族は必ず不幸な目に合うというパターンは、しかし次作で改良された。なお、ガーネット、カワイイ。
  • FF10:自然と調和して生きるエボンの教えが浸透し、その中で召喚士が大変、尊敬された世界観。召喚士ヒロインのユウナがパーティ唯一の召喚士として、物語の中心になる。そのユウナの『文明を滅ぼす巨獣シン』退治の使命行に護衛のガード役として随行するパーティ、主人公のティーダは『1000年前の文明都市ザナルカンド』から、スピラと呼ばれる現在に迷い込み、ユウナの旅に同行することに。そして、シンの正体が行方不明の父親ジェクトであることを知って、これがユウナの物語であるとともに、自分自身の真実を突きつめる物語であることも知る。なお、ユウナ、すごくカワイイ。

 

翔花「というか、NOVAちゃん、ちゃっかりFF10まで貼りつけてない?」

NOVA「召喚士の話をするのに、FF10のことも語らなくてどうするんだ。まあ、ガーネットも可愛いが、ユウナはPS2の美麗なグラフィックと、和装っぽいコスチュームと相まって、すごく可愛いのは確かだ。俺の記憶では過去最高に美しいんじゃないか」

晶華「進化するビジュアルなのは確かね。でも、それ以降は?」

NOVA「12はプレイしたが、物語を最後までクリアしていないので、判断できない。以降は、そもそもプレイすらしていないので、動画をチラチラ見るだけで、感情移入もしていないからな。可愛いという判断は、外見だけでなく物語の中での健気さとか、情緒面なんかも含めてになるので、10のユウナまでしか断定しない。そりゃあ、FF12のアーシェも美人だとは思うけどな」

晶華「可愛いじゃなくて、凛々しいという方向性ね、アーシェさんは」

NOVA「FF13のライトニングさんも、美人だけど、可愛い系のキャラじゃないと思うしな。21世紀のFFは、健気だけど芯の強い、守りたい系の女性ではなく、男勝りの勝ち気系な女戦士の印象になった感じだ。フェミニズム対応のリーダーシップをとって戦う女性が主で、宮崎駿アニメ的には、コナンのラナや、ラピュタのシータよりも、主役を張るナウシカの方向性。まあ、ライトニングの妹のセラの方は可愛い系のヒロインになるのかな、と思うけど、第一印象だけでそう決めつけるのは良くないだろう」

翔花「アーシェさんやライトニングさんは、美女ではあるけど、美少女ではないってことね」

NOVA「CG映像が実写に近づくにつれて、デフォルメされた可愛い系ではなくて、頭身の高いリアル美女になる。そういう解像度になると、綺麗は分かるけど、可愛いかどうかはキャラ同士の関係性や演技の仕草とか、いろいろと見てみないと分からないのが事実なんだ。そもそも自分がプレイしていないゲームのキャラが可愛いかどうかなんて、下手に断言する奴の方が批評家として信用できないわけで」

晶華「では、話を切り替えて、召喚士については今、どうなってるの?」

NOVA「そういう職業は、オンラインのFF11や14以外では出なくなってるっぽいな。FF12では、全員が契約したものだけ使えるようだし、FF13では完全に1キャラ1つの召喚獣に対応している。言わば、仮面ライダー龍騎の契約モンスターみたいに、自分の象徴となっている召喚獣を相棒感覚で呼び出せるようになっているらしい。召喚獣が乗り物みたいに変形するのもそれっぽいし」

翔花「ゲームでのCGが特撮ヒーロー物に影響を与えているように、特撮ヒーローの設定がゲームに影響を与えることもあるわけね」

NOVA「作り手がそこまでストレートに影響を受けているかは推測の域を出ないけど、そういう時代性ごとの影響の授受を比較対照して考える意味は十分にあると思うな。外からの影響を完全遮断して、引きこもった作品作りをしているわけでない以上は、いろいろな方向から使える素材を研究しながら、上手く取り込めやしないかと意識するのはクリエイターとして当然だろうし、他からの設定要素を分析して、自己の作品世界に上手く整合させるやり方を見出すことも作り手の技だと考える」

晶華「とにかく、召喚士ヒロインは、今のところFF10のユウナさんが最後の花ってことね」

 

世紀を越えた物語世界観の変質

 

NOVA「ついでに、11以降のFFは10以前のFFと比べて大きな違いがある」

翔花「それは何?」

NOVA「世界の全てを探索するゲームではなくなり、ラストも世界を滅ぼそうとする敵と戦うゲームでもなくなった」

翔花「だったら、何と戦うのよ?」

NOVA「セカイ系ではなくなって、キャラ個人の、あるいはパーティ共通のドラマを完結するための最終的な障害としてのラスボスを倒すようになったわけだ。世界の敵だから倒すのではなくて、自分を含むみんなを苦しめたから倒すという視点でドラマが終結する。敵はいかに強大でも、世界全てを滅ぼそうとか、全世界を支配しようって壮大な意図は持っていないところがリアル志向になっている感じだ」

晶華「世界の範囲が狭くなった?」

NOVA「昔に比べると、一つか二つの大陸が舞台で、世界にはまだゲーム内で探索されていない未知の大陸がいろいろあるとか、TRPG的な一地域だけを舞台にして、好評なら新たな大陸とか違う舞台を用意して、その世界の物語を続けることも可能にしている構図だな」

翔花「ゲームで世界を描写する解像度が高まった分、昔みたいに大風呂敷を広げて、世界全ての危機だとか言わなくなったわけね、今のゲームは」

NOVA「ソシャゲなんかのマルチバース物では、そういうのもありかもしれないけど、FFのナンバリングでは限定された一地域のみを緻密に描写する物語に切り替わっているし、主人公と言えども、また賢者といえども、世界の全てを知悉する者などいないのがリアルってことになってる。例えるなら、FF7リメイクが大都市ミッドガルだけで物語を十分描ける作品として発売されたようなもの。90年代の物語視野と、平成後期の物語視野の違いってことだ」

晶華「リアルに考えるなら、物語を語るのに、いちいち世界を滅ぼす必要はないし、大きな世界単位で物事を考えなくても、自分の住んでいる国と周辺諸国の視野だけでも十分なお話が作れる、と」

NOVA「昭和ライダー平成ライダー1期、および2期の視野の違いだな。昭和ライダー『世界征服を狙う悪の秘密結社と戦った』が、平成ではそういう大上段なのがリアルでなくなったので『みんなの笑顔や居場所を守るため』という目の前の人を救う生活感を重視するのがリアルとなり、平成2期になると『一つの街や学園や狭い地域を縄張りにする敵組織とライダー』が増えた。つまり、大上段に上から目線で語る物語から、個人とその周囲に解像度を上げることでリアルな感情移入しやすい物語を描き、ストーリーが進んだ段階で舞台を広げる方向性で話を作っている。FFもそういう方向性で話を作るようになっているわけだ」

翔花「そちらもFFと平成ライダーで語れるってわけね」

NOVA「まあ、物語のケジメとして、ラスボスを倒してゴールという形式は大切だが、それ以上にキャラクタードラマとしてのゴールをどのように定めるかだな。世界を守った後は、どこへともなく旅立って終わり、というのが昭和時代のヒーローだが、自分の日常や目指すべき未来の道を見出して、その世界で生き続けるってのもありだろうし、その日常を取り戻せるかどうかが、セカイ系と日常系の描き方の差とも言える」

晶華「自分の人生を投げうって世界を守りました。でもヒーローの人生に安らぎはありません。新たな戦いを求めて旅立つヒーロー……ってゴールじゃなくて、その街に行けば、いつでもヒーローに会えそうなリアリティを示し得ているかが大事ってことかしら」

NOVA「あるいは最終回の後の続編を構築できるぐらいのストーリー顛末だな。特撮ヒーローも、コンピューターゲームも、それぞれ続編をVシネやDLCなどで描く商法が10年代から確立しているし、物語の世界は決して使い捨てにできるようなものではなくなっている。だったら使い回せる設定要素は、飽きさせない程度の頻度と長期スパンで企画を立てるのも今の時代あるあるだな」

翔花「そして、キャラや世界が増えたら、みんな集めて、お祭り騒ぎのマルチバース商法ってことね」

NOVA「商法って言ってしまうと、夢がなくなるけど、せっかくの設定を一年ぽっきりの一作で使い捨てるのももったいないからな。歴史あるシリーズだったら、メモリアルとしてまとめたい需要は必ずあるわけで、それが次の歴史の礎にもなるわけさ、きっと。進化と革新も大事だけど、伝統を受け継ぐことも大事だと」

 

騎士と女騎士の物語

 

NOVA「さて、この章でFF9話も終わらせるつもりだが、凛々しい女騎士の系譜だと、FF6の女将軍セリスのキャラ性を受け継いだベアトリクスを忘れてはいけない」

晶華「ああ、可愛い系ではなく凛々しい系ね」

翔花「くっコロ系ではなくて?」

NOVA「女騎士というワードにそういうイメージが付いたのはいつからか知らんが、FF9は健全な冒険物語なので、ベアトリクスはくっ殺せなんて言いません。元々、FFでこういう姉御系キャラは2の女海賊レイラから、FF5のファリスに受け継がれる流れだったのが、主人公が反体制キャラになると、女騎士に受け継がれて、とうとう女騎士が主人公になるのが平成後期。女仮面ライダーが時流の現在、女騎士というのも世の趨勢というべきか」

翔花「FFでは騎士の系譜というのも一つの路線なのよね」

NOVA「そう。戦士から騎士にクラスチェンジするのはファンタジーの基本。エクスカリバーラグナロクに代表される強力な騎士剣はFF主人公の王道特権と言えたが、FF4の聖騎士セシルを経て、FF6ではティナ、セリスといったルーンソルジャーや女騎士が最強剣を持つ。まあ、一応、機械いじりの得意な王族エドガーも騎士剣は使えるんだが、彼は機械を使う方が強いからな」

晶華「最強剣を使うのがヒロインというのが、FF6の先進性と言えるわね」

NOVA「しかし、FF7では再び最強剣は主人公のクラウドの手に渡り、ヒロインのティファは格闘系の系譜に位置づけられる。まあ、ジョブチェンジを例外として、女格闘家ヒロインなのはFF界でティファだけと思うのだが」

翔花「FF8では?」

NOVA「主人公スコールの武器は銃器と一体化した剣ガンブレードなので、シリーズでも特殊な武器分類だな。ヒロインのリノアは投擲武器の円月輪使いなので、武装面では前作のくノ一・ユフィの方向性を受け継いでいるとも言える」

晶華「魔女なんだけど、武器は忍者の系譜なのね」

NOVA「そして、FF9から主人公は機敏さを活かした短剣使いになるので、騎士剣はスタイナーとベアトリクスのものとなる。この時点で、これからの時代は騎士が時代遅れで、軽戦士の時代になると思われた」

翔花「どうして?」

NOVA「やはり、戦闘場面の描写だな。敵に走り込んで切り込むアクションが映えるようになって、大剣の重量感よりも、軽戦士の軽やかなアクションの方が主人公としてアクティブに行動している感が大きい。これは、FF10ティーダが元・競技スポーツ選手という設定で、軽快なフットワークと、軽量の剣を振り回すアクションの他、FF12の主人公ヴァンも空賊に憧れる盗賊という設定で、重量武器よりも軽量向きというキャライメージを確立しているわけで、FFの主人公は騎士剣よりも、盗賊風の小剣が続く……と12の発売当時(2006年過ぎ)は思っていた」

晶華「でも、実際は違っていた、と」

NOVA「騎士剣使いの女騎士ライトニングさんは想定外だけど、セリス→ベアトリクス→X2のパイン→アーシェ→ライトニングという系譜だな。まあ、その後の15で、女性キャラ皆無*2で主人公は万能武器使いの王子ノクティスという設定も意外だったし、最新作の16も騎士王子のクライヴというキャラ名だと今、調べて知った」

翔花「最新作は普通に王道中世風ファンタジーって世界観っぽいし、鎧をまとった騎士が主人公。ただ、自ら契約した召喚獣に変身できるっぽいのね」

NOVA「何だかD&D風味の世界観に戻ってきた感じだな。アクションRPGで、プレイヤーキャラはクライヴ一人だけ。もはや、違うゲームといった感じになってるや。世界観は王道に戻ったけど、ゲーム性がもはや別ジャンルで、俺的にはこれじゃない感が強い」

晶華「NOVAちゃんの好きだったファイナルファンタジーのエッセンスは、もはや違うゲームに拡散しちゃったのよ」

NOVA「そのようだな。さて、ここでライトニングさんの女騎士エッセンスも途切れたみたいなんだが、新たに思うことができた」

翔花「何なに?」

NOVA「FFでは、名ありヒロインが剣を使う女剣士の系譜があるのに、ドラクエにはないんだなって。ダイ大だと、アバン先生の彼女のフローラ王女→女王が剣と鞭を使うのに、ドラクエのゲーム本編では、女勇者を除けば、剣使いの女子が一人もいない……と思いきや、一応いたか。ドラクエ8ゼシカは短剣スキルを鍛えると剣を使えるようになったや」

晶華「それと7のアイラさんも、踊り子だけど剣も使えるわ。キーファ王子の子孫なのは伊達じゃないってことね」

NOVA「おお、そうか。ならば、次はこの流れでドラクエ7につなげて、旧世紀の王道RPG話を終わらせよう」

翔花「何だかんだ言って、FFナンバリング最新作の主人公さんは、王道騎士で召喚獣の力も使いこなす万能キャラってことね。剣も魔法も使える王子さまって、ちょっとした勇者感もあって、ファイナルファンタジーの原点回帰じゃない?」

NOVA「15よりは俺好みの世界観っぽいな」

(当記事 完)

*1:FF4のミストの村、FF6のティナの故郷の幻獣界、FF9のマダイン・サリまで、幻獣の世界は常に滅ぼされてきた。だからこそ、主人公側が敵を倒す大義名分になるのだろうけど。

*2:NPCでヒロインがいるけど物語半ばで死んじゃう陰鬱ストーリー。