多元世界はつづくよ、どこまでも
NOVA「前回は俺の躁鬱モードが乱れに乱れて、混迷した挙句、ドラゴンクエストの話をしていたら何故かドラえもんクエストになってしまった話だな」
晶華「いつもの寄り道脱線……じゃないのよね。迷走はしているけど、きちんと多元宇宙の話になっているし」
NOVA「ああ、多元宇宙もしくは多元世界は、時空魔術師の研究の本分だからな。いろいろな要素を包括している面があるので、どれだけ脱線しているようでも、『いや、これも多元宇宙の一実相です』と言い張れる奥の深さがある」
翔花「本当に寄り道脱線転覆事故になりそうなのは、他人のメンヘラに触発されて、NOVAちゃんが自分をコントロールできなくなった時ぐらいだもんね」
NOVA「一大決意か何かをして、思いの丈をつづったメールなんだろうが、自分で読み返して、人にさらけ出すのに問題ない内容かどうか吟味しろよな。俺は基本的に他人のプライベートを守る人間だが、自分の精神状態を守るためなら、特定個人のメンヘラメールは容赦なく、ブログでさらすことも辞さないぜ(警告もしていたし)。まあ、そんなことを言って、『自分の拙い文章をブログに載せてもらえる』と勘違いされたら逆効果で厄介なんだが(愚かにもやり兼ねないと思ってるし)」
晶華「確か、精神科医がどうこうって秘密にしてくださいと言いながら、平気で公開されたブログコメント欄に書いたりもして、それを指摘すると後から喚いて消してくれ、と要求したこともあったっけ?」
NOVA「喚いたかどうかはともかく、自分のプライバシーとか他人に知られたくない恥ずかしいことは自分で隠せよな。相手に打ち明けるということは、その相手との人間関係を大事にするという保証とか宣言だろうし、そいつを敵に回した場合のリスクも考えて行動しないとな、と思う」
翔花「NOVAちゃんは、自分の躁鬱とか秘めたる凶暴性をさらけ出したりして良かったの?」
NOVA「別に今さら恥ずかしいとも思ってないしな。サイトのホビー館を立ち上げた際に、その時点での自分史とか公開できる範囲は、しっかり書き記して公開した。まあ、本サイトの記事容量制限がオーバーしたので、他人にとってどうでもいいと思われる情報は削除して、今は読めないが、自分というキャラをネタに料理できる範囲として、問題なく自己の責任で公開している次第」
晶華「まあ、人によっては年齢や性別なども公開したくないケースだってあるだろうしね」
NOVA「だから、メンヘラ気質についても、理解はできるし、それを揶揄するつもりも決してないが、理解できるのと受け入れるのは話が別だ。理解したうえで、関わるのが危険と判断した場合は容赦なく切り捨てる。まあ、冷たくではなく、熱くになるんだけどな」
翔花「鬱状態なら関わらないし、躁状態だと攻撃的ってことか。ちょうど中間の状態ってのはないの?」
NOVA「あるよ。その時は、結局、関わらないという選択に至っているからな。結論として、彼のメールは『最初から相手にされないか、過剰に攻撃される』ということを学んでもらわないと。それでも、時間を経たら許してもらえて、受け入れてもらえると思い込んで、可哀想な自分を演出しているのだったら、せめてメールに何か(誰か)を攻撃しているような記述を削るのが常識だろうに、どうしても抑えられないんだろうな。『山月記』の李徴の劣化バージョンみたいな性格(臆病な自尊心、尊大な羞恥心、切磋琢磨をしなかった怠惰性)をこじらせている、と分析できるから」
晶華「じゃあ、NOVAちゃんは袁傪役?」
NOVA「違うだろう。袁傪は真面目な官吏だけど、俺は違うし、李徴の気持ちも分からなくはないが、さすがに虎になったりはしない……と思う」
翔花「虎はシロちゃんの方だもんね」
NOVA「虎といえば、ドンドラゴクウとかドントラボルトの二重人格属性を持つ桃谷ジロウが、本放送中は俺とカブるなあと思って見ていた。さすがに、ああいうキャラなので放送中にそういう感想は口にし難かったが」
晶華「ええと、リーダーたらんと独り善がりに奮闘するけど、あまり付いてくる人がいなくて空回りしていて、結局、主役のリーダーの桃井タロウには勝てず、いろいろこじらせて鬱屈したところが?」
NOVA「それも否定しないが(過去にそういうことの経験も何度かあるし)、何よりも幼馴染の娘とか友人が全部妄想でしかなかったところだろう。あれは見ていて、可哀想すぎた」
翔花「妄想ってところが?」
NOVA「いや、妄想ということに気づいていなかったところが。ルミちゃんとかさ。意図して創作でキャラ作りしている俺と違って、ジロウは純粋に信じ込んでいただけに、自分を構築するアイデンティティーが根本的に崩れ去って、どう生きて行けって言うんだよ。まあ、本放送中は風流人の猿原先生や、ソノザ編集長にも感情移入していたけど、性格的に一番シンパシーを感じていたのはジロウなんだよ」
晶華「今、明かされる驚愕の事実」
NOVA「まあ、ジロウに感情移入している理由を語るなら、俺の内面を吐露しないといけないから語りにくいんだけどさ。せっかく前回の記事で語ったなら、『NOVAが桃谷ジロウに自分を重ねて見ていた』というところまで打ち明けても問題ないだろう、と。ああ、ドンブラ映画でジロウが幸せなエンディングを迎えたらいいなあ。去年の映画では、半ば敵役みたいな扱いで結末も可哀想だったからなあ」
ドラクエとFFのマルチバース(昭和編)
NOVA「昭和編と言っても、昭和のドラクエは1〜3、FFは1と2だけで、すぐに終わるんだが」
晶華「じゃあ、飛ばして、次に行きましょう」
NOVA「いや、昭和を蔑ろにするなよ。とりあえず、ドラクエ3が上の世界と下の世界(アレフガルド)の二層構造って話は前回したので飛ばす」
翔花「じゃあ、次はファイナルファンタジー? 初期の作品に多元世界要素ってあった?」
NOVA「実は最初のファイナルファンタジー(1987)は、『光の4戦士の正体が、コーネリアの地に召喚されたプレイヤー自身と仲間』であることがエンディングで提示されるわけだ。つまり、現実世界とゲームの中の世界をリンクさせる『ウルティマ』のような仕掛け。ドラクエも、基本的に主人公=プレイヤーであることを強調しているけど、劇中の登場人物として血筋やキャラ設定は用意されている(1は勇者ロトの子孫。2はそのまた子孫。3は勇者オルテガの息子にして、勇者ロトになる16歳の少年または男装少女)。一方で、ファイナルファンタジーは2以降、キャラ設定を濃密に構築してドラマ性を高めるけれど、1だけが無色透明の世界外の存在なわけだ」
晶華「つまり、プレイヤーのいる現実世界と、ゲームの中の世界を劇中で提示したメタ構造だと」
NOVA「あと、1は最初のダンジョンが最終ダンジョンの入り口にもなっていて、最終決戦で過去の世界に突入するんだな。まあ、これを考えると、過去の世界はまた1つのワールドである、と物語的には解釈できるんだけど、ダンジョンの中だけで事件が解決できるから、多層世界とは分かりにくいよな。やはり、世界が切り替わったって判断はフィールドマップが用意されているかだと考えるので」
翔花「ダンジョンの奥に過去への扉が隠されていました。過去の世界は隠しダンジョンみたいなもので、外のフィールドは登場しませんって感じ?」
NOVA「うちは3つのブログで、それぞれの記事を書いて、個人的にマルチバースごっこをしているつもりなんだけど、このブログだけでコンパーニュやウルトロピカルを演出しても、世界観として違うとは感じにくいと思うんだよね」
翔花「コンパーニュの代表はヒノキちゃんで」
晶華「ウルトロピカルの代表は女王のアナちゃん(ダイアンナ)と、アストたちで」
翔花「一応、ひひひひ(いっぱい)お婆ちゃんのガイアちゃんもウルトロピカルな屋久島の神さまよ」
NOVA「神さまにちゃん付けはよせよ。様づけが普通だろう?」
翔花「NOVAちゃんは、自分のご先祖に様って付ける?」
NOVA「お父さま、おじいさま……って言わないな。爺さんは物心がついたときに亡くなっていたから、写真しか知らないが、お婆ちゃんか。俺が様って付けるのは、それに相応しい推しキャラか、劇中でそう呼ばれているキャラか、年賀状の宛名書きぐらいだな」
晶華「コンパーニュのシーさんは、新星さま呼びなのよね。ジュン君は時空魔術師さまって呼んでるけど」
NOVA「誰をどういう呼び方で呼称するかも、そのキャラの個性だからな。一人称と、二人称以外に、他のキャラへの呼称一つで関係性が推し量れるので、キャラ設定に『誰が誰をどう呼ぶか記録、もしくは記憶しておかないと、キャラがブレる』わけで。とにかく、俺にとってはガイア様は、ガイア様だ。翔花にも礼儀として身につけて欲しいものだぜ」
翔花「じゃあ、わたしが将来、神霊になったら、NOVAちゃんは翔花様って呼んでくれる?」
NOVA「本名は粉杉翔花で、神霊になったら別の名前が付けられる可能性もあるがな。まあ、神霊といえば、ヒノキ姐さんもガイア様ほどではないが、神さまなんだよな。でも、俺がヒノキ様とかアリナ様とは言わないか。うん、自分の呼び方を人に押し付けすぎるのもどうかと思うか。要は、自分と相手の関係性で一番しっくり来る呼び方がベストと」
晶華「話を戻すけど、最初のFFはゲーム内でフィールドMAPがあるコーネリア周辺諸国と、プレイヤーの現実世界と、過去のダンジョンがあるけど、プレイヤーがプレイ中に多層世界って気づきにくい作りになってるのね」
NOVA「2もそうだな。ラストダンジョンのパンデモニウムとか、そこに至る地獄への入り口ジェイドってのは、異世界(異次元)と解釈する書籍資料もあったと記憶するが、プレイヤーの実感としては結局、ダンジョンに過ぎないわけで、あまり違う世界って感じがしない」
翔花「ダンジョンそのものが一つの世界と解釈することもできるけど?」
NOVA「ウィザードリィとか、ダンジョンRPGはダンジョンと拠点の街だけで一つの世界を築いているな。そして、ダンジョンの階層がある程度切り替わったら、雰囲気が変わって、別の世界に到達したというような演出が見られるゲームもある(『世界樹の迷宮』シリーズなど)」
晶華「RPG以前のアクションゲームだと、面クリアやステージクリアって感じで、ゲームを区切っているけど、そういうのをマルチバースとは言わないよね」
NOVA「アクションゲームの演出の歴史というのも語り甲斐のあるテーマだが(固定マップがスクロールするようになって、土管の下に地下世界が隠れているとか、表の60階の裏にもう60階が隠れているとか、いろいろな歴史あり)、話が広がる一方なので、ドラクエとFFに絞る次第だ」
ドラクエとFFのマルチバース(ファミコン末期)
NOVA「今は、シリーズも本家ナンバーだけでなく、外伝やらオンラインやらアプリゲーなどで世界観が広がり放題だから、これもマルチバース、あれもマルチバースとキリがないので、そういう風にゲーム世界が拡張に次ぐ拡張を遂げる前の世紀末をテーマにして、話をまとめたい」
晶華「リメイク版のFF7なんかも含めると、もう別のパラレルワールドを形成してそうだしね」
NOVA「シリーズが長く続くと、作品とか外伝のたびに世界が掘り下げられたり、新たな舞台が語られて、なかなか判断が難しくなるからな。やはり、90年代がゲームの進化が一番面白い時期だと、俺の世代は思うわけだ」
翔花「じゃあ、次はドラクエ4? それともFF3?」
NOVA「時系列順に行こう。先に出たのは、どっちだ?」
晶華「ええと、1990年の2月にドラクエ4で、同年4月にFF3だって」
NOVA「その時期は、まだドラクエが先行していたんだな。では、ドラクエ4だ」
晶華「5章構成だけど、特に裏の世界とかは用意されていないのね」
NOVA「リメイク版で付加されたピサロ主人公的な6章はややこしくなるのでスルーだな。本編5章のラスボスを操作できるのは、ファンサービスの一環なんだろうが、やはりピサロのしてきた悪行を考えると、素直に受け入れにくいオールドファンは多いと聞く。俺としても、ピサロよりも先に、シンシアの章を用意して欲しかったと思う口だし」
晶華「主人公の幼馴染で、5章の最初に主人公の身代わりになって、ピサロの軍に殺された人ね」
NOVA「まあ、最後のシーンで奇跡が起こって生き返ったという解釈もあるみたいだが、生き返ったならシンシアもプレイヤーキャラとして使えて、彼女がピサロを許す場面が追加されたら、プレイヤーも少しは納得できると思うんだ。ロザリーも大事だが、シンシアはもっと大事に扱って欲しいわけだよ」
翔花「モンスターズ3も、本家の4のスピンオフ、マルチバース的展開ってことね」
NOVA「4は人気作の一つだから、最初の外伝風スピンオフもこれなんだな」
晶華「『トルネコの大冒険』(93年)は、ドラクエ4の3章の主人公、武器屋トルネコを主人公とした外伝作品で、ローグライクゲームというジャンルをSFCユーザーに認知させ、ダンジョン探索と街の発展を目指す作品。続編2作の他、『不思議のダンジョン』というサブタイトルシリーズでも展開され、『風来のシレン』シリーズやチョコボ、ポケモン、世界樹といった別ゲームとのコラボ作品も出て、現在の最新作はこれになるのかな?」
NOVA「キャラクターやゲームシステムのスピンオフや発展の話は置いておいて、ドラクエ4に話を戻すと、その作品単独だと多元世界とは特に関係ないわけだ」
晶華「つまり、記事テーマからは外れるわけね」
NOVA「ところが別の見方ができる」
晶華「視点を変える?」
NOVA「さすがだ、晶華。その視点を変えるというのが、ドラクエ4の特徴なんだよ」
晶華「ん? ああ、そういうことか」
翔花「え、何、何なの?」
NOVA「ドラクエ4の主人公は緑髪の勇者(男女それぞれあり)なんだが、章構成のオムニバス形式なので、プレイヤーは戦士ライアン、武闘家のアリーナ王女とお付きの2人、武器屋トルネコ、マーニャ&ミネア姉妹のそれぞれの物語を順に体験する。つまり、勇者以外に4つの物語を違う視点で見る作品なんだ」
翔花「ん? ああ、そういうことか」
NOVA「さすがは双子。リアクションが全く同じだな」
晶華「私の方が気づくのが早かったけどね」
翔花「そりゃあ、アキちゃんの方がドラクエをずっとやってたでしょ? わたしはその間、外で武者修行の旅をしていて、ゲームどころじゃなかったんだし」
晶華「そっかあ。経験値の差ってことね」
NOVA「同じ双子でも、それぞれの経験が違うと、見えているものも変わって来るんだなあ。当たり前だけど、視点が違うというテーマだと、同じエンドールの街でも、アリーナたちの視点と、トルネコの視点と、勇者の視点では見え方が変わって来る」
翔花「あれ? ライアンさんと、姉妹さんの方は?」
NOVA「ライアンの章ではエンドールの街が出て来ない。ジプシー姉妹の章では、自分たちの大陸から脱出して行き着く先がエンドールだ。まあ、マーニャにとっては、エンドールはカジノの街という印象が強いだろうが」
晶華「勇者とカジノ場で出会うものね」
翔花「そうなんだ。つまり、ドラクエ4は世界が一つだけど、各章で同じ街が違うキャラの視点で見ることになるから、多重構造に見えるってことね」
NOVA「ああ。3までは、一度訪れて事件を解決した街やダンジョンは、序盤の拠点の城とかを除いて、そう何度も訪れ直したりはしない。その街でのイベント解決前と、解決後の違いをセリフで確認した後は、次の街に旅立って、戻って来るケースは少ないから、一回寄って使い捨ての街やダンジョンということになる」
翔花「それじゃあ、あまり印象に残らないよね」
晶華「それでも、後から鍵を見つけて、開けられなかった扉を開けて回ったり、紋章やらオーブやらを探して、一度訪れた街を山彦の笛を吹きながら、うろつき回った思い出はあるけど」
NOVA「ルーラで自由に好きな街に行けたら便利なんだが、ファミコン版の2はなあ」
翔花「よく分からないけど、昔のゲームは不便だったってことね」
NOVA「昔は苦労した(けど頑張った)ってことを若者に語りたいのが、年寄りって奴だ。今の若者が恵まれていると言ったり、今の若者は苦労知らずと言ったり、それでいて今の時代の進化には付いて行けないと言ったり、今の若者の苦労は自分視点では想像できないんだな」
晶華「だから、同じ苦労を一回してみて、共通体験を年寄りにも持たせるといいのよ」
NOVA「まあ、相手の視点に立って考える練習にもなるな。複数主人公それぞれの体験で、世界の見え方が変わるというのは。マルチバースではないが、マルチ視点の切り替えだ。なお、こういう感覚がない創作家は、キャラが違っているのに、同じような物の見方しかできないってことになる」
晶華「視点キャラが男性だから、つい女性の胸に目が行くのは分かるんだけど、視点キャラが女性なのに同じような目線の描写しかできない作家は下手と思うわ」
NOVA「創作作法の視点統一の意味を勘違いしているのかもな。一つのシーンで視点キャラをころころ変えるなって意味なのに、キャラを変えても同じような物の見方、考え方、感じ方でしか書けない作家がいて、要するに他人の目で物を見るってことに想像が働かないんだ」
翔花「ドラクエ4は、世界が複数ではなくて、キャラの視点が複数だから同じ舞台を見ていても、見え方が違う。マルチバースじゃないけど、マルチ視点のゲームってことね」
NOVA「世界を探索するのがドラクエ3までで、それ以上に仲間キャラクターのドラマを掘り下げたのがドラクエ4という違いだな。だから、4のキャラの個性化が際立っているわけだ。プレイヤーはそれぞれのキャラの物語を体験した後、勇者となって今度は逆順にキャラクターを追いかけていくことになる。その過程で、各章の主役だったキャラの別の個性を見出すことにもなって面白い。カジノ狂いのお気楽姉と真面目で苦言を呈する妹とか、自身が主役のときにはコミカルなドタバタ劇なのに5章で追っかける立場になってから、トルネコに助けられた人の話を聞いてみると、みんなが感謝していて凄い英雄的な大商人として持ち上げられていたり……」
晶華「え、そうなの? そこまではチェックしなかったわ」
NOVA「後からドラクエ4をプレイした人間のあるあるだな。トルネコを追いかける前に、彼の故郷レイクナバとかボンモールとかに寄って行って、話を聞かないという。トルネコは庶民派の大英雄なんだって。勇者一行では、どうも使えないキャラ扱いされがちだけど」
晶華「いや、使えなくはないけど。特殊行動が面白いし、ダンジョンに入る前の道中で、2軍として使うには楽しいキャラよ」
NOVA「少なくとも、3の遊び人よりは立派に役立つよな」
翔花「世界は一つでも、違う視点で見れば、複数の見える景色がある、と」
NOVA「俺の性格の利点は、意識せずとも自然に世界の見え方の違いを想像できたことになるんだ。まあ、そういう風に見えたから躁鬱になったのか、躁鬱だからそう見えているのか、どっちが先かは自分でも分からないが。花粉症の人間の気持ちは自分が花粉症になってみないと分からないけど、少なくとも花粉症の人間の言い分をバカにせずに聞くことで、そういう感じ方になるのか、と察することならできる。作家って、自己主張も大事だけど、他人のそういう視点を想像力で取り込む共感力、洞察力も大事じゃないかな、なんて思う次第だ」
晶華「でも、共感しすぎてジレンマになって、自分を見失うようなことのないようにね」
NOVA「そのために、外付け自制回路の役割を果たす、お前たちがいてくれるんだ」
晶華「じゃあ、もっと感謝してよね」
NOVA「いつも感謝はしてるさ」
晶華「わ〜い。だったら、もっと感謝されるために、アシスタントガールを頑張るわ。で、次は何?」
NOVA「ファイナルファンタジー3だ」
晶華「確か、クリスタルタワーが登場する作品よね。私たちが住んでいる、この塔のモデルになっているんだっけ」
翔花「へえ、そうなんだ」
晶華「経緯が知りたければ、この話を読めばいいと思うわ」
NOVA「いろいろ懐かしいエピソードだな。時空嵐(現実の台風21号に合わせたネタ)でブログの引っ越しとかをしたのを創作に反映したわけだ。そうか、ファイナルファンタジー3はこの塔に通じるんだな」
晶華「で、FF3はマルチバースにつながったりする?」
NOVA「思いきりつながるぞ。まず、FF3は90年のファミコン版と、2006年のDSリメイク版の大きく2つに分かれて、プレイヤーキャラの設定がずいぶん違うんだ」
翔花「原作はたまねぎ剣士からスタートで、リメイク版ではすっぴんからスタートらしいわね」
NOVA「よく知っていたな」
翔花「攻略本を読んで勉強したもん」
NOVA「ああ、プレイはしていないのに、知識は仕入れるパターンか。リメイク版では、たまねぎ剣士が隠しジョブになっていたんだよな。ともあれ、リメイク版はルーネス、アルクゥ、レフィア、イングズの4人がプレイヤーキャラに設定されていて、序盤はイベントに沿って順に仲間に加入して来るんだ。一方、原作は1同様に無色透明のみなし子4人組。クリスタルの加護で『光の4戦士』に選ばれた彼らが、闇の力の暴走で崩壊しかけている世界を救うための冒険に出る物語だ」
晶華「ジョブチェンジとか、召喚魔法とか、FFらしいシステムが初採用された作品ね」
翔花「すると、1と2はFFらしくない?」
NOVA「まあ、FFらしさの象徴を、飛空艇とかサイドビューの戦闘シーンと思えば、最初からFFらしいんだがな」
翔花「サイドビューって?」
NOVA「向かって左側に敵モンスター、右側に主役キャラが並んで、武器や魔法を使っているビジュアルが普通に描写される演出だ」
翔花「最近のは、サイドビューじゃなくて、自由に動けるようなキャラ配置に進化したのね」
NOVA「まあ、どんどんビジュアルが進化して行ったからな。一方、ドラクエはバトルシーンでモンスターのみが映し出されるウィザードリィ風の戦闘演出がずっと続いていたが、21世紀に入ってからFFに合わせるかのように、主人公たちも鳥山さんのアニメキャラ風に描写するように変わった」
晶華「戦闘シーンの変化を追うだけでも、時代性が映し出されるわけね」
NOVA「21世紀以降は、オンラインによるマルチプレイヤーバトルにも対応しないといけないから、伝統重視なドラクエもプレイヤーキャラを映さないわけには行かなくなったのだろう、と思う。そして、アクション要素を取り込むために、もう昔ながらのコマンドバトルは廃止した方がいいという意見も出てるわけだな。今の若者の多くは、コマンドバトルは旧世紀の遺物とまで言う者もいると聞く」
翔花「NOVAちゃんはどういう意見?」
NOVA「ドラクエビルダーズとかヒーローズとかで、簡単なアクション操作ならできて楽しめるのは分かったが、できればAIによる自動戦闘でザコ戦なら見てるだけでもいいようにはして欲しいな。ストーリーは追いたいし、キャラ育成もしたいが、面倒な操作でのバトルは遠慮したい派。アクションの難易度が高くて、そのハードルを越えないとストーリーを味わえないゲームにはなって欲しくない。まあ、年寄りはもうドラクエするな、と言われると、俺たちがずっと応援してきたのに、と思うわけで」
晶華「ゲームを自分でプレイせずに、他人の動画リプレイを見ているだけでも、ストーリーは追えると思うけどね」
NOVA「ああ、スポーツ観戦と同じ感覚か。まあ、俺はコンピューターRPGから引退しても、ゲームブックで冒険するって選択もあるし、FF(ファイファン)だったら、こういうのも出るからな」
翔花「一気に最近の状況に話が飛んじゃったけど、FF3の話をしないと、当記事 完にはならないでしょう?」
NOVA「おお、そうだな。ええと、主人公設定の変化やジョブチェンジシステムの細かい仕様の変更、ジョブの性能の違いを除けば、ストーリーの大筋は変わらない。まず、主人公たちは自分たちの住んでいる村から旅を始め、龍神バハムートと遭遇したり、船を使った海の旅をしたり、邪悪な魔導士ハインを倒したりして、その地方のアーガス王国を救う。そこで世界の重大な秘密を知ることになるんだ」
晶華「この世界は、もっと広い世界の一部だったんだって話ね」
NOVA「ああ。最初の世界は浮遊大陸と呼ばれ、本来の世界の上空に浮かぶ小世界だったんだ」
翔花「浮遊大陸! 天空城みたいなもの?」
NOVA「ドラクエの天空城は、一つの建物に過ぎず、世界というほど大きくはない。浮遊大陸はその中に二つの城やら海やらダンジョンやらいろいろ充実していて……そうだなあ。ソード・ワールドの妖精郷みたいなものか」
翔花「ああ。本来の広大な世界の上空に浮かぶ、人工的に作られた擬似世界ってこと?」
NOVA「そう。浮遊大陸のほとんどの住人たちは、自分たちが空の上に住んでいることに気づいていない。それを知るのは、王国の学者や隠れ里に住む古代人の末裔たちだけで、世界の秘密を知った主人公たちは王国の技術で作られた飛空艇に乗って、浮遊大陸の外の世界に旅立つんだ」
翔花「自分たちの知ってる世界の外に、さらに広大な世界が広がっている。ワクワクするね」
NOVA「感覚としては、ドラクエ1のアレフガルドの外に、さらに広大な世界があると発表された2みたいなものか。第1世界の浮遊大陸の冒険を終えた後に、飛空艇で旅立った第2世界は広大な海原が広がっていた」
翔花「ああ、次は海底を探索するのかしら?」
NOVA「惜しい。海底探索も後であるんだけど、その前に水没した第2世界を浮上させないといけない」
翔花「え? 水没した? どうして?」
NOVA「闇の魔導士ザンデの仕業だ。そして、世界を浮上させるためには、水の神殿に水の巫女エリアを連れて行って、祈りを捧げないといけないんだが、祈りを捧げた後、彼女はザンデの放った刺客から主人公たちの命を守るために犠牲になってしまう」
翔花「それは……許せない、ザンデ。必ず倒す」
NOVA「話を聞いただけで、そこまで感情移入できるとは……って、お前、攻略本は読んだんだから、ストーリーを知っているはずじゃないのか?」
翔花「データ部分とか、飛ばし読みしただけだから、細かいストーリーまで読みとれていなかったのよ。攻略本読んだだけでストーリーまで味わえるとは思わないで」
NOVA「そうか。それができるのは、ちょっとした特殊能力ってことかもな。あるいは分かったつもりで、実プレイの醍醐味は得られていない可能性は大いにある。ならば……翔花、FF3やるか?」
翔花「持ってるの?」
NOVA「リメイク版だけどな」
翔花「十分よ……って、今から始めたら、そっちに夢中になって、ドンブラの映画が集中できなくなっちゃいそう(涙目)」
NOVA「だったら、ドンブラの映画を見た後だな」
翔花「分かった。ドンブラの後で、FF3ね♪」
晶華「NOVAちゃん、私は?」
NOVA「何かしたいゲームがあるのか? DSは翔花が使うとして、PSPか、PS VITAか、SWITCHがあるが、ほとんどスパロボだからな。お前に良さそうなのは……PSP版のFF4ぐらいだ」
晶華「FF4はプレステのコレクション版で5と6も合わせてやったからいい」
NOVA「いや、PSP版の4は、続編のTHE AFTER YEARSが付いている」
晶華「あるの?」
NOVA「売ってないからな。倉庫に残してある」
晶華「そんな面白そうなものがあるなら、もっと早く教えてよ!」
NOVA「お前、俺がいなくて暇なときに、勝手に倉庫から漁ってゲームしてただろう? とっくにプレイ済みだと思ってたぞ」
晶華「FF4のPSPリメイク版に続編が収録されていたなんて、気づいていなかったのよ」
NOVA「買ったのは2011年だから、今となっては古いゲームなんだけどな。まあ、後からでも面白いゲームに時代を越えて出会うのはいいことだ」
翔花「わたしはFF3♪」
晶華「私はFF4TA♪」
Wショーカ『これで、ゴールデンウィークの楽しみができたわね♫』
NOVA「お前ら、学校も仕事も行ってない精霊娘なんだから、普段もゴールデンウィークも大して変わりないじゃないか!」
翔花「そこはそれ、」
晶華「気分の問題よ」
NOVA「まあ、いいけどな。新しいゲームを買って、とねだられるよりは、昔のゲームを発掘できたわけだから。じゃあ、FF3の続きとFF4の話はまた今度な」
翔花「それにしても、1990年のゲームが16年経ってから、2006年にリメイクされたり、」
晶華「1991年のゲームが20年経ってから、2011年に続編が発売されたり、」
NOVA「1997年のPSで出たゲームが、20年以上経ってからPS4やPS5でリメイクされているのが現在なんだから、ずっと追っかける方も大変だな(FF7については他人事)」
翔花「名作ゲームは時代を越えて受け継がれるのね」
晶華「で、続編まで出ると、まさにマルチバースってところね」
NOVA「ん? マルチバースの意味が微妙にズレているような気もするけど、FF4の続編は前作主人公たちの息子世代や弟子たちの物語だから、セブンの息子のゼロとか、ゼロの弟子のZみたいなウルトラマルチバースに近いノリがあるのかもな。まあ、世界観が広がったのは間違いない」
(当記事 完)