Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

聖闘士星矢・冥王神話の幕引き

18年の歴史の終幕

 

NOVA「長い話の最後は、女神が人間になって、みんな記憶喪失になって、日常回帰エンドってオチだったな」

翔花「女神さまが人間になるっていうのは、悪くないと思うのよ。責任をいろいろと抱えた神さまよりも、人間社会の方が自由で楽しいし」

NOVA「まあ、お前は神霊候補だから、自分の実感としてはそうなんだろうな。人と神が永遠に相容れずに、お別れエンドよりも望ましいってことか」

晶華「お姉ちゃんの感想はともかく、みんな記憶喪失ってのは、ずいぶんな終わり方ね。つまり、これまでの歴史がみんななかったことに? ファンとしては、さぞ残念な話ね」

NOVA「それは受け止め方次第だと思うがな。このラストについては、いろいろな解釈ができて、ファンの間の議論もこれから紛糾するんじゃないかと思うんだが、とりあえず、車田御大に関しては、聖闘士と女神・城戸沙織が戦いの宿命から解放されて、自分たちの人生を生き直すことになって、面倒なことは太陽神アポロン兄さんと、月女神アルテミス姉さんが引き受けてくれて、まあ、両神がトチ狂って『やっぱり傲慢な人間は滅亡すべし! 神罰執行じゃ!』と暴れん限りは、あの世界も神レベルのトラブルには巻き込まれずに済みそうで、良かったんじゃないか」

翔花「人間の世界と、神さまの世界が完全に分かたれたってこと?」

NOVA「ペガサス幻想がきれいに終わったってことだな。ただし、これまでの歴史が全てなかったことになったわけではない。例えば、アテナの聖闘士がハーデスの冥闘士の地上侵攻を阻止して、今回(世紀末)の聖戦を勝利で終わらせた事実は変わらない。まあ、過去編についてはリセットボタンを押されて、こっちの物語(ND)とパラレル関係のLCの複合したような締め方になったのだろうな、とファンは想像できる」

晶華「同じ冥王神話でも、Next DimensionとLost Canvasの2つの話があるからややこしいのね」

NOVA「まあ、それを言うなら、デビルマンだって、マジンガーだって、ゲッターだって、今度のグレンダイザーだって、異なるパラレルワールドがいっぱいあるし、エヴァだって亡きガイナックスの旧エヴァと、カラーの新エヴァでパラレルだろう。人気コンテンツは、バージョン違いをあれこれ楽しむのも一興で、全部を追っかけようと思えば、マニアだ。

「そして、マニアはややこしい物の探求や解析を奥深く楽しむのが道と知るわけで、ややこしいからイヤというわけではあるまい」

晶華「私はマニアじゃないから、ただの花粉症ガールとして、気楽に、気軽に、エンジョイできる方がいいわ。ややこしい探求や解析はNOVAちゃんに任せた」

NOVA「ん? 翔花、このアッキーのセリフを聞いて、どう思う?」

翔花「そのセリフはわたしのものよ。アキちゃんは、そんなことを言わない。知力の2号にして、初代アシスタントガールだから、NOVAちゃんのマニア道に付いて行こうとするはず」

NOVA「つまり……」

翔花「このアキちゃんは偽者ね」

晶華「偽者じゃないわ。本物よ」

翔花「偽者はみんなそう言うものよ。本物のアキちゃんだったら、次の質問に答えられるはず」

晶華「何?」

翔花「ロードスの初代パーティ6人のキャラ名を答えて」

晶華「そんなの簡単よ。パーン、ディードリット、ギム、エト、スレイン、ウッドチャック。これでどう?」

翔花「うっ、こんな難しい問題に、たちどころに答えるなんて。NOVAちゃん、それで合ってる?」

NOVA「自分が答えられない問題で、他人をテストするなよ。そんなのロードスファンにとって常識だ」

晶華「当然、ロードス愛好家の私にとっては基礎知識よ。なお、ウッドチャックさんはジェイ・ランカードってのが本名で、パーンのお父さんの名前はヴァリスの元聖騎士テシウスで、お母さんの名前は不明。ディードさんの血縁のないお兄さんの名前はエスタス」

翔花「……そこまで、ロードスに詳しいなんて、負けたわ。NOVAちゃん、このアキちゃんはどうやら本物のようよ」

NOVA「お前の認定の仕方はどうかと思うが、まあ、それなりにロードスに詳しいことは明らかだな。だが、さっきのお前らしくないセリフは何なんだ、晶華?」

晶華「別に、普通よ。私は自分をマニアだなんて思ってないし、ややこしいことはNOVAちゃんに任せたいし、ただの花粉症ガールだし、気楽にエンジョイしたい。その発言の何が悪いわけ?」

翔花「それは、わたしの専売特許だからよ」

晶華「いいえ。双子の姉妹の私だって、使う権利はあるはずよ。それに、お姉ちゃん、いつまで『ただの花粉症ガール』のつもりでいるの? 『神霊候補の花粉症ガール』と言うべきでしょ」

翔花「うっ、だったら、今度から『ただの神霊候補の花粉症ガール』と自称するわ」

NOVA「神霊候補を安っぽく扱うな。まあ、この度の件で、車田ワールドにおける神さまの格が上がったような気がするな。そこで、この記事を読んで欲しいんだが……」

晶華「車田さんの星矢の影響で、日本のフィクション界における人と神さまの距離感が狭くなったって説? 80年代のその辺の時期から、神さまってのがどんどん安っぽく扱われて、お気楽極楽なポンコツ神さまが溢れかえって、『たかが神の分際で』と言われちゃうって話?」

NOVA「いや、俺はそこまで神さまを貶めるつもりはないんだが、何を罰当たりなことを言ってるんだ? 世の中の神さまに謝れ」

晶華「お姉ちゃん、ごめんなさい」

翔花「神霊候補として、許してあげる。以降、神さまをバカにした発言は控えるように」

晶華「よし、神霊候補さまから免罪の言葉をいただいたわ。これで神罰を受けずに済む。身内に神さま関係者がいると便利ね」

NOVA「とまあ、星矢以降、ファンタジーRPGの流行もあって、人と神さまの距離感が近くなったって話だが、今回のアポロン御奉行様の裁定により、人の傲慢は許し難し、ということで、冥王退治の役目を果たし終えた女神は、望みどおり人の身に降格し、彼女と従者の記憶を奪うという形で、もう神界は人の世界に干渉しない。女神の聖域(サンクチュアリ)もお取りつぶしになって、人馬宮の遺跡だけが発掘されて、もはや聖闘士が守るべき存在も、聖闘士という存在さえも世界から抹消されたわけだ」

翔花「そんな。だったら、Ωの存在が黒歴史になってしまう」

NOVA「まあ、アニメはパラレルワールドと見なすこともできるし、あくまで歴史から消えたのは女神の聖闘士だけで、こっちは健在だろうけどな」

 

今後の星矢展開

 

NOVA「一応、天界編に続く、かな? と思われた最終1話前のワクワク感だったけど、最終回で、そんなこともなく、きれいに記憶リセットされたりして、まあ、賛否両論なんだろう。俺の中でも、これできれいに風呂敷たたんだんだからOKという天使と、いや、これじゃあ長年追っかけてきたファンとしては、つまらないオチじゃないのかという悪魔が千日戦争しながら、次の星矢コンテンツを共に楽しもうってガッチリ握手している次第だが」

晶華「何、その天使と悪魔の馴れ合いバトルは?」

NOVA「どっちも星矢マニアなんだから、根本的なところで通じ合えるんだよ。そこに、星矢なんてつまらねえ、と言ってくる異教徒が現れて、空気を読まない暴言かましたら、即座に共闘して聖戦勃発する程度には」

翔花「ファンと、別意見のファンがやいのやいの意見を激しく言い合っている場に、作品愛もない輩が口を挟もうものなら、事情も分からぬ小童が軽々しく口を挟むでないわ、身の程を知れい、と叩きのめされるわけね」

NOVA「聖闘士の話をしているところに、聖闘士なんてつまらんから、それよりもレイアース(魔法騎士)の話をしようぜ、なんて輩が出たら、よそでやれ、とあしらわれるのがオチだ」

晶華「どうして、レイアース?」

NOVA「ほれ」

NOVA「星矢は1985年にコミック連載スタートだから、来年が40周年記念で、関連プロジェクトは何かやるだろう、と踏んでいる。当面は、明日発売のこれだろうが」

NOVA「8月には続きの12巻が出て、11月には今回の最終章の単行本が出て、本家のコミック展開はもう少し楽しめる一方で、海皇再起の2巻はいつ出るんだろうな、とまだ追っかけるつもりの俺がいる」

翔花「NOVAちゃんの星矢祭りはまだ終わっていないってことね」

NOVA「星矢たちの記憶がリセットされたと言っても、ファンの思い出までリセットされたわけじゃないからな。これからは熱意あるファンの二次創作で、さまざまな並行次元の聖闘士物語が見られるはずさ。何しろ、作者がファンに『女神を託す』というメッセージで物語が締めくくられたわけだからな」

晶華「ええと、聖域(サンクチュアリ)の人馬宮が遺跡になっていたのよね」

NOVA「その意味が、一読した段階では分かってなくて、後から、ああ、この世界では聖域(サンクチュアリ)も消え失せたのか、と理解した。つまり、星矢たち5人だけでなく、魔鈴さんやシャイナさん、それに邪武たちも聖闘士でない一般人として別の人生を歩んでいる可能性が十分ある。少なくとも、女神のいない聖域を守り続ける聖闘士はいないわけだ」

翔花「改めて、転生後のキャラの日常編を読みたいファンもいそうね」

晶華「描きたい同人作家もいれば、WinWinで冬コミが盛り上がるかも」

NOVA「ついでに、記憶をなくした沙織お嬢さま(女神じゃなくなったので、勝気さが除かれて、心持ちおとなしそうな感じに描かれている)が、ギリシャで瞬や星矢とすれ違ったりして、不思議な感覚に見舞われ涙が流れる叙情的エンディング。問題は、この時のギリシャが1990年代なのか、現在の2020年代なのか、時代設定もはっきりしないことだ」

翔花「ええと、冥王神話の現代って、ハーデス戦直後の1990年ってことよね」

NOVA「ああ。物語開始時点(2006年)から、この作品世界の現代は15年ほど前の昔話というややこしい設定なんだが、そこから243年前の過去に遡るから、さらに話がややこしくなった。便宜上、前の冥王聖戦の時代を過去、1990年を現代と称し、それを21世紀の未来読者が読んでいる形になる。ただ、最後に女神たちが転生したギリシャがどの時代なのかが明示されていない。人馬宮が朽ち果てた遺跡になっているから、経年劣化も考え合わせると、1990年代ではないという考えも成り立つ。実は2024年に1990年代に土に埋まった聖域の遺跡が発掘された、という可能性も考えられるわけだ」

晶華「何で、土に埋まったの?」

NOVA「太陽神パワーで、巨大隕石でも叩き落とされて、聖域壊滅。ついでに、1999年の世紀末に人類史における大惨事が引き起こされ、その悲劇から復興した2010年辺りに、記憶を失った沙織さんたちが再び生まれて、2024年に再会したという歴史も今なら語られる。情報が足りていないから、限られた情報から妄想推測し放題なタイミングだ」

翔花「妄想し放題って、NOVAちゃんにとって水を得た魚座みたいなものね」

NOVA「まあ、あくまで妄想であって、違う材料が与えられたら、適宜、自分の考えに修正を施して、柔軟に考察のバージョンアップを計るのがファンとしての真摯な態度だな。自分の考察不足、材料不足の妄想に固執して、妙な思考硬直に陥るべきではない」

晶華「予想を当てるかどうかが問題じゃなくて、ファンとして現時点で考え得る限り、できるだけ面白くなるように、妄想を広げて、ネタを楽しむかが重要ってことかしら」

NOVA「今週の予想が、来週に当たって満足してみせたり、外れて驚いたり、なるほど、そう来たか、と感じてみたり、リアルタイムの作品追っかけってそういうものだろう? それに、こう言っちゃ何だが、他人の予想的中なんて、読んでて感心できるものじゃないんだよ。それを、予想を当てた自分を周りから称えられないことで不満を感じるなんざ、実に面倒臭いなあと思う次第だ」

晶華「ああ。例のストーカー氏ね。また、何か言ってきたの?」

NOVA「それについては、つまらないので後に回して、今は放置してしまったレイアースだ」

 

レイアースに寄り道

 

NOVA「レイアースは1993年に連載開始で、1995年にアニメ化。まあ、星矢の10年後輩ってことになるな」

翔花「ええと、星矢さんの直接後輩(放送時間枠の点で)がセーラームーンで、レイアースセラムンブームに乗じて作られた美少女戦士の亜流作品って認識でいい?」

NOVA「亜流という言葉なら、角が立たないからいいと思うぞ。ただし、ロボが出てくる時点で、スパロボ参戦の資格を得た。そうでなければ、俺が話題に挙げる可能性は低かったろう。じっさい、リアルタイムで放送を見てないし、ファンとは言えない。友人にファンがいて、話には聞いていたがな」

晶華「最近は、90年代ブームだもんね。その時期の作品がたびたび蘇る」

NOVA「その時期の番組を少年少女期に見てファンになった人たちが、企画を立てる立場になっているって感じだな。30周年ってのは」

翔花「で、今回の新作アニメはどんな内容? リメイク? それとも続編?」

NOVA「セラムンみたいに、より原作のストーリーに則した話なんじゃないか、と推測しているんだが、まだ情報不足の段階だ」

晶華「では、得意の妄想を」

NOVA「妄想回路を起動するにも、エネルギーとして燃やす材料と、個人の情念が必要だ。俺はレイアースにそこまでの情念はないからな。単に新作アニメネタとして紹介したに過ぎん。こういうネタも今、見つかったが」

 

改めて星矢の答え合わせ

 

NOVA「話を本題に戻して、俺が今、情念を燃やしている作品の一つの星矢だ。とりあえず、これらの記事を踏まえての答え合わせと総括をしておけばいいだろう」

NOVA「で、細かく見てみる前に、ストーカー氏との決着について、結論を出しておく。一応、23年2月の上記事について、問題になる部分を抜粋すると、こんな形になる」

晶華「悪縁氏の星矢最終予想は、話をつまらない方向に閉ざしてしまうので、興醒めというのが昔の文脈ね。で、今期に星矢が終わるということで、『自分の予想どおりに、星矢NDは終わるじゃないか。勝った』ってのがメールの趣旨、と」

NOVA「で、俺の意見は『そんなに昔の雑談をネタに引き出して、勝った負けたを論じる低能さは浅ましく見える。お前はそんな自分を情けないと感じないのか? ますますつまらない奴になってしまったなあ』という憐れみと呆れが感想の8割。

「そして、『天馬の戦いが古文書の記述で示されて幕』という予想は、現時点で正解とも不正解とも言えないので、時期尚早。結論は今期の連載が始まり、終わったタイミングで下すが、もしも古文書エンドが外れだった場合、負けを認めて謝罪を要求しておく。別に、俺は悪縁氏に勝とうが負けようが、俺の価値に変化が生じるものではないと考えるが、つまらない挑発をメールで続けて来る現状には辟易してる。負けた場合は、今後、一切、俺にメールして来るな。逆に、そちらが古文書記述の件で勝った場合は、こちらがメールで一度だけ返信して謝罪して、その謝罪メールをブログで公開する。そういう決闘を『水星の魔女』みたいな方式で展開するのも一興か、と」

翔花「え? 悪縁氏を相手に決闘するの?」

NOVA「つまらない理由で勝ち負け云々で挑発してきたのは、あいつだぜ。で、時流はデザイア・グランプリとか、MS決闘とか、オーディエンスも交えたデュエルだからな。勝利条件を明確にしたゲームってことなら、時流にもかなうし、俺自身が納得する。ブログのエンタメ精神にも通じるしな」

晶華「勝つか負けるかは、議論とか個人の主観ではなくて、『星矢NDの最後に、天馬たちのハーデス退治が古文書で描かれるか否か』ってことね」

NOVA「俺は『NDで、天馬とアローン=ハーデスの決着まできちんと描かれる』ことを以前は願っていたが、その後、時間が経って完結の話が出た時に、『どういう形で、いろいろ錯綜した物語に決着をつけるか』ということを気にした。いくつか予想動画も見てみたが、やはり、わくわくする話って、こうかも知れない、ああかも知れないって、同じファンとしていっしょに予想を楽しもうとか、そういう可能性の含みをいろいろと示唆しているのがいいな、と」

 

NOVA「勝利条件というのは、『彼のつまらない古文書エンド予測が的中するか否か』が骨子なんだが、その点で、彼は最終回1話前にメールを出してきて、『引き分けで手を打ちませんか(勘弁してくれませんか)?』的な趣旨の気の抜けた文章で収めようと図ってきた」

晶華「どうして引き分け?」

NOVA「過去編の物語が、公式でリセットされて、古文書エンドが実現しないことを認めざるを得なかったんだな。まあ、そこで負けを認めるほど、潔い漢ではなかったから、彼なりの理屈で引き分けに持ち込もうとしたわけだが、その内容がまた、つまらないんだよ。

「俺が『NDで、天馬とアローン=ハーデスの決着まできちんと描かれる』ことを以前は願っていたことを引き合いに出して、その願いが外れたんだから、お互い様で引き分け、という理屈だな。どう読みとっても、彼は切り文で自分の都合の良いところを貼り付けたに過ぎん。議論のやり方としては、非常に卑怯かつ稚拙な手だ」

翔花「ええと、要するに、『お前も予想を外したんだから、お互い様だろう』って理屈ね」

NOVA「俺のは予想ではなくて、願望、期待なんだけどな。『こうなると予想します』と『こうなって欲しいと思います』は意味が異なると考えるが、彼はその違いが分からないらしい。これは彼の国語能力の欠如に起因すると判断するが、さておく。俺が去年から続く最終章で注目したのは、『どういう形で、いろいろ錯綜した物語に決着をつけるか』だ。予想はいろいろできるし、それぞれのファンの期待や願望、推測もあれこれ多様で面白いし、それぞれのタイミングで、こうなるんじゃないか、と話に華を咲かせるのがファン会話として楽しい。そのうえで、公式がどういう結末を見せてくれるかを楽しみに追っかける。彼がそういう話に華の咲かせ方を上手く心得ていたら、何も問題ないわけだ」

晶華「心得ていなかったわけ?」

NOVA「全くな。6月終わりに引き分けだと言い始める前は、累計で3回ぐらい『自分の予想が当たるのは確定しているのだから、いい加減に負けを認めてはどうですか?』と状況も分からず、つまらない挑発煽りメールを出してきた経緯がある。彼と星矢の話をしてもつまらない、というのはそういうところにもあるわけだ。予想(攻撃)が当たらなくて、満身創痍の状態なのに、負けを認めろとはどの口が? とは思ったわけで、つまらないハエが……と感じたのは事実だ」

翔花「でも、聖闘士さんの物語では、そうやって慢心した敵キャラが小宇宙(コスモ)を高めた主人公たちの奇跡の必殺技で倒されたりするのよね」

NOVA「ああ。彼のメールに、そういう小宇宙(コスモ)が宿っていて、『ほう。これはなかなか面白いことを書いて来たな。なかなかやるな』と感じ入れたなら、俺にとっても当たりと言えたんだがな。ええと、聖闘士的に言うなら、『同じ技は2度と通じん』的な世界観なのに、つまらない進化しない昔の発言に固執して磨きをかけようともしていないのに、勝ったと思い込んで、こっちをメールで嘲って来る。もしも、彼に勝ち(価値)があるとするなら、『読む相手を楽しませる、あるいは感心させる文章をつづって、一目置かせる』ことだけだと思っていたが、仮にもラノベ作家(=エンタメ)を目指すと言っていた男の書くメールがこれかよ、と呆れてばかりだったんだよ」

晶華「NOVAちゃんにメールを出して来るのは、NOVAちゃんに一目置いてもらうため、ということよね」

NOVA「あるいは、俺を負かしたという事実で自尊心を満足させたいのかもしれんが、俺としては勝ち負けよりも、俺を感心させる磨かれた文章、面白い内容のメールが読みたかったよ。最後まで、その願望は実現しなかったわけだが」

晶華「メールで『NOVAちゃんを感心させる面白い文章をつづる』ことが、彼の唯一のWin Winの道だった、と」

NOVA「俺みたいにブログその他のSNSでもいいけどな。どういう場であれ、お前、面白い奴やな、とお互いに言い合えるのが友だちってものだと思うが。まあ、真面目でいい奴とか、頼り甲斐があるとか、ドジだけど一生懸命で可愛げがあるとか、人ごとの長所や人間関係は様々だけど、そういう美点が彼のメールには読みとれん」

翔花「長所ゼロ?」

NOVA「ゼロってことはないと思うけど、基本はマジメな子だと思うよ。ただ、マジメを武器にするなら、人をバカにするのは悪手や。マジメに人をバカにし始めると、自分で自分を止められないし、攻撃的な人間は話がギスギスして面白くならん」

晶華「でも、毒舌を売りにしてるエンタメの人はいるよね」

NOVA「その毒舌に、ユーモアがあるからウケる。口が悪いのに嫌われないというのは、芸の一種なので、その秘密をうまく分析して、自分の中に取り込む秘訣みたいなのをつかめばいいけど、それこそコミュ力の世界やからな。普通は、悪口言ったら、その悪口に同調できる人間以外には嫌われる。そして、全ての悪口に同調できる人間なんておらん。悪口を言っても、適切にフォローする能力があればいいし、それがオブラートってもんや」

翔花「関西弁はコミカルなので、毒舌を和らげる効果があり、と聞きましたけど?」

NOVA「リアル会話やと、顔次第や。強面の兄ちゃんやおっさんの関西弁はヤクザみたいで、正直怖いで。俺はまあ慣れてるけど。関西人の武器は、実のところ笑いながらキツいことを言うてるのんと、自分もその笑いに巻き込む自虐芸やな。どんなけ悪口を言うても、その悪口の範囲に自分も巻き込んでいるから、イヤミに思われへん。でも、メールで再現するのは難しいわな」

晶華「ところで、件の人物も確か関西人だったわよね」

NOVA「だから、最後に、ベタベタのつまらんギャグをかまして、オチをつけてん」

 

彼「おい、NOVAさん。あんたの負けや。ええ加減、あきらめ」

N「♪」

彼「まだ懲りへんのか。負けやって言うてるのが分からへんのか」

N(うるさい奴やな。何が負けてるのか、よう分からん。どう見ても、負けなのはそっちやん)

彼「よし、次こそ最後や。負けを認めさせたるからな」

N(ああ、ようやく、うるさいのが去ってくれる)

彼「やっぱり、引き分けでええわ。これぐらいで堪忍しといたる」

N(アホか、このおっさん。せめて、散々挑発して悪かったぐらい、言い残して行けや。最後までつまらんダボ*1やな)

 

NOVA「今回の件は、俺目線だとこんな感じかな。散々、負けろ言うてた人間が、引き分けを言った時点で、ずいぶんと間抜けな言い草やな、と。まるで強気なことを言ってて、負けてる池乃めだか師匠が、これぐらいで勘弁しといたるわ、と言って、みんながコケる吉本の古い芸の劣化コピーでしかない顛末」

晶華「笑えないジョークね」

NOVA「同じ引き分けを狙うにしても、もっとやり様があるのにな」

翔花「NOVAちゃんのやり様って?」

 

NOVAの解釈いろいろ

 

NOVA「一番簡単なのは、『作者の車田先生がリセットボタンを押して、過去編の決着を1からやり直すオチを見せたから、無効試合ですね』というもの。最後がどうなるか、という予想で勝負事のネタにしているのに、最初からやり直しというループ物みたいなオチじゃ、そもそも勝負に意味がないわけで」

晶華「ああ、作者自ら無効試合という形を作ったので、それ以上、張り合っても意味がないってことね」

NOVA「突っかかって来たのは向こうで、俺は単につまらない勝負事を挑まれるのに辟易してただけなんだがな。まあ、つまらん状況を創作語りをするネタに転禍為福するように努めたけど、そもそも禍なんてものはない方が良いわけだし」

翔花「NOVAちゃんとしては、つまらない人に絡まれたくないと言い続けていただけだもんね」

NOVA「つまらない物でも、どうすれば面白くできるかを試みて、いろいろ語って来たけど、それでもつまらなさから脱却できない人間っているんだな。ダメな奴は何をしてもダメってことが分かった。こういうのは、良い勉強になったって言っていいのかな」

晶華「本人に、自分を面白く改善するにはどうすればいいか、という意識がない以上、エンタメの道に向いてないのだと思うわ」

 

NOVA「で、これは発想の転換なんだが、彼が一手先に、引き分けだと言ったおかげで、俺は少しラッキーだったかもしれん、と思ったり」

翔花「どういうこと?」

NOVA「最後の、遺跡の壁に記されたアイオロスのメッセージ。あれは、彼が主張した古文書(石板に刻まれた過去の聖戦の歴史の顛末)のヴァリエーションと解釈できるんだよ」

晶華「それって、彼の勝ちってこと?」

NOVA「中身の文章は違うし、彼の予想した内容とは全然違うんだけど、形だけなら『石板か何かに刻まれた情報が歴史を伝える幕引き』という点で、彼の予想は一分なりとも当たっていたと言えなくもないわけだ」

翔花「つまり、彼が先走らずに、最後まであきらめずに、自分の勝ちを信じて、うまく頭を働かせてNOVAちゃんが言ったようなことを理路整然と説明できれば、勝負事に勝てたってこと?」

NOVA「まあ、俺の理屈は限りなく、彼を有利に解釈してあげているゆえの発想だからな。こういうのは、発想力と説得力の両方があってこそ、相手に伝わるものだし、もちろん、それを受ける俺自身の潔さとか懐の深さがあってのこと。もしも彼にそういう発想力や説得力があれば、俺は感心していたろうがな。残念ながら、彼には直観の鋭さは時折りあっても、それをアイデアとして構築するレベルの発想力には至ってないし、根本的に言葉足らずで幼稚な感情論しか言えないから、真摯な言葉を重ねる説得力は皆無だ。

「いずれにせよ、少年マンガ的に言うなら、最後の最後まであきらめずに自分の勝利を信じて、一瞬のひらめきを形に変えて勝機にする奇跡の一撃での逆転は、今回、起こり得たかもしれないわけだ。いやあ、実に惜しい。まあ、諦めたら、そこで試合終了なのが真理だけどな。そういう勝ちを取りこぼす(おそらく俺が今、言わなければ気付いてもいない)時点で、彼は主人公たるべきキャラではなかったわけだ。仮に、類稀なる直観の鋭さという特殊能力があったにしても、それだけじゃ主人公にはなれない。まあ、それで宝くじでも買って見事に当てることができれば、話は別だが」

晶華「宝くじって、運じゃないの? 直観で当てるものなの?」

NOVA「当てたことがないから、何とも言えん。いずれにせよ、彼に直観があるかどうかは、俺という人間に曲がりなりにも興味を抱かせて、上手く引き当てた時点で、俺的には証明されていると考える。ただ、その引きの良さを十分に生かせず、好感度を最低値まで削って、さらにどんどん下げている社交力の致命的ダメさと学習能力の欠如で、全く活かせていないという点で、類稀なるポンコツぶりを示しているのがどうもなあ」

翔花「すごいレベルのダメ出しね」

NOVA「俺の職業病だが、相手の間違いやミスの原因の徹底解明とその指摘、そして改善案の提示が習慣化されている。今回は、後付けながら『最後まで諦めずに、こういうふうに解答を書くことができたら、もしかすると、もっと点数を伸ばせたかもしれない。惜しかったよ』と激励すべきところを、『でも、結局、自分で反省して、点数の伸ばし方を研究せずに、何度も同じミスを繰り返す学習能力の欠如はどうしようもない』と悪意で軽蔑してしまっているわけだよ。理由は分かるか?」

晶華「いろいろと、NOVAちゃんを怒らせた原因があるのに、それを全く謝らずに、人間関係を立て直そうとする社交辞令すら、まともに示さないことね」

NOVA「具体的には、以下の3点だな」

 

  1. 故人の山本弘さんへの暴言(地獄行き発言)を謝罪していない。
  2. 散々、負けを認めろと挑発したことへの非礼をなかったことにしている。
  3. つまらないメールをいつまでも出し続けて、他人の時間を削ることへの遠慮がない。

 

NOVA「この3つが速やかに状況修復しない限り、もう、出されたメールを全て着信拒否してもいい加減、いいかな、と考えている。まあ、星矢が終わるまでは、付き合ってみたけれど、もう、ただただ不愉快なメールを我慢して読んできただけだからな。星矢の件が片付いた以上は、もう言い分を聞く義理すらないわけだ」

 

改めて、自分の星矢記事の答え合わせ

 

NOVA「特定個人宛ての最後通牒的な文面はこれぐらいにして、あとは俺の予想や願望の後始末だな。以前の自分はこう考えていたけど、知識や考える材料が増えたことで、こう考えるに至ったということを書き残すのは、ちょっとした趣味だからな。良くも悪くも、自己反省は仏道修行にも通じるわけだし」

 

1.天馬とアローン、サーシャの物語

 

 彼らの物語にいかなる決着をつけるかが、冥王神話というタイトルの作品の骨子だと考えていました。

 しかし、城戸沙織が未来から来たせいで、過去の聖戦の物語が妨害されたために、それをどう修復するかが物語の大筋になることに。

 結果的に、彼らの物語はLost Canvasが完成品で、本家であるべきNext Dimensionは登場人物が正史扱いになりながら、どうも主人公の天馬が活躍しない。未来から来た瞬、紫龍、氷河、一輝にスポットが当たり、天馬の師匠の水鏡のドラマに焦点が当たり、水鏡死後は医士のオデッセウスがほぼ主役のような位置付けで物語が展開されました。

 作者は星矢のコピーの天馬よりも、他のキャラを描くことに夢中になり、タイトルロールの星矢も、その前世の天馬もメインキャラなのに動かない、活躍しない期間が長すぎるという残念主人公という位置づけに。

 しかし、冥王神話というタイトルなので、冥王ハーデス(の依代のアローン)との決着を主人公の天馬がつけることが本来、求められるストーリーのはず。

 作者は、この天馬に何をさせたいのかがよく見えないまま、師匠の冥闘士堕ちした水鏡先生を追いかけ、聖域十二宮を瞬とともに踏破していく流れですが、過去黄金の新たな個性を示したり(とりわけカニ座のデストールさんのお笑い芸人ぶりが今作の白眉要素)、水鏡先生の寡黙に行動で示す漢っぷりとか、絶対無敵の医者の無双っぷりと二重人格的な危うさと、主人公以外でマンガ的面白さ、サプライズを示し続けたわけですな。

 別作者の外伝のはずのLost Canvasが王道ストーリーを構築する一方で、本家が王道から外れたカオスの転がしっぷりで、いろいろな物語を混ぜながら、自作オマージュ展開でファンの興味を惹きつけ続ける。主人公に注目すると、的が定まらない駄作だけど、そういう通り一辺倒の評価を覆すほどの群像劇的な面白さを備えたのが本作なわけで。

 まあ、ハンバーグ定食なのに、ハンバーグ以上にエビフライとか、ふわとろ卵とか、チキンカツなんかがいっしょに付いて来た豪勢なスペシャル料理。ただのハンバーグ定食が食べたければ、Lost Canvasが用意してあるから、そっちを味わってね。本家は「ハンバーグだけじゃない、ごった煮感覚で、ベテランシェフによる様々な味が堪能できます」という豪華なフルコース料理だった、と。

 それでもまあ、ハンバーグ定食……というか、もう定食じゃないな。定番の食事メニューじゃなくて、びっくり箱のように何が飛び出すか分からない、ハンバーグも入った闇鍋みたいなものか。そう、お定まりの、よくある分かりやすい安定した料理じゃなくて、ハンバーグ闇鍋と称すべき作品が、冥王神話NDだ。闇鍋だから、ハンバーグも確かに入っているんだけど、奥の方に埋もれて、別の思いがけない食材が引き当たったりして、ハンバーグ目当てな人には、なかなか当たらずにイライラすることもありながら、それでも他の食材が美味しくいただけるので、ハンバーグにこだわらなければ、豪華なメニューですよ、ホント。

 そして、外伝や派生作をいっぱい広げた星矢プロジェクトの大黒柱として、それらと競争することなく、高みに立った形で各作品のエッセンスを取り入れたりもしつつ、コンテンツのカオスな広がりっぷりを包み込むような壮大な時空譚を紡ぎ上げてきた。そんな中では、天馬とアローン、サーシャの物語なぞ一部に過ぎん、という扱いだったわけで。

 

 ハンバーグ闇鍋を食べ続けて、15年ぐらいが経ったころ、ついにハンバーグにスポットが当たるときが来た。

 眠り続けるサーシャ(リンかけの菊姉さん風味で、沙織さん似の外見のLC版とはキャラデザからして違う)の登場から、ついに本筋到達か、というクライマックス。これまで戦闘経験があまりにも足りていなかった(ろくな戦闘が描かれていなかった)天馬が、オデさんの指導と、女神サーシャの加護と、水鏡を愛したカニ姐さんの叱咤激励で急覚醒。強力な冥闘士を苦戦の末に撃退する金星を掲げて、主人公らしい大活躍を示す。

 ようやくか、という長期連載に付き合って疲れた気持ちと、ようやくだ、というワクワク感が相まって、まあ長かったなあと来し方を振り返ったりもしながら、コミックの過去巻を読み直したりもする日々よ。

 ともあれ、自分の女神サーシャを守って、孤軍奮闘する天馬とそれを応援するために飛来する射手座の黄金聖衣。うんうん、こうでなくっちゃと思いながら、一矢の奇跡で冥界三巨頭の最後の一人と、ラスボスかと思われた無敵アスクレピオスをたちどころに撃退する。

 さすがは射手座の黄金聖衣だなあ。どうして面識のない天馬を応援しに飛んで来たかは謎だけど、まあ、過去か未来の時空を超えた因縁があったのでしょう。大事なのはコミックだから、絵柄の美しさとノリ勢いだ。星矢似の彼が射手座をまとって強敵粉砕というシチュエーションだけで盛り上がれないのは星矢ファンじゃない。

 細かい粗探しは、作品を楽しんだ者の余芸であるべきで、粗が気になって楽しめないのは、結果的に損してる、と思います。粗があっても楽しめるファンであることに誇りを持って、作品語りをしていきたい自分であります。

 

 そして最後に因縁の大剣持って現れたハーデス=アローン。過去編最後のクライマックスです。いきなり、大剣で貫かれて絶体絶命の過去・主人公の天馬。その構図が、同じく大剣が突き立って瀕死の本家主人公・星矢と時空を超えたリンクを果たします。

 21世紀の読者にとっては、過去と大過去の二つの時代が交錯したストーリーで、奇跡を起こしたのは天地崩壊パワーで諸悪の根源と見なされた真のラスボス・城戸沙織の眠りから覚醒した花輪パワー。

 そう、本作のラスボスは、実はアスクレピオスでも、ハーデスでもなく、女神の城戸沙織だったという驚愕の真実(笑)。

 救うべきお姫さまが実は……というのは、レイアースにも通じるのではないか、と無理やり話をつなげておいて(作者はそんなことを考えてなかったろうけど)、とにかく女神の奇跡で、天馬も星矢も無事に救われました。めでたしめでたし。結果よければ全てよし。

 ……と安心して見ていたら、え? 未来から来た女神が帰還したら、彼女の存在でカオス化した過去の物語がリセットされて、なかったことに?

 改めて、真の冥王神話は読者のご想像に任せます。納得できない人は、Lost Canvasをよろしく。そっちも傑作だから、と、外伝を切り捨てない車田御大の配慮に、天が震えて、読者が泣いた。

 

 で、天馬を刺して、奇跡の引き金を引くだけの出番で、去って行くアローン。

 バトルでの決着とは言い難いけども、ドラマとしては想像力を掻き立てる、余韻ある締め方だと思います。2人の友情と、それでも相容れない宿命を匂わせる、駆け足ながらも情感あふれるドラマ的帰結。

 天馬とアローン、サーシャの物語は、未来の女神の干渉で歪められたけれども、彼らなりのドラマとして、風呂敷を畳んでもらったと考えます。

 彼らの物語の決着がついていない? 表面的にはそうかもしれませんが、心の目で読めば、再会と、想いの吐露と、絆の確認と、別れというドラマ的に必要なエッセンスは十分描かれているわけで、一応の決着になっている、と。

 自分には、心の翼が備わっているので、作者が見せたいものは十分伝わったと考えています。最悪、天馬とアローンが再会することなく、互いの心情を確認することもなく打ち切られる可能性すらあったので(件の彼が古文書エンドを初めて語ったときの予想は、そうだと推測)、自分的な解釈では、「派手なバトルにはならなかったけど、ハーデスの剣というギミックで過去と未来の時空リンクを示しつつ、きれいなドラマ的帰結を示してもらえた」という形で満足してます。十分とは言えないまでも、良いものを見せてもらったな、と。

 その後のリセットさえなければ。

 

 いくら辻褄合わせとは言え、今どきリセットボタンでなかったことにするのは、よして欲しかったですよ、車田先生。

 未来女神の来訪で崩壊しかけた過去聖戦の物語が、どのようなその先のエピソードで展開されるのか、あれこれ想像を巡らせていた自分にとって、え? 全てをなかったことに? ってオチはなあ。

 一番、安易な決着のし方で、おいおい、と申し上げつつ、それはそれで悪くないと受け入れている自分がいるのも、また事実。

 それでも、リセットによる辻褄合わせ芸というのは、今どきがっかりなので、その辺はやはり厳しい評価で減点対象に。

 

 だけど、世界を混乱させたラスボス城戸沙織に対しての太陽神による裁きが、さらに物議を醸す結果になったので(いや、悪いのは彼女のテロメアいじって無駄に話を長引かせたクロノスという意見もあるけど)、過去編のリセット騒動は、まだ小さいと言えるわけですが。

 はい、闇鍋ですから、変な不味い食材に当たっても、それもまた一興という大らかな気持ちで、味わうのがマナーですな。リセットという調味料は、自分の舌には合わない禁断の味ということで。

 

2.「天界編 序奏」に通じる話

 

 2004年に劇場公開された、冥王編のその先を描いた物語。

 2006年スタートの冥王神話は、この不完全燃焼に終わった続編のエッセンスを継ぐ物語としての一面も持っています。

 瀕死の星矢の命を狙う月女神からの刺客として、天闘士(エンジェル)の斗馬が出現し、物語に深く関わっていく……と思いきや、あまり関わらないまま、放置されている残念天使くんでした。

 たぶん、初期構想では、過去の冥王神話と未来の天界編をつなぐ壮大な時空譚のつもりだったのでしょう。うん、すごい大風呂敷を広げてみせた。

 それが、書いているうちに、話が上手くリンクしないようになっていく。理由は、斗馬が過去まで沙織一行を追いかけて来なかったことと、瀕死の星矢をあっさり葬って良しとする非情な暗殺者ムーブができなかったこと。

 よくも悪くも、斗馬が思いきりの欠けた、優柔不断なキャラクターにしかならなかったことでしょう。

 まあ、連載が長期化したことで、斗馬をどう動かすかという方針が、作者の中でブレたりしたまま、水鏡先生のドラマと、一輝兄さんと、デストールさんと、紫龍の師匠の天秤座・未来の老師と、オデッセウスさんを描くのに一生懸命で、天使の人を持て余したのが事実でしょうね。

 できれば、冥王神話の初期構想とか、作者の意図とか、そういうのを赤裸々に書いたメイキング・インタビューとか読みたいです。

 

 とにかく、いかにもドラマチックな大物キャラという設定だけは隠し持ってる(まあ、天界編のアニメを知ってると、ちっとも隠せてはいないわけですが)、可能性だけはいくらでも膨らませられた主人公格。

 主人公格は、星矢、天馬、斗馬と3人の馬キャラがいたわけですが(それと馬フェチな黄金聖闘士ゲシュタルトさん)、馬同士が直接の対面と交流ドラマという形ではちっとも絡まずに、それぞれが何だか蔑ろにされちゃったな、本作。

 設定だけあっても、作品内で描写されていなければ、意味がない(二次創作のネタにはなる)ということを如実に示したキャラが、斗馬さんだと考えます。

 

 いやあ、好きなんですね。

 可能性には満ちあふれていたのに、本編での扱いが残念だった可哀想な子って。もう、こういうキャラがいてこそ、二次創作脳がうずくというか、設定を借りて補完したくなる。愛を注げるというか、イジり芸のオモチャにできるというか、隙間だらけで埋めたくなるというか。

 そんなわけで、もう冥王神話での活躍は望めないから、仕切り直して、天界編に続く橋渡し的なキャラとして先行登場した扱いでいいよ。君の活躍は、冥王神話の後だ、楽しみにしておく……と考えた時期がありました(遠い目)。

 

 だけど、終盤の終盤に来て、突然、死にかけた星矢を助けに登場。

 え? 君、いきなり出てきて、何の伏線もなく、唐突さ抜群のいい人ムーブをかましてるの? 後から心情を語って補完する尺はもうないよ。そんなに、お姉さんにいいところを見せて、ファンに健気な斗馬くん萌え、と言わせたい? そこまであざといキャラだった?

 と、いろいろ困惑しつつ、結局は出てきただけで、星矢救出には何の貢献もしていないような、やっぱり残念天使な扱いに、うん、それでこそ、斗馬くんだと納得の笑みを浮かべるNOVAでした。

 こんな感じで、残念が天衣(グローリー)をまとって迷走神話している感の斗馬くんですが、最後は結局、月の牢獄に捕まって終わってるの。この斗馬くんこそ、早急に外伝エピソードで主人公格に持ち上げて、救済してあげないといけないキャラ筆頭じゃないか、と主張するわけですが、

 まあ、それが二次創作になるか、公式スピンオフになるか、「残念天使・斗馬くん」というゆるキャラ4コママンガでもいいし、「天闘士(エンジェル)斗馬」という星矢もどきの作品タイトルで、「サイレントナイト翔」とクロスオーバーを図る残念タッグで、一躍化ける企画はどうでしょう? 妄想のタネは尽きまじ。

 星矢もどきの残念キャラとして、日の目が当たらない斗馬くんと、残念の先駆者である翔先輩が、1人1人では小さい残念だけど、1つになれば、ごらん無敵だ? の夢企画を妄想しながら、こんなW主人公コラボマンガを思い出したりするNOVAです↓

 

 それはさておき、本作のラスボスにして、最終1話前にさっそうと登場した天界よりの使者、太陽神アポロンお兄さまですな。彼の厳格にして人情味も備えた御奉行裁きで幕を閉じるのが本作だったのですが、その意味で、文字どおりデウス・エクス・マキナの役割も背負ったキャラです。

 これも視点によるわけですが、主人公の復活星矢にとっては最後のバトル相手であり(あっさり負けたけど)、女神の過去探訪によって生じた18年のカオスの物語を収拾つける秩序の徒であり、この世界における神の威厳を復活せしめる立役者であり、城戸沙織の真の願い(ただの人間として生きる)を実現させたナイスガイだったりもします。

 もう、作品世界最強キャラのポジションを、たったの2回の登場でつかみ取りましたよ。さすが神(天帝は顔を見せていないのでノーカン)。

 

 世界を混迷させた元凶をボスと見なすなら、女神アテナ城戸沙織こそがカオスの根源であり、それを誅すべしとは、過去教皇やオデさん、水鏡先生、未来の老師・童虎など過去聖闘士の多くが発言したセリフ。

 そう、善悪ではなく、秩序と混沌の話なんですね。瞬を初めとする未来聖闘士の視点では、沙織さんは身内で、主君で、守るべきヒロイン、プリンセスの役割だけど、世界の秩序を守る立場の者には、人間の神に対する傲慢と秩序崩壊の源となった。

 冥王ハーデスとの戦いで人間文明を救った聖闘士ですが、その強大な力が個人のエゴで、世界を破滅に追い込むという逆視点の物語で、「役割を果たし終えた英雄は、世界を統べるか、世界を乱さないよう表舞台から消えるか」の選択を迫られる話なんですね。

 そして、これが天界編に発展すれば、人による神の秩序への挑戦で果てしない戦いが延々と続く。つまり、沙織を人類代表の善とすれば、秩序を担う神が悪という構図になって、そういう道を星矢の物語は良しとしなかった。

 バトルマニアとすれば、太陽神アポロンを倒して、次は天帝ゼウス出て来い、とか、リンかけで描いたような展開の焼き直しになるところですが(自分も含めて、それを期待したファンも多かったと思う)、公式の結論としては、神に対する永遠の闘争はなし、ということで。

 

 実は、ギリシャ神話の女神アテナは、戦女神であるとともに、法と秩序を重んじる都市の文化文明の象徴であり、知恵の女神でもある。本作の沙織さんは、知恵とは縁遠く、戦いと自己犠牲による人類の盾を司る役どころですが(矛の役が聖闘士)、公正な裁きを担当するのが本来の神としての権能。

 ただ、今回、公正な裁きを兄のアポロンが担ったことで、公正さを失ったアテナは神としての権能を奪われて人の身に。そして、人として生きて行くためには聖闘士の過剰な力が邪魔になる。

 ある意味、ウルトラマンの力と分離して、ただの人間として記憶を失ったハヤタ隊員(後の物語でまたウルトラマンになりますが)みたいな状態。まあ、主人公たちの物語や記憶にリセットがかけられ、最後に日常回帰する物語は、本作以外でも数多くありますし、その意味で斬新ではないけれど、1年間ほどのアニメや特撮ヒーロー物じゃなくて、18年ですからね。星矢シリーズ全体を考えるなら、来年で40周年という佳節に、こんな形で終わらせることの賛否両論はあるでしょう。

 自分もいまだに気持ちの整理ができずに、賛否で頭の中が千日戦争状態ですし、創作脳としてはカオス好きなので「面白い、もっとやれ」派だけど、アポロン御奉行の裁きは納得しております。沙織さんを神の宿命から解放して、人として新たな生を送ることを認めたわけですからね。

 最後の最後で、いいキャラを出してくれました、車田御大。

 

 リンかけの時もそうですが、アポロンって主人公たちに対して、毅然としながら親和的なキャラになるわけですね。2代めが失墜したゼウスと違って、アポロンは威厳が崩れたことはないのではないでしょうか(まあ、相棒のバルカンともども、サンドバッグにはされていましたが、それも主人公たちの義憤を煽る役回りでしたし、人として格好悪い描写ではない)。

 で、今作のアポロンは、絶対非情な裁きの神であるかのように見えて、裁きの後から妹のアルテミスと神界における人情(神情と言うべきか)を示してくれましたから。

 あくまで裁き。激怒して、人類皆殺しじゃ〜と頭の悪いことを叫ぶキャラじゃない。沙織さんに対して、「このままだと、お前は全ての神を敵に回すぞ」と警告する役回り。

 秩序を壊さないために、どうしたらいいのか、と沙織さんの覚悟を問いつめ、神の座から下ろさせてやる。まあ、人に対して傲慢な神の視点を改めたりはしないのですが。

 人と神の間の線引きについては、個人の宗教観の問題なので、何が正しいかは言えませんが、これまで人視点の物語として描かれた星矢で、悪ではない秩序重視の神視点という姿を示したことで、いい勉強になったかも。

 

3.元・女神と元・聖闘士の話

 

 で、アポロン裁きで、平和な世界に転生した沙織お嬢さまと、瞬くんと、星矢くん(天馬くんじゃないよね)。

 他のキャラがどうなったかは描かれていませんが、ドラゴン紫龍だけは確実に予想できる。五老峰で妻子とともにハッピーな家族生活を営んでいることでしょう。もしも、紫龍と春麗の出会いまでなかったことにされると、アポロン、ひいては車田御大への好感度が音を立てて崩れる可能性が。

 記憶喪失エンドは、戦いから解放するための理屈として納得ですが(想定外のサプライズであるものの、過去編でも見せてるので唐突ではない)、元の平和な日常ハッピーという既成事実まで壊してしまうのは受け入れ難し。

 他のキャラは根拠なしの妄想しかできませんが、できれば11月の単行本の際に、おまけエピソードとして、それぞれの平和な日常を加筆して欲しいなあ。まあ、ないものはDIYで補完するのが健全なオタクライフですが。ないから不平ばかりというのは、未熟か不健全ってことで。

 ともあれ、アポロン御奉行による世界改変がどこまでの範囲で及んでいるかが問題ですが、少なくとも沙織さんがお嬢さまをやってるのは間違いない。これで、沙織さんがどこかのスラムで、野良猫のようにワイルドで血を流す武闘派女神の成れの果てみたいなことをやっていたら、目も当てられません(それはそれで面白そうだけど)。

 まあ、瞬の後ろでストーカーしてそうな過保護兄さんとか、ママのお墓参りは欠かさない氷河とか(墓はシベリアではなく日本にある、良い改変)、いろいろ思いつくのです。でも、それで面白く描けるかどうかは不明なので、あくまで脳内イメージでしかない、と。

 

 で、星矢と沙織お嬢さんが記憶を失って、互いにすれ違うラスト、その背景にアイオロスの遺言、というのは、自分でも全く想定外のラストですし(アテナの人間化までは想定していた)、これの解釈をめぐって、ファン同士が意見のやり取りをするのは大いに楽しそうと思っています。

 まあ、あくまで、もう聖域(サンクチュアリ)はないよ、時の彼方に埋もれたよ、人と神の交流譚は終わったよ、人は人らしく生きよ、という意味だと受けとっておきます。

 それはそれとして、アイオロスのメッセージは、「少年たちに女神(アテナ)を託す」ですから、この少年たちを自分も含む読者のみんな(少女でも可)と解釈している意見もあって、よし、これで女神(アテナ)を託されたから、二次創作で好きに使ってよし、と作者のお墨付きがもらえて、よっしゃラッキー、という意見もあって笑いました。

 そうか。女神が自由に使えるなら、従者たる聖闘士たちもフリー素材だな。たっぷり愛を注ぎ込んでやるぜ、という(そこで純粋に美しいドラマにするか、邪な欲望のネタにするかは同人作家の性質次第)、ファンの逞しい妄想魂に賛同する自分であります*2

 まあ、許可がなくても、すでにやってる人はいっぱいいると思いますが(自分もカニ座の聖闘少女というネタでゲームブック記事を書いたし)、ファンのペガサス幻想はまだ終わらない、という形で、本記事を締めくくりたいと思います。

 

 長文読了、お疲れさまでした(m0m)

(当記事 完)

*1:兵庫の方言。どアホぐらいの意。

*2:ただし、やり過ぎると、神の怒りを買って、神罰って話も提示されましたので、傲慢にならずに程々に、と主張しておきます。