妖精郷の冒険再開の儀
GM(セイリュウ)「ほぼ20日ぶりのフェアリーガーデンを再開するぞ」
ミリィ(晶華)「前回、あたしたちは霧の街の地下水路からやって来たカニの亡霊を退治したのよね。その時の経験点と戦利品を下さい」
GM「そんなGMの関知しないところで勝手に行われた戦いに、経験点など与えられるはずがなかろう」
ミリィ「ええ? ハイラスおじさんがGMじゃなかったの?」
GM「次元ドルイドと、わしは別人格だ。その間、わしは深い眠りに就いていたので、カニとの戦いは記憶にない。わしにとって前回のプレイは、この回ということになる。タイトルに(SWフェアリーガーデン)と付いていない記事でのやり取りは無効と裁定する」
ミリィ「だったら、今からカニ退治の記事にも(SWフェアリーガーデンEX1)と付け加えて……」
GM「後付けでタイトルだけ書き換えても、わしが納得せんものを認められるか。小細工せんと、自己紹介せよ」
ミリィ「ええ? どうして今さら自己紹介? このブログの熱心な読者さんは、天才妖精使いのカシュミーラのことぐらい、とっくに知ってるわよ。知らないようなダメな読者さんは、フェアリーガーデンタグを使って検索すればいいだけだし」
GM「『剣の恩寵』ルールで、冒険の宣誓を込めた自己紹介をするように定められておる。忘れたなら、一月前のこの記事を読み返せ」
ミリィ「ああ。ほんの一ヶ月前は、汁なしタンタンメンが旬な話題だったのね。今となっては、時代遅れのネタもいいところだけど。汁なしタンタンメンの時代は短かったということで」
GM「お前は自己紹介しろと言われて、どうして汁なしタンタンメンの話題が出てくるのだ? カシュミーラのこだわりは、汁なしタンタンメンなのか?」
ミリィ「そんなわけないでしょう。ええと、天才妖精剣士のカシュミーラ・ミルモワールは、現在、ライダー技能を手に入れて、来月にはドルイド技能も習得できたらいいなあ、なんて思っています。今のこだわりは、ペガサスライダーを目指すことなので、ラッキーな風の妖精との付き合いを濃くしたいです。だから、キーワードは『ラッキー』と『空』ね。グレムリンじゃなくて、クウガさんの方」
サイバ(NOVA)「YouTubeで配信されているライダーネタは、分かる人にしか分からんので程々にな。ぼくはサイバ☆リオン。文豪にして、魔法使いにして、弓使いだけど、剣豪じゃない。とにかく、こだわりは『小説や物語を読んだり、ネタ集めをすること』と、『劇的な試練を乗り越えること』だ。だからキーワードは『小説』『物語』『試練を果たす』など。自分は自分の物語の主人公なので、大変なピンチに見舞われても、それで終わってしまうことはない、と楽観的に信じてる。その分、主人公として恥じない生き方をしなければ、ご先祖様に申し訳ないと殊勝に考えたりしているわけで、真面目に前向き、建設的に振る舞うつもり」
マークス(ケイPマーク2)「私はキャプテン・マークス。エマお嬢さまに仕える忠義の騎士にして船乗り。行方不明のエマお嬢さまを見つけたはいいものの、吸血鬼の人質にされて、どうしようかと煩悶中。とにかく、お嬢さまを助けるためには強くならないといけないので、キーワードは『お嬢さまのため』と『鍛えてます』。密かに、裏ルートで手に入れた『お笑い魔神マッスル太郎伝』の愛読者だったりもします。最近、続編の『魔神ハンター・マッスルG太郎伝』が執筆中とかで、楽しみにしているとか」
GM「うむ。わしが寝ている間に、魔神ハンターの物語も無事に始まったようだな。時空魔術師よ、リプレイの書き手として今後はどういうペースで書いて行くつもりだ? 熱心な読者が執筆ペースを気にしているだろうから、ここで意思表明しておくといいぞ」
サイバ→NOVA「了解。とりあえず、妖精郷第2部と、魔神ハンター第1部は同時並行で『1ミッション終わったら切り替わる』というペースで書いてみようかなあ、と考えています。妖精郷第2部が終わってから、魔神ハンター第1部という流れだと、なかなか話の続きが書けないことで焦りそうになるので、小刻みに切り替えるといいのかな、と」
ミリィ→晶華「パグマイアのワンデルヴァー・リプレイの方はどうするの?」
NOVA「あっちは俺がガイド役だけど、こっちで俺がプレイヤーをしているうちは続きを書く気分にはなれないんだよな。一応、こっちで俺のプレイヤー代役を考えてはいるんだけど、今しばらくはこちらに専念ということで」
GM「時空魔術師の代役だと? お前は自分の娘の救出を、代役に任せようと言うのか?」
NOVA「いや、他人に任せるつもりはなくて、優秀なコピー人格を考えているんだけど、そのための準備がまだ整っていないんですよ。全てはフェアリーガーデンのプレイの動向次第ってことで」
GM「何をしようと目論んでいるかは知らんが、下手な小細工はこのわしには通用せんぞ」
NOVA「いやあ、下手な小細工なんてしませんよ。やるなら、上手な大細工ってことで」
GM「??? とにかく、今は第2部を開始する。プレイヤーモードではなく、キャラに戻れ」
NOVA→サイバ「了解」
晶華→ミリィ「では、再び妖精郷に行くよ〜。本の中の冒険世界にいざ出発ぅぅ♪」
ケットシーたちのミッション
GM「時は冒険を始めて14日めの朝。13日めの深夜に武具鍛治師のケットシーであるニョッキを連れて、おもてなし亭に帰還したお前たちは、夜明けまで熟睡し、翌朝、5人集結したケットシーたちと朝食をとりながら、現状の情報整理と、今後の打ち合わせを行う場面だ」
グラタン『みなさんのおかげで、このおもてなし亭も、5人まで揃って、昔のように賑やかになりました。残りは、ラクシアへの転移門を管理しているフィットチーネと、妖精王の城への入城管理をしているラザニアが見つかれば完璧なんですが、今はまだ二人の行方の手掛かりは分かっていません』
サイバ「シナリオという運命の書物によれば、フィットチーネ探しのミッションが発動するのは、パーティーの平均レベルが5になってから。ラザニア探しのミッションはレベル6になってから、とのこと。今のぼくたちは、キャプテンだけがレベル4、他の2人がレベル3なので、平均レベル3。しばらくは別のミッションを引き受けて、レベルアップを頑張らないと、ストーリーを進めるフラグが立たないんだ」
グラタン『レベル4になれば、ぼくのお使いというランダムミッションを受けれるようになるけど、それまでは他のケットシー4人の依頼するミッションから自由に選んで、経験を積むといいよ』
ミリィ「4つの中から1つ選べってことね」
マークス「経験を稼いで強くなるためには、最終的に全部攻略することになるのでしょうけどね」
ミリィ「こういうのは、どういう順番で攻略を進めるかで、ストーリーの変化を楽しむものなのよ。さあ、天才のあたしに解決して欲しい事件があれば、どんどん言いなさい」
ペンネ『じゃあ、わいから言わせてもらうわ。実は、最近、交流が始まった羊ヶ原の村から、薬草を注文されたんで、お届けに行って欲しいんや。それと、ついでに2つほど他のお使い任務もセットで頼みたいんやけど』
ミリィ「この天才のあたしたちに、そんな雑用をさせるって言うの?」
ペンネ『いや、雑用言うても大事な人との交流仕事やさかい、快く引き受けて欲しいんやがな』
ミリィ「その仕事をしたら、お金がもらえるのかしら?」
ペンネ『いや、わいらはネコの妖精やさかい、お金には執着してへんのや。ネコに小判ちゅうて、ネコとお金は縁が薄い。わいらは奉仕の心が具現化した妖精やから、何事も人助けで行動しよる。お金が欲しければ、魔物を倒した戦利品でまかなったり、人族の村で別口の仕事を引き受けたらいい。ネコにお金を要求するのは間違っとる。少なくとも、この妖精郷ではそういうルールや』
ミリィ「だったら、お金以外のメリットを提供しないとね。あたしは騎獣の維持費のためと、将来はペガサスライダーになるために、お金に飢えてるの。ワンダーでシャイニィなお宝情報でもあれば、喜んで動くんだけどね」
ペンネ『メリットかあ。だったら、薬草お届けミッションを果たした次は、温泉が復活するミッションを受注できる。将来の温泉に向けての下積みってことで、引き受けてくれへんか?』
ミリィ「温泉かあ。悪くはないけど、もう一押し欲しいわよねえ。あなた、薬草園を経営しているんだから、薬草やポーションをお礼にくれてもいいんじゃない?」
ペンネ『薬草かあ。だったら、薬草園で採れるパイプ草を3つってことでどうやろか?』
ミリィ「パイプ草ね。確か、イベントアイテムだったかしら?」
サイバ「そうだね。煙草好きの森にいるエントレットが欲しがっていたけど、薬草園で採れるんだ。そういうことなら、イベント進行のために受注してもいいかも」
ミリィ「とりあえず、他のケットシーからも話を聞くわ。今は保留しておくわね」
ドリア『ホーホホホホ、優秀な魔法工房管理人のわたくしが持てるポテンシャルを最大限に発揮するには、頭の滋養になる糖分が必要なの。スイーツ作りのために【大樹の森】に行って、蜂蜜こと〈ロイヤルゼリー〉を10個集めて来てくれないかしら?』
ミリィ「却下」
ドリア『どうしてよ?』
ミリィ「人助けのお使いならまだしも、あなたの場合、完全に私利私欲じゃない? ケットシーの奉仕の心ってのはどうなったの?」
ドリア『自分が飢えているのに、奉仕の心なんてのは絵空事よ。まずは自分の心を豊かにして、それから豊かな心で人々に幸せをお裾分けするのが、わたくしの優しさ。自分に優しくなれないケットシーに、他人を助けることなんてできない。自分も幸せに、かつ他人も幸せにってのが、わたくしの哲学。身を粉にして働いて、自分が潰れてしまえば誰も助けることができない。楽しく充実した気分で、人にも親切にしてあげても良くってよ……ってのが、わたくしの勤労精神であり、無償の慈愛というのは、それで自己満足できる他人様に任せているの。お分かり?』
ミリィ「その哲学、分からなくはないけど、もう少し言い方ってものがあるでしょ?」
ドリア『どんな言い方ならいいと言うのよ? 批判するなら代案を言うのが筋ってものでしょ』
ミリィ「そうね。スイーツは世界を救う。人々を幸せにするために、美味しいスイーツを研究するの。そして、スイーツ作りに必要な〈ロイヤルゼリー〉は、貴重なマジックアイテムを作る材料にもなるので、一石二鳥云々とか……」
ドリア『じゃあ、それで』
ミリィ「……あたしにも美味しいスイーツをご馳走すること。それが仕事を引き受ける条件よ」
ドリア『仕方ないわね。このドリア特製のスイーツが報酬よ』
ミリィ「だけど、別に緊急性を要する仕事じゃないわよね。今は保留ってことで」
ドリア『ああ、それと旅先でブラウニーを見つけたら、そいつらもここに来るように指示しなさいよね』
ミリィ「分かってるわ。今までもそうして来たでしょ?」
ドリア『分かってるならよろしくてよ。ホーホホホ』
パスタ『あのう……以前に申し上げたかもしれませんが……〈風の呼び子〉という笛を空から落としてしまいまして……それを探して欲しいんです』
ミリィ「確か、その笛がないとペガサスを召喚できないって言っていたわね。よし、最優先で引き受けるわ」
パスタ『本当ですか? ええと、何もお礼はできませんけど』
ミリィ「大丈夫。あたしはこの妖精郷に冒険をしに来たんだから。ペガサスファンタジー、そうさ、夢だけは誰も奪えない心の翼だから♪ そう、ペガサスに乗るのは、夢のファンタジー。心の翼のためだったら、お礼なんていらないわ。まあ、騎獣1回分の使用MMを無料にしてくれるなら、大助かりなんだけど」
パスタ『……そうですね。だったら、このミッションの1回分は、使用MMをこちらで立て替えます。それでよろしいでしょうか?』
ミリィ「よし、交渉成立。では、最初のミッションはこれで確定よ」
ニョッキ『おい、俺の依頼を聞いてはくれんのか?』
ミリィ「無理よ。どうせ、崩れゆく場所のトラブルを何とか解決しろってことでしょ? 今のあたしたちには、事が大きすぎて天才の力をもってしても、すぐには解決できそうにないわ。そんな大仕事は後回しよ」
ニョッキ『いや、確かに妖精郷が崩壊の危機にあるのは一大事だが、俺の頼みたいのはもっとささやかながら、俺の仕事に関しては重要な問題なのだ』
ミリィ「何よ、それ? ささやかだけど重要って、どういうこと?」
ニョッキ『うむ、世界の危機に比べればささやかなんだが、この問題が解決しないことには、俺がまともに働けんという意味では重要だ』
ミリィ「あなたが働けない? 何で?」
ニョッキ『復活した鍛治工房なんだが、炉に火が入っておらんのだ。火がなければ、武器も防具も鍛えられん。鍛治炉に火を灯すには、炎の妖精エインセルの助けが必要だ。俺の知り合いに、フリアというエインセルがいる。彼女を呼びに【炎の穴】に行ってくれんか?』
ミリィ「イヤよ。自分の仕事に必要な相方なんでしょ? 自分で呼びに行きなさいよ」
ニョッキ『そうしたいのは山々だが、崩れゆく場所でどうも足を挫いたらしくてな。おもてなし亭に着くまでは大したことがなかったんだが、どうも無理をし過ぎたみたいで今朝からズキズキ痛むんだ。日常生活なら問題ないが、遠出をするとなると心許なくてな』
ペンネ『ニョッキの旦那、大丈夫でっか? 痛み止めの薬草があるさかい、応急手当ぐらいは任せてな。うわっ、酷いことなっとる。この足でよく歩けたもんや』
ミリィ「そんなに酷いの? 怪我してるって言ってくれたら、帰りはノマちゃんに乗せてあげたのに」
ニョッキ『気合いが入ってるうちは痛みも気にならなかったのだが、ここに到着して気が抜けたのか、急に痛み出してな。なまじ体が頑丈だと、苦痛に鈍感になるものかもしれん』
ミリィ「仕方ないわね。怪我ネコの頼みじゃ聞かないわけに行かないじゃない。とりあえず、依頼内容を整理しましょう。リオン様、よろしくね」
サイバ「こんな感じでいいか」
★妖精郷レベル3のミッション
ペンネ「薬草その他の配達」
ドリア「蜂蜜の採取」
パスタ「風の呼び子の捜索」
ニョッキ「炎の妖精エインセルのフリアの探索」
ミリィ「優先順を考えると、騎獣関係のパスタさんが最初で、次に待ち人のいるペンネさんの配達が2番めってところかしら」
サイバ「ペンネ君からパイプ草をもらったら、エントレットのイベントが解決しそうだしね」
マークス「その次は、ニョッキさんの方ですか。ニョッキさんがいなくても、Bランクの武器や防具はグラタンさんが作成できます。誰かが《武器習熟》や《防具習熟》の戦闘特技を習得しない限りは、ニョッキさんは休んでもらって構わないでしょう。足の怪我が治るまで療養してもらうことも大切ですし」
ミリィ「最後はドリアさんのために蜂蜜集めて、みんなでスイーツパーティーを開いて、第2部完ってのが良さそうね」
サイバ「そんなところだろうな。それより、グラタン、妖精郷崩壊の危機について、もう少し詳しい話を教えて欲しい。今すぐには解決できないにしても、ぼくたちが抱えている問題について、全く何も知らないままというのも寝覚めが悪くて、落ち着かないからね」
ミリィ「リオン様が落ち着かなくて寝覚めが悪いのは、別に理由があるんじゃないの? まだ妖精のいたずらで【レジスタンス】の呪歌って鳴り響いているんでしょ?」
サイバ「そんなこともあったか。今はワンダバメドレーが延々と続いているのかも」
寄り道ワンダバ
ミリィ「うわ、初音ミク版だと、何だか呪われてる感じね」
サイバ「ウルトラ防衛チームのメドレー動画だと、こんな感じかな」
ウルトラマン 地球防衛軍メドレー ワンダバメドレー / Ultraman Defense Team Theme Medley - Cover
ザ ウルトラマの科学警備隊が戦ってるとこのBGM(宮内さんオンリー)
Wandaba Team Eyes Song Ultraman Cosmos
ミリィ「うわー、ワンダバってこんなに種類があったんだ」
サイバ「プレイヤーとしては、ストレイジバージョンのワンダバも音源が欲しいなあ、と思いつつ。とりあえず、ウルトラ防衛チームの曲が流れると気合いが無意味に入っている、ぼくがいるわけだ。なお、似て非なるものがこれらだね」
☆「ファイヤーマン」(1973年)地球科学特捜隊 SAF ~昭和特撮名場面集~ 岬 大介 海野 軍八 水島 三郎 千葉 太 葉山 マリ子 誠直也 睦五郎 岸田森 平泉征 円谷プロ 第2話 若槻文三
☆「ジャンボーグA」(1973年)SGM ジャンボフェニックス ~昭和特撮名場面集~ ジャンボーグ9 村上浩隊長 和崎俊哉 野村 由起 市地洋子 立花 ナオキ 立花直樹 第32話 安藤豊弘
GM「というか、円谷系の防衛チームのテーマをひたすら動画で挙げて、お前は何がしたいんだ、時空魔術師よ」
サイバ「いや、前のミッションの終わりに、妖精が1日中【レジスタンス】の呪歌を鳴らし続けるってイベントがあったから、想像してみるとこんな感じかな、と。さすがに、これを1日中鳴らされるとたまらないなあ、せいぜい5、6時間なら我慢できそうだけど……ということで、サイバ☆リオンの14日めは寝不足ペナルティーで判定にマイナス1を甘んじて受けます。誰かがサイレンスの魔法を掛けてくれていたら別だけど」
GM「さすがに、実時間で20日も前のイベントでこちらがいつまでも煩わされるのも鬱陶しい。よって、おもてなし亭に着いたときに、グラタンたちが秘密のネコ魔法で妖精のいたずら効果を振り払っていたということでいいぞ」
サイバ「それならそうと早く言ってくださいよ。挙げた動画が、フェアリーガーデン的には何の意味もなく、レトロな円谷ヒーローマニアを喜ばせるだけになってしまったじゃないですか」
GM「そういうのを逆ギレと言う。大体、わしは怪獣だからして、防衛チームの曲を聞いて落ち着けると思うか。ひたすら攻撃されて、苛々するだけだ」
サイバ「どっちにしろ、根源的破滅招来体が迫っていて、妖精郷が危機って話を聞かせてくださいよ」
GM「別に根源的破滅招来体は関係ないがな」
妖精郷の危機の話
GM「グラタン曰く、妖精郷を維持するには相応の魔力が必要なんだが、ラクシアとの接触を絶たれてしまったために、ラクシアから魔力を補充できなくなって、自前で蓄えた魔力で世界を維持しないといけなくなった。それでも、これまでは何とかなったんだけど、最近、魔力が枯渇してきたせいで、いろいろと綻びが出るようになった。世界自身が危機を覚えたのか、勝手に魔力を確保するために外部への転送ゲートを開き、それに巻き込まれて妖精郷に引きずり込まれる人が増えるようになったらしい」
ミリィ「ええと、誰かが意図的にゲートを開いているのではなくて、防衛本能を持った世界が自分を維持するために、勝手にゲートを開いたってこと? 世界を管理する人はいないわけ?」
GM「本来は、それがアラマユであり、妖精王ということだ。しかし、アラマユが姿を消し、妖精王も城とともに湖に沈んで眠りに就いた。今の妖精郷に管理人はおらず、それに一番近い従僕がグラタンたちらしい。そのグラタンたちも、アラマユや妖精王に何が起こったかは知らないそうだ」
ミリィ「だから、妖精郷は新たな管理者として、あたしたちを選んで招き入れたのね。いいわ、その依頼はしかと引き受けた。アラマユさんと妖精王公認で、あたしが妖精郷の女王になってあげる。さあ、世界を救う旅に出るわよ」
サイバ「落ち着きたまえ、ミリィ。世界を救うためには、世界が危機に瀕している理由を探らねばならない。ニョッキは魔神の仕業がどうこうと言ってたし、妖精郷が魔力を確保するために、魔界の門をうっかり開いてしまったとか、そういう話になるのかな?」
ニョッキ『うっかりというか、最初は偶然、ラクシアの地上だけでなく、魔界と呼ばれる場所にも門が開いてしまったんだと思われる。そこから引き込まれた頭のいい魔神が、自分たちの故郷に戻るためか、それとも妖精郷を魔界と同じ環境に変えるために、妖精郷の崩壊を早めて、魔界の門を開く儀式を敢行しているんじゃないか、と俺は踏んでいる』
サイバ「その根拠は?」
ニョッキ『俺は鍛冶屋にして採掘師だ。この妖精郷の大地の物理的構造については、それなりに詳しいと自負している。俺の熟練の見立てでは、大地があんな急速な崩れ方をするのは自然現象じゃない。自然現象じゃなければ、妖精郷の崩壊を早めている奴がいると考えるのが当然じゃないか。あそこに出現したインプをとっ捕まえて、口を割らすことができれば良かったんだがな』
サイバ「前のミッションでは、魔神の言葉が分からなかったんだ。今度は覚えたから、次に魔神と出会えば情報収集できるかもね。とりあえず、妖精郷の破滅を目論んでいる何者かがいる。そいつを見つけ出して、倒せば、ぼくたちは勇者になれるってことだな。化けガニを倒したスーパーヒーローのぼくなら、きっと運命が味方してくれるさ」
マークス「あのう。白百合の谷の吸血鬼が世界崩壊の元凶ということはないでしょうか?」
サイバ「たぶん、違うと思うな」
マークス「どうしてですか?」
サイバ「崩れゆく場所が、白百合の谷に近いからだよ。もしも、仮にぼくが世界を崩壊させたいにしても、自分の安住の地の近くを崩したいとは思わない。吸血鬼ってのは、どちらかと言うと永遠の生を享受するために、世界そのものは潰れて欲しくないものなんだよ。自滅願望の吸血鬼でもない限りね。まあ、その吸血鬼の活動範囲とか頭の良さに左右されるのかもしれないけど。
「仮に、世界を滅ぼす力が手に入ったとして、まず自分の家の近くから滅ぼしたいと思うだろうか? まあ、たまたま手に入れた滅びの力しか持たない、それ以外は無能で非建設的で恨みに凝り固まった輩なら、自分も巻き込んで世界よ滅べ、とやらかす可能性も考えられるだろうけど、白百合の谷で出会ったディアナ・ラフィーダはそういうタイプじゃなかったと思う。短絡的に世界を滅ぼすつもりなら、ぼくたちと人質を使って交渉したりはしないだろうしな」
ミリィ「つまり、妖精郷を滅ぼしたい勢力と、吸血鬼のディアナさんは別ってこと?」
サイバ「現状から分かる推測だけどね。別の可能性として、吸血鬼が行なっている何らかの儀式が魔力を大量に消費し、妖精郷の崩壊を早めているけど、本人はその事実に気付いていないというケースも考えられる。だけど、今の段階では考える材料が不足しているので、憶測に憶測を重ねるだけにしかならない。思いつきの妄想だけなら何でも言えるのが、小説家ってもんだ。だけど、立派な小説家というものは、事実と空想をむやみに混同したりはしないと思う。事実は小説よりも奇なり、とも言うしね」
ミリィ「どっちにしても、今のあたしたちの力じゃ、高レベルの吸血鬼を相手にすることはできないわ。まずは、ペガサスライダーになって空中戦が自由にできるようにならないと」
パスタ『それでは、まずは、わたしの笛探しからお願いします(ペコリ)』
ミリィ「任せて。妖精郷の平和を守るためにも、騎獣の力が必要だと思うし」
(当記事 完。すぐに「妖精郷の、風笛探し」に続く)