Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

コングとゴジラの話

2024GW映画話その3

 

NOVA「よし、日曜に見た映画の話3つめ行ってみよう」

晶華「あ、私はパス。ファイナルファンタジーを遊んでいるから」

翔花「わたしもいい。今は浮遊大陸を出たところ。それに見ていない映画の話はどうでもいいので、NOVAちゃん一人で進めて」

NOVA「お、おい。晶華はともかく、翔花はモスラの力を宿している怪獣属性もあるんだろう? 自分に関することを勉強したいとは思わないのか?」

翔花「モスラの力は、屋久島に封印しているから、今はいい。また、記事が完成したら、後から読んで勉強するから、頑張って記事書きしてね。あ、水の神殿を見つけた。見渡す限り海ばかりで見つけるの苦労したんだから〜」

晶華「たまには、アシスタント抜きで、一人でやったら?」

NOVA「う〜ん、せめて話し相手が欲しいんだが……」

 

謎の声「お困りのようでごわすな」

NOVA「おお、調達屋。ちょうどいいところに……って、調達屋なんて呼んだ覚えがないんだが?」

謎の声「もちろん、吾輩は調達屋ではないでごわす」

NOVA「その吾輩ごわす口調は、まさかのカニコングか?」

カニコング「おお、さすがは作者どの。よくぞ吾輩の正体を見破ったでごわすな」

NOVA「カニコングなんて呼んだ覚えはないんだが? どうやって、勝手にこの塔に侵入できたんだ?」

カニコング「いや、コングの名前を呼ばれたからでごわす。ことわざにもある通り、『噂をすればカニ』とも言うわけで」

NOVA「言わねえよ。カニじゃなくて、影だ、影。しかし、お前はパワーファイターであって、そんな忍者みたいな神出鬼没の潜入能力はなかったはずだが」

カニコング「フッ、作者どのは吾輩が元タイムジャッカーにして、快盗団マーキュリー・バットの一員であったことを忘れているようでごわすな。2020年秋の失態以来、キングの称号を剥奪されてからは不遇の立場に甘んじて来たが、臥薪嘗胆の末に『トカゲ王の島』にて次元跳躍の技を(期間限定で)身につけたでごわすよ」

NOVA「『トカゲ王の島』か、なるほど。俺は作者だからよく分かった。まだ分かっていない読者の方は、当ブログ時空の世界の理を知るためにも、こちらのゲームブック攻略記事を読むのがお勧めだ」

カニコング「ともあれ、このブログ時空において、コングと言えば、このキングの称号を剥奪されたカニコングを置いて他にごわさん。吾が触手帝国の夢のためにも、今が旬のコング映画『新たなる帝国』の話はぜひとも拝聴したいと思い、馳せ参じた次第」

NOVA「ほう、そんなに俺の話が聞きたいか」

カニコング「是が非でも」

NOVA「ならば、話そう。全ての始まりは今から70年前の昭和29年、最初のゴジラが誕生したとき……」

カニコング「いや、そこまで遡るのはちょっと。吾輩はコングの話が聞きたいのであって、ゴジラは今回の映画では客引き用のゲストキャラみたいな扱いだったと聞く。主演はあくまでコングであって、ゴジラはほぼ寝てばかりで、起きたらひたすら敵味方の区別なく暴れ回り、復活したモスラ姐さんに諭される前は、自分の敵が何なのかすらまともに知らぬ、ドンブラにおける犬塚翼みたいな立ち位置だったと噂されておるそうではないか」

翔花「え? ドンブラって言った? もしかして、コングの映画に桃井タロウ様が出演したって話?」

NOVA「そんな話はしてない。お前はややこしくなるから、ファイナルファンタジーに専念してろ」

翔花「ふえ〜ん、せっかくの飛空艇がゴールドルって奴に鎖でつながれちゃって、飛べなくなっちゃったよ〜(涙目)。NOVAちゃん、にっくきゴールドルをやっつけちゃって〜」

NOVA「頑張って、自分で攻略しろ。ゴールドンモモタロウや、金ピカレジェンドみたいに強くないんだから。手強いのは、その後のボスのガルーダだ。できれば、全員、竜騎士ジョブチェンジするのがベストだが、リメイク版はそこまでしなくても、何とかなるって話も聞いたな。俺は昔の癖で、全員竜騎士ジャンプ連発でクリアしたが」

翔花「攻略ヒントありがとう」

NOVA「やれやれ。ファイナルファンタジーとコング映画がごちゃ混ぜになるところだったぜ。ええと、コングの映画か。だったら、最初は1933年、昭和8年に遡るな」

カニコング「いや、そこまで遡らなくても結構なので、せめて今の映画のシリーズに話を留めていただければ、と」

NOVA「何だと! せっかく今年はゴジラ70周年というメモリアルイヤーなんだから、この期にあれこれ話そうと……」

カニコング「何時間、かかるでごわすか?」

NOVA「そうだな。70年の歴史だから、だいぶ端折って7時間ぐらいみっちりと?」

カニコング「そこを7分で……ってのは?」

NOVA「7分でゴジラの歴史を語れ、と? う〜ん……だったら、とりあえずは、このページを見よ」

 

ゴジラ史とコング史の概略

 

カニコング「なるほど。2004年のFINAL WARSが最後でごわすか」

NOVA「大きく、『昭和ゴジラ15作』『ゴジラ1984を含む平成VSシリーズが7作』『ゴジラ2000からゼロ年代の通称ミレニアムシリーズが6作』……が日本での連続シリーズ公開映画とされていて、俺のサイトのゴジラページに記載されているのは、そこまでだ。

「2010年以降は、国内では2016年の『シン・ゴジラ』と、昨年(2023年)秋から現在も一部劇場でリバイバル上映が続いている『ゴジラ-1.0(通称ゴジマイ)』の2本しか実写映画は作られていないが、2017〜18のアニメ映画3部作や、2021年のTVアニメSP(シンギュラポイント)もあるし、関連作として1973年の『流星人間ゾーン』やら、1997年の『ゴジラアイランド』やら、2019年のシンカリオン映画やら、とにかくゴジラについては語り尽くせないほどたくさんある」

カニコング「なるほど、すごい数でごわすな。国内の実写映画だけでも30作に達するうえ、海外版は……何作でごわすか?」

NOVA「『怪獣王ゴジラ』とか『ジャイガンティス』とか国内映画の再編集バージョンを抜きにして考えるなら、マグロを食ってるエメリッヒ版(1998)が初になる。まあ、そいつは『ゴジラもどきのジラである』という定説があって、寿司ネタのように扱われているわけだが、現在のモンスター・ヴァースが今回で5作めだな。リストアップすると以下のとおり」

 

  1. ゴジラ(2014):ギャレス・エドワーズ監督の通称ギャレゴジ。
  2. キングコング:髑髏島の巨神(2017)
  3. ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019):略称ゴジラKOM。
  4. ゴジラVSコング(2021)
  5. ゴジラxコング 新たなる帝国(2024)

 

カニコング「では、ライバルのコング映画は?」

NOVA「ドンキーコングなどのパロディ派生作を考慮しないなら、劇場映画は今回で10作かな。そのうち2作は東宝が作った『キングコング対ゴジラ』『キングコングの逆襲』で、3作がモンスター・ヴァースだと考えると、純粋にアメリカ人がゴジラ要素抜きに作ったキングコング映画は5作だけということになる。白黒の第1作と、続編の息子が登場する『キングコングの復讐』(1933)、76年にリメイクされたのと、その続編(86年)、そして2005年にピーター・ジャクソン監督が撮った再リメイク作だ」

カニコング「ピーター・ジャクソン監督?」

NOVA「『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』の監督と言えば、ここでは通じやすいな」

カニコング「なるほど。キングコングは最後にビルの上から落下して死ぬのでごわすな」

NOVA「だから、ゲームのドンキーコングもマリオが鉄骨で組まれた建物に登って行って、コングにさらわれたお姫さまを救出、コングの足場を崩して、落下死に追い込むゲームだったわけだ」

カニコング「なるほど。ゴリラキャラとしてキングコングの文脈から作られた人気キャラがドンキーコングでごわすか」

NOVA「うむ。ドンキーコングの歴史も81年以降なので、40年を越えたわけだが、その翌年、今度はマリオに捕まった父親(実は生きていた)を息子のジュニアが助ける続編が作られるなど、キングコングの映画の続編に子どもコングが出る文脈を受け継いでいるわけだ」

カニコング「まさか、このままゲームの話に寄り道脱線するつもりではごわさんな」

NOVA「ごわさんなって、どういう日本語だよ? ごわすまいなが正しいんじゃないか?」

カニコング「普通に、あるまいなと言えばいいのに、ごわす語尾のキャラで通そうとすると、無理が生じるでごわす」

NOVA「まあ、言葉の問題といえば、コングという言葉は元々、大猿という意味がなく、実はこの映画のキャラクターに付けられた固有名詞から派生したものらしい。よって、ドンキーコングというタイトルは商標権の侵害に当たるとして、76年に『キングコング』をリメイクした映画配給会社のユニバーサル社が任天堂を告訴したらしいが、その裁判の最中に、ユニバーサル社自身も『キングコング』のリメイク版権を取得していなかったことが判明し、ユニバーサルの訴えは不当なものとの裁判所見解が為され、『ゲームも原作を参考にしてはいるが、別の物語作品である』という見解で、任天堂の勝訴に終わったそうな(ドンキーコング裁判)」

カニコング「なるほど。これが噂に聞くところの寄り道脱線魔術でごわすか」

NOVA「いや、あくまで癖であって、魔術の域にまで高めるな」

カニコング「しかし、任天堂のおかげで、吾輩のこの名前も商標権の侵害と訴えられる恐れはなくなったでごわすな」

NOVA「いや、コングという言葉に猿って意味はないから、こういう商品もあったりするわけで」

カニコング「何で、コングが犬用の玩具の名前でごわすか!?」

NOVA「そんなの俺が知るか! とにかく、改めてコングについて調べると、どこに話が流れていくのか、俺でもコントロールできないんだよ」

カニコング「う〜む、ならば原点に戻すでごわそう。コングといえば、髑髏島の出身でごわすな」

NOVA「ああ、東宝版はファロ島やモンド島だったりもするが、アメリカ人にとってのコングの出身地は変わらず髑髏島(スカル・アイランド)だ」

NOVA「ゴジラ映画の文脈は、基本的に怪獣による都市破壊と、怪獣バトルになるんだが、コング映画の文脈は『密林などの秘境探検』と、『文明に相入れない野生動物の悲劇性』なんだな。ゴジラが破壊の象徴なのに対し、コングは野生の象徴。ただ、コングはゴジラみたいに人類への復讐心とか闘争本能で暴れるのではなく、人類の方がコングの世界に足を踏み入れて、無理に文明世界に連れて来て、コングは自らの世界に帰りたいという逃亡者の文脈で立ち回ることになる。あとは、ヒロインを助けようと振る舞う未開の紳士属性も持っていて、強くて優しいキャラ性を帯びている」

カニコング「つまり、コングはヒーローでごわすな」

NOVA「悲劇性を帯びた、な。ゴジラが戦争という背景から生まれて、荒ぶる神の要素も持っているのに対し、コングは神要素もあるけど、自ら都市破壊のために島から出向くようなことはしない。コングを文明世界に連れて来るのは、必ず人間なので、コングによる都市破壊も人間側の自業自得ということになる」

 

モンスター・ヴァースにおけるコング

 

カニコング「コングは自らの縄張りから出て来ないのでごわすか」

NOVA「基本的にはそうだ。モンスター・ヴァースでは、コングにキングの称号が付けられていたのはデビュー作だけだ。と言うのも、キング・コングという称号は髑髏島という島の中でのローカルな王でしかなく、この世界の怪獣王はゴジラが3作めでギドラを倒して勝ちとったので、コングはキングの名に値しないという扱いなんだな」

カニコング「そう言われてみれば、確かに、この2作のタイトルはキングという称号が付いていない。つまり、今のモンスター・ヴァースでコングをキング付きで呼ぶのは、間違いということでごわすか」

NOVA「コングは、キングではなくなった。しかし、今回の映画で再び、ゴジラと異なる領域に自分の安住の地を見出して、王位に到達した幕引きとなる」

カニコング「おお、王位、いや帝位に返り咲いたでごわすか」

NOVA「地上侵略を目論んでいた地底世界の王、邪悪なスカルキングをゴジラ様の協力と、モスラ様のお墨付きで打ち負かして、優しい地底世界のモンスター王に認定されたんだ」

カニコング「地上世界はゴジラ様で、地底世界はコングが統べて、住み分けることにした、と」

NOVA「前作では、髑髏島がギドラの影響もあって崩壊したので、新たな故郷を探すコングの話だったんだが、髑髏島から出て来たコングをゴジラが妨害するような流れとなった」

カニコング「コングは故郷に帰りたいだけでごわすか」

NOVA「このコングは、デビュー作では髑髏島に住むコング族の最後の生き残り設定なんだな。そして、まだまだ子どもと設定されていて、これからもっと大きくなるだろうということが予想されていた(73年当時で30m強)。その後、コングを神と崇める髑髏島原住民のイーウィス族は、怪獣災害でもたらされた嵐でたった一人の少女ジアを遺して全滅していて、このジアがコングと話ができる他、今回、モスラの巫女として覚醒する」

カニコング「一人の少女が、コングとモスラの両方に通じるのでごわすか」

NOVA「怪獣が人間の味方と認定されるにはどうしたらいい?」

カニコング「それは……悪い怪獣を倒せばいいでごわすな」

NOVA「倒した後は、どうするんだよ?」

カニコング「そりゃ、人に迷惑をかけない場所でのんびり眠っているといいでごわす。互いに不干渉で接触を避ければ、被害も避けられるはず」

NOVA「まあ、人が傷つけられないようにするには、接触を避ければいい。コミュニケーションが通じない相手には、距離を置くようにする。強大な力を持った怪獣は、ヒーローもそうだが、人類にとって脅威となり得る存在だ。悪い怪獣を倒して速やかに去ってくれて、必要以上に人類を脅かさなければ、まあ、味方認定することも可能だろう」

カニコング「悪者を倒してくれるけど、その際に絶大な被害ももたらすようなのは?」

NOVA「脅威だな。守る気あるのかよ!? って防衛チームの隊員の怒りを招いても仕方ない。まあ、怪獣やヒーローが人類側とコミュニケーションが通じる相手と判明したなら、うまく関わっていく方法を模索することもできようが、未知の存在とのファーストコンタクトではどう接するかが物語のテーマになったりする。その中で、『コミュニケーションの可否』『相手が人類を守ろうとするかしないか』で4つの座標軸が考えられる」

 

  1. コミュニケーションがとれて、人類を守る意志を示す。
  2. コミュニケーションはとれるが、人類を脅かす。
  3. コミュニケーションはとれないが、人類を守る意志は示す。
  4. コミュニケーションはとれずに、人類を脅かす。

 

NOVA「とりあえず、1番はヒーロー認定していいだろうな(その言葉が嘘でない範囲において)。3番も最初は誤解から衝突する可能性もあるが、だんだん分かってくる関係だ(平成ガメラとか)。2番は知的な侵略宇宙人か悪役で、4番はいわゆる多くの怪獣だな」

カニコング「人類を守る意志を示すなら味方認定で、さもなければ敵認定というのは、いささか乱暴な区分でごわさんか?」

NOVA「どっち付かずの中立もいるんだろうが、1と2の中間、あるいは3と4の中間というのは、不確定要素過ぎてな。それなら、仮想敵として扱うのが戦略というものだ。明確に敵対行為を宣言したり、悪意はなくても迷惑行為を反省も謝罪も示さずに行い続ける輩は、実質的に敵対者だ。警戒されて然るべきだろう」

カニコング「明確に、こちらの利になる行動をしてくれる者は味方認定。敵対行動をとるなら、その積極性に応じて排除対象か、あるいは要警戒対象に認定される、と」

NOVA「少なくとも、防衛を司る軍人なら、意図不明の行動を行う相手は友軍として信頼を寄せるわけにはいかない。可能なら交渉したいところだが、怪獣相手にどう交渉すればいいのか」

カニコング「なるほど。だから怪獣の行動を代弁してくれる使いや巫女、通訳がいれば、味方認定しやすいでごわすな」

NOVA「ああ。昭和ゴジラが人類の味方と認定されたのは、モスラおよび小美人を通じてだし、その後、ミニラと人間が仲良くなったりして、ゴジラとの間に交渉の窓口役が成立することで、ドラマ的にゴジラは味方であると描写できるわけだ」

カニコング「ガメラは当初から『子どもの味方』という性格をアピールしていたでごわすな」

NOVA「我々が映画を見るときは、当然、主人公あるいは周辺人物の考えに感情移入することになる。主人公の身近に怪獣と交信できる少女、もしくは子どもがいるなら、その怪獣は味方認定していいだろうし、今回はイーウィス族の唯一の生き残りジアが主人公女性の養女という設定で、『故郷を失った者たちが地下世界に新たな故郷を見出す話』ということで、ドラマの焦点が完全にコングとジアと、それを応援する人間たちの秘境探検物語となった。ゴジラには、ほぼ誰も感情移入していない、好き放題に暴れ回るだけの出番となったわけだ」

カニコング「モンスター・ヴァースにおけるゴジラの役割は、善玉か悪玉かどっちでごわすか?」

NOVA「善悪関係なく、人類文明を睥睨する荒神にして、怪獣王だ。この世界でゴジラに勝てそうな存在は、KOMのギドラか、前作のメカゴジラしかいない」

カニコング「コングは?」

NOVA「前作では、体長100m強に成長し、体長120mのゴジラに太刀打ちできると期待され、人間とコミュニケーションのとれるコングに、要警戒対象のゴジラを倒すことを要請する主戦派もいたんだな。だけど、正面からぶつかってもコングが敗退して、死にかけたのが前作だ」

カニコング「コングじゃ、ゴジラには勝てなかったでごわすか?」

NOVA「ゴジラはこの世界で最強って設定と描写なんだよ。マグロばっかり食べてるジラの時代と違って、アメリカ人もゴジラの凄さが浸透したというか、21世紀に入って米軍無敵という神話が崩れたのかもしれん(あるいはアベンジャーズ映画などの影響もあるか。軍よりも強いモンスターヒーローの描き方の文脈とか)。で、モンスター・ヴァースの世界観では、2014年のゴジラ復活以降、あるいは髑髏島における70年代のコング発見以降、タイタン(巨神)と称される巨大生物(怪獣)が次から次へと確認されて、人類文明が崩壊の危機に見舞われた状況で、ゴジラ様があらゆる怪獣災厄を鎮めて、自ら王として地上の平和を守る行動をとってくれたわけだ(KOM)」

カニコング「ゴジラが守りし者でごわすか」

NOVA「少なくとも、ゴジラが人類を滅ぼそうとして暴れるようなことはしていない。ゴジラが戦う理由はただ一つ。自分の支配する世界の秩序を脅かす怪獣を倒すことだけだ。その戦いの結果、人類の街が壊れようが、人が何人死のうが一切、気にしないので、完全に味方とは言えずに要警戒対象の監視は怠れないわけだが(それをしているのがモナークという組織)、ゴジラがいなければ、他の怪獣が好き放題に暴れて収拾がつかなくなること必至という状況で、ゴジラが世界規模の怪獣災厄の抑止力になってくれるなら、文明の維持のためにもゴジラ様を祭り上げようという政治主張があるわけだ」

カニコング「ゴジラ様は神さまなので、逆らっちゃダメ、というゴジラ教的世界観でごわすな」

NOVA「環境活動家がゴジラ支持層になっていたりもして、終末予言者みたいなことをTVやネットのニュースで言ったりもする世界観。現にギドラが健在なときは世界中で暴れ回っていた怪獣たちが、ゴジラがギドラを倒した際に、みんな恭順を示して支配下に入った姿が目撃されているからな。ゴジラを頂点とする新たな世界秩序が主勢力となっているのが現状だ」

カニコング「ゴジラがもたらした秩序と平和でごわすか」

NOVA「もちろん、そういう怪獣支配の論理を皆が皆、信奉しているわけではない。今は無理でも、人類の科学でゴジラに勝てる兵器を作って、人類が地球の支配者に返り咲く計画を立てた者もいる。そうやって完成したのが前作のメカゴジラだったんだが、それがゴジラの怒りを買ったという経緯もあった。メカゴジラの開発材料にギドラの頭部が用いられたために、ギドラの邪念がメカゴジラを乗っ取って、人類最強の悪魔となった」

カニコング「それはゴジラをも脅かす強敵だったのが、仇敵だったコングの協力で何とか撃退に成功したでごわすな」

NOVA「コングはゴジラに敗れたものの、人類の応急蘇生処置によって復活。そして、人類にとってゴジラよりも遥かに脅威度の高いメカゴジラを倒すために、ゴジラと共闘して、和解に至ったのが前作のラストだったんだ」

カニコング「こうして、コングはゴジラ様と親友同士になったでごわすな」

NOVA「いや、どちらかと言えば、ゴジラの舎弟みたいなもんだな。コングはゴジラに勝てなかったが、ゴジラのピンチに助けてくれた。『だったら、お前のことは見逃してやる。故郷の地底に帰って、2度と地上に出て来ないと約束するならよし。お前には借りができたが、そんなことで俺を縛りつけようとしてもムダだ。地上の秩序を脅かすようならいつでも倒す。そうでなければ……自分の世界で達者に暮らせよ。じゃあな』って感じで穏やかに別れた」

カニコング「それでゴジラとコングのその後を描いたのが今作でごわすな」

 

ようやく今作の感想

 

NOVA「で、今作のゴジラの登場シーンと退場シーンがかつてない演出で笑った」

カニコング「笑った?」

NOVA「今までのゴジラ映画って、ゴジラ人智の及ばぬ海の底から出現するか、どこかの島(怪獣島と称される)で安住していたり眠っていたりするだろう? つまり、人の前から姿を消しているわけだ。まあ、人類もバカじゃないので、ある程度、ゴジラの再出現を警戒監視するようになっていくわけだが」

カニコング「しかし、今作のゴジラは違う?」

NOVA「人類が自分の秩序を脅かすようなバカな真似をさせないよう、イタリア・ローマの観光地のコロッセオを根城に堂々と寝ている」

カニコング「ゴジラが最初から人前に姿を見せているでごわすか」

NOVA「ローマと言えば、古代帝国の象徴だからな。つまり、ゴジラが古代から復活した帝国の後継的な立ち位置として描かれているわけだ」

カニコング「それに対して、人類は何もしないでごわすか?」

NOVA「イタリア政府はアメリカに何とかしてくれと要請しているが、アメリカ側は『何ともできん、天災だと思って諦めてくれ。一応、モナークで監視して、ゴジラが暴れたら手は打つが、寝ているゴジラに手を出す方が被害が拡大するぞ。とにかく、今はウィズ・ゴジラで何とかしろ』という考えだ」

カニコング「まあ、日本も東京に氷付けになった『シン・ゴジラ』がいるでごわすからな。世界が違うとは言え、ゴジラとどう共存するか、どう封じ込めて被害を最低限に抑えるかが人類の生きる道でごわそう」

NOVA「眠っているゴジラをオブジェとして観光資源に利用する手もあるが、あまりに危険だからな。イタリアでも、反ゴジラ活動と、ゴジラ教団の両方がそれぞれの主張をぶつけ合っている。コロッセオの壁に『ゴジラは帰れ』って落書きがしてあったり」

カニコング「いや、ゴジラはイタリア語を読めないでごわそう。書くなら怪獣語でないと」

NOVA「で、そんなゴジラがどういう理由かまた目覚めたので、モナークの追跡部隊がゴジラの動向を追うストーリーだが、どうして目覚めたのかは分からないまま、また地上を脅かす強大な敵の存在を察知したんだろうと予想して、まずはゴジラの動きを追っかけて、北極圏での海ヘビ怪獣との戦いを目撃する。どうも、そいつが宇宙から降り注ぐ膨大なエネルギーを吸収している様子だったので、ゴジラがしばき上げて、そのエネルギーを自分が吸収したらしい」

カニコング「他の怪獣の餌を奪ったのでごわすか」

NOVA「お前のものは俺のもの論理だな。王だし、来たるべき戦いに備えて、エネルギーを充填する必要があるわけだよ」

カニコング「来たるべき戦いとは?」

NOVA「地底帝国の奴らが地上侵攻する警告の電波をゴジラ様はキャッチしたんだな。そんなわけで、ゴジラ様は地下から出てくる敵を迎え撃つ構えをバリバリ見せているわけだ。人類がそれに気づくのに時間がかかったけど」

 

カニコング「ゴジラの動きは分かった。コングの方は?」

NOVA「前作で、コング族の故郷が地球空洞説に基づく地底世界であることは分かった。それで地底にいたんだが、虫歯の治療のために、一時的に地上に帰ってきて、モナークのコング班の世話になる」

カニコング「虫歯の治療? それは何とも斬新な筋書きでごわすな」

NOVA「まあ、虫歯というのはジョークかもしれんが、地底世界で遭遇した敵対怪獣とのバトルで牙の片方を折っちゃったんだな。だから、地上で義歯を入れてもらうことになった。その件が後に負傷した右腕を補うメカニックな強化義手の装着の伏線にもなっている」

カニコング「もしかして、モナークはコングの医療体制や強化計画を進めている?」

NOVA「治療はともかく、コングをゴジラもしくは別の脅威に立ち向かえるよう、生体兵器として強化計画を進める軍の思惑もあるようだ。あるいは前作のメカゴジラの延長線でメカニコング計画も進行中かもしれん。今作では、コング用サイバー強化アームしか登場しなかったが、続編があるなら、コング用の全身アーマーか、AI制御のメカニコングが登場する伏線かもな」

カニコング「そして、また暴走すると?」

NOVA「まあ、暴走しなければ、人類の平和を守るスーパーロボット・メカニコングなのかもしれないが、その話は今ではない。とにかく、地底世界を安住の地としながら、そこで異変(謎の怪電波とか、コングの地底生活観測を担当するモナークの出張基地からの連絡が途絶えたこととか)が生じたので、コングと意思疎通のできる少女ジアと養母のアイリーン、そして獣医のウルトラマンゼロを中心とするメンバーで地底世界の探検物語が展開されるわけだ」

カニコング「ちょっと、獣医のウルトラマンゼロって何でごわすか?」

NOVA「いや、役名はトラッパーなんだけど、日本語吹き替え声優が宮野真守さんなんで、ゼロさんだろう。まあ、刹那でもいいし、キン肉マンでもいいが、とにかくゼロさんがゴジラ映画に初登場だ。もちろん、変身するわけじゃないけど、コングをサポートする飛行メカのパイロットとして支援したり、獣医としてコングに義歯とサイバーアームを装着したり、電気パワーを発する地底の翼竜の群れを召喚したり、さすがは獣医、百獣戦隊のリーダーに匹敵する大活躍を示した本作の人間代表ヒーローだ」

カニコング「とにかく、コングと人間ご一行の地底世界を舞台にした秘境探検ストーリーでごわすな」

NOVA「もう、コングが主役なので、古き良き秘境探検ドラマのエッセンスが爆発だ。そして、モナークの地底観測基地は、コングの同族の手で破壊されたことが判明する。一方、コングはようやく自分の同族と遭遇することができたが、よそ者なので邪険にされたりしながら、力で押し通る。この辺はまるで『荒れた不良の学校に転校してきた硬派の少年主人公が、拳で自分の居場所を獲得する番長マンガの文脈』みたいな感じで、セリフは一切ないのに、CGモンスターのアクションと表情だけで心情を読み取れるパントマイム舞台劇の様相を示している」

カニコング「解説役の人間は同行していないでごわすか?」

NOVA「人間の調査団と、コングは途中で別行動になるんだ。とにかく、コングは自分の同族と初めて出会ったんだが、部族には入れてもらえず、我が道を歩むしかない。ミニコング(固有名詞はスーコ)は当初、コングに対して敵対的で、コングを罠にハメて殺そうともするが、コングは罠を乗り越えて、警告もしつつ、大きな懐でスーコを許し、スーコの方も次第にコングを慕うようになる流れだな。コングがケンシロウで、スーコがバットみたいな北斗風の関係も連想した」

カニコング「たくましくマッチョな正義漢が乱世を救う救世主となり、当初は敵意むき出しのスレた小僧が次第に感化されて、兄貴を慕う弟分キャラになっていくでごわすな」

NOVA「このコングとスーコの関係性が成立するシーンを描きつつ、ジアとアイリーン一行は謎の怪電波の発信源を探し求めて、ついに地底で暮らすイーウィス族の集落に到達する。そこで、地底世界の現在の状況が語られるわけだ」

カニコング「コングも、ジアも、自分の同族を見つけることに成功したのでごわすな」

NOVA「しかし、地底世界は邪悪な大猿スカルキングの台頭で荒れていた。ええと、日本語吹き替え版ではスカルキングと発音されていたんだが、髑髏の王ではなくて、Scar King、つまり傷の王スカーキングが正確らしい。とにかく、このスカーキングが大猿の群れを率いて、力を付けて、地上侵攻を目論んでいるので、イーウィス族が警告と救難信号のつもりで怪電波を発信したようだ」

カニコング「イーウィス族にはそういう技術があった、と?」

NOVA「髑髏島にいたイーウィス族は未開の原住民(ただし温和で文明人に親和的)という描写だったが、地下のイーウィスの民は呪術文化と怪獣との共存、そして重力操作の高度な技術を持ち合わせた地上とは異なる方向の異文明種族として描かれている。そして、本来はコングでなく、モスラを祭る一族だったことが明かされ、予言によると『外の世界から来た巫女が守護女神を復活させる』とのことで、ジアにモスラ復活の役割が期待される」

カニコング「ここに、モンスター・ヴァースでコングとモスラの物語がつながったでごわすな」

NOVA「元々、モスラの物語はコングの物語のアレンジでもあるわけだ。南洋の島で未開の部族が怪獣を守護神として祭っていて、それを文明世界の興行師が金儲けのために、見世物としてコングや小美人を都会に連れてくる。コングは独自に脱走して島で会った美女を求める一方で、モスラは小美人を助けるために海を越えてやって来る。多少の経緯の違いはあれど、文明社会で暴れ回る怪獣のスペクタクルシーンを描いた後で、結末は違っている。結果的に美女をさらったコングは美女を守りながら、情愛のために命を落とすが、モスラの方は温和な人々の協力で小美人を取り戻して、平和な故郷に帰るハッピーエンド。まあ、人と怪獣が分かり合えるというストーリーパターンを構築したのがモスラの歴史的意義とも言えるが、とにかく『キングコング対ゴジラ』(62年)と、前年の『モスラ』(61年)の文脈をうまく融合させた話になっているな」

カニコング「モスラとコングの共演は今までなかったでごわすからな。どちらも類似点があったのを、ここで結合させた、と」

 

NOVA「一方その頃、ミニコングのスーコの案内で同族の集落にやって来たコングは、地上進出を目論む圧制の王スカルキングと対面し、その弱者を力で踏みにじる支配体制に激怒して、王の座をかけた戦いに挑むことになるが、結果として敗退する」

カニコング「情けない」

NOVA「いや、そう言うな。スカルキングのバトルスタイルが見ていて、いろいろ卑怯だったこともあるし、作劇の都合もある。コングはまだまだ発展途上の若者って感じだし、1人であっさり王座を勝ちとってしまえば、物語のテーマとしても台無しだ」

カニコング「物語のテーマ?」

NOVA「力を合わせる絆だろう? ドラマって登場人物の共感や絆が結実してこそ、目的を達成できるわけで、たった一人で苦戦も見せずに、難なく勝ってしまえば、それまでの仕込みに意味がなくなる。何のためのゴジラ様とかモスラ様か分からない」

カニコング「確かに。で、スカルキングはどんなキャラでごわした?」

NOVA「商品名は、スカルキングとスカーキングの両方が確認されるんだな。コングがゴリラなのに対し、スカーキング(ここからはこれで行こう)はオランウータン風味で、意外とパワータイプじゃなかった。前作では、圧倒的なパワータイプのゴジラに対して、コングの武器は器用さと機敏さでゴジラを翻弄したりするバトルだったが、今作のスカーキングはコング以上の素早さとテクニシャンぶりと、骨製鞭を使った卑怯な戦術で、コングアックスを絡めとったり、王の座にしては力よりも姑息な知恵で立ち回る、邪智暴虐の王って感じの戦闘スタイルだった」

カニコング「コングの方がパワーファイターで、敵の方がテクニシャンと、前作のゴジラ戦とはまた違ったバトルの描かれ方であったでごわすか?」

NOVA「これが北斗とか、番長マンガの定番だと、主人公の前に立ちはだかるボスは、それ以上の体格のマッチョというのが和風フィクションってものだが、マッチョ信仰の強い米国では、やはり悪役は力よりも技を重視する傾向があるのかも。まあ、コングはゴジラと比較した場面だから技重視に見えるのであって、本来は技もパワーも兼ね備えたオールラウンダーだからな。コングを見て卑怯だと思わないのは、スパイダーマンを見て卑怯と思わないのと同様で、人情味と成長途上の若者というキャラ属性が功を奏しているからじゃないかな」

カニコング「それに対して、スカーキングは同じ大猿でも卑怯でごわしたか」

NOVA「まず、1対1のバトルの最中に、平気で加勢を募る。まあ、それは自分のホームだから仲間がいっぱいいるわけで、そんなところに乗り込んだコングが無謀なんだろうけど、このおかげでコングがゴジラを加勢に連れて来ても、卑怯とは言えなくなったわけで」

カニコング「先にタイマンの作法を破ったのは相手だから、最強破壊神を呼んで来ても許されるでごわすな」

NOVA「一方、スカーキングの秘密兵器は、冷凍怪獣シーモだ。鎖でつないで、いろいろ苦痛を与えて命令させるトカゲスタイルの騎獣で、当初はゴジラの弱点にもなるかと思われた」

カニコング「ゴジラの弱点は寒さとされるからな」

NOVA「まあ、当世界のゴジラはあまり寒さが弱点と言えないんじゃないかな。南極にも、北極にも平気で出現するし、爬虫類本来の寒さに弱いという性質を体内の膨大な熱核エネルギーで克服しているようにも思える。ゴジラ=寒さに弱いという常識は、モンスター・ヴァースでは成り立たないという説を唱えてみる次第だ。しかし、コングに対してシーモは絶大な威力を発揮した。冷凍光線でコングの右手が凍傷を起こし、使えなくなってしまったんだ。コング必殺の拳も、コングアックスも使えなくなってしまい、ズタボロのコングは逃げ出さざるを得なくなる」

カニコング「負けて逃げ出した主人公が、臥薪嘗胆の気持ちで逆転劇を果たすまでのドラマ作りでごわすな」

NOVA「うむ。ここでスカーキングのヒールぶりと、シーモの冷凍能力の脅威を見せつける演出だ。何しろ、シーモが地上に出て来たら、地球は氷河期の再来で文明壊滅の危機という大げさな話を、イーウィスの予言では言ってるからな。もしかすると、映画のシーモはまだ幼体に過ぎず、成長した暁にはそれほどの脅威になるのかもしれないが、映画の中ではスカーキングに虐められているパトラッシュみたいな立ち位置で、『スカーキングに酷使されている可哀想な娘怪獣』という設定が一部の怪獣マニアの間で大人気だそうだ」

カニコング「メスでごわすか」

NOVA「ああ、公式にShe(彼女)と呼ばれている。『氷の女王』みたいなものらしいが、一部界隈ではシーモちゃんとも呼ばれて、新たな怪獣娘の題材として特撮絵師の流行となっているな。涙目ウルウルなシーモちゃんと、ツンとした雪女的な解釈のシーモちゃんとで、スタイルが二分されているようでもあるし、今は奴隷の身から助けてくれたコングにご主人さまと従っている忠犬みたいなイメージもある」

 

コングの逆襲

 

NOVA「ともあれ、スカーキングと、まだ彼の奴隷の冷凍怪獣シーモの前に敗退したコングさんは、スーコの密かな助けも借りて、追っ手から逃れ、ウルトラマンゼロさんのところにやって来る」

カニコング「いや、ゼロさんではないでごわそう。読者が混乱する」

NOVA「ほう、読者のことを考えるとは、カニコング、お前は意外といい奴なんだな」

カニコング「それは、吾が触手帝国の夢のためには、応援してくれる民となるであろう読者の支援は必要でごわすから。民を圧政と暴虐で踏みにじるスカーキングのような王は目指しておらんゆえに。吾の目指すのは、ハッピー触手帝国でごわして」

NOVA「触手の話はともかく、ゼロさん、いや獣医のトラッパーはコングの右手が凍傷だと診断して、治療とコングの強化のために、モナークがこっそり開発していたサイバーアームのことを話に持ち出して、コングに応急処置で移植することを提案する。とにかく、スカーキングの追っ手がイーウィスの隠れ集落を攻めて来る可能性も大きいので、いろいろと急ピッチでストーリー展開するわけだが、コングの治療と、モスラの復活と、重力を利用したトラップの設置と、地底世界に来る際に遭遇した雷翼竜の召喚と、次々と段取りが重ねられて行って、ワクワクするタイミングだ。そして、いよいよ切り札である怪獣王の助けを借りられればって話になる」

カニコング「人間の視点では、ゴジラはコングに借りもあるから、必ず助けてくれるだろうって安心感があるでごわすな」

NOVA「まあ、イザとなれば、モスラ姐さんがゴジラを説得してくれるという話で、コングの地上行きになるんだが、ここでエジプトを舞台に、ゴジラとコングの大ゲンカが始まる」

 

コング『おお、地上に出て来たら、何だか砂だらけで、ここどこ? 初めて来たな。何だか三角形の山みたいな建物もいっぱいあるし、ポカポカして冷えた右手には心地いい。だけど、喉が渇いたな。どこかに水がないかなあ』

(しばらく待つと、ゴジラ来る。その間、人間たちは大騒ぎ)

コング『ああ、とうとう来たな。ゴジラの兄貴、話を聞いてくれ』

ゴジラ『てめえ、何やら地下の方で騒がしいが、原因はお前か!』

コング『いや、確かに騒ぎの原因は自分かもしれないけど……』

ゴジラ『やっぱり、そうか。ならば死ね。この地上の秩序を乱す輩は捨ておけん。あの時の決着、今ここでつけてやる!』

コング『ちょ、ちょっと。もう少し詳しい話をさせて……』

ゴジラ『問答無用。言いたいことがあるなら、拳で語れ!』

コング『拳ったって、怪我して義手なんだから、悪いのは全部スカーキングって奴で……うわっ、ええい、この分からず屋! サイバー義手ナッコォ!』

ゴジラ、殴られて吹っ飛ぶ)

コング『ああ、この義手、結構いいかも。よく馴染んでて、怪我も痛くない』

ゴジラ『てめえ、凶器で俺を殴り飛ばすとは、いい度胸だ』

コング『そんな、全身凶器みたいな兄貴に言われても……ええい、こうなったら正当防衛。殴り倒して、地下まで引きずって行く。地下に行けば、倒す相手が誰なのかも分かってくれるはず』

ゴジラ『倒す相手は目の前にいるてめえだ! 地下だと? わざわざ行かなくても、今、てめえをぶちのめしたら全て解決することだ』

コング『解決しねえよ! スカーキングを倒さない限り……』

ゴジラ『スカーキングだか、ストーキングだか知らねえが、地上に出て来たら、ぶちのめす。手始めにお前からだ』

 

NOVA「こうして、2頭の怪獣の大暴れで、エジプトのピラミッドの数々が破壊粉砕されて、世界遺産が台無しになってしまうのがモンスター・ヴァースってことで」

カニコング「ピラミッドも破壊されたでごわすか」

NOVA「まあ、一口にピラミッドと言っても、エジプトにはいっぱいあって、130個を超えるらしい。そのうち世界遺産は、ギザの砂漠の3大ピラミッド(クフ、カフラー、メンカウラー)を代表とする一部だろうから、ゴジラとコングのバトルで破壊されたのは、その他のモブピラミッドかもしれない。映画で見たときはビックリしたけど、世界遺産は無事だといいなあ」

カニコング「とにかく、コングとゴジラ様のバトルが展開されたでごわすな」

NOVA「そこに地下から飛んで来たモスラ様が、仲裁ビームを放つんだな。結構、過激な女王さまで、ケンカしていたゴジラとコングはおとなしくなった。モスラ姐さんがかくかくしかじかと早口で状況説明して、ゴジラ様は『何だかよく知らんが、そのスカーキングをぶちのめせば、地上の平和は保たれるってんだな。ったく、地下のゴタゴタを地上にまで持ち込むなよな。王だったら自分の身内の不始末ぐらい自分で付けろってんだ』とブツブツ文句を言い、コングさんは『いや、自分は王じゃないし。ただ故郷を探していたら、悪い王と出会って、こんなことになっただけだし……』と弁明して、ゴジラ様に怒られるんだ」

 

ゴジラ『バカ野郎。そういう覚悟の定まらん腑抜けた根性だから、スカーキングってのに負けるんだ。いいか、そいつをぶちのめしたら、地下はお前が王として、しっかり統治するんだ。地下のゴタゴタは地上に持ち込むな。舎弟のお前が地下を統治し、この俺がその上に君臨する。すると、地上と地下はどちらも俺の支配下に入り、〈新たなる帝国〉の完成だ。そうとも、それがいい』

コング『ええと、自分が王だとするなら、兄貴は……』

ゴジラ『王を統べる王、つまり皇帝って奴だ。これからはカイザー・オブ・モンスターズと呼べ』

 

NOVA「……と、こんな怪獣たちの会話が俺の心に聞こえてきた」

カニコング「それは公式でごわすか?」

NOVA「いや、モンスター・ヴァースの怪獣たちは、会話劇を一切しないからな。あくまでCG怪獣の演技や表情を見て、ファンがシーンごとに想像する余地が大幅にある。人間たちも各人の意見を言って、状況分析ぐらいは語るが、とりわけゴジラが何を考えているかは状況証拠でしか推察できないのは、映画鑑賞者も劇中人物も同じだ。だから、ファンがゴジラとコングのバトルシーンを見て、どう解釈したかは人それぞれの見解があって、非常に面白い。ただ、やはり、コングの話を聞かずに、顔を見るなりいきなりキレて襲いかかるゴジラはウケたってことだな」

カニコング「そうして、ゴジラ様の援軍でスカーキングはぶちのめされて、可哀想だったシーモちゃんは無事に解放されたでごわすな」

NOVA「途中の面白いアクションシーンをすっ飛ばして、結論だけ言うなら、そういうことだな。地下世界に乗り込んでスカーキング配下の群れに駆け込んでいくゴジラとコングの最強タッグ(予告編で有名な映像はこれ)とか、

 イーウィスの重力トラップによる面白いフワフワ怪獣バトル演出とか、

 地上に飛び出してシーモの冷凍光線で氷づけになる南米リオ・デ・ジャネイロとか、

 そんなシーモの冷凍光線がゴジラにはちっとも通用しないとか(凍結したと思ったら、たちまち解凍)、

 スカーキングはゴジラ相手だと逃げ腰ばかりで怯える猿状態とか、

 コング相手には優勢に見えるもののサイバー拳にブッ飛ばされて、戦況が目まぐるしく変わっているものの、ゴジラはひたすら強く無敵ぶりを披露するので、結局、ゴジラが攻撃されずにスルーされる戦場とか(まあ、防御力が高すぎてダメージにならないのでGMから無視される壁役PCみたいなものか)、

 とにかくコング視点だとハラハラするバトルだった」

カニコング「モスラは何をしていたでごわすか?」

NOVA「怪獣バトルに巻き込まれないように、人間たちをお守りしていた。一応、地下では見せ場もあったんだが、戦場が地上に移ると、お役目終了って感じ。まあ、メインはゴジラに後見とシーモの妨害役を任せて、コングとスカーキングの一騎討ちで収まったって感じ。で、王座を勝ちとったコングが地下世界の怪獣王に君臨した姿で幕」

カニコング「最後が駆け足気味の感想ではあったが、めでたしめでたしでごわすな」

NOVA「一番のサプライズは、ゴジラの強敵冷凍怪獣として公式に宣伝され、最後は倒されて幕だと思われていたシーモちゃんが、実は涙目萌えキャラで、最後はスカーキング打倒にも協力してくれて、コングの可愛いペットになったことだな。こればかりは、鑑賞前と鑑賞後のイメージギャップが非常に大きくて、ネットでの盛り上がりが面白い。たぶん、連休明けで、映画見た人が多くなると、シーモちゃんというキャラの認知が上がって、人気ぶりが爆発するんじゃないだろうか」

(当記事 完)