WショーカとShiny NOVAのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

『暗黒の三つの顔』攻略解析録(アランシア編EX)

第1部完結を受けて

 

シロ「ええと、ゲームブック攻略記事の後は、総括みたいなEX記事で締めるのがうちの慣例だっけ?」

晶華「本編中には触れられなかった感想とか、バッドエンド確認とか、難易度を語るおまけ記事ね」

翔花「ともあれ、最後はケイさんも、ルビーに封じられた守護霊としてマシロン君をフォローするキャラになるのね」

009「原作ゲームブックには、そんな展開はないけどな。ケイことミューマは、邪悪な魔女としてゴーレム復活のために自らの命を捧げて終わり。ルビーに思念体が宿って云々の展開は、本記事のオリジナルアレンジだ。本当なら、ルビーは大海に投げ捨てられて、その後の冒険に関わることは一切ない」

晶華「だけど、原作にないオリジナル要素を付け加えたくなるのは創作者あるあるってもんで、第1部のラスボスが第2部以降の助力者というか、敵にも味方にもなり得る刺激的なカンフル剤として登場し続けるのは、シリーズ物ではよくある話。今後もお姉ちゃんには、ルビーKとしてマシロン君を翻弄する役どころを続けてもらいたいと思います」

翔花「暗黒の道に誘惑し続ければいいのね」

シロ「違うだろう。魂だけでも浄化されて、きれいな魔女霊として前非を償う役回りを期待する」

翔花「つまり、自分が暗黒の女王になりたいから、他の大陸の暗黒が大きな顔をしてのさばるのが気に入らない。暗黒ナンバーワンはわたしなんだから、邪魔するライバルは、マシロン君、やっちゃってというロールプレイで助ければいいのね。そして、本当にピンチの時は秘められたルビーの力で自爆する。もう、どうなってもいいやって感じ」

晶華「あくまでゲームブックの展開を覆すつもりはないから。基本の料理に一味添える調味料ぐらいの形で、例えばカレーライスがすき焼きとかパスタに変わるような改変はさせません」

009「要は、ウルトロピカルのゲームブック攻略記事における『トカゲ王の島』のマンゴや、『雪の魔女の洞窟』の魔女シャリーラみたいな『原作の重要キャラだけど、惜しくも死んでしまったから、フリー素材として使える霊体キャラとして再利用する』ってことだな」

晶華「とりあえず、イラストにするなら、頭に天使風の輪っかを乗せればOKよ」

翔花「ええ? 天使ってキャラじゃないでしょ?」

晶華「グロックさんにそのうち描いてもらいましょう。指定条件は『金髪、黒い仮面、天使の輪、妖艶さ』ってところかしら」

翔花「とにかく、ルビーに封印された邪悪な魔女の霊魂が、救世主を堕落させようと画策しながら、その純粋さに絆されて悪に徹しきれずにツンデレ風に振る舞うってプレイ方針で、第2部以降も遊ぼうと思います」

 

バッドエンドの確認

 

009「では、バッドエンドのパラグラフ・リストだ」

 

・71:土魔人を操るのに失敗して、怪力で全身の骨を砕かれて死亡。

・86:ゴーレムの冷凍光線を浴びて死亡。

・91:ニカデマスに攻撃しようとして、緑の炎に焼き尽くされる。

・109:ゴーレムの電撃を受けて死亡。

・125:魔女のナイフが心臓に突き立てられて死亡。

・131:ゴーレムの発する洗脳音波で、残虐な殺人鬼に変えられてしまう。なお、この直前のパラグラフ38番で、先にザックが殺人鬼と化して、主人公に襲いかかる。技術点12、体力点20の彼に勝てる可能性は低いので、実質的にそちらもバッドエンドだと解釈できるし、ザックを倒して、この131番に到達できることは稀である。おそらく、一番到達困難なバッドエンドのパラグラフと言えよう。

・138:明かりなしで、ブラックサンドの地下ダンジョンに踏み込んで、道に迷って死亡。

・183:岩妖怪のラッキーヒットで、ゴーレムの額のルビーが砕けて、大爆発を起こす。しかし、岩妖怪の技術点は8で、鋼鉄ゴーレムは16。8差の技術点でダメージを与えられる確率は、ゴーレムの出目2で岩妖怪11以上、もしくはゴーレムの出目3で岩妖怪12なので、1/36×3/36+2/36×1/36の計算から、1296分の5、つまり0.00385……となって約0.4%の低確率。主人公がザックに勝てる可能性とどちらが低いかは不明だが、おそらく、2番目に到達困難なバッドエンドと考える。

 

シロ「バッドエンド・パラグラフの数は8個ですか。200パラグラフのうちの8パラグラフだと4%ですから、それほど多くはなかったようですね」

009「ウルトロピカルの基準だと、400パラグラフで10個(2.5%)以下は簡単な部類、20個(5%)までは普通、20個超えは難しいという基準だ。魔女およびゴーレム関連で5パラグラフで、他は土魔人、ニカデマス、暗闇での迷子が死因ってことだから、思ったよりは死ににくい作品と言える」

シロ「だけど、正解に漕ぎつけるためのフラグ立てがそこそこ大変な印象があります」

009「ザックを助けて、ダルミナートの酒場に立ち寄るのが一番重要で、その次にチャリスの街でケイに会う。その2点をクリアすれば、対ゴーレム戦での選択肢を上手く選ぶことで何とかなる。他に最適ルートを選ぶとするなら、以下の感じだな」

 

  1. 隊商を助けて、ボスも倒して腕輪ゲット。
  2. 一人旅で、太古の森に進んで、ザックを助ける。ハーフエルフの森には向かってもいいし、ザックと同行して、チャリスまで安全に進んでもいい。ただし、一人旅の方が、ランダムエンカウントでお金を増やせる。
  3. チャリスで、強盗を追い払って、ケイと知り合う。ケイの依頼は聞いてもいいし、断ってもいい。ケイの送り込む刺客は、野宿時に戦う鬼コウモリ(技7、体8、2回連続命中で激しい炎の5点ダメージを与えてくる)の方が、倒しやすい。宿の風呂場で武器なし戦闘(技術点マイナス3)で数の多いグレムリンを相手する方がキツい戦闘だという感想。
  4. チャリスからシルバートンへ隊商とともに向かって、安全な旅と護衛料の金貨20枚を享受するのが絶対に得。
  5. ブラックサンドで、ニカデマスさんから情報と盾をもらうことを推奨。盾は暗号の鍵になるだけでなく、ゴーレムの攻撃力を2下げる逸品。これがないと、ゴーレム相手にフェッチを最後まで残しておく必要が生じて、攻略の自由度が削がれる。
  6. ダルミナートの酒場で、ケイに話しかけて、捕まることを推奨。捕まったまま脱出しなければ、ゴーレムの儀式の場まで連行されて、準備が不十分でも話を進められる。もしも、イベントをできるだけ多く堪能したければ、捕まる→〈鉄食い〉召喚で脱出→改めてダンジョン探検(明かりの準備→10001の素因数分解の謎解き→フェッチとの遭遇→岩妖怪との遭遇)に挑むことができる。
  7. 儀式の場で、〈指輪〉およびダルミナートの酒場のフラグを立てていれば、ザックの登場で窮地を脱しての対ゴーレム戦。うまく倒せれば、エンディングに。

 

翔花「キーキャラクターは、ザックさんとケイさんの2人だけ。ただ、エンディングの文章を読むと、ニカデマスさんに会わないと話がすっきり通らない、と思う」

シロ「元々、ブラックサンドでニカデマスに会って、ゴーレムとルビーの情報を得ることが、スタート時からの旅の目的だったからな。だけど、彼の名前の表記が執筆当時と変わったせいで、彼に会うためのパズル解きが、初見プレイヤーにとってのハードルを上げたのも間違いない。ネット情報などで、ニコデマスがニカデマスになったことを知らないと、パズルが解けないというエラッタ必須の作品になったのが玉に瑕といったところか」

009「だけど、そういう部分も含めて攻略記事のネタとしては美味しいわけだよ」

 

鋼鉄ゴーレムの攻略法

 

009「さて、本作のラスボスの鋼鉄ゴーレムだけど、モンスター使いの主人公でないと倒せないという仕掛けが非常に面白い。戦士として非常に有能なザックだけど、彼の剣では太刀打ちできないということで、主人公の特性が光るわけだね」

シロ「でも、最初は普通の動物しか操れないような感じですけど、ブラックサンドの地下ダンジョンでは急に操ることのできるモンスターの種類が増えたように思えます」

009「いや、先に太古の森で土魔人を操ることもできたんだから、元々そういう潜在力を持っていたんだよ。もしかすると、周囲の環境の強い魔力に刺激されたり、モンスターと対面したりすることで、能力が拡大成長したのかもしれない。ゲームブックの記述にははっきり書いていないけど、とにかく、その場その場で能力に磨きをかけて実践運用していく姿勢は、少年マンガの主人公でもよくある話だ。やってみたら、上手くできたとか」

翔花「それで、対ゴーレム戦では、ただの獣だけじゃなくて、モンスターを次から次へと召喚して、4つの武器を上手く無効化していくのが主人公として輝く場面ってことね。敵として対峙したわたしにとって、とてもウザい相手だったわ。弱いのに、次から次へと仲間を呼んできて、何こいつって思ったりした」

シロ「そんなことを思ってたんだ」

翔花「あくまでミューマの気持ちになったらね」

009「もちろん、攻略記事では、極力、最適解を選んだわけだが。たまにミスもしていたけど」

シロ「最適解を選んだつもりが、勘違いしてました。岩妖怪、役に立たねえ」

009「使うタイミングを間違えたんだよ。そして間違った選択肢を選ぶと、体力を浪費するだけなのは『ソーサリー』の妖術を簡略化したものだけど、88年当時、モンスターを使役する召喚魔法を扱ったゲームは、87年の『ウィザードリィ4』や『女神転生』、それにカードゲームの『モンスターメーカー』が88年に出たばかりで割と最先端。ただ、本格的に召喚魔法とかモンスター使いという要素がメジャー化するのは90年代になってからだから、いち早くゲームブックというジャンルにそれを取り入れた山本さんの先見性は改めて特筆しておきたいわけだ」

晶華「『モンスターの逆襲』に続いて、山本さんのモンスター好き作家の資質がはっきり見てとれる作品ってことね」

 

009「では、対ゴーレム選択肢を局面別に掘り下げてみよう」

 

①洗脳音波の〈魔法のラッパ〉

 

009「ゴーレムの能力で個人的に一番恐ろしいと思っているのがこれだ。冷凍光線とか電撃とか直接のダメージを与える破壊呪文ではなくて、精神攻撃で敵軍を混乱状態に追い込むこともできるし、味方の部隊を狂戦士に変えて敵を蹂躙殲滅させることも可能。本来は自軍の士気昂揚のための能力なんだろうが、匙加減を間違えたと言ったところか」

シロ「最適解はコウモリですよね」

009「岩妖怪でも、フェッチでも対処可能なので、最初だけあってゲームとしては楽に対応できる能力だな。まあ、消費体力がコウモリ(3)、岩妖怪(5)、フェッチ(6)というデータなので、まずはコウモリで小手調べといったところだが」

シロ「亡霊からもらった〈骨の首飾り〉のおかげで、ネズミとコウモリは消費体力を必要としない点もありがたいです」

 

②冷凍光線の〈水晶球〉

 

シロ「これは〈火酒〉で対処しました」

009「パラグラフ・ジャンプで進める特別ルートだもんな。体力点4が回復するのも美味しいし、最適解といっていいだろう。ただし、長い目でみたら、攻撃力+1の腕輪の方が長く使えて便利だろうが」

シロ「第2部以降で、1点の差で泣くことのないよう願いつつ。で、もしも〈火酒〉を入手していなければ、最適解は何でしょうかね?」

009「冷気に弱いフェッチ以外なら、コウモリでも岩妖怪でも対処可能だ。岩妖怪には冷気が効かないので、接近してあっさり〈水晶球〉を破壊できる。コウモリはどんどん撃墜されていくんだけど、群れの一部の凍りついた死体が〈水晶球〉に張り付いて、冷凍光線を発射不能にする。まあ、岩妖怪が攻略記事で役立たずだったのは、ここの見せ場を〈火酒〉で代用したからだな」

 

③電撃の〈三叉矛〉

 

009「ここで初めて〈鉄食い〉という選択肢が出る。コウモリと岩妖怪は電撃に対して完全に無力を露呈するので、対処可能なのは〈鉄食い〉とフェッチだけだ。フェッチは問題なく対応できるけど、最後の接近戦を楽にクリアできるための切り札と考えれば、〈鉄食い〉の方が有効と言える。

「ただ〈鉄食い〉は体力消費2点で呼べるというメリットの反面、移動力が遅いので、相手の攻撃に間に合うには、運だめしを成功しなければならない。それに失敗するとバッドエンドなので、若干のリスクを伴うのが欠点だ」

シロ「運だめしのリスクを考えると、絶対の最適解とは言えないわけですね」

009「これは、最後のバトルをどういう形でクリアしたいかにもよるな。ここでフェッチを選ぶと、最終戦ではダイスを振らないといけないので、ゴーレムの戦闘力に対処できる方策を考える必要があるが、燃える最終戦を演出できる。一方で、盾を入手していなかったり、ゴーレムとのダイスの振り合いで勝てる自信がなかったり、そもそも体力点の回復手段がなくて戦闘のリスクが高い場合は、電撃に〈鉄食い〉、最後にフェッチというのが推奨ということになる」

 

④接近戦の〈巨大剣〉

 

009「ゴーレムの特殊攻撃に何とか対処したあと、ようやく接近戦に移るわけだが、技術点16という脅威の数値をどう減らすかが問題となる」

シロ「ザックが共闘してくれるので、こちらは自動的に+2ボーナスが付くんですよね」

009「攻略記事のように〈鉄食い〉を呼ぶと、技術点が16から12に減るので、ザックと盾の活用で、技術点8でも対等に戦える。これで十分な体力点があれば、よほど運が悪くない限り、2回連続命中は達成できるだろう」

シロ「〈鉄食い〉がいなければ、技術点4差の壁を越えるのは不可能でしょうね」

009「他の可能性としては、岩妖怪を呼ぶという方法もある」

シロ「岩妖怪の攻撃がラッキーヒットすれば、ゲームオーバーじゃないですか」

009「0.4%のリスクを恐れて、冒険などできんだろう。運だめしを6ゾロで失敗する36分の1のリスクの方がよほど恐ろしい。とにかく、岩妖怪を召喚する。順調にゴーレムの剣に切り刻まれて敗退する。しかし、その死は無駄ではない。頑丈な岩に何度も斬りつけたために、ゴーレムの剣はボロボロになって、技術点が2減って14になるのだ」

シロ「それでも、マシロンより2高いから、不利でしょう!?」

009「初期技術点が最高の10で、腕輪込みで+1、亡霊に減らされた技術点はポーションで回復して、ザックの支援で+2。これで、こちらは13まで能力を高めて、一方のゴーレムは盾の効果で技術点が12まで下がる。これなら十分勝てるだろう」

シロ「最高能力じゃないと勝てないってのは、厳しいバランスですよ。まあ、最高能力の一歩手前で勝てたんだから、決して厳しすぎることはない良きバランスだったと言えます」

009「うむ。実は追悼本の294ページに、山本さんの昔の記事でこういうことが書いてあってな」

 ゲームブックを書く場合、僕はひとつのことを心がけています。それは「常に不確定な部分を残す」ということです。作者がただひとつの理想的な解き方を読者に押しつけるようなゲームブックは、自由度が少なくて息苦しく感じます。いろいろな筋道を試し、何通りもの異なった解き方のできるゲームブックが理想です。本誌に連載した『モンスターの逆襲』にしても、読む人によってそれぞれ違う道順で解けるように工夫したつもりです。

 

シロ「なるほど。ただ一つの正解以外の解き方も許容できる、自由度の高さこそが、山本さんの理想ってことですね」

翔花「だから、主人公がゴブリンじゃなくて、タヌキでも問題なくプレイできたのね」

晶華「いや、それはさすがに山本さんの意図とは異なる遊び方だと思うけど」

シロ「とにかく、鋼鉄ゴーレムの倒し方も、複数の方法があるってことだな、と」

 

難易度の話

 

009「では、最後にうちのFF攻略記事の特徴である難易度認定だ」

 

①ラスボスが強い(◎)

 能力値が技術点16というのは、はっきり強いですが、そこに至る前の特殊能力をどうやって封じるか、また強大な能力データをどう削って、対等に戦えるように持ち込むかなど、いろいろ工夫が為されています。

 これがイギリス本国のFFボスキャラだと、強い敵も「たった一つの弱点で、一気に弱体化」して、呆気なく倒されることが多々あります。強いのだけど、弱点を突けばあっさり倒せる。これがFFの多くのボスクオリティー

 その中で、弱点がなくて、ガチに強い強敵がたまにいて、最強能力値の主人公でないと攻略不能の絶望感を醸し出したりするのですが、今回の鋼鉄ゴーレムは「選択肢次第ではあっさり倒すことも可能」だけど、それには段取りを重ねなければいけないという。

 弱点が一つであっさり……ではなく、1、2点の細かいボーナスを積み上げて、じわじわと対等に戦う布石を重ねていく。

 

 以前に、『バルサスの要塞』のボス、バルサス・ダイアとの丁々発止の魔法戦がFFシリーズのラスボス戦の中で一番……という話を書きましたが、本作の鋼鉄ゴーレム戦も相手の特殊攻撃を召喚獣や入手アイテムで対処していく手順が、バルサスとの魔法合戦に匹敵する楽しさ、および選択肢の難解さに通じる部分がありましたし、

 その後の高能力値をいかに削るかのバランス感覚が秀逸で、個人的にスリルあるダイスの振り合いを楽しめました。

 ともあれ、弱い能力でも抜け道は用意されていて(選択肢によっては、ダイスを一切振らなくても、ラスボスは倒せる)、一方の正攻法でも相手の能力を段階的に削ることで良い勝負シーンが演出できるという、手間暇かけることがそのまま楽しめるラスボスってことで、強さと楽しさを両立させたラスボス戦闘と評価します。

 これが単純に、強いんだけど弱点一発で一気に弱体化して、あっさり……という残念仕様でない点から、◯ではなくて◎という判断。

 鋼鉄ゴーレムは決して、弱点を突いたからと言って、あっさり倒せる普通のボスではない、と。

 

②全体的に罠が多くて死にやすい(X)

 初見殺しのイヤらしい仕掛けを感じましたが、意外なほどにバッドエンドの数そのものは少なく、理不尽に即死させられる致命的なトラップは皆無と言ってよいですね。

 仕掛けのイヤらしさと感じたのは、選択肢を選んだ際に、その場であからさまな正解不正解を示さずに、そこそこストーリーが進んでしまうテンポの良さがあるから。

 これはリビングストンよりも、英ジャクソンが使いがちなデッドエンド・ブロックの手法に近いけど、山本さんの場合は、そこにストーリーの必然性を上手く絡めてくることが多い。だから、ドラマ的な当たり外れの流れに適切に乗れたら、きちんと誘導してくれる安心感がゲームブックにある。

 だから、死にやすくはないけれど、フラグを立て損ねて巧妙な仕掛けで行き詰まった瞬間に、「やられた!」と感じさせてくれる。これは突然のバッドエンドではなくて、じわじわと後から失敗していることに気づかされる作風。

 

 例えば、よくあるダンジョン構造で、右に行くか左に行くかの2択で、右に行けば正解、左に行けば即死罠……というのがゲームブックの典型的なデストラップと言えますが、この場合、次からは右へ行けばいい(物語を進めるには右へ行くしかない)。

 これが凝った構造だと、左へ行けば即死罠なんだけど、事前にとあるアイテムを入手していれば、即死罠を回避できて、その先に進むことができる。即死罠の先で見つかるアイテムこそが攻略必須で、安全だと思った右へ進めば、当面は問題ないけど、後から必須アイテムを持ってなくて、詰むことになる。

 この場合、「必須アイテムが即死罠の先にある」という情報を知れば、イヤらしいなあ、と感じるわけで、難解なゲームブックは攻略必須アイテムがどこで入手できるか、それを入手するためにはどういう作業が必要になるのか、などで手の込んだ構造が多い。

 

 あるいは、もっと単純に、致命的な罠や、強敵モンスターがいっぱいで、安全ルートの選別と、攻略必須ルートの兼ね合いで、最適解を探すのが多くのゲームブックの解き方と言えます。

 で、本作の場合は、アイテムがなくてクリアできない場面がいくつかあって、そこはよくある普通のゲームブックなんだけど、「そういうアイテム必須なところを通過しなくても、大胆にショートカットすることでクライマックスにたどり着ける」という選択肢があって、単純に攻略難易度を決めるのが難しい。

 ある意味、正攻法で攻略困難なのを、あっさり解ける裏ワザみたいなものがあって、運良く、あるいはしらみ潰しに選択肢を調べた結果、そういう裏技ルートを発見できれば、難易度は一気に下がる。

 これに似た作品は、英ジャクソンの『さまよえる宇宙船』と言えます。数ある惑星探索イベントの中で、重要情報の手に入る正解の星2つを巡るだけで、他はスルーしても、あっさりゴールまで行ける。おそらく、最適解だけを進めば、FFシリーズの中でもトップクラスに味気ない作品でもあります。

 もちろん、最適解を発見するまでの試行錯誤がゲームとして楽しいのだし、最適解を見つけた後でも、まだ見ていないイベントの楽しさを発見する遊び尽くしの過程もあるのだけど、解くことだけで満足してしまっていた学生時代は、勿体ないことをしたと思いながら、解析しながらの再発見をしている近年だったりも。

 

 話が寄り道拡散しましたが、本作は作者の前作ゲームブック『モンスターの逆襲』と比べても、右か左の進路を選ぶダンジョン探索は見られず、ダンジョン(〈死の井戸〉およびブラックサンド地下)は登場しても一本道のイベント連続構造で、道筋で迷わせる作りにはなっていません。

 間違った通路を歩いたから死んだとか、宝箱に仕掛けられた罠で致命傷を受けたとか、そういう仕掛けがなくて、ストーリー主導型のゲームブックと言えますね。

 だから、バッドエンドで死ぬのは、ストーリーを成立させるためのフラグ立てに失敗した(重要人物のザックやケイと出会わない)場合と、ニカデマスに攻撃した場合(FFシリーズの経験者なら、ヤズトロモやニカデマスに攻撃するのが愚かな所業というのは常識である)ぐらい。あとは強敵であるラスボス戦。

 その意味で、理不尽な死というものが皆無の作品と言っていいわけですね。

 

③パズル構造が複雑(◎)

 理不尽な死はないのに、本作の難易度を上げている要因はこれです。

 200パラグラフの短編であるうえ、ストーリー構造に凝ったゲームであるため、数量的に多いとは言えませんが、要所要所でパラグラフ・ジャンプが仕込まれて、しかも日本人読者向きの「いろは歌」とか「素因数分解」とか、和製ならではのオリジナリティの高い仕掛け。

 少なくとも、いろは歌の仕掛けを解かないと、ニカデマスに会えずにストーリー把握が困難になるし、攻略必須のダルミナートの酒場にも行けません。

 単に文章で示された選択肢に従うだけじゃダメで、ストーリーの中で与えられた手がかりを上手く数字変換して、能動的に進むべき番号を導き出さなければいけない。この辺も、英ジャクソンが『サイボーグを倒せ』『モンスター誕生』で多用した手法ですね。

 雑誌連載の1回分は200パラグラフの小品ながら、非常にテクニカルなゲームブック手法が採用されています。これまで単行本化の機会に恵まれなかったために、一本の作品としてさほど大きな知名度を得ることはありませんでしたが、ストーリーの濃さと緻密なパズル性の豊かさが相まった傑作として、再評価したいと思います。

 

④ゲームシステムが難しい(◯)

 主人公はモンスター使いとして、体力点を消費して、ただの戦士とは異なる特殊能力を扱います。

 ジャクソンのソーサリーの呪文をよりシンプルにしたシステムで、非常に先見性の高い手法と言えます。

 難しいと言っても、煩雑なルールではなく、その都度、選択肢に与えられた獣あるいはモンスターを選択するだけなので、ゲームとしては扱いやすい。

 ルールの感覚としては、『王子の対決』の魔法使い編に近いと言えますが、あちらは体力点ではなく、魔法点を消費する形なので煩雑な面があります。ただ、それ以上に2人用ゲームブックとしての仕掛けが混み入っているので、攻略にも手間どった作品。

 一方で、本作は雑誌連載の短編という形式から、あまり複雑なシステムを採用しにくいということで、FFの基本ルールは変わらず、獣使いの能力は「文章中の選択肢だけで処理」されています。シンプルで奥が深い魔法システムになっているのですね。

 ただし、主人公の未熟さを表現するためか、最初は簡単な獣ぐらいしか扱えず、だんだん扱えるモンスターの種類が増えてくるのが、間接的に主人公の成長を表現できていて面白い。

 さらに、『ソーサリー』の妖術呪文と比べて、ちょっとしたことでも体力消費の大きいコストパフォーマンスの低い能力であることも特徴。『ソーサリー』では体力消費1点や2点で使える呪文が多く、ZEDの呪文を除けば、最大体力消費が4点。しかし、本作の獣使いはおおよそ1.5倍の体力を消耗する傾向が(簡単な獣でも2、3点。獣以外の魔物だと、5、6点を普通に消費する)。

 これはまあ、200パラグラフの短い作品だから、体力点の変動をちまちまではなく、ダイナミックに大きく動かすことで派手なゲームプレイを意図しているのだと考えます。だから、運点や体力点という消費リソースの回復も非常に多いという特徴もありますね。

 逆に、選択肢次第では、回復機会があまり得られなくて、消耗が激しくなる危険もあるのですが、終盤のダンジョンでは連続エンカウントで、どんどん体力を消耗する危機感も演出できて、その点も上手いなあ、と。

 そして、個人的にお気に入りなのは、ネズミやコウモリを無償召喚できる〈骨の首飾り〉。これを入手するためだけでも、〈死の井戸〉で亡霊との賭けごとに興じる意味があると思いました。昔は、ケイに騙された印象が強くて、〈死の井戸〉に入るメリットはない、と思っていましたが、攻略記事を書きながらの再プレイで評価を改めるに至りました。

 無償召喚できるアイテムを入手したことで、主人公の成長も表現できていると思いますね。

 

⑤フラグ管理がややこしい(◯)

 ゲーム上の処理としては、短編の割にそこそこアイテムも多く、能動的に使いこなす必要性もあって、多少は面倒なものとなっています。

 もちろん、88年当時はもっと複雑な処理を伴うゲームブックのシステムの肥大化が目立ち、それをルールの発展だと嬉々としてプレイしていたマニア予備軍を増産していったわけですが。

 その中で、FFシステムはシンプルな方で、これが複雑に発展し始めた段階で、日本での展開が終了しましたからねえ。近年、コレクションで復刻したことで、未邦訳の作品もプレイしながら、アイテム数が膨大でフラグ管理が困難な御大リビングストンとか、立体迷路のダンジョンを採用したキース・マーティンとか、新作それぞれの仕掛けも昔以上に研究考察している近年ですが、

 だからこそ、本作の仕掛けも今さらながら面白さを再発見できている、と(ネットで他所のゲームブック研究ブログを読む機会も増えたという理由もある)。

 

 で、フラグ管理で、一番面白いのは、ケイと出会うことで入手する〈呪いの指輪〉。最初に文章で読んだときは「ゲッ。呪いだと? 最悪だ。どんな不幸に見舞われるんだろう、ドキドキ」って反応になりました。

 じっさい、ニカデマスさんに誤って攻撃されるし、何だか指輪の副作用で敵に操られたりしないだろうなあ、とか思ってたら、実は「指輪がない方が、魔女に殺される」という重要フラグアイテム。

 この入手過程が複雑で、「チャリスの街で強盗を追い払う→それを見たケイに強者と見込まれて話しかけられる→その後、刺客に襲撃される→刺客の持っていた指輪を誤って身につける」という段取りを重ねます。

 ケイの依頼を引き受けても、引き受けなくても、刺客イベントは発生するので、たいていの場合は指輪を入手することになります。つまり、ケイに会ったことの証明になって、主人公はほぼ必然的に呪われてしまうわけです。

 呪いを回避する方法はただ一つ。強盗に有り金を全部差し出して、それをこっそり観察しているケイに「こいつは臆病者で、使えない奴」と見限られることですね。そんなザコには、ケイ様は会ってくれません。

 その夜、無一文で宿にも泊まれないので、野宿するしかなくて、野宿の際の選択肢が「お金を持っているか持っていないか」になるのですが、持っていないを選ぶと、あら不思議。その夜は平和にぐっすり眠れます。呪われずに済んで、快適な旅を行える……という流れなんですが、よっしゃラッキーと思うのは早計。

 これでケイから取るに足りないクソザコと見なされた主人公は、サクッと生け贄にされて殺されてしまう運命が確定しました。ザックが助けに来る間もなく。

 ケイに殺されないためには、ケイの指輪を身につけて、少しぐらいの関心を抱かせないとダメ、ということなんですね。

 呪われなかったら、バッドエンド確定。呪われること自体が攻略必須フラグという、何ともひねくれた仕掛けです。

 しかし、ケイさんが直接、指輪をくれてプロポーズして来るわけではないので、この謎の指輪の正体が判明するのは、ニカデマスさんから話を聞いた時のみ。

 ああ、指輪をハめると、ケイ様の手下と認定されるのか。だけど、強い意志を持っていると操られない? まあ、その辺の仕掛けは脳内補完が必要になりますが、呪いと思ったものが実は良いもの、という「人間万事塞翁が馬」的な仕掛けがあって面白い。

 もっとも、呪われて外せないのも理由があって、このゲーム、街の市場で多くのアイテムを売ることができるのですが、物語的に重要なフラグアイテムを売れないようにすることですね。攻撃力+1の腕輪を売るプレイヤーはいないと思われますが、何の特殊能力もない指輪だったら売って換金したくなるはず。でも、それができないのは何故? と。

 なお、この指輪のフラグアイテムとしての特殊性については、FFゲームブック研究の先達、山原コウ様の下記研究記事も参考にさせてもらいました。

 以上を◎2点、◯1点、X0点で集計すると、2+0+2+1+1で6点となります。

 自分の過去の攻略作品では、『バルサスの要塞』『危難の港』『サイボーグを倒せ』『死の罠の地下迷宮』と同じ難易度ということになります。

 もちろん、短編ゆえの解きやすさというのもあって、第2部、第3部と続けると、評価もまた変わって来るでしょうね。とりわけ、バッドエンドがもっと増えて、今回の0点が加算される可能性が高いかと。

 

 では、第2部の旧世界編はまたいずれ。

(当記事 完)