名乗りゼリフ
GM(セイリュウ)「それでは、いよいよフェアリーガーデンの冒険を開始する」
晶華「わ〜い。これで私のカシュミーラもマッスル太郎さんみたいに伝説の冒険者になれるのね」
NOVA「いや。別にマッスル太郎は、伝説レベルには至っていないだろう」
ケイPマーク2『しかし、霧の街をソロプレイでクリアしたのは、ソード・ワールドではなかなかの偉業と評価されるのでは?』
NOVA「まあ、ヤーハッカゼッシュを倒すところまで頑張れば、伝説と言えるかもな。レベル7で霧の街を脱出するところまでは、よくいる冒険者の一人にしか過ぎん、と思う」
GM「ところで、今回のプレイでは、キャラビルドブックで新しく提示された『剣の恩寵』ルールを採用しようと思う」
晶華「剣の恩寵って?」
GM「時空魔術師、説明しろ」
NOVA「冒険の誓いを立てることで、1セッションに1回、判定ボーナスを+4できるシステムだな。あるいは他のキャラの判定に+2ボーナスを加えてもいい」
晶華「冒険の誓いって、『世界をこの手につかむ』とかそういうのでもいいの?」
NOVA「そのキャラにふさわしいものならな。お前のカシュミーラは本当にそんなキャラでいいのか? 最近、地球征服とか言い出したキャラと言えば、『汁なしタンタンメン』を思い出す特撮ファンは少なからずいるらしいぞ。俺は別に映画を見に行ってないんだが、ネット上ではにわかに人気キャラになりつつあるみたいだ。そのうち、汁なしタンタンメンのフィギュアが発売されるんじゃないか?」
晶華「鈴村健一さんの声で喋る、DX汁なしタンタンメンさんのフィギュアだったら、もしかするとヒットするかも?」
GM「タンタンメンの話など、どうでもいい。それよりも剣の恩寵ルールは、ロールプレイ支援システムであり、まずは自分のキャラにふさわしい名乗りゼリフを宣言するところから始まるのだ」
晶華「ああ、名乗りゼリフね。私の場合は、『空の力を想いに変えて、灯せ平和の青信号。花粉SHOWガール、ショーカ・ブルー・スタンド、ここに見参。スギ花粉の力で涙目浄化OKね!』って感じかしら」
NOVA「最近は使ってないから、ほぼ死に設定なんだけどな。俺の意思を宿した眼鏡、ブルーアイズを翔花ないし晶華が装着して初めて成立するフォームがブルー・スタンドなんだが、翔花が俺といる場面が少なくなっているし、お前はお前でバトルシーンが少ない日常キャラだし、ブルー・スタンドを必要とする局面がほぼないのが現状だ」
晶華「というか、TRPGでブルー・スタンドは再現できないでしょ?」
NOVA「システムによってはできなくもないんだが、ソード・ワールドだと難しそうだな。とにかく、プレイヤーではなく、キャラとして名乗りゼリフを挙げてみろよ」
晶華「先にNOVAちゃんが例を示して」
NOVA→サイバ「では、俺から行くぞ。『ぼくの名前はサイバ☆リオン。文豪にして魔法使い。物語の運命はぼくが決める』ということで、運命という言葉を恩寵のキーワードにしようと思う。『運命を変えてみせる』とか『この一撃に運命をかける』とか、そんな感じの発言をしたらボーナスがもらえる感じで」
GM「いいだろう。サイバ☆リオンの口癖は『運命』ということだな。了承した」
晶華「なるほど、そういう感じでいいのね。だったら、次、KPちゃん」
ケイP『私が先でございますか?』
晶華「だって、KPちゃん、影が薄いから、話を振ってあげないと、黙ったままだもん」
ケイP→マークス「お気遣い、感謝します。では、『私は忠義の騎士にして元船長のキャプテン・マークス。お嬢さまのために精進します』ということで、キーワードは『お嬢さま』あるいは『エマ・ショーカさま』にしようかな」
マークス「心の中は『お嬢さま』でいっぱいなので、仲間を助けるときにも『お嬢さまを救うには、あなたの力が必要ですからね』とわざわざ宣言するのですよ」
晶華「仲間を助けるときに、『勘違いしないでよね。これはお嬢さまのためだから仕方なく、なんだからね』と言っちゃうキャラね。こういうのはツンデレって言うのかしら?」
サイバ「たまにいるよな。何かと堅苦しくツンケンしているけど、『主君が命令するので、仕方なく協力してやる』ってキャラが。でも、主君が自分よりも誰かを重用すると、途端に嫉妬心に支配されるとか、この系統かな」
マークス「声優・堀内賢雄さんだったら、イルボラ以外にマシュマー・セロとか、ジャミル・ニートみたいな艦長兼パイロットキャラがいますね」
サイバ「そっちをイメージしているのか。てっきり、キラメイの魔進マッハの方向性かと思ったんだけどな」
マークス「何にせよ、イケメンボイスで頑張ります」
サイバ「リプレイは文字だけだから、イケボかどうかは発言次第で、読者が判断することだからな。せいぜい頑張れ」
GM「では、最後に花粉症ガールの番だ」
晶華→ミリィ「は〜い。あたしはカシュミーラ・ミルモワール。愛称はミリィになりました。天才妖精剣士で、希望の光を胸に抱いています……ということで、キーワードは『希望』または『光』でいくわ。『あたしが妖精郷の希望になる。だから、あなたはそのための糧となりなさい。邪魔しようというなら……お願い、今すぐ消えて光になれ』って感じ?」
サイバ「それは、本当に希望なのか? 何だか身勝手な『野望』『欲望』というイメージなんだが」
ミリィ「がんばれいわの希望って、こんな感じじゃないの? 世界を見たいという人の夢が、AI少女にとっては世界征服の夢につながって暴走したみたいだし。希望と野望は紙一重なのが令和じゃないのかしら」
サイバ「いやいや、そんな物語は美しくない。令和の運命は、ぼくが書き換えて、真の希望を紡ぎ上げたいよ」
GM「ヒロインが暴走するところに不安を感じなくもないが、魔術師と騎士が抑え役として振る舞うことに期待するとしよう。では、名乗りも終わったので、最初のミッションを決めるがいい。それと、当リプレイでは1セッションの基準が分かりにくいので、剣の恩寵は『1部に1回のみ使える』とする」
サイバ「1部は大体6〜10記事以内を意図しているってことで」
最初のミッション
GM「グラタンが与える最初のミッションは、仲間のケットシー4人の捜索だ。ペンネ、パスタ、ドリア、ニョッキの中から誰を最初に探すか決めよ」
ミリィ「グラタンもそうだけど、全部イタリア料理の名前よね」
サイバ「ああ。ペンネはいわゆるマカロニ。パスタはスパゲティで、ドリアはホワイトソースをかけた米料理、ニョッキは団子状のジャガイモパスタと理解。まあ、広い意味では、ペンネもニョッキもパスタの一種になるんだろうけど」
マークス「本来、パスタは小麦を練り上げたイタリア料理の総称ですが、ショートパスタがマカロニ(ペンネ)で、麺状のスパゲティはロングパスタに分類されます」
ミリィ「で、それぞれのキャラが何を司るんだっけ?」
GM「ペンネが施療院で、パスタが騎獣厩舎、ドリアが魔法工房、ニョッキが武具工房ということになっている。また、ペンネだけがレベル1推奨ミッションで、他の3人がレベル2推奨ミッションだ」
ミリィ「だったら、最初はペンネを選ぶのが無難よね」
サイバ「特に異論はないな。グラタンは薬草を作ることはできるけど、ポーション類は作れない。回復アイテムを充実させるには、まずペンネからがいいだろう」
マークス「私はお二人に従います」
ミリィ「全員の意見が揃ったので、最初のミッションはペンネ探しに決定よ」
GM「グラタン曰く、『ペンネは青い毛並みのケットシーで、緑色の帽子をかぶっている。きっと薬草園にいるだろう』とのことだ」
ミリィ「毛の色とか、帽子の色って重要情報なの?」
サイバ「重要情報だぞ。だからメモを取っておけ。グラタン(黒・青)、ペンネ(青・緑)って感じに」
ミリィ「そういうのはリオン様に任せた。筆記用具とか持っているんだし」
サイバ「むっ、冒険で重要な手掛かりは、ぼくがメモすることに決まったようだ。で、薬草園はどこに?」
GM「まずはD66でエリアを決めよ」
サイバ「では、まず、ぼくが振るよ。34」
GM「すると、おもてなし亭と同じ中央エリアだ」
サイバ「エリア移動をしなくていいなら、最初は楽だな」
GM「今のtb(タイムバンド、時間帯)は昼だ」
サイバ「フェアリーガーデンの時間管理は、ミストキャッスルと同じ6つのtb制。つまり朝、昼、夕方、夜、深夜、未明となっている。夜から未明までは、明かりが必要だ」
ミリィ「あたしには必要ないわ。エルフだから暗視があるし」
マークス「ルーンフォークにも暗視があります」
サイバ「つまり、明かりが必要なのは、人間のぼくだけだね。松明とかのお金はぼくが払うよ」
GM「霧の街と違うのは、夜間の移動で蛮族と遭遇する危険はないから、夜間移動を躊躇する必要がないということだ。ただし、1日睡眠や食事をとらなければ、ペナルティーを受けるので注意」
ミリィ「拠点の近くなら問題なさそうね。おもてなし亭では無料で食事と休息がとれるんでしょう?」
GM「グラタンはサービス精神満点だからな。そして、本作では日数管理を明確にしなければならない。というのも、妖精郷で連続10日過ごすと、妖精郷同化度が加算され、ラクシアに帰還できなくなる可能性が高まるからだ」
マークス「それって、エマお嬢さまを見つけたのに、『妖精郷同化度が溜まりすぎて帰ることができませんでした』って展開になりませんか?」
サイバ「その時はどうするんだ?」
マークス「もちろん、お嬢さまと共に一生、妖精郷で平和な暮らしを行い、めでたしめでたしでも構いません」
サイバ「こっちは構うんだがな。妖精郷の小説をラクシアの人たちに発表したいし、翔花を連れて帰ることが目的なのに、妖精郷を出られなくなったら困る」
ミリィ「大丈夫よ。リオン様の小説はあたしが読んであげるから。あたしのために小説を書いてくれるなら、読者冥利に尽きるわ」
サイバ「妖精郷で、妖精郷小説を発表しても、異世界冒険ものにはならないんじゃないか。ぼくは異世界ものが好きなのであって、現実世界を舞台にした小説を書きたいとは思わないんだよ。リアルな現実が壊れる話は、自分で書いていても、いまいちノれない。スティーブン・キングみたいな話は、自分では書けん」
ミリィ「って、キャラじゃなくて、プレイヤーの意見になってるし」
マークス「スティーブン・キングさんは現代アメリカを舞台としたモダンホラーの作家ですけど、異世界ファンタジーもいろいろ書いてますよ。代表作『ダークタワー』シリーズは読みましたか?」
サイバ「これって、90年代から21世紀初めに4巻まで出たんだけど、その時は興味が薄かったんだよ。だけど、最近、映画化されて気になってはいたんだ。全7巻で、5巻から『セイラムズ・ロット(呪われた街)』のキャラハン神父が登場すると知って、興味を持つようになっている。世界観としては『キャリー』や『シャイニング』にもつながった要素があって、実は多元世界ものだったんだな」
サイバ「90年代は『剣と魔法こそファンタジー』という考えに囚われていたから、銃使いが主人公の本作は、自分の好きなファンタジーじゃないって見なして、タイトルしか知らなかったんだ。でも、今は『銃と魔法のファンタジー』というのも普通に受け入れるようになったわけだし、この作品を最初から読んでもいいなって気になってる。
「そう、ずっと妖精郷にいたままだと、他の人の書いた小説を読むことができない。この世界で妖精の書いた小説というものが読めるなら別だけど、ぼくはラクシアの他の小説も読みたいわけで、ずっと妖精郷に囚われるのは本意ではない。だから、必ず元の世界に帰らないといけないんだ」
ミリィ「リオン様は帰還することを望んでいるのね。あたしはずっとここで暮らせてもいい、と思うけど、もっと別の異世界を旅してもみたいし、一つの世界に縛られると飽きちゃうかも。今は異世界に来れた喜びでいっぱいだから、そこまで先のことは考えていないけど、リオン様に説得されたら、『自由にラクシアと妖精郷の間を出入りしたい』って思うかもね」
サイバ「そうなんだよ。自由に二つの世界を行き来できることが大事。そのために、妖精郷同化度が溜まり過ぎる前に、転移の魔法陣を使えるようにしないといけないわけだ」
マークス「しかし、エマお嬢さまは?」
サイバ「そもそも、この世界に本当に来ているのか?」
マークス「何を今さら……」
サイバ「実は、この世界にはいたけど、すでに別の世界に行きましたってことなら、その後を追わないといけないだろう? 『この世界で共に一生、幸せに暮らす』なんて甘いことを言ってられないと思うんだ。ぼくたちは迅速に行動しないといけない」
GM「そう思うなら、余計な異世界小説の話にうつつを抜かさんと、さっさと話を進めないか」
サイバ「確かに、ゴジラ様のおっしゃる通り。では、プレイを続けましょう」
薬草園(1日め昼)
ミリィ「じゃあ、おもてなし亭から薬草園へ向かうことにします」
GM「移動判定を行うがいい。同一エリアだと2Dで5以上で、迷わず目的地に行き着ける」
ミリィ「5以上ね。そんなの簡単よ。8」
GM「ならば、おもてなし亭から薬草園まで『妖精の道』がつながった」
ミリィ「妖精の道って何?」
サイバ「解説しよう。この妖精郷は、我々の物理世界と違って、地形がいろいろと不安定なんだ。薬草園はおもてなし亭と同じ中央エリアにあるんだけど、どこをどう歩いたら、そこに行き着けるかは定かではない。そこで妖精の道という転送ルートを設ける必要がある。一度、道がつながると迷うことなく(移動判定をせずに)、そこに行き着くことができる」
ミリィ「逆に、移動判定に失敗すれば、『ここはどこ? 私は誰?』って状態に陥るわけね」
マークス「さすがに『私は誰?』とまではならないでしょうが、とにかく迷子になる可能性もあるわけですね」
サイバ「今回は、あっさり薬草園に到着できたけどな」
GM「薬草園に到着すると、『待たんか、この薬草泥棒! 逃がさへんでぇ!』と叫ぶ声がする」
ミリィ「誤解よ。まだ盗んでないし」
サイバ「まだって何だよ。盗む気あったのか?」
ミリィ「いいえ。盗む必要なんてないわ。妖精郷のものは全て、未来の女王のあたしのものになるはずだし」
マークス「いわゆるジャイアニズムという奴ですね」
ミリィ「とにかく、あたしのものを盗む奴がいるのは許せない。一緒に泥棒を捕まえるわよ」
GM「声のした方に行くと、緑の帽子のケットシーが2体のゴブリンを追いかけているのが目についた。ケットシーはお前たちを見て、『おっ! ええところに来た。こいつらは薬草泥棒や。やっつけるの手伝うて』と言う」
ミリィ「もちろんよ。あたしの薬草を返してもらうわ」
ケットシー『いや、姉さんの薬草やあらへんねんけど』
ミリィ「とにかく、未来の女王として、王国の民のピンチは見過ごせないの。たかがゴブリン2体、さくっと倒してみせるわ」
サイバ「一応、念のため、魔物知識判定をするよ。達成値9」
ミリィ「勝った。私は10」
GM「2人とも成功で、ミリィは弱点も見抜いた。レベル2で、HP16。剣のかけらは入っておらず、魔法ダメージは+2される」
サイバ「とは言え、魔法を使う必要もなさそうだな。しかし、相手の先制値は11か。平目で11以上は無理だろう」
GM「うむ、3人とも失敗したようだな。ではゴブリンから行くぞ」
サイバ「ああ。一応、前衛後衛の配置と戦闘準備はできるので、ぼくは後衛ね」
マークス「私とミリィさんが前衛ですね」
GM「では、ゴブリンの命中値は10なので、前衛2人がそれぞれ回避するように」
ミリィ「あたしは回避基準値が5だから余裕ね。(コロコロ)って出目4だし。いきなり当たってるし」
GM「ダメージは9点だ」
ミリィ「防護点は2だから、7点くらって、残りHPは9点。たかがゴブリンなのに、あたしを傷つけるなんて生意気よ(涙目)」
マークス「私は13と言って回避。ミリィさんをかばう宣言した上で、まずは目前の敵を倒します。命中は13。当たってダメージは11点」
GM「防護点2点を減らして、9点くらって、残りHPは7点だな」
ミリィ「あたしも反撃よ。命中ダイスは4。達成値は8ね。ダガーを振り回しているけど、当たらない。みんな、気を付けて。このゴブリンは強敵よ」
サイバ「いやいや、お前がザコなだけだろう。とりあえず、確実に一匹ずつ仕留めたいので、キャプテンの前のゴブリンに弓を射つ。命中は12で、ダメージは9点」
GM「傷ついたゴブリンは、矢が突き刺さってぴったり絶命した。では、2ラウンドめ」
ミリィ「今度こそ避けてみせるわ」
GM「いや、避ける必要はない」
マークス「私がかばってますからね。ダメージを下さい」
GM「12点」
マークス「防護点で7点減らして、5点くらった。残りHPは22点です」
ミリィ「では、名誉挽回の反撃よ。命中判定は13。当たってダメージは5点」
GM「3点くらって、残り13点」
マークス「私も反撃します。今回はかばうではなく、魔力撃を宣言して命中。ダメージは10点に、魔力撃の3点加えて合計13点」
GM「防護点2点だけ生き残った」
サイバ「仕方ないな。弓矢で当てて、ダメージ6点」
GM「それでとどめになった」
サイバ「よし、2体ともぼくが仕留めたぞ」
ミリィ「リオン様、ズルい。弱った敵にとどめを刺すだけなんて」
サイバ「タイミングの問題さ。それより、戦利品判定をしようぜ。5が出て〈武器〉(30G)と……」
ミリィ「あたしも振る。6が出て同じ結果ね」
この戦いで★2つと経験点40点を獲得した一行は、ミリィが救命草2つを使ってHP6点回復し、マークスも救命草1つで3点回復した。それぞれの現在HPは15点と25点。
ミリィ「やっぱりレンジャー技能がないと、薬草の効率が悪いわね。全快しなかったし」
サイバ「このミッションを終えたら、スカウトとレンジャーを覚えないとな。それからミリィは、フェンサー技能を上げないと、前衛には出ない方がいいんじゃないか。キャプテンがお前をかばうと、そのラウンドは魔力撃が使えないので、効率が悪くなる。どうせ、前に出てダガーを振り回しても威力が低すぎて、ろくにダメージが与えられないんだから、後衛で魔法を撃っている方が貢献できる」
ミリィ「ボス戦だったら、そうさせてもらうわ」
ペンネの話
ケットシー『姉さんたち、怪我させてしもうて悪かったな』
ミリィ「そう思うなら、使った薬草3つ分、ちょうだいよね」
ケットシー『そんな殺生な。薬草泥棒はこいつらだけやない。他にも逃げ出した仲間がおって、そいつらにいっぱい盗まれたんや。頼むから、逃げ出した連中を追いかけて、取り戻してくれへん? わいは連中に荒らされた薬草園の修復もせんとあかんねん。頼むわ』
サイバ「一つ聞いていいかな? 君の名前は?」
サイバ「我々はグラタンの使いで、君を迎えに来た者だ」
ペンネ『ほう、そうなんか。だったら話が早い。連中から盗まれた薬草を取り返して、ここの修復が片付いたら、宿に戻るわ。それでええんやろ?』
サイバ「そうだな。で、連中はどこに?」
ペンネ『(ダイスを振って)ここと同じ中央エリアの「鏡の池」ってとこやと思う』
ミリィ「じゃあ、もう一つ質問。あなたはどうして関西弁で喋るの?」
ペンネ『関西弁ちゃう。こいつはケットシー弁ちゅうんや。ケットシーは基本的に商売ネコらしく、商人言葉を喋るんやけど、わい以外は少々気取った言葉遣いをしおる。わいはワイルドなケットシーやさかい、素のままやけどな。グラタンかて、焦った時はケットシー弁の地が出よるで』
サイバ「まあ、最近のゴジラ動画では、関西弁ゴジラというのもよく見るからなあ。GMセイリュウの地が関西弁やっても、こっちは驚かんわ」
ミリィ「作者の地が関西弁だもんね」
【ゴジラの独り言】コロナをこれ以上増やさないよう、ゴジラが敢えて話す
鏡の池(1日め夕方)
GM「では、薬草園から、鏡の池へ向かうといい。なお、薬草園での時間経過により、そろそろ夕方になろうとしている」
サイバ「夜までには、目的を達成したいよな」
ミリィ「じゃあ、また移動判定ね。8で問題なく、鏡の池に到着したわ」
GM「では1Dを振るといい」
ミリィ「1」
GM「冒険者レベルの平均値2を足して3か。では特に何も起こらないが、湿地帯を歩いていると、三日月型をした池が見えてくる。池の水面は、まるで磨かれた鏡のように美しく光を反射してキラキラと輝き、波一つない。池に近づくなら、探索判定せよ」
ミリィ「は〜い、5」
GM「何も見つからない」
ミリィ「罠もないってことね。みんなも探索してみて」
サイバ「10」
GM「ほう。池のほとりの草むらに、羊皮紙の入った小瓶が落ちているのを見つけた」
サイバ「おや、これは? 何かのメモかな?」
GM「魔動機文明語で文字が書かれているようだ」
サイバ「魔動機文明語なら、キャプテンが読めるんじゃないかな」
マークス「はい、読みます」
GM「『この池には、水に溶かした品物の持ち主を映し出す魔力が秘められている。しかし、長い間、持ち主の手元を離れていた品物では効果がない』と書かれていた」
マークス「つまり、エマお嬢さまの持ち物を湖に投げ込めば、お嬢さまの居場所が分かる?」
ミリィ「お嬢さまの持ち物を何か持ってるの?」
マークス「いや、何も」
ミリィ「う〜ん、お姉ちゃんの持ち物だとドゴランアーマーかな。KPちゃん、試しに池に飛び込んでみて。お姉ちゃんの居場所が分かるかも」
サイバ「こらこら。プレイヤーとゲームのキャラを混同するな。少なくとも、NPCのエマ・ショーカはドゴランアーマーなんて装備していないと思うぞ。それにケイPマーク2が翔花と別れて、ずいぶん久しいじゃないか。最後にマーク2のドゴランアーマーを身に付けていたのって、去年のクリスマス期になるし」
ミリィ「じゃあ、とにかくエマさんの持ち物を見つけたら、ここにまた来ればいいわけね」
サイバ「そうだろうな。それより薬草泥棒の手掛かりはないか?」
GM「そうやって辺りを探していると、遠からず、ズダ袋を担いだ2体のゴブリンが見つかった。一応、魔物知識判定を行え」
ミリィ「成功よ。弱点まで見抜いたわ」
GM「なら、片方は剣のかけら入りということも分かった。HPは通常よりも高い26点だ」
ミリィ「ボスキャラということね。先制判定はダメ。とりあえず、前衛に立つのはマー君だけってことで、あたしは後方で魔法に専念するわ」
GM「では、2体のゴブリンがキャプテン・マークスに襲いかかる。命中10を2回避けよ」
マークス「8と10で一回当たりました」
GM「ダメージは11点」
マークス「7点減らして、4点くらいました。残りHPは21点。まだまだ行けますよ」
サイバ「さて、これがボス戦なら、魔法の使いどころだな。エネルギーボルトを弱い方に撃つ。魔法の達成値は12で、ゴブリンの精神抵抗は抜いた。ダメージは7点に、敵の弱点が魔法ダメージ+2なので9点をくらうがいい」
GM「残り7点だな」
ミリィ「次は私が《魔法拡大/数》で2体にファイアボルトを放つわ。達成値14で抵抗は貫通。ダメージは弱い方が12点で、強い方が10点」
GM「ザコはそれで倒れて、ボスの方は残り16点。それと実際に妖精魔法を使って、いつもと感覚が違うのが分かる。いつもなら宝石から妖精が出現して魔力を放つのに対し、この妖精郷では宝石を通じてではなく、周囲の魔力が収束して妖精が飛び出す形になる。ここでは契約していない水や闇の妖精も呼び出せそうな気がする」
ミリィ「つまり、全ての妖精魔法を使えるということ?」
GM「うむ。自分のレベルまでなら、地水火風光闇を問わず、自由に使えるようだ」
ミリィ「6つとも使えるなら混沌属性は?」
GM「さすがに、それは扱い慣れないゆえ、暴走の可能性を考えると使わない方がいいと考える。少なくとも、今の自分には制御できない力だということは分かる」
ミリィ「賢明なら使わない方がいいってことね。いいわ。禁じられた最後の大技なので、おいそれとは使えないってことにしてあげる」
マークス「では、私の攻撃に移ります。シールドを地面に落とし、ヘビーメイスを両手に構えて、魔力を集中。大ダメージを狙って魔力撃を放ちます。これで仕留める。命中判定は12。ダメージダイスは8に、追加ダメージ6+魔力撃3で合計17点」
GM「惜しくも、とどめにはならなかったようだ。15点をくらって、残りHPは1点。では、ボスの攻撃。一回ぐらいは命中ダイスを振るか。(コロコロ)チッ、少ない。出目4で命中は7」
マークス「そんなものには当たりません。14と言って回避。では、反撃の魔力撃。命中は6ゾロ」
GM「回避は3ゾロでダメだこりゃ。とどめをどうぞ」
マークス「お嬢さまのための一撃! ダメージは18点!」
GM「こうして、薬草泥棒のゴブリンは粉砕された」
戦利品はまたも〈武器〉30Gが2本と、剣のかけら2つ。そして、薬草入りのズダ袋。
サイバ「では、これを持って、薬草園に戻るとするか」
再び薬草園(1日め夜)
GM「薬草園に戻ると、もう日は暮れていた」
サイバ「松明じゃなくて、真語魔法のライトを使うよ。MP1点で3時間保つからね。MPは寝たら回復するから、松明代の節約にはなる」
ミリィ「何だかケチ臭いんですけど」
サイバ「合理的と言ってくれ。それより、ペンネにズダ袋を渡すぞ」
ペンネ『おお、中に薬草が入っておった。では、これが報酬な。救命草3つってことで』
ミリィ「わ〜い、使った分が戻ってきたよ」
ペンネ『あと、袋の中にこんな物が入ってたんやが、あんたらの物か?』
GM「そう言って、ペンネが見せたのは、マークスが見覚えのある帽子だ👒」
マークス「え、これは?」
GM「刺繍で『エマ・ショーカ・ローズワース』と飾られている〈エマの帽子〉だ」
ミリィ「つまりはKP1号ちゃん?」
マークス「え? この帽子はイチロー兄さんってことですか?」
サイバ「確かに、翔花は昔、ドゴラン帽子をかぶっていたが、この帽子をケイPマーク1と解釈していいのか、GM様?」
GM「うむ、ゲームのNPCであるエマを花粉症ガールの翔花に見立てるならば、エマの帽子はケイPと見立てることもできよう。しかし、その帽子はあくまでケイPのボディだけで、心はまた別のアイテムとして妖精郷のどこかに隠されている」
サイバ「ボディだけあって、ハートは別だと?」
GM「そうだ。軽くネタバレするなら、〈エマのハンカチ〉というものが妖精郷のどこかにあって、それにケイPマーク1のプログラムデータが保存されているという扱いになる」
マークス「ボディとハートが別れ別れになってしまうなんて、イチロー兄さん、おいたわしや(涙目)」
サイバ「いや、これでフェアリーガーデンの世界に、翔花とケイP1号機が存在することが確実になったわけだ。マーク1のボディだけでも見つかったことを、我々は一歩前進として喜ぶべきだろう。少なくとも、見当違いの捜索をしているのでないことは、はっきりした」
GM「ともあれ、こうして、最初のミッションを果たしたお前たちは★3つを獲得して、ペンネを連れて、おもてなし亭に戻り、そこで一夜の休息をとることができた。今回はここまで。次は成長の儀に移るとしよう」
●フェアリーガーデン第1部1話の収穫
経験点:★5つ、魔物退治分80点
金銭収入:戦利品(120MM分)、剣のかけら2個
特殊アイテム:エマの帽子(ケイPのボディ)
冒険達成度:ペンネを連れ戻した(+2%)
合計2%
(当記事 完)