タイタンのさらなる助力
GM(NOVA)「今回は前置きなく、最初からプレイを始めるぞ」
ミリィ(晶華)「NOVAちゃんにしては珍しい。雪が降るかしら」
GM「地域によっては、豪雪で大変みたいだな。俺の住む阪神間は基本、降水量の少ない地域になるので、夏の大雨、冬の大雪にはあまり見舞われない地方だが、各地の雪の情報をニュースや個人のツイッターなどで見るたびに、大変な中、頑張って下さいと頭が下がる思いだ」
サイバ(009)「とは言え、ぼくたちも前回、雪山に強力なドラゴンゾンビが出現するって情報を聞いたからな。そんな危険な雪山登山に出向くには、よほどの準備をせねばなるまい」
GM「危険と知らずにいきなり乗り込むよりも、危険だと知って対策を練る方が賢いからな。もちろん、君子は危うきに近寄らずだが、冒険者は君子ぶっていても仕方ないし、大きなことを成し遂げようと思えば、君子豹変するぐらいでなければな」
マークス(ケイP)「つまり、ワイルドに行け、と言うことですね」
GM「本来の意味は、『君子というのは過ちに際して、直ちに言行を改めて自分を急成長させるように努める』ということで、良い意味での切り替えの速さ、巧さを表す言葉だったんだ。まあ、今は悪い意味で誤解されて使われがちで、『すぐにキレる怒りっぽい上司や、態度をコロコロ変える信用できないトップを揶揄する』意味合いを帯びている。そもそも、君子を素晴らしい人格者の意味で使わずに、世間知らずのお坊ちゃんみたいに考えがちだからな」
ミリィ「NOVAちゃんは君子?」
GM「どっちの意味で言っているのかは知らんが、ゲームマスターや教師など他人を教導管理する役割である以上は、自他共の過ちには敏感でありたいと思う。と言うか、どうも例年、この冬場の時期は頭が普段よりも研ぎ澄まされているというか活性化しているので、細かいことが気になったり、勢いが暴走しがちになったりして、コントロールが大変なんだな。ゆったりのんびり落ち着けって自分に言い聞かせないと、暴走妄想回路が全開になりかねない」
サイバ「君子の反対は、小人だな。漢語では対になって論じられることが多い」
GM「小人と書いても、『こびと』じゃなくて『しょうじん』だからな。ダメな小人もしっかり精進すれば成長も期待できるんだが、君子の豹変に対して、小人は革面で、外面だけ取り繕うけど、中身は変わらないから成長できないらしい」
ミリィ「革面?」
GM「誰かに注意されるだろう? 成長する人間は、注意されたことを内面まで取り入れて、二度と過ちを犯さないように己を改めるんだよ。成長しない人間は、表面だけ分かったふりをして、その場を巧くやり過ごしたり言い逃れたりするばかりで、面しか革(かわ)らないから同じ失敗を繰り返す、言葉だけの反省って奴だな」
サイバ「もちろん、真の意味で豹変できる人間なんて、少数派だろうけどな。ちょっとした修行で急成長できたら、正に少年マンガの主人公だ」
GM「まあ、ネット上の付き合いでは、別に豹変なんてしなくても、言葉の上で反省の意を示して、迷惑をかけるような行動をきれいに改めれば十分なんだけどな。それすらできないのがいるから、説教ネタがいろいろ尽きないわけで」
サイバ「説教ネタは、長い前置きになりそうだから、この辺でブレーキをかけた方がいいと思うな。今は、ぼくたちが主人公なんだし」
GM「ああ。では、脳裏に浮かんだ(実際に書いて収拾つかなくなった)説教駄文は惜しげなく切り捨てて、タイタン様の話の続きだ。前回、君たちはグラスランナーのポピンをタイタンのところに連れて行ったことで、結構な量の★(経験点の元)を手に入れた。そして、情報語りをしているうちに、いろいろフラグが立って、冒険達成度20%になって、さらなる追加情報が語られることになったんだ」
ミリィ「どんな話?」
GM「黒髪の魔女の話だけど、君たちはとっくに知っているよね」
ミリィ「アラマユさんの親友で、自分の野望のために妖精郷を創造したけど、それは妖精を愛しているからではなくて、妖精の力を集めて不老不死の神になろうとした自己中な人ってことね」
サイバ「で、本当に妖精愛を持っていたアラマユさんが『妖精たちを犠牲にするなんて許せない。私があなたを止めてみせる!』と叫んで、涙ながらに闇堕ちした親友を封印したって話だよな」
GM「まあ、それで合ってるよ。叫んだり、涙を流したりは小説家の脚色だろうけど、タイタンは君たちに魔女の話を初めてしたんだが、君たちはすでに知っていた。それでも情報ソースを複数チェックできて、この話の信憑性が高まったことで、★1つ進呈しよう」
マークス「タイタンさんと話をするだけで、どんどん経験点が増えて行くんですね。さすがは大妖精。そのオーラに触れているだけで、私たちの秘めたる潜在能力が解放されていくと言ったところでしょうか」
ミリィ「もう、★が18個も貯まっちゃった。1つで200点なので、これだけで3600点ね」
サイバ「今すぐ成長したいところだけど、成長はミッション終了後だもんな。何にせよ、次の成長で6レベルぐらいには到達できそうだ」
GM「俺が前にクリアしたのは7レベルだから、上手く行けば、この第3部で一度終わらせることも可能かも。もっとも、第4部まで掛かる可能性もあるがな。エマ救出後は新たなステージの物語に突入するかもしれないし、予定は未定だけど、8レベル以降のキャラ成長は、俺にとっても未知のプレイ領域だから、この機に頑張って体験したいし、一応は楽しみにしていると言っておく」
ミリィ「で、情報はそれで終わり?」
GM「最後にタイタンは、『ヒックリカエルの歌』を歌ってくれる」
サイバ「これか?」
La Rana Valiente - Shin Dokonjo Gaeru Opening
NOVA「ふつう、『ど根性ガエル』で多くの人が連想するメジャーな歌は、こっちだと思うけどなあ」
サイバ「旧バージョンは、夏休みにしょっちゅう再放送でやっていたからなあ。だけど、リアルタイムで見たのは新・ど根性ガエルの方だが、主題歌が横浜銀蝿と、とんねるずのコラボだとは思わなかった。エンディングの方も、とんねるずのバラード曲が妙に記憶に残っていて、好きだった」
ミリィ「そんな昭和世代の古いアニメの話はいらないから、妖精郷に戻って来てよ。で、タイタン様。その変なカエルって一体、何なのですか?」
タイタン『妖精王のお気に入りの歌の一つらしい』
ミリィ「妖精王って、変なセンスの人物みたいね」
GM「歌詞によれば、『王様はダジャレが好きで、ダジャレを言えば、沼地のカエルがひっくり返って、それと共に世界がひっくり返って、光が闇に包まれる』らしい」
ミリィ「何で、ダジャレで世界が闇に包まれるのよ? 布団が吹っ飛んだって言えば、世界が崩壊するって言うの?」
サイバ「ダジャレで世界をひっくり返すほどの力を持つ謎のカエルか。それって、元は人間の魔法使いとかで、呪いでカエルに変えられたとか、そういうことじゃないのか?」
マークス「魔女が人間をカエルに変えるという昔話はありますが、その類でしょうか」
ミリィ「それは『カエル』と『変える』を掛けたプリミティブなギャグね。とにかく、世界がひっくり返って、闇に包まれるのだったら、うかつにダジャレも言えないわ」
サイバ「闇の手の者に、そのカエルを奪われるのも危険だな。いずれ確保して、厳重に管理しないと。場合によっては、封印しないといけないのかもしれないし」
ミリィ「アラマユ様も、そうやって危険なものは何でもかんでも封印していたとしたら、まるで、この物語を連想するわね」
サイバ「ドラゴンゾンビと、ヒックリカエルかあ。方向性は違うけど、どちらも脅威的な能力を秘めていて、いずれ我々の前に立ちはだかるかもしれない恐るべき敵だ、と自分の取材ノートにしっかりメモしておこう」
GM「そして、全ての情報と★を与えた後、タイタン様は最後にカシュミーラに問いかける」
タイタン『妖精郷を滅ぼそうとしている魔女がもしも復活したとしたら、そなたは妖精たちの友として戦う覚悟はあるか?』
ミリィ「友? 女王は友と言えるのかしら? 妖精たちは民で庇護すべき存在。あ、でもタイタン様のような大妖精は民の代表という立場だから、領主さま? 諸侯と言ってもいい方よね。女王は円卓会議をまとめる者として、諸侯たちと同朋とか盟友といった関係を結ぼうと思います。今はまだ力及ばぬ身ですが、女王は民を守る者であり、大妖精と盟友関係を構築する者と考えれば、タイタン様ともお友達として信頼を培いたいと考えます。友の敵はあたしの敵なので、魔女が妖精たちに害なす存在ならば、あたしは友の苦境を見捨てたくありません。誓いの言葉はこれでよろしいのでしょうか?」
タイタン『うむ、カシュミーラ・ミルモワールよ。わしから見れば、そなたはまだまだひよっ子の娘に等しい存在であり、その言葉には不遜な響きも感じる……が、時経ても成長しない我ら妖精と違い、人族の長所は、経験を糧に成長して英雄と呼べるほどに飛躍する可能性であると聞く。わしは、そなたの持つ真っ直ぐで純粋な夢見る心、成長する未来への希望に賭けてみたいと考えている。大地の娘よ、そなたに我が力の一片を授けるとしよう』
GM「そう言って、タイタンはミリィに〈妖精の宝石(タイタン)〉を託した。使い捨てアイテムだけど、これを使うと6ラウンド間、17レベル妖精タイタンを召喚して戦わせることができる」
ミリィ「それって、かなりのチートアイテムじゃない?」
GM「タイタンが普通に殴るだけで2D+19点の2回攻撃だし、しかも《土の魔力撃》を発動すれば、さらに23点の追加ダメージが加算される。防護点も21点で、並の攻撃は通らないし、レベル1桁の敵だったら、『タイタンを召喚します』と言うだけで、戦闘終了と言ってもいいだろう。この妖精郷でタイタンに勝てる者がいるとしたら、同じ上位妖精とか、どこかの吸血鬼とか、ラスボスの魔女。あるいは妖精を支配下における冠を持つ者ぐらいだろうね」
ミリィ「とにかく、自分の手に余る強大な力を与えられたわけね。本当に女王になった気分よ」
サイバ「まあ、一度しか使えないアイテムだし、ギリギリまで頑張っても勝てない相手に挑む際に召喚できる大地の力ってことは、例のウルトラマンみたいなものだな」
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