タイタンのさらなる助力
GM(NOVA)「今回は前置きなく、最初からプレイを始めるぞ」
ミリィ(晶華)「NOVAちゃんにしては珍しい。雪が降るかしら」
GM「地域によっては、豪雪で大変みたいだな。俺の住む阪神間は基本、降水量の少ない地域になるので、夏の大雨、冬の大雪にはあまり見舞われない地方だが、各地の雪の情報をニュースや個人のツイッターなどで見るたびに、大変な中、頑張って下さいと頭が下がる思いだ」
サイバ(009)「とは言え、ぼくたちも前回、雪山に強力なドラゴンゾンビが出現するって情報を聞いたからな。そんな危険な雪山登山に出向くには、よほどの準備をせねばなるまい」
GM「危険と知らずにいきなり乗り込むよりも、危険だと知って対策を練る方が賢いからな。もちろん、君子は危うきに近寄らずだが、冒険者は君子ぶっていても仕方ないし、大きなことを成し遂げようと思えば、君子豹変するぐらいでなければな」
マークス(ケイP)「つまり、ワイルドに行け、と言うことですね」
GM「本来の意味は、『君子というのは過ちに際して、直ちに言行を改めて自分を急成長させるように努める』ということで、良い意味での切り替えの速さ、巧さを表す言葉だったんだ。まあ、今は悪い意味で誤解されて使われがちで、『すぐにキレる怒りっぽい上司や、態度をコロコロ変える信用できないトップを揶揄する』意味合いを帯びている。そもそも、君子を素晴らしい人格者の意味で使わずに、世間知らずのお坊ちゃんみたいに考えがちだからな」
ミリィ「NOVAちゃんは君子?」
GM「どっちの意味で言っているのかは知らんが、ゲームマスターや教師など他人を教導管理する役割である以上は、自他共の過ちには敏感でありたいと思う。と言うか、どうも例年、この冬場の時期は頭が普段よりも研ぎ澄まされているというか活性化しているので、細かいことが気になったり、勢いが暴走しがちになったりして、コントロールが大変なんだな。ゆったりのんびり落ち着けって自分に言い聞かせないと、暴走妄想回路が全開になりかねない」
サイバ「君子の反対は、小人だな。漢語では対になって論じられることが多い」
GM「小人と書いても、『こびと』じゃなくて『しょうじん』だからな。ダメな小人もしっかり精進すれば成長も期待できるんだが、君子の豹変に対して、小人は革面で、外面だけ取り繕うけど、中身は変わらないから成長できないらしい」
ミリィ「革面?」
GM「誰かに注意されるだろう? 成長する人間は、注意されたことを内面まで取り入れて、二度と過ちを犯さないように己を改めるんだよ。成長しない人間は、表面だけ分かったふりをして、その場を巧くやり過ごしたり言い逃れたりするばかりで、面しか革(かわ)らないから同じ失敗を繰り返す、言葉だけの反省って奴だな」
サイバ「もちろん、真の意味で豹変できる人間なんて、少数派だろうけどな。ちょっとした修行で急成長できたら、正に少年マンガの主人公だ」
GM「まあ、ネット上の付き合いでは、別に豹変なんてしなくても、言葉の上で反省の意を示して、迷惑をかけるような行動をきれいに改めれば十分なんだけどな。それすらできないのがいるから、説教ネタがいろいろ尽きないわけで」
サイバ「説教ネタは、長い前置きになりそうだから、この辺でブレーキをかけた方がいいと思うな。今は、ぼくたちが主人公なんだし」
GM「ああ。では、脳裏に浮かんだ(実際に書いて収拾つかなくなった)説教駄文は惜しげなく切り捨てて、タイタン様の話の続きだ。前回、君たちはグラスランナーのポピンをタイタンのところに連れて行ったことで、結構な量の★(経験点の元)を手に入れた。そして、情報語りをしているうちに、いろいろフラグが立って、冒険達成度20%になって、さらなる追加情報が語られることになったんだ」
ミリィ「どんな話?」
GM「黒髪の魔女の話だけど、君たちはとっくに知っているよね」
ミリィ「アラマユさんの親友で、自分の野望のために妖精郷を創造したけど、それは妖精を愛しているからではなくて、妖精の力を集めて不老不死の神になろうとした自己中な人ってことね」
サイバ「で、本当に妖精愛を持っていたアラマユさんが『妖精たちを犠牲にするなんて許せない。私があなたを止めてみせる!』と叫んで、涙ながらに闇堕ちした親友を封印したって話だよな」
GM「まあ、それで合ってるよ。叫んだり、涙を流したりは小説家の脚色だろうけど、タイタンは君たちに魔女の話を初めてしたんだが、君たちはすでに知っていた。それでも情報ソースを複数チェックできて、この話の信憑性が高まったことで、★1つ進呈しよう」
マークス「タイタンさんと話をするだけで、どんどん経験点が増えて行くんですね。さすがは大妖精。そのオーラに触れているだけで、私たちの秘めたる潜在能力が解放されていくと言ったところでしょうか」
ミリィ「もう、★が18個も貯まっちゃった。1つで200点なので、これだけで3600点ね」
サイバ「今すぐ成長したいところだけど、成長はミッション終了後だもんな。何にせよ、次の成長で6レベルぐらいには到達できそうだ」
GM「俺が前にクリアしたのは7レベルだから、上手く行けば、この第3部で一度終わらせることも可能かも。もっとも、第4部まで掛かる可能性もあるがな。エマ救出後は新たなステージの物語に突入するかもしれないし、予定は未定だけど、8レベル以降のキャラ成長は、俺にとっても未知のプレイ領域だから、この機に頑張って体験したいし、一応は楽しみにしていると言っておく」
ミリィ「で、情報はそれで終わり?」
GM「最後にタイタンは、『ヒックリカエルの歌』を歌ってくれる」
サイバ「これか?」
La Rana Valiente - Shin Dokonjo Gaeru Opening
NOVA「ふつう、『ど根性ガエル』で多くの人が連想するメジャーな歌は、こっちだと思うけどなあ」
サイバ「旧バージョンは、夏休みにしょっちゅう再放送でやっていたからなあ。だけど、リアルタイムで見たのは新・ど根性ガエルの方だが、主題歌が横浜銀蝿と、とんねるずのコラボだとは思わなかった。エンディングの方も、とんねるずのバラード曲が妙に記憶に残っていて、好きだった」
ミリィ「そんな昭和世代の古いアニメの話はいらないから、妖精郷に戻って来てよ。で、タイタン様。その変なカエルって一体、何なのですか?」
タイタン『妖精王のお気に入りの歌の一つらしい』
ミリィ「妖精王って、変なセンスの人物みたいね」
GM「歌詞によれば、『王様はダジャレが好きで、ダジャレを言えば、沼地のカエルがひっくり返って、それと共に世界がひっくり返って、光が闇に包まれる』らしい」
ミリィ「何で、ダジャレで世界が闇に包まれるのよ? 布団が吹っ飛んだって言えば、世界が崩壊するって言うの?」
サイバ「ダジャレで世界をひっくり返すほどの力を持つ謎のカエルか。それって、元は人間の魔法使いとかで、呪いでカエルに変えられたとか、そういうことじゃないのか?」
マークス「魔女が人間をカエルに変えるという昔話はありますが、その類でしょうか」
ミリィ「それは『カエル』と『変える』を掛けたプリミティブなギャグね。とにかく、世界がひっくり返って、闇に包まれるのだったら、うかつにダジャレも言えないわ」
サイバ「闇の手の者に、そのカエルを奪われるのも危険だな。いずれ確保して、厳重に管理しないと。場合によっては、封印しないといけないのかもしれないし」
ミリィ「アラマユ様も、そうやって危険なものは何でもかんでも封印していたとしたら、まるで、この物語を連想するわね」
サイバ「ドラゴンゾンビと、ヒックリカエルかあ。方向性は違うけど、どちらも脅威的な能力を秘めていて、いずれ我々の前に立ちはだかるかもしれない恐るべき敵だ、と自分の取材ノートにしっかりメモしておこう」
GM「そして、全ての情報と★を与えた後、タイタン様は最後にカシュミーラに問いかける」
タイタン『妖精郷を滅ぼそうとしている魔女がもしも復活したとしたら、そなたは妖精たちの友として戦う覚悟はあるか?』
ミリィ「友? 女王は友と言えるのかしら? 妖精たちは民で庇護すべき存在。あ、でもタイタン様のような大妖精は民の代表という立場だから、領主さま? 諸侯と言ってもいい方よね。女王は円卓会議をまとめる者として、諸侯たちと同朋とか盟友といった関係を結ぼうと思います。今はまだ力及ばぬ身ですが、女王は民を守る者であり、大妖精と盟友関係を構築する者と考えれば、タイタン様ともお友達として信頼を培いたいと考えます。友の敵はあたしの敵なので、魔女が妖精たちに害なす存在ならば、あたしは友の苦境を見捨てたくありません。誓いの言葉はこれでよろしいのでしょうか?」
タイタン『うむ、カシュミーラ・ミルモワールよ。わしから見れば、そなたはまだまだひよっ子の娘に等しい存在であり、その言葉には不遜な響きも感じる……が、時経ても成長しない我ら妖精と違い、人族の長所は、経験を糧に成長して英雄と呼べるほどに飛躍する可能性であると聞く。わしは、そなたの持つ真っ直ぐで純粋な夢見る心、成長する未来への希望に賭けてみたいと考えている。大地の娘よ、そなたに我が力の一片を授けるとしよう』
GM「そう言って、タイタンはミリィに〈妖精の宝石(タイタン)〉を託した。使い捨てアイテムだけど、これを使うと6ラウンド間、17レベル妖精タイタンを召喚して戦わせることができる」
ミリィ「それって、かなりのチートアイテムじゃない?」
GM「タイタンが普通に殴るだけで2D+19点の2回攻撃だし、しかも《土の魔力撃》を発動すれば、さらに23点の追加ダメージが加算される。防護点も21点で、並の攻撃は通らないし、レベル1桁の敵だったら、『タイタンを召喚します』と言うだけで、戦闘終了と言ってもいいだろう。この妖精郷でタイタンに勝てる者がいるとしたら、同じ上位妖精とか、どこかの吸血鬼とか、ラスボスの魔女。あるいは妖精を支配下における冠を持つ者ぐらいだろうね」
ミリィ「とにかく、自分の手に余る強大な力を与えられたわけね。本当に女王になった気分よ」
サイバ「まあ、一度しか使えないアイテムだし、ギリギリまで頑張っても勝てない相手に挑む際に召喚できる大地の力ってことは、例のウルトラマンみたいなものだな」
次の目的地
ミリィ「では、タイタン様に授けられた力のお礼を述べつつ、そろそろお暇を告げないと」
タイタン『うむ。必要があれば、戦力以外でも助言を与えるので、いつでも石に声を掛けてみるがいい。とりわけ、近くに他の大妖精がいる場所や、強い魔力に満ちた場所では、念波が届きやすいゆえ、わしの思念を通じ合わせることもできよう。そなたの動向、いつでも大地が見守っていることを忘れるな』
ミリィ「ええ。契約相手の意に沿わぬことはしないようにいたします。……これで、あまり羽目を外すようなマネはできなくなったわね」
マークス「いつでも、タイタン様に見張られているようなものですからね」
サイバ「契約相手が増えるほど義務やしがらみが増えて、自由が損なわれるということだな」
ミリィ「仕方ないわ。誰かと友誼をつなげようと思えば、その相手の意に沿わぬことをしないのが当然だしね。あたしはタイタン様に敵対するつもりはないけど、あたしのやりたいことがタイタン様のご機嫌を損ねる場合、気をつけるよう注意されたことには従うつもりよ。ノブリス・オブリージュ。地位には責任が、特権には相応の義務が伴うわけで、義務を引き受ける覚悟なくして、女王の道は歩めないってこと」
マークス「なりたい自分になるには、なった時に身に帯びる義務や責任まで考慮に入れた上で、それができる自分を作ることが心構えってものですね。クリエイターになるためには、クリエイターのしないといけない仕事が何かを先に知り、それができる自分を構築してから、その結果として人に認められる。たまたま先に認められる幸運があったとしても、後から自分を構築しようとしては遅すぎることもしばしば。騎士になるには、騎士の条件を満たさなければならないし、表面上の華やかさだけ見て憧れるだけでは、子どもの夢と変わらない」
サイバ「覚悟を示せ、と言われて、具体的に形になるものをすでに作っていることが覚悟の証ということだな。物語だったら、問われてから改めて自分の覚悟を見つめ直して、キャラを固める姿を描くこともありだけど、現実だったら問われた時に、すでにある程度は固まって即座に見せられる準備ぐらいは整えていないと、付け焼き刃で装えるものではない」
GM「タイタンがミリィを認めたのは、実のところラナ印のスイーツという賄賂効果も大きくて(笑)、さらにポピンを連れてきたり、おもてなし亭での仕事をコツコツ果たしたり、いろいろと実績を積み重ねていて、決して口先だけではないということも証明できているんだ。もちろん、妖精郷には本当に管理する女王が必要で、そんな大変な仕事を進んで引き受けたいと立候補するような酔狂な者が稀だということもある。求められているところに、タイミングよく意欲旺盛な若者が名乗りを上げたら、それはじっくり育てたいって気になるだろう。魚心あれば水心って関係性が成立した、と」
ミリィ「あたしが少しでも早く女王になれるよう、タイタン様がいっぱい経験点をくれたってことね。じゃあ、次は【大樹の森】の西にある【雲海の岬】に行きましょう。ここには風の大妖精のジンさんがいるみたいだし」
タイタン『ジンか。あやつは気まぐれでフワフワしている癖に、高慢で扱いにくい。出向いても、すぐに会えるとは限らんぞ』
ミリィ「タイタン様は、ジンさんとは仲がよろしくない?」
タイタン『相性最悪じゃ。あやつの風属性の攻撃は、わしに+3の追加ダメージを与えるし、わしの大地の怒りパンチは、あやつに同じく+3効果。まともに戦えば、わしの方が打たれ強くて軟弱なあやつなど打ち倒してみせようが、なにぶん、あやつには攻撃がまともに当たらんからな。正々堂々と戦わずに逃げてばかりの卑怯な奴よ』
ミリィ「タイタン様が重戦士ならば、ジンさんは風らしく軽戦士ってところね」
タイタン『しかも、あやつは空の眷属たる鳥を可愛がろうとは思っておらん。わしが大地の眷属たる獣を愛でて世話をしているのに、あやつはそういう慈しみの心さえ持ち合わせておらず、時に気まぐれで強風を吹きつけ、空から鳥を落下させて喜ぶなど、卑劣なマネをしおる。おかげで怪我をしたペガサスや鳥までが、わしの癒しを求めて森に来ることも時々あってな。もしも、お前さんが女王になれば、あやつの高慢な鼻っ柱を叩き折ってくれると、わしがスカッとする。どうじゃ、頼まれてくれぬか?』
ミリィ「ええと、その悪辣なジンさんは、妖精郷を滅ぼそうと画策しているのですか? だったら、明確に敵ですけど」
タイタン『いや、そこまで非道くはないが、一応はあやつを慕う妖精もおるわけだし。軽々しいシルフとか、いたずら妖精のパックなんかは軽佻浮薄なジンのファンみたいじゃが、わしは好かん。ただ、それだけのことよ』
サイバ「軽佻浮薄、深く物事を考えずに軽くて浮ついた性格ということか。真面目に妖精郷のために頑張らないと、とか言っても『何それキャハハハハ、そんなことよりさ〜、ぼくと空のドライブをエンジョイしようじゃないか。ケセラセラ』とか言っちゃう奴かな。ロードス……いや、リオン戦記の風の精霊王ジンとは全然違うみたいだけど」
GM「フェアリーガーデンでの記述から、多少(大幅に)アレンジした。とにかく、ジンの助力を得るのは、妖精郷の大妖精クエストでも一番達成困難な課題、と言っておく」
ミリィ「じゃあ、今回はちょっと様子見程度に覗いてみるわ。ランダムイベントは、特に発生せずに無事に北エリアの【雲海の岬】に到着した」
風の妖精
GM「時は23日めの夕方。以前にここを訪れたときは、道に迷った末、妖精のいたずらで南の【星空の舞台】に飛ばされてしまい、じっくり探索する余裕もなかったわけだが、今回は(イベントを確認して)普通に遭遇が起こる」
●妖精郷の探索範囲(第3部3話時点)
(青字は宿泊可能、
緑は現在地、
赤はその他の目的地)
鉱山 骨の丘 雲海の岬ー大樹の森 屋根付き橋
l l l l
花迷路ー大神殿ーー停留所ーー花畑ー羊ヶ原ー魔法陣
l l
火柱の塔 l薬草園ー鏡の池
l l l
凍山 l煙草の森ーおもてなし亭
ll l l l l lー白い巨塔
ll l l 闇の木 lー星空の舞台
ll 風車の谷ーー赤い河 果樹園
ll lll l l
l白百合l鳥籠の木ー花咲く丘 l
l の谷 l l
l l l
砂の街ーl 巨人たちの墓場ー炎の穴
l
崩れゆく場所
GM「地形は、目も眩むような絶壁になっていて、眼下には見渡す限りの雲海が広がっているね。そして、強い風が絶え間なく吹き付けているのに乗って、フワフワと1つの人影が飛んでくる」
ミリィ「早くもジンさんキター」
GM「来ていない。君たちの前に現れたのは大妖精ではなくて、普通の風の妖精シルフだよ。風の乙女とも称されるけど、噂どおり軽々しい」
シルフ『わ〜い、人族だ。久しぶり〜、元気? キャハハハハ、何して遊ぶ? あっ、そうだ。いっぱい、お話聞かせて〜、ケセラセラ』
サイバ「本当に、そんな喋り方がシナリオに書いているのかよ」
GM「いや、もう一度、ジンのセリフをチェックしたら、サイバの仮想した口調よりはまじめな感じのセリフが見当たったので、軽すぎるのはシルフの口調に切り替えた。さすがに、ケセラセラは大妖精のイメージとしては酷すぎる」
ミリィ「ところで、ケセラセラってどういう意味?」
サイバ「スペイン語だったか、フランス語だかのラテン系言語で、『なるようになるさ』『ややこしいことは気にするな』って意味合いだな」
GM「この場面では、『風の吹くまま、気の向くまま、お気楽極楽ハッピー』って感じだな」
ミリィ「それは結構、気が合いそうね」
サイバ「こら。タイタン様が聞いたら、叱られるぞ」
ミリィ「あっと失言。ええと、あたしが風の妖精と仲良くしたら、タイタン様のご機嫌が斜めになるかもしれないので、リオン様、後は任せた」
サイバ「ぼくに丸投げかよ。こういう軽いタイプの娘は苦手なんだよ〜」
マークス「しかし、向こうは『お話を聞かせて〜』と所望しておられる。ストーリーテリングだったら、リオンさんの得意分野なのでは?」
サイバ「おお、言われてみれば、確かにその通り。つまらない話を聞いて聞いてって絡まれるのはうんざりするが、自分から話す分には喜んで何時間も語れるぞ。では、そこのシルフのお嬢さん、そんなにぼくの話が聞きたいのかね、とニコニコ笑顔の妖精語で話しかけるぞ」
シルフ『わ〜い、楽しいお話を聞かせてね』
サイバ「もちろんだ。君にはどんなお話がいいかな? 冒険活劇? それとも勧善懲悪のヒーロー物語? それとも妖精の力を借りた女の子が変身して戦う話かな? 作風は喜劇か悲劇か、熱血かクールかコミカルか、いろいろあるけど、ラブロマンスだけは勘弁な」
ミリィ「何でラブロマンスだけダメなのよ?」
サイバ「上手く語れないからだよ。それが語れるなら、魔法使いじゃなくて、吟遊詩人をやってるさ」
マークス「話芸だったら、コンビ漫才って手もありますね」
シルフ『あなたたちの冒険のお話を聞かせて♪』
サイバ「それでいいのか? ぼくたちの妖精郷冒険譚は未完だぞ。面白い話なのは間違いないがな」
シルフ『よく分からない昔話よりも、今ここにいる人の話が聞きたいの〜』
サイバ「なるほど。『昔々あるところに』よりも『今ここにあるもの』が好みか。リアルタイムって奴だな。そういうことなら、始まりの物語『妖精郷の冒険者』からじっくり語ってやろうじゃないか」
GM「では、時々シルフが尋ねてくる物語への質問に答えたりしている間に、サイバ☆リオンはここまでの顛末を語り終えた。1tb(4時間)が過ぎ去り、すでに夜となっている」
サイバ「……ということで、妖精郷の女王を目指しているカシュミーラ・ミルモワールと、ぼくたちはここまで到達したわけだ。途中、だいぶ端折ったりしたダイジェスト版だけど、そのうち完全版として本にまとめた時は君も読んで欲しい」
シルフ『本? そんなの読めないの。妖精語は会話だけで、読文ってないし〜』
サイバ「くっ、妖精はぼくの小説の読者にはなってくれないのか。すると、ぼくの物語を妖精郷に広めるためには、誰か優秀な吟遊詩人を雇わなければ」
マークス「そう言えば、一人いましたね。マルキさんっていう詩人さんが」
ミリィ「ポピン君もいるじゃない」
サイバ「ぼくたちの物語を詩歌にするには、名誉点を消費すればいいんだけど、妖精郷では名誉点が得られないんだよな。名誉点を得るには妖精郷を脱出しないといけないので、道を急がねば。思いがけず道草を食ってしまった」
シルフ『もう行っちゃうの?』
サイバ「明日の風が呼んでるからな」
シルフ『物語の続きが聞きたい』
サイバ「続きはまだないんだ。これから紡ぎ上げるわけで」
シルフ『じゃあ、一緒に紡ぎ上げる(ピトッと抱きつく)』
サイバ「およっ!?」
GM「どうやら、サイバ☆リオンの物語は、シルフのお気に召したようだ。★1つを進呈しよう」
マークス「リオンさんは、エルフとか妖精とか、人間じゃない女性に意外とモテるようですね」
サイバ「そう言えば、ミリィがぼくに着いてきた時もこんな感じだったような」
ミリィ「あたしは、そんなに露骨なスキンシップをとってないし。憧れてるのは、リオン様じゃなくて、ご先祖様のミッドウーノさんの書いた小説の方だし」
シルフ『これを大事に持って行って』
GM「そう言って、シルフがサイバに託したのは、〈妖精の宝石(シルフ)〉だ。なお、シルフのデータはレベル7だね」
サイバ「また、召喚できる妖精が増えたのか。ミリィに預けよう」
ミリィ「それは……あたしじゃなくて、リオン様が管理するべきものだと思うのよ。風の妖精はタイタン様と相性が悪いみたいだし、その妖精はリオン様が気に入ったみたいだから。女性に託された宝石を別の女に渡すなんて、デリカシーがないのにも程があるわ。しっかり反省しなさい」
マークス「なるほど。デリカシーがないから、ラブロマンスが語れないんですね。いわゆる朴念仁って奴ですか」
サイバ「ルーンフォークに、人の恋心の何が分かるってんだ?」
マークス「少なくとも、私はエマお嬢さまに一途な親愛の情を抱いていますから。リオンさんにそういう相手はおられますか?」
サイバ「……女性に現を抜かすより、物語に現を抜かしているようだ。これ以上、何かを言うと墓穴を掘りそうなので、シルフに尋ねよう。大妖精のジンさんに会うにはどうすればいいんだ?」
シルフ『ジン様に会いたいの?』
サイバ「物語の中で、そう語ったはずだけどな」
シルフ『でも、質問はされなかったし〜。ええと、ジン様はお空のずっと上にいて、たまにしか降りて来ないの〜。あなた達は空が飛べる?』
ミリィ「やはり、ペガサスが必要みたいね」
シルフ『それに、ジン様はカクシターズには会われない。会うためには、せめてレベル11が必要』
サイバ「レベル11って何だよ〜。ずいぶんと先の話じゃないか」
GM「この地にジンが出現するフラグが立つのが、そのレベルなんだよ。あるいは、別のミッションで登場する方が早いかもしれないけど」
サイバ「つまり、今回はシルフをゲットしただけで満足するしかないってことだな」
シルフ『私にお話したくなったら、いつでも宝石に話し掛けてね❤️』
ミリィ「二人とも、お幸せにね〜」
サイバ「シルフを嫁にもらった覚えはない!」
その後、一行は夜に泊まれる場所を求めて、北西エリアの【大神殿】に向かった。
移動判定は問題なく成功し、23日めの深夜、妖精神アステリアの神殿に到着する。
果たして、そこで知ることになるのは、いかなる運命の真実か?
冒険の旅は次回、「妖精郷の、妖精神殿」へと続く。
(次以降の話の予習復習のために、こちらの記事を先に読み直しておくことも勧めます。【大神殿】や【火柱の塔】のエピソードにつながりますので)
●フェアリーガーデン第3部3話の状況
日数経過:23日め深夜
経験点:ゴブリンシャーマンを倒した★3個
コボルドたちを解放した★3個
ポピンの歌からの情報3つ★3個
ポピンをタイタンに会わせた★3個
タイタンからの情報いろいろ★6個
シルフと仲良くなる★1個
(合計★19個)
魔物退治分90点、ピンゾロ(ミリィ1回)
収支:2840G分の戦利品
闇精鉱、光精鉱
妖精の粉、土精鉱、乗り手の歌/ユニコーン
みかんムース消費
妖精の宝石(タイタン)と(シルフ)
妖精郷同化度2(カシュミーラのみ3)
ブラウニー発見数:4体
遂行中のミッション
・フィットチーネを探せ
受注したクエスト
・マルキのペンダントを故郷のロッテに渡す。
その他の冒険目的&情報
「白い巨塔に〈光精鉱〉を持ってくる」
「火柱の塔に〈炎精鉱〉を持ってくる」
「火柱の塔にいるレベル5魔動機ドゥームを倒せるよう成長」
「火柱の塔には炎の妖精エインセルがいる」
「火柱の塔にある〈ダレス写本〉を入手」
「赤い河に水晶塔が1つある」
「大神殿の信者を解放できるよう成長」
「白百合の谷のエマを救出する」
「そのために、大神殿に封印された吸血鬼シーラを解放する?」
「炎の穴でイフリートに会う」(レベル5以上で達成可)
「雲海の岬でジンに会う」(レベル11以上で達成可)
「凍て付く山でスカディに会う」
「凍結海でミーミルに会う」
「星空の舞台のベルゼンにアラマユの遺産の情報を話す」
「ひっくり返る沼地に、変なカエルがいる」
「ヒックリカエルはダジャレで世界をひっくり返し、闇に包む」
「空に浮かぶ家に3人のルーンフォーク女性がいる」
「雪山にドラゴンゾンビがいる」
「崩壊しかけている妖精郷を救う」
冒険達成度:合計20%
(当記事 完)