今回は準備編……のはずが
NOVA「魔神ハンター第2部が1ミッションを終わらせたので、こちらも予定どおり第3部を開始しようと思う」
晶華「やっと、お姉ちゃんクエストの続きができるのね」
009『できれば、新呪文とかゴーレムの研鑽を先にしたかったんだけどな』
NOVA「まあ、すぐに研鑽もするけど、一応、第3部を始めますって宣言ぐらいはしておこうと思ってな」
ケイPマーク1『準備編ってことは、何をするつもりだッピか?』
NOVA「とりあえず、新たに受注できるミッションやクエストの紹介と、第3部の行動方針の確認とか、そんなところだな。それとついでに、今後のTRPG関連商品の話なんかもしておきたい」
ついでを先に(D&Dの話)
NOVA「すごいなあ。これが伝説のオリジナルD&Dって奴か」
晶華「ええと、ソード・ワールドじゃなくて、いきなりD&Dの話?」
NOVA「いや、実は昨日、D&Dやパグマイアの話を展開しているGTライフのブログに、場違いにソード・ワールドの戦士の歴史について、間違いの目立つ薀蓄書いた迷惑な輩が現れてな。どうやら、今年も懲りずに迷惑を掛けて来るらしい」
晶華「相手しなければいいのに」
NOVA「いや、奴の書くコメント自体は取るに足りない駄文だと俺は認識しているんだが、その間違いにツッコミを入れているうちに、俺自身があれこれ調べていたら、いわゆる『セレンディピティ』に出くわすこともあるわけだよ」
晶華「思いがけない幸運、掘り出し物ってわけね。で、何を掘り出したわけ?」
NOVA「オリジナルD&Dが近年、と言っても、5版以前の2013年なんだが、復刻されていたという事実だな。きっかけは、コメント主が愚かにも知ったかぶった書き込みで『オリジナルD&DとクラシックD&Dを混同していた』という話だな。よりによって『ロードスがオリジナルD&Dに基づいたリプレイ』と書いたりしていて、そうじゃないだろうって反論したわけだ」
009『ええと、オリジナルD&Dは1974年の最初に出たD&Dで、それから1978年にアドバンストD&Dが出た。アドバンストは、ルール的に未整理で歪だったオリジナルD&Dを再構成して、初心者用のベーシックと発展系のハードカバーブックを基軸に展開されていったんだけど、そのベーシックが80年代に独自に発展していったのが、日本で最初に翻訳出版されたクラシックD&Dになるわけだな』
NOVA「ああ。クラシックD&Dは、オリジナルD&Dから数えると4版ということになる。ええと、オリジナルD&Dが1版で、AD&Dにつながるベーシックルールが2版。その後、81年にAD&Dと分化した独自のエキスパートルールにつながる3版が出て、さらに83年にコンパニオンルール以降につながる4版が出た。つまり、D&Dの歴史は日本語版が出た85年当時で10年を経ていたけど、赤青緑黒金の5色の箱入りルール(日本のオールドマニアがクラシックD&Dと認識しているもの)のD&Dは、83年以降の新ルールということになる」
晶華「何だかややこしいわね」
NOVA「80年代当時はインターネットもなかったし、RPGという新ジャンルに対して、研究している人間もまだまだ少なくて、当時の現在進行形で急成長しているジャンルに対して、誤解や恣意的な思い込み、間接的な伝聞で情報が出回り、『後から新事実が発覚』という話も多かったわけだな。そういう資料になる一書がこれだし」
NOVA「ゲーム製作者自身の伝記から、当時の背景事情が浮かび上がったりもするし、D&Dの予想外の急激な発展に翻弄されて、版権問題の整理という生臭い理由から、初心者向きのベーシックから発展したクラシックD&Dと、上級ルールとしてスタートしたアドバンストD&Dの二つに分かれた点でも、いろいろこんがらかる原因になった」
晶華「ええと、今のD&Dは5版なのよね」
NOVA「それはAD&Dから数えての5版だな。この場合、オリジナルD&Dは0版という解釈になる。アドバンストは『複雑に進化発展混迷したオリジナルD&Dをベーシックと追加ルールに整理する』という形で誕生し、その簡単なベーシックの方にまた接木をするように独自発展したのがクラシック。そしてクラシックの要素を改めて取り込んだりして、AD&D2版が89年に出て、日本では91年に翻訳出版された。俺が今も持っているAD&Dはこの2版ということになる」
009『その後、出版元のTSRが「マジック・ザ・ギャザリング」のウィザーズ・オブ・ザ・コースト社にD&Dの版権を売って、2000年に出たのが3版。以降は2003年に3.5版、2008年に4版になったんだな。その後は知らん』
NOVA「4版を嫌って、3版の系譜を愛するデザイナーやファンが作ったのが、パスファインダー(2009)で、2018年に日本語翻訳された」
009『なるほど。パスファインダーの存在は知らなかったなあ』
NOVA「さすがに2009年に出版された当初は、これがD&Dを追い抜くメジャーどころになるとは思われなかったからなあ。で、D&D3.75版とも称されるパスファインダーの第2版が出たのが2019年なわけで」
009『ええと、1版が翻訳された直後に、もう2版? 日本展開はどうするんだよ?』
NOVA「さあな。1版から2版に乗り換えるタイミングを図っているんじゃないかなあ。この雑誌のパスファインダー記事を読めば、今後の流れもつかみやすくなるかもしれんが」
009『読んでないのかよ?』
NOVA「SNEの雑誌の方に乗り換えたからな。次にパスファインダー特集があれば、買うと思う」
晶華「前に特集されたのは?」
NOVA「2019年の3月に出版された174号だな。それから200円値上がりした。雑誌を続けるのも大変だなあ、と感じる。昔は1000円ぐらいで買えたのに」
晶華「いつの話をしているのよ?」
NOVA「2011年ぐらいかな。その辺で景気の悪化なんかもあって、毎号買うのはやめた。時々、表紙見て気まぐれで買うぐらいになっているが、サポートしてるRPGが増えるほど、自分が追っかけてる作品のページ数が減るからなあ。ソード・ワールドのリプレイ目的なら、後で単行本としてまとまるのを待っているし」
晶華「ああ、やっとソード・ワールドの話題に戻ってきた」
NOVA「で、パスファインダーに負けたD&Dは、ルール的に深化・高度化・マニアック化する方向から路線変更して、シンプルだけど奥の深いルールと、昔懐かしい世界観でノスタルジーを喚呼する5版を出したわけだなあ、2014年に。和訳版は2017年だ」
晶華「あっさり、D&Dに帰って行った?」
NOVA「で、この5版をもっと簡略化したのが、パグマイア&マウというわけだ」
晶華「行き着く先がそこってこと?」
NOVA「で、オリジナルD&Dに話を戻すとだな」
晶華「いきなり最初から?」
009『とりあえず、近年のD&D史の流れがおおよそつかめたような気がする』
晶華「本当に?」
NOVA「まあ、要するに、D&Dとパグマイアの話をGTライフのブログでやっていたら、『NOVAがソード・ワールドの話をそこで展開していないようなので補足する』と言って、コメントが付いたんだが、本当に間違いが多くて、 ツッコミを入れざるを得なかったって話だ。わざわざ補足するって言うなら、まずはこっちやコンパーニュで俺が書いているソード・ワールドの記事ぐらいチェックしておけって話だ。間違いだらけの人間に、補足されても迷惑なだけなんだしな。何で1000文字足らずのコメント文章で、間違いを連発できるのか、不思議で仕方ない」
晶華「それで、間違いを正すついでに、オリジナルD&Dについて調べてみたら、プレミアムな伝説のルールブック入りボックスを見つけたってわけね」
NOVA「本当にお宝だよ。ただし値段の方もお宝級で、150ドルもするんだな」
晶華「ええと、1ドルって今はいくらなのかしら?」
NOVA「今、調べたら104円ぐらいだった」
晶華「すると、104×150は……KPちゃん、お願い」
ケイP『けぴっ? いきなり話を振るッピか?』
晶華「さっきから黙ったままなので、声を掛けてあげないと、存在感がなくなるものね。せっかく妖精郷から帰還したのに、いるのかどうか分からないんじゃ、私たちの苦労が台無しじゃない。さっさと計算しなさい」
ケイP『ええと、ちょっと待つッピ。触手を増やして数えるから』
009『遅い。要は、52×300をすればいいんだろう? だったら、暗算でできるじゃないか。15600円だな。ルールブックとサプリメントを合わせて7冊分の値段だと思えば、決して高くはないはずだ』
NOVA「まあな。コロナ禍じゃなくて、先の見通しが明るいなら、マニアとしては是非とも欲しいわけだが、しかし、マニアとしてはこっちも欲しいわけだし、オリジナルD&Dのプレミアムボックスなんて、研究家やコレクターじゃなければ、価値を感じないだろう」
009『ぼくたちは研究家であり、コレクターじゃないのか?』
NOVA「何を研究し、何をコレクションするかは人それぞれだが、実のところ、オリジナルD&Dだけを手に入れても、俺自身はノスタルジーを感じないし、それを凄いと言ってくれるマニアックな知り合いも(今は身近に)いないし、自己満足にもならないと思う。そんな金があるなら、他に買えるものがあるだろう、と感じてしまうのが実際のところだな。どちらかと言えば、俺の研究テーマって『最初のD&Dからどう進化して、今に受け継がれているか』って歴史の流れだし、点よりも動線に興味があるというか、物それ自体よりも、そこからつながる歴史のダイナミズムに強い関心があるというか」
009『つまり、オリジナルD&Dについては?』
NOVA「誰か知り合いが入手して、いろいろと俺の知らないマニアックで面白い研究記事を書いているのを読めたら、幸せだなあ、と。ただ一つだけ言えるのは、物を知らない人間が嘘をコメント欄に書いて来るのは、研究者として許し難いものがあるってことだ。
「オリジナルD&Dは決してシンプルなゲームでないから、それを整理するバージョンが作られたわけで、クラシックD&Dにしても、ソード・ワールドにしても、テキトーなことをコメントで書かれると、事実関係の確認に時間を喰われるって話だ。まあ、そこから新発見が生まれるという可能性はあるが、それは俺が真面目に情報探ししているからであって、間違いをしでかす奴の手柄でも何でもないし、ただひたすら徒労なだけだ」
晶華「つまり、迷惑だから来るなってことね」
NOVA「こりゃ、また書き込み禁止処分を下さないといけないかもしれんなあ。年明けて、コメント欄を解禁したんだが、結局、相手するのが疲れて、ブログ記事を書くのに支障をきたすようだと、セレンディピティに期待するなんて言ってられないからなあ」
その他のTRPG商品
NOVA「さて、今、期待しているのがこれだ」
晶華「ああ、それが噂のビルディングBOXね」
NOVA「1月15日発売予定だったけど、なかなかアマゾンに来ないなあ、と思っていたら、結局、月末に延びたというオチ」
009『だけど、これを買っても、プレイしている余裕はないよな』
NOVA「ああ、フェアリーガーデンが優先だからな。こいつのプレイは10年後になるかもしれん」
晶華「って、何で10年後よ」
NOVA「10年前のゲームシナリオのフェアリーガーデンを今プレイしているからだが。まあ、その頃には、ソード・ワールド3.0とかが出ているかも知れないなあ」
晶華「そして、オリジナル・ソード・ワールドのプレミアムBOXなんかも出たりして?」
NOVA「ソード・ワールドの歴史も、30年が過ぎたからなあ。45周年を越えて、あと3年で50周年に達するD&Dには比べるべくもないが、それでもファンとしては感じ入るわけだ。こういう新たな伝統を築き上げている文化に敬意を示し得る人間は、研究者として尊敬できるんだが、自分が研究している資料を大切に考えない者には、趣味人としても研究者としても、話す舌を持ちたくないのが本音だ」
009『何だか、気難しい魔法使いのロールプレイが板についてきた感じだな』
NOVA「別に、演技でやっているわけじゃないんだけどな」
晶華「とにかく、趣味なんだから楽しまないと損よ。何事も風情を解さぬ不埒な下郎のことなど構わず捨ておいて、私たちは雅やかな妖精郷への旅を再開しましょうよ」
NOVA「不埒な下郎とは、また随分な物言いだな」
晶華「だって、私たちはソード・ワールドを楽しんでプレイしているわけじゃない? そういう人のブログコメントに、わざわざシステムへの批判を書き込むのって、不埒な下郎呼ばわりされても文句は言えないわ。私は、妖精郷の未来の女王として言い渡します。『そんな楽しくない、つまらない人間の相手をするのは即刻やめて、もっと楽しいゲームの記事を書きなさい』って」
NOVA「うむ、それもそうだな。では、次から改めて、今回、書けなかった妖精郷の物語を再開するぞ」
(当記事 完)