1975年1月5日は『フランダースの犬』放送開始日
晶華「前回、『牧場の少女カトリ』の話をしていて、いろいろ調べたんだけど、今年は世界名作劇場の50周年だったのよね」
翔花「第1作の『フランダースの犬』が明日で50年か。でも、最終回は主人公が死んじゃうバッドエンドなのね(涙目)」
晶華「懐かしのアニメで感動シーンに上がるトップクラスの最終話ね」
翔花「あれ? 『クララが立った!』で有名な『アルプスの少女ハイジ』さんは?」
晶華「そちらは、『フランダースの犬』の前番組で74年の作品。『宇宙戦艦ヤマト』を倒した(2クール打ち切りに追い込んだ)強豪アニメだけど、制作会社がズイヨー映像ってところで、『フランダースの犬』から日本アニメーション作に切り替わったから、シリーズには含まれないの。だから世界名作劇場の公式サイトでも、ハイジはハブられているわ」
NOVA「その放送枠だと、69年の『どろろ』が元祖で『ムーミン』『アンデルセン物語』『新ムーミン』『山ねずみロッキーチャック』と来て、それから『ハイジ』までがカルピスまんが劇場というシリーズだが、人間主人公の世界名作劇場という形だと、ハイジからフォーマットが確立された感じだな。よって、ハイジを世界名作劇場ゼロ作めと当記事では扱いたい」
晶華「視聴者的にはハイジからフランダースに受け継がれた要素も多いのね」
NOVA「ロッキーチャックは明確に違う路線だもんな」
翔花「動物ファンタジーって感じね。NOVAちゃんは見ていたの?」
NOVA「幼少期に再放送でな。本放送ではっきり見たと断言できるのは、76年のマルコからだ」
翔花「『ちびまる子ちゃん』ね」
NOVA「違う! マルコと言えば、『母をたずねて三千里』と決まっておろうが」
翔花「そうなの?」
晶華「決まってないわよ。世代人じゃないと、番組タイトルを言わないと伝わらない呼称ね」
NOVA「まあ、コナンと聞いて、蛮人か未来少年か名探偵かのイメージが変わるようなものだな。とにかく、俺のリアルタイム世界名作劇場は、マルコ少年が主人公の『母をたずねて三千里』だ。南米アンデスのイメージは、同作で培われた。主題歌も好きだしな」
NOVA「最初は寂しげな短調の曲が、途中で勇ましい旅の決意に転調する感じがいいんだよ。ただ明るい子ども向けの作品から、フランダースの悲劇エンドを受け継ぐように暗いイメージから始まるのを克服するかのような切り替わり。おそらく世界名作劇場で最も長い旅を経験した主人公がマルコだろう。イタリアからアルゼンチンまでの過酷な旅がハッピーエンドで終わる傑作だ」
翔花「イタリアからアルゼンチンって海を越えての旅じゃない? 泳いで行ったの?」
NOVA「さすがにそれはない。船に決まってる。が、その後は基本、徒歩だな」
翔花「飛べばいいのに」
NOVA「飛べねえよ。そういうのが好みなら、同時期に放送されたアンデス物でもこっちを見ろよ」
晶華「って、NOVAちゃん、どさくさ紛れに『世界名作劇場』と関係ない作品を混ぜないでよ」
NOVA「ええと、ペペロの前番組は『魔女っ子メグちゃん』で、後番組は『ザ・カゲスター』か。子ども時代には『ザ』という定冠詞が分からなくて、『ザカゲスター』と読んでいて、それでも主人公ヒーローの名前や主題歌はカゲスターと言っていて、???状態だったな」
晶華「そんな話は聞いてないし。今回は世界名作劇場を……」
NOVA「何々? カゲスターの後番組は『5年3組魔法組』で、その次は『激走!ルーベンカイザー』だと? で、次が『魔女っ子チックル』か。対象視聴者が安定しない枠だなあ」
翔花「魔法っぽい話が共通しない?」
NOVA「まあ、ルーベンカイザーが明確に異物だけどな。77年のスーパーカーブーム恐るべし」
翔花「77年にウマ娘がいたとは知らなかったわ」
NOVA「いや、俺の知ってるルーベンカイザーってのは確かスーパーカーだったはずなんだが、動画検索したら、こんなものが出てくるのが令和なんだなあ」
晶華「ふえ〜ん、話がどんどん脱線するよ〜(涙目)」
NOVA「おっと、すまない。GMとか管理人をイジメるつもりはなかったんだ。ええと、マルコの話だったな」
翔花「とりあえず、マルコがアンデスを旅して、黄金郷エルドラドを目指す話ね。面白そう」
晶華「いいえ、混ざってます」
翔花「ええと、マルコと魔女っ子って響きが似ているわよね」
晶華「『ま』と『こ』は合ってるけど、マルコ君は魔法を使わないと思うの」
翔花「だったら、ファイター?」
翔花「ええ? つまんない。だったらシナリオを書き換えて……」
NOVA「う〜ん……」
翔花「どうしたの、NOVAちゃん?」
NOVA「いや、今、『母をたずねて三千里』のWikipediaを読んでいて、気づいたんだが、全52話中の22話が富野監督が絵コンテを描いているんだな。さらに、アニメーターとしては奥田誠治さんという方もすごい経歴だ。もちろん、高畑勲さんは言うまでもないが、とにかく、この番組はちっともつまらなくないぞ」
翔花「そんな〜。NOVAちゃんはマルコよりもペペロ派じゃないの?」
NOVA「いや、別に俺はマルコよりもペペロの方が上だって言った覚えはないし」
晶華「フッ、やはりペペロなんてマイナーアニメが、天下の世界名作劇場に張り合おうなんて、50年早いのよ」
NOVA「いや、張り合ってたのは50年前だから、50年遅いというべきなんだろうがな。別に裏番組だったわけじゃないから、両方好きでもいいじゃないか。日曜夜は関西テレビで『母をたずねて三千里』、月曜夜は朝日放送で『アンデス少年ペペロの冒険』を見ていた人間だっているだろう。しかもペペロのガールフレンドのケーナの声は松尾佳子さんで、マルコの声でもある」
翔花「すると、松尾佳子さんという人は、同時に二作品でアンデスへの旅をしていたことに?」
NOVA「ああ、しかも翌年はザンボット3の神北恵子ちゃんとして、地球を守るために戦って若い命を散らしたと思ったら、その後、転生して世界名作劇場のフローネとして無人島漂流したり、スパロボでも恵子ちゃんの声を入れてくれたり、『スマイルプリキュア』で主人公キュアハッピーのお祖母ちゃん役で出ていたりする」
晶華「つまり、キュアハッピーが名作童話好きな設定も、もしかしたらお祖母ちゃんの影響?」
NOVA「それは知らんが、とにかくマルコの悪口を言うと、俺を敵に回すことになりそうだ」
翔花「作品を見もしないで、つまらないと言ったりしてゴメンなさい」
改めて「母をたずねて三千里」の話
翔花「ざっくり解説してもらって、『母をたずねて三千里』が分かったような気がするわ。もしかして、宮崎駿さんも参加してる?」
NOVA「ああ、レイアウトや作画などに参加してるぞ。名作劇場だと『ハイジ』『三千里』『ラスカル』『赤毛のアン』の途中まで参加だ。『フランダースの犬』は第15話のみ参加で、『ペリーヌ』の時期は『未来少年コナン』の方にタッチしていたので参加せず」
NOVA「う〜ん、いろいろ懐かしい曲を貼り付けると、思い出のシーンが蘇って来るなあ」
晶華「って、NOVAちゃんは懐かしいかもしれないけど、世代人じゃないと、あまり感じ入れないし」
翔花「まあ、南米風の曲とか、旅芸人一座の陽気な曲調とかは伝わる気がするけどね」
NOVA「そうなんだ。俺、アンデスには行ったことがないけど、アニメの音楽聞いて、そういう雰囲気をイメージできるもんな。で、アンデス風と言えば、これも懐かしい」
晶華「だから、違うシリーズのアニメに寄り道しないでよ。マルコの次は、ラスカルに行くわよ」
NOVA「ちょっと待て。『ハイジ』とか『フランダースの犬』はスルーしていいのか?」
晶華「何か、言い残したネタはあるの?」
NOVA「そうだな……まあ、いいや。また思い出したら、寄り道して戻ればいいし」
晶華「まっすぐ素直に話を進めて欲しいんだけどね」
「あらいぐまラスカル」の話
翔花「で、ラスカルってどんな話?」
NOVA「ええと、スターリング少年があらいぐまの赤ん坊のラスカルを拾って、やんちゃなペットのイタズラに振り回されながらも可愛がるんだけど、大きくなって来て、手が付けられなくなったので、泣く泣く故郷の森に帰してやる話だ。美談にされているが、アライグマは結構、凶暴なので、無責任にペットとして飼うのはいけないと今ならツッコミどころだな。まあ、スターリングの場合は、地元の生物だから生態系の破壊にはつながらないが、外国の生き物を安易に飼って、捨てるのは悪事だというのが令和の時代ってもんだな。ぬいぐるみを愛でるなら、いざ知らず」
晶華「って、何でそう辛辣な説明なのよ?」
NOVA「ちなみに、ラスカルの声は野沢雅子さんな」
翔花「おっす。おら、ラスカル」
NOVA「そんな風に喋るキャラじゃない」
翔花「喋らないと、野沢さんの無駄遣いじゃない?」
NOVA「ええと、ラスカルは鳴き声だけ。野沢さんは他にもスターリングの友人オスカーの母親役とか、クラスメイト役とかも掛け持ちしているから問題ない。とにかく、ラスカルのストーリーはこちらを参照だ」
晶華「世界名作劇場には、いろいろな動物キャラクターが出て来るけど、その中でも人気キャラ筆頭はラスカルよね」
NOVA「タイトルロールになっているという意味では、フランダースのパトラッシュも人気だとは思うが、犬は普通によくいるペットだもんな。俺はマルコの飼ってるアメデオが好きだったが。ラスカルはどうもイタズラダヌキの印象が強くて、トラブルメーカーだから好きにはなれなかった。キャラとして可愛いのは認めるが、リアルで欲しいのはアメデオだろう。肩に乗る子ザル系か鳥系がいいな」
「ペリーヌ物語」の話
NOVA「さて、78年のペリーヌは、主題歌とエンディングを覚えているから作品をリアルタイムで見ていたのは間違いないんだが、ストーリーをよく覚えていないんだな。マルコに次ぐ旅もので、両親と死に別れて孤児となったペリーヌが、祖父のビルフランの元に行き、孫娘として認めてもらうまでの話らしい。ビルフランという固有名詞は覚えていたが、息子の嫁がインド系のために差別意識を持っていたことを今、初めて知った」
晶華「すると、ペリーヌはハーフなの?」
NOVA「いや、母親がイギリス人とインド人のハーフで、父親がフランス人のクォーターだ。そして、マルコの移動距離も大きいが、ペリーヌも結構な距離を旅している。舞台が第1話のボスニアから始まって、クロアチア→イタリア→スイスのアルプスを越えてフランスという旅程で、前半が旅生活。後半が祖父と対面するんだが、母を憎んでいる祖父に自分の素性を明かせないまま、それでも信用を勝ち得るために頑張る話のようだ。ハイジやフランダースは後年、物語の背景を知る機会があったんだが、ペリーヌは今が初めてだな」
翔花「子どもの時は、ストーリーの背景を知らないまま見ていたのね」
NOVA「パリとか、イタリアとか、アルプスは分かっていたろうが、ボスニアとかクロアチアって言われても、小学校の低学年じゃ分からねえよ」
「赤毛のアン」から「トム・ソーヤーの冒険」へ
NOVA「さて、ペリーヌの次は赤毛のアンなんだが、これはペリーヌと逆でストーリーは知っているのに主題歌が歌えない。作品を見た記憶もあるし、アンよりも友だちのダイアナの方が可愛いとか、アンのクラスメートのギルバートとの関係が思いきりラブコメだなあと思うし*1、原作が有名な作品だから話題に挙がることも多いわけだ」
晶華「アンのネタとして、彼女は空想癖があるそうね」
NOVA「あと、原作では教師になったりするそうだな。原作の設定を知ると、どこか自分に似てるな、と感じたこともあるが、気持ち悪い想像だと思って口に出したことはなかった。今が初めてだ」
翔花「そんなことで気持ち悪いと思っていたら、花粉症ガールとのお喋りなんてやってられないもんね」
NOVA「で、俺は別に赤毛のアンの主題歌にこだわりはないんだが……」
晶華「私がこだわりたいので、貼り付けてみるわ」
NOVA「う〜ん、やはり、この歌は歌えない。覚えているとかいないとかじゃなくて、歌詞が『女の子の妄想の世界』を歌った内容だから、男の俺が歌うのは拒否反応が出るんだよ。まだ、同じ女の子主人公でも、ペリーヌは許せる」
翔花「どうして?」
NOVA「最初のルンルン ルルルルンルンを除けば、歌詞が主人公のペリーヌを励ましている内容だから、男の俺が優しく歌っても許される。しかし、アンの主題歌はアンの『王子様に迎えに来て欲しい願望』を露骨に歌い上げているので、そこは俺が踏み込める領域じゃないんだよ。曲をハミングで口ずさむ気にもならない。さすがに、小学校の中学年ぐらいの年になると、男番組と女番組の違いなんかも意識して、この世界は自分が踏み込むには気恥ずかしいと感じるようになったわけだ。だから、翌年のトム・ソーヤーが少年主人公でホッとした」
NOVA「『赤毛のアン』を経て、『トム・ソーヤーの冒険』に至って確信した。俺は冒険とか旅物語が好きなんだ、と。ペリーヌは旅だから受け入れられた。しかし、アンはそういう要素がない。よって、トムが名作劇場をもう少し俺が見続ける中興の祖みたいな作品だ。そう、マルコに始まり、トム・ソーヤーが好きで、OPを見ながら、本編でも早くインディアンと馬に乗って駆けたり、気球に乗って空に旅をしたり、海賊船に乗ったりしないか、と期待したんだな」
晶華「それって、OP詐欺って奴よね」
NOVA「ああ。トムの冒険は、日常のちょっとした遊びの範疇で、別に旅に出るわけじゃない。ペリーヌがOPみたいにタンポポの力で空を飛んだり、ハイジがブランコに乗ったり、別シリーズで一休さんが三日月にぶら下がったりしないのと同じで、本編では実現しないイメージ映像に過ぎないんだ。ZZガンダムの主題歌で描かれているアムロやシャアが出ないようにな」
晶華「でも、フランダースの犬で、ネロ少年がパトラッシュと空を飛ぶ映像は実現した、と」
NOVA「まあ、アニメの世界でもどこまでが夢で、どこまでが現実なのか、だんだん判別できるようになるわけだな。しかし、トムには騙された。当時はOP詐欺という言葉も知らなかったから、気球に乗って冒険には行かないのかよ、トム! と内心、怒りを覚えたものだ。今だから明かす幼少期の思い出だけどな」
翔花「小学校の中学年だったら、もう幼少期とは言わないと思うけど」
NOVA「訂正。少年期と言えばいいな。まあ、それでもトムの物語は面白かった。それまでは割と真面目な主人公の多かった名作劇場で、ラスカルに次ぐイタズラっ子設定だからな。まじめなキャラがいろいろと悲劇に見舞われて、それでも最後はハッピーに終わるか、あるいは最後に不幸なお別れシーンに至るのが世界名作劇場の定番だけど、トム・ソーヤーにはそういう影がほとんどない。後年、ハックルベリーやインジャン・ジョーがそれぞれ差別を受けているドラマが内包されていたことが分かるが、トムは基本コミカル系のキャラなので、殺人者のジョーに恐怖する終盤になるまでは、基本的にコミカルで明るい作風だ」
晶華「……ところで、今、Wikipediaを見てみたんだけど、第11話から14話までが海賊絡みのエピソードみたいだし、34話から37話までが気球エピソードみたい。つまり、OP詐欺だと思ったのは、NOVAちゃんがその回を見ていなかっただけじゃないかしら?」
NOVA「何だと!? ……本当だ。サブタイトルを見ると、はっきり分かる。俺は結構、トム・ソーヤーは好きだったんだけど、何で4話も連続で見逃していたんだ?」
翔花「それはきっと、あれね」
NOVA「何だ?」
翔花「昭和あるあるの、TV争奪権競争に負けたからじゃない? 父親がプロ野球を見ていると、子どもが好きなTV番組を見ることができないという奴」
NOVA「! 納得した。問題となったのは、3月放送分と9月放送分。その時期だと野球のナイター中継で、トムの視聴を諦めた可能性は高いな。一家にTVが1つしかなくて、ビデオが普及していない時代は、野球中継がゴールデンタイムのアニメの最大の敵だ。
「あと、俺がどうしてペリーヌや赤毛のアンみたいな女の子番組を見ていたかの理由もはっきりした。妹が見ていたからだろうな。ペリーヌの30分前は『ダンガードA』で、赤毛のアンの30分前は『スタージンガー』。つまり、日曜の7時は俺が見たいSFメカアクションを、日曜の7時30分からは妹の見たいペリーヌや赤毛のアンを、我が家のTVは流していて、野球シーズンは雨で中継中止にならないかなあ、と願っていた少年時代だったのではないか、おそらくは」
晶華「つまり、NOVAちゃんは、好きな番組と言っても、意地でも全話見るマニアックな子どもじゃなかったのね」
NOVA「昭和にそんな子どもがいてたまるか。親にチャンネル権を握られていて、一家に一台しかTVがない時代は、見れる物を見るしかなくて、いつ最終回になるかの情報も持ってないわけだし、俺が初めて全話見たと確信できた番組は、再放送のウルトラシリーズとガンダムからだ。ケイブンシャの大百科に全話放送リストがあったから、何話を見ていないかのチェックが容易にできる。さすがに『トム・ソーヤー大百科』とか『世界名作劇場大百科』という本は当時、出ていなかったろうし」
翔花「ってことは、全話見てないのに、『気球に乗らないのかよ、トム!』と怒っていたの?」
NOVA「恥ずかしながら、そういうことになるな。だが、幸いなのは、その怒りは外に出さずに内心だけに留めていたことだ。これが抑えきれずに、面白がってネタ語りしていたら、よく知りもしないくせにとバカにされていたかもしれないし、怒りをアニメ制作者や企業へのクレームとして抗議していたら……まあ、そこまでヒートアップする話題でもないか。まあ、さっき話の流れで、『子どもの時にそう感じたことがある』と言っただけだし、同じ記事中でそれが誤解だと分かって、45年ぶりのモヤモヤがすっきり晴れたというだけだ」
翔花「45年間もモヤモヤを抱え続けていたんだ」
NOVA「いや、ずっとモヤモヤしていたわけじゃなくて、たまたま昔のアニメで感じたことを懐かし気分で吐き出してみたら、実は勘違いだったと分かって、へえ、そうだったのか〜と目から鱗が落ちて喜んでいるのが今だ」
晶華「まあ、誰にも迷惑かけてないからいいんだけどね。SNS上で、勘違いか何かで過剰にトム・ソーヤーの攻撃をしたら、熱烈な世界名作劇場マニアの人にビシバシ叩かれることになるだろうし」
NOVA「イヤなマニアだな。名作劇場から何を学んだんだ? 人には優しく、明るく朗らかにって話じゃないのか?」
翔花「主人公をイジめたり、騙したりする悪役から学んだのかもしれないわよ」
NOVA「なるほど。でも、子どもに厳しくしつける大人が悪役のように描かれることもあるからな。ハイジのロッテンマイヤーさんみたいに」
翔花「誰それ?」
NOVA「クララの屋敷の中年メイド長のおばさんで、田舎育ちの無学な少女ハイジを厳しくしつけたことで有名なキャラだ。詳しくは下記参照」
晶華「まあ、ハイジを代表するメガネキャラということで、メガネンジャーの資格ありよね」
NOVA「いやいや。だったら、ラピュタのムスカだってそうだろうが。まあ、メガネをかけたクールなキャラで、主人公のムカつく敵役なんだけど、その言動に萌える層もいるらしいから、ネタとして扱いやすい人気キャラではある」
翔花「つまり、ロッテンマイヤーさんから学んだ名作劇場ファンがいても不思議じゃない、と」
NOVA「ネット上にはびこるアニメやオタク嫌いなフェミの人って、結構ロッテンマイヤー的言動の人が多いと感じるもんな。まあ、ロッテンマイヤーさんは最後にハイジたちに理解を示して、キャラとして浄化されて終わるけど。いずれにせよ、自由に対する規律、田舎や自然に対する都会と文明を象徴するキャラで、ハイジに対するアンチテーゼではあるけど大人になって見ると、別に悪人ではないことが分かって、作品の奥深さを味わえる美味しいキャラってことだ」
晶華「トムには、そういうキャラっているの?」
NOVA「ポリー伯母さんか、鞭打ち罰を与える学校の先生かな。トムは陽キャラだから意識していなかったけど、両親を早くに失った孤児設定で、伯母さんに引き取られていたのか。で、トムの敵役として有名なインジャン・ジョーだが、彼のテーマソングがヒーローっぽい曲調で妙に格好いいんだ」
晶華「歌詞が凄いわね。『お前は疫病神』とか『地獄へ行っちまえ』とか」
NOVA「ヒーローソングではあり得ない歌詞だが、西部劇っぽい曲なので、最初の仮面ライダーや必殺シリーズみたいなマカロニ・ウェスタンを連想させる。人殺しだけど、子どもには手をかけないとか被差別的迫害を受けた背景設定とか、世界名作劇場において『人殺し』という異彩を放つ属性で、非常に印象的なキャラだ」
翔花「イジメや盗み、詐欺はあったけど、人殺しは別格だもんね。フィクションやゲームの世界ならともかく」
NOVA「トムの冒険は、子どものごっこ遊びや日常的なお遊びの範囲に収まるものだったけど、インジャン・ジョーの殺しの現場を目撃したことで、一気に非日常の生々しいホラー調になるもんな。日常が非日常に転化するアンバランスゾーンがこの作品の魅力だと、俺は思っている」
晶華「インジャン・ジョーさんのエピソードは38話からっぽいわね。ええと、10月半ばだから、野球中継には邪魔されなかった?」
NOVA「名作劇場は基本的に年始に始まって、年末に最終回だから、最初と最後は野球中継に邪魔されることなく視聴できたんだな。だから途中で見てないエピソードはいろいろあるだろうし、シリーズマニアでもないから全話視聴なんて考えてもいなかったわけで、だけど作品によって最初と最後の要所は見ていたんだと思う」
翔花「せっかくなので、『スーパー世界名作劇場大戦』なんてゲームにすればいいのに。おっす、おら、トム・ソーヤーとか、ラスカルと野沢雅子さんキャラ共演なんてしてみたり」
NOVA「そうか。声優つながりだと、ラスカルがトムに転身したとも言えるのか。他に野沢さんで名作劇場だと……エステバンは違って、ええとポリアンナのパレー叔母さんの役かあ。と言うか、トムの声を演りながら、怪物くんや釣りキチ三平、999の星野鉄郎の主演声を続けていたのが80年の野沢さんだったんだな。もう、その時期の俺は野沢雅子漬けじゃないか。再放送も含めて、児童アニメの定番の声すぎる」
晶華「その割に、スパロボではコン・バトラーさんでしかレギュラー作品がないのよね」
NOVA「しかし、野沢さんがコンバインOKと言ってくれないと、バトルマシンが合体できないんだぞ。超重要キャラじゃないか」
NOVA「スーパー野沢雅子大戦なんてやったら、どうなるかと想像したが、版権料が随分と大変なことになるだろうし、声優さんの負担もとんでもないことになるから、脳内妄想だけに留めておこう。もう、野沢さんはずっとお元気で孫悟空と息子たちの声を入れてくれるだけで、世代を越えた人気声優となってくれたらいいわ」
翔花「ロボットアニメの主演はないのね。ロボットに乗って戦う野沢雅子さんの声は聞けないと」
NOVA「バイファムが出ればなあ。あとは、これぐらいか」
晶華「野沢雅子さんに話を広げると、どんどん深みにハマるのが分かったのでこれぐらいにして、最後にトム君のお話をまとめてみましょう」
NOVA「トム・ソーヤーは名作童話の中でも本当にメジャーな作品なので、アニメやゲームの題材としても非常に豊富なバージョンがある。この一作だけで派生作も多くて、奥が深いなあ、と改めて思った」
晶華「では、トムさんだけで一記事、いや何記事も作れそうな深みを感じるけど、次に行くわ。『南の島のフローネ』ね」
NOVA「違う。『ふしぎな島のフローネ』だ。たぶん、その次の『南の虹のルーシー』と混ざってるんだと思う。どちらも家族による開拓とかサバイバル系の話で、詳しくない人からは混同されがちだったと記憶する。まあ、81年と82年の作品なので次回に回そう、今回はトムの話で終わり」
翔花「フローネさんは、無人島漂流アドベンチャーね。ワクワク面白そう」
(当記事 完)
*1:ギルバートがアンの髪の色を冗談でイジったために激怒したアンがギルバートを暴力制裁して、対立関係のライバルとなったのが、後にいい仲になり、原作の続編では結婚までする