Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ハッピーな誕生日とアンハッピーな世界

誕生日祝いはなし

 

NOVA「ただいま〜」

翔花「おかえり、NOVAちゃん」

晶華「ハッピー・バースデイ♪」

NOVA「ああ、ありがとう。だが、今年は誕生日を祝いたい気分じゃなくなったんだ」

翔花「え? どうしてよ?」

晶華「もしかして、体調を壊したの? 花粉症か何か?」

NOVA「いや、花粉症は今年はまだだ。ただ、やはり世の中が震災とか戦争とかで騒がしくなっていると、誕生日ぐらい自粛しないとって感じたりしてな」

翔花「そんな〜」

晶華「せっかく、4歳の誕生日なのに〜」

NOVA「お前たちの誕生日の話じゃない。自粛するのは、俺の誕生日だ。俺には51歳の誕生日はない。今年も一年、50歳で過ごす」

翔花「ああ、年を取りたくないってこと? 永遠の50歳宣言?」

NOVA「それもいいかもしれないな。まあ、とにかく、ウクライナで大変なことになっているうちは、俺も自分の誕生日でお祝いしたいとは思わないわけだよ」

晶華「ウクライナって何?」

翔花「アキちゃん、知力の2号と言っておきながら、そんなことも知らないの? 今、YouTubeでもやってるじゃない?」

晶華「どこかの悪の組織? 鬱、暗いな〜とか、そんな感じ?」

翔花「惜しい。トッキュウジャーの敵シャドーラインが使っているロボの名前なんだから」

NOVA「クライナーロボじゃないと〜。ウクライナってのは、黒海北岸に横たわる国で、今、ロシアの攻撃を受けているホットウォーな国ってことは、常識だろう、常識」

晶華「NOVAちゃんの常識は、花粉症ガールの世界の常識とは違うし。花粉症ガールの世界には、ウクライナなんて地名はないの」

NOVA「自分の無知さを、俺の非常識みたいに言うなよ。花粉症ガールの物語の作者は俺なんだから、花粉症ガールの世界にもウクライナの地名を叩き込んでやる。今回の記事は、そういう内容だ」

晶華「やめて。そんなことをしたら、夢のハッピー妄想ワールドがアンハッピーな現実に侵食されちゃう! まだ4歳になっていない幼気な少女に、過酷な現実の闇を見せつけるって言うの? この鬼、悪魔〜」

NOVA「そいつは、今の特撮界隈では褒め言葉だぜ。とにかく、今年はハッピーな誕生日ではなく、今の世界の過酷さをお前たちに授業してやる。何しろ、粉杉翔花&晶華の精神年齢は14歳って設定なんだからな。14歳なら、ウクライナという地名ぐらい知っておくのは常識だ。少なくとも、俺がウクライナを知ったのは、それぐらいの年だったんだからな」

晶華「そんなことを知っても、別にTRPGの役には立たないでしょう」

NOVA「そうでもないんだな、これが」

NOVA「ウクライナという国が、TRPGその他のゲーマーにとって、いかに大切な国か、お前たちに今のリアルタイムの世界を考えるきっかけを与えてやる。少なくとも、俺は中学高校の時期にウクライナ関連の勉強の基本は学んだ。相当に偏った知識かもしれんが、俺のウクライナへの愛着を見せつけてやる」

 

80年代のウクライナ地方

 

NOVA「俺が初めてウクライナという地名を知ったのは、中学1年の地理の授業の時だ。当時は、まだ80年代で、ソビエト社会主義共和国連邦という世界最大面積を誇る国がアメリカと冷たい戦争の真っ最中で、米ソの間で第3次世界大戦という悲劇が起こる可能性が真剣に取り扱われていたわけだ。当時のSFフィクションを見ても、米ソの核戦争の危機というのは時代の常識として扱われていた」

晶華「昭和時代はソ連で、平成になってロシアになったってこと?」

NOVA「そう。ソ連の建国は1922年で、1991年まで続いたから、昭和の間(1926〜1989)がずっとソ連で、それが崩壊したとき、歴史が動いたってインパクト大だったんだな」

翔花「ロシアがソ連だった時代を知っていることが昭和世代の特徴って言えるわね」

NOVA「そして、ソビエトを結成した中心がロシア、ウクライナベラルーシ白ロシア)、南コーカサス(現在のアゼルバイジャンアルメニアグルジア改めジョージア)ということになる」

晶華「つまり、ウクライナは元々、ソ連の一部だったということね」

NOVA「いつの時代をもって元々と言うべきかは意見が分かれるが、ロシアと連合していたソビエト時代(昭和脳)を基準にするなら、旧ソ連の内戦という見方もできるし、90年代以降の独立国ウクライナを中心に見るなら、ロシアによる侵略という構図になる。なお、ウクライナの国家としての歴史は、中世のキエフ大公国に遡り、そこからモンゴルに滅ぼされ、ポーランドオーストリアオスマン=トルコ、ロシア帝国など時代ごとに様々な国に支配、分割された後、ウクライナという独立国号を持つのは1917年からソビエト成立のわずかな期間、および1991年以降のソビエト崩壊後の30年ほどということになる」

翔花「地域としての歴史は長いけど、その地域を治める独立国としての歴史は比較的短い、と」

NOVA「昭和時代の学生感覚だと、『ソ連の一部であり、黒海北岸の黒土地帯で小麦の生産が盛ん。また、ドニエプル川の水運を活かしたドニエプル・コンビナートでソ連随一の工業地帯でもある』という知識があったもんな。参考書なんかでも、ソ連の重要ポイントの一つで、国営農場ソフホーズ、集団農場コルホーズなどと同様、意味のよく分からないまま単語として何度も言いながら覚えた記憶がある」

 

NOVA1983『ウクライナは、うっ暗いなあって覚えておこう。黒土地帯で、暗くて黒い土地。小麦がいっぱい取れて、ドニエプル・コンビナート。よし、何とかつながった』

 

晶華「やっぱり、暗くて黒い土地なのね」

NOVA「しかも、ガンダムで有名なオデッサの戦いの戦場でもあるわけで、マ・クベの鉱山地帯のイメージもあるな」

晶華「ちょっと、NOVAちゃん。現実で戦争していると言うのに、ガンダムの戦場動画を出すのって不謹慎じゃない?」

NOVA「リアルに平和だった時期のオデッサの街並みはこんな感じだったらしいが、黒海沿岸のリゾート都市だったんだな」

晶華「質問。黒海って何で、そんな名前なの? 英語名がブラックシーなんて、いかにも悪そうな名前じゃない?」

NOVA「いくつかの説があるが、海の水が硫化鉄の黒色成分のせいで黒っぽく見えるというのが分かりやすいかな。南部にトルコの小アジア半島があって、中世ヨーロッパの歴史マニアにとっては東ローマ帝国との関わりが強く、近代ではロシアとトルコの露土戦争や、ナイチンゲールで有名なクリミア戦争の主要舞台でもある」

翔花「戦争だらけね」

NOVA「東ヨーロッパにおける交通の要所であり、農業資源や鉱産資源も豊富ということは戦略的価値が非常に高いということでもある。俺が仮にプーチンの立場なら、ウクライナは戦略的要衝として、みすみすNATOに奪われるようなマネはしたくないな」

晶華「ちょっと、NOVAちゃん。ウクライナの味方じゃないの?」

NOVA「平和主義とか人道を中心に考えるなら、そりゃあ被害国のウクライナを応援して、反ロシアの立場になるべきだろうな。ただ、俺は戦略的視点で考えるのも好きなので、感情論でなく国家の安全体制とか実務的に考えるなら、プーチンが一方的に悪いと見なすのも短絡的だという見方もする。戦争の場合、先に仕掛けた方が悪いと考えるのが日本では一般的だと思うが(基本的に和を重んじる立ち位置なので)、マルチプレイヤーズゲームの戦略に則るなら、何としてもロシアがウクライナを失う形になるのは避けたいわけだ」

翔花「ウクライナはロシアから離れたいわけ?」

NOVA「この辺は民族対立が複雑なんだな。ウクライナの人口の8割はウクライナ人で、2割弱がロシア人。ウクライナ人はコサックとも呼ばれた時期があり、農業主体の素朴な風習と反体制的な騎馬傭兵のイメージが融合しているようだ」

晶華「バトルフィーバーのコサックさんね」

翔花「バトルフィーバーさんの時代は昭和なので、コサックさんはソ連のイメージってこと?」

NOVA「放送当時は俺も小学生だったから、コサックってどこの国かよく分からなかったんだよなあ。ジャパンやフランス、ケニアアメリカは分かっていても、コサックって国は地図帳で調べてもよく分からないし、何となくエジプトのスフィンクスみたいなイメージで考えていたや。しかも、放送当時は初代コサックがミドレンジャーの明日香健二と同じ役者だということも知らなかったし、2代めがキカイダー(あるいはイナズマン、火忍キャプター7)だってことも知らなかった。実に無知だったな、と」

晶華「と言うか、80年代の話をしているつもりが、70年代に話が戻ってない?」

NOVA「本当だ。ガンダムもバトルフィーバーも79年じゃないか。時間軸が定まってはいない。それだけ、俺も混乱してるってことだな。世の中と同じで」

晶華「リアルの話なんだか、フィクションの話なんだか、ちっとも分かりやしない」

 

チェルノブイリウクライナだったとは

 

NOVA「昭和の冷戦期のニュースで、史上最初の大規模原発事故として知られるチェルノブイリ原発も、今回のウクライナ事件で注目が当たったな」

晶華「ええと、1986年ね。何だか昭和の負の遺産がいっぱい明るみに出ているような気がするんですけど」

NOVA「こんな形で昭和のリバイバルが起こって欲しくなかったよな。なお、チェルノブイリに絡めて、当時のメガテンではウクライナ含むスラブ民族の死神、黒き神チェルノボーグなんてのが話のネタに挙げられていた」

翔花「チェルノブイリって邪神の名前だったんだ」

NOVA「いや、単に名前が似てるってだけで、関連づけはあまりない語呂合わせ蘊蓄なんだろうけど、当時はチェルノブイリって凄くインパクトのある言葉だったからな。まさか30年以上を経て『チェルノブイリの戦い』なんてパワーワードを聞くとは思わなかったぜ。原子力発電所付近での戦闘って、かなり恐ろしすぎるじゃないか」

晶華「ええと、どこまでがフィクションなのか、それとも本物のドキュメントなのか分からないんですけど?」

NOVA「俺もだな。つまり、事実は小説よりも奇なりって世界に、俺たちは生きてるって感じだな。昭和時代の悪夢が令和に甦ったという気分だ。さらに、ウクライナ関連といえば、この人も注目だ」

晶華「ミラ・ジョヴォヴィッチさんね」

NOVA「英語読みだとな。本人はミラ・ヨヴォヴィッチって発音して欲しいそうだが、彼女もキエフ出身なんだな」

翔花「とにかく、今回のロシアからの侵攻によって、ウクライナに急にスポットが当たるようになったってことね」

NOVA「俺の知識もカビの生えたフィクションイメージをつなげ合わせただけだし、別にずっとウクライナのことを追いかけている専門家ってわけじゃないからな。ただ、90年代以降の東欧やロシア周辺国は、ポスト冷戦ってことであまり個人的に脅威を感じることはなかったような気がする。世界で危険な地域ってアラブ圏とかアジア圏というイメージがあって、T2のジョン・コナー少年のセリフにあるような『ロシアは友好国で、冷戦は過去の物』ってイメージで見ていた。ある意味、その辺りの紛争に関して平和ボケしていたとも言える」

晶華「今の時期は特に、コロナで視野が内向きになっていたのかもしれないわね」

NOVA「EUとかNATOというヨーロッパの西側諸国が冷戦の勝利者的な枠組みで物を考える時代が30年の間に変質して、対テロ戦闘の時代から新たな覇権国家の座を目指す時代に再展開しつつある可能性さえあるな。今から100年前はソ連建国の年でもあるわけで、そういう視点で物を見るなら、ロシアの目指しているのがネオソビエト的な大国の再建という方向性で動く可能性もあるわけで」

晶華「時代が昭和に戻ったみたいって声をよく聞くような気がするけど、その昭和って80年代をイメージするのよね。でも、あと3、4年もすれば、100年前が昭和初めって時代になるわけで」

NOVA「昭和の初期、1920年代後半から1945年までの戦争の流れに突入することだけは勘弁して欲しいと思いつつ、世界がネオ帝国主義の流れに向かう可能性も懸念するわけだ」

翔花「そうやって、NOVAちゃんがあれこれ心配して、誕生日を祝う気分にさえならない状況が、早く解消されることを願ってます」

 

(当記事 完)