悠久の風(エターナル・ウィンド)な音楽会
GM(NOVA)「【大樹の森】の世界樹付近で、突如、異界から魔神の軍団が襲撃し、ミリィたちは目覚めた聖戦士エマと協力して、敵を撃退した。そこへ上空から、風の大妖精ジンが降臨して続いたわけだ」
ミリィ(晶華)「すごい。そうまとめられると、あたしたちがまともな異世界ファンタジー冒険譚を紡いでいるような気がするから不思議ね」
GM「不思議じゃないだろうが。俺が瞬間瞬間を必死に生きて、考えながら展開している物語なんだからな。寄り道脱線も、当ブログのフレーバーの一つだし、公式には書けないような話を紡ぎ上げるのが、俺のファンタジーだ」
サイバ(009)「確かに、公式だと原稿執筆から製本化まで2ヶ月ほどのタイムラグがあるから時事ネタは風化しやすいし、他のフィクション作品への言及は自社関連でない限り、扱いに慎重を要するからな。堂々と、『ゼンカイジャー』『仮面ライダーセイバー』『トロピカルージュ』『ドラゴンクエスト』その他の作品ネタとかぶらせるなんて、公式にはなかなかできない話だ」
GM「まあ、公式商業作品は少しぐらい元ネタありの発言をしても、伏せ字にしてボカしたり、あまり踏み込まないように編集したりだからな。とあるプロのゲーム作家曰く、『私たちだって、プライベートなプレイでは他のアニメネタや作品ネタを全開にゲーム会話していますが、公式な作品として発表する場合は、著作権とかややこしい問題を避けるために、控えめにしています。ただ、カジュアルなプレイで「自分たちに分かる作品ネタをどんどん出すことは楽しむコツ」なので、それはプロにはできないことなんですね。アマチュアの人がやるのは自由です』とのこと。なお、その発言をした人の作品はこれだ」
マークス(ケイP)「マクロスやガンダムAGEなどのノベライズ、それにアニメの脚本など多彩な活躍をしている御仁ですね」
GM「個人的には、こっちも印象的だったけどな」
エマ(翔花)「そっち方面に寄り道すると、第4部完になれないので、違う機会にした方がいいと思うけど」
GM「ああ、そうだな。俺も5巻まではコミックを買っていたんだけど、その後、何だか疎遠になっている間に完結してしまった。6巻以降を読んでから、また話題にしようか」
ミリィ「とにかく、空から降りて来たのは、大鷲のケンさんではなくて、大妖精のジンさんということでOKね」
GM「ジンさんについては、この記事で初めて言及したんだが、実際に当リプレイで登場したのは初めてだ」
ミリィ「タイタン様曰く『気まぐれでフワフワしている癖に、高慢で扱いにくい』そうね。確か、会うにはレベル11が必要なんじゃなかった?」
GM「ああ、元シナリオではそうだったんだけど、今回のオリジナルミッションで先に顔見せだけでもしておこうと考えた。それと、元シナリオの設定では『わし口調の大らかな老人だけど、気紛れで飽きっぽい』という性格だったけど、タイタンの方を女性から老人風に変えたことで、キャラ被りを防ぐために『軽々しい言動の若者で、ケセラセラの親玉』という感じに改変したので、よろしく」
サイバ「ケセラセラの親玉って何だよ?」
GM「言動が軽すぎて、一見、何も考えていないような雰囲気だけど、空気は読めて、流されやすい。そして、風の如き自由人。それがNOVA版のジンさんだ」
ミリィ「一応、相手は大妖精だって分かるので、敬意と礼儀は示しておくわね」
ジン『なるほど。君がアラマユ様の後継者候補の妖精使いで、小説家、海賊船長……と、ここまではシルフちゃんからも聞いているけど、もう一人の剣士のお嬢ちゃんがいろいろと問題を抱えているみたいだね』
エマ「いいえ、問題なら解決したわ。わたしを蝕む吸血鬼の呪いは浄化された。世界樹とタイタン様の御力でね」
ジン『だけど、その代償は大きかった。君一人を目覚めさせるためにタイタンは消耗し、妖精郷に異界の力が流入して、諸力のバランスが崩壊し、先程のような魔神が突如として、出没する危険性が跳ね上がった。君は聖戦士と言われているみたいだけど、その実、混沌の導き手になるかもしれない、とぼくは思っているよ』
エマ「わたしが混沌ですって? 愚弄するのですか? こう見えても、キル・ケイオスの精神でファルシオンを振るっているのですよ。愛と勇気と希望の使徒に対して混沌だなんて、いくら大妖精でも聞き捨てなりません」
ジン『おっと、誤解をさせてしまったようだね。ぼくはタイタンみたいに頭が固いわけじゃない。自由が好きだし、混沌の全てが悪いなんて言うつもりもない。むしろ、混沌だって面白ければOK。この妖精郷の閉鎖的な環境がもっと開明的になってくれるなら、堅苦しい秩序よりも、自由気ままな混沌状態だってヒャッハーと大歓迎したい気持ちもあるのさ』
ミリィ「何よ、それ。妖精郷が魔神に蹂躙されて、破壊されてもいいってこと?」
ジン『そうは言ってないさ。今の停滞した妖精郷は、ぼくの好みではないけど、壊れていいってわけでもない。風通しが悪いからドアや窓は開けた方がいいと思うけど、ドアや窓を叩き壊して、家ごとなくなってもいいなんて思ったりはしないって話。君たちはそう思わないかい?』
サイバ「妖精郷を開放する。それは賛成だ。協力してもらえるのか?」
ジン『君たちがぼくに協力してくれるならね。ただ、話し合いは後にしよう。君たちも戦いの後で疲れているみたいだし、少し眠って頭をすっきりさせた方がいいんじゃないかな? その間に、ぼくはタイタンと話をして、君たちのパトロンの仕事を引き継ぎたいって思ってるんだけど』
ミリィ「そう。パトロンと言うのなら、タイタン様の代わりに、妖精の宝石をくれるのね。いつでも、ジン様が召喚できる、と」
ジン『いや、それは互いの信用関係が成立してからだ。シルフから聞いているとは言え、君たちの心意気ってものを確かめたいし、何の試練もなしに、力量の証明もなしに、思い入れも感じずに、信頼関係は成立しない。とりあえず、ぼくは風だから、君たちには風の心ってものを感じてもらいたいね。風の歌でも聞きながらさ」
GM「悠久の風の妙なる調べに包まれながら、君たち4人はいつしか眠りに就き、次に目覚めたときには世界樹の近くで安らいでいた。HP、MPを全快した上で、ジンさんとの会談が改めて続けられることになる」
4つの心の解明
サイバ「GMが妖精郷の物語を、ファイナルファンタジーと絡めたいという気持ちは分かった」
GM「うん、パーティーが4人になったことで、ますますそれっぽくなったと思うよ」
エマ「FF5に例えるなら、わたしがファリスね」
ミリィ「だったら、あたしがレナ?」
サイバ「すると、ぼくがバッツか」
マークス「え? そうすると、私がクルルでありますか?」
サイバ「何で、そっちに行く? どう考えても、ガラフの方だろうが」
マークス「ええ? 爺さんよりは、ファリスに縁があるシルドラとかの方がよろしいか、と」
GM「FF5話はともかく、休息をとった後は、33日めの昼になったということで。世界樹の周りの広場では、風の大妖精ジンさんが場の中心にいて、ポピン&マルキの吟遊詩人ズと談笑している。どうやら歌とか音楽の話で意気投合しているようだ」
ミリィ「タイタン様は?」
GM「世界樹と一体化して、眠りながら力を回復しているところだ」
エマ「わたしのために、随分と消耗したみたいね。屋久島での自分の修行を思い出すわ(遠い目)」
GM「確かに、あの縄文杉はうちのブログ時空にとっては、世界樹みたいなものかもしれないな。大きな樹木というのは、どこの世界でも大地の力の象徴と言えるのだろう。ともあれ、君たちが目を覚ますと、ジンさんはにっこり微笑んで、『やあ、君たち。タイタンとは話がついたよ。これからは、ぼくがこの森と君たちの守護者代行の任を引き受けることになったから』と報告する」
サイバ「沖田艦長の代わりに、古代進が艦長代理をするようなものか」
エマ「そんなにいいもの? ブライト艦長の代わりに、ビーチャさんが艦長代理をする感じじゃない?」
ミリィ「2人とも例えが古いわよ。もっとタイムリーな話をしないと」
サイバ「タイムリーと言ってもな。最近の流行はよく分からないんだが」
ミリィ「原作は最近じゃなくても、ダイ大はタイムリーよ。獣王クロコダインさんの代わりに、大ネズミのチウさんが獣王遊撃隊の隊長になるみたいなもの。これならバッチリよ」
ジン『言葉の意味はよく分からないけど、とにかく君たちがぼくのことを軽く見ていることは理解したよ。タイタンにも心配されたし。まあ、ベルゼンさんがアドバイザーとして補佐してくれるという条件で、ようやく認可を得られたわけだ。この森と妖精郷の平和のために、君たちも協力してくれることを期待する』
ミリィ「協力を要請するのはいいけど、報酬は用意しているのかしら? あたしは魔神を倒した女、決して安い値段では動かないわよ」
ジン『ハハハ。まるで金のオーラに包まれているみたいだね。それなら、タイタンから預かったものがある。この宝石なら、どうだろう?』
ミリィ「宝石?」
GM「2万8000ガメルの価値がある大地と風の精髄みたいな石だ。元々は、エマ・ショーカのキャラ作成時に所持金として余らせていたお金なんだけどね。どういう形で提示しようかと思っていたんだけど、世界樹の力でエマが覚醒した際に副産物的に生み出されたものとして扱うことにした」
エマ「つまり、元々はわたしの物ってことね」
GM「いや、タイタン曰く、アラマユ様の想いが発露した結晶らしい」
ミリィ「アラマユ様の物はあたしの物ね。でも、女王は公正でなければならないので、一人7000ガメルの報酬として、これからの冒険のために使わせてもらうわ」
エマ「あれからお金の使い道は考えたわ。ファルシオンを魔法の武器+1に強化して、さらに炎属性を付与するの。6500ガメル使えば、不死鳥の剣がますます格好良くなるんだから」
サイバ「【ファイア・ウエポン】なら、ぼくがかけてあげるのに」
エマ「いいえ。リオンさんにはそれよりも、もっと別の魔法をかけてもらいたいの」
サイバ「何だ?」
エマ「命中を+2する【ファナティシズム】よ。どんなにダメージが高くても、攻撃を当てられないと意味がない。前回みたいな魔神とやり合うためには、命中率の確保は何よりも重要。それに、わたしは魔動機術【ターゲットサイト】で命中+1できたのに、うっかり忘れていたから、次からはもっと確実に当てられるように研鑽を重ねるわ」
マークス「私も【ターゲットサイト】が使えたのに、失念していました。というか、今までの妖精郷では、敵に攻撃が当てられなくて苦労したことはなかったので、今後の強敵戦に備えて、対策は考えておくべきですね」
GM「こういう発言が出てこそのガチゲーマーだな。ルールの運用で、自分が少しでも上手く、強く立ち回れるように、ミスから学ぶというか、少しでも有利を追求する姿勢とか、戦術眼の向上に余念がないというか」
サイバ「しかし、【ファナティシズム】ってバーサーカー御用達というか、回避が下がるんだが?」
エマ「攻撃は最大の防御よ。それに、わたしへの攻撃はマー君がシャットアウトしてくれるし」
マークス「お嬢さまといっしょなら、防護点+3されて固いですし、イザという時でも回復呪文で治してもらえますからね。このコンビには回避なんて必要ありません」
サイバ「聖戦士というよりも、世紀末狂戦士伝説の開幕かもしれないな」
エマ「大丈夫。北斗の拳と、ウルトラマンガイアと、仮面ライダークウガの主題歌を歌っている人は、みんな同じなんだから」
ミリィ「そうなの?」
GM「実はそうなんだな。クリスタルキングのメインボーカルだったのが、田中昌之さんなので、世紀末にガイアと、世紀明け前後にクウガを歌っている」
GM「さて、北斗とガイアとクウガの思わぬつながりを確認したところで、本題に移ろう。ジンさんはこう問いかけて来るんだ。『君たちは、風の心とは何か知っているかい?』って」
ミリィ「それって、何かのなぞなぞ? 気まぐれとか、ケセラセラとかそういう系?」
ジン『それはぼくの主義信条かもしれないけど、もっと格好いい冒険者らしい言葉にして欲しいなあ』
エマ「だったらこれね」
エマ「風といえば、サイバスター。サイバスターといえば、方向音痴で世界中を駆け巡る。つまり、流浪とか流離とかそんな感じ?」
ジン『そんなキャラもいるかもしれないけど、風属性がみんな方向音痴ってわけじゃない。旅人という意味では近いかもしれないけど』
サイバ「GM、ぼくが答えてもいいか?」
GM「ああ。娘2人にはいまいち俺の真意が見えていないみたいだからな」
ミリィ「何のヒントもなしに、相手の真意なんて分かるわけないじゃない」
GM「いや、ヒントも何も最初にストレートに見せているんだが」
サイバ「途中でいろいろ寄り道話を展開したから、最初の伏線を見落としたんだろう。答えはズバリ『探求』だ」
ジン『その通り。風の心とは、旺盛な探求心。自由も、気まぐれも、流浪も、みんな好奇心、研究心、クエストに挑む心があってこそ、冒険の土台となる。探求する心なくして、無意味に流離っても、ただ自由気ままに振る舞っても、何も生み出せない。世界の真理を解き明かしたい、知らない世界を旅してみたい、未知の謎を追求したい、そんな気持ちが風の心の真髄なんだ。それこそ究極幻想の精神なのさ』
ミリィ「何だ、ファイナルファンタジーが伏線だったのね」
エマ「だったら、わたしは風じゃなくて、炎のクリスタルに選ばれるわ。その心は『勇気』だし、勇者だし、エマは漢字では『炎魔』に通ず」
ミリィ「すごい。お姉ちゃんが漢字の話をするなんて」
エマ「失礼ね。そりゃあ、わたしだってゲーム用語ぐらいは学ぶわよ。炎も、魔も、よく使うじゃない。魔法、魔物、魔神、魔獣、魔女……魔の字が読み書きできないと、ファンタジーRPGなんてできやしないんだから」
ミリィ「なるほど。リオン様が風で、エマさんが炎。だったら、あたしは『希望』の土を選ぶわ。レナさんだったら水なんだけど、それよりもドルイドとかタイタン様を考えると、大地の方があたし向きだしね。それに水だったら、キャプテンさんでしょ?」
マークス「確かに。水の心は『いたわり』ですか。ええと、斧を使って板を割る気持ちですね。いかにも、私にふさわしい」
GM「分かってボケてると思うが、優しさとか思いやりってことだからな」
マークス「誰かをかばうという行動は、いたわりですか?」
GM「それはありだろうな。とりあえず、大地はミリィ、風はサイバ、炎はエマ、水はキャプテンってことで、当リプレイの四大属性は確定ってことでいいな」
サイバ「細かいことにこだわるなら、今のソード・ワールドの種族設定だと、土が人間で、風がリルドラケンで、炎がドワーフで、水がエルフらしいんだけど、個人の資質はまた別ものと見なしたらいいんだろうな」
ジンの提案からの急展開
GM「ともあれ、ジンさんはサイバを風の心が分かる交渉人として、重視する方向性を定めたようだ」
ミリィ「パーティー内で唯一、空が飛べないのに?」
サイバ「悪かったな。一応、【レビテーション】で10メートルまでなら空中浮遊できるようになっているんだが」
ミリィ「いつの間に?」
サイバ「【レビテーション】は、【ファイアボール】と同じ6レベル真語魔法なんだよ」
エマ「空が飛べないのは、わたしも同じよ。光の羽で落下速度は調整できるけど」
ミリィ「エマさんはキャプテンさんに騎乗するんだから、バイクが【ワイドウィング】で飛べるなら十分よ」
サイバ「ぼくだって、君のペガサスに【タンデム】させてくれるなら飛べる」
ミリィ「あたしはリオン様の従者じゃないんだし、いちいち人に頼っているんじゃないわよ。他人の親切心がいつでも得られるものだと勘違いしていたら、自分の成長にはつながらないわ」
サイバ「くっ、ぼくだって10レベルのソーサラーになれば【フライト】の呪文で飛べるのに」
GM「ダイ大と違って、トベルーラ(飛翔呪文)までが遠いのがソード・ワールドなんだな。それはともかく、ジンさんは君たちの漫才に爆笑してる。曰く、『空が飛べる飛べないで、ここまで盛り上がる会話は初めて聞いた。ぼくにとっては飛べるのが当たり前だから、地上の人族の考え方は面白いなあ』だそうだ」
ミリィ「あっ、そうか。ジンさんはいつも空の上にいるから、普段は飛べる相手にしか会ったことがないんだね」
GM「まあ、そういうことだ。『ぼくは妖精郷の空はいろいろ飛び回って、もう飽きたから、もっと広いラクシアの空に憧れていたんだけど、地上の世界は上から見ているだけで深く関わって来なかったんだよね。君たちを見ていると、地上ももっと近くで見て探求すると結構面白いのかな、という気になったよ』だそうだ」
サイバ「面白いのは、ぼくたちが変わり者だからであって、全ての人が面白いとは限らないんだが、まあいい。それでジンさんは、ぼくたちに何をして欲しいのかな? 風の心が探求だったら、何かのクエストをくれるんじゃないか、と期待するんだが」
ジン『そうだね。ぼくの究極の目標は、この妖精郷をラクシアと自由に行き来できるようにして欲しいってことなんだ。タイタンやイフリート、ミーミルたちは反対なんだけどね。妖精郷は外の世界から隔離されたパラダイスみたいな場所だからいいんだって言うけれど、それじゃあ妖精郷に未来はないって思うんだ。外の世界から来た君たちだったら、ぼくの気持ちは分かるんじゃないかな』
サイバ「よく分かる。鎖国よりも、開国しろってことだな。まさに『青天を衝け』の精神。英語で言うなら、ストライク・ザ・ブルー・スカイって感じか。妖精郷もこれからは国際化の時代に突入すべきだろう」
ミリィ「うん、あたしが女王になったら、開かれた妖精郷を目指すことにするわ」
ジン『それは素晴らしい。だったら、ぼくも女王のシンパになるよ。ただ、物事には順番がある。急な改変じゃ反発もあるだろう。それに今の妖精郷は崩壊の危機にある。そこから何とかしないといけない。君たちは妖精郷の崩壊の理由は分かっているかい?』
サイバ「それなりにはな。原因は一つとは限らないが、まず魔女ネアンの暗躍が筆頭だろう。彼女は妖精郷に蓄えた魔力と住人たちの生命エネルギーを利用して、自らが神になろうとしている。その野心をくじかない限り、妖精郷に真の安泰は訪れないんじゃないか」
ジン『何だって!? ネアン様がそんなに恐ろしいことを企んでいたなんて、初耳だよ』
サイバ「おい、ジンさん。あんた、そんな大事なことを知らないで、よくも大妖精を名乗っていられるな」
GM「タイタンも知らなかったんだけどね。魔女の陰謀の件は、それを知る者がほとんどいないというのが実情なんだ。君たちが妖精郷の各地を旅して、いろいろな情報を集めたり、百合吸血鬼のディアナとかアラマユから直接聞いたりしたから、そこまで突き止めることができたわけで」
エマ「つまり、現場で動き回っているわたしたちが一番の専門家ってことね」
サイバ「だったら、ジンさんは何を知っているんだ?」
ジン『空から見えることなら、いろいろと。でも、上から見ているだけじゃ分からない世界もあるんだなあ』
サイバ「そりゃあ、グーグルマップで見ているだけじゃ、地上の営みまでは分からないってことさ。上から目線で分かったつもりになって、実際の物事に接していないんじゃ、真に知悉するには至らない。そんなことは知の世界に携わる者にとっては常識だ。大局的な視点と現場重視な視点、どちらも大事で、片方を極端に軽視すると、しばしば判断を誤る。近視眼と遠視眼、両方を意識して物事を観察することが多面的な物の見方って奴だ。だから、自分の知らない世界の話をできる相手との交流には、力を注ぐべきだと考えるんだね。それこそが探求心ってものじゃないかね」
ジン『そうだな。ぼくの探求心もまだまだってことか。空の上から見下ろして、いろいろ分かったつもりになっていたことを反省するよ』
ミリィ「分かればいいのよ、分かれば」
ジン『分かったよ。タイタンがどうして君たちに期待を掛けたかってことがね。現場を重視し、かつ大局的な視点を持ち続ける。ぼくたち妖精はどうしても、自分の領域のことに気をとられ、領域外のことには気が回らない。だけど、君たちは容易く領域を踏み越えて、広く世界を探索しようとする。だから知見を得て、ゆくゆくは英雄にだってなれるってことなんだね』
サイバ「ずいぶんと持ち上げてくれるものだな。まあ、作家たる者、知への探求心がなければクリエイティブな仕事ができないってことでもある。ぼくは英雄的(ヒロイック)であることよりも、創作的(クリエイティブ)であることを重視しているんだけどね」
ジン『だったら、とっておきのスペシャル情報をあげるよ。妖精郷の魔力枯渇の一番の原因は【虹の根元】という場所にあって、そこには魔神召喚の門が築かれ、邪悪な魔神の支配する巣窟になっているのさ』
サイバ「それもすでに知ってるよ。我々の優秀な諜報員、ブラウニー6号が調べてくれた情報だ。今の我々では13レベル魔神フォルゴーンには勝てないのは明らかなので、もっと鍛えないといけないと思っている」
エマ「うん。いつかファルシオンの餌食にしてやるんだから」
ジン『なるほど。そこまでつかんでいたとは、恐れ入ったよ。とにかく、妖精郷の平和を守るには、魔神召喚の門を破壊しないといけない。だけど、それは今すぐってわけにはいかない。君たちが十分な力を蓄えたなら、そこまでぼくが連れて行ってあげられるけど』
サイバ「ああ。それはいつかお願いしようと思っていたんだ。どうも地上からは、無限荒野の魔力で目的地までたどり着けないみたいだから」
ジン『空から行けるところなら、どこにでも連れて行ってあげられるよ。まあ、ぼくも暇ってわけじゃないから、いつでもってわけには行かないけど。もっと気軽な空の足が欲しいなら、スレイプニールでも探したらいいんじゃないかな。スレイプニールは8本脚の天馬型妖精で、妖精郷最速を誇る風の眷属なんだ。スレイプニールが一緒だと、妖精郷のどこにでも瞬時に飛び回ることができるんだよ』
サイバ「いわゆるルーラか。そりゃ便利だ。よし、今からスレイプニール探しに行くぞ」
ジン『ちょっと待った。スレイプニールも大事だけど、君たちにはもっと緊急の仕事を要請したいんだ。急がないと、妖精郷が急速に崩壊に向かってしまう。世界崩壊の危機はすぐ近くに迫っているんだよ』
ミリィ「原因は、SP世界のゴジラ様ね。大丈夫、あっちの世界はジェットジャガーさんが何度も時間をループして、巨大化の奇跡を起こして救ったから」
エマ「だったら、こっちの世界もマー君が巨大化の奇跡を起こして、救えばいいのね」
マークス「ええ!? 私が、でありますか?」
エマ「プレイヤーがドゴラちゃんなんだから、それぐらい簡単にできるわよね」
GM「いや、ドゴラが自制せずに巨大化と分裂を繰り返したら、それだけで世界崩壊の危機なんだが。やたらと無責任に煽るんじゃない。大体、ソード・ワールドの世界には巨大化の魔法なんて、公式には存在しない。ドラゴンに変身することも、神さまを召喚することも、巨大魔動機ゴーレムに命令することもできるゲームだけど、巨人になることはできないんだ。D&Dとか、別のファンタジーゲームならできるのに、ソード・ワールドではジャイアントマンになれない。GMが自作しなければ」
エマ「キャプテン・マークスがJパワーで巨大化するのは無理ってこと?」
GM「ルーンフォークに、巨大化可能な不思議良心回路は搭載されておりません」
エマ「ソード・ワールドも、何でもありって世界じゃないのね」
GM「何でもありを突きつめると、かえって整合性がとれなくなって破綻するからな。描きたい物語の規模に合わせて、適度なところで取捨選択するのも創り手のセンスって奴だ。足元を固めてもいないのに、いきなり壮大な世界を構築しようとしても、できたものはつまらない張りぼてでしかない。
「コツコツ積み上げた結果、みんなの意見も受け入れて壮大な世界になることはあるが、そういうのを目指して個人の力でそんな物を作り上げようとしても、ユーザーや読者が受け入れられるストーリー規模って限られていて、今の受け手さんは大風呂敷を広げた作品を求めていないんだよね。むしろ、自分のニーズに合った読みやすいものを提供できる作者を望んでいて、ちらっと読んでもつまらないと判断したら後は見向きもしない。
「読んでもらいたいなら、読者が求めるキャッチーさは何かを研究して、それに合わせる柔軟さも必要なんだよね。少なくとも、今の時代、壮大さを売りにするのは個人単位の仕事じゃない。個人でできるのは、自分にしかできないニッチさのアピールと、分かりやすい宣伝文句、具体的な需要アピール(こういうのが好きなら絶対楽しめるはずという程度の確信込み)、そして長編連作なら、どこから読んでも楽しめる物語構成と、どの章がどういう内容か想像できる程度の章題を付けたりして検索性を高めるとか、読者フレンドリーな読み物でないと、付いて来てくれない。大抵のネット読者は、第一話から読まずに最新更新の話を読んで、面白いと感じて自分に合っていると思えば、さかのぼって読んでくれたりもするから、1話1話で楽しめる山を作るとか、クライマックスの面白い章はどこかとか見て分かる作品にしないとダメだね。まあ、固定読者が付くぐらいの人気作家になれば話は別だけど」
サイバ「何の話かは分からないが、空虚な壮大さよりは、痒いところに手が届く気の利いた物語が求められているってことだな。凄いものが求められたのが昭和時代で、21世紀では凄さよりも身近な馴染みやすさ、それでいて少しずつ世界観が広がり、ユーザーや読者の歩みに合わせて育っていく世界の物語が求められている」
GM「昭和だってそうさ。俺たちはロードスやソード・ワールドを最初から壮大だからって理由でハマったんじゃない。ファンタジーRPGという当時の時流を作って行きそうな新鮮さに飛びついたんだし、最初は小さなところからスタートし、次第に世界が紡ぎ上げられていく現在進行形、発展途上型の世界だから、のめり込めたんだ。その後、もっと知りたいって欲求から、D&Dとか洋物ファンタジー小説とか深みにハマったんだけど、いきなり壮大と言われても、入り口のガイドが不親切だったら入りたいとは思わない」
サイバ「そのこととジンさんの話に、何の関わりがあるんだ?」
GM「ええと、世界崩壊の危機から話がズレたな。具体的には世界崩壊→ゴジラSP→何でもありの巨大化→整合性の破綻→ユーザーニーズとは何か? などの教訓と言ったところか。では、ジンさんが言うところの『妖精郷崩壊の理由』について、まとめてみよう」
ミリィ「大きく分けて、魔女と魔神を倒せば解決……ってだけじゃないのね」
ジン『魔女のことは、ぼくにはよく分からない。魔神は世界の危機に直結するけど、もっと大きな問題がある。それは、妖精郷を維持する魔力(マナ)の枯渇問題なんだ。魔神自身は確かに脅威だけど、ぶっちゃけ怪物が暴れているってだけなら、世界そのものの崩壊にはつながらない。世界が崩壊するのは、世界を維持するマナ不足が原因なので、それを何とかしないと敵を倒しても世界の崩壊は防げないってことなんだね』
エマ「マナはどこに行けばゲットできるの?」
ジン『ラクシアの地上さ。具体的には、この妖精郷とラクシアの地上をつなぐ転移の魔法陣をしばらく開放したままにして欲しい。そこからマナを補充することで、世界は一先ずの安定状態を維持できるだろう。本当を言えば、妖精王の城を復活させて、マナ問題について、もっと抜本的な解決手段を練る必要があるのかもしれないけど、そこまでの知識は今のぼくにはないので、他の大妖精や賢い人の知恵を借りないといけないと思う。何にしても、今すぐ全てを解決するのは無理にせよ、マナの補充は優先して解決しないといけない問題なんだ』
サイバ「そういうことか。転移の魔法陣を開くことは、ぼくたちがラクシアに帰還するのみならず、妖精郷の崩壊を防ぐためのマナ補充という観点でも必要不可欠ということなんだな。やることは変わりなくても、やることの意味や重大性が高まった、と」
ミリィ「未来の女王としては、妖精郷の危機を後にして、ラクシアに帰ることはどうなのかな、って思っていたけど、魔法陣がマナ補充に必要となれば、全力全開で開放して、ラクシアのマナを妖精郷に注げるように尽くすのが正義ってことね。その仕事、確かに果たしてみせるわ」
エマ「どうも、わたしを覚醒させるために、妖精郷の大地の力もお借りしたみたいだから、借りたものはきちんと返すのが筋ってものね。わたしのファルシオンで閉ざされたマナの道を切り開いてみせる」
マークス「もちろん、私はエマお嬢さまのご意志のままに」
GM「世界を救うって大風呂敷を広げてみても、それがラスボスを倒して全て解決ってだけじゃ、ある種の幼稚な物語でしかない。それでも英雄(ヒロイック)ファンタジーなら、それを読みたい読者の需要にかなっている。だけど、単純な物語を描くなら、単純な世界観だけで十分なんだね。壮大な世界をわざわざ見せるなら、壮大な物語というのは一体何かってことを創り手が意識できていないといけないし、物語規模が世界の壮大さに噛み合っていなければ、もっと物語の身の丈に見合った程度の世界設定じゃなければ、ただのハッタリでしかない。
「世界ってのは、それを語る主人公なり視点人物の目でしか見えないんだから、主人公に感情移入して欲しければ、主人公が最初から世界の全てを知悉しているような描き方は失敗ということになる。読者はそんな上から目線の主人公の語る物語は求めていなくて、主人公や視点人物と共に、世界の新鮮さを見て驚いたり、普段の日常を味わったり、謎を追ったりしながら愛着を高めていくわけで、読者よりもたくさん知りすぎている主人公や視点人物には愛着を持てるわけじゃない。作者は、主人公は世界の解説役ではなく、読者とともに世界を経験する役割だということを念頭に置いた方がいいね」
サイバ「妖精郷の冒険が面白いのは、小世界の地図が徐々に開放され、探索範囲が少しずつ広がって行くところと、ぼくたち主人公である冒険者が最初は何も分からない手探り状態だったのが、一応は全てを知っているGMの導きガイドを受けながら、やがて用意された世界の全てを把握できる現在進行形の物語だから(シナリオそのものは10年前に用意されていても、物語として語られているのは今だ)」
ミリィ「壮大な世界を味わえるのって、いろいろ探索した結果、さらに広がって行くのかよって読者やプレイヤーが感じとれた時で、最初から壮大を売りにしても、作者が口で言っているだけで、読者の実感として伝わることじゃないものね」
GM「妖精郷のいいのは、最初から『これは一個人によって創造された箱庭みたいな小世界です』って言い切っていることなんだよね。これは一都市を舞台にしたミストキャッスル然り、大陸の南の小さな島を舞台にしたロードス然り、多くのラノベが学園を中心に描かれて背景に広がる世界は後付けで追加されること然り、要は物語が広がるから舞台となる世界も広げていくことで、物語規模に合わせた世界観を適切に示し、描ける手際の良さも作家の力量と言えるかな」
エマ「わたしには壮大な世界なんていらない。自分の力量に合った倒すべき敵がいて、今すべき目標や使命があって、見ている不思議やまだ見ぬ驚異にワクワクできて、そして、いつか果たすべき大願や夢、手を伸ばしたい強さの領域が感じられてこそ、冒険を積み上げて行こうって思えるものね」
GM「まあ、その現在進行形の物語が、過去の積み上げられてきた物語の延長としてつながっているという意味での長期シリーズ感覚、歴史の壮大さは好みだけど、何も積み上げたものがないのに、いきなり壮大そうに見せても、語るべきものが小ぢんまりとしていては白ける感じってことで、俺は最初に小さな世界があって、そこから少しずつ広がる感覚が好きだって話だ。ストーリーテラーはハッタリめいた凄いものよりも、ワクワクできる匙加減を心得て欲しい、とゴジラSPの最終回を見たりもしながら、思ったりもした」
世界を巡る空の旅(スカイトリップ)
GM「寄り道脱線の教訓話はこれぐらいにして、これよりジンさんが君たちを連れて、おもてなし亭へ帰ろうとするんだけど、その前に行きたいところはある?」
サイバ「ジンさんもルーラが使えるのか?」
GM「使えるよ。一応、クエストを果たすための寄り道なら、付き合ってくれる」
ミリィ「クエストねえ。ベルゼンさんをシーリィさんたちに再会させるために、【大空の小さな家】に連れて行くってのは?」
GM「それぐらい、お安い御用さ、チチンプイプイ……というぐらいの気安さで、君たちとベルゼンは【大空の小さな家】に来た。実際はあれこれ途中経過とか、感動の再会とかいろいろあるのだろうけど、君たちの物語にとっては枝葉なので省略。ベルゼンがシーリィたちに近況を簡単に語って、シーリィたちはベルゼンの使命の大きさを了承して、無事を祈って、いずれ一緒に暮らせる日を願って、クエスト達成。はい、次はどこ?」
サイバ「呆れるぐらいの余韻のなさだな。手抜きもいいところじゃないか」
GM「メリハリって言ってくれ。この言葉も、昔々、ウォーロック誌のGM講座記事で水野良さんから初めて教わったんだけど、強調すべきところと割愛すべきところをうまく調節することで、物語を面白くもつまらなくもするってことだね。大事なことは強調し、自分の個性に通じるところも強調し、よくあるお約束はさらっと流すとか、自己編集の能力とも言える。まあ、メリハリは日本風の削る文章テクニックで、海外小説だと細密な描写たっぷりな写実主義が評価されるらしいけど、ライトノベルは必要最低限のメリハリ創作なんだよね」
サイバ「美味しいところと必要最低限なところだけを読ませて、つまらない部分はカットするってか」
GM「本気で描写するなら、700年ぶりに再会したウサギ放浪研究者と、機械娘3姉妹の感動の対面なんて、どう描く?」
ミリィ「そりゃ、感動の再会なんだから、涙を流してハグってのが王道でしょう」
GM「いかにも、よくあるテンプレだな。そういうテンプレ描写をみっちり書き込んで、いかにも感動を演出するってのもありだけど、俺はそういうのを読みたくも、描きたくもない」
エマ「何でよ?」
GM「よくあるつまらない演出だからな。それに、当リプレイでは主人公パーティーに直接関わる話でさえないし、大体、そんなお約束演出で、700年ぶりの再会が表現できるか? それに研究者キャラも機械娘も性格的には感情表現の薄いクール属性だぜ。キャラの性格や背景を考慮せずに、作者のテンプレ描写イメージを表現しただけで、感動を伝えられると思っているんじゃ、それは作者が自分の描くキャラをつかんでいなくて、どこかで見た景色をコピペしただけで、騙せるのは読書経験の少ない未成熟な読み手だけだ。そして、未成熟な読み手は、読みたいシーン以外は読み飛ばしがちなんだよね、特にネット文章では」
エマ「作者が感動のシーンと思って力を注いで書いた文章が、読者にとってはつまらなくて読み飛ばされるってこと?」
GM「そりゃそうだ。読んで欲しい感動のシーンなら、そこに向けての溜めとか、流れをきちんと構築して、たっぷり伏線まで示して、感動の準備までお膳立てを整えてあげるのがサービス精神ってものだ。唐突な感動ってのはあり得ない。唐突な笑いはあっても、作者の脳内感動を伝えるのは本当に高度な技術だと思うよ」
ミリィ「じゃあ、NOVAちゃんなら、どうするのよ?」
GM「そもそも、ベルゼンは感動ポイントじゃないんだから、そこに描写の重点を置かない。それでも、あえて描くなら、ベルゼンは人前で感動を見せるキャラじゃなく、機械娘も700年待ち続けて、もう達観したところがあるんだよ。
「まあ、末娘のフィンは甘えたがりのキャラという設定だけど、姉の手前、控えめに自制するし、次女のゼラは勝ち気なので、今ごろ帰ってきたベルゼンにブチ切れて、攻撃的に振る舞うこともあり得るけど、やはり姉の手前、ぶっきらぼうに自制するし、姉のシーリィはクールに振る舞う長女だ。つまり、どのキャラも感動のハグとは程遠いリアクションだし、ベルゼン自身が罰の悪さを覚えて、素直に嬉しさを表明しない。結果的に、ぎこちない事務的な会話に終始しながら、徐々に距離を詰めていく流れになるだろうな。そこまでのキャラ描写に懇切丁寧に時間を割いても、作者の自己満足にしかならないさ」
サイバ「その割には、ずいぶん時間をかけて裏事情を説明しているじゃないか」
GM「シナリオデザイナー川人くんの描いたであろうNPCリストの記述に、俺自身は想像力を掻き立てられたからな。だけど、それを俺の安易な描写筆力で表現するには、リプレイという形では難しいってことさ。何しろ、彼ら彼女らの心情や行動描写は、プレイヤーキャラの見ている場所では示され得ないと考えるし、設定を並べても描写したことにはならないし、そもそも『ベルゼンと三姉妹の物語』は物語の根幹ならぬ枝葉でしかない。さすがに、当リプレイでもフェアリーガーデンの全ての物語要素を描写はできないさ」
ミリィ「大体、父娘の久々の再会の物語は、NOVAちゃん自身、花粉症ガールの物語で前に描いているものね。屋久島を舞台に」
GM「これとかか。俺じゃなくて娘が失踪して、試練の末に帰ってきて、感動の再会ごっこをするのって、花粉症ガール伝の割と定番だからな。今さら父娘再会の描写をここで繰り返しても、読者も飽き飽きしてるだろうさ」
ミリィ「はい、それではベルゼンさんたちは、あたしたちの見えないところで、700年ぶりの感動がじわじわ内心でこみ上げてきて、後から反芻して喜びを三姉妹で味わっていくってことで。あたしたちはいいことをしたので、★をいっぱいゲットした。みんな幸せハッピーでめでたしめでたし。感動したい読者はご自由にってことね」
GM「そこまで、割りきりすぎるのもどうかと思うが、とりあえずは★3つだ。あとは光の剣マクリール・ルー絡みの話があるな」
ミリィ「ああ、それなら、もう一つのクエスト目的地に行きます。【光の樹】から奪われたお宝を取り返すために【闇の樹】へルーラでGO」
GM「【闇の樹】へ到着した。君たちが〈光の樹の実〉を返せと詰め寄ると、闇の妖精シェイドは『犯人は俺たちじゃねえ。きっと【虹の根元】から来た魔神の仕業だ』と訴える。妖精使いのミリィは、シェイドたちの言葉が嘘ではないということが普通に感じ取られた」
ミリィ「つまり、マクリール・ルーの手掛かりも魔神が握っているってことね。よし決めた。あたしたちはこれから魔神ハンターになって、光の魔剣を取り戻しに行くわよ」
GM「光の魔剣を取り戻すのはいいけど、魔神ハンターを名乗るのはやめてくれ。別のリプレイとごっちゃになるから」
サイバ「同じ作者のシナリオだからな。同時並行で進めると、光の剣とか、魔神とか、ゴブリン王とか、タイミング的にいろいろネタ被りしてしまうのも仕方ないか」
GM「いずれにせよ、今すぐ【虹の根元】へ行くのは、ジンさんも反対する。レベル的に今は対処困難だろうし、先に転移の魔法陣を開放して、妖精郷のマナ問題を解決して欲しい、と訴えてくる」
ミリィ「パトロンの要望とあっては仕方ないわね。報酬もいただいたのだから、今すべき仕事を優先するわ」
エマ「その前に、キャラ成長して、ファルシオンを火炎ファルシオン+1に強化して、それから魔法の研鑽なんかもしておきたいところね」
GM「ああ。おもてなし亭に帰還して、エマ覚醒ミッションもこれにて終了。第4部も何とか完結だ。そして、妖精郷の物語も最終部EXODUSに突入し、お盆休みごろには第1シーズン終了というつもりでいる」
こうして、未来の妖精女王カシュミーラ・ミルモワールと仲間たちは、魂の双子とも言うべき炎の聖戦士エマ・ショーカ・ローズワースを目覚めさせ、風の大妖精ジンとも知己を得ることとなった。
魔女の陰謀。
魔神の暗躍。
魔力の枯渇。
妖精郷を脅かす3つの魔に対処すべく、まずは世界崩壊の阻止に直結する魔力(マナ)の確保のため、ラクシア地上に通じる転移の魔法陣開放を優先しようと決めた。
そして、妖精郷の物語は第4部「炎の聖戦士、目覚める」(仮題)を終えて、次のステージに突入する。
妖精郷からラクシア地上への道を開く脱出行、第1シーズン最終部EXODUSに乞うご期待。
●フェアリーガーデン第4部12話(完結編)の状況
日数経過:33日め夜(おもてなし亭)
経験点:インプからブラウニーを助けた★2個
聖戦士エマが覚醒した★3個
風の大妖精ジンと対話した★3個
ベルゼンを三姉妹と再会させた★3個
エマ覚醒ミッションを終了した★3個
★合計17個
魔物退治分240点
収支:戦利品6930ガメル分+1人7000ガメル
妖精郷同化度3(カシュミーラのみ4)
ブラウニー発見数:6体
遂行中のミッション
・エマ覚醒ミッション終了→転移の魔法陣解放ミッションへ
受注したクエスト
・マルキのペンダントを故郷のロッテに渡す。
・ベルゼンをシーリィと再会させる(手紙配達と兼ねて)→達成
・凍結海のフラウにスイーツ5個買ってくる。
・光の樹のお宝を取り戻す(犯人は【虹の根元】の魔神)
その他の冒険目的&情報
「火柱の塔の魔力炉で〈妖精郷の鐘〉を鋳造できる」
「火柱の塔のエインセルにラナスイーツを渡せば、
〈炎精鉱〉をもらえる」
「火柱の塔に〈炎精鉱〉を持ってくれば、火の封印が解除できる」
「水晶塔の情報6ヶ所」(光は封印解除済み)
「大神殿の信者を解放できるよう成長」
(エマのプリースト10レベル以上でイベント発生)
「アラマユの遺産、光の魔剣マクリール・ルーの手がかりは【光の樹】のスプライトに」
「凍て付く山でスカディに会う」
「凍結海でミーミルに会う」
「スレイプニールがいれば、妖精郷内を瞬間移動できる」
「ヒックリカエルはダジャレで世界をひっくり返し、闇に包む」
「雪山にドラゴンゾンビがいる」
「鳥籠の木には偽女王が捕まっている」
(レベル11以上でイベント発生)
「虹の根元には、魔神召喚の門が築かれている」
「魔女の名前はネアン。邪妖の女神を目指している」
「崩壊しかけている妖精郷を救う」
冒険達成度:風の大妖精ジンと会う+2%
合計39%
(当記事 完)