にわかに始めたツイッターに慣れるという名目で、いろいろ書き散らしながら、連続9ツイート。さすがにやり過ぎたと思いながらも、勢いは付いたので、そういうモードで感想書きです。
それはそうと(いきなり寄り道)、今朝の神戸新聞で、堀内正美氏が、今回の震災について書かれている記事を読んだ。
ええと、この堀内氏、ネクサスの松永管理官役の人だってのは、先日書いたとおりですが、その後、劇場版の「メビウス&ウルトラ兄弟」で神戸市長・松永という役で出演。
実はこの人、阪神大震災の被災者でもあり、その後、NPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯り」理事も務めて、震災に対する市民活動をしていたことを、今朝(12時回っているので、厳密には昨日の朝)初めて知りました。
う〜ん、阪神被災者の風上にもおけん、自分(苦笑)。
それはそうと(話を戻す)、せっかく堀内正美氏について調べたので、確認して回ると、氏のブログに行きつく。そこでの発言。
水戸黄門のプロデューサーからの連絡、「来週は最終回の枠(二時間)ですから、堀内さんに出演していただいた、『前橋篇』は、次のシリーズ(七月頃から)のはじめに放送する予定です」
ということでした
なるほど。すると、当ブログは、43部まで追跡しないといけないようですね。
夏の追跡は結構、キツイのですけど、水戸黄門なら、カノンの追跡ほど鬱にはならないだろうと思いますので、がんばってみます。
では、長い前置きはこれくらいにして、最終回感想、行ってみましょ。
総括すると
舞台は江戸。
自分の希望は、当然、憂さを吹っ飛ばすほど派手な最終回なんですけど、そういうのではなかったです。
本来の最終回であった高松編と同じような印象。
つまんなかった。
正直、大したアクションもなく、ストーリーとしても地味な形に終始した。
ええと、高松藩で行われているお家騒動を、黄門さまがどうやって止めようか、という話。
で、下手に騒ぐと、藩がお取り潰しに合いかねない、という状況のため、黄門さまも内密に、内密に、と動かざるを得ない。(中略)
ひたすら事を荒立てない方向に、こそこそ動いて、悪の老中(近藤正臣)の親戚の藩家老を叱るだけで済ませる、と。(中略)
極力、温情裁きで事を収めてしまったため、地味〜な政治ドラマなオチの付け方。
ここで、お取り潰しに合いそうな藩は、但馬出石藩。現在の兵庫県豊岡市の辺り。コウノトリと、城崎温泉、出石そばなんかで有名。同じ兵庫県民としてはヨイショしますよ。
そんな我が兵庫の藩をつぶそうと企んでいるのは、悪の老中・大久保加賀守すなわち近藤正臣さんです。
藩をつぶす理由は、「家康公からいただいた茶碗を不注意で割ってしまったから」……というのは名目で、実は「領内でとれる銀の鉱山を幕府の直轄にしたいがため」と。
それは許せん、と、元藩士、現在は脱藩して笛作り職人になった男と、その妹が、老中暗殺を企てる話。
これが必殺シリーズなら、悪の老中をどうやって始末するか、でも老中みたいな大物を仕置きしてしまえば、公儀の追及が厳しくなるので、チーム解散の最終回となるのでしょうけど。
また、暴れん坊将軍なら、たとえ老中だろうと、「余の顔を見忘れたか(中略)成敗」で斬られておしまいになるのでしょうけど*1。
水戸黄門ですから、基本的に「人を殺さない方に話が進む」んですね。
ご老公たちは、とにかく暗殺を防ぐ方向、すなわち、これまで敵対関係にあった悪の老中を守ろうとする方向に動く。
そんなわけで、敵味方の関係がしっくり来ないドラマになってしまいました。
「殺っちまえばいいんだよ」ってな、単純な正義には向かわなかったということで。
ラストは大人的解決
権力を持たない者は、下剋上で、自分の正義を形にしようとする。
それに対して、その気持ちを汲んだご老公は、権力を持つ者としての視点で、タカ派の政治家・近藤正臣氏をやんわりと諭す形をとるわけで。
まず、名目の「茶碗」に対して、「人の命は茶碗よりも重い」という信念から*2、「茶碗の値打ちは、物それ自体ではなく、物にかぶせられたレッテルにある、しょせんはつまらないもの」と、偽の茶碗を示しながら言うわけですな。
そして、問題の銀山の採掘権について。
あくまで、幕府の利益を最優先に考える老中に対して、「どうですかな。出石藩と共同開発という形をとって、資金援助だけして、利益は折半という形にすれば、藩をつぶして自分で採掘するよりも楽に利が得られるとは思いませんか」
さすがは、越後のちりめん問屋の隠居。そちも悪よのう、と言いたくなるほどの腹黒さ、いや、現実的解決を示す知恵というやつです。
大人の世界の理想的解決は、WIN−WINの関係を作ること。交渉術の基本ということですな。
これによって、悪の老中もご老公に頭を下げるわけです。
ただ、こうなると善玉老中の土屋相模守(小野寺昭)の存在意義が、本話においては激減してしまったのですが。ご老公に任せるだけで、実質、何もしていないということになったわけで。
一応のアクションその1(印籠編)
悪玉老中の命を狙う出石藩士たち。
老中の乗ったと思しき駕籠(かご)を襲撃するわけですが、それに対して迎え撃つは、助さん、格さん。
駕籠から出てきたのは、ご老公。
「この紋所が目に入らぬか」と、本来、善玉になるはずだった藩士たちに印籠が向けられます。
まあ、水戸黄門の時代は、幕末ではありませんから、下級武士が老中を殺したりしたら、徳川のご威光も守れません。ご威光を守りつつ、下々の人たちの幸せを実現するのが、ご老公の流儀ということで。
「そなたたちの気持ち、この光圀が、老中に伝えて、藩のお取り潰しはなしになったぞ。そなたたちの想いが、藩を救ったのじゃ」と丸く収めます。
粋な計らいと言えば、そうなるんだけど、派手で豪快な結末を期待する、大人になりきれないチャンバラ好きとしては、拍子抜けに思える結末。
一応のアクションその2(悪を斬る編)
ご老公の下に、老中・近藤正臣をお連れするに当たって。
近藤さんは、「佐々木とやら、近ごろ、いろいろと憂さを感じることが多くてな。気晴らしに一手、付き合ってくれぬか?」と剣術試合を所望されました。
というわけで、本記事のタイトルにある「助さんVS老中」の戦いが一つの見せ場となります。
さて、近藤正臣、自分としては「高野長英こと蘭兵衛さん」とか「カルタの綾太郎」を想起させる凄腕剣士。年老いたとはいえ、若い時の剣術の冴えを見せて、助さんと真っ向勝負。
……でも、わざと負けた形をとって、助さんに花を持たせます。まあ、一応、これで「悪を斬る」という形だけは見せたことになりますね。
そう、大人社会は、実よりも体面が大事なときもあるんだ、とか。
そして、剣術に付き合ってくれた礼として、ご老公の「お茶の誘い」を受けたということで、先述の腹黒会議となったわけですな。
一応のアクションその3(くノ一編)
今回の話の見せ場の一つに、由美かおるのお娟のゲスト出演があります。
後任の楓とは、第1話のスペシャルの時は、大した言葉もかわさなかったのですが、
後任の雛形あきこ演じる楓ですけど、お娟とは縁もゆかりもない設定。一応、にわか雨で雨宿りする共演シーンがあったのですけど、言葉の一つもかわすことなく、赤の他人といった関係。
今回でようやく、きちんと言葉をかわして、「ご隠居さまのことを頼みます」と正式に後継のあいさつが行なわれた形になります。
それでも、出て来ただけあって、お娟さんにも一応のアクションシーンが用意されています。老中暗殺を狙う笛作りの妹が、踊り芸子に扮して「新からくり人」みたいに立ち回る……のを止める役どころ。
必殺ファンとしては、こういう暗殺劇を止められると、「何でだよ」と反射的に文句を言いたくなってしまうのですが、「誰も死なないのが一番だね」と今は素直に言うべきときでしょう。
暗殺未遂に終わった娘を逃がすために、アクションを魅せるお娟と楓。
でも、後からお娟は、ご老公にやんわりとたしなめられます。
「祝言を挙げて引退したはずなのに、こんなところで危険を冒しては、旦那さまに申し訳が立たないでしょ(趣旨)」ということで、まあ、せっかく活躍しても、怒られてしまっては、応援しているファンとしては、残念な気持ちです。
まあ、一時期の感情で動いてしまった気持ちは嬉しいけど、もう少し後先を考えて、ということでしょうな。でも、そういうの嫌いじゃない。
最後に
結論として、見るべきところがない話ではありませんし、単純なチャンバラ活劇よりは、政治っぽい匂いとか、善悪相対化的な大人風ドラマの水戸黄門でした。
うん、そういう作り方をしているってのは分かるんですよ。それはそれで、面白くないわけじゃない。
でも、自分の好みとは違うなあ、というのが結論。
ちなみに、今夜、ツイッターで知ったんですが、「一時期の感情で動いてしまった気持ちは嬉しいけど、もう少し後先を考えて」という忍びの人は、フィクションの中だけじゃなくて、現実にもいた、ということですね。
詳しい話は、また書くことになるかもしれませんが、特撮ヒーローエール関係で、ちょっと問題が持ち上がった気配。「関係各位のご威光を守りつつ、下々の人たちの幸せを実現する」ような、ご老公的采配を願いつつ。