Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

水戸黄門第43部5話&6話

 で、おまけ的に水戸黄門だ(おまけかよ)。
 ええと、おまけと言いつつ、5話、6話はどちらも自分的に満足しています。シリーズ打ち切りが決まって、質が向上したのか? 最後の大花火? と期待しながら、アクション要素が増強しているのをストレートに感じます。


 そう、水戸黄門だったら、痛快アクションもウリの一つ。
 いい人描いて、悪い人描いて、ご老公がいい人と人情交流しながら、悪い奴を助格が暴れてバッタバッタとなぎ倒し(忍者の支援も見せつつ)、ちょうどいい頃合いで印籠見せて、ハハアとやれば、視聴者は満足する。マンネリでもいいの。長年続いたマンネリは伝統芸能なんだから、そこがブレちゃいかん。
 伝統芸能は、文化遺産として、国も予算を割いて支援してやらないと……などと主張しますが、逆に言えば、「アクション削って、ドラマに力を入れる」なんてのは、痛快時代劇の要所を削っていることになる。
 やっぱ、悪人は悪人らしく描いて、適度な罰を与える。こういう勧善懲悪は、社会教育の面でも必要よ。何が善で、何が悪か分からないのが現在の風潮なら、そこをきちんと物語で提唱するのがフィクションの醍醐味じゃないかなあ、と大上段に構えつつ。
 2話分の感想に移ります。

5話

 これは、今のところ43部で一番おもしろかった回。
 内容は、女スリの餌食にあった助さん、格さん。スリを探しているうちに、そのスリの事情(悪の組織にさらわれた子供の行方を追って、組織の手がかりの品物を捜索)を知った挙句、ご老公がスリの元締めに扮して、悪の組織に接触を図る。その末に、子供達をかどわかしていた組織のボス(実は役人の裏の顔)に対して、鉄槌を下す内容。


 まず、最初に悪い女と思われていたスリの本音が、楓との交流から分かる流れ。ドラマ的には楓が主人公になるわけですね。だから、彼女に注目するスケベな時代劇ファンには満足できる回かな、と。
 で、自分、この記事で、散々「楓には色気が足らん」「もっと先代を見習え」的なセクハラ発言をしてきた立場ですが、ここでハッと気付きます。楓の色気は、見せそうで見せない、時々微妙にそれっぽい見せ方をする程度のチラリズムではないか、と。
 はい、そう認識すると、「色気が足りん」というのも、露骨過ぎて妙にエスカレートしすぎて……というリメイク『ドロロンえん魔くん め〜らめら』よりは自分好みじゃないか、と*1
 で、この回の楓は、その辺のバランスが適度でいいんじゃないかな、と思った次第。ちなみに、成長して普通に忍びの仕事をできるようになった楓が、久々に初期の「ドジっ娘くノ一」らしさを示したりも。ええと、女スリの酒盛りに付き合って、情報聞き込んだのはいいけど、自分も酔いつぶれるという失態。この辺、ちょっと初々しいな、と。


 で、NOVAが一番ひいきの弥七親分。
 子供かどわかし組織の噂を仕入れつつ、女スリの亡き師匠にも面識があって……と実にドラマ展開の主軸になってくれます。弥七がいないと、物語がうまく回らないという美味しい役どころ。
 一方、格さんは相変わらずドジで、序盤で「印籠スラれる」という失態。的場格さんが印籠を紛失するのは、これで2度目。まあ、今回は、楓が偶然、川に流れた印籠を見つけて、無事に収まるんですけど。
 そのドジな格さんに対して、まあ、助さんは自分も財布をスラれたのは同じなのに、それほどの失態には見なされないのは、やはり路銀と印籠では後者の方が価値がある、ということですな。でも、それほど大切な印籠を、どうしてドジでそそっかしいキャラと評判の本作・格さんに預けておくかなあ、と思いつつ、まあドラマを面白くするために多少の不自然には目をつぶろうと。
 さすがに、誰も失敗しない、誰も完璧に振る舞いを示し……ってんじゃ、ドラマにはならない。失敗するキャラがいてこそ、それをフォローする役が格好良く映る、というわけで。


 そして、スリの親分に扮して、子供をかどわかす悪ボスに接触するご老公。
 この辺の「悪に扮する演技」がノリノリで、見ていて面白いです。まあ、この役は基本・善人キャラの里見さんより、初代の東野さんとかがやれば、もっと引き立つだろうに、というファンもいるかもしれませんが、まあ、里見さんの演技も悪くはなかったですよ。少なくとも、石坂さんが悪人を演じるよりは、まだ貫禄があるのでは、と。
 で、それまで巧みに悪党を演じていた老公が、じっさいに拉致されて檻に閉じ込められた子供達を見て、涙と激怒。あまり、そういう感情を出さないのがご老公なので、今回の演技は、「おお」と膝を打ったり。


 そういう流れで、最後は大立ち回り。
 今回の敵は、「子供を拉致する悪の組織」で、戦場も普段の武家屋敷ではなく、「洞窟のある山岳地帯」。つまり、時代劇よりも、むしろ特撮ヒーローアクションの要素なんですな。
 その分、派手で時間もたっぷりのメインアクション。うん、これなら及第点……どころか、大当たりという回でした。

6話

 で、前の回が良かったので、次の回は反動でがっかりするだろうと思いながら、見た回。
 でも、そんなことはなく、十分及第点でした。
 ポイントは、ゲストヒロインがアクティブに動くことかな。自分が失敗作と考える4話の幽霊話は、幽霊ヒロインがほとんど行動せずに、絡みが少ない点。
 その点、この回は、父親に反抗するじゃじゃ馬娘が、格さんの説教をうっとうしがりながら、その堅物純情ぶりにほろっと惹かれ、また父親の隠れた真意を(ご老公の粋な計らいで)知って和解、というメインドラマ。
 一方、敵役は、その父親の利権を奪うため、善人そうな番頭や係り付けの医者と結託し、毒を盛ろうと企む役人。さらに、ごろつき(だけど美形)を娘の結婚相手として送り込むなど、いろいろ手の込んだ策を展開。


 で、この回の主役は格さん。
 最近の格さんは、そのドジっぷりを八兵衛にからかわれ、「黙れ」と頭をはたく役どころ。で、ついつい怒りの余り、拳を振るってしまい、序盤で「何の罪もない(と思われた)」番頭さんまで、じゃじゃ馬娘絡みのケンカ騒動のどさくさ紛れに殴って怪我させてしまったことで、ご老公のお叱りを受けます。
 「今度、拳で人を殴ったら、旅の一行から外して、水戸に帰ってもらいます」ということで、拳に赤い糸と鈴を付けて封印することを誓う格さん。いや、鈴は八兵衛が付けたんですけどね。「いくら(ドジな)格さんでも、鈴が鳴れば封印に気がつくでしょう」と。
 この「拳を封じた格さん」というのが、今回のドラマの大仕掛け。
 途中、ケンカっぱやいじゃじゃ馬娘の護衛に当たるのですが、彼女の巻き込まれた(というか自分から仕掛けた)ケンカ騒動から守るために、拳を使わずに「身をかわす」「攻撃を受け止めいなす」だけで、何とか対処する格さん。つまり、防戦一方で強さを示すわけですな。
 でも、娘と結婚しようと狙うごろつきに対して、抵抗できず、一方的に殴られるだけの格さん、しかも散々、殴られても「大したことないな。もっと本気で殴ってこないか」と虚勢を張る格さんに対して、娘がほろっとなる展開は納得できます。
 さらに、悪党に狙われる状況で娘といっしょに隠れている最中に、うっかり鈴を鳴らしてしまい……という展開で、鈴というギミックがドラマで効果的に使われたりも。「こうなったら、ご老公の命に背いて、鈴の封印を解いて応戦しようか」と迷う格さん。そこに助さんが駆けつけて、事なきを得る。


 そんな展開の挙句、最後の大立ち回り。
 でも、まだ「拳の封印」を気にして、うまく戦えずにいる格さん。さすがに、ご老公が見かねて、「バカ正直にもほどがあります。もう、封印は解いていいですよ。思う存分暴れてやりなさい」と指示。
 ここで、格さんがようやく本領を発揮して、大暴れ。自分をさんざん殴り付けたごろつきに対しても、逆転の反撃。これは素直に燃えますね。全力を出せない状況でいたぶられた相手に対し、全力を出して圧倒するという逆転のバトル。
 あ、『リンかけ2』にもあったな。右手を使わず、左手だけで戦え、という展開。何かの事情で、得意技が使えずにピンチに陥っているのを、うまくいなしながら、最後に封印解除で本気を出すという物語ギミックですね。本当は強いのに、強さを発揮できないというのは、変身物もそうか。変身前はやられまくって(人が見ているから変身できないとか条件も付けられたり)、変身すると反動で強くなる。
 水戸黄門の場合は、変身しちゃう(印籠見せて正体明かす)と基本的にバトルが終わってしまうので、変身前に戦うという展開になるんですけど、今回は「拳の封印」というギミックで変身物の醍醐味まで味わえた、と。


 しかも、この「赤い糸と鈴」が最後のドラマにも機能。
 封印解除で、赤い糸と鈴がヒロインの娘の足元に転がるんですね。それを拾い上げて、何かを想うヒロイン。
 ラストで、格さんの旅立ちを見送る彼女の腰には、その赤い糸が飾り物として付けられ……ほのかな恋心を想わせる描写。でも、格さんは朴念仁で娘の気持ちに気付かず、しかも八兵衛に「格さん、惚れられたんじゃありませんか?」とからかわれて、「そんなことあるか」とバシッと。
 ドラマとアクションがギミック的にもうまく融合していた、当たりの回、ということで。


 こういうレベルで、ずっと続いて、惜しまれながら終わるというのもいいなあ。

*1:いや、『め〜らめら』は過剰に勢いが暴走したパロディ満載、シリアスとは無縁のギャグテイストが売りなんだけどね