42年の歴史に幕を閉じました。
最終回スペシャルは、非常に面白かったので、有終の美を飾れた、と思っています。
でも、今後、スペシャルドラマで『水戸黄門2012』とか、『水戸黄門・激突』とかやったりしないよね。
20話
先に、12月放送分の2話の感想をやっておきます。
この話は、1時間物としては、アクションあり、ドラマあり、で傑作回でした。
日光東照宮の修繕費用の御用金が運搬中に、盗賊団に狙われる危険あり、ということで、ご老公が策を練るわけですが、盗賊団以外に御用金を狙う一団がいて……という、どんでん返しがドラマのツボ。
さらに、その別の一団に所属する娘と、助さんが恋に落ちるわけで。
話の流れとしては、盗賊団に襲われて負傷した浪人の娘の美女剣士が助さんに絡むのですけど、それを見て、格さんが「あの娘に鼻の下を伸ばしおって。あれが盗賊の一味だったらどうするんだ?」と不機嫌に。
助さんは「そんなはずはない」と断言するのですが、結局、娘に裏切られる形になるわけですね。「盗賊ではないけど、盗賊以外に御用金を狙う者がいた*1」というドラマ展開で、話が一気に盛り上がります。
こういう三つ巴対立って、水戸黄門では珍しいですし、おまけにご老公側がきれいに騙されて、失態を見せるというのも珍しい。
さらには、盗賊団とのチャンバラ、という派手展開もあって、最終回1話前の大いなる盛り上がりを堪能できました。
最後は、御用金を奪った浪人一同を、盗賊団が襲撃し、娘を連れ去る。
騙されながらも、娘の温情で何とか九死に一生を得た助さんは、娘の救出のために単身、盗賊団のところに乗り込む。
助さんと険悪な仲になっていた格さんも、御用金を取り戻す目的に加えて、助さんを支援するために駆けつけ、大立ち回り、と。
凝ったドラマも、それがアクションを盛り上げるために機能しており、自分にとっては大当たり、と言えた回。
助さんを純情ぶった色仕掛けでだます悪女ってのも、好きな要素ですし、ね。
この週は、フォーゼでも園田センセ絡みで盛り上がり、自分のツボが大いに突かれまくりました。
21話
そして、レギュラー放送の最終回。
この回は、老中・柳沢吉保の陰謀で、ご老公に対して暗殺者が差し向けられます。この暗殺者を、伊武雅刀が演じるのですが、助さん、格さん、弥七の三人と対峙して、一歩も退かない強敵ぶり。
これが「必殺」だったら、強敵をいかにして倒すか、というドラマが相当な緊迫感で盛り上がるのですが、「水戸黄門」だと基本的に殺して終わり、というのは稀ですし、最後もNOVA的にはつまらない終わり方でした。
ええと、覚悟を決めたご老公が、暗殺者の前で「人間五十年」の舞を踊る。
その悠然たる姿に心打たれた暗殺者が、相手の「器の大きさ」に打たれて、刀を捨て、老公の元で農耕生活に生き甲斐を見い出す。
一方で、自分に刺客を差し向けた柳沢に対しても、ご老公は直接出向き、柳沢の陰謀を指摘した後、「上様の信頼を独占したい気持ちは分かるが、老い先短いこの身じゃ。そなたが手を加えずとも、いずれは亡くなるというもの。だが、その前にわしにもしたいことがある。それまで待ってはくれぬか」と説得。
結局は、武力に頼らぬ「言葉の力」で、柳沢の罪を不問に処す、という形で決着。
これで終わっていたら、何だかなあ、となっていたわけですが、NOVAを納得させる大作が、最後の最後で花開いた、と。
オール格さん大集合
いや、厳密にはオールではないですが、
格さん1号:横内正
格さん2号:大和田伸也
格さんV3:伊吹吾郎
以上の「昭和格さん」全員集合となっております。
なお、平成格さんは、「山田純大」「合田雅吏」そして現在の「的場浩司」となるわけですが、最も長いのは3代目の伊吹さん、必殺者としても、この人に一番愛着がありますし、シンケンジャーのじい(彦馬さん)としても記憶に新しい。
その次に特撮者としての愛着あるのが、元オーブルーにして、初代シンケンレッドも演じた合田さんですが、
NOVAより年上の方々には、横内さんや大和田さんに愛着がある人も多いでしょう。
ともあれ、今回の話は、大きく前半と後半に分かれて、どちらもクライマックスがあるわけですが、
前半は、格さん祭りとなっております。
まず、物語設定は、前回から時を経て、現役格さんは結婚し、すでに子持ちの身。一方の助さんは、『大日本史』編纂のために諸国を旅している状況。
そして、いつまでも腰の落ち着かない助さんを、無理矢理、祝言を挙げさせるために、格さんがあれこれ取り仕切っている場面からスタート。
結果、旅から帰った助さんは新妻を娶ることになるのですが、その名は志乃。ええと、昔、里見浩太朗氏が助さん(2代目)を演じていた頃の妻の名前ですが、当時は山口いづみ氏が演じておりました。今回、山口いづみ氏は助さんの母親・静枝として登場。かつて自分が演じた志乃の姑役として、助さんの帰りを共に待つ役どころ。
こんな感じで、いろいろと懐かし俳優・女優が顔見せ、あるいは本編に大きく絡む今作ですが、中でも出番が多いのが初代格さん、横内正氏。彼の役は、現役格さんの妻の父、つまり格さんの義理の父にして、ご老公の親友。つまり、里見浩太朗&横内正氏の黄金助・格コンビがここに復活、となるわけですね。
そして、物語前半は、この往年の助・格コンビの二人だけで、旅をする展開になるわけです。で、横内さんは病持ちという設定のために、助さん、いや、ご老公は薬の入った印籠を預けるシーンもあって、かつての格さんが印籠も受け取るシーンにまず拍手。
そして、2代目格さんの大和田さんは、上様からの伝令侍役として、行方不明のご老公の行方を探し、
3代目格さんの伊吹さんは、ご老公に助けを求めてきた村の庄屋の役。ええと、伊吹さんは元侍という設定だったのが、百姓になったので、それなりに武芸を使いこなす役どころ。「おでん屋じゃないの?」と思いましたが、自分の脳内では勝手に「侍→おでん屋→回りまわって庄屋」と改編されています。
ともあれ、年寄り2人が「昔取った杵柄」で、困窮した村のために行動する一方で、現役助さん・格さんは2人の後を追って、探し回るという展開に。
最終的に、上手く合流して、悪代官の屋敷には、ご老公と助さん、格さん、そして元格さんが3人も集結することに(^0^)。
放送前は、この格さんズ、ただの顔見せ出演程度にしか思ってなかったんですが、きちんとクライマックスにも参加して、アクションまで見せてくれるんですね。自分としては、伊吹さんの格さんV3、いや庄屋さんが、いつ腰骨外しを披露してくれるか期待したんですが、まあ本当にそんなシーンを見せられると、水戸黄門ではなくなってしまうので、その辺は脳内妄想と、ここだけの話に留めておきます。
で、印籠シーン。
印籠を持っているのは、格さんじゃなくて、義理の父親の格さん1号。ああ、ややこしい……って、わざとややこしく書いているのは自分ですが、「ええい、控えい、控えい」と印籠を取り出したものの、久しぶりなので手が滑ってしまい、ヒューンと印籠は飛んで行ってしまいます。
それを受け取ったのは、格さん2号こと大和田さん。うわ、何とも畏れ多い、と扱いあぐねて、さらに飛んでいくと、
格さんV3こと伊吹さんの手の元に。
つまり、印籠がどんどん巡りめぐって、歴代格さんの手に渡っていく様子に大拍手。内心、大爆笑。
その様や、「いいわね、行くわよ、キ」「任せんしゃい、ミド」「OK、アオ」「よし、アカ、クラウディング・トライだ」「おお、エンドボール!」の如し*2。
必殺の「格さん印籠ハリケーン」(NOVA命名)を仕掛けて、的場格さんが最後にしっかり決めてくれます。
何というか、今回の演出は、「オールライダー」とか「オール戦隊」と同種の盛り上げ様で、単なる顔見せを超えた一大イベントと化していたことに、いい物を見せてもらった、と思いました。
え? 格さんだけ、そんなに優遇してもらって、助さんの方は? ってことですが、
ご老公を除けば、残念ながら登場したのは、「3代目のあおい輝彦さん」だけ。道中、助さんに襲い掛かる浪人者を、「拙者が代わりに相手しよう」と迎え撃つ謎の侍役。一応、新旧助さんの共演シーンですが、格さんほどのインパクトはなし。
念のため、歴代助さんの系譜は、「初代・杉良太郎」「2代・里見さん」「3代・あおいさん」「4代・岸本祐二」「5代・原田龍二」そして現役の「東幹久」となるわけですが、必殺ファンとしてはあおいさん、特撮ファンとしては岸本さんをプッシュするべきですね。いや、まあ、里見さんも特撮者としては、『仮面の忍者・赤影』に出演しているのをチェックすべきだと思いますが。
忍者部隊・参戦
そして、後半に入ります。
前半の悪代官退治の後、大和田さんの持ってきた情報から、「龍刃党」という悪の組織が、徳川幕府の転覆をもくろんでいるので、ご老公に隠密裏に解決して欲しいとの要望が届けられます。
この龍刃党の名前は、伊吹さんも聞き覚えがあり、元は上州に巣食う浪人たちの結社で、豊臣家の遺臣の子孫が中心となり、徳川家の政策に反抗的な浪人を糾合し、再び戦乱の世をもたらそうと動いているそうです。
後半は、将軍暗殺を企てる龍刃党の首領の陰謀を探り、阻止するため、ご老公が再び越後のちりめん問屋として、上州に旅立つところからスタート。
で、この上州の藩には、昔、助さんに惚れたお姫さまがいたり、格さんが道中、人さらいから助けた少年の故郷だったり、また少年の行方不明の父親が、龍刃党のスナイパーとして雇われていたり、といったドラマが盛りだくさん。
ドラマだけでも十分面白い上に、後半は龍刃党と対決するために、それまで影で動いていた忍びたちがご老公の元にはせ参じます。
弥七と楓に加え、お娟と飛猿が参戦。
お娟(由美かおる)は商家に嫁いでいたんですが、旦那と死に別れ、息子が切り盛りする店の蔵を「龍刃党」に荒らされたことをきっかけに、行動開始。
飛猿は、「龍刃党」の強大さに対して、弥七が呼んできた助っ人として登場。初対面の楓と最初に争いかけたところを、弥七の取り成しで和解、共闘という流れは、なかなか上手い話作りです。
まるで、「ストロンガーVSライダーマン」を双方の顔見知りであるV3が取り成したような展開。
そして、この龍刃党がどれだけ手強いかと言えば、
まず、首領の青龍が、西岡徳馬氏。ええと、特撮者としては、ウルトラマンメビウスで「ウルトラの父」の声だった人。
他のメンバーだと、倉田てつを氏。言わずと知れた「仮面ライダーBLACK」。
原口剛氏。「大鉄人17」の剣持隊長。
市瀬秀和氏。「ウルトラマンコスモス」の吹雪隊員。ちなみに、水戸黄門第41部でも、レギュラー悪役出演。妖術剣士の東条隼斗役でしたが、今回は弥七と対決する役。
特撮ファンを大いに楽しませてくれる集団でしたな、龍刃党。ええと、英語表記にすると「ドラゴン・ブレード」、何だか格好いい。
まあ、途中の細かい展開は省いて、由美かおるが例の忍者装束でアクションを繰り広げたり、飛猿が持ち前の怪力ぶりで牢屋の扉をバキバキと引きはがしたり、ラストに由美かおるが入浴したり……ええと、80年半ばの水戸黄門でNOVAが堪能した要素がきちんと描かれておりました。
そんなわけで、今回の作品、近年のソフトでマイルドなシリーズではなく、前半は70年代風味(初代格さんメイン)、後半は80年代風味(アクション満載)をたっぷりまぶせた非常にノスタルジー重視の作風。
もう、最後の最後だからというので、往年のファンの見たいものをたっぷり見せてもらった、と感じます。
ラストは「龍刃党」を壊滅させ、不幸な事情で参加することになった多くの浪人たちに対しては温情で接し、「みのもんた演じる美濃門太夫(何てストレートな名前^^;)」などの改心を勝ち得、ハッピーエンドの大団円(首領は自害したけど)。
で、平和になったんですけど、ご老公の旅の虫は収まらず、またもこっそり水戸の屋敷を抜け出し……たところを、助さん格さんに見つかり、再び旅の空に。
ご老公一行の旅は終わらない、という形のエンディング。
歩いていくんだ、しっかりと♪
自分の道を踏みしめて♪
泣くのが嫌なら、さあ歩け♪
何かを求めて、生きようよ♪
こんな歌詞も、時々は思い返しながら、機会があれば、また語り継ぎたいと思います。
そのうち、年末時代劇とか、「水戸黄門50周年記念作品」とかで再会することも願いながら。
PS:あ、「仮面ライダー」にゲスト出演するとかもあり、ですよ。8代将軍だって出られたんだから、前の副将軍が出ても不思議じゃない。