Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

真・主人公論3(サザエさんとか、水戸黄門とか、西田敏行さんの話)

雑談はまだ続く

 

NOVA「論とは名ばかりの主人公雑談だが」

晶華「真になっても中身は変わらずってことね」

NOVA「『主人公とは何か?』という命題について、いくつかの回答は示したんだけどな」

翔花「『事件を解決するために、一番活躍するキャラ』じゃないの?」

NOVA「普通はそうだが、例外はいろいろある」

翔花「例えば?」

NOVA「主人公が途中で死んでしまう『仮面ライダー龍騎』や、主人公のアル少年が無力な『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』や、事件を解決できない『竹取物語』なんかがある」

晶華「『竹取物語』って童話とか古典でしょ? そういうのを持ち出すと、『浦島太郎』だって主人公だけど、事件の解決は亀を助けるだけだし、後はお礼に竜宮城で宴会に明け暮れた挙句、最後は玉手箱でお爺さんになるだけだし、『はだかの王様』の主人公って誰よ?」

翔花「王様じゃないの?」

晶華「詐欺師に騙されて、裸で街を歩いて、子どもにバカにされるのが主人公?」

NOVA「……コメディだな。まあ、風刺物語の主要人物はマヌケなキャラが多いと思うが、さておき。ところで、スパロボDDの第3次アナザーパート2が今月末に来るそうで、新実装はフルアーマーアレックス(NT1)らしい」

晶華「突然、何よ? スパロボDDに寄り道脱線?」

NOVA「いや、さっき予告編が発表されてな。突然、語りたくなったわけだが、この0080という作品は変わっていてな。普通はガンダムパイロットのクリスが主人公であるべきところだし、スパロボでもメインは彼女なんだが、実際の物語はアルの目を通したクリスとバーニィそれぞれの物語と言えるし、ただ1話はサイクロプス隊視点の地上戦だから、総じて誰が主人公か分かりづらい作品と言える」

晶華「アル少年は、語り部的な立ち位置と言えるわね」

NOVA「普通は、ガンダムパイロット贔屓であるところを、アルはジオンのファンだし、バーニィの方に感情移入しているので、作品全体がジオン(サイクロプス隊)の動向を中心に話が構築されていて、ガンダムが敵キャラ扱いされている感じでもある」

翔花「かなり変化球な作品ということね」

NOVA「テーマが『軍隊所属ではない一般人の少年の目から見た戦争を描く』ということで、それ以前のガンダム作品のアンチテーゼなところがある。子どもにとっての戦争ってことなら、カツ・レツ・キッカの3人を主人公にした外伝物語みたいなものがあってもいいと思うんだが、カツを主人公にして面白い物語になるかは微妙だからな」

晶華「作品の顔的な主人公と、ドラマの中心的な主人公が異なることもあるのね。ロボット物だと、主人公ロボとそのパイロットが主人公の作品が圧倒的に多いけど、たまにパイロットじゃない登場人物が主人公の作品もあるし」

NOVA「ゴーショーグンの『真田ケン太くん』とかだな。ロボットに憧れる少年というのは、勇者ロボにも受け継がれる文脈だけど、他には『天空のエスカフローネ』(ロボに乗らないヒロインが主人公)とか、いわゆる活劇ヒーローに関わる一般人視点で描く物語がたまにある」

翔花「自分がヒーローとして活躍するか、それともヒーローの友人や恋人として活躍を応援するかの違いね」

NOVA「ヒーローのサポーターが主人公って作品は、主人公の華々しい活躍がポイントではなくて、等身大の主人公の持ってるワクワク感や憧れの部分がポイントなんだと思う。自分や自分の守りたいものを守ってくれるヒーローを応援して、ヒーローに力を与える自分ってものに感情移入するとか」

晶華「ジェイデッカーの勇太くんとか、ガオガイガーの護くんとか、ヒーローの特別な友人だったりサポーターだったり、自分がヒーローじゃなくても、ヒーローに近い位置にあるキャラが主人公って作品ね」

NOVA「そういう主人公像を考えると、『事件を解決するために、一番活躍するキャラ』という主人公定義が簡単に崩れることになるわけだ」

翔花「だったら、主人公って何よ?」

NOVA「広く考えるなら、『物語の中心人物にして、受け手の感情移入を最も引き付けることを意図したキャラ』ということになる。当然、物語のジャンルによって定義は変わってくるし、受け手の性質も千差万別だ。例えば、俺のようなおじさんが特撮ヒーロー作品を見る場合、若者ヒーローに感情移入することはあまりない」

晶華「ヒーローに感情移入して見ているんじゃないの?」

NOVA「ウルトラマンになりたいか、ウルトラマンがんばれ〜って想いは、分からなくもないが、どちらかと言えば、『この演出すごい』とか『このストーリー展開はなかなかの物』とか、作品の創り手がんばれ〜って想いで見てるからな。そして、変身する主人公よりも、その周りのサポーター的な副主人公とか、バックアップする周囲の大人(隊長キャラ)の方に感情移入しがちなのは、やはり自分により近い立ち位置のキャラを見繕うからだな。作品主人公とは別に、素の自分を投影しやすい感情移入対象がいるかどうかが大事」

翔花「NOVAちゃんの素って……」

NOVA「ヒーロー研究する博士タイプとか、蘊蓄オタクキャラだな。先輩風のクールメガネなアドバイザーがいると、感情移入度が高まる」

晶華「さすがはメガネンジャー司令ね。最近は、司令の仕事をちっともしてないけど」

NOVA「メガネンジャーは、多元世界を観測して、応援の思念を飛ばすのが仕事だからな。ヒーロー作品を追いかけて応援しているだけで、十分仕事をしていると思うぞ」

晶華「趣味道楽的な作業を仕事と言い張るのはどうかと思うけど、まあいいわ。アシスタントガールとしては、NOVAちゃんの道楽作業に付き合うのが仕事だしね」

 

主人公の成長力

 

NOVA「さて、主人公の定義は作品ジャンルにおいていろいろだが、長編として成立させるには『成長する主人公』を描くか、『キャラが固定した主人公が数々の事件を解決する単発連作集』になるかの2つの方向性がある」

晶華「事件の方にヴァリエーションがあれば、主人公の成長は描かなくてもいいってことね」

NOVA「定番ストーリーでも、マンネリならではの面白さを維持できれば、変に成長してキャラ変した主人公の方がこれじゃない感を覚えさせるわけで。例えば、中学生になったのび太とか、幼稚園児でなくなった野原しんのすけとか、定年退職した磯野波平とかは見たくあるまい」

翔花「ええと、波平さんっていくつ?」

NOVA「ええと、54歳だと? つまり、来年の俺が波平に追いついてしまう!」

晶華「すると、私がサザエさんってことに?」

NOVA「いや、サザエさんは永遠の24歳だから、お前たちが追いつくには、あと18年が必要だ。まあ、お前たちの外見および精神年齢は最初から14歳設定だから、10年経ったら、サザエさんに追いついたことにしてもいいが」

翔花「サザエさんは何年生まれって設定?」

NOVA「原作設定では、1922年だから、実は100歳を超えているんだな。あの特徴的な髪型も、原作が始まった1946年辺りには流行していたそうだし」

晶華「すると、戦後まもなくはサザエさんの髪型をした女の人がそこらじゅうに?」

NOVA「モガヘアー*1というらしいが、『ゴジラの逆襲』(1955)のヒロイン・山路秀美(演・若山セツ子)辺りに名残りが見られるな」

ゴジラの逆襲 ポスターマグネットゴジラ 映画ポスターマグネットコレクション

翔花「実写版サザエさんも、1956年の作品みたいね」

NOVA「実写版サザエさんの存在は、ゴジラなどの東宝SF作品の宣材資料なんかで知ってはいたんだが、改めて資料を調べると、『地球防衛軍』と併映した『サザエさんの青春』というカップリングがミスマッチ過ぎるというかツッコミネタだな」

晶華「それにしても、『主人公の成長力』って小見出しで記事を書いていて、どうして登場人物が成長しないアニメの代表と言えるサザエさんの話になるのよ?」

NOVA「俺も不思議だ。波平の年齢の話から、流れるようにサザエ時空に吸い込まれてしまった。しかも、50年代からの実写版は、サザエが成長するんだな。タラちゃんが生まれる前のサザエさんなんて想像もつかないわ」

翔花「タラちゃんって何歳設定だっけ?」

NOVA「アニメ版では永遠の3歳児だな。タラちゃんが3歳まで育った段階で、あの世界の時間は止まったから、もしかすると世界の時間を止めてしまう特異点的な存在かもしれない」

晶華「もしかして、スタンド使いってこと?」

NOVA「長期連載や放送の作品でも、原作でのキャラ設定が固まるまでは成長を描いて、ある程度、固まった後で定着してしまうものかもしれない。何にせよ、長期に渡る作品では、一度固まった設定は変えない方がいいのだろうな」

翔花「長期ものだけど、『ドラゴンボール』はキャラが成長するけど?」

NOVA「バトル重視の作品だと、キャラが新技を習得したり、敵だった相手と縁ができて味方になったり、時にはキャラが死亡退場したり、主人公周りの状況が大きく変わりやすい。だから、キャラが成長しない作品は日常系か、事件解決の名探偵ものや刑事ものとかじゃないかな。あと、エピソードの順番をシャッフルしても問題ないのが非成長系。まあ、登場人物が増えたり変わったりすると、その限りではないけど」

晶華「クレしんだと、しんちゃんの妹のひまわりちゃんが生まれる前と生まれた後の違いがあるわね」

NOVA「ともあれ、成長する作品だと、主人公が最も多く登場するので、経験点が貯まって成長しやすいというのがゲーム的な説明だな。最初は未熟だった主人公が戦いと訓練を通じて、新技を会得したり、新しい人間関係を確立したり、いろいろだ」

翔花「成長しない作品の主人公の特徴は?」

NOVA「根幹設定が固まっている故の安定度の高さが大きいな。いつもと同じ場所で、いつもと同じ仲間と日常を暮らしているうちに、事件の方が飛び込んできて、ドタバタコメディになるか、シリアスに事件解決をして日常を取り戻すかだけど、最も安定度の高い中心が主人公らしさじゃないだろうか?」

晶華「旅ものだと、いつもと同じ場所にはならないけどね」

 

時代劇への寄り道

 

NOVA「水戸黄門は旅ものマンネリ話の代表だな。その場合も、道中のお供は大体、固定されている。もちろん、部数によって付いてくる忍者が弥七だったり、飛猿だったり、鬼若だったり、くノ一役もお新だったり、お銀だったり、お娟(えん)だったり、楓だったり、変化が見られるんだが」

晶華「お銀さんも、お娟さんも同じ由美かおるさんが演じるキャラだから、区別が付いていない人も多そうだけどね」

NOVA「かげろうお銀は86年の16部から2000年の28部までの登場で伊賀忍者。17部から登場した飛猿のパートナーという印象が強い。一方、疾風のお娟の方は、黄門役が石坂浩二さんに変わった29部からの登場で、21世紀キャラだな。風魔一族の女頭領という設定で、当初は配下のくノ一3人を率いていたりもする。お銀が『小娘』呼ばわりされる若き天才くノ一という設定だったのに対し、役者が成熟したお娟の方は『色気ある熟女』扱いで、違いを演出しようとしていたらしいけど、結局、マンネリ好みの視聴者からの意見もあったのか、お娟がお銀に寄せるようになって、類似キャラに落ち着いた流れがある」

翔花「NOVAちゃんは、お銀派ね」

NOVA「設定は違うけど、キャラがほぼ一緒だと、山田五十鈴さんが演じる花乃屋仇吉と、お艶と、おとわと、おりくが結局、三味線弾きで大差ないのと同じだな。男優だと、緒形拳さんの梅安と、半兵衛と、時次郎と、広重は全然違うキャラなのに」

晶華「唐突に必殺話に流れ込むし……」

NOVA「必殺と言えば、そろそろこの本が出るので楽しみだ」

翔花「必殺話に飛び込むと、帰って来れなくなりそう」

NOVA「必殺シリーズと言えば、中村主水の主人公問題というのがあってな」

晶華「藤田まことさんが主役じゃないの?」

NOVA「最初は違うぞ。1973年の『必殺仕置人』でデビューしたときは、山崎努さんの念仏の鉄が主役で、中村主水はトメの位置だ」

翔花「トメの位置って?」

NOVA「キャストの最後に来る立ち位置だな。大体は元締めとか重鎮になる。中村主水は、仕置人、仕留人、仕置屋、仕業人の4作までトメの位置で、トップの主役はそれぞれ鉄、糸井貢(石坂浩二)、市松(沖雅也)、赤井剣之介(中村敦夫)と来て、新・仕置人になって初めてトップの主役として名実ともに扱われるようになった。実質的には、仕置屋から主役みたいなものだったけどな」

晶華「仕事人シリーズではずっと主役だったけどね。渡辺小五郎さんが登場する2007になるまでは」

NOVA「小五郎が引退した後、誰が主役になるんだろうなあ。次があるなら、そろそろ発表されてもいい頃合いだが」

翔花「来年のお正月に、仕事人2025がやるかどうかね」

 

寄り道から帰ってきて

 

NOVA「ともあれ、主人公が成長しようと、しまいと、最初は成長していたのが長期化に伴う安定のために成長が止まろうと、主人公もしくは主人公チームや家族などの集団が物語の中心にいるという前提は変わらない。まあ、複雑な物語だと対立する陣営のそれぞれに主人公格の人物を配置して、双方のドラマを並行させて描くケースもあるが」

晶華「ルパンレンジャーVSパトレンジャーね。主人公はルパンレッドでもあり、パトレン1号でもある」

NOVA「古典的には『三国志』などの歴史ものだな。もちろん、魏の曹操か、蜀の劉備もしくは諸葛亮なんかを主人公として推すことが多いが、呉の孫一族をメインにする切り口もある。ところで、呉と言えば孫権が代表だが、三国志の全体を通して見ると、父親の孫堅と、兄の孫策を受け継いだ3代目が孫権で、曹操劉備に比べてキャラが薄いように感じる」

翔花「ええと、曹操さんや劉備さんは自分で建国したけど、孫権さんは自分で呉を興したわけじゃないのよね」

NOVA「呉の凄さは、卓越した英雄一代の凄さではなく、君主の地位の継承システムによる安定化だからな。言わば、主人公交代しても作品シリーズが続くジョジョみたいなものか」

晶華「日本で言うなら、幕府みたいなもの? 天下人がきちんと継承システムを構築できたのって?」

NOVA「継承といえば、最近亡くなった西田敏行さん*2大河ドラマ的にも凄いんだな。一番最近見たのは、鎌倉殿の後白河法皇(2022)で、その前は仕事人2019の悪徳商人だが、俺にとっての初西田さんは『西遊記』の猪八戒だ。それを見てコメディアンだと思っていたら、『おんな太閤記』で秀吉をやって、『武田信玄』で山本勘助をやって、実に多芸な俳優さんだな、と。初めて格好いいな、と思ったのは86年の映画『植村直己物語』の主演で冒険家の植村さんを演った後、88年の映画『敦煌』で朱王礼という武将役を演った時期だな」

翔花「ええと、西田敏行さんと言えば……(調べて)88年から2009年まで『釣りバカ日誌』を22作品続けて、2001年から2019年までは『探偵!ナイトスクープ』にも出続けたそうね」

NOVA「その辺の映画やTV番組は追いかけていないが、世間一般で浸透している西田さんのイメージとしては、大事なんだろうな。俺にとっては、大河ドラマの最多主演俳優であること*3や、北条義時豊臣秀吉徳川家康、秀忠、吉宗、西郷隆盛など、歴史上の有名人物の数々を演じていることも重要なんだが」

晶華「主演も、悪役も、コメディも、シリアスもこなせる多芸な俳優さんだったのね」

NOVA「惜しむらくは、必殺とか特撮とか、俺のメインジャンルへの出演が少ないところだが、仕事人2019に登場していい悪役を演じてくれたから、ツボにハマったなあ、という感想」

NOVA「西田敏行さんだったら、仕事人の元締め役も難なく務まったろうと考えると、惜しい役者さんを亡くしたなあ、と思います。謹んでご冥福を祈りたく」

晶華「主役論を話しているうちに、訃報が入って来る展開が続くのは勘弁して欲しいんだけどね」

(当記事 完)

*1:モガ=モダンガールの略で、今風の若い女性の意味。

*2:当記事執筆中の10月17日に亡くなった

*3:山河燃ゆ』『翔ぶが如く』『八代将軍吉宗』『葵 徳川三代』の4作