4本分をまとめて。
ただし、最初は新鮮だったメンツも、この辺まで来るとキャラが固まってきて、しかも何だかんだ言って、ドラマ的にはパターン作劇の安定感が売りなので、あまり特筆することはありません(たぶん)。
当初は、ドジッ子忍者だった楓も、今は普通に任務をこなしてますし、
格さんは相変わらずギャグキャラだけど、ショートコント風で、それがメインってわけでもないし、
アクションにも、それほど力が入っているわけではない。
まあ、普通にドラマをやって、段取り的にアクションやって、定番の印籠を見せて、はい、ハッピーエンドで旅立つ一見マンネリに陥ったような印象。
それでも、各話ごとに、歴史人物とかがゲスト出演して、ドラマ的に変化をつけようとはしているのが、この時期のポイントと言えるかな。
一応、備忘録的に、と前置きしつつ*1。
8話「ご老公、有名作家に感心する」
ゲストは、松尾貴史演じる近松門左衛門。
ご老公以上に世話焼きで、この回の実質的主役。すなわち、ご老公一行は、話を聞いて、最後に一肌脱ぐ程度の出番。
まあ、ドラマ構成的には、マンネリではなく力は入っているのだけど、ご老公一行と、近松さんと、事件の被害者と、悪人の4つに視点が分散しすぎて、感情移入が困難。人情物でこういうのは、どうかな、と。
とりあえず、ご老公視点で感情移入するのが普通なので、謎の人物として登場した近松さんが、被害者に関わって感情移入していく流れに、ちっともハマれなかったわけで。
9話「楓、姉になる」
ゲストは、長江健次演じる旅の宮大工。イモ欽トリオのフツオかよ、懐かしい、と感じさせてくれた。
でも、それよりも目が行ったのは、火野正平演じる悪徳坊主。それに中田博久演じる悪徳役人とか。こういう人たちは、うち的にネタにしやすいです(笑)。
寺に保管された藩の宝を、坊主達がこっそり売り払っていたのが、急遽、若殿が骨董鑑定士を呼んで、という話になったので、鑑定士暗殺を計画する悪党達。鑑定士に間違われたご老公が事件に巻き込まれるわけですが。
宮大工の人は、寺の宝物庫の火付けを疑われて、という流れで被害者になる。しかし、本作のポイントは、彼の幼い娘と、くノ一の楓の間に交流が生まれていたため、人情物として、きちんとツボを突いた話になってました。
子供にあれこれ諭すお姉ちゃん役、というのは、最近の戦隊でも見られにくくなった*2一種の伝統的王道路線。
10話「格さん、惚れられる」
ゲストは、うつみ宮土理演じる女窯元。土地ごとの職人にスポットが当たるのは、水戸黄門の王道話ですが、本作では意外とそういうのは少なかったりします。脚本家が新しいことをしようとしているのは分かりますが、そのために、ドラマ的には完成度が安定しない感じがするわけで。しかも、どれだけ趣向を凝らしても、最後はマンネリに収束しちゃうので、脚本の腕がいまいち評価されにくい気がします。
本作の変化球は、窯元の二人の娘のうち片方が、格さんに惚れるエピソードがあること。でも、格さんは恋愛感情に疎い朴念仁なので、娘の方が結局、愛想を尽かすオチ付き。
もう一人の娘(響鬼のみどりさんとか、キバのオクトパスファンガイアとか)は、藩の役人と恋仲なのですが、その役人が悪党に陶器横流しの協力を要請されたり、娘も悪徳商人の傀儡若旦那との婚姻を迫られたり。
そういうのを、助さんが見かねて、お節介な助け舟を出すところがポイント。 また、囚われた娘にすり替わった楓が、言い寄ろうとする若旦那を投げ飛ばすところもポイントが高い。くノ一らしい仕事はきちんとしているわけで。まあ、お色気不足な演出は否めないですけどね。楓の魅力は、大人の色香ではなく、健全なお転婆娘としての初々しさと考えるべきか。
11話「弥七、京と高松を往復する」
舞台は京都。時期は、大晦日という設定ですが、放送日はクリスマス前。
でも、感想書き込みが、大晦日ごろなので、ちょうどいいかも(笑)。
ゲストは、この時期らしく、赤穂の大石内蔵助(市川右近)。黄門さまに「高松藩の塩が不審な値上がりをしている」との情報をくれる役どころです。
念のため、今作の旅の目的は、「香川高松藩のお家騒動を解決する」です。高松藩の藩主は、ご老公の実の子ということなんですが、その陰謀に老中の一人が関わっていて、ご老公の高松行きを邪魔しようとしてくるわけですね。
その老中を演じるのが近藤正臣で、対立派の老中で黄門さまに味方するのが小野寺昭。すなわち、NOVA視点ですと、「剣劇人VS仕切人の暗闘」が裏で行われているわけですね(笑)。この2人、セミレギュラーで、要所要所で存在感を発揮しております。
黄門さまは、高松行きを明言すると老中に邪魔されるので(前の副将軍も、現在の権力者に正面からは対抗しにくいという設定)、「京都の親族(亡き妻の実家)に久々に年始のあいさつを」という名目で旅に出ました。そのゴールが京都で、さあ、ここからの旅をどういう名目にしようか、という話。
一応、高松藩での陰謀伏線を張ったり、弥七を使いっぱしりにして、様子を探りに行かせるのですが、直接動くに至らず。結局、この回では、敵に密かに捕まった高松藩の密告侍をこっそり助けるだけに留まります。最後のチャンバラもなしで、どちらかというと忍者の暗闘がアクションの見どころ。まあ、楓の棒術が久々に見られるのが華ですが、印籠出すシーンがないといまいち物足りません。本来のサブタイトルも、「都で悪の大掃除」ですけど、そこまで派手なことはせず、政治的に密告侍への追跡を見逃させた程度で事を収めます。
最後は、京都の親族に依頼されて、「出雲(島根)詣で」に赴くこととなった、という名目で旅を続ける許可を申請、老中会議で手形発行を果たすことに成功します。そんなわけで、香川まで行くのに遠回りすることになったご老公一行の旅は、来年につづく、と。
次回予告
舞台は兵庫の篠山(ささやま)。一応、自分の県ですけど、兵庫は結構、広くて、南の都市部と、中央・北部の山間部では、かなり風土が違います。その辺だと、鹿や猪が名物料理だったりするのですが、南部の人間としては、知人を通じて「猪が荒らし回って困っている」という話を聞いたりすると、「へ〜、同じ兵庫なのに」と驚くことも。
で、そんな兵庫のゲストは、みのもんたとか、堀内孝雄とか、普通に有名人。まさに世間一般ではスペシャルゲストとなるのでしょう。
しかし、ここでのスポットは、「宇梶剛士」……って、鴻上会長? ハッピーバースデイと叫んでしまいますよ。いや、ハッピーニューイヤーと言うべきなんでしょうけど。
というわけで、鴻上会長が、娘をかどわかして売りさばこうとする悪徳道場師範代を演じる次回の水戸黄門。まさに欲望の大判ぶるまいに期待です。