特撮ファンとして、今回の話は「竜ヶ森湖上空で謎の飛行物が観測された」というネタだけで、ニヤリとするところでしょうな。
残念ながら、気特対には、ジェットビートルのような特殊装備は配備されていないので、誰かが偵察飛行中に赤い球体と遭遇して、光の超人と一心同体になったりはしないのですが。
……ということで、この世界では、ウルトラマンは密かにベムラーを撃退して、そのまま宇宙へ帰っちゃったと推測(笑)。人類は、ウルトラ一族とのファーストコンタクトを果たせないまま、「謎の飛行物は、自然の発火現象に過ぎず、特に気を付けることは何もない」と判断したわけで。
もし、ウルトラ的史実の通りなら、翌週、バルタン星人の侵略に対抗できずに終わっていたのかもしれませんが、まあ、それは次回の楽しみにしておくとして。たぶん、そんな話にはならないとは思いますが。
さて、ネタは置いておいて。
今回の物語は、「事件が何も起こりませんでした」という内容。
いや、女性誌や、学校新聞の取材という流れで、気特対の日頃の業務を提示する話なんですが、「M出現? の予兆」に接して、プロ公務員の緊迫感あふれる対処の姿を描きつつ、結局、何事もなく終わる、というオチ。
通常の特撮ドラマでは、「事件が起こって、その解決に奔走するチームの姿」を描くのが物語の骨子なんですが、本話は「事件が起こらなくても、その予兆の観測報告が上がれば、職場は慌しくなる」という姿をドキュメンタリー風に描いた稀な作品と。
言ってしまえば、「火災の通報があって、消防士が緊急出動の準備をしていると、実は誤報でした、と判明する」ような話。それでも、火事がなくても消防士さんは職場に待機して、日常業務を執り行わないといけないわけで。
「事件が起こらなくても、事件かもしれないという緊迫感だけで、話の骨子を作っちゃった回」と言えるでしょうな。何回もやると呆れられるだろうけど、序盤のこの時期だと、いろいろ想像力を掻き立てられて面白かった、と思います。
ホラー映画で、緊迫感を高めるシーンの後で振り返ると、何の異常もなく安堵するという序盤の展開に通じるかな、とも。