Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

大魔神カノン15話「華音」感想

 サキファンの自分としては、カノンとサキが心を通わせる大当たりの回と言えます。
 都会で傷ついたカノンを心配して、渡辺いっけいさん演じる親父さんが上京してきて、「昔のカノンの夢を追う一途さ」を指摘。それが失われた姿は見たくないから、一緒に田舎に帰るように言うのですが、その言葉に奮起したカノンが、サキとの接触からも逃げていた自分に気付き……という話の流れは、一話の中でメリハリがあっていいな、と。
 今回、オンバケはカノンの心情に関してノータッチで、あくまで人間同士の交流がメインになる状況も、ドラマ的にはOKです。一時期、「親切なオンバケの世界に逃避して、ますますスポイルされるカノン」を心配していましたが、まあ、無事に人間社会につなぎ止めることができたようで、何よりです。

オンバケアクション編

 舞台が地方に移ったせいで、ますますカノンのドラマと遊離しているアクションシーン。まあ、バラエティー番組における「別枠のアクションコーナー」として、扱うのが妥当かな、と。
 今回、「火炎噴射」という特技を身に付けたイパダダ。それに対して、全く無力なサワモリさんとハシタカさん。確かに、まともにダメージを喰らえば、焼きザリガニと焼き鳥になってしまいますね。ヒーロー性を高めるなら、サワモリさんが水属性を持っていて水流で対抗とか、ハシタカさんが翼をはばたかせて風圧で火炎をそらすとかできそうですが、そうはならず。
 そこでスポットが当たったのが、ヤカン妖怪のユモンジさん。役者は、ロッキー刑事や、ウルトラマンダイナのスーパーGUTS隊長ヒビキさんの息子です……って、「ヒビキさんの息子」って表現は、この番組では違うものを連想してしまいそうですが(笑)。
 ユモンジさんの頭部はヤカン……ってことは、某ロボコンの焼き芋屋ロボットを連想しますな。武器はロボプーガス……ではなくて、顔から発射する蒸気。ヤカンなので火にも強く、相手の火球を真正面から受け止め、そのまま突込み、火球を投げ返した後、蒸気を噴射して大ダメージを与えるなど、うまく見せ場を物にしました。


 でも、結局、イパダダには逃げられる、と。

タイヘイ編

 サキに接触されて悩むカノンの相談役……と言えば、聞こえはいいのですが、そのアドバイスは、いちいち的を外しています。
 「サキの図々しさ」とか「カノンの心情」とか過保護チックに指摘するのですが、カノンからは「何だか違う」と否定されたことで、勝手に落ち込んだり。
 結局、イケチヨ姐さんに、「今のカノンちゃんは、自分で悩んで答えを見つけ出そうとしているんだから、放っておいておやり」といった感じに諭されるだけの見せ場。


 まあ、今の自分にとっては、「タイヘイは妖怪マンガの編集をしていればいい」なんて、別番組ネタで考えがちかな、と。

サキ編パート1

 今回、サキ編は序盤とクライマックスの2パート。
 このキャラって、大映ドラマ的には、「主人公のライバル→親友」に転向する大沢逸美ポジションと思っております。


 カノンに対して、自分の歌に対する想いを披露した後で、「自分と一緒に組まないか」と提案します。
 それに対するカノンの反応は、涙をポロポロ流しながら、理由も告げずに「ごめんなさい。できません」と逃げ出す始末。歌に対して向き合えないカノンの心情が描写されているのですが、それが描写だけでなく、父親の指摘や、サキ編パート2でしっかり明言化されているのが、今回の話の優れている点。描写のみあって、それを言葉で明言せずにドラマを進行させようってのは、自己満足な脚本家にありがちですからね。
 なお、本当に優れた連続ドラマの脚本ってのは、その回の出来事はその回(あるいは次回)できちんと解決しつつ、後から「ああ、この描写は実はこういう伏線でもあったのね」と違う解釈で、奥の深さを感じさせてくれるもの。心情描写とか分かりやすいんだけど、分かりやすい奥にもう一つの深みがあるものが良いのであって、深みだけを求めて分かりにくい物は本末転倒かな、とも(まあ、そういう話でも、全ての話が分かった後の再視聴によって、評価が変わることはありなんでしょうが)。

親父編

 渡辺いっけいさん演じる親父さまの名前は、巫崎ばろく。ええと、名前の元ネタは、バロック音楽ですか。とりあえず、ヴィバルディと、ヘンデルと、ヨハン・セバスチャン・バッハを挙げておけば、クラシック初心者としては十分? 
 いっけいさんと言えば、最近は、「龍馬伝」の千葉さなの兄・重太郎を演じてましたが、自分的には『燃えろ!!ロボコン』の居候先・栗原家のお父さん役が印象深いです。
 で、役どころとしては、「昔のカノンは明るくて云々」と過去話をしてくれる人。いやあ、幼少期のカノンはしばしば回想シーンで出てくるのですけど、それと現在のカノンがなかなかつながらなくて……その間のミッシングリンクがようやく、見せられた気分です。
 そんな親父さんの言う「昔の、夢をアクティブに追いかけた自分」を取り戻したくて、逃げていたサキとの対面に赴くカノン。

サキ編パート2

 で、本話のクライマックスです。
 バンドの部室から、サキお気に入りの「街を見下ろせる郊外の丘」に場所を移しての交流シーン。
 ここで、サキも「自分も都会で傷ついた一人」であることを打ち明け、それでも、「ToTheTop(祈り歌)」のメロディーに癒されたことを告白します。音楽で、人の心を励ましたいという想いを吐露するわけで。
 そして、「カノンの詩」と「サキの曲」を合わせれば、祈り歌に負けない新曲が生まれるのでは、と提案。うん、こういう合わせ技、いわゆる合体攻撃は燃えますな。独り善がりじゃなくて連携重視とか、「自分だけの夢」じゃなくて「他人の幸せとか想いを見据えた夢」ってのが、自分の心を打つキーワードです。


 それに対するカノンの返答は、「ごめんなさい。今の私は、まだ祈り歌に正面から向き合えなくて……昔の私に戻ることができたら」と、今度は理由や心情を明言。
 サキのリアクションは、「私は、あなたが音楽に向き合えるようになるのを待っているから」と応じつつ、アドバイス。「別に、昔のあなたに戻る必要はないんじゃないかな? 人は新しい自分に変わることもあるんだし、それで成長できるんだから。祈り歌に向き合いたいなら、今のあなたの気持ちで、新しい歌詞を考えてみたらどう?」
 その言葉が、カノンの心に響いたみたいで、「新しい歌詞で、新しい祈り歌を作る」ことを決意するカノン、でつづく、と。
 予想を越えて、非常に前向きな話に切り替わった話で、NOVAの心にも響きましたよ、さすがはサキさん。それと、脚本家の荒川さんに感謝しつつ。


PS:うがった見方をすれば、カノンに対するサキさんって、高寺Pに対する角川の社長さんポジションになるのかなあ、とも思ったり。