ようやく、物語が加速して、アクション的にも大当たりと言える回でした。
うん、総集編を作るなら、今までの話を大分、すっ飛ばして、この辺りから収録するなら、「カノンって面白そう」と思わせるかもしれません。
トウベエさんという強力な武器妖怪がサポートしてくれるので、今までアクションが地味だったサワモリさんとか、ハシタカ、トモスケが、急に刀を振り回して暴れまわります。舞うような刀アクションは割とよくある絵ですが、転げ回って仲間に刀をパスするのは、ちょっと独特。普通の時代劇なら、刀使いは自分の武器を持っていますけど、今回は「一本の刀をみんなで使い回す」という特殊なシチュエーションですからね。
あと、注目の新キャラは、ハーモニカ妖怪のフクマツさん。
声が小林清志さんですからね。「君たちに最新情報を公開しよう」なんてセリフは口にしませんし、VRVマスターみたいに新メカを持ってくるわけでもなく、そもそも、どんな特殊能力を持っているかも分かってません*1が、
声の渋さだけで、世界を引っ張ってくれます。
カノンちゃんの歌よりも、フクマツさんの声だけで、自分は番組に付いて行きます。うん、次回から『大魔神フクマツ』にしません?(そればっかり^^;) いや、『刀魔神トウベエ』でもいいですけど。
人の世界に裏切られ
前回、助教のリストラ騒動を何とか解決したカノンとタイヘイ。
でも、釈然としない気持ちを覚えたカノンは、「人の信頼が大切」という気持ちが裏切られて落ち込んでいるタイヘイを気にかけます。そんなタイヘイは自棄酒をあおった勢いで、カノンの前でオンバケの正体をさらしてしまい……そして、つづいた、と。
で、今回のスタートは、カノンが朝、目覚めたところから。
前回の直接のつづきから始まらないのは、単調な展開をショートカットした、と評価しよう。今さら、「妖怪の正体を知って、動揺して、『何もかも信じられない!』と塞ぎこむカノン」は見たくないからね。
前回のあらすじ交えた回想シーンで、助教さんのことも「元の生活を取り戻せて良かったね」と好意的な大人視点じゃなく、「親切にしたタイヘイの気持ちを裏切って、自分の生活のことだけ考えて夢を捨てた、ひどい奴」みたいな主観モノローグを吐露するカノン。
いや、まあ、カノンが助教さんの事情を何も知らないなら、そういう反応も理解できるのですが、「彼の家族とも会っていて、生活に困窮して、あわや自殺にまで追いつめられていた」ことは知っているはずなのに、そういう物の見方はどうよ? と言いたくもなるのですが、ここは作劇的に「落ち込むタイヘイを気遣うカノン」という話に持って行きたいので、千歩ぐらい譲って、カノンの身勝手さを追及しないようにします。
ま、相手の事情を斟酌できずに、「親切心を裏切られた」というネガティブな反応しかできないのじゃ、人間社会では傷ついてばかりいるのも納得。もう、こういう娘は、親切な妖怪の世界で癒されてなさい、と。
イケチヨ姐さんの手紙
タイヘイたちがみんな妖怪だと知らされて、現実を受け入れるのに戸惑うカノンですが、イケチヨ姐さんから送られた手紙で、「いろいろ驚いただろうけど、私たちがカノンちゃんを愛していることに変わりはないから」と伝えられて、あっさり受容します。
なるほど、「愛している」は殺し文句なんですね。「愛している」とか「信じている」と言ってあげれば、あっさりなびく、と。新興宗教には、いいターゲットにされそうだ。
こうして「民間信仰のオンバケ教」にずるずる引き込まれる「歌姫候補のカノン」でした。
その後、いまだに落ち込んでいるタイヘイに対して、自分が以前、励まされたのと同じようなセリフ回しで、励ますカノン。
まあ、「人を励ます立場」になることで、「自分自身をも励ましながら成長する」ことはありだと思うので、ドラマ的には、わざとらしさが目立ったけども、そこは許容範囲。
大体、人って、「自分が言われた説教とか、読んで感動した言葉とか」を、しばしば自分の言葉や実感に移し変えながら、「他人に語る」ものなんだし。それが、「心の入っていない受け売り」に過ぎないか、それとも「自分の心の中できちんと昇華した自分の言葉」なのかは、結局は本人にしか分からないことなんだよね。まあ、「昇華されていない嘘の言葉」は、少し突つけば、すぐにボロが出るものだけど。
カノンの場合は、「タイヘイのことを気遣っている」のは本心だろう。で、人は裏切るけれど、オンバケみたいな妖怪は純真なので信用できる、というドラマの意図があるなら、そちらに心を開いたカノンの物語としては、まあ納得するしかない。
ジュウゾウ爺さんの上京
田舎でずっとブジンサマのことを見ているだけで、基本、電話連絡しかしなかった暗闇司令が、ようやく現場に姿を見せます。
駅で待ち合わせることになっていたタイヘイと入れ違いで、勝手に見知らぬ都会に迷い出て、偶然、カノンと遭遇することで何とか合流を果たします。次々とカノンの周りにオンバケが集まってくる構図は、ご都合主義の謗りもあるでしょうが、変に「ジュウゾウ爺さんが迷いまくって、いろいろなところで騒ぎを振りまきながら合流するのに1話以上を費やす危険性」を考えれば*2、さっさと話を進めてくれて正解、と言わざるを得ません。
で、ラーメン屋で、オンバケのことをカノンに説明する爺さん。
ちなみに、これがNOVA好みの話になると、「オンバケの正体を知ったからには、生かしてはおけねえ。娘さん、悪いが死んでもらうぜ」なんですが(苦笑)、さすがに、そういう展開にはなりませんね。オンバケは正義の味方。恨みを晴らすのは、イパダダのお仕事です。
歌姫の代役探し
カノンの視聴者の中で、出ていた批判の一つ。
「どうして、歌うのがカノンじゃないとダメなの?」
この批判に対するアンチテーゼというか、一つの回答が今回出たり。
ラーメン屋のオタキ婆さん。「カノンが歌えないなら、仕方ない。代役を探しに行くよ」と急に旅立つことを決意*3。
これで、見つけたのが「サキ」だったりしたら、自分は大拍手をしますよ(笑)。
若松さん
フクマツさんの相方(?)として、ラーメン屋に現われた人が、若松さん。
カノンと同じように、オンバケのことを知るようになった人間です。
こういうキャラがいると、ちょっと、安心です。
さもないと、カノンがオンバケの世界しか接点を持たず、「人間なんて、もうイヤだ。私もオンバケの仲間になりたい」なんて言い出したりしかねませんから。夢は現実を強く生きるためのエネルギーであってほしいけど、夢の世界に溺れて現実を捨ててしまう物語には、感情移入できないのが今の自分。
この若松さん、どういう位置づけのキャラになるかは分かりませんが、タイヘイのライバル(?)みたいな感じで、人間サイドでカノンに絡むキャラだったら、まあドラマ的に面白くなるかも、と思ってます。
とりあえず、自分としては「オンバケを理解できる純真さは持つけど、大人の常識を持った好人物」であってほしいなあ、と思いますね。ムーミンで言うところの、スナフキンみたいなキャラ。いや、単にハーモニカといえば、スナフキンというだけの連想ですが。
イパダダ戦
もう、今までの本作で一番のアクション編です。
ドラマはドラマで、新キャラも登場して一気に加速したわけですが、それでいてかつ、アクションも充実と、杞憂が晴れた感じです。
大量の犬魂式に対して、犬妖怪のトモスケが大苦戦。
援護するハシタカと、イパダダ本体に挑むサワモリという構図。
そこに助っ人に参上したトウベエさん。「拙者に任せるでござる」とチョーさんの声で喋る刀が大奮闘。
バッタバッタと犬魂式を切り刻むハシタカさん、そしてトモスケのアクションが見どころです。
そして、ついにザコを一掃し、イパダダ本体を追いつめます。さすがに強敵で、トモスケは気絶に追い込まれ、ハシタカとサワモリが縄で両手を封じるのですが、決め手に欠ける状況。
しかし、トウベエさんが持ち手なしに、イパダダに突貫。
額にプスッと突き刺さった……ように見えて、何だか封印の呪符みたいな物をペタンと貼り付ける。さすがに、取り付いた人間ごと殺しちゃまずいのか。
ともあれ、封印の呪力に苦しむイパダダ……で、つづく。
もっとも、次回のタイトルは、イパダダにちなんだ「囮怨」なので、相手側の反撃が予想されますが。
PS:ドラゴンナイトは2話分になって量があるので、明日に回します。