Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ディケイド総括(子供にまつわるライダー論・昭和編1)

 さて、夏場越えの更新リハビリということで、何を書こうかと思いましたが、やはりディケイドについて、何かの形で総括しておきたいな、と。
 まあ、ライダー大戦の結末については、今後の課題ですので、ここは、その一歩手前の「アマゾン編」に絡めて。
 ええと、アマゾン編は、高校野球で視聴の流れを乱されたこともあり、その前の「BLACK&RX編」に比べると、あまりハマれませんでした。
 それこそ、「エンリケ演じるあまぞんは、オリジナルに比べて……」とか、「ゴルゴスじゃない十面鬼なんて……」とネガティブな論調で、特撮掲示板の方では論じていたわけですね。
 しかし、あの話、「アマゾン編」ではなくて、「ショッカースクール編」ととらえれば、違った評価ができるのでは? と考えました。


 そもそも、ショッカースクール、すなわちメイン視聴者である子供たちを洗脳教育して、ショッカーの戦闘兵士に仕立て上げようという作戦は、元祖仮面ライダー第27話『ムカデラス怪人教室』を嚆矢とします。実に伝統的な作戦なんですね。
 他にも、ショッカーの洗脳作戦はいろいろあるのですが、特に子供たちをターゲットにしたのは、65話『怪人昆虫博士とショッカースクール』(登場怪人カブトロング)、91話『ゲルショッカー恐怖学校に入学せよ』(登場怪人ムカデタイガー)などが挙げられます。特に、最後の話は、少年仮面ライダー隊をそのまんま洗脳して、少年ゲルショッカー隊に塗り替えようという恐るべきもの。子供達だけでなく、大人のお姉さんや滝隊長まで操られるという危機的状況で、さらに物語のラストで、ライダーが強敵ムカデタイガーと相打ちになって行方不明、そして偽ライダー編につづくなどの超サービス編と言えます。
 さて、ショッカーもさることながら、「マサヒコ君が洗脳」というテーマに則するなら、オリジナルのアマゾンでも、そういう話がありましたよ。第19話の『出動、ガランダー少年部隊!!』(フクロウ獣人)がそうです。ゲドンじゃなく、ガランダーというのがポイントですね。これがゲドンのゴルゴスさんだったら、子供たちを洗脳するよりも、その血を飲むことに興味を持ちそうですから。まどろっこしい洗脳作戦なんてやってられないってわけですね。
 洗脳作戦、とりわけ子供達の洗脳というのは、やはり効果が上がるまでに時間が掛かるものですから、短絡的な破壊活動を主眼とする組織よりも、長期的な視野に立った戦略眼を持ち合わせた組織の方が行い得るものかもしれません。いや、まあ、ガランダーのゼロ大帝は戦略効果よりも、「作戦の面白さ」を優先する人なんですが(笑)。


 とりあえず、洗脳作戦の話は、これぐらいにして、本論ではもっと本質的な、「ライダーと子供の関わりについて」系譜をたどって行きたい、と思います。

仮面ライダー

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 まあ、一口に「仮面ライダー(元祖)」と言っても、時期によって、作品傾向は大きく異なります。
 旧1号編は、レギュラーの子供も登場せず、どちらかと言えば、陰鬱でアダルトな作風ですね。
 ゲストの子供を探すなら、姉をサラセニアンに誘拐された宮下健二君(4話)と、死神カメレオンに人質として拉致された砂田ユキちゃん(6、7話)と、ハチ女に父親を誘拐された池田サチコちゃん(8話)と、コブラ男を再生させるための血液採集のため飼い犬を誘拐された少年(10話)など、まあ、ショッカー怪人の被害にあった子供達と本郷が関わって……という流れですね。
 で、ショッカーの狙いも、子供を直接のターゲットにすることはなく、その父親とか家族に絡んで、というパターン。


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 そして、2号ライダーの登場により、作風が明るく変化。
 レギュラーにライダーガールや、五郎少年が加わり、仮面ライダーの周りには日常的に女子供が集まるようになっています。本稿が、ライダーヒロインについて論じるなら、旧1号編から継投のひろみや、最長登場のユリ、山本リンダ演じるマリ、その後の変遷について書いていくべきでしょうが、残念ながらテーマは子供。五郎少年にスポットを当てないといけません。
 ええと、五郎くん、ムカデラスの怪人教室で、「ジュニア・ショッカー員」にされている姿が印象的です。その作戦を考えたのは、ゾル大佐。頭脳明晰な子供を、兵士に仕立て上げるとは、さすが中近東出身の大幹部(偏見)。大ショッカーでは、リメイク登場しなかったのが残念ですが、あの軍服姿には「悪の組織っぽさ」が満載ですね……って、本稿の目的は、悪の幹部について語ることではなく、あくまで子供の話でした。
 意外なのは、五郎くんって、頭脳明晰だったんですよね。普段の言動からは、とてもそうは見えないのですが。人はまあ、見かけによらないってことで(何だか失礼)。


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 そんな五郎くんですが、65話のカブトロング洗脳話で降板。その前の62話で、友人のナオキとミツルを紹介し、2人が少年仮面ライダー隊の主軸になります。なお、ライダー隊の結成は74話。80話でショッカーはゲルショッカーに改編されますので、ライダー隊の敵はもっぱらショッカーではなく、ゲルショッカーだったわけですね。
 この時期になると、一文字の後を受けて帰ってきた本郷猛も、孤独の影を薄めて、滝隊長共々、子供達の頼れる兄貴分としての存在感を示しています。

仮面ライダーV3

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 そして、仮面ライダー1号&2号から、いろいろな物を継承した第3の男V3の登場です。
 彼が受け継いだ物の一つに、「少年仮面ライダー隊」の組織も含まれます。
 組織構成は、滝隊長が前作ラストでアメリカに帰り、また本部も番組初期話でデストロンに破壊されるなどで、改めて、ヒロイン珠純子の弟シゲル君中心に再結成されています(衣装も変更)。
 この作品では、エンディングも「少年仮面ライダー隊の歌」になるなど、ライダーと子供達の関わりが強くプッシュされ、黄金期を迎えます。
 しかし、43話以降のライダーマン編から、エンディングも、よりアクション色の強い「走れハリケーン」に変わり、復讐劇とライダー同士の対立ドラマを絡めて物語内容もハードになっていきます。この部分は、ドラマ色の強い平成ライダーに慣れた人にも、受け入れやすいだろう、と思います。

仮面ライダーX

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 少年仮面ライダー隊などレギュラーの子役を廃止し、ライダーマンの要素(ドラマの雰囲気の他、メカニック設定など)を受け継いだのが仮面ライダーXです。
 ドラマ的なアダルトさは序盤(第8話まで)のナレーション部分「敬介の恋人涼子はなぜGODについたのか? そして霧子とは?」からも明らか。さらに、本編中でも、Xが「人間ではないロボット」として、子供達から避けられる描写があり、次作と比べるなら、子供達の感情移入から距離を置く作風を取っているようにも感じられます。
 Xは、その後、ライバル戦士との対決を主体に描いたアポロガイスト編、そして巨大ロボットを起動させるRS装置の争奪編と、Xの強化や、ゲストライダーの登場などの話題性豊富なキングダーク編に分けられますが、いずれも子供中心の展開は少なく、後の宇宙刑事にも通じるメカニックアクションの楽しさがNOVAにとっては評価大の作品です。

仮面ライダーアマゾン

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 メカニックに対する野生、アダルトな作風に対する少年との絆など、いろいろとXライダーと対照的な作品がアマゾンライダーです。
 昭和ライダー数ある中で、少年レギュラーであるマサヒコ君との絆が最も強く描かれたのは、アマゾンと言って過言ではないでしょう。他の作品では、ライダー達は「頼れるお兄さん」ですが、アマゾンは「対等の友達」感覚なんですね。野生児ですから、文明社会では知らないことも多く、アマゾンに対してマサヒコ君は一方的に守られるのではなく、世の中の仕組みなんかを教える保護者的立場。
 そして、いつもはライダーの保護者は、立花のおやっさんの役割なんですが、本作では、生意気なマサヒコ君にバカにされるコメディーリリーフ的役割。
 怪奇色が原点回帰など、言われていますが、ドラマ的には、アマゾンの魅力は、「文明社会とは相容れない野生児が、子供との絆だけを頼りに過酷な戦いを繰り広げていく」点にあると言えましょう。

仮面ライダーストロンガー

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 NOVAにとっては、一番印象深くて好きなライダーが、ストロンガーです。
 本稿の論旨である「子供との関わり」については、ほぼ皆無ですな。基本的にディケイドと同じ「流離いのライダー」でして、レギュラーはストロンガーこと城茂と、パートナーのタックル岬ユリ子、それに同行者の立花のおやっさんだけ。子供たちが出てきても、大体、「ブラックサタンの怪人に襲われているのを、通りすがりの仮面ライダーが助ける」というパターン。
 本作は、これまでのライダーの集大成らしく、いろいろな要素を引き継いでいますが、対比させるなら、Xの後継者と言うべきでしょうね。
 各種の電気技に見られるメカニックさ、変身後にメタルヒーローよろしくギラギラ輝くXに対して、ストロンガーは火花がプシューと放たれます。これがNOVAには異様に格好良く見えたんですね。登場時の口笛や、名乗り時の「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ」は、子供時代にはその格好良さが分からなかったんですが、やはり火花が飛び散る視覚効果は他のライダーにはなかった特徴。
 そして、卑怯なタイタンと、紳士的なシャドウ、というライバル的な2代幹部。これはアポロガイストの後継者と言えるでしょう。アポロガイストは、登場回によって、紳士的だったり、卑怯だったり、性格が安定しておりませんが、黒いタイタン、白いシャドウの両者が共闘、あるいは対立する構図は、中盤のストロンガーのドラマを楽しくさせてくれます。あ、でも、この面白さは後年知ったことだから、子供心には通じなかったかも。
 連続活劇物としての面白さでは、やはりブラックサタン壊滅から、デルザー軍団登場に至る流れが最高ですね。ブラックサタンも内紛の多い組織でしたが、その後のデルザーに至っては、「強敵怪人に対してストロンガーピンチ→敵怪人同士の対立によって何とか危機を逃れる」など、無敵ではないヒーローの手に汗握るドラマが展開されます。これって、V3の序盤もそんな感じだったのですが、V3の場合はそれが「ライダーが弱く見える」ということで路線変更したのに対し、ストロンガーの場合は、「序盤は絶対無敵のヒーローとして描かれた」のが、対等格のライバル登場を経て、さらなる強敵出現という流れ。何だか、ドラゴンボールにも似た活劇の盛り上げ方ですな。
 で、悲劇のタックルの死を経て、ついに最強変身チャージアップ。これがライダー初のフォームチェンジと言えますな。回転する胸のS字や、シルバーに輝く角とビジュアル効果も抜群。改造電気人間→超電子人間という言葉のインパクトも格好いい(子供のときは、言葉の意味はよく分かっていませんでしたが、とにかく凄く聞こえた)。
 その後の、歴代ライダーの帰還、そしてキングダークを受け継ぐ巨大な大首領・岩石巨人戦は、Xをしのぐ盛り上がり方。
 物語中に子供が登場するかどうか、という形式的なことよりも、よほど子供達の気を引く活劇要素をこれでもか、と惜しげもなく取り入れたストロンガーこそ、ヒーロー物としての王道的な最高峰と評価します。(昭和編2につづく)


PS:ストロンガーに関しては、本稿の論旨を逸脱したベタぼめになっていますが、大好きな作品なので、公正に扱えないのは、大目に見てやってください。