Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

何だか殺人鬼の時代

14日の土曜日なので

 

ケイソン『ケケケケケイソーン! こんにちは、暗黒騎士ケイソンで〜す。みんなのアイドル殺人鬼だった80年代から時空を超えて、諸事情で復活。なんの因果か暗黒騎士に転職して、時空魔術師のマスターNOVAの塔内ダンジョンの管理役として、黙々と働いているデ〜ス。14日の土曜日だけは、魔力が充填して、こうして喋れるようになったので、読者の皆さんは今後とも世露死苦ネ』

NOVA「なお、次のケイソンの日は2023年10月なので、しばらく出番がないから、言いたいことがあれば今日のうちに言っておけ」

ケイソン『作者どの。ケイソン主役の物語をリクエストするデ〜ス。甲冑を着た寡黙な戦士が主役の物語は、需要があるはず』

NOVA「ゴブリンスレイヤーは、『小鬼殺しの人間』であって『殺人鬼』とは似て非なる存在だ」

ケイソン『しかし、今は「殺人鬼ライダー」とか「やめなさい! 手のひらパチンの血塗れタヌキガール」が旬なのでは?』

NOVA「そういう旬には乗りたくないと感じる俺がいるんだが?」

ケイソン『しかし、今年はマスターNOVAにとって、人殺しと向き合うメモリアルイヤーなので〜す』

NOVA「どういう意味だよ?」

ケイソン『今年はケイソンが生まれて40周年デース』

NOVA「ああ、お前は1983年生まれだったか」

ケイソン『そして1983年と言えば、この作品デース』

NOVA「正確には、『仕事人III』は82年10月スタートで、その年末に暴走族と戦ったのを意味も分からずにチラ見した後、俺が定期的に見るようになったのが83年の1月28日に放送された16話『饅頭売って稼いだのはお加代』からだったと記憶する。つまり、俺個人の必殺シリーズ視聴歴はもうすぐ40周年になるわけだな」

ケイソン『すなわち、マスターNOVAが殺しの世界に足を踏み入れて、40周年になるのデース』

NOVA「いやいや、殺し屋のドラマを見るのと、現実に人を殺すのを一緒にするなよ。フィクションで殺し屋やスプラッターホラー映画を楽しむからと言って、現実にそれを楽しむとは限らない。むしろ、フィクションだから楽しめるものを現実に持ち込むのはどうかと思うぞ。妄想は頭の中に留めておけ」

ケイソン『しかし、マスターNOVAは現実に人を殺したいと思ったことはないのデースか?』

NOVA「なくはないが、だからこそ、そういう抑えきれないネガティブ感情を題材に小説を書いたりもしたわけだし、表現の自由で発散することは罪ではないが(誰かを傷つけない範囲で)、明確に人を傷つける殺人は罪だろう」

ケイソン『1人を殺せば犯罪者だが、100万人を殺せば英雄デース。チャップリンがそう言ってマシタ』

NOVA「それは遠回しな戦争批判だな。実際のところ、その理屈は殺人行為の道徳的是非ではなく、社会制度への挑戦と維持を目的にした言説と考える」

ケイソン『どういうことデスか?』

NOVA「平和な社会において、それを脅かす殺人事件を起こすのは犯罪だ。逆に言えば、社会の安全を脅かさず、むしろ安全を守るための殺人行為は、その社会内では合法化されるということになる。すなわち、国を守るための戦争で人を殺すのは、その国においては正義となり、それを人は大義という」

ケイソン『個人的な動機で人を殺すのは犯罪で、集団や社会的な動機や必要性で人を殺すのは大義と言って、正当化されるということデスね』

NOVA「個人の命や人権よりも、集団や組織、国家の維持や安全を重視した考えだけどな。よって、集団や組織、国家の平和や安全を脅かす人物の排除は(その集団や組織、国家の範囲では)罪とは見なされないわけだ。もちろん、別の集団や組織、国家の視点では、異なる意見が出るだろうがな。自国にとっての英雄は、敵国にとっては大悪人扱いされたりもする」

ケイソン『反社会的組織にとっての英雄は、社会にとっては大悪人ということデスね』

NOVA「立場が変われば、見えている景色も変わるから、例えばショッカーにとっての仮面ライダーは許されざる裏切り者、大罪人という理屈になるし、仮面ライダーも当初は自分を『正義ではなく、人類の自由のために戦う』と定義づけている。もちろん、正義を呼称するライダーもいるけどな」

 

仮面ライダーの正義論

 

NOVA「ストロンガーが自分を正義と認定する背景には、敵のブラックサタンが人間ではなく、サタン虫という非人間種族というのが大きいな。最初の仮面ライダーの敵ショッカーは、人間を改造した改造人間の組織で、ライダー自身も相手を自分と同じように改造された人間だと自覚して、倒している。だから、ライダーの戦いには同族殺しの悲哀が伴うんだが、シリーズが進むにつれて、『相手も同じ改造された人間』という感覚は抜け落ちていく。

「続編のV3になると、『家族を悪の組織に殺された復讐者が、先代ヒーローの後継者として成長する主人公』が、やがて『自分と同じ復讐者としてライダーを始めた後輩を正義の使命に導く』までの物語がメインストーリーと言える。つまり、『復讐だけでは仮面ライダーではないが、戦士として戦う動機にはなる。一方で、正統な仮面ライダーらしい正義とは、人の社会を守ること』という方向性に落ち着くわけだな」

ケイソン『何かを壊すのが悪、何かを守るのが正義という伝統的ヒーロー哲学デスか』

NOVA「そして、ヒーローが悪を裁く立場に身を置くには、洗礼としてヒーローの大切な身内を悪の組織に殺害されるという儀式がしばしば付きまとうわけだ。それがX、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACKまでの昭和ライダーの系譜ってことで」

ケイソン『仮面ライダーは復讐鬼からスタートする?』

NOVA「例外は2号の一文字隼人だけだな。1号は恩師の博士、V3は両親と妹、ライダーマンは片腕と研究者仲間、Xは父の博士、アマゾンは育ての親たる老師バゴーと日本の保護者たるべき博士、ストロンガーは親友、スカイとスーパー1は恩師の博士、ZXは姉、BLACKは養父をそれぞれ悪の組織に殺されるところから物語が始まっている。すなわち、正義が正当化されるためには、自分も傷を負わないといけない、傷ついたからこそ自分と同じ被害者を出さないために、その元凶組織を退治することが許されるという理屈だな。もちろん、悪が活動して一般市民を苦しめているからこそ、復讐を越えて、社会正義の実践がヒーローとして求められているわけだが」

ケイソン『復讐で頭がいっぱいで、自らが日常社会を脅かす存在になってしまっては、本末転倒……ってことデスね』

NOVA「その社会正義がよく分かっていない異物として描かれたのが、仮面ライダーアマゾンだな。野生児ヒーローが守るべき社会は、親友のマサヒコ少年を通じて知らされる。

「また、さすらいのヒーローとして社会性を持たないという点では、ストロンガーも同じだ。他のライダーたちは立花藤兵衛などのおやっさんが協力者として、ライダーの日常の居場所を営んでいるのに対し、ストロンガーは拠点を持たずにブラックサタンの事件を追って、全国をバイクで旅している。人間社会を脅かすサタン虫と、人間性の薄い機械怪人の奇械人は悪以外の何者でもないので、それを追っているストロンガーは正義の戦士という理屈になって、堂々と公言しているわけだ」

ケイソン『そう名乗らないと、自らのアイデンティティーを保てないのが、ストロンガーってことデスね』

NOVA「社会生活を送ってない風来坊だからな。旅がテーマのディケイドさえ、写真店の居候という社会との接点があるわけだし、ここまで風来坊設定のライダーは他に類を見ないな」

 

ケイソン『平成ライダーは違うデスか?』

NOVA「総じて、拠点持ちだろう。また、BLACKから顕著になったのは、『自分のアイデンティティーを探る要素』と『敵に捕まった誰かを助ける、あるいは捕まりそうな誰かを守る要素』かな。BLACKの場合は、世紀王と呼ばれて狙われる自分や、捕まった親友の信彦を助けることに加え、謎の組織のゴルゴムの秘密を探ることが目的になる。この自分探し的な面は、アマゾンの『ギギの腕輪』の謎から受け継いだ要素であり、また真の『知らない間に改造された自分に秘められた謎を解明するドラマ』は、その後のアギトやギルスなどを経て、平成ライダーの物語の縦糸となっていく」

ケイソン『復讐ドラマではなく、謎解きドラマですネ』

NOVA「一方、『少年や少女、ヒロインを守る』という目的が前面に出たのも、ZO、J、そして平成ライダーに受け継がれた要素だ。もちろん昭和ライダーも、劇中で少年ライダー隊やライダーガールといったヒロインは存在したが、敵組織は別に普段から彼らを意図して狙っているわけじゃない。たまたま事件の現場に居合わせたとか、ライダーに付いて来ていたとか、被害者の知り合いで巻き込まれたとかで、たまに思いつきのように操ったり、人質にとったりすることはあっても、組織の戦略的な目標とは考えていないわけだ」

ケイソン「戦略的目標?」

NOVA「敵の作戦計画のために、どうしても必要で、何度もしつこく狙ってくる理由だ。例えば、『キカイダー01』の序盤のように、超兵器ジャイアントデビルの設計図を巡って、毎回のようにアキラ少年やヒロシ少年が狙われるような作劇パターンだな。ZOでは望月宏少年がドラスに狙われて、ZOがそれを守って戦うのがメインストーリー。一方のJは少女の木村加那ちゃんがマザーフォッグの生贄として狙われていた。女子供を拉致しようとするのは、普通に悪い奴なので、ヒーローが戦う動機として十分だろう。まあ、尺の短い映画だからストーリーを分かりやすく展開するための設定だろうな」

ケイソン『仮面ライダーTVシリーズでは、敵が毎回、特定のヒロインや子どもを狙うケースは、稀デスね』

NOVA「ストーリーパターンが単調になるからだろうな。キカイダーや01は『拠点を持たない放浪ヒーロー』だから、『光明寺博士の息子として狙われているマサル君』も姉のミツコさんと一緒に、父親探しの旅をしていたわけで、子どもなら当然の通学をしていない描写だな」

ケイソン『悪の組織に狙われて、定住生活をできない子どもってのは大変デース』

 

平成ライダーの正義論……への布石

 

NOVA「まあ、70年代から80年代の特撮ヒーローには、そこまでリアルな社会生活を考える必要はなかったんだが、90年代のレスキューポリス辺りからリアルさが高まっていく」

NOVA「ウィンスペクターは『怪人の登場しないヒーロー番組』で、特殊スーツを着た刑事と2体のサポートロボットがハイテク犯罪者を逮捕したり、人命救助に奔走したりする物語で、平成ライダーにも大きな影響を与えた作品シリーズだ」

NOVA「ウィンスペクターの前番組は、この作品」

ケイソン『法律の名の下に、悪の組織バイオロンの一味を完全抹殺する権限を与えられたのがジバン。何て恐ろしいヒーローなんデスか!?』

NOVA「お前、元殺人鬼キャラが言うセリフかよ」

ケイソン『殺人鬼というのは昔の話デス。今は自分の生き方について考え直してる、ただの暗黒騎士デスよ』

NOVA「暗黒騎士なら、これも参考になるんじゃないか?」

ケイソン『Oh、暗黒騎士ガウザーなんてキャラもいたんデスね』

NOVA「だったら、これも参考にすべきだな」

ケイソン『とにかく、シャンゼリオンという作品が、殺人鬼ライダーの王蛇=浅倉威のルーツであり、後の平成ライダーに与えた影響も大きいということデスね』

NOVA「あるいは、ドンブラザーズの原点かもしれない」

翔花「それは聞き捨てならないわね」

NOVA「うわ、お前、いたのかよ」

翔花「いないはずがないでしょう。ブログタイトルにも出ているメインヒロインなんだから」

晶華「メインヒロインは私よ。お姉ちゃんは後からアシスタントになった追加ヒーロー枠、サブヒロインなんだから」

翔花「ええと、わたしが花粉症ガール1号で、妹のアキちゃんは2号よね。主役は1号ってのが定番じゃないの?」

晶華「1号が海外に行った後で、2号が日本の平和を守って、変身ブームを起こしたのが仮面ライダーの歴史ってものよ。2号がいてこそ、シリーズが続くんだから」

翔花「そもそも、1号がいるからシリーズが始まるんじゃないの」

 

NOVA「こらこら。突然出てきて、いきなりケンカしてるんじゃねえよ」

ケイソン『ケケケケケイソーン!』

NOVA「何だ、そろそろ14日が終わるので、喋ることができなくなったのか。まだまだ、ケイソンに平成ライダーの豊潤たる正義の歴史をしようと思ったんだが、残念だが時間切れのようだ」

晶華「そういう話なら、アシスタントガールが相手するわ」

翔花「正義のヒーローと殺人行為の是非についてがテーマね。必殺とか、アンチヒーローやモンスターヒーローの話になるのかしら」

ケイソン『ケケケケケイソーン! ケンケケケケケケ・ケケイソーン!』

NOVA「何だと? 話すことはできなくても、聞くことはできるって? 暗黒騎士が生きる目的を見出すためにも、是非聞きたいって?」

晶華「すごい、NOVAちゃん。ケイソン語が分かるなんて」

NOVA「言霊魔術師だからな。しかし、読者のために、いちいち通訳するのは手間だから、ケイソンは黙って聞いてろ。それでいいな」

ケイソン『ケソッ♪』

 

NOVA「そんなわけで、今回の14日の土曜日イベント記事はこれで終わりだ。本当は、利便事屋の1、2話感想も書きたかったが、いろいろ寄り道したので、また後日ってことで」

(当記事 完)