Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

松本零士アニメの思い出話

宇宙ロマンの巨星墜つ

 

NOVA「昨日までD&D多元宇宙の話題に熱中している間に、気がつくと松本零士さんの逝去の報が入ってきた(涙)」

晶華「ここで誰それ? なんて質問していたら、NOVAちゃんのアシスタントは務まらないわね。ええと、『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』『銀河鉄道999』『1000年女王』など数多くの傑作宇宙SFの原作などを務めた人ね」

翔花「謹んで、ご冥福をお祈りします」

NOVA「哀悼の意と共に、少年時代に多くの夢とロマンを湧き立たせてくれたことに感謝を申し上げます」

晶華「NOVAちゃんが今こんななのも、松本零士さんの影響のおかげです。言わば、NOVAちゃんの魂の故郷になるのかも」

NOVA「そこまで言っていいのかは分からんが、確実に70年代の松本原作アニメが俺の嗜好の一端を作ったのは間違いないな。ただ、俺は松本零士さんの原作マンガは読んだことがないんだ。あくまで、アニメのみのお付き合い。それも基本は小学生時代だけで、大人になってからも追っかけたりもした石ノ森章太郎さんや手塚治虫さん、藤子不二雄さん、永井豪さん、横山光輝さんなどと違って、なぜか原作マンガとはご縁なく過ごした。だから、ファンと言っていいのかどうかは自分でも分からないんだ」

翔花「どうして?」

NOVA「どうしてって言われてもなあ。それらの大作家の先生方(ご存命なのは永井さんだけなのが哀しいが)と比べても別に格が劣るということもなく、避けて通る理由があるでもなく、それでいて何故かマンガ本を書店で見かけて購入しようとか、マンガ喫茶で読もうと思ったこともなく、この年まで読まずに来た。だから、氏の原作抜きに松本アニメを語るしかないんだが、ハーロックは水木さんや井上真樹夫さんのときに語っているし、う〜ん、と考えた挙句、俺が初めて見た松本アニメの話から振り返ることにする」

 

ダンガードAの話

 

晶華「ヤマトとか999じゃなくて、ロボットアニメからってのがNOVAちゃんらしいというか何というか」

NOVA「仕方ないだろう。俺がヤマトを最初に見たのは再放送からなんだから。ヤマトの本放送は74年で俺は物心ついていなかったし、初めての松本零士作品はダンガードA(77〜78年)で、しかも思い出深いロボットでもあるんだ」

翔花「どうして?」

NOVA「俺の子ども時代の枕カバーが、ダンガードAだったから。その前が75年の『宇宙の騎士テッカマン』で、つまり子ども時代の俺は、テッカマンとダンガードAと共に毎晩、宇宙の夢を枕にして眠っていたことになる。きっと俺の親は、子どもに『宇宙の騎士や宇宙パイロットになって、第2の地球を目指すように』と願いを込めていたに違いない。だから、こうして立派な多元宇宙を研究する時空魔術師に育ったんだな」

晶華「NOVAちゃん、それは妄想よ」

NOVA「まあ、さすがに親から『お前は将来、宇宙パイロットになれ』と言われて、しごかれた覚えはないが」

翔花「勇者になれ、と言われて、修行の旅に追い出されたことはあります」

NOVA「それが今では立派な神霊候補になるとはな。俺の夢の一つがかなったようだ」

翔花「どんな夢よ?」

NOVA「幼少期の俺はダンガードAを見て、宇宙パイロットにはなりたくないって思ったな。代わりに、主人公の父親の一文字断鉄、通称キャプテン・ダンみたいな大人になりたいって思ったんだ」

晶華「主人公よりも父親になりたいって、どういう子どもよ?」

NOVA「だって、主人公の一文字タクマって、宇宙パイロットになるために猛烈にしごかれて特訓させられるんだぜ。ダンさんにしごかれる主人公といえば、ウルトラマンレオが有名だが、タクマも子ども心にキツいなあってハードトレーニングをさせられていた。こんなことをしないと宇宙パイロットになれないってんじゃ、自分には絶対に無理って感じたものだ」

晶華「それで、どうして主人公をしごく父親が夢なのよ?」

NOVA「だって、仮面を付けた謎のコーチだぜ。実に格好いい役どころじゃないか。修行は厳しいが、これも息子の成長を想う親の愛ゆえにであることは明らかだ。それに、キャプテン・ダンの最期は、息子の成長を見届けて、自分のできなかった想いを託して壮絶に散るんだ。そして、その想いはきちんと息子にも届いて立派な勇者に育った。つまり、主人公を鍛え導く師匠みたいな格好いい大人だ。それに憧れない者はいないはず」

晶華「私は、そうは思わない。普通は主人公に憧れるものでしょ?」

NOVA「俺は普通じゃないからな。とにかく、幼少期にダンガードAを見て、キャプテン・ダンに憧れた子が大人になって何になったかと言われたら、多元宇宙を語る時空魔術師である一方、マスクを着けて生徒たちを厳しくも温かく教え導く塾講師だ。21日の昼間もテスト期間だったもんで、早く帰宅した中学生を教室に呼んで、最後の学年末テスト特訓をしていたんだぜ」

翔花「マスクって、顔を隠して授業していたの?」

NOVA「いや、もちろんコロナ対策の口マスクだけどな。それにメガネのブルーアイズだ。さすがに頭部全体を包む鉄仮面みたいなマスクで授業をするような教師は、リアルではそうそういるまい。俺がいくらキャプテン・ダンに憧れても、そこまでの域には至るのは困難だなあ。ともあれ、キャプテン・ダンの名前は、断鉄って本名と、ダンガードAのダンに通じるって話をさっき知って、おおって感じ入った。そうか、ダンさんの息子への想いは主人公ロボにも受け継がれていたんだなって」

翔花「そっかあ。NOVAちゃんがわたしを修行に追い出したのも、全てはキャプテン・ダンさんが元凶だったのね」

NOVA「元凶言うな。とにかく、ダンさんの声は柴田秀勝さん。かつてはサイボーグ父さんの兜剣造を演じ、グレートマジンガーの剣鉄也を戦闘のプロに鍛え上げ、最近は怪人開発部のある秘密結社アガスティアのライバルとも言える、悪の組織大手ブラックロアの総帥カイザーロアの声をしていたと聞くから驚きじゃないか。我らがドクターことウルシェードさんも、そっちで働いていたとも聞くし」

晶華「え? メガネンジャーの技術担当のドクターさんが、悪の組織で働いていたの? そんなことって許される?」

NOVA「まあ、それを言ったら、あの人はアベンジャーズの世界の神ゼウスの声もやったし、今は異世界で魔王ドルグの声として、元勇者の国王に倒された後で和解したとも聞くし、世界が変われば立ち位置も様々だ」

翔花「NOVAちゃんだって、一歩間違えれば妄魔時王になる未来に突入するしね」

NOVA「さすがに、その未来はもう消えたと思うがな。俺の夢は別に王様になることじゃないし」

晶華「マスクの教官になるって夢かあ」

NOVA「あくまで子どものときに何だかいいなあ、と思っていた程度の憧れだったが、気づけばそうなっていたと解釈できる事実だからな。このキャプテン・ダンのマスクを外した素顔は少しキャプテン・ハーロックを思わせる風貌で、息子のタクマは声がハーロックの台場正に引き継がれることになるんだが、それはさておき、このダンガードAには一つの心残りがある」

翔花「何?」

NOVA「グレンダイザーの後番組であるにも関わらず、今だにスパロボに参戦してないんだよ。もしもスパロボ参戦していれば、キャプテン・ダンとシャアとルルーシュの仮面対談が見られるかもしれないし、キャプテン・ダンを見て剣鉄也が「(兜剣造)所長に声が似ている? もしや仮面の中身は?」とか訝りながらも特訓の鬼として賛意を示すシーンがあるかもしれないし、スパロボの可能性もいっそう広がって、もっとキャプテン・ダンに憧れる若者が増える未来があったのかもしれないのによ。今はまだ彼の知名度が低すぎて、キャプテン・ダンの良さを分かる人間はマニアックもいいところだ」

晶華「そういうマニアックなところもNOVAちゃんのツボでしょう?」

NOVA「ただし、俺の趣味志向の一つを築いたダンガードAだが、松本零士さんは否定的だったんだな。巨大ロボットが好きじゃなかったみたいだし、原作マンガはダンガードAがほぼ登場しないらしいし、アニメとは基本設定を除けば、ほぼ別物の作風だったようだ」

NOVA「ヤマトが出て、ハーロックも出ているんだから、ダンガードAだってスパロボに出てもいいと思うんだが、やはり神谷明さんの声は出せなくなっているんだろうなあ、と思うと残念だ。スパロボ神谷明復活となると、オールドファンは大歓喜間違いないと思うが、逆に言えば、オールドファンにしかウケないようじゃダメだし、今は思い出話に留めておくにしていよう」

 

光速エスパーの話

 

NOVA「で、ダンガードの次はスタージンガーにつながるんだが、その前に……」

NOVA「松本零士さんはSFメカアニメの大御所ではあったのだが、実写特撮には縁がないので、その辺も俺にとっては大人になってからの縁がやや薄い人になってしまったのかなあと思いながら、この度の訃報で改めて調べると、こういう作品が発掘できたような気分だ」

NOVA「故人のマンガ家デビューは1954年だが、初期は読み切りや3ヶ月までの短期集中が多い。本格的に雑誌連載を持つようになったのは68年の『セクサロイド』から」

NOVA「『光速エスパー』は67〜68年で、元々の原作マンガはあさのりじさんが66年に『少年』誌で連載していた作品だ」

NOVA「TVドラマ版は、『強化服を身に付けた少年が超能力を発揮して、怪事件を解決する話』という設定だけを原作から借りて、ほぼオリジナルのストーリーを構築している。後にあさのりじ版がTVの設定を取り入れる形になったが、一方で松本版はTVドラマ放送後にタイトルだけ借りた、こちらも完全に別作品となっている」

翔花「ええと、3つのバージョンの光速エスパーがあるっていうこと?」

NOVA「ああ。俺も今初めて調べて知ったんだがな。まず、主人公の名前からして違う」

 

・あさのりじ版(原作マンガ):速見光一。後に主人公名がドラマ版に準じて、東ヒカルに改名される。

・TVドラマ版:東ヒカル。後に、強化服を作った朝川博士の息子の朝川光一がエスパー2号としてサポートする。

松本零士版(コミカライズ):古代すすむ。

 

晶華「ちょっと、それはヤマトの主人公でしょ」

NOVA「そうだな。ええと、名前がヤマトの主人公に流用され、性格は999の星野鉄郎の原形だそうだ。よって、松本零士マンガの研究者は後の松本SFのルーツとも見なしているらしい。俺は寡聞にして知らなかったが」

翔花「知らないんじゃ、思い出話とも言えないわね」

NOVA「まあ、そうだな。しかし、俺よりもマニアックな読者の人には、懐かしい思い出かもしれないじゃないか。そういう人のノスタルジーを喚起したり、知らない人のトリビア程度になればいいかもな。とにかく、俺はTVドラマの『光速エスパー』も断片的にしか知らないし(実物ドラマを見たことがない)、ネタと言えばエスパーのマスコット鳥ロボのチカが、スパロボシュウ・シラカワの使い魔に採用されたってことぐらいしか思いつかん」

晶華「何かと言えば、スパロボにつなげようとするんだから」

NOVA「そりゃあ、多元宇宙なんだからつながるさ。で、本題は松本版なんだが、これはTVドラマ終了後に描かれたものなんだな。68年1月にTV版エスパーが終了し、原作のあさのりじ版も同じ時期に雑誌の休刊と共に終了した。だけどTV版が再放送でまた人気が出たので、それを追い風に松本さんに同タイトルでの続編を書かないか、という打診が来た。松本さんは『続編じゃなくて、オリジナルでストーリーを作らせてくれるなら』って言い出して、編集部もそれを了承した」

晶華「大らかな時代だったのね」

NOVA「原作マンガは宇宙ステーション勤務の両親の元で育った宇宙育ちの少年が、微弱な超能力を持っていたんだが、天才科学者のノーマン博士と彼に反旗を翻した電子頭脳の率いる『サイボーグ団』の抗争に巻き込まれて、博士の作ったスーツの装着者となる、地球と宇宙を股にかけたSFだ。

「TVドラマ版はごく普通の少年が、善意の宇宙人のエスパー星人と悪のギロン星人の争いに巻き込まれて両親を殺されてしまい、お詫びにエスパー星人は両親の体に憑依して、ウルトラマンのように復活させる」

翔花「だったら、両親が代わりに戦えばいいのに」

NOVA「いや、エスパー星人は超科学を持つが、戦闘能力は高くないんだ。ギロン星人にも対等の戦いではなくて、地球に逃げて来た亡命者扱いだな。だけど、超科学の助けで、地球人の朝川博士が強化スーツを作ったことで、ギロン星人に対抗できるようになったんだ。それに、両親は死んでるので、いかに宇宙人が憑依して、かりそめの命を保って日常生活を送れているとしても、激しい運動をすれば憑依状態を維持できなくなるかもしれない」

晶華「その辺は、ウルトラ一族とは違うのね」

NOVA「やはり、地球は地球人の手で守らないとな」

 

翔花「それで松本版は?」

NOVA「主人公の古代すすむは、宇宙人の少年だ。故郷の星が軍事クーデターで独裁者が支配するようになり、平和レジスタンスの一家が地球に逃れてくる。一家の両親は戦うために宇宙に再度旅立ち、息子は負傷によって長距離ワープに耐えられないからという理由で、地球の古代博士の息子として過ごすことになった。ちなみに、古代博士は『妄想怪人博士』の別名を持つ兵器改造の権威で、息子のまもるを交通事故で失った過去がある。だから、息子の命を守るための強化スーツを作るのに情熱を燃やしているって設定だ」

晶華「そういう博士が、宇宙の亡命者を養子に迎え入れ、侵略宇宙人と戦う態勢を整えるのね」

NOVA「そして、古代博士は凄くて、子どもを守るために自律思考型の巨大ロボ(身長10〜20m)『マグナムD』も製作していたんだが、性格が凶暴で制御できないから旧日本軍の地下要塞を改造した施設に封印していたらしい。それがエスパーに懐いてサポート役として立ち回る展開だそうだ」

翔花「スパロボにも登場させられそうね、マグナムD」

NOVA「出たら驚きだよ。『光速エスパー松本零士版)』がスパロボに参戦ってニュースが万一にも出たら、特撮ファンは『え? エスパーにロボは出てないでしょ』って反応するし、松本ファンは『え? 松本零士は巨大ロボ嫌いなのでは? そんなのを出すぐらいなら、ダンガードAを出せよ。あっ、神谷さんだから無理か』って反応するだろうし、まあ、どこをとってもサプライズなのは間違いないな。少なくとも、昨日までの俺だったら、同じ反応をしていたろう」

翔花「今は?」

NOVA「フッ、とうとう来たか。まさかとは思ったが、あり得ないことではない。当然、想定の範囲内だ……とつぶやく準備をする」

晶華「とって付けたような妄想はそれぐらいにして、思い出話に戻るわよ。この記事が、故人の訃報を受けての追悼記事だって忘れてない?」

NOVA「いや、もちろん、松本零士さんの逝去は悲しいことなんだが、渡辺宙明さんや水木一郎さんの時のように、嗚咽とともにこみ上げてくるものがないんだよな。理由は、子どものときはあれこれ世話になったけど、大人になってからの縁が薄くなった御仁で、『昔はお年玉をくれたけど、最近は疎遠になっていた親戚の遠いおじさん』みたいな感覚なんだ。これが水木さんだったら『ずっとお世話になりっぱなしのアニキ』って感覚なんだけど、やはりSFファンとして忘れられない思い出の人だけど、その後は深く付き合いがないから、むしろ、これから改めて知りたくなったって感じ? いなくなって初めて、偉業を再確認したくなったって言うか、偲ぶんじゃなくて再発見の機にしたいってか?」

 

タージンガーの話

 

NOVA「で、時代を戻して、スタージンガー(78〜79年)に至る」

NOVA「この作品にも、寝るときにお世話になった記憶があるな」

晶華「また、枕カバー?」

NOVA「いや、夏の掛け布団代わりに使うタオルケットだ。とにかく、ダンガードAを枕に、スタージンガーのタオルケットに包まれた1人の子どもは、幸せな宇宙の夢を見ながら、惑星プロメテや大王星に行ったような気分に浸っていたものさ、たぶん」

翔花「で、その夢は今も続いているのね」

NOVA「ああ、厳しい特訓を頑張って宇宙パイロットになりたいとは思わなかったが、ジャン・クーゴたちみたいにサイボーグになったらいいな、なんて思ってた。石ノ森さんはサイボーグの哀しみをテーマにしていたが、松本さんはそこまでサイボーグを否定していなかったと記憶する。ただし、999の時期を経て、『機械の体より人間の限られた命の方が素晴らしい』的なテーマに移るようになっていた印象だ」

晶華「この作品はSF西遊記の副題のとおり、孫悟空猪八戒沙悟浄の役割を模した3人のお供が、三蔵役のオーロラ姫を護衛して、天竺の代わりに宇宙の大王星にお経を取りに行く話ね」

NOVA「惜しい。お経ではなくて、オーロラ姫が大王星の新たな女王候補として、宇宙の平和のために向かうんだ。大王星の女王はギャラクシーエネルギーを発動することで、平和の思念波をあまねく宇宙に満たすことができる。しかし、先代女王が年老いて、ギャラクシーエネルギーを維持できなくなったから、宇宙がモンスターのはびこる乱世になった。だから、地球で育てられたオーロラ姫が後継女王としての使命を果たすために、はるか大王星へ向かうんだ」

NOVA「で、スタージンガーの次に、俺のファンタジー志向に影響を与えた『燃えろアーサー』の時代に続くんだが、そちらは松本零士さんの軌道からは外れるから、主題歌だけを流す」

 

松本宇宙の王道話(主にヤマト編)

 

NOVA「さて、いくつか寄り道もしたが、俺にとっての王道は以上だな」

晶華「世間一般の王道とは言えないような気がするんだけど。やっぱり普通は『宇宙戦艦ヤマト』と『銀河鉄道999』を挙げるものじゃないの?」

NOVA「世間一般の訃報ニュースは大体それだな。しかし、俺に言わせれば、松本零士さんと言えば何を置いても『キャプテン・ハーロック』でしょう、となる」

翔花「『キャプテン・ダン』じゃなくて?」

NOVA「いや、それは俺の幼少期の特殊な思い出であって、仮面の父親像はその後、『スター・ウォーズ』に通じるとか、いろいろ系譜をつなげることもできそうだが、あさっての方向に飛んで行きそうなので自粛。とにかく『宇宙戦艦ヤマト』と『キャプテン・ハーロック』と『銀河鉄道999』と『1000年女王』は世界観がリンクしているし、俺にとっては初の多元宇宙を実感させてくれた作品群だ。ここ重要な」

晶華「ヤマトさんとハーロックさんが、どうつながってるのよ?」

NOVA「初期案では、古代進の兄の守がハーロックだって設定があった。もっとも、その設定はヤマトの放送が短縮されたためにボツ案になったんだが」

翔花「ボツ案だから、実現しなかった未来ってことね」

NOVA「ヤマトという作品シリーズは、後からつぎはぎ的に設定が改変されて来たから、最初は第一作のイスカンダル女王スターシャが死んでいた話もあったのが、やっぱり生きていましたって直されたり、劇場版『さらば』で散って行ったヤマトの乗員がTV版『2』で死ななかったことになったり、その辺の時期によるバージョン違いなストーリーがいろいろあって、リアルタイムで公式ストーリーが変えられて行った。もちろん、ヤマト2199以降のリメイクに至る以前だ」

晶華「ダメじゃない(呆れ)」

NOVA「ヤマトの当時は、ビデオ録画が簡単な環境でもなく、アニメ雑誌もなく、アニメを研究する大人もいず、作品内での矛盾を突くマニアも数少なかった。ヤマトの再放送を機に生じたブームに乗る形で、アニメ雑誌やファン活動が生まれていく時流となったわけだ。その意味で、ヤマト以前とヤマト以後のアニメ作品の受け取られ方は全然異なるわけだが、俺はヤマト以前の時代の空気は人の話でしか知らないし、ファン活動の動きを知るようになったのは79年のガンダム以降のことだからな」

晶華「74年のヤマト時代以前を知るのは60年代生まれの人ってことになるのか」

NOVA「ところで今さら気づいたんだが、ヤマトって最初のD&Dと同じ年の作品なんだな」

翔花「すると、来年で50周年ってことね」

NOVA「俺が見たヤマトは75年以降の再放送ってことになるが、子ども心にヤマトって『古いアニメ』って印象が拭えなかったんだな。未来のSFなんだけど、破滅に瀕した地球でやたらと暗くて、見ていてワクワクできる作品じゃなかった。ロボットアニメに比べて、よく分からん作品で、いまいちハマりきれなかったんだ。OPの歌は格好良いし、波動砲も燃える。でも、到底好きなアニメとは言えなかった。何だかよく分かってないけど、子ども向けTV雑誌なんかでは凄い作品とプッシュしている。時代の空気の中で凄いもんだと思いながら、でも好きなのはグレンダイザーとか、ゲッターロボGとか、コン・バトラーとかロボットアニメで、SFだと再放送のゼロテスターとか、バビル2世の方が好きだった。世間で言う凄いと、自分の好きは違うってことを感じていたな」

晶華「そりゃあ、71年生まれだったら、ヤマトブームに火が付いたのって5歳か6歳の時じゃない? かなり難しいと思うわよ」

NOVA「言われてみれば、そうか。俺はヤマトよりもブルーノアにハマった子どもだったからな。ブルーノアは79年だから、その頃には話が理解できるようになっていたようだ」

晶華「ブルーノアって、松本零士さん、関係ないよね?」

NOVA「関係ないけど、ヤマトの幼少期の思い出って、俺の中ではブルーノアよりも古臭いアニメって印象になるんだ。ヤマト派とブルーノア派の子ども論争があって、ヤマトは基礎教養で、俺の周りのみんなが知ってる番組だった。ブルーノアは新参作品で、ヤマト派の言い分は『ブルーノアは宇宙に行かないじゃないか?』ってもので、ブルーノア派は『ブルーノアは看板を広げた変形機構が、いかにも翼みたいで格好いい。ヤマトの翼は何だ? あんなのでよく空が飛べるな。あり得んでしょ』って感じに反論すると、『そう言うのはブルーノアが飛んでから言え』って返り討ちにされた(涙)」

翔花「NOVAちゃんはブルーノア派だったのね」

NOVA「ヤマトなんて嫌いだ(涙)……って今ごろ、小学校時代の思い出と気持ちが蘇って来たじゃないか。そう、好き嫌いで言えば、ヤマトは好きじゃなかったんだ。いや、食わず嫌いじゃなくて、見てはいたけど、キャラとかは理解していたけど、どうも何が面白いのかは分からない。分からないけど、何となくで見ていたな。TVっ子だったから」

晶華「でも、好きなのはブルーノアだった、と」

NOVA「ヤマトの方が凄いってのは、肌で分かっていたんだよ。地球に迫り来る白色彗星って怖かったし」

NOVA「俺にとってのヤマト原体験って、最初のヤマトとヤマト2がごちゃ混ぜになっていて、それに劇場版の『さらば』の知識も混ざっていて、『2022』談議を友人としていた時に、いろいろ整理しないといけないって感じたこともあったわけで」

晶華「だったら、私たちも整理しないといけないわね。いろいろな知識がごちゃ混ぜになっているNOVAちゃんのせいで、ひどいことになっているから」

翔花「うん、わたしの中では、古代守さんと、キャプテン・ハーロックさんと、キャプテン・ダンさんと、光速エスパーさんの死んだ古代博士の息子さんがごちゃ混ぜよ」

NOVA「それだけ、松本零士さんの作り上げた世界は奥が深いってことだな。難解で読み解くのに時間が掛かると思う」

晶華「勝手につなげて、話をさらに難解にしてるのはNOVAちゃんだと思う。ええと、NOVAちゃんは小学校時代に新参のブルーノア派で、古参のヤマト派にイジメられて、泣いていたってことでいい?」

NOVA「ああ、そうさ。結局、ブルーノアは後に続かなかったので、俺も泣く泣く諦めて、ヤマト3に追随するしかなかったんだ。1980年の話だ。一方でウルトラマン80を見ながら、ヤマト3を理解に努めた9歳ってことになるな」

NOVA「オリジナル版ヤマトのTV版は3作あるんだが、OPは全部同じ。イスカンダル星が目的地でない2でも、イスカンダル星がなくなった後の3でも、OP主題歌はみんな『宇宙の彼方イスカンダルへ』となっている。いや、曲は格好いいからいいけど、せめて歌詞ぐらい変えろよって思ったな。2では『宇宙の彼方テレザートへ』とか、3では『宇宙の彼方』……ええと、目的地はどこだっけ?」

晶華「分かってないの?」

NOVA「ヤマト3は、TV3作中で最も話が難解なんだよ。1はガミラスが敵で、2は白色彗星が敵だってのは分かる。3は、ボラー連邦とガルマン帝国の2つの星間国家の宇宙戦争に巻き込まれた地球の太陽が、ガルマン帝国の撃った惑星破壊ミサイルの流れ弾によって核融合異常促進状態となり、残り1年の寿命を迎えることに。またも生じた地球滅亡の危機に、今度は『第2の地球発見の使命』を帯びたヤマトが出航する設定だ」

翔花「だったら、『宇宙の彼方・第2の地球へ』って歌詞を変えると良さそうね」

NOVA「いや、語呂が悪くね? イスカンダルが6音だから、6音にしようよ」

晶華「テレザートは5音よ」

NOVA「そりゃあ、テレザートーへ、と少し伸ばせば何とかなる」

翔花「だったら、地球と書いてテラと読むってのは?」

NOVA「ダイニノテラか、悪くはない……けど分かりにくいな。まあ、何にせよ、第2の地球は見つからず、代わりにガルマン帝国の長が、知り合いのデスラーだって分かって、事態が改善を迎えるんだな。ガミラスがヤマトのせいで滅亡したデスラーは、いろいろあって、ヤマトと仲直りした後、ガミラスの再建を志して、新たにガルマン=ガミラス帝国を作っていたんだ。まるで、ショッカーが滅びた後の大首領がアフリカのゲルダム団と手を組んでゲルショッカーを作ったようにな」

晶華「ガルマン=ガミラスねえ。つまり、地球滅亡の危機をもたらしたのは?」

NOVA「デスラー曰く、『悪い。うちの者の不始末で、地球に迷惑かけちまったな。お詫びに第2の地球探しに協力するわ』と言ってくれたものの、いろいろあって、いい星が見つからず、代わりに古代文明の遺跡から太陽制御できる装置ハイドロコスモジェン砲を見つけて目的達成。あとはその砲を太陽に向けて発射すれば太陽系の危機は去るってことで、ヤマトが準備していると、ボラー連邦が邪魔してきたので、『こいつらはうちが相手してやる。お前たちには手を出させない』とデスラーが支援してくれたので、感謝しながら太陽を撃ってハッピーエンド。ただし……」

翔花「ただし?」

NOVA「ヤマト3は、主人公の古代進が成長して立派な艦長になったので、新たに成長する若者枠として土門竜介って準主人公を用意していたんだな。この土門の成長譚として見続けていると、最後の最後で殺されちゃったんだ。いや、彼の犠牲のおかげで地球は救われましたって終わり方なんだけど、沖田艦長や土方艦長といったベテランが若者に後事を託して散るのは分かる。でも、成長を描いた若者を最後に殺した挙句、続く劇場版の完結編では、沖田艦長の復活のために古代まで艦長から下ろして、彼のこれまでの成長すらスポイルしてしまう作品となった。続編を作るための都合とは言え、主人公の成長をなしにするようなドラマ展開はがっかりしたなってのが、今も続く当時からの感想」

翔花「当時からの……って、9歳の時に、そういうややこしいストーリーを理解していたってこと?」

NOVA「細かいことは、いま、Wikipediaで確認しながらだが、大筋は理解していたと思う。ただ、視聴当時に分からなかったのはエンディングの映像の意味だな。実は、同年、ヤマト3の前に劇場上映していた『ヤマトよ永遠に』の最後の方のシーンだったんだが、ヤマト3の話とは全く関係ない。俺がその映画を見たのは後にTV放送された時だったので、後から『ああ、そういうことだったのか』と話がつながって納得した次第」

晶華「今だったら、ネットで調べられるのにね」

NOVA「幼少期に疑問に思っていたことが、後から追加情報で答えが出ることもあったな。疑問そのものを覚えてさえいたら」

NOVA「ヤマト3はエンディングが3種類あるんだな」

NOVA「ともあれ、最初のヤマトが74年で、劇場版の完結編が83年。その間に、俺も幼少期から中学生に成長し、ヤマトの物語を理解できるようになっていったんだが、それで思ったことは結局のところ、俺はヤマトのドラマが好きになれなかったってことだ」

晶華「はい? 結局、そういう結論なの!?」

NOVA『いや、キャラが嫌いってことでもなく、ただ、壮大なスペクタクルを示すために、キャラクターのドラマの継続性とか、世界観とか、その度にリセットされたりして、サプライズはあるけど感情移入とか納得感が欠けるなあ、と。その辺は、やはりハーロックとか999の方が俺には相性が良くて、ロマンを感じさせてくれたんだけど、ヤマトは松本零士さんがキャラクターイメージや作品設定を提供しつつ、西崎プロデューサーの方針と噛み合わずに後年、揉めた理由も納得できるというか、この辺は著作権を巡る問題で色々ややこしいんだよな。

「俺は松本零士派と先に明言しておいた上で。当時のヤマトという作品が大ブームを起こしたけど、俺の全面的なお気に入り作品ってわけじゃなく、一方でハーロックや999は大好きって理由がいまいち不明だったけど、東映アニメは松本零士色が強く、昔のヤマトは松本零士イメージだけはあっても、ロマンや憧れを感じにくいというか、ハーロックアルカディア号や999には乗りたいけど、ヤマトには乗りたくないっていうか、そんな感じ?」

翔花「だったら、ブルーノアは?」

NOVA「うっ……。小学時代なら確実にブルーノアだが、今だと……う〜ん、まあ、よく分からん。ところで、ヤマトと言えば、最新作のこいつも気にしながら、そのうち見る機会も作れるだろう」

晶華「今のヤマトは嫌い?」

NOVA「スパロボV効果で、2199は好きだぞ。2202は好きな部分と嫌いな部分があって、自分の中でも賛否両論だが、続きがまた気になる展開だったな。まあ、ヤマトは大作ゆえに妙な思い入れがあって(自分の中ではややネガティブ寄り)、単純に割り切ることができないシリーズってことで」

(当記事 完。ハーロック以降は次の機会に)