Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

続々・D&D多元宇宙のよもやま話

昔話はなおも続く

 

NOVA「D&Dの新作を機に、多元宇宙というテーマで延々と懐古話をしているんだが、前回はスペルジャマーと、GURPSと、TORGの話をして、TRPGのマルチジャンル志向について語ってみた」

晶華「D&Dさんが流行のマルチジャンルに手を伸ばしたんだけど、古いシステムが硬直していて、うまく対応できなかったって話ね」

NOVA「まあ、業界トップだった王者TSRが敗れた直接の原因は、『マジック:ザ・ギャザリング』(MTG)という新形態のゲーム(トレーディングカードゲームTCG)が93年に出て、市場を塗り替えて行ったからなんだけどな」

翔花「カードを使って、モンスターを召喚したり、魔法の呪文を発動したりして、相手のライフポイントをゼロにした方が勝つ対戦型カードゲームね」

NOVA「TCGが売れた要因はいろいろ分析されているが、3点ほど挙げると、『1.手軽で安い』『2.収集癖を満たしてくれて中毒性が高い』『3.プレイヤー2人で短時間にくり返し遊べる』ということになるか」

晶華「競技性が高くて、トーナメントなどのイベント向きってこともあるわね」

NOVA「それはある程度、売れた後の話だな。ともあれ、MTGのブームに際して、アナログゲーム業界も対応すべく動く。SNEは97年に『モンスターコレクションTCG』を発売するが、そのテストプレイは俺も参加したことがある。ただ、俺の出したアイデアは却下されたりしながら、まあ、俺の嗜好には合わないゲームだなって思ったりした。TCGについては、TRPG冬の時代の直接の原因だったこともあり、あまり良い感情を持っていなかったのも90年代当時だな」

翔花「今は?」

NOVA「大変、魅力的な商品だと思っているよ。モンコレ以外にも、99年の『遊⭐︎戯⭐︎王OCG』や96年の『ポケモンカードゲーム』が老舗になるな。カードを集めるって商品形態は昔からあったけど、それで自分独自のデッキを作って、対戦形式にするアイデアというのは、それを発案したリチャード・ガーフィールドの慧眼ぶりを尊敬したいし、そのアイデアを形にしたウィザーズの創設者にして初代社長ピーター・アドキソンの偉業もアナログゲーム史にしっかり載せられることになるだろうな」

晶華「ゲームって、作る人と売り出す人の両輪が上手く回ってこそヒットするものね」

NOVA「出版で言えば、作家と編集者の関係だな。とにかく、TCGは一時のブームに留まらずにアナログ業界の形態を大きく変えて、さらにフィクション界にも多大な影響を与えた。『仮面ライダー龍騎』(2002)からカードの力で戦うヒーローが出現して、その後も収集できる関連商品の流れを生み出すし、カード(呪符)を使った封印と契約イメージとか、カードをいかに格好いいアクションの小物として活用するかとか、リアルな世の中のあれこれがカードで動くようになっている現状とか、ゲームの世界を越えてカード時代となっている」

晶華「世の中の全てがカードで動く時代かあ。それこそ、何だか魔法みたいな状況ね」

NOVA「ともあれ、王者のD&Dを倒したMTGの作り主であるガーフィールドとアドキソンが、どちらもD&D大好きなゲーマーだったというのが面白い逸話なんだろうな。2人の物語は、硬直したTSRブランドに封じ込められたD&Dというお宝を解放した勇者であるかのように語られている。そこから、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストWotC)という新会社によるD&Dの再生が開始されるんだ」

 

グレイホークからの再出発

 

NOVA「日本のD&D事情に目を向けると、91年のアドバンストD&D導入に失敗して、新和が倒産し、角川系列のメディアワークスとSNEのタッグで、クラシックD&Dとミスタラ世界(旧ガゼッタワールド)の再展開が為される。同時期に、カプコンがアーケードのアクションゲームとしてクラシックD&Dを題材に売り出した。『D&Dタワー・オヴ・ドゥーム』(1994)と『D&Dシャドウ・オーバー・ミスタラ』(1996)だが、ミスタラの名前はそっちで知った人も多そうだ。その後、セガサターンで家庭用ゲームにセットで移植された後(1999)、2013年にPS3で復刻している」

晶華「ミスタラを冒険者生活の原点だって考えてるオールドゲーマーさんも多そうね」

NOVA「カラメイコス大公国とか、ブラックイーグル男爵領とか、悪の魔術師バーグルと聞いて懐かしがれるのが、クラシックD&Dファン。まあ、アルファティアとジアティスとの壮大な帝国同士の激突と聞いてワクワクできる人間は、相応の深みにハマっていると考えるが(コンパニオン以降、黒箱マスタールールでの情報)、そんなミスタラの物語は1997年に打ち切られ、D&Dの版権はTSRからWotCに渡り、その結果、マジックの日本語展開をしていたホビージャパン社が幸運にもD&Dの版権を手に入れたのが、去年の夏までの話だ」

晶華「ええと、日本の翻訳発行元で考えるなら、最初の新和時代(85〜93)、SNEが担当したメディアワークス時代(94〜97)、3版〜5版まで続いたホビージャパン時代(02〜22)、そして昨年末に再始動したWotCジャパン時代(22〜)ってことね」

NOVA「5版の途中からの引き継ぎってことになるが、ウィザーズの日本展開がどうなって行くかをドキドキ見守りつつ、かつてのTSR末期のような兆候が見え隠れしたのが昨年末からの動きだったからな。まあ、それはともかくとして、D&Dの3版と5版は大成功と言われている。とりわけ3版の大改革が特筆に値するな」

晶華「多元宇宙の流れに対応できない古いシステムのD&Dを、新世紀に合わせて大幅にブラッシュアップした作品ってことね」

NOVA「まず、クラシックD&DとアドバンストD&Dの2系統に分かれていたのを、アドバンストの流れをくむ新生D&Dの3版に一本化したのが大きい」

翔花「2系統に分かれていたのがおかしいもんね」

NOVA「その辺は、複雑な版権争いの結果だと、ゲイリーさんの伝記に書かれていたことで納得した。オリジナルD&Dはゲイリーさんと相方のデイブ・アーンソンさんの共同開発だったけど、ゲイリーさんとデイブさんの仲がこじれたので、ゲイリーさんは自分だけのアドバンストD&Dを立ち上げた。そして元のD&Dはアドバンスト版のベーシックルールとして組み替えられ、その後、アドバンストと独立したクラシックD&Dの路線となった(デザイナーはゲイリーさんの新たな弟子となったフランク・メンツァーさん)。

「しかし、80年代の半ばごろにゲイリー下ろしの風がTSR社内に吹いて、アドバンスト2版はゲイリー色を払拭するために、システムの整理という名目で作られたという説もある。ゲイリー信奉者は、2版から背を向け、初版のプレイを続けていたと聞くから驚きだ。結果的に2版は向こうのマニアの琴線に響かず、日本とは別の形で不遇の作品となった。いろいろと新しい挑戦はしたんだけどなあ」

晶華「そこで、3版になるのね」

NOVA「まず、何よりも『自分たちは元のD&Dの精神や面白さを大切に考えていますよ』ってアピールが為された。それが、ゲイリーさんの作ったグレイホークの要素を、たっぷりルールブックに込めること。プリーストの信じる神は全部グレイホークに基づいてるし、グレイホークのワールドガイドも改めて出すし、とにかくゲイリーさんの継承者であることを全面に押し出した。オールドマニアにとっては『実に分かっているじゃないか』って評価になる」

翔花「そんなに影響力があったんだ、ゲイリーさんって」

NOVA「仮面ライダー界における石ノ森章太郎さんと同じくらいの神扱いだな。もしも、今、東映さんが『今度の仮面ライダーは石ノ森色を一切排して、東映独自のヒーローにします』と宣言したら、『そんなのは仮面ライダーじゃねえ』とファンの怒りを買うだろう。まあ、龍騎とかファイズとかの作風にどれだけ石ノ森色が込められていたかは置いておいて、やはり原作者への敬意を会社があからさまに踏みにじったら、ファンは怒るってことなんだろうな」

晶華「逆に言えば、原作者への敬意を示してさえいれば、多少の改変は許されるってこと?」

NOVA「この辺は、改変した理由はこうだってデザイナーがマニアックなファンにきちんと説明していて、納得を得られたかってことだな。後期のTSR社は、デザイナーが前面に出ることをCEOが嫌ったって聞くし。ゲームデザイナーは作家ではなくて、ただのサラリーマンなんだから、会社の顔らしくしゃしゃり出て来るのは許せないって方針だったらしいけど、今の時代だと、それが古い考えだって分かるよな」

翔花「う〜ん、でも、その方針は会社によるんじゃない? 『ポケモンカードゲーム』のデザイナーって誰?」

NOVA「ポケモンのデザイナーは田尻智さんが有名だけど、カードゲームの方は確かに知らないな。まあ、ゲイリーさんはゲームデザイナーにも作家と同様の著作権を認めるべきだってポリシーだったし、TRPG業界はその伝統で誰の作品かをアピールすることが多い。だけど、会社の商品としてゲームを考えるなら、デザイナーの主張よりも大量生産の消費物としてゲームを見なす傾向もあるか。TRPGを物語と見なすか、子どもの一過性の遊び道具と見なすかで、視点が変わって来るし」

晶華「まあ、とにかく3版は、グレイホークを主舞台にした。だけど、フォーゴトン・レルムは?」

NOVA「それも大事にした。きちんとエド・グリーンウッドと提携して、サプリメントでフォローした。古き良きグレイホークと、現在進行形のフォーゴトン・レルムの2世界をどちらもサポートする形に落ち着いた」

翔花「ドラゴンランスは?」

NOVA「ファンが好きにやれ。公式は止めないよ……って方針を鮮明にした」

翔花「放任したってこと?」

NOVA「TSRはそうしなかったんだな。『ドラゴンランスはうちの商品です。ファンが勝手に扱うなど許しません。逆らうなら訴訟しますよ』って目くじらを立てていたらしい。同人活動の敵だと見なされていたみたいだ」

晶華「そりゃ、ファンに嫌われるのも当然ね」

NOVA「で、ウィザーズが大英断を下したのが、『我々が作るD&Dは、ゲーム界の一財産だから、システムは自由に使ってくれていい。世界観については権利を主張するが、システムを使ったり、改変するのも自由だ。ただし、それを商品として販売するのは……我々にライセンス料を払ってくれたら、公認のd20システムロゴを使っていい。そのロゴ付きの商品は公式お墨付きを名乗っていい。そうでない商品は……ただの海賊版だから我々は関与しないが、ファンとしての節度を守り、D&Dブランドを傷つけない範囲で、我々は取り締まることをしない。D&Dを愛するファンなら、バカなことをしないと信じるのみだ。共にD&Dを発展させようじゃないか』的なアピールを公表したことだな」

翔花「ファン活動は自由かあ。そして、公認許可を求めるためのライセンス販売で、クリエイター気質の強い熱心なファン(セミプロデザイナー)から利益を得る、と」

NOVA「で、ファンを味方につける体制を整えながら、じっさいのゲームシステムは兼業や転職を割と自由にでき、大量の上級職をサプリメントで投入することで、これまで以上に多彩で幅広いキャラクターが作れるようになったり、攻撃や技能判定をD20で高い目を出したらいいとシンプルにまとめたり(それまでは攻撃ダイスは高い出目が、後付けの技能判定は低い出目が良いとチグハグだった)、『ソード・ワールドを参考にしたのかよ』と日本のユーザーからもツッコミが入るほどの、似通ったシステムになった」

翔花「パクったの?」

NOVA「さあ。3版のデザイナーは、モンテ・クック、ジョナサン・トゥイート、スキップ・ウィリアムズの3人の共同制作として知られているが、彼らの参考書籍の名前にソード・ワールドは上がっていないと思うし、もしも仮に、D&Dによって参考にされたということが明白になれば、システムデザイナーの清松さんは大いに喜んでいたろうな。

「それに、似ているのはあくまで、キャラクターの構築方法が『ファイター3レベル、ソーサラー2レベル』という職業の組み合わせ方式という程度だし、兼職自体は以前の版からあった。前の版との大きな違いは、例えば『戦士と魔法使いの兼職ができるのはエルフとハーフエルフだけです』と種族の制限があったのに対し、3版では『種族に関係なく自由に兼職できて、後から自由に職業を追加させられる』点。やはり、2版以前の縛りをいろいろ緩和して、育成自由度を高めたのが3版の特徴の一つと言えるだろう」

晶華「それに、ソード・ワールドは稼いだ経験点を支払って職業レベルを購入するシステムなのに対して、D&Dは経験点が貯まると自然にレベルアップするシステムだもんね」

NOVA「D&D3版ではレベルアップすると、どの職業レベルを上げるか決めて、選んだ職業レベルの合計がキャラクターレベルになるな。先ほどの兼職例で言えば、ソード・ワールドは最高レベルのファイターと同じ冒険者レベル3、D&D3版になると3+2=5レベル扱いになる。むしろ、振るダイスの種類も含めて、違いの方が大きいので、類似点だけを見て安易にパクったと言う人間は浅はかだと考えるな」

晶華「パクった云々の話なら、HP(ヒットポイント)とか経験点によるレベルアップって考えは全部D&Dのパクりってことになるしね」

NOVA「文化ってのは、新しい概念と影響の伝播によって語られるものなので、何からも影響を受けず、何にも影響を与えない孤立こそが、文化として恥ずべきものだからな。まあ、忘れられた文化の中に、先進性や普遍性を再発見することも文化研究としての面白さだと考えるが、せっかく発見した文化の類似性を単純にパクったとしか見なせないようでは、研究者たり得ないわけで」

翔花「とにかく、D&D3版は新たなスタンダードシステムとして、その先進性と汎用性がアメリカで受け入れられたってことね」

NOVA「だから、d20システムとして、GURPSに代わる汎用RPGシステムの覇権をゼロ年代に奪い返し、新世紀のTRPGの王座を取り返したわけだな」

晶華「自由度の高い新しいシステムと懐かしの世界観とで、新規ファンにも、オールドファンにもアピールして、ついに天下統一した、と」

NOVA「かつてのライバルの『トラベラー』も、BRPの『クトゥルフ』も、海を超えたイギリスのゲームブック界の雄『ファイティングファンタジー』も、d20システムに一時期参入して、他にも知られざるd20システムは前の記事に紹介した本で友野さんがいっぱい語っていて、その中には『スレイヤーズd20』なんかもあって、自由度の高さがこれほどまでに、と盛り上がっていたわけで。GURPS以上に膨れ上がったと思しきd20システムの全作品ガイドなんて、どこかにないかなあ」

 

新たな世界エベロン

 

NOVA「さて、オールドファン向きにグレイホーク、多くの現行ファン向きにフォーゴトン・レルムをサポートしたウィザーズは、次に21世紀の新世界として、2002年に背景世界のコンペを行う。そうしてファンの1人、キース・ベイカーが構築して、2004年に公式商品となったのが『エベロン』だ」

晶華「確か、飛空艇や列車などのメカニックがあるファンタジーだっけ?」

NOVA「ホビージャパンの公式サイトに紹介文がまだ残ってるな」

NOVA「このエベロンについては、俺個人は特に思い出もなく話すネタも少ないな。行ったこともないし」

晶華「他の世界は行ったことがあるの?」

NOVA「行ったことがあるというのは、その世界の冒険を楽しんだことがあるって意味だな。直接のTRPGプレイ体験や、コンピューターRPGでの冒険、小説やリプレイでの間接的なストーリー体験も含む。ミスタラを始め、ドラゴンランスも、フォーゴトン・レルムも、グレイホークも冒険経験者だが、エベロンは……ああ、一応あるか。こちらだな」

NOVA「あと、昔のTRPGリプレイ雑誌で読んだような記憶も微かにある。Lead&Readだったかな」

NOVA「一応、エベロンの冒険も少しは楽しんだ経験があることは思い出したんだが、曖昧な記憶なのは間違いないので、俺のエベロン歴は実質、5版の世界設定サプリを買って以来って話になる。3.5版や4版のエベロンサプリや小説類は買ってないので、こだわりが薄いってことだな」

翔花「こだわりは薄いけど、知ってはいるってことね」

NOVA「大雑把には語れる程度の知識はあるが、とりあえず、飛空艇とかメカのある21世紀のスタンダードRPGだと、国産の『アルシャード』の方が2002年で早かったからな。エベロンの日本登場は2006年で、D&Dの最新世界であるにも関わらず、『チッチッチ、日本では2番目だ』って印象だったんだ。あと、2006年の年末に脚の骨を折って、当時の仕事を退職する流れになってしまい、エベロンに投資する余裕がなくなったって個人的事情もある」

晶華「エベロンとは縁がなかったのね」

NOVA「まあ、エベロンは『よく知らないけど、要は飛空艇でしょ? D&Dもようやく伝統的な剣と魔法のファンタジーから、21世紀スタンダードに追いついて来たんだね』と上から目線で感じながら、飛空艇とTRPGの歴史について考えたりもした。俺の知る範囲で、日本で初めて飛空艇の登場したTRPGは『ギア・アンティーク』(1991)だ。もちろん、より進んだ科学文明のSFRPGは抜きにしてだ」

翔花「ええと、また知らない単語が出て来たんですけど?」

NOVA「ちょっと待てよ。確か、この辺に……(おもむろに書庫を探り出す)チッ、なぜサプリメントが出て来て、基本ルールブックがすぐに見つからんのだ。今はこれで勘弁してくれ」

晶華「これが伝説の『ギア・アンティーク』。古代に失われた秘宝ね」

NOVA「いや、これは2版に当たる1999年発売の『ギア・アンティーク ルネサンス』のリプレイ付きサプリだけどな。とりあえず、東洋風ファンタジーRPGブルーフォレスト物語』と同じシステムで、同じ世界の別地域を舞台にした西洋風スチームパンクRPGだ」

翔花「スチームパンクって?」

NOVA「産業革命期の蒸気機関が特徴の、ぶっちゃけ『天空の城ラピュタ』風味の冒険が行えるゲームだ。ラピュタが86年で、これの初登場が91年だから当時の感覚だと結構早い。まあ、最近は同じ飛空艇テーマでこういう作品もあるんだが」

NOVA「もしかすると、スチームパンクはファンタジーじゃない、という意見もあるかもしれない。しかし、俺は2つ前の記事に書いたように、世紀末付近に『アースドーン』の翻訳に関わった経験があるわけで。『アースドーン』ってのは飛空艇の登場する古代のファンタジー世界のゲームだ(有名な『シャドウラン』の関連作だったりも)。アメリカでは93年の作品で、翻訳は……阪神淡路大震災の影響もあったりして、発売が97年になったりもしたが、個人的にいろいろ思い出深い作品でもある。翻訳が世に出た途端、諸事情で展開が続けられなくなって、新和のアドバンストD&D並みに日本展開が不幸な作品だったと思うが、それはともかく、『ファンタジー世界で飛空艇』というと、俺にはこの作品の印象が非常に強かったので、D&Dのエベロンに今さら感を覚えたのも事実。

「おまけに、少し後の2008年には『ソード・ワールド2.0』の登場で、飛空艇とかメカ要素は取り入れちゃったからなあ。ますます、エベロンにこだわる必要を感じなくなった次第だ(個人的に)」

晶華「ずいぶん、エベロン下げをしているのね」

NOVA「誤解をするなよ。別にエベロンが悪いと言ってるわけじゃない。俺が当時、エベロンに魅力を感じなかった個人的背景を語っているに過ぎない。

「今さら改めて5版のエベロン・サプリを読んだ感想で言うなら、アーティフィサーって魅力的な新職業だねえ。成長すると、錬金術で薬を作ったり、銃を撃ったり、鍛治士になったりできるし。

「ドラゴンマーク(竜の印)って設定も、ダイ大アニメのリメイク後だったら魅力度抜群で格好良さ倍増に伝わってくる」

NOVA「実のところ、先に友野さんの『GURPSドラゴンマーク』って作品があったから、よく知らずにネーミングが混同していた時期があった。そっちは竜の傭兵って意味で、全然違うんだけど、まあ、物を知らないと第一印象だけで批判して、大きな勘違いをやらかしてしまう。いや、別に自分はエベロンを批判したことは過去にないんだけど(よく知らないものを公然と批判する気はない)。ただ、何となくの状況で脳内で過小評価していただけで」

晶華「つまり、今はエベロンさんを公然と持ち上げるってこと?」

NOVA「少なくとも、ダークサンよりは俺好みだな。ダークサンについて、概要を記しているブログを見つけたが、こういう世界をプレイしたいマニアックな物好きもいるんだなあ、と感じた」

翔花「でも、アースドーンの世界だって、結構ダークなノリみたいね」

NOVA「おお、凄い。ダークサンのDMをやったり、アースドーンの追っかけやってたり、岡和田さんの翻訳の手伝いをやってる人のブログか」

晶華「岡和田さんって?」

NOVA「さっきのエベロンリプレイ書いてた人。TRPG雑誌や、最近のT&Tやウォーハンマー関連でお名前を拝見していたんだけど、改めてwikipediaで検索してみたら、俺の想像を越えて凄い経歴の御仁だった。で、寄り道的にネットサーフィンをしていると、こういうブログに行き着いたりもしたわけで」

晶華「NOVAちゃんよりも、明らかに凄くて、難しそうなことを言っているよね」

NOVA「比べる方がおかしいだろう。俺はあくまでプロに憧れたけど、なり損ねた人間で、岡和田さんは非常に濃いマニアックなプロだなあってことが改めて感じられて、凄いなあ、そこに痺れる憧れるってレベルの文章を書かれている。ここまでの濃い話は俺には書けないけれど、中途半端なセミプロ趣味人として、ここまで書きたいことは書いてきた」

翔花「これで終わっちゃうの?(ワクワク)」

NOVA「何だよ、そのワクワクって」

翔花「だって、話が長すぎるもん。5歳の娘に延々と聞かせる話じゃないでしょう? 読者の人だって呆れているわよ」

NOVA「そうかなあ。まあ、エベロンの思い出は俺にはないけど、エベロンのリプレイを書いた人のブログに行き当たったのが、ここまで記事書きしてあれこれ考えた最大の収穫だと思う。これこそ今回のセレンディピティだ。90年代の自分の仕事(アースドーンの翻訳の手伝い)が、少しは実っていた感じのブログ記事も読めたし、趣味人として憧れて追いかけたい(ストーカーって意味ではなく)御仁のブログ記事にも行き当たったし、いろいろ学んで行けたらなあ、とワクワクしてる」

晶華「岡和田さんって人に?」

NOVA「寡聞にして、よく知らなかったんだよ。名前はちらちら見ていたのにさ。で、今回ブログを見つけたのも、桃井タロウ的な縁ができたって勝手に思い込んでいる。ご本人の書いた記事をたっぷり読めて、いろいろ学べるじゃないか。何せ、俺のあまりよく知らないエベロンとか、第4版とかもいっぱい知ってる人だし、クラシックD&Dのカラメイコスとか、ウォーハンマーとか、ファンタズム・アドベンチャーとか、マニアックなツボをいっぱい心得たブログだ。さらに日本で『混沌の渦』を一番愛している男、と言い放ってたしよ。そこに痺れる憧れる」

翔花「わたしにはNOVAちゃんが何にそんなに興奮しているのか分からないんだけど、NOVAちゃんが幸せなら、それでいいし」

 

晶華「だけど、興奮し過ぎて、ここまで書いた自分のブログ記事の始末をしっかり付けることを忘れないようにね。延々と話を引っ張って来た責任はしっかり取らないと」

NOVA「あ〜、だけどエベロンの後は、D&Dに新世界はないだろう? 4版になってシステム大改変と共に、フォーゴトン・レルムが酷い大惨事にもなったりして、多勢の3版ファンを失望させてパスファインダー党を分裂させて(15年ほど前)、そっちでも新しいゴラリオンという世界ができた。だけど、ゴラリオンのことは俺にはよく分かっていないので、何かを語るにしても、これから勉強しないといけない。そのための手がかりはここにあるかな?」

NOVA「で、4版になって大改変を受けたフォーゴトン・レルムは、5版になって割と元通りに修復されて、しかも5版はD&Dのオールドファンを呼び戻すべく、これまでの人気世界の設定をノスタルジー的にちらつかせて、最初から多元世界を意図したようなルールブックの記述だし、ドラゴンランスも、昔のフォーゴトン・レルムも、エベロンも、グレイホークも、俺にはよく分からないけどダークサンもバースライトも、そして日本のD&D原点とも言うべきミスタラも今だに公式ですよ、と言わんばかりの記述。まあ、ミスタラはその後、社外の有志に託したみたいだけど」

晶華「それで終わり?」

NOVA「おおよその昔話はな。後は、また新しい事実が見つかったり、面白いネタを思い出したり、未来の何かが見えたりしたときに、改めて書くってことで」

翔花「みんな、おつかれさまでした(m0m)」

(当記事 完)