ストーカーからの怪メール
NOVA「先日、『NOVA様も男なら潔く自らの敗北を認めましょう』というタイトルの挑発まがいのメールが届いた」
晶華「ああ、まだ生きていたんだ、彼」
NOVA「まあ、死ねばいいとは思っちゃいないが、今の俺にとっては迷惑でしかないので、消えてくれたらいいとは思っているんだけどな」
翔花「だったら、相手せずにスパムメールと見なして、ゴミ箱に捨てたらいいのに。相手する価値あるの?」
NOVA「まあ、そう言ってやるな。ごくごく稀に、面白いネタを提供して、ブログを活性化するきっかけになることもないわけじゃない。個人的には、『彼がコメントでアホな書き込みをする』→『俺がうんざりした気持ちで相手する』→『それを見た他の御仁が見識ある応援のコメントを入れてくれる』→『結果的に、思慮の浅い彼が袋叩きにされる』→『めでたしめでたし』という過程が楽しいときもあったわけだし」
晶華「うん、袋叩きで論破するのって楽しいもんね」
NOVA「ただ、ずっと続けると不毛なんだけどな。とりわけ、相手の学習能力が極端に低くて、建設的な物の考え方ができない場合は。見解の相違があっても自己主張を重ねることで相互理解に至ったり、相手の見識から学ぶものがあったりするのが議論の醍醐味というものだが、『学習能力の低い相手は自分の拙い考えをブラッシュアップできずに、成長や建設の跡が感じられない』わけだな。自分の意見に固執して、広がりも深まりもしないから、そのうち飽きるんだ」
翔花「ところで、『男なら敗北を認める』って、NOVAちゃんは負けたの?」
NOVA「さあ。別に俺は彼と勝負事をした覚えはないし、むしろ彼がまともな見解を示して成長を実感させてくれたら、俺にとっても望ましいことだから、それでいいんだけどな。ただ、相変わらず彼は変な主張をしていて、『何を勝ち誇っているんだろうな、このオタンコナスは?』と感じたから、俺の負けだ」
晶華「どういうこと?」
NOVA「勝利条件についての見解の相違だ。おそらく、彼は『自分が正しくて、NOVAが間違えた。だから、それを認めろ』と言いたいんだと思うが、俺は別に間違いを認めて正すことが負けだなんて考えていないからな。『間違いを認めて修復する』のは、やぶさかではないが、『負けを認める』というのはおかしいって話。
「ましてや、彼はしょっちゅう間違いを連発して、それを男らしく認めて修正するようなマネはほとんどしていない。今まで俺が彼に指摘したミスで、どれだけ男らしく潔い修正の仕方を示して来たか。あるいは自分の主張の愚かしさに自分で気づいて、他人に指摘される前に、前言修正あるいは撤回するほど、自分の言葉に対する責任をとって来たか。それが日常的にできている人間なら、俺は敬意を示しているし、彼はその点で潔さが認められない輩だと俺は見下している。まあ、人間、負けっぱなしだと生きていて辛いから、自分の細やかなプライドを保つためでも、誰かに勝ったことにしたいんだろうがな」
翔花「つまり、NOVAちゃんは負けたと思ってないの?」
NOVA「いや、負けさ。俺にとっての勝利条件は、『彼が真人間、もしくはエンターテイナーとして面白い人間として、俺を楽しませてくれること』であり、さもなくば『俺には関わらないこと』だから、『こんなつまらない相手をして記事書きしていること』自体が時間の無駄で、敗北と言っていいだろう」
粉露亡熱のネタについて
晶華「で、抽象的な前置きはこれぐらいにして、彼は何を勝ち誇っているわけ?」
NOVA「来年頭の必殺仕事人がコロナネタを題材に、『鬼面風邪』という話を発表しただろう? それで彼は『自分が何度か繰り返してきた粉露亡熱を公式が採用した。勝った』という趣旨だな。そして『コロナをネタにするのは、今の時期には不謹慎だと考えるので、採用するにしても収束してからだろう』というこちらの意見が間違えていたんだから、負けを認めろという、いかにも品性卑しい内容のメールだ」
翔花「ふ〜ん、それでNOVAちゃんは間違いを認めるわけ?」
NOVA「その話の発端である、この記事を見てくれ」
翔花「ええと、もしかして『粉露亡熱』って言葉を最初に言い出したのは、NOVAちゃんってこと?」
NOVA「どうも、そうみたいなんだな。まあ、こちらとしては不謹慎な冗談ネタとして語ってみた程度だったんだが、そのネタにコメント欄で飛びついて来たのが、彼なんだ。こう言っちゃ何だが、こちらが『つまらない戯言としてネタ出しした物に乗っかった経緯を忘れて、さも自分が考え出した素晴らしいアイデアかのように勝ち誇っている』のが彼ということになる。まあ、彼はパクリの常習犯と言われたことがあり、他人のアイデアを自分のアイデアのように誤認、あるいは錯覚するところが昔からあったわけだし、俺にとっては『粉露亡熱はただの戯言』という認識なので、彼がその戯言を気に入って、うまく面白い創作として料理してくれるなら別に構わないと思う」
晶華「ただ、彼の今回のメールでは『自分の考えた粉露亡熱をNOVAは反対した。だけど、それから3年経って、公式が採用した。自分の勝ちだ。NOVAは負けを認めろ』て言ってきたわけね」
NOVA「負けも何も、そのネタの出処は俺なんだって話だ。そして、俺は2020年から2021年にかけては、そのネタが不謹慎であり、下手な扱いはできないと自覚していたし、不謹慎ネタをしつこく語られても困るなあ(苦笑)という空気で、彼の言葉の暴走に釘を刺した意図もある。だから、彼が『NOVAさん、そのネタは不謹慎でしょう』という見解なら、実に正論なので納得するわけだが、彼はどうも不謹慎という言葉を理解できないようなので、世間的に角が立ちそうなネタを調子に乗って、もっと不謹慎にしてバラまこうとする」
晶華「で、今回、公式がコロナネタを出して来たけど、それに対する見解は?」
NOVA「まず、2020〜21年に比べて人々がコロナ禍慣れして、不謹慎のレベルが下がったという日常がある。コロナ禍そのものが収束したわけではないが、3年経って『コロナが梅雨や台風と同じ、よくある災厄の一つ』と成り下がった形だな。今年の場合は、ウクライナ侵攻と元総理銃殺テロという大事件の方が社会的に大事となり、コロナの方は『風化はしていないけど、フィクションのネタとして使っても多分問題ない』という段階に入ったと思われる。
「よって、2020〜21年というコロナ禍が始まったばかりの時期と、今現在では世間の空気そのものが違うと言っていい。つまり、2年前の俺の発言は『当時の空気では不謹慎と言って間違いない』と主張するし、実のところ2022年になっても、そして23年もコロナ禍が収束していないとは、当時は思ってもいないもんな。オミクロンが弱毒性だから、じきに収束するなんて主張したのは誰だ? 少なくとも、2021年の時点ではコロナが第8波まで続いているって想定していないし、スペイン風邪だって1918年から1920年まで(第3波)で収束したから、とりあえず3年も経てば収束って考えていたんだよな。
「その意味で、『必殺がコロナネタを採用するのは、コロナが収束してから』という予想は外れだったが、その根拠である『必殺がコロナネタを採用しないのは、それが時期尚早で不謹慎だから』という主張は間違っていない、ということになる」
晶華「彼がその説明で納得すると思う?」
NOVA「思わない。彼には世間の空気というものが分かっていないので、『不謹慎』という理由づけで理解できるとは考えにくい。ただ、2021年なら時期尚早だったのが、2023年なら受け入れられるようになっただけの話だ。俺の間違いは、コロナ禍収束よりも先にコロナネタへの自粛期間が過ぎたってことだな。世間的には、それよりも戦争と円安によるインフレの方が大問題になっている」
翔花「彼の勝利宣言については?」
NOVA「いや、別に勝利してはいないだろう? そもそも粉露亡熱のネタは、恥ずかしながら俺が言い出しっぺなんだし(誇れることではないが)、彼の考えた話(ワクチンを利用して金儲け)は外れっぽいし、実際は『給付金詐欺』の方にスポットが当たる感じだ。少なくとも、今の世相で医者を悪役にするような話は、それこそ空気が読めていないということになる。まあ、彼からすれば『細かい筋書きはどうでも良くて、必殺がコロナネタを採用したことで、自分の意見が認められた』って気分なんだろう。で、それで話を止めておけば良かったのに、どうも『自分が勝った。相手が負けた』って挑発モードでメールを出して来たから、相変わらず不愉快な、つまらない人間であることをさらけ出した形になる」
晶華「そういう人間の相手をするのがバカなんだと思うけど?」
NOVA「そうだな。バカになってしまったから、俺の負けだ。つまらない人間の相手をしない。これが俺の勝利条件だからな……というか、『自分の考えた、つまらないネタをいちいち掘り下げない』というつもりで、こちらは粉露亡熱について触れなかったのに、彼にとっては『自分の考えたネタが公式に採用されたのに、NOVAは記事中でスルーした。負けを認めない卑怯な奴だ』ってニュアンスでメールを寄越して来るんだもんな。認識の違いというものは恐ろしいよ」
創作について
NOVA「で、これは当たり前なんだが、アイデアの元ネタが共通ってだけで、同じ話ってことにはならないんだな。例えば、今回の必殺コロナネタで俺が面白いと感じたのは、『悪人をワクチンではなく、医者でもなく、給付金詐欺という形に落とし込んだところ』と『仕事人メンバーの誰かが病気で死ぬかもしれない』というセンセーショナルな要素だな」
晶華「レギュラーキャラの死は、私も気になるわね」
NOVA「まあ、実際に死ぬのか、それとも、ただの死ぬ死ぬ詐欺に終わるのかは見てみないと分からないが、予定調和では済まないサプライズを予感させる引きだ。一方で、前者については、『ワクチンや医者を悪役にするという反ワク思想の話は世間の多数派の支持が得にくい』と考えるので(反ワク思想の彼にはそういう考えが想像できないみたいだが)、誰が考えても悪い連中ということで『給付金詐欺』というアイデアを付け加えたことには、良識ある脚本家のセンスを感じさせる。
「ただし、もしかすると、何らかの形でどんでん返しがあるかもしれないので、『実はワクチン作った医者が金儲けを云々』という世間的に皮肉な話に発展する可能性はあるので結局、作品を見ないと分からないけれど、そもそも反ワク的なドラマを制作スタッフや局、それに役者のイメージに関わるジャニーズ事務所は作りたいのかって話になる」
翔花「反ワク思想のドラマを作ると、どうなるの?」
NOVA「現実にワクチンを打った多くの人を揶揄する形になるので、視聴者を不愉快にさせる。かなりデリケートな問題だな。それで一つ気になるのは、鬼面熱で死にかけるキャラは、劇中でワクチンを打つ(それに類する特効薬のお世話になる)のかどうかという話だ。『ワクチンを打って回復しました』だと予定調和的だし、『ワクチンを打たないで回復しました』だと反ワク派が喜ぶ。『ワクチンを打ったけど死亡』の場合も然りで、『ワクチンを打たなくて死亡』だと政治思想的にはどっちとも取れる。『打って回復』か『打たずに死亡』が俺的に納得する可能性だが、さもなくば反ワク的な話だってことだな」
晶華「ドラマだから、作り手が作りたいようにできるのよね」
NOVA「ああ。もちろん、そうだが、プロデューサーや監督の意見で、脚本が修正されることもあるだろうし、ドラマ作りの現場で働く人間のトップが反ワクだとは思えないが、とりあえず、『コロナ禍をネタにしたドラマ』の実験例となるかもしれない。まあ、作品として面白く料理してくれれば、俺としては満足だ。ただし、反ワク万歳な話になってしまえば、それだけでつまらないと感じるだろうな」
翔花「来年の必殺が、面白い話になることを願っています」
(当記事 完)