7人のおしゃべり
晶華「GWが終わったけれど、頑張ってフェアリーガーデンを続けるわ」
翔花「5記事分もプレイしているのに、まだ1ミッションも終わってないのよね。ファルシオンが強化されるのはいつになることやら」
NOVA「レベル7ミッションだし、これまでの物語の蓄積もあるからミッション内容の密度が濃くなっているみたいだしな。それに、ミッションを果たすより先に、水の大妖精ミーミルとの対面クエストを優先した形だから、時間が掛かっても仕方ない」
晶華「NOVAちゃんが勝手に映画を見に行ったり、スパロボに手を出したり、プレイに専念しないからでしょ」
009『だから、ぼくが尻拭いをさせられている』
ジョエル『自分も巻き込まれました』
ケイソン『ケケケケケイソーン!』
ジョエル『今週末に向けて、黒いオーラが高まっているそうです』
NOVA「俺がサブマスターをするのはともかく、プレイヤーにまでダイス振り用のサブプレイヤーが付き添うリプレイって前代未聞だろう。4人パーティーなのに、GMとプレイヤー合わせて6人、いや、7人もいるなんて、どうなってんだ」
ケイP『マスターNOVA。今、オラの存在を忘れていなかったッピか?』
NOVA「その昔、水野さんがロードスの小説を書いていて、キャラがあまりに多くなったために、グラスランナーのマールの存在を忘れてしまい、ほとんどセリフもないまま、いつの間にかクリスタニアに渡ったことになり、しかもクリスタニアの物語に登場する機会もなかった件を思い出す」
ジョエル『クリスタニア? 水野さん? 何のことでしょう?』
NOVA「お前、サイバ☆リオンをプレイするんだったら、それぐらい知っておけ」
ジョエル『マール君は分かりますよ。ハーフリング、ハーフリング、ヤホーヤホー♪ ところで、グラスランナーって何ですか?』
NOVA「ケンダーだったら分かるのか? 87年脳は?」
ジョエル『実は、ダイの大冒険も、バスタードも分かっていないという』
NOVA「仮面ライダーBLACKは知っていても、RXは知らない。ジョジョは知っていても、スタンドは知らない。ドラクエ3も知らないし、プレステどころか、スーパーファミコンも、ゲームボーイも知らない。逆襲のシャアも知らずに、あと何を知らないかな?」
ジョエル『そうですねえ。戦隊の1号ロボと2号ロボが合体するシステムでしょうか。あと、ドラゴンボールZというタイトルも知らないので、主題歌はこれですね』
晶華「もう、87年ネタでいつまで寄り道脱線しているのよ。さっさと、妖精女王ズのプレイを始めるわよ」
グラタンと妖精女王の秘密
GM(009)「さて、前回の君たちは【凍結海】のミーミルや【凍て付く山】のスカディたちと交流し、いろいろな情報を知ったわけだな。新たな冒険を始めて3日めの朝、【おもてなし亭】で一晩休んで再出発する頃合いだ」
サイバ(ジョエル)「ええと、寝る前にゴーレムのバージルを作り直して、それから睡眠をとってMPを回復したってことで」
GM「はい、了解。じゃあ、どこに向かう?」
ミリィ(晶華)「出発前の朝食タイムに、グラタンたちと話をしたいの。妖精郷の今後について、意見交換とか、あれこれ情報の確認とか」
マークス(ケイP)「ああ、確かに、前回でミーミルさんから重要な情報を聞きましたね。グラタンさんたちにも情報を共有してもらった方が」
エマ(翔花)「魔女や魔神だけでなく、アラマユ様も妖精郷の崩壊を画策していたって衝撃の真相を、打ち明けるの? わたしは反対するわ。ミーミル様が隠していた情報をベラベラ喋って混乱を広げるのはどうかと思うし」
ミリィ「そこまで打ち明けるつもりはないけど、アラマユさんや魔女の関係についてグラタンたちがどこまで知っているのか確認したいの」
GM「ええと、それは……令和NOVA、グラタンたちの役はあんたに任せた。代役GMじゃあ、そこまでデリケートな情報は、シナリオの流し読みではつかめん」
NOVA「じゃあ、NPC担当のサブマスターとして伝えよう。まず、グラタンは妖精郷を作ったのがアラマユだと信じ込んでいて、アラマユが創造主にして女神、妖精王が女神アラマユから統治権を授けられた代行者だと認識している。そしてケットシーは妖精王に仕えていたお手伝い妖精で、王が眠りに就く際に、『いつか王の眠りを覚まさせる来訪者が来ることがあれば、しっかりおもてなしをするように』と使命を仰せつかっていたそうだ」
ミリィ「つまり、ケットシーは直接、アラマユさんから指示されたわけじゃないのね」
NOVA「ああ、そういうことになるな」
ミリィ「ミーミル様の話では、アラマユさんは妖精郷を魔女の棺として、自然に滅びるに任せるつもりだった。だから、妖精郷の住人は妖精たちだけで、妖精郷が滅びてもマナが自然に還るだけだというつもりだった。アラマユさんの意図だと、妖精郷に人間たちが入って来ること自体が想定されていなかったというわけね」
エマ「すると、ケットシーの存在に疑問符が灯るわ。人のお手伝いをする役割のネコ妖精だけど、アラマユ様は妖精郷に人が入ることを想定していなかったから」
ミリィ「妖精郷と外界をつなぐ転移門を開いたのは妖精王の仕業らしいから、妖精王はアラマユさんの意図に反して、妖精郷に人を引き込んだ。そして、ケットシーに命じて、人をもてなして世界に魔力が補充できるようにした」
マークス「妖精王は世界の滅亡を望んでいない、と?」
ミリィ「妖精王は魔女の良心から生まれたらしいので、ドラゴンボールで言うところの神さま(元ナメック星人)みたいなもの。一方、封印された魔女はピッコロ大魔王みたいなものだと思えば分かるんじゃないかしら」
GM「ピッコロ大魔王と、マジュニアこと2代めのピッコロさん(悟飯の師匠)は別キャラなんだよな。紛らわしいけど」
ミリィ「とにかく、アラマユさんの想定だと、妖精郷に人はいないはずなので、滅びても問題はなかった。妖精たちは人と違って魂を持たない存在だから、マナの消失と共に自然に還ることはそれほどの悲劇とは言えない。もちろん、妖精に強い愛着を持つ妖精使いもいるんだけど、アラマユさんは魔女ネアンの魂が妖精たちに囲まれて安らいで消失することを願い、自分自身も同じ妖精郷で静かに亡くなる道を選んだ。ただ、魔女の妄執だけはアラマユさんの想像を越えて今なお残り続けているのではないかしら」
NOVA「今の話は、グラタンたちの聞いているところでするのかな?」
ミリィ「いいえ、今のはプレイヤートークということにしておいて。グラタンたちは、アラマユさんの真意を分かっていないのだろうし、それを伝えたところで、話がややこしくなるだけだと思う。ただ、グラタンたちがアラマユさんを妖精王から聞いた伝聞だけで語っているみたいなので、真実を知るには妖精王を目覚めさせないといけないってことね」
マークス「最後のケットシー、ラザニアさんを見つけ出して、妖精王の城を復活させないといけないのですね」
フィットチーネと妖精郷の秘密
ミリィ「それはさておき、もう一つはフィットチーネさんに尋ねたいこと。あたしたちが転移門を開いたことで、ラクシアのマナが妖精郷に流れ込む経路ができたらしいけど、魔力の枯渇問題はまだ終わっていないのよね。4つの鐘楼の話をミーミル様から聞いたのだけど、どういうことか説明して欲しいの」
NOVA「フィットチーネと鐘楼の鐘の話は、この記事をまず確認して欲しい」
ミリィ「妖精郷の魔力の枯渇問題に対して、【火柱の塔】を作った魔動機師ダレスさんとフィットチーネさんが共同研究をしていたって話ね。およそ400年前に」
サイバ「確か300年前に〈大破局〉によって魔動機文明が滅びたそうだから、魔動機師ダレスは魔動機文明の人なんだよね」
エマ「妖精郷が成立したのは何年前になるの?」
NOVA「魔法文明時代だから3000年以上前」
ミリィ「3000年間も維持できたんだから、ずいぶんと大量の魔力が蓄積されていたようね」
NOVA「フィットチーネが言うには、魔力を蓄積できても、上手く循環できないと世界に綻びができちゃうらしい。その循環システムが4つの鐘楼だ。妖精郷に蓄積されたマナを地水火風の四大元素に転換して、世界の理を維持するシステムなんだけど、妖精郷の魔力の枯渇の理由は、ラクシアの地上から隔離されたために魔力が供給できなかったことと、循環システムである地水火風の鐘が歳月を経て古くなり、機能不全を起こし始めているから。そこで、新たな鐘を製造して、鐘楼に行って古い鐘と取り替えることで妖精郷の魔力は安定するだろうとのこと」
サイバ「【火柱の塔】の建造目的は、鐘を新たに鋳造するための魔力炉にある。魔力炉への魔力の充填に300年近くも掛かるから、ダレスさんが生きているうちは実行できなかった。だけど、今なら魔力が充填できているから、ダレスさんとフィットチーネさんの研究がようやく実を結ぶって話なんですね。過去記事を読んで理解しました」
ミリィ「そもそも魔力の枯渇問題は、アラマユさんが妖精郷をラクシアから隔離したことにあるのよね。それについてはフィットチーネさんはどう考えているの?」
NOVA「アラマユがどうして妖精郷を封鎖したかは、ダレスとフィットチーネの推察によると三つ考えられている。一つは、妖精王が慢心してラクシアへの侵攻の野心を示したから、アラマユの怒りを買って、城ごと封印されて、妖精郷がラクシアに害を及ぼさないように隔離した説」
エマ「それだと、妖精王が悪人だって話になるわね」
ミリィ「その話は最初、タイタン様から聞いた情報なんだけど、イフリート様に『魔女が夢世界で仕組んだデマだ』って否定されたのよね」
サイバ「何が真実で、何がデマなのか、情報がいろいろ錯綜したシナリオだね」
ミリィ「だから話を整理しないといけないのよね。本来なら、こういうのはリオン様の役割なのに……」
サイバ「プレイヤーが交代したので、自分には整理なんてできないから」
GM「ぼくも無理だな。GMだからこそ俯瞰して見られる情報もあるけど、どの情報とどの情報がリンクしているのか関連性を辿るのは、一朝一夕にはできない話だ」
ミリィ「だから、令和のNOVAちゃんが整理してくれないと、フェアリーガーデンの話がまとめられないのよ」
NOVA「だからと言って、答えを知ってる俺がプレイヤーやGMとして一方的に種明かししても、ゲームとしては興醒めだろう? 真実を探り当てるのは、主役のカシュミーラたちじゃないといけない」
ミリィ「知力の晶華の本領を発揮しろってことよね。とにかく、妖精王がアラマユさんに反旗を翻した説は、嘘だってことでOKね」
エマ「そうかしら? もしも、アラマユ様が妖精郷を滅ぼすつもりで、いろいろと封印して行ったという話なら、それに妖精王が反旗を翻す可能性だって考えられる。タイミング的には、アラマユ様のしていることって、トジテンド王朝、もしくはゼンカイジャーの神さまのやっていることと変わりないと思うのよね。ラクシア世界の害になりそうな妖精郷を封印して、ややこしい問題には全部フタをして行っているような感じ」
マークス「魔女が創造した妖精郷が、邪神を生み出す装置となってラクシア世界に害を及ぼすことが想定されたから、やむなく妖精郷を封印して緩慢な滅びの眠りを与えようって話ですからね」
ミリィ「全力全開の精神に則るなら、あたしもアラマユさんに反対する立場になるのよね。転生前の自分がしでかした失敗の尻拭いをさせられている気分というか」
NOVA「まあ、NPCが完璧であれば、プレイヤーが事件を解決する主役にはなれないからな。完璧に思えた神さまNPCにも落ち度がいろいろあって、それをプレイヤーキャラが修復して理想の状態に持っていくシナリオなんだ」
ミリィ「とにかく、フィットチーネさんは全力全開派ってことでいいのかしら?」
NOVA「そうだな。まず、先程の『妖精王がアラマユに反旗を翻した説』をフィットチーネは信じていない。ケットシーはみんな妖精王の従者として全幅の信頼を置いているので、アラマユVS妖精王の構図は受け入れ難い話なわけだ。あくまで『ダレスがそういう可能性を主張したこともある』程度の言及で、フィットチーネも客観的な研究者視点で、眉唾な仮説という姿勢を崩さない」
ミリィ「アラマユさんが妖精郷の創造者ではなく、世界の破滅も計算に入れた封印者であるという事実は、やっぱりケットシーには話さない方が良さそう」
NOVA「続いて、アラマユの妖精郷封鎖理由のその2だけど、『外部の侵略の魔の手から、妖精郷の安全を守るため』というのがフィットチーネの強調するところだね。つまり、かつての魔法文明が崩壊した原因として考えられているのが『蛮族の侵攻と、魔神の反乱』によるものだから、蛮族と魔神が侵入できないようにするために、妖精郷を戦乱のラクシアから隔離したという話だ」
エマ「確かに、それは納得度が高いわ。今の妖精郷崩壊の危険も、魔神の活動によるものが大きいみたいだし。魔神ハンターとしては、その説を支持します」
NOVA「お前は魔神ハンターを名乗るなよ。別のリプレイと混同するだろうが」
エマ「だって魔神使いが宿敵なんだし、わたしだって魔神ハンターを名乗る資格はあるわよ」
NOVA「ハンターじゃなくて、キラーとかスレイヤーとか違う単語なら許す」
エマ「だったら、魔神スレイヤー。略してマジスレのエマ・ショーカってことで。魔神スレイヤーの称号も名誉点で買うわ」
GM「今じゃなくて、また後で。キャラ成長時にして欲しい。GMからのお願いだ」
ミリィ「とにかく、『外部の侵略から妖精郷を守るために封鎖した』って話なら、ケットシーたちも納得するのね。なら、それに合わせるわ。受け入れ難い真実よりも、耳当たりの良い話の方が流布される。歴史はそうやって作られるってことね」
NOVA「その意見については、歴史学専攻として言いたいこともいろいろあるが、創作者としては『歴史の闇に隠れた真実』って響きにもロマンを感じるので、頭ごなしに否定はしない」
ミリィ「リオン様には将来、妖精郷の歴史書を編纂してもらうわ。タイトルは鎌倉殿の参考史料である『吾妻鏡』をもじって『妖精鏡(フェアリーかがみ)』ってことで一つ」
サイバ「鏡が歴史書を意味するのは、日本史に限ることだと思うのですけどね。確か、大鏡、今鏡、水鏡、増鏡の4つが本流だったはず」
NOVA「大鏡は藤原摂関家が中心の歴史物語で道長までを描き、今鏡はそれ以降の平家台頭に至るまでの物語。水鏡は大鏡以前の神武天皇〜平安初期を網羅した話で、増鏡は源平合戦から鎌倉幕府滅亡までの歴史を、京都からの視点で描いた話らしいな。歴史資料としても貴重だったりする」
GM「吾妻鏡は、鎌倉サイドの視点で武家政権の成立を描いた歴史資料。時期的には頼朝挙兵から北条氏の時代に入って、5代執権・時頼までの話だそうだ」
マークス「にわかに鎌倉脳が蔓延しているみたいですが、そろそろ話を進めないといけないのでは?」
NOVA「アラマユの妖精郷封鎖理由のその3は、『妖精郷を永遠の楽園にするために、長い停滞期間を設けるため』だな。元より、妖精たちの多くは時間感覚もあいまいで、ケットシーのように人間にお仕えするような習性を持つ者や、大妖精クラスの強固な自我を備えた者を除けば、文化文明とは無縁のお気楽な連中だ。だから、産業発展やエネルギー資源の浪費などをしない限り、持続可能なエコ的自給自足世界を保っていられる。妖精たちが永遠に変わらず安らげる世界という点で、アラマユは完璧なセッティングをしたんだ」
ミリィ「閉じた世界なら、完璧で崩れない、と」
NOVA「一度完成した後は、魔力を大量に使うことをしない限り、永久機関を保っていられる。魔女が望んだ永遠を、アラマユは生涯かけて実現したわけだね。もちろん、それは魔女が望んだのとは違う形だけど、『妖精たちに囲まれた理想郷で永遠に穏やかに眠っていられること』がアラマユの魔女への贈り物ということだ」
ミリィ「だけど、邪神に魂を売って小神としての永遠性を追求した魔女にとっては、遥かな眠りの世界なんて退屈極まりないものは幸せとは言えない代物だった、と」
NOVA「その辺が結局、エルフのアラマユと、人間の魔女の相容れない価値観の違いとも言えるな。エルフにとっては自然に囲まれての永遠の停滞が理想的な幸せだったんだけど、人間はもっと野心的で刺激を求める傾向があり、よく言えば向上心が旺盛で、悪く言えば破壊的な方向に転じやすい。つまり、アラマユの善意は魔女にとっては自分を縛る檻のようなものだったので、魔女は自身の解放の助けになる魔力の活性化を目論み、一方のアラマユは魔力を少しでも封じることで魔女を抑え込もうとしたんだ」
ミリィ「生かさず殺さず、過保護な愛でずっと抱きしめ続けているのがアラマユさん。魔女の立場からすれば、アラマユさんに呪縛されて、無理心中を強要されているようなものか。あたしなら息が詰まるわね。魔女の気持ちも分かる気がする」
サイバ「ミリィは奔放なところがあるからな……と、分かったような口を利きます」
NOVA「妖精郷は、それだけで強大な魔力を蓄える器として創造された。世界そのものが強力なマジックアイテム、すなわちアーティファクト、あるいは神の力を蓄える祭器の性能を秘めていると言っていい。その全ての力を解放すれば、さぞかし膨大なエネルギーを発動することができるだろう」
エマ「3000年間、世界を自給自足で維持できるだけのエネルギーね」
ミリィ「妖精郷自体が、史上稀に見るお宝ってことね。世界を創造した魔女も凄ければ、管理維持するシステムを調整したアラマユさんも凄い。現在のラクシアの魔法技術ではとても再現することはできない、と。さすがは古代の天才魔法使いと言ったところかしら」
NOVA「だけど、転移の魔法陣で外の世界から人間たちが中に入ってくることは、アラマユも想定外。世界は妖精たちのために調律されているから、中の人たちも世界の維持システムの影響で少しずつ妖精化が進行していく。それが妖精郷同化度で、長期間過ごすことでハッピーラッキーなお気楽脳と化していくわけだ。とりわけ、妖精神アステリアに縁深い種族のエルフは妖精郷の影響を強く受けやすいみたいで、それこそがミリィに発症した反F(フェアリー)現象だな」
ミリィ「設定を拾われた?」
NOVA「フィットチーネが言うには、『妖精だけなら永久機関であった妖精郷のシステムが、人間その他を取り込んだために魔力を消費することとなり、永久性が失われた』とのこと。アラマユの想定外の事態なので、封印されたものを少しずつ解放していかないと世界そのものが維持できない。とりあえず、転移の魔法陣を起動できたことで、人間の体で言えば呼吸器官が復活して外気たるマナを取り入れることができるようにはなった。だけど、循環器である心臓に当たる鐘楼の鐘が老化してしまっているので、血流がうまく回らないのが現状の妖精郷になるわけだ」
ミリィ「魔力だけラクシアから吸収しても、それを世界に上手く回して行かないといけないって話ね。今の状態で、水晶塔の魔力を解放しても大丈夫かしら。魔力の枯渇を心配しなくてもいい? 【火柱の塔】にある炎の水晶塔の封印を解除しようと思うんだけど?」
フィットチーネ『問題ありません。鐘を鋳造するための魔力炉を効率よく動かすためにも、炎の力は高まる方が望ましいです。ただし、部外者が迂闊に封印を解除しないよう、ダレスさんが番人の魔動機械ドゥームを配備していますが……あなた方なら勝てますよね』
マークス「ドゥームですが、確か倒したはずでは?」
ミリィ「レベル5の魔動機ね。レベル8の今ならザコだし、仮に復活して来ても問題なく倒せるわ。じゃあ、フィットチーネさんの許可が出たみたいだから、【火柱の塔】に行って、炎の力を解放して来ます」
GM「以上。長い朝食タイムだったということで」
炎の水晶塔の封印解放
3日めの昼、【おもてなし亭】からの移動判定に成功した宮廷団一行は、【火柱の塔】にあっさり到着。以前の攻略で入手した鍵を使って、最上階までフリーパスで到達し、管理役の炎の妖精エインセルのスクーデルと再会。葡萄パンをあげると、喜んで〈炎精鉱〉を渡してもらえた。
ミリィ「では、いよいよ炎の水晶塔の力を解放します」
GM「【火柱の塔】の低階層、広大な円形の部屋の中央に描かれた魔法陣。そこに真紅の水晶で造られた高さ2メートルほどの塔があって、〈炎精鉱〉に反応してリーンリーンと鈴のような音を鳴らして共鳴するね。塔のオブジェと鉱石はどちらも炎の色に明るく明滅し、呼び合っているようだ」
ミリィ「炎は確かエマちゃんの担当ね」
エマ「あれ? そうだっけ?」
マークス「ミリィさんが大地で、私が水、リオンさんが風、そしてエマお嬢さまが炎という話だったはず」
エマ「つまり、わたしは炎魔(えんま)ってことね。不死鳥の剣の持ち主だし、納得するわ。じゃあ、〈炎精鉱〉を持って魔法陣の中に踏み込みます」
GM「すると、〈炎精鉱〉が塔のオブジェに引き寄せられ、内部に吸収されてしまう。その瞬間、激しい振動とともに水晶の塔から真っ赤な光があふれ出し、エマの体を劫火のように包み込む」
エマ「キャアーーーーーッ!」
マークス「エマお嬢さま〜〜ッ!」
ミリィ「さらば、エマちゃん。あなたのことは忘れない」
GM「幸い、エマの体は焼けてはいない。ただ、周囲にマナが満ちていくとともに、エマはファルシオンに変化を感じた」
エマ「え?」
GM「妖精郷の炎の力を吸収したファルシオンは、『炎の妖精武器ファルシオン・フレイム』として進化した。補助動作で炎属性を付与できる魔法の武器扱いだ」
エマ「本当に? そんな簡単に進化していいの?」
GM「本来なら1500ガメル払って、妖精武器仕様に強化してもらうところだけど、特別サービスって奴だ。エマは炎の加護を受けているってことで。ともあれ、炎の水晶塔の封印も解除されたので、★3つを進呈しよう」
エマ「ファルシオン・フレイム。ローズワース家に伝わる〈炎翼剣〉の伝説は本当だったようね。これならザイアスにも勝てる」
GM「まだファルシオン第2形態に過ぎない。ファルシオンの進化はもっと続くはずだよ」
北西エリアの寄り道タイム
ミリィ「西エリアのイベントは片付いたので、次は北西エリアに向かうわね。ここでは【骨の丘】と【鉱山】でアイテム集めができるので、お宝探しを頑張ります」
エマ「お姉さま、寄り道せずに真っ直ぐ目的地に向かわないんですか?」
ミリィ「今から目的地へ向かうにしても、夕方(北西)→夜(北)→深夜(北東)になって、遅い時間になるからねえ。夕方(骨の丘)→夜(鉱山)→深夜(大神殿で寝る)→朝(北)→昼(北東)というのが余裕を持った旅のスケジュールということで、のんびり行きましょう。何よりも、あたしはお金を稼がないと、ノマちゃんの維持費が払えなくなるんだから」
マークス「ライダーの切実な懐事情ってことですね」
妖精郷同化度による時間制限のあった妖精郷・前作に比べて、転移の魔法陣でラクシアに帰還できる今作・妖精女王ズでは、妖精郷同化度はいつでもリセットできる仕様。
よって、ゲーム内の時間制限なく、アイテム拾いが楽しめるのだった。
結果、【骨の丘】に寄り道すると、骨の中から、レベル7アンデッドのジャックオーランタン2体とレベル8アンデッドのブランクが出現し、バトルが開始される。
ミリィ「ジャックオーランタンはカボチャオバケってことは分かる。でも、ブランクって、どういうモンスターなのかしら」
サイバ「こういうときは魔物知識判定だ。ケイソン!」
ケイソン『ケケケケケイソーン!(コロコロ×2回)』
サイバ「4と3? 基準値足して、カボチャ17とブランク16だけど……」
GM「カボチャは弱点まで判明した。ブランクは知名度13だけど、弱点値19だから……」
サイバ「《運命変転》します。ブランクの方は魔物知識25まで上がった」
GM「だったら、どちらも弱点まで判明したね。データも全て公開だ」
サイバ「カボチャはHP48で、真語と操霊魔法を6レベルまで使ってくるのか。つまり、【ファイアボール】を撃って来ると。かなり危険な相手だね」
NOVA「別ブログの魔神ハンターでは、カボチャの撃って来た火球一発で、シロ君のホリーが戦闘不能に追い込まれたそうだからなあ」
エマ「シロちゃんの仇は、わたしたちが討ってあげる」
GM「もう一体のブランクは、濃い霧の塊から2本の腕が伸びている姿をしているね。通常武器無効で、魔法に対しても《マナ不干渉》の能力を持っている。つまり、抵抗したらダメージ半減ではなく、消滅になる。さらに腕の攻撃が命中すると、《空白化》という特殊能力が発動して、最近に習得した戦闘特技を一時的に忘れるわけだ」
エマ「さすがは魔神。恐ろしい相手ね」
GM「? いや、魔神じゃなくてアンデッドなんだが?」
エマ「わたしにとっては、人外な姿をした化け物はみんな魔神なの。つまり、魔神スレイヤーの獲物ってことね。ファルシオン・フレイムが魔法の武器に覚醒していて良かったわ」
マークス「ああ。私のヘビーアックスは、魔法の武器ではありません。ええと、《魔力撃》だったら魔法の武器扱いになりますか?」
GM「どうだろう?」
NOVA「魔力分の追加ダメージのみ有効としておくか」
マークス「それって9点だけですよね。相手の防護点はいくらですか?」
GM「8点だ」
マークス「つまり、1点ダメージしか与えられない、と?」
GM「武器に魔法をかけてもらえばいいだけの話だ」
マークス「リオン様、お願いします」
サイバ「でも、ぼくは【ファイアボール】を撃ってる方がいいんだよ。相手の弱点の炎属性+3が有効だしね」
ミリィ「とにかく、先制判定行くよ〜。(コロコロ)18」
GM「こっちは14だ」
ミリィ「よし、勝った。相手はどっちも前衛に出て来てる?」
GM「前後を分けると手間なので、全員前に出ていることにしよう」
ミリィ「だったら、みんなまとめて【ファイアブラスト】で焼いちゃうね。1発め、魔法行使判定は20!」
GM「抵抗は抜けた」
ミリィ「よし、ダメージはカボチャに15点と13点。ブランクの方は15点に、弱点の炎属性で+3で18ダメージ♪」
GM「カボチャの残りHPは33点と35点。ブランクの方は46点だね」
ミリィ「《ファストアクション》分、もう1発行くよ〜。今度は魔法行使18」
GM「抵抗できず」
ミリィ「順番に12点、2回クリティカルで25点、ブランクは弱点込みで17点♪」
GM「残りHPは21点、10点、29点だ」
ミリィ「MPは12点使って、残り34点。いい仕事をしたわ。次は、リオン様、お願いね」
サイバ「念のため、鼓咆を宣言しておけばいいんですね。よく分からないんだけど」
GM「【怒涛の攻陣】と言えば、パーティーの物理攻撃+1される」
サイバ「MPを使わなくていいなら、【怒涛の攻陣】! それから【ファイアボール】! 魔法行使はダイスを振らないといけないから、ケイソン、行けッ!」
ケイソン『ケケケケケイソーン!(コロコロ)』
サイバ「出目4。合計16か。もっと気合い入れろよ〜」
ケイソン『ケソ〜リ〜(シュン)』
GM「それじゃあ、相手の抵抗を抜けないねえ」
マークス「剣の恩寵で+2したら、どうですか?」
GM「だったら、行けるけど」
マークス「ならば、月1回の剣の恩寵をここで使います。リオンさん、魔法の武器を持たない私は、この戦いでは無力に近い。しかし、応援することならできる。やっちゃって下さい」
サイバ「キャプテンの応援でヤル気が出たよ。魔法行使18だ」
GM「抵抗が抜かれてしまった」
サイバ「よし、ケイソン。ダメージダイスで応援に応えるんだ!」
ケイソン『ケケーーッ!(コロコロ×3回)』
サイバ「出目10、ピンゾロ、出目6。ええと、真ん中を撃ち漏らして、カボチャに20点、ブランクには16点。弱点は2倍なので、6点足して22点だね」
ミリィ「リオン様、10の出目はクリティカルで振り足しできるよ」
サイバ「えっ、そうなの? ケイソン、振り足しだってさ」
ケイソン『ケケーーッ!(コロコロ)』
サイバ「9か。だったら7点増えて、カボチャ27点、真ん中ゼロ、ブランク22点でした」
GM「なかなかややこしいダイス振りだったけど、これでカボチャAが死んで、カボチャBが生き残って10点で、ブランクの残りHPが7点だ」
エマ「だったら、マー君はカボチャにとどめを刺して。こいつは通常武器が効くから。ブランクの方はファルシオンでわたしが仕留めるわ」
マークス「おお、エマお嬢さま、素晴らしい判断です。では、カボチャに対しては、【マッスルベアー】【ジャイアントアーム】でダメージ+4して、《魔力撃》も宣言して、命中判定は16」
GM「回避も16だ」
マークス「何と。だが、しかし、私にはスパイクシールドというものがある。これで、もう一撃。命中は18!」
GM「斧をかわしたカボチャだったが、油断したところをトゲ付き盾の一撃が!」
マークス「こちらには《魔力撃》が乗らないので、普通にダメージ。あまり高くはなくて、16点ですが?」
GM「防護点は6点なので、10点ダメージを与えて、ピッタり倒したよ」
マークス「ふう、かろうじて面目は保てました」
エマ「よし、ファルシオン・フレイムの初陣よ。魔神アンデッドのブランクさん。燃える炎で滅してあげるわ。【マッスルベアー】でダメージ+2しておいて、命中判定は……18よ」
GM「回避は16だから当たったよ」
エマ「ダメージダイスは……ピンゾロ!? ふえ〜ん、せっかくの見せ場が〜(涙目)」
GM「じゃあ、反撃をしてあげよう。命中17を避けるんだな」
マークス「あっ、すみません、エマお嬢さま。かばう宣言を忘れていました」
エマ「そんなの、避ければいいんでしょう、避ければ。(コロコロ)回避16、ダメだった」
GM「ダメージは19点だ」
エマ「防護点は6点なので、13点受けて、残りHPは46。まだまだ、こんなのじゃヘコたれないんだから」
GM「さらに精神抵抗16を行うように」
エマ「わたしの意志はくじけない! 15!」
ミリィ「妖怪1足りないが出まくりね」
GM「エマは戦闘特技を忘れた」
エマ「ええと、最近覚えたのは《タフネス》なんだけど? HPが15点補強される奴」
GM「だったら、HP15点が一時的に減少させられた」
エマ「すると、残りHPが31点。何よ、こいつ、実質28点も与えて来るなんて」
NOVA「シロ君のホリーも、28点ダメージでやられたそうだ」
エマ「わたしはまだ生きている。次のラウンド、ファルシオンよ、お願い力を貸して。わたしから攻撃するわね。命中判定は21。しっかり当ててダメージは……17点に炎で+3して20点」
サイバ「あと、鼓咆で+1もあるから」
エマ「だったら21点」
マークス「私も先ほど足し忘れていました。結果オーライですけど」
GM「防護点は8なので、13点ダメージ。不浄な亡者はファルシオンの炎で焼き滅ぼされた」
エマ「何とか倒せたけど、この炎の力、使いこなすにはまだまだ修練が必要みたいね。ダメージピンゾロは、強力な武器の力に振り回されたってことにします」
この戦いの結果、220点のバトル経験点と、★2個。ピンゾロはサイバとエマが1回ずつ。
戦利品は、かぼちゃのランタン(100G)×2個、大きな鎌(600G)×2本。ブランクからは何も得られず。
さらに辺りを探索して、エマ以外の3人がアイテムをゲットした。ミリィが魔力を帯びた骨(250G)、マークスが竜の牙(1200G)、サイバが意匠を凝らした武器(150G)をそれぞれ見つける。
その後、一行はバトル後の疲れを癒すため、鉱山探検は断念して、夜に【大神殿】に到着するのだった。
●続フェアリーガーデンここまでの状況
日数経過:3日め夜(大神殿に到着)
経験点:ラナのスイーツを狙う吸血鬼を撃退★2個
フラウにスイーツを渡す★2個
水の大妖精ミーミルに会う★2個
ミーミルから重要情報を聞く★6個
雪山でブラウニーを見つける★2個
雪山でスカディの歓待を受ける★2個
薬草園を蘇らせる★3個
炎の水晶塔の封印を解除する★3個
骨の丘でアンデッドと戦う★2個
(合計★24個)
魔物撃退分330点
ピンゾロ分(サイバ1回、エマ1回)
収支:〈ムリアンの宝石〉、〈フラウの宝石〉
〈水精鉱〉
スカディのお気に入りポイント3点
戦利品4000ガメル分
361ガメル支払う。防寒具4人分
美肌草(20G)
氷の羅針盤、〈土精鉱〉1個消費
ブラウニー発見数:7体
遂行中のミッション
・〈イフリートの炎〉の入手
受注したクエスト
・光の樹のお宝を取り戻す(犯人は【虹の根元】の魔神)
その他の冒険目的&情報
「火柱の塔の魔力炉で〈妖精郷の鐘〉を鋳造できる」
「火柱の塔のエインセルにラナスイーツを渡せば、
〈炎精鉱〉をもらえる」→達成
「火柱の塔に〈炎精鉱〉を持ってくれば、火の封印が解除できる」→達成
「水晶塔の情報6ヶ所」(光、炎は封印解除済み)
「大神殿の信者を解放できるよう成長」
(エマのプリースト10レベル以上でイベント発生)
「スレイプニールがいれば、妖精郷内を瞬間移動できる」
「ヒックリカエルはダジャレで世界をひっくり返し、闇に包む」
「鳥籠の木には偽女王が捕まっている」
(レベル11以上でイベント発生)
「虹の根元には、魔神召喚の門が築かれている」
「魔女の名前はネアン。邪妖の女神を目指している」
「崩壊しかけている妖精郷を救う」
冒険達成度:炎の水晶塔の封印を解除した+3%
合計56%
(当記事 完)