Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

スパイダーマンの話(その3)

暴太郎戦隊の話から

 

翔花「とうとう、暴太郎戦隊の制作発表がされたわね」

NOVA「楽しみだよなあ、暴太郎戦隊ドンブリーズ。まさか、鉄火丼レッドとか、カツ丼イエローとか、牛丼ピンクなんて、丼もの戦隊で来るとは思わなかったぜ。プリキュアが飯、パン、ラーメンの力で戦い、ライダーが人を食う悪魔が暴れて、その上、暴太郎まで飯テロ路線で来るとは、このShiny NOVAの目をしても読めなんだわ。食にこだわるニチアサになりそうだな」

晶華「あれ? 香りにこだわるドンフレグランスさんじゃなかった?」

NOVA「何だよ、ドンフレグランスって? 時代はみんな集まれ、いただきますのドンブリーズに決まってるだろう。天丼ブルーと海鮮丼ブラックをナメるな」

晶華「いいえ。匂いにこだわる花粉症ガールとしては、ドンフレグランスさんを応援するんだから。ゴージャスでロマンティックなフローラルノートさんに憧れるわね」

NOVA「ドンブリーズだろう!」

晶華「ドンフレグランスよッ!」

翔花「どっちも違う(涙目)。今度の戦隊はドンレンジャーだし」

NOVA「いや、それも違うだろう。本物はこれだな」

晶華「ドンブリーズも、ドンフレグランスもボツネタなのかしら」

NOVA「いや、並行世界にはドンブリーズの世界も、ドンフレグランスの世界もあるんだろう。ドンブリトピアとか、フレグランストピアとか」

晶華「ノートって香調って意味の英単語なのね。花の香りのフローラルノートって、香水の世界では普通にある言葉だし。柑橘系のシトラスノートとか、草系のグリーンノート、甘い果物系のフルーティノートなど関連用語もいっぱい」

NOVA「ノートに100回練習しろってネタは何度も使ったが、ノートが香水関連の言葉だったとは、今回初めて知ったぜ。まさか戦隊の制作発表で、こういう勉強ができるとは思わなかったな。ノートワルドとか出てきて、勉強系の怪人かと思いきや、匂い系の怪人だとはビックリだ。さすがは脚本家が香村さんだけあるなあ」

翔花「いや、ノートに香村純子さん、関係ないし。今度の脚本は井上敏樹さんでしょう?」

NOVA「井上敏樹さんだったら、食事シーンに定評のある脚本家だな。正にドンブリーズに相応しいというか」

翔花「もう、いつまでボケてるのよ。今回の制作発表を受けたなら、『メンバーが全員人間で驚いた』とか『介人続投で驚いた』とか『男性ピンクが33歳サラリーマンで驚いた』とか『敵幹部が3人顔出しで驚いた』とか、いろいろネタがあるでしょう」

NOVA「でも、そのネタは俺が言わなくても、いろいろなところで言ってるからなあ。俺固有の驚きポイントは『17歳女子高生が鬼になって、あなたに忠誠を誓いますなんてセリフを言っちゃうところ』だな。何となく、悪堕ちヒロイン萌え回路がピクっと反応したと言うか、このセリフだけで妄想たぎったりする」

晶華「NOVAちゃんに忠誠を誓います」

NOVA「娘に言われてもなあ。元は契約精霊なんだから、忠誠誓って当たり前なところがあるし、無理やりそういうセリフを言わせるのはヒーローとは違う方向性だし」

翔花「でも、桃太郎が女子高生に『お前は鬼だ』って役割指定するのって、シュールよね」

NOVA「女子高生に『暴太郎って何!?』とかツッコミ入れさせまくるのもツボだな。ナイスなツッコミ芸は感情移入を高めるし」

晶華「ナイスなツッコミ芸と、ナイスじゃないツッコミの違いは何?」

NOVA「ツッコミは、ボケを引き立たせる常識人の発言だからな。聞き手がツッコミ入れたいポイントを代わりに入れてあげるから好感度が高まるんだ。まあ、たまに『そんなところにツッコミ入れてどうするんだ?』って、ツッコミ自体がボケに転化するトリオプレイもあるんだが、基本的にツッコミ入れるのは常識人の役割。的確に連続ツッコミ入れながら、キャーキャー振り回されている女子高生って構図は素直にウケる。ボケの勢いがありすぎて、ツッコミ役が振り回されるのはコメディの基本だな」

晶華「NOVAちゃんは、ツッコミよりもボケ重視な人だものね」

NOVA「バレーボールで言えば、ツッコミはアタッカーなのでエースっぽくて目立つんだよな。ボケが上げたトスを舌鋒鋭くツッコミ入れることで、ポイントが入る。ただ、トスが上がってないところでツッコミ入れても、ネットに引っ掛かってポイントを取り損なう。ツッコミ役に必要なのは、『勢い』『ツッコミポイントやタイミングの見極め』『聞き手のツボを察知するセンス』と言ったところか」

翔花「ツッコミ芸は、ただの毒舌悪口じゃないってことね」

NOVA「話芸で悪口言って許されるのって、その指摘が大多数の納得する正論を含んでいるからなんだな。『確かに、お前の言うとおりだ。よく言った』って感覚があるからこそ、笑いに昇華できる。そして、ツッコミ入れる人間が奇抜なセンスの持ち主で、それが常識に反する場合は、逆ツッコミでボケに昇華してこそ、ギャグになる」

 

ボケ:おかしなことを言う。

ツッコミ:それはおかしいだろう、と指摘する。

ボケ:さらに、おかしなことを言う。

ツッコミ:さらに指摘する。

ボケ:だったら、どうすればいいのか問い返す。

ツッコミ:調子に乗って、自説を披露。だけど、それもまたおかしい。

ボケ:あんたの方がおかしいでしょ、とツッコミ入れ返してオチ。

 

NOVA「基本はこれだな。まあ、偉そうに言ってる奴が、実は大したことなかったとか、ボケとツッコミの役割交代、やられた奴がやり返す逆転劇がオチになる、と。それを知ってるツッコミ役は、ある程度、自分が言い過ぎたなってピークの頃合いで、自己ツッコミを入れて、話題にオチをつけるし、言いっ放しで自分にオチを付けられないなら会話が締まらないことにもなる」

翔花「って、これって何の話?」

NOVA「そりゃあ、暴太郎戦隊PRを受けてのボケとツッコミ喜劇とか、ドンブラ脳の予習だな。おあつらえ向きに、今度の敵は脳人(ノート)って言うみたいだし、人が人じゃない姿に変わるアバター設定とか、人じゃない敵ノートが人の感情に興味を寄せる設定とか、ジョークやコミュニケーションの観点で語れることもありそうだ」

晶華「でも、今回のタイトルは?」

NOVA「スパイダーマン……って、おい、ここからどうクモ男の話につなげるんだ?」

晶華「そんなの私が知るか」

翔花「わたしは知ってます。PONって一言。前置き終了!」

NOVA「いや、この流れだと、こうだろう」

 

DON!!

 

改めてクモ男の話

 

NOVA「さて、クモ男と言えば、我らが門田ヒロミさんだが、きれいに爆風に吹き飛ばされて崖から落ちて退場になったわけだ」

晶華「惜しい人を亡くしたわね」

NOVA「勝手に殺すな。あくまで行方不明だ。真のヒーローはここからヒュンケルみたいに格好よく復活して、仲間の窮地を助けてくれるのが王道だ」

晶華「真のヒーローじゃなかったら?」

NOVA「ファンが二次創作でネタにする。その熱気に感じ入った公式がスピンオフ作品を発表する。まあ、次に出たときはデモンズとは違うライダーになってるかもしれんがな」

翔花「デモンズドライバーはオルテカさんに取られちゃったね」

NOVA「オルテカがオレアクマ君に命を吸われて、どんどん衰弱する日を俺は心待ちにしている」

翔花「同じ悪魔だったら、命を吸われたりしないんじゃないの?」

NOVA「いや、そうとも限らないぞ。やっぱり、悪魔はまずい、人間の方が美味しいと言って、デモンズドライバーがオルテカをあっさり裏切って、他の人間のところに離脱する可能性もゼロじゃない。それよりヒロミ三部作が終わった次の旬はこれだろう」

翔花「何それ?」

NOVA「ジャックリバイスの変身アイテムだな。バイスが一輝の体を乗っ取って、黒化融合合体するらしい。ドンブラで出演発表されたゼンカイザーブラック同様、黒いライダーが旬っぽいな」

翔花「ゼンカイザーさんはライダーじゃないでしょ?」

NOVA「そうか? ゼンカイザーのデザインが去年初めて発表された時は、額のV字アンテナ風パーツがまるで仮面ライダーみたいだ、と評判になったものだぞ」

晶華「デザイン的には、派手だったゼンカイザーさんに比べて、白と黒のモノトーンで地味になったんじゃない?」

NOVA「これっぽいカラーリングだな」

NOVA「あるいは、これもイメージする」

晶華「ふう。ようやく、スパイダーマンの話に来たわね」

NOVA「ああ、計算どおりだ」

晶華「どこがよ。行き当たりばったりの強引な展開で、迷走しまくりじゃない?」

NOVA「大事なのはスパイダーマンの話に辿り着けたという事実だ。スパイダーマンは、スーパーマン同様、アメリカ国旗をイメージする赤と青のコスチュームで有名だが、中には違うカラーリングのスーツもあって、ヴェノムと融合したブラックスーツなんかは結構有名だな」

翔花「黒人スパイダーマンのこっちの子も有名よね」

NOVA「ピーター・パーカーの名前が忘れられた現状、案外、MCUにこっちのマイルス・モラレス版のスパイダーマンが登場してくる可能性があるな」

晶華「スパイダーバースではこっちが主人公なのよね」

NOVA「ゲームでも隠しキャラ扱いだったのが、とうとう主人公に昇格したみたいだからな」

NOVA「マイルス・モラレスのコミックデビューは2011年で、10年を経たキャラということになる。ピーターが死んで、後を継ぐ2代めスパイダーマンという設定でスタートしたけど、後に世界観の変化によるピーター復活などがあって、現在はピーターとマイルスのダブル主人公として展開しているようだ。ピーターの能力は大体継承しているが、それ以外にカメレオンみたいなカモフラージュ能力で隠密性が高く、ヴェノムストライクという電撃っぽい技を持っている」

翔花「つまり、性能的にはアッパーバージョンなのね」

NOVA「まあ、後から出てきた方が多彩な技を設定されていることは、ヒーロー物でよくある話だが、各種の技を使いこなす戦闘経験とか、日常生活における人生の経験値では先輩ヒーローの方が上ということだな。とにかく、ピーターの設定が10代の若者から娘(メイデイ・パーカー)持ちの父親まで広がって行ったのに対し、マイルスは今どきのティーンエイジャーに設定されていて、大人ピーターと師弟関係みたいに描かれているようだ」

晶華「すると、MCUでも成長したトムホ版のスパイダーマンと、新しい黒人の子のWスパイダーマンの物語が展開する可能性も考えられる、と」

NOVA「一応、ホームカミングの映画でも、マイルスの叔父のアーロン・デイヴィスが登場して、マイルスの存在を匂わせているからなあ」

 

トビー・マグワイア版のスパイダーマン

 

NOVA「さて、未来ではなくて、過去の話に移ろう。21世紀に入ってから、実写版スパイダーマンは3つのシリーズが展開されて、それが一堂に介して総決算を示したのが、『スパイダーマン:ノーウェイホーム(略称NWH)』なんだが、その最初のシリーズ作品が2002年、04年、そして07年の3部作になる。各作品に登場したヴィランのグリーンゴブリン、ドクター・オクトパス、そしてサンドマンがNWHでも暴れ回るわけだな」

翔花「20年近く前の映画の敵が再登場するわけね」

NOVA「同じ役者でな。日本的に言うなら、仮面ライダー龍騎や、仮面ライダー剣や、仮面ライダー電王のラスボス役者が結集したようなものか」

晶華「神崎士郎役の菊地謙三郎さんや、ウルトラセブン森次晃嗣さん、ウルトラマンオーブ石黒英雄さん。それはまた、錚々たるメンバーね」

NOVA「まあ、セブンとオーブは共演したことがあるけどな」

翔花「だったら、後は神崎士郎さんを呼んでくれば、スパイダーマンNWHの感動を再現できる」

NOVA「いや、彼の役者さんは2008年に役者を引退しているから難しいだろう」

晶華「それにしても、今年は龍騎さんの20周年であるのと同様に、トビー・マグワイア版のスパイダーマンさん20周年でもあるのね」

NOVA「その意味でもメモリアルになるのか」

 

アンドリュー・ガーフィールドアメイジング

 

NOVA「続いてリブートしたアメイジング版2部作は、2012年と14年だな。これまた10周年のメモリアルという形になる」

晶華「仮面ライダー史だと、ウィザードさんとドライブさんの時期になるのね」

NOVA「それでNWHに登場した旧作ヴィランは、1のカート・コナーズ博士(リザード)と2のエレクトロ。つまり、各作品から1人ずつ代表的な敵を選出した形になる。面白いのは、カート・コナーズというキャラクターがアメイジング版だけでなく、過去作のスパイダーマン2および3にも、ピーターの通う大学の教授として登場しているということだ(役者は違うけど)。だから、ドクター・オクトパスはカート・コナーズのことを知っているんだけど、アメイジング版のコナーズはオクトパスのことを知らない。その結果、NWHで両者が対面したときに、噛み合わない会話になったりするわけで」

晶華「並行世界の同一人物では、よくあるネタね。スパロボ30でも、α世界から来たマサキさんやリュウセイさんはマジンガーの兜甲児さんやコンVの葵豹馬さんのことを知っているのに、30世界のスーパーロボット乗りはマサキさんたちのことを知らない、とか」

NOVA「元映画では知り合いじゃないヴィラン同士の初邂逅という意味でも、興味深いんだよな、NWHって。もちろん、トムホのピーターにとっては、どのヴィランも今回が初邂逅なわけで、敵はスパイダーマンのことを知っているのに、何も知らないトムホのピーターは困惑するとか、オクトパスさんは顔見知りなのでスパイダーマンをピーターと呼びかけているのに、顔が見えると、『お前はピーターじゃない』とか言い出すし、この真面目なトボケぶりが面白い」

 

晶華「それで、ヴィランさんの話は置いておいて、トビーさんとアンディーさんの2人のピーターさんはどう違うの?」

NOVA「ええと、ピーター・パーカーが複数いるとややこしいので、NWHの呼称に従い、主役のトムホはピーター1、トビーさん演じるのをピーター2、アメイジング版をピーター3と呼称する。

「ピーター2は、冴えない科学オタクがクモに噛まれて、たまたま偶然ヒーローになって最初は調子に乗っていたのが、ヒーローとしての様々な試練を経て、途中で闇落ちしつつも成長。最終的には、自分を父親殺しだと憎んだ親友ハリー・オズボーン(ニューゴブリン)とも和解し(最後はピーターを助けて惜しくも死亡したけど)、彼女のMJとも親密になって、ハッピーエンドで終わったリア充スパイダーマンだな。全体的には、オタクが成長して満たされた大人になる話だった。

「一方、アメイジング版のピーター3は、天才科学者の卵でオタク要素は少なく、亡くなった両親の秘密を追ううちに、偶然ではなく意図的にスパイダーマンの力を手に入れたものの、同じくミュータント血清で力を得た恩師コナーズ博士が凶暴化したせいで、科学の生み出した力に葛藤する面が強調されている。そして、親友ハリー(グリーンゴブリン)とも和解できず、彼女のグウェンを助けることもできず、さらに予定されていた3作めが作られずに打ち切りになって、悲劇のスパイダーマンとされている。それと、どちらのピーターも最初は高校生からスタートし、2作め以降で大学に進学しているな」

翔花「トムホ版は大学に行けず、高校生のまま終わったみたいね」

NOVA「いや、最終的にはピーター・パーカーとしての記憶が世界から失われた結果、高校卒業認定試験を受けなければならず、つまり高校生活も消失したことになる。本人の能力はともかく、学歴面では中卒のまま社会に出たわけで、しかもメイおばさんという保護者も失って、孤立したロンリー・スパイダーマンに成り果てたわけだ」

晶華「最初は最も恵まれた陽性スパイダーマンだったのに、最後は悲劇で終わってしまうわけね」

NOVA「まあ、終わったかどうかは分からないけどな。3部作としては一段落したけど、今後のMCUで次の展開が待っている可能性は十分にある」

翔花「では、そのNWHの話に行きましょう」

 

帰る家なきスパイダーマン(2021)

 

晶華「あれ? NWHは2021年なんだ」

NOVA「本国のアメリカ公開が年末だったからな。日本では年始公開なので、2022年の印象があるが、データ上は2021年の映画という形になる。前作ファー・フロム・ホームの直後から物語はスタート。ピーターとの戦いで自滅的に事故死したミステリオの仕掛けによって、『スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることが世界に公開されて、英雄だったミステリオ殺しの犯罪者として非難の的にさらされることになったシーン』の続きだ」

翔花「でも、スパイダーマンって英雄アイアンマンさんの後継者として、称賛されてもいたのよね」

NOVA「そう。だから世界はスパイダーマンを応援する者と、敵視する者に分かれて、ピーターの周りは非常に騒がしいことになった。まともな高校生活も送りにくくなり、親友のネッドや恋人のMJの生活をもかき乱してしまって、悩み多きピーターの最後の高校生活が描かれる。ヒーローファンとしてピーターを応援する教師と、厄介なトラブルメーカー視する教師が論争したりして、さらに志望の大学(MIT)受験でピーターのみならず、ネッドやMJも不合格通知が送られてしまう。3人とも成績は優秀な学生なんだけどな」

晶華「大学受験かあ。花粉症ガールには無縁の単語ね」

NOVA「俺には職業柄、無縁じゃないんだけどな。まあ、自分の人生だけでなく、友人の将来まで悪影響を与えてしまったことに責任を感じたピーターは、アベンジャーズとして知り合ったドクター・ストレンジの魔法で『ミステリオが晒したスパイダーマン=ピーターの記憶を世界から消す魔法』を掛けられないか、と相談するわけだ。ただ、術を施す際に、『その魔法で親友や恋人、それにメイおばさんを含む皆がスパイダーマンの正体を忘れてしまう』ことを突然、聞かされたピーターが『いや、ネッドやMJ、メイおばさんたちの記憶は残して欲しいんだけど』と追加注文をいっぱい要求して、ストレンジさんが焦ってしまい、呪文を失敗。その結果、『並行世界でスパイダーマンを知る者(因縁の敵役)が、次々とピーター目指して召喚される状況』が発生するわけだ」

晶華「それでMCUと関係ない世界のスパイダーマンの敵が次々と出現したのね」

NOVA「その後は、ドクター・オクトパスを始めとする異世界ヴィランを、ピーターとストレンジ、それにMJとネッドが協力して、捕獲する作戦が敢行される。ストレンジの屋敷地下の牢獄に入れて、元の世界に送り返す展開だな。だけど、そのヴィランたちが元々は悪人でなく、不幸な運命の悪戯で超人能力を会得したために人生を狂わされ、元の世界に帰るとスパイダーマンと戦って死ぬ運命にあると聞かされたトムホ・ピーターが、彼らを助けられないかと同情的になるんだ」

翔花「敵を助けろってこと?」

NOVA「トムホ・ピーターにとっては敵じゃないからね。その子どもっぽい慈悲心に対して、ストレンジさんは『世界の理に反する』と言って断るんだけど、ピーターが折れずに対決劇が展開される」

NOVA「対決の結果、ストレンジさんが次元の狭間に落とされ、ピーターはストレンジさんの魔法施設とアイアンマン譲りの科学設備を使って、ヴィランを元の人間に戻せないか、と実験を試みるわけだ。その結果、ドクター・オクトパスは壊れたタコ脚制御チップを修復し、本来の人格を取り戻すんだけど、悪人格のグリーンゴブリンと超人能力を失いたくないエレクトロが反抗し、その混乱の最中に爆発でメイおばさんが死んでしまうんだ」

晶華「敵を助けようとして、自分の大切な人を失ってしまうのね」

NOVA「メイおばさんは、グリーンゴブリンの人格に乗っ取られる前のノーマン・オズボーンに同情的で、ボランティア精神での人助けを訴えるんだな。そして、MCUでは登場しないベンおじさんの代わりに『大いなる力には大いなる責任が伴う』というヒーロー訓をピーターに遺す。だけど、育ての親を自分の甘さで失ったピーターは慟哭し、失踪してしまうわけだ。アンチ・スパイダーマン論のマスコミはヴィランの跳梁をスパイダーマンに起因し(今回は実際にそうなんだけど)、ピーターは何のためにヒーローを続けるのかを見失うことに」

翔花「メイおばさんが死ぬような展開って過去にあったの?」

NOVA「コミックではそういうエピソードもあったが(ゾンビになったピーターにMJともども食い殺されたり、すでに故人だったり)、映像化された作品では初めてだと思う。ベンおじさんは死んでも、未亡人のメイおばさんはピーターの家庭の象徴として健在というイメージが強く、今回の映画でも死ぬとは思わなかったわけで、ピーターを絶望に落とすには十分な展開だったわけだ」

晶華「善意の人助けが、身内の死を招くなんて非常に過酷ね」

NOVA「失踪したピーターを助けるため、ヒロインのMJと親友のネッドが活躍するんだな。ネッドはITオタクだけでなく、魔法に親和性の高い家系だったことが本作で明かされ、ストレンジさんの残したアイテムを使って、次元の扉を開くことができたわけだ。そこでピーター・パーカーの行方を突き止めようとしたら、別世界のピーターを2人、召喚してしまう。それがピーター2とピーター3だ」

NOVA「絶望に苛まれたトムホ・ピーターを励ますのが、2人の大人スパイダーマン、別世界の自分で、異なる経験をしながらも、大いなる力を身につけ、それに伴う悲劇や葛藤を乗り越えてきた熟練のヒーローという展開。トニー・スタークという先達を失い、ドクター・ストレンジという先輩と対立した挙句、何をしたらいいのか分からなくなったピーターを、同じ目線で励ませる映し鏡のような存在になるわけだな」

翔花「スパイダー仲間かあ。魂の兄弟たちみたいな関係ね」

晶華「私とお姉ちゃんみたいなもの?」

NOVA「そうかもしれないし、そうでないかもしれないが、とにかく3人のスパイダーマンと、親友ネッド、そしてMJのお喋りが旧作のネタも踏まえたマニアック・トークで、スパイダーファンとしては非常に含蓄深くて面白い。とりわけ、先輩ピーターがどちらも親友と戦う羽目になったことを聞いて、トムホ・ピーターの親友のネッドが『ぼくは親友と戦ったりはしないからね』と念を押すところが意味深だ」

晶華「ええと、先輩ピーターの親友って、ハリー・オズボーンよね」

NOVA「ニューゴブリンだったり、グリーンゴブリンだったりするが、ネッド・リーズも原作コミックでは洗脳された3代めホブゴブリンになって、命を落としたりしている」

翔花「ええ? じゃあ、MCU版ネッドも将来はヴィランになったりするの?」

NOVA「可能性はゼロじゃないが、どちらかと言えば、ストレンジさんの弟子になって欲しい、と今回の映画を見て思ったな。それだけ、魔法の扱いが巧みで才能を示していたし。ともあれ、3人のピーター・パーカー集結後は、因縁のヴィランたちを助けるためのトムホ・ピーターの計画に、先輩たちも協力してくれることに。自分たちの世界の悲劇を修復する内容だから、過去の映画のストーリー展開をねじ曲げることになるわけだけど」

晶華「昔のヴィランたちを上手く更生させられるかって話ね」

NOVA「1人のピーターじゃできなくても、3人の天才科学者とトニーの研究設備があれば可能になるという理屈。そして、チームリーダーはもちろん、トムホ・ピーターとなる」

翔花「最年長の人じゃなくて?」

NOVA「そういう意見もあるが、アベンジャーズに所属していたトムホのピーター1以外は、チームプレイをしたことがないんだよな。チームを率いるのは現地のピーターに任されて、後の2人は指揮に従う形で、自由の女神像を舞台に5人のヴィランとの対決・救出作戦が始まる。面白いのは、この世界の自由の女神キャプテン・アメリカのシールドを象徴として戴いていることだな」

晶華「ああ、アベンジャーズが世界を救ったことの象徴ね」

NOVA「劇中では、『自由の女神にキャプテンの盾を装備させることの是非をTVで論争してるシーン』があったりして、ただのジョークネタかと思ったら、最終決戦の舞台の伏線だったとはね。そして、正気に戻っていたけど、敵に回ったフリをしながらピーターを支援してくれたオクトパスさんがいいキャラをしていたり、いろいろなバトルドラマを展開しながら、さらなる支援役として、ネッドがストレンジさんを次元の狭間から戻してくれる。しかし、敵は5人だけではなかったんだな」

翔花「さらに増えるの?」

NOVA「ニューヨーク上空で、無数の次元の扉が開き、その向こうではスパイダーマンと戦うヴィランたちの姿が映っていて、このまま時空境界線が不安定な状態が続くと、あらゆる次元のピーターの敵がこの世界に引き込まれてしまうらしい」

晶華「どれだけいるのよ?」

NOVA「ウィキペディアに載っているスパイダーマンヴィランだけでも、ざっと40体を越えるな。とにかく、1度に大勢のヴィランの大群が襲って来たらどうしようもない。よって、当面の5人を上手く正気に戻すことに成功した後、ピーター1は決断を迫られるんだな」

翔花「世界からピーターさんの記憶を消すことで、異世界からヴィランがこの世界に転移して来なくすることね」

NOVA「実は、こっそり別映画のヴェノムもこの世界に来ていたことがエンディングロールで語られるんだが、ピーターが自分の存在を消す選択をして、ストレンジさんの大魔術が発動した結果、他世界の存在が全て自分の世界に戻ることになったんだな」

 

ヴェノムや他の異世界とのリンク

 

翔花「ヴェノムって何?」

NOVA「スパイダーマンに寄生したこともある粘液状の宇宙生物シンビオートの個体名だ。コミック版では1984年にスパイダーマンのエピソードで初登場し、その後、宿主をピーターからエディ・ブロックに乗り換え、その後、スパイダーマンの敵になったり、より凶悪な同種のカーネイジと戦ったりしながら、ダークヒーローとして人気を得るに至っている。キャラクターとしては、リバイスの悪魔バイスの元ネタの一つでもあるな」

NOVA「スパイダーマンに寄生したヴェノムは、2007年のスパイダーマン3のメインヴィランの1体でもあったんだが、その後、スパイダーマンから独立したスピンオフ映画として、2018年にMCUとは別世界のヴェノム映画が公開。昨年末に2本めが公開されて、ラストシーンにMCUスパイダーマンとのリンクが示唆された」

晶華「つまり、スパイダーマンに縁あるキャラなのね」

NOVA「で、NWHのラストシーンに、この世界にヴェノムが顔を見せたんだが、すぐに消失した。ストレンジさんの送還魔法の結果らしいんだが、ちゃっかりシンビオートの一部粘液を残して帰ったので、後のトラブルの原因になったりしないだろうか、と懸念されている」

翔花「つまり、ストレンジさんがいろいろと世界線を狂わせては修復して回っているって話なのね」

NOVA「いや、世界をいろいろおかしくしているのは、ストレンジさんだけじゃないらしい。映画じゃなくて、MCUのネット配信ドラマのエピソードで、世界線が混乱するようなシリーズが3作もあるんだよな」

晶華「3つもあるの? それはびっくり」

NOVA「一つはスカーレットウィッチことワンダ・マキシモフが主人公のワンダヴィジョンだ」

晶華「何これ? ヒーローアクション物には見えないよね」

NOVA「有名なホームコメディードラマ『奥さまは魔女』のパロディーっぽい話に見せかけて、実はアメリカの片田舎に生まれた不思議な世界の謎を解くショートシリーズだ。サノスとの戦いで愛するアンドロイドのヴィジョンを失ったワンダが、自分の持つ世界改変能力を暴走させて、片田舎の街を『自分の願望が具現化した理想の世界』に無意識で作り替えてしまい、そこで愛するヴィジョンと平穏な夫婦生活を営んでいるところ、街の外の世界からこの現象の秘密やワンダの持つ力を調べようとする侵入者が現れ、各種の事件を解決する最中で、自分の構築した不自然な世界を解消することを決断する話らしい。このワンダの物語の後日譚が、次のストレンジさんの映画になるみたいだし」

翔花「魔女とか、魔法使いとかトラブルメーカーがいっぱいね」

NOVA「神よりはマシだと思うんだがな。現在のMCU世界が時空の乱れでおかしくなってる元凶のもう一人はこいつだという説もある」

晶華「神さまによる時空改変SFドラマってことかしら」

NOVA「一応、歪んだ時空を修復するTVA(時間変異取締局)の仕事のはずなんだけどな。さらにIF世界物がもう一編」

翔花「こっちはアニメね」

NOVA「一応、MCUのパロディーIFストーリー物だな」

晶華「もしもNOVAちゃんが花粉症ガールだったら?」

NOVA「イヤな想像だな。まあ、IFパロディー物がマーベル映画本編には直接関わって来ないとは思うが、それでもスパイダーマンのピーター・パーカーの存在がMCU世界の記憶から消えた(スパイダーマンというヒーローは存在しているけど)流れで、フェイズ4の大筋が錯綜しているのが現状だ。とりあえずはエンドゲーム後のヒーロー・ヒロイン各人のその後とか、再結集はあるのかとかを気にしつつ、今後もチェックはして行きたいと思っている」

(当記事 完)