Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

必殺仕事人(2022)感想その1

よくできた佳作

 

NOVA「今回は当たるトラ年にふさわしい話だった」

翔花「それは良かったわね。だけど、傑作と佳作の違いは何?」

NOVA「傑作とは『今まで見たことがない斬新な内容で、こいつは凄えと強く情動を揺すぶられた上で、納得度も高い』作品だ。作品視聴経験が多いほど、そこまで感じ入る機会は減るので、若い時の方が傑作に出会える機会は多いよな。例えば、『ターミネーター2』は傑作だが、それ以降は好きなターミネーター作品であっても、全てがT2へのオマージュあるいはアンチテーゼが感じられて、時代を変えるエポックメイキングとは言えない。つまり、傑作とは、時代もしくは鑑賞者個人の審美眼まで変えてしまい、新たな境地にまで高め、広げる代物なんだ」

晶華「今回は、そこまでの作品じゃない、と?」

NOVA「『うおー、こいつは凄え。目から鱗が落ちた、とは正にこのことよ。世界はまだまだ楽しいことがいっぱいだ〜。誠にもって快なり!』と叫びたくなるのが傑作を見たときの反応とするなら、『へえ、なかなかやるじゃん。結構、面白かったよ。うん、当たりだね』が佳作を見たときの反応。良いところはいろいろ挙げられるけど、自分の価値観が変わるほどじゃない。この一段下の評価が及第点。『悪くはないけど、まあ普通。そこそこ無難なできと言えるかな』ってところ。これより下だと、不満が残って愚痴りたくなる」

翔花「5段階評価だと、5が傑作で、4が佳作、3が及第点ってところね」

NOVA「いや、傑作は5段階の評価を飛び越えて、評価基準を塗り替えるので、4〜5が佳作。傑作は5Sとでも言おうか。佳作は良いものという評価で、ほぼ欠点がないのが5、欠点も目に付くけど総じて良かったのが4。今回は佳作と言っても5に近い」

晶華「欠点がほぼないってこと?」

NOVA「難癖を付けようと思えば、何でも言えるんだよ。年寄りがやりがちなのは、『往年の重厚さに比べて、軽々しい。だからジャニーズは……とか何ちゃらかんちゃら』って思考停止した評論だな。昔を過剰に美化して、持ち上げればマニアぶれると思っているし、俺もその傾向はあるかもしれないが、それだと温故はできても知新ができないから、今の時代の視点でどう評価すべきか、という意識は持ちたいと考える」

晶華「つまり、令和の必殺としては、『非常に完成度が高く、面白く、魅力的に作り上げた作品』ということね」

NOVA「2時間枠の間で、往年の必殺の面白さのエッセンスをうまく取り込み、軽すぎもなく、重すぎもなく、今のセンスで巧みに料理した、時代に即した作品。ただ、エポックメイキングとまでは行かないか。必殺好きなら、十分にツボを幾重にも刺激される作品で、見て損はなく、語るに値すると言えよう」

晶華「では、思う存分、語ってもらいましょうか。語りたいみたいなので」

NOVA「悪いな。これからスパイダーマンの映画を見に行くんだ。続きは、それを見てからだ」

翔花「それだと、この続きがスパイダーマン良かった! これは傑作だ〜に話が切り替わる可能性が〜」

NOVA「それもまた一興。良いものを続けて鑑賞できれば、幸せになれるし。デリシャスパーティーで『良いもの、いっぱい集まれ、いただきます』って気分を堪能できればいいわけで」

 

傑作映画への寄り道

 

NOVA「さて、スパイダーマンを見て、久々の友人と夕食を共にしながら、たっぷり感想回やら近況話やらをして来たんだが……」

晶華「ここでも、その続きをするの?」

NOVA「いいや、それは考えを整理してからだ。やっぱり、ここでは必殺話をしないとな。そのために、記事を中途半端に残したんだし。先に言っておくと、今度のスパイダーマンMCUだけじゃない。この21世紀のスパイダーマン実写映画全ての集大成的な映画だ。トビー・マグワイア主演の3部作、アンドリュー・ガーフィールド主演のアメイジング2部作の世界観がMCU(いわゆるアベンジャーズの世界)のトム・ホランド版の物語に侵入して、異世界ヴィランスパイダーマンが戦う実写版スパイダーバースというべき作品になっている」

晶華「つまり、どういうこと?」

NOVA「仮面ライダーで言えば、藤岡弘、さんの本郷猛と、黄川田将也さんの本郷猛と、池松壮亮さんの本郷猛と、藤岡真威人さんの本郷猛が共演した映画が作られたようなものだ」

翔花「2号ライダーやV3さんが登場せずに、仮面ライダー1号だけで映画を作ったようなもの?」

NOVA「あるいは、スパロボで同一ストーリーの作品に、元祖の東映アニメ版マジンガーZと、マジンカイザー版のZと、真マジンガーZと、INFINITY版のZが共演したようなもの。もしくは東映アニメ版の流竜馬と、真ゲッター版の流竜馬と、ネオゲッター版の流竜馬と、新ゲッター版の流竜馬が共演したら凄いと思うぐらいのインパクト」

晶華「歴代のゲゲゲの鬼太郎が集結したような映画ってことね。野沢雅子声と、戸田恵子声と、松岡洋子声と、高山みなみ声と、沢城みゆき声」

翔花「つまり、並行世界の同一キャラが勢揃いしたわけか。役者のおまけ出演ではなく、それぞれの物語を背負って」

NOVA「歴代ウルトラ総登場ではなく、歴代ゴジラ総登場とか、同一キャラの別バージョンというのがポイントだな。歴代水戸黄門とか、歴代遠山の金さんとか、同一キャラが複数出てくる時点で、普通はあり得ない物語を2次創作のネタでなく公式で堂々と描いて見せただけで『今まで見たことがない斬新な内容で、こいつは凄えと強く情動を揺すぶられた上で、納得度も高い』作品に仕上げたわけだ。こいつは俺定義の傑作の部類に間違いなく入る。このインパクトに比べれば、今回の必殺仕事人なんて……と比べるものが違うな。必殺で同じぐらいのインパクトを感じようと思えば、歴代・藤枝梅安総登場を見せないといけないが不可能だ。歴代・中村主水も不可能だしな」

晶華「そもそも、藤枝梅安さんはともかく、中村主水さんは故・藤田まことさんの演じたキャラしかいないでしょうに」

NOVA「並行世界の同一人物の共演という、スパロボでできそうなのに物語がややこしくなりそうだから公式が避けてきたようなネタを、アベンジャーズMCUが見事に形にしたわけだからな。正に前代未聞の快挙だが、この興奮を無理に鎮めて、必殺話を展開するとしよう」

翔花「せっかくの佳作も、傑作の前では霞んでしまうのが残念ね」

NOVA「それにしても、今回の必殺とスパイダーマンは共に、『悪意ある報道に扇動されて、善人を破滅に追いやる世間の怖さ』というのを痛感させてくれる作品だな。『大いなる力には大いなる責任が伴う』というのがスパイダーマンという作品のテーマでもあるが、力を持った人間の正義の暴走が時にしっぺ返しをもたらす過酷な運命を感じたりしつつ、インターネットの世界で下手な暴言で煽動したりされたりすることの危険を感じさせてくれた」

晶華「自分が正義ぶって、何かを貶めようとする安易さへの戒めがテーマなのよね」

NOVA「俺もネット世界で物書く立場だから、決して他人ごとでなく考えさせられた面もある。有名人になってチヤホヤされたり、社会を動かしたいという自己顕示欲は多少なりとも(特に自分のアイデンティティーの固まっていない若者ほど)持ち合わせるもので、必殺の世直し組やらスパイダーマンのピーター・パーカーもそれでいざ有名になった結果、身の回りの人間が不幸になって、自分の存在を消さざるを得ない運命に見舞われるわけだ」

翔花「え? スパイダーマンも世直し組みたいに、悲惨な運命の終わり方をするの?」

NOVA「人々のための正義の味方でいるためには、自分という存在を社会で消さなければならないという形だな。力への代償というか、責任感と覚悟のドラマという方向性で通じるものがある。その点では、安易に悪を裁いて正義万歳って話じゃない。そういうのは幻でしかない、という言葉でも共通している」

翔花「でも、スパイダーマンさんは仕事人に殺されていないよね」

NOVA「当たり前だ。世直し組は人を殺した上で保身に走ったけど、スパイダーマンは人を救い、世界を救うために、自らを犠牲にする覚悟を固めたからな。最後は保護者もなく、ガールフレンドも親友も失い、独り再出発するというビターエンディングだったけど、先輩スパイダーマンからの薫陶や、叔母さんの遺言(大いなる力には云々)、己の中のヒーローの矜持などを旨に真のスパイダーマンライフを始める幕引きだ。続くかどうかは、現段階で不明だが、寂しくも余韻を残す終わり方と言えよう」

 

そば屋の坊主とおっさんの小粋なコント

 

NOVA「さて、スパイダーマンの概要を吐き出したところで(もう少し詳細なシリーズ感想は後日予定)、本来予定していた必殺感想だ。まずは、リュウと瓦屋改めそば屋の陣八郎さん。メンワルドの影響でこうなったと、あるゼンカイ脳の必殺ファンな御仁が言っていて、大いに笑った」

晶華「NOVAちゃん以外にいたんだ、ゼンカイ脳な必殺ファンって」

NOVA「こういう小粋にクスって笑えるネタを書いてくれるから、良きセンスの持ち主と表明できるんだな。いわゆる『ウケる』って感覚だよ。とにかく、今回、瓦屋さんは足を怪我して屋根に登れなくなったとのことで、仕事探しをしているリュウに屋台を引かせて、自分は故郷で昔、習った麺打ちの技術を駆使して、そば屋『陣八そば』を始めるわけだ」

翔花「リュウさんは元坊主だけど、今は何をしてるの?」

NOVA「口入れ屋(江戸の人材派遣業)の世話になっているフリーターみたいなものだ。だから、こいつだけ定職を持たないただのリュウ。他の連中は、経師屋の涼次とか瓦屋の陣八郎みたいに職業名が付くのに、リュウだけ○○屋という呼び名がない。せめて、何でも屋のリュウとか、坊主上がりのリュウとか、何かの呼称が欲しいんだけどな」

晶華「島帰りの龍さんと、組紐屋の竜さんと、見習い大工のリュウさんと、元坊主のリュウさんで、歴代リュウ大集合のリュウバースを作るってのはどう?」

NOVA「ここでネタ振りすれば、興に感じた誰かが一枚絵のイラストを仕上げてくれる可能性はゼロじゃないからな。とにかく歴代必殺シリーズリュウ名義は4人いるという認識だが、余談はさておき、今回はこの陣リュウコンビがなかなかいい味を出していてな。この2人の共通点は、登場したその回で恋人と死に別れるという悲劇だ。涼次も玉櫛を失ったし、からくり屋源太も想い人を失ったし、仕立て屋・匳以外の2000シリーズ市井仕事人は全て女運が悪いというか、当時の脚本家の寺田敏雄さんの作劇がワンパターンなのかな。新しい仕事人が仲間になる際に、良い関係を持ったヒロインを殺して仇討ちのドラマにして、独り身の寂しい状態で参入。ただし、続く話では昔の女性関係はリセットされたかのように、ほぼ触れられない」

晶華「ええと、陣八郎さんの彼女の名前は?」

NOVA「覚えてないから調べた。ええと、2015に登場の山本美月演じる『泣きぼくろのお宮』だな。トラウマで口が利けない設定で、それでも命を救ってくれた陣八郎に惚れて付き従い、スリの技術を持った髪結いで、琴の爪で相手を殺す仕事人。非常にアクティブで華麗な殺陣で見せてくれるキャラで、玉櫛同様、使い捨てキャラになったのが勿体ないなあ、と思える。女ライダーが定着した令和なんだから、仕事人もアクティブに戦う女仕事人をレギュラー復活させないかね」

晶華「毎回、ゲストヒロインを登場させて、無惨に殺して仇討ち、というのが定番だもんね」

NOVA「その風潮に反して、珍しく生き残った弥生ちゃんは凄いんだよな」

翔花「正式な役名は?」

NOVA「覚えてないから、また調べた。2019に登場した『おたね』だな。診療所手伝いで、怪我したリュウを助けた縁で知り合って、許嫁の弥吉が西田敏行さんに唆されて悪堕ちして裏切った流れで殺された……と思いきや、生き延びたという奇跡とも言えるゲストヒロインだ。さすがはキョウリュウジャー、強き竜の者だけある、と当時のブログでは絶賛した次第だ」

晶華「ところで、リュウさんの彼女の名前は?」

NOVA「これまた覚えてないから、さらに調べた。2014に登場した『おつう』だな。演じるのは佐々木希さんだ。近年、夫の不倫騒動で名前が出たのが印象に残っている」

晶華「女優さんなんだから、役柄で話題にしてあげましょうよ」

NOVA「とは言え、俺の特撮アンテナに引っ掛かる役がないからな。別にここは一般ドラマを語るブログではないので、世間でそこそこ名の売れた女優さんでも、興味の対象であるジャンル作品に縁がなければ、面白いネタにはできんだろう」

晶華「山本美月さんは?」

NOVA「仮面ライダーキバのリアル妻だそうだ」

晶華「弥生ちゃんは?」

NOVA「飯豊まりえさんは、岸辺露伴のパートナーと言うべき泉京香役で、俺のアンテナの範囲内だな。まあ、それは置いておいて、今の話題はそば屋だろう」

翔花「陣八郎さんとリュウ君が、メンワルドの影響で転職したって話ね」

NOVA「メンワルドの後遺症って、必殺とかプリキュアとか、凄い勢いで侵食してるな。おかげで、リュウの殺し技まで、そば作りののし棒(あるいは麺棒)で棒術アクションを見せた挙句、相手の首に引っ掛けてグキッと力技を見せるという新鮮な技に切り替わったわけだ」

晶華「そば屋の屋台でひき殺すというNOVAちゃんの年末予想は外れでした」

NOVA「いや、屋台はジョークネタだが、せっかくのそば屋転職だから、そば屋らしい技を見せてくれないかなあ、と期待していたら、過去の必殺にない道具を使ってくれたので、そこはおおって感じ入った次第。こうなると、定職を持たないリュウの殺し技ヴァリエーションが楽しみになるじゃないか」

翔花「メンワルドも、鋭い麺で相手の首筋を突くという必殺オマージュの技を見せてくれたしね」

NOVA「うむ、必殺トピアとゼンカイ脳はつながっているんだよ、きっと」

晶華「陣八郎さんだって昔、忍者戦隊の敵役として、パンクロックに決めていた世紀末があったものね」

NOVA「何と言っても、大河ドラマ出演回数7回を誇る名バイプレイヤーだもんなあ、エンケンさん。『平清盛』でも北条時政役だったみたいだし。仕事人Vのラスボスでもあったし、おふざけと凄みの両面を持ち合わせて、実は中村主水的な殺しの際の話術が笑える殺し担当でもある」

晶華「お前、世直し組だってな」

翔花「世の中を地獄にして、どうするんだよ!?」

NOVA「最初は善意だったのが、暴走して転落したというドラマのテーマを如実に表した名言だと思うぜ。こういう小粋なギャグ殺しを笑いながらできるってのが、下手に演出すると、ただのサイコパスなんだけど、エンケンさんがやると凄みを見せつつ、肩の力が抜けるような独自の雰囲気がある。女優で言えば、市原悦子さんのおばさん的なフレーバー」

晶華「エンケンさんがゲストヒロインの芸者さんに鼻の下を伸ばして、真面目なリュウさんにブレーキツッコミ入れられるコンビプレイもいい感じね」

NOVA「今回、小五郎と涼次がマジメなドラマの担当だったから、コミカルな和ませ芸はこの2人に任せられて、エンケンさんのボケ役に、リュウのツッコミが絡むと絶妙な味わいをかもし出していたんだな」

晶華「これまでもリュウさんは理屈っぽいツッコミ役だったけど?」

NOVA「どうも、寺田さんがリュウのキャラを、生意気な若者というだけで魅力的に描けていなかった感だな。だけど、脚本家が元お笑い芸人の西田さんに切り替わったことでボケとツッコミがきちんと機能するようになった。相手がボケていないのに、理屈先行でツッコミ入れると、よほど上手くやらないと滑ってギスギスしてしまう。ツッコミキャラって、ボケ以上に空気を読んでやらないと、空気を壊すなり、白けさせるだけなんだ。言わば、トスが上がってないのに、ボールをスパイクすると、ネットの上を越えられずにミスるドン臭いアタッカーというか」

翔花「愛あるツッコミで場を和ませるとか、そんな感じが理想かしら」

NOVA「ボケ役がいてこそのツッコミ役だからな。今回はエンケンさんが絶妙なボケ役をやってくれたから、リュウの生真面目ツッコミが非常に生きたわけで、この辺は寺田さんができなくて、西田さんが得意とする展開だと感じた。同じことを寺田さんがやると、チーム関係がギスギスするだけで、それはそれで仕事人以前の前期必殺のテイストとして評価できる部分もあったけど、前期必殺には中村主水という稀代のコメディアンがいたし、アットホームなお父さん役の山村聰とか、ニヤリという笑顔の憎めない緒方拳さんとか、暗いドラマを緩ませる名役者が多かった」

晶華「今の仕事人は、仕事人に美形を据えて、殺され役にお笑い芸の人を配役しがちよね」

NOVA「だから、殺しのシーンが学芸会と呼ばれたりもするんだな。美形がお笑い芸人を殺すシーンって、ただのイジメで関西発の必殺テイストとは逆なんだな。美形の殺し屋もいるけど、芦屋雁之助さんみたいな人情親父やら芸達者な和ませ役がいて、そういう庶民が許せぬ悪を始末してスッキリというのが理想かな」

翔花「メインの配役に、お笑い芸のできる人が入るといいわけ?」

NOVA「鶴瓶さんとか、殺し屋っぽくない人情の人が、普段は和やかに、だけど殺しのシーンではキリッと引き締まるのが理想。でも、エンケンさんはまた違うな。この人の陣八郎は、普段も殺しのシーンもお笑い演技で固める。ニヤニヤしながら、相手を脅すようなサイコパスめいた殺し方で、それでいて痛快さを思わせるのは役者さんの持ち味と思うよ」

晶華「リュウさんは?」

NOVA「割と、悪人に因果応報を示すという演出が板について来たかな。相手に理詰めでツッコミ入れるキャラなのは、表も裏も変わらないんだが、ただ闇雲に若さでツッコむキャラから、ツッコミポイントをしっかり見据えるキャラになって、少しずつ芸達者になって来たかな、と。まあ、2014年から8年めになって、いい加減に手慣れたところを見たいと思っていたが、相手に因果応報を味わせる説教演出が堂に入って来たかな、と」

晶華「でも、2000シリーズって殺し屋の皆さんが揃いも揃って悪人に説教するのよね」

NOVA「連続ドラマだと、若手はアクション担当で、ベテランが一言セリフというのが定盤だったけど、今のスペシャル形式だと、殺しのシーンもドラマの延長した見せ場だからな。セリフなしのアクションだけじゃ、役者も満足なさらないと作り手が考えているんだろう。レギュラー放送だと、この回のこのキャラは殺しのシーンだけしか出て来ないってのもありだけど、スペシャルドラマはレギュラー全員に見せ場を用意しないといけない。ただ、お菊役の和久井映見さんの影がどんどん薄くなっているのが気掛かりではあるがな」

晶華「元締め役として、いつもの地蔵のところで依頼の請け負い役の声をやっているだけだもんね」

NOVA「去年の大河ドラマで、主人公の母親役をやって、初めての仕事に出る若き日の主人公に仕事料を与えるシーンが印象的だった」

翔花「そっちでも、仕事人の元締め役だったのね」

NOVA「いや、まあ、俺の中ではな。とにかく、良いおっかさん役だったので、今の必殺だと、あまり演技が見られる役じゃないのが残念に思えるな。小五郎や涼次と少々、今の江戸社会の風潮を愚痴って、イヤな世の中だねえって言うぐらいか。ほぼナレーションみたいな立ち位置なので、せめてOPナレーションで市原悦子さんの代わりに喋らせてもいいんじゃないか、とか、この人の扱いように関してだけは今回に限らず、不満が残るわけだ。2009の最終話ではアクションも披露したので、たまにはそういう見せ場も示して欲しい」

晶華「それには、仕事人チームの抗争劇みたいな作風じゃないと」

NOVA「『今度の敵は外道仕事人!』的な話は、主水さん時代のスペシャルや映画では定番だったと思うけど、今のスペシャルドラマではやらなくなって久しいもんな。小五郎チーム以外の仕事人って基本的にはいなさそうだし、流しの仕事人とかいう設定も、今の脚本家でやってくれないかなあ、と思う次第だ」

 

翔花「まだまだ、この話、長引きそうね」

NOVA「ああ。小五郎と涼次の今回のドラマについて、みっちり語りたいからな」

晶華「スパイダーマンさんに脱線したから、終わらなかったの?」

NOVA「いや、最初から別記事になるだろうなあって考えてはいた。だから、今からタイトルに『その1』って付けて、次回に『その2』で完結させるつもり。何しろ、5段階評価の5に近い佳作だからなあ。いろいろ感じ入ったことも多いわけだよ」

(当記事 完)