Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

スパロボ脳な話3(ZシリーズとDS作品)

いよいよ明日な30

 

NOVA「前回は、スパロボULTRAMAN参戦で頭の中がいっぱいになって、何も考えられずにプラズマスパーク脳になった次第」

晶華「どんな脳よ、それは?」

翔花「言葉の意味はよく分からないが、とにかく凄い電波を受信したってことね」

NOVA「で、頭の中がグルグル渦巻いて、書きたかった記事が書けなくなった次第」

晶華「書きたかった記事って?」

NOVA「Zシリーズだよ」

晶華「なるほど、Z様ね」

NOVA「違うだろう」

翔花「だったら、こっち?」

NOVA「その作品もスパロボ参戦希望だが、今回語りたいスパロボZはこっちだ」

  

多元宇宙なスパロボZ

 

NOVA「2005年に第3次スパロボαで一つの時代が終了した後、2008年にようやく新たな大作として始まったのがスパロボZだ。登場作品22作中、半数近い9作品が新規参戦で、αシリーズとは一線を画したラインナップが新鮮で、ゴッドシグマやバルディオスオーガスアクエリオングラヴィオンキングゲイナービッグオーエウレカセブンといった作品が当時は気分一新さを示していた。さらにαシリーズからはハブられていたグレンダイザーやザンボットが据置機に復帰し、未来世界を舞台にしたα外伝に登場したガンダムXターンAガンダム、それにザブングルも再登場。Zガンダムは劇場版仕様だし、種デスティニーとの組み合わせも上手く噛み合っていたんじゃないかと思う」

翔花「いろいろ新しかったんだ」

NOVA「ただ、今の視点ではある一点で、最後のスパロボとも言える」

翔花「どの一点?」

NOVA「据置機で東映アニメ版のマジンガーとゲッターが登場した最後のスパロボとなっている。つまり、石丸博也さんの兜甲児と、神谷明さんの流竜馬と、野田圭一さんの剣鉄也が登場する据置最後のスパロボだ。次の第2次Zからは、真マジンガーOVA真ゲッターに世代交代するからな」

晶華「スパロボ20周年記念作だから、いろいろと世代交代を図ったのかもしれないわね」

翔花「20周年作品がこれなら、10周年作品は何?」

NOVA「2001年はα外伝と、スパロボAと、COMPACT2の第3部が新作で、他にリメイクとか機種移植作でドリームキャスト版のαと、ワンダースワンカラー版のCOMPACTが出たな」

翔花「年に5本も? 多いわね」

NOVA「今ほど戦闘アニメにかかる労力が大変じゃないからな。開発の手間暇が比較的かからない時代だったんだ」

晶華「それでも結構、動くと思うけど」

NOVA「ああ、最初の10年のスパロボの進化は凄かったな。毎作品ごとにゲーム機の発展に応じたアニメや演出の進化が感じられて、それだけで、おおってなったものだ。同時にストーリー面でも、単に世界征服を狙う悪の秘密結社や異星人と戦う話から、未来に飛ばされたα外伝に至って、外伝作品は異世界転移が定番となる。初の外伝作品のスパロボEXもそうだったしな」

翔花「スパロボEXから魔装機神の物語に発展したって聞いたけど」

NOVA「魔装機神はこれだな。最初はスーパーファミコンで1996年に出たんだが、その後、2010年にDSでリメイクされた」

NOVA「以降、Zシリーズと並行するように、PSPにプラットフォームを移して、2012年に魔装機神2が、翌13年にPS3とVITAで魔装機神3が出たものの、14年の魔装機神Fで物語にいろいろと中途半端なところを残したまま強引に終結。現状、サイバスターの物語はこれが最終作となって、その後はOGシリーズに改めて合流することになるんだが、そちらも中断したまま、今はDDやスパロボX、そして今度の30にゲスト出演している感じだな。まあ、魔装機神Fの最後にラ・ギアスの精霊力がなくなったために、サイバスターも弱体化してしまって代替コンバーターで動く仕様でOGのMDに参戦。だけど、残念な性能になっちまって、サイバスターファンが涙目モードだったわけで」

翔花「やはり、精霊の加護を失ってはいけないってことね」

NOVA「ああ、精霊は大事だろう。ラ・ギアスの精霊力も、いつか復活する物語が描かれて欲しいがな。ただ、マサキの物語がOGや魔装機神で描かれているのに並行して、マサキの影とも思われたアサキムがZシリーズで暴れていたわけだな」

晶華「アサキムさんって何者?」

NOVA「Zシリーズの展開中は、マサキの声優である緑川光さんが声を入れていたり、名前がアナグラムっぽかったり、いろいろと闇堕ちしたマサキ&サイバスターだと思わせる伏線がバラまかれていたのがアサキム&シュロウガなんだな。シュロウガという機体名も、元々はサイバスターグランゾンの企画時に第3の機体として考えられてボツになっていた『次元烈風 狩狼哉(シュロウヤ)』が元ネタらしいし」

翔花「つまり、マサキさんの並行同位体になるの?」

NOVA「だけど、Zシリーズのラストで、アサキムは実体を持たない虚構の存在と判明したんだな。機体のシュロウガが生み出した(妄想捏造した)記憶をダウンロードした仮初のアバターみたいなものか。まあ、シュロウガの正体は、サイバスターのIF未来説はまだ消えていないのだけど」

晶華「つまり、闇堕ちしたサイバスターさんが、パイロットのマサキさんの記憶を元に生成したのがアサキムさんってこと?」

NOVA「その辺は、あくまでファンの推察に過ぎないのだけどな。ともあれ、Zシリーズが2015年に終わったので、アサキムとシュロウガの物語も謎を残したまま終わった形になる。その後のサイバスターはさっきも言ったように、精霊力を失う前の機体がいろいろとゲスト出演しながら活躍を続けているわけだ」

 

翔花「並行した話がいろいろあって、ややこしいけど、一度、話をZシリーズに戻しましょうよ」

NOVA「ああ。Zシリーズは最初の作品がPS2で出て、次の第2次Zの2部作がPSPで出て、さらに第3次Zの2部作がPS3およびVITAで出て、シリーズ作品を追いかけるためにプラットフォームの乗り換えが非常に大変だったという印象がある。シリーズなんだけど、キャラだけが続投して、世界観もその都度ごとに変更されるし、システムも変更されるし、12星座をモチーフにしたスフィアの設定が縦糸にある以外は、連続性が薄いというか、少なくともDC戦争編やαシリーズみたいな同一世界における継続した歴史みたいな雰囲気は少ない。さらに、これは魔装機神もそうだが、展開中に風呂敷をどんどん広げていったけど、きれいに畳めたかと言うと、最終作でがっかりという評価が付きまとうな」

晶華「Zシリーズって人気はないわけ?」

NOVA「第2次は盛り上がったんだけどな。第3次Zはアンチが多い印象。俺が思うに、第2次Zは新規参戦が2部作の破界と再世を合わせて、数多いんだな。ボトムズ4作品などの水増しがあるとは言え、参戦作品数も40で歴代ほぼ最多だし(前作Z組と、新規参戦の2次Z組が合流する形なので)、新規参戦が両作合わせて18作品だから、非常に豪華な作品に見えたんだ。機種がPS2から携帯機のPSPに移ったので、戦闘描写が劣化したと批判する者もいるが、俺は目が肥えていないので、十分じゃないかと思っている」

翔花「つまり、第2次Zの時は、みんな大歓迎だったわけね」

NOVA「当時は、東日本大震災の直後でな。Zに参戦したバルディオスのラストが津波で世界が大変なことになるバッドエンドだったもので、スパロボもいろいろと世相と合わせた生々しいタイムリーネタがあったんだ。ちょうど、去年のプリキュアのヒーリンぐっどな話が、コロナの世相に重なったみたいにな。Z以降のスパロボは多元宇宙に基づくものが増えた。これは仮面ライダーもディケイドで多元世界だし、ウルトラマンもゼロさんの映画で多元宇宙を導入したし、ゼロ年代終わりからのシリーズ物の流れと言えるな。その結果、世界観の大きく異なる作品シリーズが容易に異世界転移して共演できるようになったわけだ」

翔花「それまでのスパロボも、異世界共演の話じゃなかったの?」

NOVA「いや。複数の作品を、何とか理由をこじつけて一つの世界の歴史に組み込む形で再構成していた。異世界からの侵略者はいたし、バイストン・ウェルラ・ギアスのようなファンタジー世界に出張することはあっても、コアとなる地球圏は一つ。だけど、Zシリーズでは世界線そのものが不安定で、並行同位体なる存在が普通に言及されるし、携帯機のK(2009)では『二つの地球』というネタを出して、それを第3次Zが膨らませた形になる。まあ、その前段階として、第2次Zでコードギアスの世界観を再現するために『二つの日本』という設定を持ち出して、ファンを驚かせたんだが」

晶華「どうして二つも日本が分裂するのよ!?」

NOVA「花粉症ガールだって分裂して双子になるんだから、日本や地球が分裂したっておかしくないだろう?」

翔花「なるほど。それもそうね」

晶華「いや、お姉ちゃん。そこであっさり納得しないでよ。花粉症ガールが生まれて、私たちが分裂したのは2018年で、まだ3年。だけど、スパロボ日本やスパロボ地球が分裂したのは10年も前の話なのよ。因果関係が成り立たないわ」

NOVA「時を遡ることができるなら、因果関係なんて後から調整することだってできるんだよ。事実は変えられなくても、史実は後世の人間の価値観(史観)によって修正したりもできるんだが、大切なのは観察者の視点で物の見え方が変わるって話だな。つまり、面白い人間は世界の面白さを見つけて語り、つまらない人間にはつまらない物しか見えていない。世界や作品に何を見出すかが、その人間の価値さえ決めてしまうとは思わないかね」

晶華「そんな哲学問答はいいから、日本が二つに分かれた理由を説明してよ」

NOVA「物語で必要だからだろう? ブリタニアに支配統治された日本と、無敵のスーパーロボットが防衛して侵略者に立ち向かっている日本を一つにはできまい」

晶華「確かに、ギアスの特異な世界観というか日本観は、古き良き昭和のスーパーロボットさんが活躍した素朴な日本像とは相性が悪いわね」

NOVA「マジンガーZは日本の平和を守る正義のスーパーロボットなんだが、ギアスの世界観に放り込まれると、ブリタニアの統治に反抗するテロリストに認定されてしまうんだ。21世紀に入って、大国の支配に抗うレジスタンスとかテロリストのロボ主人公が増えたからなあ」

晶華「だけど、80年代にもあったでしょ? ザブングルさんも、ダグラムさんも、エルガイムさんも統治者に抵抗する反乱軍の話だし」

NOVA「それらはみんな地球と異なる他の惑星の話だからな。まあ、ザブングルの惑星ゾラは未来の地球だとも言うし、地球が異星人に征服されて抵抗運動を続けるレイズナーもある。侵略から守る話と、侵略後に取り戻す話は主人公の立ち位置も大きく変わってくる。まあ、最初のスパロボレジスタンス的な遊撃部隊の話だったが、その後、どちらかと言えば、体制派に所属する遊撃部隊の話が主流になったからな。Zシリーズになって、その両方を混ぜる必要が生じたわけだ。その萌芽は99年のスパロボ64のルート選択にあったと思うが」

翔花「64のルート選択って?」

NOVA「レジスタンス活動を続ける独立軍ルートと、体制側に協力して反異星人に専念するOZルートと、戦争そのものに否定的な完全平和ルートに分かれる。まあ、ガンダムWの物語を再現した結果だな。あの作品も主人公たち5人のガンダム乗りが一枚岩のチームではなくて、ストーリー展開に応じて別の組織に所属して対立と共闘を繰り返すことになる。そのルート選択が64からZシリーズに受け継がれる形になるな」

晶華「単純な勧善懲悪じゃなくて、世界のために何と戦うか、どういう立場で戦うかを選べるってことね」

NOVA「最初のZは、自由人やレジスタンスに所属するスーパーロボットのガンレオンと、軍隊に所属するリアルロボットのバルゴラのどちらを選ぶかで大きくストーリーが変わる。これが第2次Zだと、勧善懲悪のスーパーロボットルートと、軍隊所属の宇宙世紀ガンダム中心ルートと、テロリスト的なアナザーガンダム中心ルートに分かれて、3つのストーリー展開が見られるな」

翔花「つまり、完全攻略のためにはエンディングまで3回クリアしないといけないのね」

NOVA「ただ、選べる主人公が無印Zは2種類あるのに、2次と3次は一人だけで周回の楽しみが減った感じだな。V以降は男女の選択制に戻って、主人公のヴァリエーションが担保された。2次Zの主人公は酸いも甘いも噛み分けてギャグもこなせる大人なクロウさんで、大人プレイヤーの感情移入もできたんだが、3次Zの主人公は寡黙なコミュ症気味の陰キャ学生で、厨二病気味のビーストハンター・ヒビキ。どうもスパロボファンにとっては、偉そうな学生主人公というのは受け入れられにくかったようだ」

晶華「でも、ルルーシュさんだって偉そうな学生でしょ?」

NOVA「ルルーシュは学生モードと、ゼロとして仮面をかぶっているモードで演技を切り替えているからな。素は陰キャでも、学園では生徒会副会長として人当たりの良さを演じている。その二面性が彼のキャラの魅力なんだが、3次Zの主人公ヒビキは、寡黙で陽性の部分がまず見られない。フルメタルパニックの物語に合わせたラノベスパロボを融合させた世界観なんだが、主人公がラノベの痛いところを踏襲した反面、話を引っ張る性格じゃなくて、割と受け身な巻き込まれ型ストーリー。主体性に欠けるのに、敵に対してはやたらと上から目線というか、大人のプレイヤーから見たら、やたらとウザいのよ」

翔花「若いプレイヤーさんから見たら?」

NOVA「暗いキャラだからなあ。少なくとも、俺の知るかぎり、ヒビキに好意的な声は聞いたことがない。フルメタラノベ世界観に伴うボランティア部は悪い設定じゃないんだろうけど、そういう話だったら、ヒビキのキャラもコミカル系か熱血番長系で、リアクション芸を鍛えた方が良かったんだろうが、可愛げもなく格好良くもなく楽しくもない主人公って時点で人気が出る理由がない」

NOVA「まあ、スズネ先生がいなければ、第3次Zの魅力は激減ってところだな」

NOVA「スズネ先生を主人公として使えたら、3次Zの評価が倍になると思うね」

晶華「でも、その人って途中で敵になるんじゃなかった?」

NOVA「二重人格だな。その点も含めて、キャラとしては萌え対象と言える。まあ、それはともかく、3次ZはZシリーズ歴代主人公も出てくるから、そっちを楽しめばいいんだけどな」

NOVA「とにかく、Zシリーズは今なお賛否両論が消えないスパロボだが、最終作の3次Z天獄篇(2015)は、参戦作品が44作品で2次Zを越えたわけだし、お祭りゲームとしては有終の美を飾った大作にして傑作と評価するぜ」

晶華「でも、未クリアなんでしょ?」

NOVA「いつかクリアして、再評価する時を楽しみにしている。だが、今はその時じゃない」

 

携帯機の話(DS編)

 

NOVA「さて、ZシリーズがPS系で盛り上がっている裏で、任天堂のDSおよび3DSでもスパロボは展開していたんだな。2007年のW、09年のK、10年のLまでがDSで、13年のUX、15年のBXが3DSで出た。Zシリーズとの違いは、毎回がSF的に奇抜な冒険をしていて、フットワークの軽さを感じさせてくれる。機動戦艦ナデシコはこちらをメインの出演作にしている他、こちらで復帰した作品がV以降に改めて合流したケースも見られるな」

翔花「具体的に説明してよ」

NOVA「WはDSのダブルスクリーンに対応したシステム面と、二部作のストーリーが特徴。そして、可変戦闘機的な主人公機ヴァルホークが母艦ヴァルストークと合体する『最強の家』との呼称も名高いヴァルガード→ヴァルザカードが目玉になるな。オリジナル主人公機で最大の200メートル越えの巨体と、最多パイロットの6人を誇り、システム面では歴代最強ユニットとも言われている。もちろん、設定的に最強なのはいろいろ考えられるが、ゲームとしての難易度の低さも相まって、これほど痛快に無敵に主人公メカを扱えたスパロボも珍しい。鍛えに鍛えたから強いというのは普通だが、それほど鍛えた感覚がなくても無双を味わえて、しかも最初のヴァルホークからの変形、合体の過程がドラマチックで飽きさせない」

NOVA「兄が行方不明になって、一時的に妹が機体を操縦したり、高機動のリアル系の機体が合体して巨大なスーパーロボットになるのはSRXと同じコンセプトだったり、家族が力を合わせて戦うってコンセプトもいいし、褒めるところしかない」

晶華「体型的にデブいけど?」

NOVA「だから、最終形態のヴァルザカードがあるんだろうが」

NOVA「ヴァルガードはメカ的な無骨な体型がパワフルでいいし、ヴァルザカードは元のデザインを残していないものの、ヒーロー風に変身した姿と考えるならスマートで格好いい。とにかく、スパロボWは主人公機も個性的でいろいろな要素を取り込んでいるし、1本のソフトで2部に分かれているということで、ガオガイガーとFINAL、ナデシコのTV版と劇場版、テッカマンブレードと続編の2など本編と続編に至る展開を見事にサポートして、ストーリー密度も高い。

「そしてSEEDは外伝のアストレイ視点からTVのストーリーを眺めるような話で、戦争の悲劇を強調しがちなスパロボにおいて、軍属ではなく宇宙の運び屋家族を中心にした物語だから、ジャンク屋とか宇宙開発公団とか戦争以外の視点を盛り込んだ話となっている。そこには誇りはあっても、陰鬱な重さがないし、悲劇に終わった原作にもスパロボマジックによる救済が与えられ、明るくカラッとした作風に仕上がっている。父親越えを果たしたい少年の成長物語でもあって、陽性熱血主人公のカズマは人気主人公の一人だとも思うぞ」

翔花「ずいぶん褒めてるけど、クリアはしたの?」

NOVA「したぞ。2回もな。この作品については、思い入れがたっぷりだから、いくらでも褒められる。なお、SEEDのアストレイと、百獣王ゴライオンと、テッカマンブレード2と、デトネイター・オーガンを楽しめるスパロボはこれだけだ。それだけでも、やる価値はある」

 

晶華「続いてKね」

NOVA「こいつはネタキャラとして大人気なミストさんが出る作品だな」

NOVA「空気の読めない宇宙人と言われているミストさんと仲間たちのネタ話は置いておいて、作品としてのKは『二つの地球』という設定で、Zから続くスパロボ多元宇宙の道をさらに切り開いた作品と言える。その象徴は、バーチャロンゾイド・ジェネシスといった異色作で、他にも14作品中6作が新規参戦という点で、新規率が高い作品だ。ガンダムSEEDスターゲイザーがプレイできるスパロボはこれだけだし、ファフナー初参戦も盛り上がったんだが、最後の悲劇が批判されまくりで、Kのファフナーの救いのなさは後のUXで昇華されるまでは触れてはいけない黒歴史扱いされていたりする」

翔花「何が問題なの?」

NOVA「原作は、苛酷な運命の中にも希望を見出して、最後はハッピーエンドとは言い難いものの続編でまだ戦って行く話なんだ。だけど、Kではファフナーの悲劇が強調されて、最後も戦いは終わったけど操縦者に未来がない悲劇の上塗りをしてしまったような描写。一方、それに気づかない主人公のミストさんが脳天気に戦勝祝いのお祭り騒ぎをするラストで、ファフナー愛はないのかあ、とスパロボによる救済を期待したファンは涙目だったりする。後のUXでようやく聖戦士ショウ・コハ・ザマを初めとする救済IFが与えられ、ファフナーファンも魂の安息を得られたって話だ」

晶華「つまり、空気の読めない主人公が、悲劇に対して能天気な態度をとっているってこと?」

NOVA「まあ、クロスオーバーの観点から見れば、Kのシナリオにおけるファフナー勢は割と自分たちの秘密や苛酷さを他の作品キャラと共有せずに引きこもりがちという面も問題だがな。それと本作初登場作品がガイキングLODと、鋼鉄神ジーグと、ガンXソード。それにゴーダンナースクランブル・コマンダー2に次ぐ参戦ということだけど、実質初参戦みたいなもの。当時はかなり新鮮なメンツと言えた。宇宙世紀ガンダムとゲッターが消えて、マジンガーの兜甲児だけが残ったために、世界観の柱がよく分からない作品とも言えるし、スパロボ全体の中でも異色作の趣が強く感じられるな」

翔花「異色作と新鮮さって同じような意味よね」

NOVA「その後、定番になって行けば、異色作とは呼ばれないさ。まあ、ゴーダンナーガイキングLODも鋼鉄神ジーグも熱いストーリーなので、スパロボ新時代を盛り立てる作品として期待されたんだろうな。それらは続くスパロボLでもプッシュされたが、それっきりだった。まあ、スパクロでイベント参戦した他、DDでも最近、鋼鉄神ジーグが出てきたが、改めて注目が当たる頃合いかな」

NOVA「Kの問題点を挙げれば、結構多いんだが、俺的には新規参戦が多いことでクロスオーバー要素が薄く、各作品の原作再現に終始してしまって、そこから発展したストーリーが感じられなかった点が大きいな。普通は各作品をスパロボオリジナル主人公が上手く橋渡しして、接着剤の役割を果たすべきものなんだが、ミストさんが最も世界の異物である宇宙人設定で、接着剤どころか相手の作品の世界観をかき乱す役になって、作品物語の邪魔をする一方、宇宙開発の話であるスターゲイザーにはちっとも絡まないし、版権作品の魅力を引き立てるようなキャラ造形が為されていない点が大きい。

「『二つの地球』という破天荒な世界設定だから、それを客観的に冷静な視点で見れる宇宙人キャラを用意したのかもしれないけど、上から目線で地球人批判してしまう主観丸出し要員だし、『二つの地球』に驚くわけでもなく、作り手がプレイヤーに感じて欲しいサプライズをミストさんが代弁してくれないので、感情移入対象にもならずに、距離を置いた批評者ぶった言動しか見せない主人公。だからと言ってクールでもなく、しばしば暴走する学習能力の欠如ぶりを示す。情緒不安定な宇宙人が上から目線で地球人を愚かと断じてしまうところがあって、まあ実際に敵キャラの言動も愚かさが強調されていて、バカがバカを批判するようなストーリーだと感じられる」

晶華「思いきり酷評ね。じゃあ、NOVAちゃんはスパロボKが嫌いなの?」

NOVA「ミストさんを主人公だと思えば厳しいものがあるな。ただ、ゾイドジェネシスガイキングLODに感情移入できたから、その2作を堪能するなら楽しめたってところだ。この2作のクロスオーバーが面白くて、大空魔竜を巨大なゾイドと思う敵とかツボだったな」

 

NOVA「結局のところ、Kの魅力はゾイドジェネシスにあるのかもしれん。一応、OEでもDLCムラサメライガーは使えるが、ゾイドの充実した作品としてKは一等級だからな。そしてKの続きはLだが、ストーリー評価の高いWや、主人公のネタキャラぶりが引き立つKに比べると、地味な評価なものの、アンドロイド少女萌えの俺にとっては割とツボだったりする」

NOVA「Lの主人公は等身大の中学生設定で、年相応の熱血漢で達観していない成長途上の少年。彼がドジっ娘アンドロイド少女アリスの補佐を受けながら、正義の味方として立派に成長していく姿は見ていて清々しい。大人で批評家ぶったバカは見ていて痛いが、ひたむきで真っ直ぐな学生は微笑ましさを覚えて応援したくなる。そして、この作品ならではの版権アニメはこれだ」

NOVA「イクサー1および3はスパロボLにしか登場していないレア物だな。ラインバレルは続くUXにも登場しているが、そちらは原作マンガ版。Lに登場したアニメ版とはキャラ設定もストーリー展開も異なるところがあって、アニメ版ラインバレルはスパロボLのみ。原作マンガ版はスパクロにも登場したが、最大の違いはヒロインの一人、九条美海と乗機のペインキラーの設定。TVアニメでは優しいお姉さんって感じで、乗機もピンクの修理装置付き癒し系マキナだが、原作マンガ版はヤンデレアイドルで好戦的。そして何よりもラインバレルの作者は、ULTRAMANの作者でもあるんだな」

NOVA「ラインバレルの森次さんは、ウルトラセブンの役者の森次晃嗣さんが元ネタの名前だったので、セブンスーツのモロボシ・ダンさんの戦闘スタイルも森次さんの駆るマキナ・ヴァーダントを踏襲しているって話だ」

晶華「まさかスパロボLとスパロボ30がこういう形でつながって来るなんてね」

NOVA「で、Lは前作からガイキングLODや鋼鉄神ジーグゴーダンナーを受け継ぎつつ(いずれも物語途中からの登場で、最初から見たければKをプレイする必要がある)、完全新規参戦で、新劇場版のエヴァダンクーガノヴァ、マクロスFを採用した非常に意欲的な作品だったわけだ。ただ、ダンクーガノヴァやマクロスFは翌年からZシリーズにも参入し、短期間で繰り返し登場するようになったので、たちまちユーザーに飽きられてしまい、Lも地味な作品の評価を受け取るようになっている。2010年時点では、斬新な作品として受け取られていたのにな」

NOVA「このまま一気に3DSのUXやBXまで行こうかと思ったけど、長くなったので今回はここまでだ。必殺仕事人風演出が楽しいUXや、勇者ロボ風演出が楽しいBXはまた次の機会に」

翔花「スパロボ30の合間になるだろうけどね」

(当記事 完)