そしてDLC第一弾
NOVA「前回は70話から90話前の話をしたので、今回は90話以降の話をしようと思う」
翔花「そう言えば、グルンガストさんの話はどうなったの?」
NOVA「グルンガストと言えば、第4次スパロボで登場したスーパー系の後継機だな。スパロボのオリジナル機として定番なのは、サイバスターを初めとする魔装機神系、ヒーロー戦記出自でスパロボ初のオリジナル主人公機ゲシュペンスト系、リアル系後継機のヒュッケバイン系、スーパー系後継機のグルンガスト系、あとは新スパロボ出自でα以降に設定が固まったSRX系などが挙げられる」
晶華「他には、DC総帥の使った初代ラスボスのヴァルシオンさんや、サイバスターさんのライバルのグランゾンさんがいるわね」
NOVA「ヴァルシオンはヒロイン機のヴァルシオーネを始め、改型やヴァルシオーガなど少数ながらシリーズ化されているが、グランゾンだけは後継機や関連機が一切ない孤高の機体だな。DLCでグランゾンが使えるとなれば、おおっとどよめくこと間違いない。それこそ、あいつ一人でいいんじゃないかな、と思わせる機体だし」
翔花「グランゾンさんはともかく、ヴァルシオーネさんはDLCで登場して欲しいわね」
NOVA「今後の希望だな。それで、今回の30ではグルンガストがハブられていて残念という声もあるんだが、一応、龍虎王がグルンガスト参式を取り込んで誕生した機体なので、それを語る際に話すとしよう」
不死鳥狩り(91話と93話)
NOVA「さて、今作におけるガンダム新作はガンダムNTで、それに久々参戦のVガンダムと、スパロボ常連の逆襲のシャアの話をクロスオーバーさせている形だ」
翔花「ガンダムNTってどういう話?」
NOVA「俺も作品そのものは見ていないんだが、スパクロに出たときに少し調べた。ガンダムUCの外伝小説を原作にした続編映画だな。ユニコーンガンダムには3機種あって、初代ユニコーン、2号機のバンシィに次ぐ3号機のフェネクスがNTの主人公機になる。ただ、この3号機は悲劇の少女リタの思念を取り込んで失踪し、不死鳥と呼ばれたフェネクスを追いかけるリタの幼馴染だったヨナ・バシュタ少尉の物語というわけだ」
翔花伝「あれ? 主人公機はナラティブガンダムじゃなかった?」
NOVA「基本的にヨナはナラティブガンダムを操り、フェネクスに乗り換えるのは最終決戦のみというのが原作アニメだな」
NOVA「ヨナは幼少期にオーガスタの強化人間養成所で実験と訓練を受けていたんだが、ニュータイプ能力は発現しないままの中の上のパイロットだった。そして、Zガンダムのロザミアとも知り合いだったりして、カミーユとも絡みがあるし、アムロやシャアからは次代の新人として期待されながらも、死者の魂に引きずり込まれることを懸念されたりして、Vガンダム以上に宇宙世紀クロスオーバーの中心にいる形だな」
晶華「ガンダムの主人公にしては、弱い設定なのね」
NOVA「アムロやカミーユ、ウッソみたいな優秀なパイロットに比べて、ゲームとしてもヨナは弱いな。俺もあまり使っていなくて、オデロやトマーシュと同じような扱いだ。たまに簡単なミッションで出撃させて育てる程度。だけど、91話から本格的にナラティブの物語が動き出す」
翔花「91話って遅すぎじゃない?」
NOVA「ここまではVガンダムや逆シャアのおまけみたいな扱いだったんだな。宇宙世紀で言えば、逆シャアの0093年からF91の0123年の間に空白期間があって、近年はその穴を埋める物語が多く発表されている。ガンダムUCが0096年で、ガンダムNTが0097年、そして閃光のハサウェイが0105年設定だな。それぞれが、アムロとシャアのいなくなった後のニュータイプ神話に縛られた世界の悲劇的事件を背景にしているわけだ。スパロボでは、アムロとシャアが生還していることで、次代のガンダムパイロットの可能性を見守りながら、未来や贖罪のために戦うベテラン戦士の立ち位置になっている」
晶華「老兵は死なず、消えゆくこともしないのね」
NOVA「アニメでは、ガンダム神話、ニュータイプ神話が定着して、アムロやシャアも歴史人物から伝説になっているわけだからな。スパロボでは、伝説化した彼らがもし生きていたら、後進に何を語るのか、というIF話が面白い」
翔花「生ける伝説ってことね」
NOVA「そして、ヨナの設定は、同じ強化人間として育成されたMJPの面々ともリンクするし、オリジナル主人公のアズやエッジも戦闘訓練を受けた孤児で、同じような境遇だということが明かされる。つまり、スパロボ30のテーマの一つは、英雄に憧れる次代のロボット乗りたちという陽性の部分と共に、戦士(戦うための戦闘機械)として育成された孤児たちが自分の居場所や生きる意味を見出すというシリアスな要素も強調されているんだな」
晶華「そして、戦士たちが家族という安らぎの場所を手に入れ、新たにそれを守るための戦いになって行くのね」
NOVA「ああ。物語終了時にヒロインと結婚して家庭持ちになるロボット乗りというのも示唆されているな。兜甲児と剣鉄也、アムロ、そしてガオガイガーのメンツなどが家庭を持つ未来を示唆され、愛と平和のために戦う物語となっているわけだ」
翔花「でも、ガンダムNTは幸せな結婚とは無縁の物語ね」
NOVA「そちらは、宇宙意志みたいになった幼馴染みの少女の心と触れ合う話だからな。肉体よりも霊的な解脱を重視する話で、死者の魂と触れ合いながらも、自分は生を全うするよう癒しと贖罪、そして赦しを描いたオカルトストーリーということになる。Zガンダムがオカルトから生命の大切さに帰結したように、ユニコーンガンダムが小説では消失したバナージがアニメでは帰還したように、原作の悲劇をアニメ化に際して『主人公だけは戻ってくるように』という形に改変されるパターンが多いかな。ハサウェイは果たしてどうなることやら」
晶華「スパロボVでは、今年の映画化に先駆けて、閃光のハサウェイが参戦しているのね」
NOVA「小説→ゲーム→アニメ化という順番になるな。ハサウェイは反地球連邦テロリストのマフティーを名乗り、連邦高官の暗殺による世直しを図るんだが、失敗して公開処刑されてしまう悲劇の物語が原作小説。スパロボVで参戦した際は、宇宙世紀がF91以降クロスボーンガンダムの時代と、それ以前の時代で違う世界観となっていて、マフティーの歴史を知るトビアが過去のハサウェイ(テロリストではなくて、クシーガンダムのテストパイロットとしてネオジオン残党と戦っている設定)を見て驚いている。ハサウェイがいつテロリストのマフティーに変わるのか、その史実をハサウェイには知られないように葛藤するトビアの姿は、一部スパロボプレイヤーにウケたりした。まあ、映画のハサウェイが原作小説みたいな悲劇の末路を辿らないように願うばかりだ」
翔花「でも、ハサウェイさんはスパロボ30には登場しないんでしょ?」
NOVA「そうだな。生きていたシャアが、まだ残っていたアクシズに立てこもっている旧ネオジオン勢力に顔見せに行くシナリオが93話なんだが、たまたまの偶然で逆シャアの0093年に重なったのは、我がプレイながら、なかなか面白いと思っている。さておき、ここでミネバを始めとするユニコーンガンダムのキャラも顔見せするんだな。そして、主役のこいつ」
NOVA「顔は隠すけど、名前は隠さないバナージに笑ったりしつつ、こいつはスポット参戦のみで、正式に仲間にはなってくれないな、まだ」
NOVA「今回は、NTは参戦作品に入っているものの、前作のUCは入っていないので、バナージの顔は版権問題で使用不能というように聞いている」
晶華「名前と声は使えるのにね」
NOVA「まあ、バナージを使いたければ、スパロボVをプレイしろってことだな」
翔花「あるいはDDとかね」
来訪者たち(94話〜)
NOVA「そして、94話からいよいよアップデート後のDLCを導入したわけだ。まずはボルテスさんとサクラ大戦の大神隊長の顔見せミッションがあって、ワクワクしつつ、95話でギリアムさんが登場して、参入した。だが……」
晶華「レッドファイブさん消失事件が発生した、と」
NOVA「これが現在失踪中のイズル君です」
翔花「みんな待ってるから、早く帰って来て欲しいものね」
NOVA「ああ。デッカード殉職や、鉄也さんの拉致は作られた物語(フィクション)だが、イズル失踪は現実(リアル)だからな。意図しない事故によって、発生した思いがけない物語。正にプレイヤー個々人がそれぞれの立場で味わうナラティブと言えよう」
晶華「もう、これはレッドファイブの失踪と帰還をテーマにした追加ストーリーを配信してもらいたいものね」
NOVA「レッドファイブが戻ってきたら、ウルトラマンが一緒でした、という形だったら笑える」
翔花「それで新しく来た人たちは?」
NOVA「うん、まず遺跡ミッションをいくつかこなしてから、この機体を迎えに行った」
NOVA「うちの99話は龍虎見参で、クスハさんとブリット君が加入。マサキやリュウセイと再会して喜んでいたから、α世界の出自らしい。なお、グルンガストはヒュッケバインほどのヴァリエーションはなくて、OG世界で零式や参式が登場した後は、龍虎王の系譜やダイゼンガーの系譜などになって、グルンガスト自体の発展は止まった感だな」
NOVA「そして、記念すべき100話めのミッションで、フィリピンのマニラに向かったわけだな」
晶華「フィリピンと言えば、ボルテスさんね。スパロボマニアの常識だし」
NOVA「まあ、そうだな。最近のスパロボは海外でも人気だから、フィリピンにボルテスさんが出現しただけで、現地の人が喝采すること請け合いだ」
NOVA「ボルテスさんは、初登場の新スパロボ以外は必ずコンV先輩とのコンビで登場し続けて、良き相棒となっている。これにダイモスが加われば、ビクトリーファイブが結成だぜ」
翔花「すると、次のスパロボではライディーンさんと、ダイモスさんと、ダルタニアスさんを呼んで来ないと」
NOVA「DDだと、コンVとボルテスとダルタニアスが共演しているが、ライディーンとダイモスは難しいかもな」
翔花「どうして?」
NOVA「主役の声優の神谷明さんが、近年のスパロボには出てないんだ。もしも、ライディーンやダイモスが再び参戦したら、スパロボマニアは神谷明祭りで盛り上がることが間違いないと思われ」
よもやま脱線寄り道話
晶華「神谷さんの作品で参戦希望は?」
NOVA「メカンダーロボ、ダンガードA、ゲッターロボ號だな。とにかく、スパロボに出る機会の少ない作品を頼む。まあ、中でもダンガードAだな」
晶華「ダンガードAさんと言えば、ボルテスさんと同じ77年のロボットアニメで、ヤマトや999、ハーロックさんと同じ松本零士さんの関連作品。グレンダイザーさんの後番組で、スタージンガーさんの前番組ってことね」
NOVA「ああ。身長200メートルの大型ロボで、サイズ的にはガンバスターに匹敵するな」
晶華「でも、今さら77年のロボなんて、需要があるかしら。ちょっと古すぎない?」
NOVA「何を言ってるんだ? 70年代のロボこそ、スパロボの王道じゃないか。80年代に入ってリアル系の波が来たが、やはりスパロボと言えば、70年代あってこそだろう」
晶華「30年前はそうだったかもしれないけど、多分、今のスパロボの多数派プレイヤーさんは70年代にまだ生まれていないわよ」
翔花「それもそうね。スパロボが始まった90年代には、70年代の作品が王道かもしれないけど、それから30年も経ったんだから、王道は90年代からゼロ年代じゃないの? 勇者ロボとかエヴァさんとか、SEEDさんが今の旬。一応、マジンガーさんやゲッターさんもOVAとかで新作が出たから入れてあげてもいいけど、コンVやボルテスさんならともかく、スパロボ未参戦のダンガードAさんにこだわる人は限りなく少数派よ」
NOVA「何だと? もはや70年代ロボには需要がないと言うのか?」
晶華「データを示してあげるわ。今回の30の出演作を年代別に挙げると、こうなるわね」
・70年代:ガンダム、コンV、ボルテス(3作品)
・90年代:Vガンダム、ジェイデッカー、ガオガイガー、レイアース、真ゲッター、サクラ大戦(6作品)
・00年代:コードギアス、ガンXソード(2作品)
・10年代以降:ガンダムNT、マジンガーZ(INFINITY)、覇界王、グリッドマン、マジェプリ、ナイツ&マジック、オルフェンズ、ULTRAMAN(8作品)
晶華「ギアスは劇場版なので10年代に分類すべきか、とか、細かいことはさておき、大雑把に分類するとこんなところね。22作品と数えると、数が多いのはやはり10年代以降で、次に90年代。意外とゼロ年代が少ないと感じたんだけど」
NOVA「系譜をたどると、マジンガーは70年代、覇界王やグリッドマンは90年代、ULTRAMANは60年代が起源だが、派生作として新しく作られているのだから、こういう分類になるのか。つまり、意外と10年代が少ないのは、SEEDやOOなどを避けたからなのかな」
翔花「スパロボが始まった90年代の作品を増やして、そこに新鮮さ成分を多めにしたってところね。ゼロ年代は近年、乱発したから飽きられている可能性を考慮したとか?」
晶華「スパロボ30は、懐かしさと新鮮さの両方を橋渡しした作品と言えるかもね。NOVAちゃんのイメージだと、70年代〜90年代がスパロボの王道で、21世紀に入ってからの作品は新規で一絡げにされちゃってるけど、今のスパロボは70年代から10年代の50年間のロボット作品を網羅しているんだから、90年代が中間層で、新規は10年代と考えるといいのかも」
NOVA「比較対照までに2年前の前作Tだと、こうなるな」
・70年代:なし
・80年代:Zガンダム、ZZガンダム、逆襲のシャア、ダンバイン、ボトムズ、わが青春のアルカディア(ハーロック)、トップをねらえ(7作品)
・90年代:クロスボーンガンダム、Gガンダム、マイトガイン、ガオガイガー、レイアース、真ゲッター、カウボーイビバップ、ナデシコ(8作品)
・00年代:ガンXソード(1作品)
・10年代以降:マジンガーZ(INFINITY)、楽園追放(2作品)
晶華「何だか、スパロボTの方がずいぶんと歪じゃない?」
翔花「見事に80年代と90年代に固めて来たわね」
NOVA「と言うか、70年代作品が皆無というのが気付いていなかったや。自分の感覚では、マジンガーもハーロックも70年代だったが、コンVやダイターンが消えると、70年代が消滅するのが今のスパロボなんだな。昔は、ライディーンとかガイキングとかダイモスとか70年代が王道だったのに」
晶華「70年代がスーパー系で、80年代がリアル系で、90年代がスーパー系の復権で、ゼロ年代がリアル系の復権? みたいに単純に考えていたみたいだけど、そういう見方も修正しないといけない時期に来ているのかもしれないわね」
翔花「とにかく、2年前は80年代から90年代が王道だったけど、今現在は80年代が下火になって、90年代と10年代に2つの山ができた感じかしら」
NOVA「この辺の総括は、大まかな印象だけしか思っていなかったが、70年代を王道だと主張するのは年寄りだけだと納得した」
晶華「そうそう。この10年の間、70年代の新規参戦作品は皆無で、マジンガーさんやゲッターさんはリメイクバージョンにブラッシュアップされたし、コンVさんたちは『TVアニメが懐かしいのではなくて、スパロボに参戦したから懐かしい』に変わっているの。今さらスパロボ未参戦の70年代ロボには需要はないというのが、悲しいけど、これ現実なのよね」
NOVA「まさに刻の涙を見ている気分だぜ。ええと10年前だと、太陽の使者版の鉄人28号が懐かしいと思いながら80年だし、70年代の新作が出たのは、実は第2次α(2003)の鋼鉄ジーグか、COMPACT3(2003)のメカンダーロボに遡る? マジンガーやゲッター効果で70年代がスパロボの中心だと思い込んでいたのは、俺の錯覚だったのか」
晶華「スパロボの中心は80年代で、それが90年代にシフトして、これから10年代の作品が増えて行くのが令和スパロボってものなのよ」
NOVA「そして、ゼロ年代が懐かしロボに代わって、80年代が昭和の化石扱いされていくのか。分かった。現在のスパロボ界における70年代ロボの立ち位置が。もう、ゴーダムも、ダイアポロンも、グロイザーXも、マシーンブラスターも、ガ・キーンも、バラタックも、ギンガイザーも、ゴーディアンも、ダイケンゴーもスパロボ参戦は諦めた。でも、せめて、80年代のゴールドライタンや、ダグラム、モスピーダ、ゴーバリアン、バイファム、ガラットにはチャンスを与えて欲しいなあ。他には、レザリオンとかアルベガスとか、いろいろあるけど」
晶華「90年代の勇者シリーズや、鉄人28号FXさんなんかをリクエストする方がいいと思うけど、意外な作品がリメイクされて、日の目が当たる可能性もゼロじゃないわよね。フィリピンの人がボルテスさんを愛しているように、世界のどこかの国の大富豪さんがダイアポロンさんの大ファンで、莫大な金を出資してくれるかも」
NOVA「ダイアポロンかあ。こういう企画もあったんだが、スパロボには出られないだろうなあ」
翔花「もはや、スパロボ30の話はどうでもよくなっている感じで、収拾がつかなくなっているようなので、今回はこれぐらいにしておきましょう」
NOVA「ブライガーはメカが巨大化するが、ダイアポロンはパイロットが巨大化するんだよなあ。まあ、勇者ロボのダグオンと同じ融合合体と解釈すればいいのかもしれないが」
晶華「ダイアポロンさんは無理でも、ダグオンさんなら今後のスパロボに参戦する可能性もありそうね」
(当記事 完)