ウルトラとライダーの脚本家さん
NOVA「今日は、長谷川圭一さんの話をするぞ」
晶華「その人は確か『仮面ライダーセイバー』の脚本家トリオの一人ね」
009『いやいや、平成ウルトラの立役者の一人じゃないか』
NOVA「2009年以前は、ウルトラ関係の人だな。それ以降は、仮面ライダーのサブライターの仕事が多く、ドライブの小説版も監修していて、割と俺のツボを突く作品を書くことが多い人だ」
晶華「え? 執筆は大森敬仁プロデューサーよね」
NOVA「ああ、このプロデューサーさんも、割と俺のツボを突く作品をいっぱい作ってくれる御仁だが、マッハの小説版は長谷川さんの監修が入っている」
晶華「監修って何?」
NOVA「著作者が未熟だったりする場合に、その上の立場として、あれこれアドバイスしたり、指示したりしながら、作品完成に務めるまとめ役と言ったところだな。直接、作品を書くのは著作者だが、その原稿に一度以上、監修者のチェックが入り、改稿したり、そもそもストーリー構成から相談に乗ったり、作家を親身に育てる役割を果たすのも監修者かな。まあ、作品ごとに監修者と作家の具体的な仕事内容は変わってくるだろうけど」
009『立ち位置としては、監修者がベテランで、その下で作家が原稿書いてるってイメージだね』
NOVA「最近だと、このリプレイもそうなるかな。著作関係が非常にややこしいことになっているが」
009『おお、川人君や杉浦君がロードスに関わっているだと? こいつは朗報だ。凄いぜ、2020年』
NOVA「まず、ロードスの企画は安田均社長が始めて、社長に師事する水野さんがリプレイGMから小説執筆まで行った。この段階では社長が監修で、 水野さんが実際の執筆だったんだけど、リプレイの2作めまでは水野さんの名前は出て来なくて、あくまで安田均の名前を前面に出していたわけだな」
晶華「それって、部下の手柄を上司が自分の物にしていたってこと?」
NOVA「違う。上司の名を借りて、部下が学ばせてもらいながら、自分の作品を作らせてもらったという形だ。企画が失敗した場合、傷つくのは上司の体面というわけだし、そこでしっかり仕事をして人気を獲得したからこそ、2年を経て、水野さんがロードスの作者だと晴れて公表された形だ。その辺の経緯は、こちらの本にも記されている」
009『おお、そいつは素晴らしい本だ。後で、ぼくにも読ませてくれ』
NOVA「そりゃ、お前は興味があるよな。いろいろ懐かしいし、安田社長の昔話とか初めて知ったことも多かったし。まあ、俺は今はこっちの本に興味があるんだが」
晶華「で、何で特撮脚本家の話なのに、SNEのゲームの話になってるの?」
NOVA「お前が、『監修って何?』って聞いたからだろうが。だったら、俺の経験で分かる範囲で答えるしかない。俺にとって一番近い出版関連と言えば、SNEだったからな。で、ロードスの物語や世界観の方は水野さんが中心で、ゲームシステムの方は高山さんが担当していて、それを今は川人君が引き継いで、杉浦君がサポートしている形だな。
「この辺の権利関係はいろいろややこしいと思うけど、『名前が出るかどうか』『金銭の配当が適正かどうか』とかは本人たちの問題だからな。まず、ロードスという名前で商品を出す以上、社長や水野さんに相応の取り分があって、その上で著作料として杉浦くんに支払われるのだろう。意外な事実だけど、監修者にはお金が入らない可能性がある。川人君は、ロードスを盛り立てるための会社業務として監修役をしているのであって、監修自体で報酬が入るような形じゃないんだ。監修は、自分の関係するプロジェクトを失敗させないように立ち回る仕事であって、監修者が著者の上前をはねるような話ではない。たまに誤解している人もいるみたいだけど」
晶華「すると、話を戻して、監修・長谷川圭一、著者・大森敬仁ってのは?」
NOVA「だって、小説家・文筆業としては、明らかに長谷川さんの方がキャリアが上なんだぜ。年齢的にも20年近い差があるし、業界経験的にも10年近い差かな。もちろん、大森さんは当時30代の若手プロデューサー(現在は40才)で、いろいろ意欲的に動き回りつつ、長谷川さんにお仕事とお金を与える立ち位置。そして、プロデューサーさんは長谷川さんの能力と仕事への責任感などを信頼して、いろいろとお願いする中で、『仮面ライダーマッハ』の企画なんかも出たわけさ。そして、執筆活動で忙しい長谷川さんの代わりに、自分が執筆しますので、サポートお願いって関係性だからねえ。そりゃ、長谷川さんからしたら、自分の力量を見込んで頼まれているわけだから、『だったら協力しましょう、プロジェクトを盛り上げて、お互いWinWinになるためにも』って話なんだろうさ」
009『つまり、監修という仕事が成り立つためには、著作者との信頼関係なんかも必要になるわけだな』
NOVA「そうだね。互いの能力への信頼、人間性への信頼がなければ、クリエイターとして共にお仕事することなんてできないだろうさ。クリエイターとして特に大事なのは、作品にかける熱い情熱だろうし、それが伝われば、ファンとしても応援したくなる。もちろん、自分のツボを突く作風ってのが一番なんだけどな」
晶華「で、今回は長谷川圭一さんの話なんだけど、別にマッハの話がしたいんじゃないわよね」
NOVA「ああ。セイバーでも旬な人なんだけど、何よりも今回のメインは古巣の円谷関係だ」
グリッドマンとダイナゼノン
NOVA「アニメ版グリッドマンの続編、ダイナゼノンが来年4月に放送することが発表された」
2021年4月放送決定!『SSSS.DYNAZENON』PV2
完全新作アニメーション『SSSS.DYNAZENON』制作決定PV
009『何で今ごろグリッドマンなんだ?』
NOVA「少なくとも、このリメイク企画には、商業主義はあまり関係ないよな。2018年が、グリッドマン放送25周年に当たるメモリアルイヤーというのもあるかもしれないが、『何でアニメでグリッドマン?』という反応が、特撮ファンの間でも持ちきりで、リメイクして失敗する可能性も放送前は考えられていた。せっかく放映しても『こんなの、俺のグリッドマンじゃねえ』と言う懐古オタクとか、見てもいないのに『グリッドマンの尊厳を傷つけられた』とかマニア気取りのにわかファンの意見が出ることが予想された」
009『まあ、何にでも文句をつける輩はいるだろうなあ。まるで、それが格好いい態度と勘違いしているように』
NOVA「で、実際にフタを開けてみると、絵がキレイだし、戦闘シーンが迫力満点だし、女性キャラの太股が脚フェチのツボを突いたし、アカネちゃんのエキセントリックな性格とか、旧作リスペクトっぷりとか、適度に謎めいた世界観とか、特撮マニアとアニメファンを巻き込んだ予想以上の当たり作品になったわけだ。そして、本家グリッドマンまで改めて脚光を浴びるようになった次第。この調子だと、来年末のギャラクシーファイトにも、ギャラクシーレスキューフォース枠で『実写版グリッドマン』が参戦しても、不思議ではないかも」
SSSS.GRIDMAN EP12 FINAL - GRIDMAN'S TRUE FORM l グリッドマン 真の姿 (YUME NO HERO l 夢のヒーロー)
晶華「なるほど。アニメのグリッドマンの全話執筆脚本家として、NOVAちゃんをワクワクさせたのが長谷川圭一さんということね」
NOVA「そう。仮面ライダーセイバーと、ダイナゼノン。さらに、それだけじゃない」
ウルトラマンティガの復活
劇場版ウルトラマンティガ the final odyssey CM
ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY — カミーラ, ヒュドラ & ダーラム
009『何で今ごろウルトラマンティガなんだ?』
NOVA「そりゃ、来年2021年がティガ25周年なんだし、それを記念してか、ゼロさんがティガとゼットを中心に紹介してくれるんだから、ここで乗らない手はないだろう」
009『そう言えば、去年(2008年)にもティガは復活していたな』
NOVA「どっちの映画も、脚本は長谷川圭一さんだぞ」
009『むっ、確かにそうだな。あと、ぼくの好きなこの映画もだ』
映画 ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦 予告篇+TVスポット
NOVA「その映画なら、最近、長谷川圭一さんが続編小説を出版されていたぞ」
009『マジですか。どうして、劇場映画公開から20年経ってから小説が?』
NOVA「20年だからじゃないかな。あるいは、令和に移っていく時期だからこそ、平成を見直すムーブメントが来ていると考えることもできる。そして、いい作品は時代を超えて愛されるってことだよ。ここで『どうして』と問うのは容易いが、それを求めるクリエイターとファンの双方の熱気を肌で感じられる者こそ、時代の波に乗れるんだと思うよ。ファンとしては、そういう作品愛を末永く語っていきたいもんだねえ。そして、長谷川さんの最近刊がこれだ」
ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE Episode:TIGA
- 作者:長谷川圭一,『ULTRAMAN』清水栄一×下口智裕 円谷プロ
- 発売日: 2020/12/03
- メディア: Kindle版
009『ええと、これは何?』
晶華「コミック版のスーツ着用ウルトラマンが最近CGアニメ化されていて、そのシリーズよね」
Ultraman | Official Trailer [HD] | Netflix
NOVA「少し違う。原作コミックには、その後、ハヤタパパのゾフィースーツ、ジャック、タロウ、レオ&アストラまで登場して、パラレルワールドのウルトラ時空を継続中だが、それとは別に模型雑誌の『ホビージャパン』誌で、外伝的なティガスーツのエピソードがフィギュア写真メインで掲載されていた。それを元にした小説がこの度、出版されたんだな」
009『ライダーにおけるSICみたいなものか』
NOVA「そういうことで、模型誌では旧作リニューアルの動きが、現在進行形で展開していたりするわけだな。なお、今、現在はティガさんのエピソードの続きで、ゼロさんの話が連載中らしい。俺も、模型方面はあまりアンテナを張っていないので、そこから漏れ出して目についた現象から、にわかに興味を持っている段階だが」
フィギュアライズスタンダード ULTRAMAN(ウルトラマン) SUIT DARKLOPS ZERO -ACTION- 1/12スケール 色分け済みプラモデル
- 発売日: 2020/11/14
- メディア: 付属品
晶華「まるで、アイアンマンスーツみたいなゼロさんね」
NOVA「ウルトラマンもマーベルに進出して、国際化の動きが加速中だからな。そこでグレート、パワード、リブットの海外勢を盛り立てようとする流れもあるわけだ」
晶華「その一角に長谷川圭一さんもいるわけ?」
NOVA「いや、ワールドワイドな方向と、長谷川さん自身は直接関わっていない。まあ、ティガというキャラが今後、海外でもしっかり認知されたら、また別なんだろうけど、今のところギャラクシーファイトにティガは出てないからな。長谷川さんがタッチしたのはギンガまでだ」
晶華「去年がニュージェネレーションで、今年がM78時空ということは、来年はティガさんたちがギャラクシーファイトに出るかもね」
NOVA「ギャラクシーファイトも楽しみだけど、他にも楽しみはいっぱいあるからな。今度、コミックのULTRAMANで、ヒロインのアイドル少女レナが『宇宙人のマリー』という出自が判明して、『ウルトラの母モチーフのスーツ』をついに身につけたし」
晶華「え? ギャラクシーファイトだけじゃなくて、コミックの方にも『ウルトラウーマンマリー』が登場したの?」
009『なあ、ウルトラウーマンマリーって誰なんだ?』
NOVA「ああ、ウルトラの母の本名だよ。ウルトラの父がウルトラマンケンで、2009年末の映画で公表される」
「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」予告編
009『つまり、ぼくの2009年から先、ウルトラマンも仮面ライダーも継続し、時空を超えてなおも発展を続けているってことだな。未来がますます楽しみになってきた』
(当記事 完)