今回の必殺はまあまあ佳作
NOVA「いやあ、さすがは弥生ちゃん。あの状況で生き残るとは思わなかったよ」
晶華「医者の人に感謝だね。それと、ラストの小五郎さん。自害を止めようと声を掛けてくれたのはナイスフォローだったよね」
NOVA「いや。俺の脳内では、あの海を目前にしていた時に『海の勇者キョウリュウバイオレット』に変身するんじゃないか、と見えたわけだが」
晶華「そんなわけないでしょう。物語は素直に受け止めようよ。妄想は横に置いておいて」
NOVA「あと、ブラッド族のほのかさんね。彼女が別に悪女じゃない、ただのお嬢さまだったのも意外だったな。てっきり、弥吉に『昔の女との訣別』を迫るとか、弥生ちゃんを敵視するとか、そんなキャラだと思っていたんだけど、実は『乱暴な男と賭け事の嫌いな真っ当なお姫さま』だったとは思いもよらず。今回は悪女のいない、綺麗な必殺だったと思うぞ。弥吉の悪堕ちは、想定の範囲内だったし」
晶華「善悪の切り替わるどんでん返しね。NOVAちゃんの予想どおり」
NOVA「いや、もう、この脚本家は『心変わりした善人の裏切り』が定番なんだって。2時間ドラマのミステリー物でよくある『意外な人物が犯人でした』ってフォーマットを必殺で描きたいんだろうな。ただ、昔の必殺はもっとストレートで、『巨悪が弱者を踏みにじって、晴らせぬ恨みを極悪の裏稼業で退治する。ただし、極悪にも裏稼業の掟があって、表の顔の人情がある。表で倒せないから裏で殺る』って作劇なんだ。だから、悪党は憎らしいぐらいに悪党なんだな。だけど、2007以降のシリーズは、善人の悪堕ちドラマが付与されて、倒すべき的の方にドラマの枠を割くようになった。そして、前半はいい人だなあと思って見ていたら、途中で一変するのが基本パターン」
晶華「そういうのって、NOVAちゃん、好きな話じゃないの?」
NOVA「いいや。俺の好きなのは、女性キャラが悪堕ちする話であって、男が悪堕ちして女を騙して殺す話は好きじゃないぞ。ちなみに、俺が好きな回の一つに無印の必殺仕事人の26話『半吉は女の愛で立ち直れるか』という話があって、山田隆夫演じるレギュラー密偵役の半吉が幼馴染の女に助けを求められて、頑張って力になろうとするんだけど、女は清純な顔を被った悪女で半吉が無惨に殺される。その仇討ちを主水さんがするわけだけど、出世して着飾った女を『てめえのような薄汚え女は知らねえや』と吐き捨てるように切り捨てる姿とか、溜飲が下がる。今の2時間枠のどんでん返しよりも、たった1時間の枠で、幼馴染の純情な男を夢中にさせて、利用して自分の出世の生贄に使い、無惨に殺させて『貧乏暮らしはイヤだから何としても上に上がりたい。そのためなら何でもする』と嘯く悪女の心情を見せて、そこにレギュラーキャラの退場劇を付与したわけで、非常に密度が濃い話だったんだ」
晶華「だったら前作の2018で、黒木瞳さんの演じたすずらん先生なんかはNOVAちゃんの好み?」
NOVA「いいや。確かに彼女も裏表のあるしたたかな女だったけど、男に騙されて殺されるところでがっかりだな。小五郎に女殺しをさせられないという忖度でも働いて、ああいう話になったのかな。とにかく、前作(正式な作品タイトルに2018は付かないそうだ)は無理に中村主水の出演シーンを挿入したこともあって、いろいろと不満も多く、不自然な描写も多い駄作という認定だけど、今作はまあ、俺の好みはさておき、きちんと計算された作劇でもあって、見終わった時にすっきりできたことだし、佳作認定はしておこうと思う」
晶華「佳作ねえ。傑作じゃないんだ」
NOVA「傑作は『こいつはすげえぜ。痺れる、感じ入る。ウオーーーッ』って叫びたくなる作品で、まあ、昨日だとスーパー戦隊最強バトルの最終回がそうじゃないかな。悪女堕ちしたリタもツボだったし、それを救って更生を期待して逮捕したスティンガーもナイス。最後のバンバラバンバンバンのスーパー戦隊スペシャルストームもSSSSなフィニッシュ技で盛り上げてくれた。佳作の場合は『まあ、普通に良い作品だったね。面白かったよ』と満足はしたけど、後から語るネタにまではならないかな。何度も見たい、という程じゃない。それでも西田さんと弥生ちゃんのおかげで、ここで話すネタにはなるし、次の必殺にもそれなりに期待は持てるようになったと言える。自分に合わない駄作が続くと、ファンとしては絶望が深まるばかりだからな」
西田敏行さんの怪演とか、ゲストの活躍
NOVA「いやあ、もう、今回の必殺は西田敏行さんの演技がいろいろ光ったわけで、悪のボスを魅力たっぷりに描いている。こういう人に見込まれたら、そりゃあ、弥吉も悪堕ちするわ。凄く穏やかな人たらしな面と、悪党らしい凄みと、本人の持てる演技力をいろいろぶつけて来たような印象があるね。基本はふてぶてしい好々爺なんだけど、そういう演技の相手じゃクソ役人の小五郎程度ではどうにもできないなあ、と感じていたら、最後は自分から小者に落ちる演技をして見せて、それがまたハマっているわけで。もう、一人ボケ一人ツッコミが冴えて、小五郎の無表情棒立ち演技のフォローをしてくれているナイスな演出と。小五郎を引き立たせるために、自らは本気で道化に徹するところまで含めて、西田さんの持ち味を全開に発揮してくれたなあ、と。もう、西遊記のOPを貼り付けたくなるぐらい、西田さんプッシュしたくなる。うん、これで西田さん主演で、中村主水みたいなキャラを演じてくれたら、傑作と言ってもいいだろうね」
晶華「私は小五郎さんの演技が悪いと思わないけど。真面目でクールなイケメン俳優のどこが悪いの?」
NOVA「暗くて、表と裏の使い分けができていないところだな。必殺シリーズの主役としては、それって結構致命的なんだよ。例えば、表の時に笑顔を見せるシーンでも、彼の笑顔は心からの笑いじゃなくて、皮肉めいた苦笑いにしか見えないんだな。彼の場合、どうしても中村主水と比べられるキャラなのが、役者としても不幸で、にこやかなコメディアンの表と、生真面目な顔の裏をどちらもできる藤田まことさんに比べて、演技の引き出しがあまりに少ない。どこか距離を置いたクールな二枚目というキャラにはなっているけど、表も裏もそういうキャラだから見ていて、面白みがない。そこを今回は、周りのコメディーできる人たちが補って話を見せてくれた感じだね。その筆頭が西田さんだけど、レギュラー陣だったら涼次の松岡さんや、陣八郎のエンケンさんの方がよほどコメディーの才覚のある役者だ」
晶華「確かに、二人の殺しのシーンは、それだけで秀逸なコメディーにもなってるわね」
NOVA「特に、今回の陣八郎の『金次郎って奴の殺しを頼まれたんだけど、大体の風貌しか聞いていないんだ。お前、金次郎か?』から始まる一連の流れは笑った」
晶華「それを受けて、金次郎さんがビビりながら『いいえ、私は金次郎ではありません』と答えるのよね」
NOVA「それに対し『そうか、そうか。別人か。悪いことをしたな。だったら行けよ』と安心させてからの大声。『金次郎!』『はいいぃぃぃッ!』と思わず返事してしまって、たちどころにひょうたんに吸い込まれるんだよな」
晶華「いいえ。ひょうたんに吸い込まれるのは別の話よ。西田さんが猪八戒をやってる方」
NOVA「ああ、そうだった。芥川隆行さんのナレーションで混ざっちゃったぜ」
晶華「芥川隆行さんのOPナレーションってだけで、何でもかんでも混ぜるのは、読者の皆さんを混乱させるだけだと思うの」
NOVA「そうだな。本当は、もりもりぼっくんにしようかと思ったんだけど、ナレーション付きOP映像が見つからなくてな」
晶華「仕事人2019の話に戻るわよ。弥生ちゃんの演技はどうだった?」
NOVA「基本は素朴な町娘って感じでいいよな。しかも、ヤクザ者に追いかけられても逃げ延びるし、弥吉改め海老沢吉右衛門に腹を刺されても生き延びるし、最後は自分を裏切って長屋の皆を殺した悪党と手を組んだ弥吉を仕事の的にする際の思いつめた涙目が情感あふれていたし、恋する乙女の笑顔と鬼気迫る思いつめた表情の両方ができれば役柄としては十分じゃないかな。しかし、弥生ちゃんと言えば、男運が悪いキャラになっちまったなあ」
晶華「最後は医者の先生とハッピーエンドって感じで良かったじゃない」
NOVA「だけど、実のところ、奴の正体は悪の仮面ライダータイラントだったりするんだ」
仮面ライダータイラント ドラゴンエナジーアームズ 変身シーン【仮面ライダー鎧武】
晶華「メガネ男子キター。弥生ちゃんが羨ましい!」
NOVA「お前な。メガネだったら誰でもいいのか」
晶華「もちろんよ。メガネは正義」
NOVA「カッパードさんもか?」
【落武者】カッパード(敵)登場!!スタートゥインクルプリキュア
晶華「も、もちろんよ。カッパードさんも今は悪でも、そのうちプリキュアの味方になって、キュアカッパーに変身するんだから」
NOVA「いや、男はプリキュアに……って言えない時代なんだよな。キュアゴールド、キュアシルバー、キュアカッパーなんて三人衆が将来出ないとも限らないし」
晶華「大体、カッパをバカにしたら、岸部シローさんに失礼よ」
NOVA「いや、それなら仲本工事さんにも失礼だな」
スーパーモンキー孫悟空 - ピンクレディーSuper Monky Songoku
NOVA「スタージンガーだと、スターカッパーに乗るサー・ジョーゴは水属性のクールキャラだし、河童差別は良くないな、うん」
晶華「とにかく、これからのムーブメントはカッパにあるのよ」
NOVA「そうなのか? しかし、必殺には河童なんてキャラは出てないがな」
晶華「ウソ。1話ぐらいない? 『主水、河童男に会う』とか『何でも屋の加代、河童を目撃する』とか」
NOVA「いや、エリマキトカゲやキン肉オトコに会ったり、ヒヒ退治したり、スギの花粉症に苦しんだり、バースになったりする話はあったが、仕切人だと狼男に会ったりもしたが……」
晶華「へえー。必殺にも花粉症話があるんだ」
NOVA「あるぞ。IIIの30話だ」
晶華「仮面ライダーバースになったりもしたんだ」
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NOVA「しねえよ。ライダーバースじゃなくて、ランディ・バース(Randy Bass)な。83年から88年まで阪神タイガースで活躍した野球選手で、そのヒゲ面と豪快なホームラン量産ぶりで必殺仕事人最盛期と同時に人気選手となっていた。もう往年の阪神ファンにとっては、掛布、岡田、バースという打線が黄金時代とも言われている。必殺では、主水が長い旅でヒゲ面になったのをバースに例えたわけだが、実は昨夜の関西の一部ではサンテレビで9時から再放送されていたんだよ。つまり、表で2019が放送され、裏では主水がバースになっていたわけだ」
晶華「なるほどね。でも、河童は出ない、と」
NOVA「そう、必殺シリーズに河童は……って、あった。主水シリーズじゃないが、必殺からくり人の富嶽百景殺し旅5話『本所立川』の回で、河童に化けた子供たちの話だ」
NOVA「というか、河童の話がしたいんじゃなくて、仕事人2019の話なのに、何で河童が出てきたんだ」
晶華「順にたどれば、西田敏行さん→猪八戒→西遊記→芥川隆行さんとか、河合我聞さんの仮面ライダータイラントとか→メガネからカッパードって流れよね。カッパードの話をしたのはNOVAちゃんで、そこからバースになったり」
NOVA「どうやら、花粉症で考えがまとまらないモードが悪化しているようだな」
晶華「何でもかんでも、花粉症のせいにして。NOVAちゃんの考えがまとまらない妄想連発モードは、今に始まったことじゃないんだから」
NOVA「とにかく、今回は時間が尽きた。仕切り直しで、レギュラー陣に関する感想は、次回の記事に先送りするぞ」
晶華「平成最後の必殺2019から広がる妄想タイムはまだ続く、と」
(当記事完)