Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ドグーンV7話〜9話感想

 11月下旬は、仕事絡みでいろいろバタバタしていたら、まあ、3週間ほどたまってしまいましたね。
 まとめて、感想を残しておきます。

7話「妖怪 こんにちは青ちゃん」

 青い赤ちゃんということから付いた妖怪ネーミングですが、実は「こんにちは」も含めての名前です。これまでの当番組で、最長妖怪名になりますね。
 「赤ん坊虐待」で、青あざとかできる可哀相なベイビーに対する風刺ですが、本話に登場する「青ちゃん」は、子供と引き離された母親に寄生して、親を奴隷のように虐待して罵りながらも、自分を育てさせるという魔力を秘めています。
 大人が顔を青く塗って、赤ん坊のコスプレをするという「正直、キモい」格好なんですが、取り付かれた母親には「可愛い子供」に見えてしまうという、何だかギャグ悲劇*1を展開しました。


 で、自分としては、こういうギャグ悲劇は正直苦手。笑っていいのか、感じ入っていいのか戸惑ってしまう。ギャグならギャグでとことん笑いたいし、悲劇なら真面目に受け止めたい、と思ってしまう。
 最終的に、「青ちゃんを守ろうとする母親」と「妖怪ハンターのドグーンV」の戦いに突入し、流れ弾などで一般市民を巻き込みながら*2、結局、妖怪封印に成功して幕。
 「青ちゃんを失った母親」については、ドジちゃんが「そのうち、心の傷も癒えるでしょう」とあっさり風味で終了。
 全体的には、シュールさを楽しめって回ですけど、「妖怪退治が素直に楽しめない」という点で、自分の好みではない、と。

8話「妖怪 ドカちん」

 この回の主役は、怪力食いしん坊関西弁属性のイエロー、ドカちゃん。
 ドカちんは、アフリカから密輸入された類人猿風妖怪のドカコングに、彼女が付けた呼称。「お前の名前は何や?」という問いに対し、「うう、ド、ドカ……」と不自由な発声で自己紹介するのを聞いて、「そうか。お前の名前はドカちんや。うちと同じやな」と意気投合する流れですね。


 「無礼講EX」「こんにちは青ちゃん」と、この話の共通点として、「妖怪退治で必ずしもハッピーエンドにはならない」「妖怪に悪意がなかったり、妖怪に感情移入するキャラがいることで、単純な勧善懲悪に一石を投じている*3」という作風。
 それと同時に、この回は「森ガール」の回と同様、メンバー間の亀裂と和解を描いており、一連の同傾向の回の中では、一番自分好みの傑作回と評価します。


 ドカちゃんは、怪力が自慢だけど、そのハンターとしての自覚のなさを、リーダー格のドロちゃんに批判され、「やる気のない奴は、仲間に必要ない」とまで言われて、家出します。
 以前は、ドリちゃんに対しても、厳しく当たっていたドロちゃん。鬼の先輩ポジションですね。軍人・武闘家思考のドロちゃんに対して、ファッション好きのお嬢さまのドリちゃんとか、呑気な性格のドカちゃんは「鍛え直してやらないと」と感じる存在。まあ、チームドラマを描くなら、「仲間に対して厳しく接するサブチーフ」ってのは美味しい役どころですな。


 で、ドカちゃんは、町でドカちんに会って、「仲間のところを離れて、独りっきりの境遇」に感情移入。ドカちんを故郷に帰すための資金稼ぎ目的で、やみくもな小銭集めを敢行して町中を騒がせます。
 ドカちんの特殊能力は、吠え声を聞いた人間の脳を一時的に退行させ、野生化させるというもの。これを駆使して、お店から食べ物を略奪したり、まあ、軽犯罪を繰り返しまくるわけですね。その様子が、何だか非常に楽しそうに描かれているわけで、ちょっとしたピカレスク物の「悪事をイタズラ感覚で描写する面白さ」が味わえます。映像的にも、「土偶ビキニを着た少女と、類人猿の着ぐるみの手に手をとった悪行三昧」は実にシュール。


 しかし、悪行の報いもあって、追っ手の警察にドカちんは撃たれて傷ついてしまいます。怪我の治療のために、隠れ場所の廃ビルに潜伏する少女と野獣。
 そこに、ドグーンVの他の面々が現われ、ドカちんを退治しようとするわけで、その前に立ちはだかるドカちゃんとの対立ドラマに突入。「ドカちんは悪くない。元はと言えば、勝手に故郷から連れてきた人間が悪いんや」と訴えるドカちゃん。それに対して、「私達は妖怪ハンターだ。妖怪を退治しないといけないんだ」と正論で応じるドロちゃん。
 ドカちゃんの窮地に吠え声を放つドカちん。その衝撃で、部屋の天井が崩れてドロちゃんが下敷きに。
 他の面々がドロちゃんを瓦礫から救出しようとしますが力が足りません。仲間に説得されて、怪力ドカちゃんが手を貸しますが、それでも助けられない。その時、重傷を負っていたドカちんが最後の力を振り絞って、ドロちゃん救出に力を貸してくれます。
 「お前、アホやな。自分を退治に来た妖怪ハンター助けるなんて」
 死に際の苦しみを和らげるために、ドカちゃんはドジちゃんに頼んで、ドカちんの封印(ドキドキウェーブ)を施してもらいます。


 この回は、前半のコメディ描写と、後半のメンバー対立、そして培った絆を見せるドラマ演出もともなって、ストレートに楽しめました。
 ラストに、ドカちんの遺した「傷口の包帯布」を、「この川は故郷につながっている」とつぶやいて、水に流して別れを悼むドカちゃんの姿で締めることで、余韻の残るエンディングになっているのもグッド。

9話「宇宙少女隊シャコーズⅢ」

 この回の敵は、妖怪じゃなくて、宇宙人。しかも、ドグーンVの師匠のドグちゃんのかつての仇敵、ということで、クライマックス近しといったバトルアクション回です。
 シャコーズⅢは、ドグーンVよりも露出度は低い土偶アーマーを身に付けた三姉妹です。というか、むしろ、彼女達の方が特撮アクションヒロインとしては正統派なデザインで、純粋に格好いいですぞ。主役にしてもいいぐらい。現に、ドジちゃんに対して、「あなたを倒せば、私が主役ね」というメタ発言*4もありましたし(笑)。


 また、シャコーズⅢは、アクションもちゃんとこなすわけで、これが例えば戦隊シリーズだったら、「次回作に採用する前の試験出演?」なんて考えたりもします。いや、ドグーンVに次回作があるかは不明ですが。
 ドグーンVの方は、ドグちゃん、ドジちゃん、ドロちゃんの3人を除けば、まともなアクションができないわけで、攻撃し掛けてはかわされ、返り討ちにされるというパターン演出。
 ドグちゃんは剣戟アクション、ドロちゃんは空手アクション、そしてドジちゃんはドジなやられアクション(それでも質は高い)で、魅せてくれます。これまでのドラマ中心、アクション薄めの不満が晴れました。
 戦闘能力的には、シャコーズⅢの方が上なのですが、逆転の契機となったのは、アクションのできない他の3人。隙を突いての奇襲攻撃なんですけど、「弱いと思われていたメンツが、できるだけのことをして驕り高ぶっている相手に一矢を報いる展開」は王道でOKです。ドカちゃんの岩石投げとか、絵的にも納得ですしね。
 まあ、元々、6対3ということで、数的にも有利だったわけですが、それを感じさせない3人組の強さというものも十分見せていましたので、「ドグーンVの側が、数の優位で圧倒的な勝利をした」という演出ではない、ことも強調。


 そして、シャコーズⅢも、最後の切り札として、「ドキドキウェーブ」と同様の吸引合体攻撃を発動させます。
 封印されそうなドグちゃんを助けるために、他のメンツが次々と手を伸ばして、最後の一人、ドジちゃんが大岩につかまります。しかし、ドジちゃんはバトル前に体調不良を起こしていた。胸の痛みのために、思わず手を離してしまうドジちゃん。その手をつかんだのは、シンケングリーン翔太だった。
 シャコーズⅢの妨害にもへこたれずに、ドグーンVを支える翔太。その時、奇跡が起こった。ドジちゃんの胸の鎧が、吸引効果と逆の力を発動。吸引してきたエネルギーを放射することで、大逆転勝利。いわゆるライダーV3の「逆ダブルタイフーン」ですな。
 元々、妖怪の封印のし過ぎで、消化不良を起こしていた(体調不良もそのため)のを発散させた、というオチですけど、逆転技として納得できますし、途中、ドラマ的緊迫感にも貢献していたのでOK。


 なお、この回、特撮アクション活劇としての盛り上がり演出を重視しており、ドグーンVが地上で戦っている間、上空では宇宙人の巨大宇宙船と、防衛隊の戦闘機がメカバトルを行う描写があって、何だか違う番組を見ているようでした(笑)。
 もうね、この戦いに負ければ、地球は宇宙人に侵略されてしまう的なノリが濃厚で、アクション活劇としては、事実上の最終回? とも思ってしまいました。
 見ている間は、「ピンチのまま、つづく」もありかな、と考えましたし。


 ということで、この回が、一番のNOVA的大当たりでした。後は、ラストに向けて、テンションが高まっていけばいいなあ。

*1:絵で見るとギャグ描写なのに、ストーリー的には悲劇という。ちなみに、昔のドラマだと、「真剣に重いストーリーをやっているのに、特撮やアクション他の演出が稚拙だったり、時代遅れだったりして、今の目から見ると笑えてしまう」ということがある。それ自体は意図的なものではないのだけど、ここで言うギャグ悲劇は、「重いテーマをコミカルに描くことで、ギャグなのに深い」と感じさせる手法である。このシュールな感覚を評価するマニアは割といる。逆に「重いテーマをストレートに描こうとしているのに、何だか外してしまった作品」が『大魔神カノン』だと理解。

*2:その都度、謝って回るドジちゃんというルーティンギャグも。

*3:ただし、シュールな変化球気味ですが。

*4:この手の発言の元ネタはタイムボカン? 「今週でタイムボカンも終わり。来週から、タイムガイコッツが始まるよ〜」とか。