Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

仕事人2009・第18話感想

 普通に、いい話だと思うんだけど、期待していたほどではない、といった感想ですね。
 いや、でも、映像表現的には、監督の実験手法が見られて新鮮ではありました。糸を回しながら駆け込んできて、敵の刀をスウェーで避けるレンとか、過去を思い出す小五郎の時間軸切り替えとか……こういうのって、カメラマンの人が偉いのかもしれませんが、一応、そういう映像演出を採用した井上監督の手柄という風に、ぼくは認識しておきます。やはり、16話と同じような「今までの必殺とは違う見せ方」を感じましたから。
 まあ、仮にそうではなくて、この映像手法は〇〇さんのおかげです、という情報が分かれば、その折に訂正しますが。

ストーリー考察

 ええと、脚本家の岡本さとるさんの特徴を、ぼくは「レギュラーが積極的に動かず、被害者の方から事件が飛び込んでくる方向性」と評していますね。
 でも、今回はどうなんだろう?
 小五郎が殺しの的に挙げられたわけだから、「被害者の方から事件が飛び込んできた」ことは間違いないのですが、さすがに、そういう状況で「レギュラーが積極的に動かない」わけにはいきませんね。


 序盤は、小五郎の身辺調査をする仕事人チームと小五郎の不協和音。
 中盤は、小五郎の過去回想&探索。その過程で、比較的あっさりと小五郎の無実が判明し、視聴者としては肩すかしにあった気分。ちなみに、NOVAは「小五郎の旧友が、渡辺小五郎の名を騙って罪をなすりつけていた」と予想していましたが、そういうことですらなく、「姉を失った妹の完全な思い違い」という物語には不満を覚えましたね。まあ、それでも娘の死に、珍しく感情的になった小五郎の涙演技で相殺と。
 そして、涼次の屋根裏探索により、小五郎の旧友の悪事の裏が発覚し、一方で小五郎自身が命を狙われたこともあり、仕事の的が判明。


 ただ、今回のストーリーは、「小五郎の過去編」と言いつつ、「小五郎を想っていた茶屋娘の話」と「小五郎の旧友絡みの話」が完全に別々で、「娘はたまたま、旧友の不倫騒動とその後の寝取られ夫(義父)殺害の現場を見たため、巻き込まれただけ」という偶発性が強いもの。ちょっと物語の焦点が散漫になったかなあ、と思います。
 一応、前回の岡本脚本回(14話)で書いたことを、もう一度、繰り返してみましょう。

 脚本内容的には、さほど凝った仕掛けが施されているわけでもなく、まあ、可もなく不可もなく、でしょう。
 もっとも、脚本が普通の話だからこそ、撮影上の演出や、殺しの見せ場などが現場でいろいろ工夫できるのだ、とも思います。

出陣と殺しの見せ場

 今回は、仲間同士の不協和音もテーマですので、出陣前のアジトのシーンでは、その緊張感がどう処理されるかがポイントになります。


 口火を切ったのは、チームのなだめ役の主水さん。
 「危ねえ。危ねえ。どこで恨みを買っていることやら、分かりゃしねえ」
 そうですねえ。「メザシの恨み」とか(シツコイ^^;)。
 ともあれ、この主水さんの発言は、「小五郎が殺しの的に挙げられた」ことだけでなく、「涼次やレンたち町人コンビとの確執」についても触れていた、と。


 それを受けた小五郎は、新入りのレンに対してはにらみを利かせて牽制しつつ、いつも対立関係にあった涼次に対しては、調査活動をねぎらって「世話を掛けたな」と懐柔策に出ます。
 う〜ん、この辺は、組織における対人関係のノウハウになるのかなあ。調子に乗った新人に対してはクギを刺しつつ、場の全員と仲違いしないよう、古株の顔は適度に立ててみる。
 そもそも、小五郎は15話で涼次の片手を痛ぶってますからねえ。一番、恨みを買っていると思うんですよ。
 でも、レンに対しては注意勧告、涼次に対してはねぎらい、と明らかに異なる対応をすることで、「涼次は、レンよりも格上なんだ」という意思表明。ここで、いつものように涼次とやり合ったら、涼次がレンをそそのかして内部崩壊……という可能性を、未然に防いだ。
 ……う〜ん、いつもはあまり人心管理とかに興味がなさそうで、大先輩の主水さんや、まとめ役のお菊以外には冷ややかだった一匹狼・小五郎が、今回、チームのリーダーとして成長したって解釈でいいのかな? 


 で、殺しです。
 レンについては、前述の通り。
 主水さんは、相手の抜いた刀をあっさり片手で牽制し、すかさず突きの一撃。この辺、相手が切り込む態勢に入る前の隙を完全に見切った、円熟した暗殺者の技ですな。見事。
 涼次。過去の悪事に怯えて心神喪失状態になった奥方を、亡霊チックに怯えさせて、優しい声掛けとともに葬る。
 そして、最後は小五郎。哀川翔演じる旧友と、きちんと剣を交えて戦ってみせます。この辺は、同じ旧友ながら隙を突いて倒した正月スペシャル時よりも、よほど見応えのある締め方でした。最近の小五郎演出は、強さが描かれていて申し分なし。

次回予告

 如月、登場回。果たして、裏稼業にどこまで迫れるか?
 脚本は、12話の瀧本智行氏。あの時は「源太の死」の余韻で、物語の出来としてはきちんと評価ができませんでしたが、今回は本領発揮できるのか?
 監督は、あまり本数の少ない山下智彦氏。あの傑作6話『夫殺し』の人なので期待できると思う一方で、あの9話『怪物親』の人でもあるので楽観視もできません。ちょっと、撮った物の当たり外れが大きすぎ。
 傑作を期待していいのか、それとも過剰な期待はしない方がいいのか、ドキドキしつつ、とりあえず如月萌えが堪能できればいいのかな、と。


 とりあえず、如月が涼次の裏稼業に気付いて、涼次が「仕事人の掟」のために如月の命をどうするべきか葛藤する話が見たいところ(最終的に、仲間に加入させるにせよ)。
 最後まで、如月は裏稼業にタッチしませんでした、ということなら、欲求不満が残るだろうなあ。