今回は、BGMの使い方が独特で、8話に続く主水主役編として、いい雰囲気でした。
加賀まりこさん演じる「元始末人にして、今はお助け人のアヤメ」。
「始末人」というと、『暗闇仕留人』のボツネームだったり、トシちゃんや南野陽子が出演したビデオ版の必殺シリーズだったりするわけですが*1、今回のそれは「死体の後処理」専門の裏稼業という設定。
で、「助け人」だと、当然これですな。
そして、今回、アヤメのテーマ的に何度か挿入され、出陣テーマとして採用されたのも、助け人主題歌『望郷の旅』です。う〜ん、熱い明日の風に呼ばれて、汗と涙と血がまた騒ぎそうな選曲センスに感涙ですな。
↓BGM集は、こちら。
ちょうど剣劇人とのカップリングだったりもしますので、「加賀まりこ」さんのオープニングナレーションも聞けたりしますね。
ええと、「百鬼夜行の鬼どもを バッタバッタと斬り倒す 大人のおとぎ話」だっけ?*2
「大人のおとぎ話」ってことだと、今回の主水主役編はまさにそう。本当に、往年の必殺ファンのツボをつきまくりの話でした。
剣劇人つながりですと、
小五郎「寄らば斬るぞ」
レン「おととい来やがれ」
涼次「ムフフ、あ、ば〜か〜め〜」
……などとも喋らせたくなるわけですが*3、
この剣劇人と、それから助け人、どちらも「中村主水のゲスト出演」というトピックが共通しております。
ただ、主水、剣劇人では殺しにも参加しましたが、助け人ではあくまで裏稼業に干渉→協力する同心の役どころで、殺しそのものには参加しておりません。つまり、主水は「剣劇人」は名乗ってもいいけど、「助け人」は名乗れないわけで。
本話でも、「オレは助け人にはならねえぜ」的セリフがあって、マニア心的に思わず拍手でした。
そして、主水の殺しのテーマとして、今回、変則的に使われたのは藤田さんの娘さんの歌う「さよならさざんか」のバラードバージョン。
この曲だと、思わず、刀の柄の部分で突き刺して欲しい、とも思ったのですが、まあ、ぜいたくは言うまい*4。
森下さんはレンの親
前回、毒アズキネタで、レンに見せ場を与えた森下さん。
さらに、今回は、主水と同程度に、被害者のアヤメに接しています。お年寄りに共感するという点は、前任の源太にもしばしば見られた描写でしたが、その特技というべき「小道具作りの才能」も、車椅子製作なんかで受け継がれた感じ。さらには、夜討ちを仕掛けてきた盗賊の一人との乱闘なんかは、たぶん源太にはできなかったろうし、本当に便利に使えるキャラに育っています。
涼次の的は、女盗賊
今回の話では、一番地味な役どころに見える涼次ですが、それでも女盗賊とのちょっとした因縁が描かれておりました。
ただ、惜しむらくは、「屋根から飛び降りての奇襲」であっさり片付けてしまったところ。相手もそれなりに機敏に動けるのですから、「屋根の上での戦い」が見たかったな。かんざしの秀がしばしば見せた、「機敏な敵とのアクション性の高い競り合い」が、今後の希望です。
小五郎のチャンバラ
敵の数が多いときは、小五郎の仕事が増えます。う〜ん、森下脚本の小五郎は、割と働き者なんですな。
大勢のザコを倒しつつ、トリもしっかり取って行く。
まあ、それはそれで、小五郎の強さが描かれているので、悪くはないのですが、
今回の話でNOVAが期待したのは、「盗賊チームと仕事人チームの乱戦」なんですな。つまり、大勢の敵に対して、小五郎と涼次とレンが連携しながら、仕留めていく流れ。
あるいは、今回のストーリーだと、レンが一人と言わず、もっと人数を倒してもいいのではないか、と。そして、一人で無茶をして、ピンチになったレンを、小五郎なり涼次なりがフォローに現われる方が、燃える。
そういう「チームVSチームの大乱戦」も今後の希望です。残り一月ほどの放送で実現するかなあ?
アヤメと主水
アヤメ婆さんも、それなりに戦闘力を備えたキャラというのが、魅力ですね。
レンと乱闘している盗賊の一人を、かんざし投げつけて仕留めるなんて、イカすじゃないですか。さすがは、かつて藤枝梅安の妹あるいは母親を演じただけはあります*5。
で、盗賊のボスに一矢を報いる姿も、裏稼業の誇りというものが感じられて良かったです。
もちろん、ドラマ面での八丁堀とのやり取りも。
齢を重ねて裏稼業に嫌気が差して、どこかで自分の死に場所を求める心境になったアヤメが、主水の心境を確認する場面。一度は確かに死んで、2007から始まる本シリーズで再復活した主水が、「まだまだ仕事人として現役でやっていける」とアヤメに太鼓判を押されたのは、往年のファンとして嬉しいところ。
そして、仇討ちのために、盗賊の親分に対して、きっちりと落とし前を付けるところも。まだまだ現役の主水さんに乾杯*6。
次回予告
涼次「クソ役人も年貢の納め時だな〜。今度の仕事の的に挙げられるとはよ」
故・源太の霊「旦那もそろそろ、こっちの世界に来てくださいよ〜」
小五郎「そうはいくか。今度の脚本家は、幸い、レギュラー殺しの寺田さんじゃないし、監督もまだ新人の井上さんだ。そういう布陣じゃ、まかり間違えても、オレが死ぬってことはあり得ねえよ」
主水「しかしよ、婿殿にはまだメザシの恨みが残っているからな」
小五郎「……って、ちょっと、中村さん。そんな昔のことを、いつまで引きずっているんですか?」
レン「あ、そう言えば、昔、ちょっと聞いたんだけどよ。自身番屋の旦那も、昔、仲間が仕事の的に挙げられたことがあるんだって?」
主水「ああ、秀のことか。あれは、ファンから助命嘆願が来たから、中止になったんだ」
小五郎「……すると、オレも助命嘆願のファンレターがいっぱい来れば、死なないって寸法か」
故・源太の霊「いや、無理ですよ。そんな助命嘆願が来るなら、俺も殺されていませんって。今どきの必殺ファンは、昔気質のマニアが多いから、オレたち仕事人が死んで『よくやった』って喜ぶんですよ」
主水「まあ、何だな。本当に人気があれば、一度死んでも復活できるだろうよ」
涼次「人気があれば、な」
小五郎「何だ、経師屋。昔、少年隊で一世風靡した俺の人気を知らねえな?」
涼次「『スシ食いねェ!』だったか?」
小五郎「……それは、シブがき隊の方だろうがよ。同じ事務所の先輩を混同するんじゃねえ」
レン「何だか、さっきから役と、演じ手がごっちゃになっているよなあ」
主水「……とにかくよ。いい仲間に恵まれれば、的に挙げられても、何とか助かる道を探し出してくれたりもするもんだ。オレも昔、『八丁の堀に中村主水かな』という俳句で、命が競りに掛けられたこともあるしな。あの時も、仲間のおかげで命拾いさせてもらったんだぜ」
小五郎「いい仲間?」
レン「誰が?」
涼次「ありえねえ」
お菊「やれやれ。こんなので、無事に最終回を乗り越えることができるのかね?」
果たして、小五郎の運命は? (つづく)
*1:他に『大活劇 江戸の始末人』というタイトルの必殺を再現した時代劇TRPGもあったりして
*2:「鬼」と「バッタ」という取り合わせだと、某太鼓ライダーなんかにつなげたくもなるわけですが。今朝のディケイドがちょうどそうだったしね。
*3:最後のは坊主頭のレンの役かもしれませんが、やはりガマを呼び出すのは忍者の方がお似合いってことで。
*4:「さよならさざんか」は『仕事人V』の主題歌。当作で、主水は刀の柄に刃を仕込んで、鞘を抜かずに突く究極の省エネ技を披露。放送当時は「セコすぎる」とも言われてましたが……^^;。
*6:でも、7月からは、必殺シリーズではなく、小泉孝太郎主演の現代劇『恋のコールセンター』なのが残念。う〜ん、名取祐子が出ているんだから「必殺」を続けても……って、それだったら主水さんが刺されそうだ。津川さんと名取さんの組み合わせは、かなり危険なり。