Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

仕事人2009・第16話感想

 また、感想遅れました。理由(言い訳^^;)は後述。


 まず、今回の話、大きなイベントはない「地味な話」なのですが*1、それでいて質が高くて楽しめる回でした。
 脚本家さんは、ぼくが安心しつつ期待して見ていられる森下さん。森下脚本は、小五郎が格好良く描かれ、しかも他のキャラの描写にも一通り、気を回しており、地味な話でも非常に完成度が高いなと思いました。新キャラのレン君の登場回担当でもあり、いろいろな意味で「レン」の面白さもアピールしつつ、一人だけ突出せずに、他のキャラとのバランスが取れている。


 あと、今回は監督の人が、必殺ではあまり見ることのなかった新人さん(?)の「井上昌典」氏。よって、出陣シーンの「画面4分割」とか、レンの殺しの「画面2分割」といった、必殺ではあまり見なかった映像演出が新鮮でしたね。映像素材を作るのはカメラマンの仕事ですが、その映像をどう使うかは監督の裁量ですから。
 本シリーズのメインの監督は、長年、必殺のカメラマンとして映像美を追求してきた職人「石原興」でして、他に「原田徹」「酒井信行」さんが常連だったりします。ぼくの感想はストーリーやキャラの性格・行動分析がメインで、映像については門外漢*2ですが、これまで必殺にはなかった見せ方を今回、新人さんがしてくれたことは、注目したいと思います。
 なお、新人さんと言っていますが、当然、下積みはあるわけで、これまで『剣客商売』(藤田まこと出演版)とか、『巷説百物語』などで助監督を務めてらっしゃる方ですね。技術と経歴を持った新人監督が、名脚本をうまく料理した野心作だから、こんなに面白かったんだな、と納得です。


 で、そんな話の感想が、何故、ここまで遅れたか。
 恒例になりつつある(苦笑)言い訳タイムです。
 ええと、今回の話で「疫病?」というネタが語られました。NOVAは、兵庫県阪神間の住人です。週末は特撮番組に気を回して、週明けに感想を書こうと思っていたら、「うわ、事実はフィクションより鬼なり、いや奇なり!」と叫びたくなる疫病騒動。
 何だか、下手なことを書くと不謹慎かな、などと思いながら、いろいろとやきもきしてました。


 それと、これは嘘っぽい実話ですが、今週初めのNOVAの食事は、「小豆ご飯」……ってオイ(爆)。これ食べて、疫病に見舞われたら、笑えないよなあ、と思っておりました。
 まあ、今のところは、仕立て屋のレン同様、ピンピンしております。

初の「お菊」主役回

 どちらかと言うと裏方のフィクサー役で、それほど目立って来なかった彼女ですが、今回は彼女にスポットが当たりました。これまで割とクールに仕事を果たしてきた彼女なんですが、今回はその「涙なんて枯れ果てた」と自称する姿勢に、はっきりとした変化が描かれたわけですね。
 いまわの際の頼み人を助けようと、我を忘れて顔をさらしかける彼女。こういう「掟」と「情」のせめぎあいが描かれると、必殺は面白くなります。お菊を制止する小五郎の役どころも、きちんと決まっていました。
 そして、頼み人とお菊の情を受け取った小五郎が、ラストで自己保身と弁明に汲々とする小悪党・佐吉に対して、「冷たい笑顔」を見せ、怯える相手を「甘いんだよ」と切り捨てる映像も印象的。


 お菊は、殺し担当のキャラではないので、こういう彼女の想いを汲んでやる小五郎のシーンが事前にあったことが、本作の丁寧さを示す一点かと。

涼次、レンを毒殺する?

 もう、このシーンを見て、「ひどいなあ」と思いつつ、大爆笑する妙なノリが、本作の白眉の一つ。
 割と、2009って、小五郎のギャグシーンがいまいち滑っていて、しかも涼次の演技はギャグにしては力みすぎていて、いまいちだと思っていたのですが、今回の「涼次とレンの鞘当て」は、掛け合い漫才としても一級品。あ〜あ〜なむさんだ〜*3
 あ、それと今までの2009でもう一つ笑えたのは、主水と小五郎の「メザシの恨み」(5話)。やはり、こういうギャグ描写は、キャラ同士の性格を踏まえた掛け合いあってこそ、ですな。


 なお、もしも本当にレンの食べた「小豆ご飯」が当たりだったら? と仕切り人風のタイトルで妄想を浮かべたくもなります。


レン「うっ」(登場4話目でまたも、仕事人に犠牲者が)
涼次「……やはり小豆が原因だったな。レン、お前の犠牲はムダにしねえぜ」


お菊「今回の仕事。頼み人は、坊主頭の子供だよ。レン兄ちゃんの仇を討ってくれってさ」
小五郎「経師屋。お前も的に挙げられてるぜ」
涼次「ちょ、ちょっと待ってくれ。あれは、自身番の八丁堀に調査活動を頼まれて、やむなく……」
小五郎「(冷たい顔でニヤリ)甘いんだよ(バサッと一刀両断)」
主水「……やれやれ、潮時だな。仕事仲間を毒殺なんて、最近の若いもんは何を考えているか、分かりゃしねえ」


 まあ、以前は毒を武器にしていた涼次ですから、毒に対して、それほど罪悪感は持たないのかな、とも。
 ともあれ、「小豆の恨み」なんてネタは妄想にとどめることにして、涼次とレンの「仲良くケンカしな」を次回も楽しみにしたいと思います。

小悪党・佐助

 いやあ、こいつのキャラ描写も、本作を質のいい佳作にしている要因の一つですね。
 殺された真面目な若い医者とか、彼を想う娘とか、悪徳医者や商人、侍なんかは、いわゆる「典型的な登場人物」なんですが、佐助に関しては、ちょっと「からくり人の悪党」チックというか、「精神的に病んだ小心者が、いろいろストレスで魔が差した」という描写。
 本来は「いい人で終わる」はずだったのが、悪党の主人の命令を拒否できず、悩みながら悪事に加担しているうちに、精神の均衡を崩していき……ある意味、「6話の堕ちた役人・伊勢崎藤五郎」にかぶるところがありますね。ストレスに耐えきれず、幸せそうな人間に逆恨みして「毒小豆」を売り、罪悪感を払拭するため、バクチ場で自暴自棄な振る舞いに及び、しかも想い人に対しては、「自分の罪」を恋敵になすりつけて矛盾に満ちた告白をして、自己弁護を図り……何とも描写が陰々としております。
 しかも、想い人を最後は殺害して、しかも何事もなかったかのように、のうのうとしている……悪いのは自分ではなく、自分に悪事を命じた主人だとまで弁明して。


 一応、これでも、恋敵の医者の方が、想い人にはふさわしい、と自らは身を引く潔さも示していたわけで、「人のいい面」も描かれていただけに、自分で想い人に語っていた「人は誰でも同じさ。立派な面も、悪い面も持ち合わせている」を体現した、ステロタイプに収まらない「地味だけど印象的な名悪役だったな」と思います。

*1:総集編なんかだと、省かれるような話。

*2:単純に「こりゃすごい」「格好いい」といった感想は書けるけど、何ですごいのとか、こういう見せ方をするのにどういう工夫をして……といった話はできないし、ましてや「何でこんな下手な見せ方するんや。オレならこうするのに……」などという職人としての技術話には言及できないレベル。

*3:一応、レンの「坊主頭」に掛けたナンセンスギャグのつもりですが、分かる人だけニヤっとしてください。今回、小坊主も出てましたし。