Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

仕事人2009・第2話感想

 うん、今回はOKです。
 前回不満だった「レギュラーキャラのドラマ」がきちんと成立して、「人情路線の仕事人話」としての王道を見せてくれました。
 たとえるなら、新春スペシャルが全力投球の剛速球(狙いはど真ん中からちょいと外れていたけど、それでもストライク)、第1話が変化球狙いのはずがすっぽ抜けたボール球、そして今回の第2話は無難に収めた直球。これで、2ストライク、1ボールとなった感じ。
 不満点を言うなら、「如月が出てこなかったので、今後の動向がまだ定まらず不安要素」「主水が、因縁ある目黒裕樹と対決しなかった*1」「今回の仕事人チームの探索能力、戦闘能力が必ずしも高くない、と感じた」ことでしょうか。


 まあ、それでも「レギュラーキャラのドラマ成立」は最低限の必須事項なので、1話の二の轍を踏まなかったことで、ほっと一安心しました。

主水と小五郎

 さて、今回、源太が主役で、涼次が名サポーター役といった感じで、この2人の役どころは納得しました。
 気になるのは、2人の同心の差異について、どう描いていくか、ということですが、まあ、今回、少しは納得できました。
 剣術道場のハードな鍛錬をさぼりたい昼行灯の2人ですが、さすがは主水さん、ブロックサインを駆使して、配下の小者に指示して「急な事件の知らせ」を演出。急用を作って、見事にその場を抜け出すことに成功。さすがは年季の入った昼行灯、抜かりがありません*2
 一方、まだまだ昼行灯見習い中(?)の小五郎は、「急にお腹が痛くなって」と、小学生みたいな言い訳。後々までバカにされることに。


 そんなわけで、「主水>小五郎」というサボリ年季の描き方ですが、主役は小五郎。ラスボス退治は、残念ながら因縁ある主水ではなく、小五郎に任されます。ここで「剣の達人である相手を、それ以上の技量で仕留める」ことができれば、NOVAは小五郎を「主水の後継者」として認めていたことでしょう。
 なぜなら、主水は仕事人として「同心の立場を利用しての省エネ不意討ち殺法」を見せる以前は、仕置人、仕留人、仕置屋、仕業人、新仕置人、商売人といった経歴を重ねながら、卓越した剣術をしばしば披露していたからです。また、仕事人になってからも、強敵相手に時には大活劇を繰り広げる*3こともあり、主水は「本気で戦っても結構強いけど、普段はプロとしてエネルギーを無駄に使うことなく、無難に仕事をこなしている」という評価が定着しているわけですね。
 一方の小五郎は……目下、その刀の腕を見せる機会がありません。今回、剣客相手で、少しは緊張した戦いが見られるかな、と思いきや、やっぱり相手を油断させての「卑怯」な暗殺に徹していました*4
 どうも、小五郎の描き方は、無理に「仕事人時代の主水」に似せようとしすぎて、空回りしているように思えます。NOVAとしては、主水と共演するのなら、「老成した静の主水」に対して、「まだまだ現役として立ち回れる動の小五郎」として、きちんとした剣術を披露して欲しいと思っています。仕事人以前の若き日の主水がそうであったように。

涼次と源太

 小五郎の強さがよく分からないので、今回の仕事人チームで一番戦闘力の高いのは、元忍者の涼次であると思います。そして、素人上がりの源太が今回、いい味を出していました。
 感情のままに突っ走り、無謀な単独行動も辞さない源太と、兄貴分としてその行動を諌めながらも、気持ちは汲んでやり、「頼み料」という形でサポートした涼次。この2人の描き方は、シリーズの王道として十分及第点と言えます。
 これに小五郎と主水、そしてお菊がどう絡んでいくかですが、お菊は一応、元締めとして源太を諌める立場で、涼次と似たように振る舞えばいいでしょう。この辺は安定しています。
 主水は、仲間の関係がギスギスした場合に、最年長として「まあまあ」となだめて、うまく取りまとめる役どころで問題ありません。
 問題は、やはり小五郎。元より役人ですから、涼次や源太との間に距離があり、なあなあの関係にはなかなかなれそうにありません。この点、主水は昔から庶民的に描かれておりましたが、小五郎は「芝居見物が趣味」という以外に市井との接点が感じられないんですね。今後の課題といったところでしょうか。


 う〜ん、小見出しは「涼次と源太」なのに、結局、小五郎について書いているや。それだけ、扱いが気になっているんだな〜。
 今回、食べ物屋を舞台に源太とのちょっとした絡みがありましたが、おいしいところは涼次に持って行かれたので、キャラの関係性の進展は実らず。
 涼次との絡みで言えば、如月が接点として使えるかな。スリをやった如月が小五郎に捕まって、涼次が身元引受人になるけど、その際に2人がもめて対立関係に。その後、協力して強敵を倒すことで絆成立と。
 要は、殺しの場面で連携が欲しいのですね。

合わせ技・泥酔からくり締め

 今回の殺しの的は、目黒さんを除けば、江戸一番の剣術道場の師範代と、その取り巻き。はっきり言って強敵揃いです。
 それに対して仕事人チームは、お菊さんが彼らを誘って酒を飲ませることで、戦力を激減させます。ドラクエで言うなら、ルカニの呪文で防御力を下げたわけですね(変なたとえだ)。ガチで強敵と戦う話もいずれ見たいですが、それは素人に毛が生えた程度の源太が成長してからの楽しみにとっておくとして。
 ともあれ、まずはふらふらになった一人を、涼次さんが背後から心臓刺し。必要ないのに、いちいちジャンプして相手の背後に回ってみせるのが、元忍者であることの自己アピール。
 次のザコ敵退治は主水さんの仕事。この時の一言、「殺しはオレの方が上だぜ」は名言。これは「遊び半分で弱い者を一方的に斬るような半人前は、プロとして人を殺ってきた者には勝てない」という宣言です。やっぱ、短い一言にも含蓄がありますな。
 そして、逃げ出した師範代を倒すのが源太さん。このときのBGMは、今作で毎度おなじみになった「旅愁アップテンポバージョン」ですが、実質的にメインを張る今回は、『仕留人』の殺しのテーマをそのまま持ってきて、スローなバラードで決着をつけても良かったと思います。殺陣そのものはたっぷり思い入れと時間をかけた締め技で、今回はからくり人形の矢もはっきり飛び出してダメージを与えるなど*5演出は良かったのですが、選曲がいつものままだともったいないかな、と。

旅愁

 さて、今回から「殺しのテーマ」を中心とするBGM薀蓄も書いていきましょう。
 いわゆる必殺マニアだと、「旅愁」っていいねえ、で十分、話が通じるわけですが、ここは「必殺マニア専門のブログ」ではありませんし、むしろ「特撮ドラマの延長線上として必殺シリーズに興味はあるけど、年齢的にあまり知る機会のなかった入門者」を意識してみたい、と。


 で、源太の殺しのテーマとして定着している「旅愁」。
 元々は、必殺シリーズ第4弾、中村主水シリーズ第2弾の「暗闇仕留人」の主題歌です。歌い手は、後に非主水シリーズのレギュラー女優となる西崎みどり。今、聞くなら、昨年出たこの主題歌集がお勧めですね。
必殺!!主題歌ベストセレクション~裏稼業の哀歌たち~ CD
 西崎みどりの必殺主題歌3つ(他2つは、仕業人主題歌の「さざなみ」と新仕舞人主題歌「流星」)、それと必殺シリーズ全体の主題歌として定番の「荒野の果てに」、そして涼次の殺しのテーマの「思い出の糸車」、藤田まことの「月が笑ってらぁ」、その他、念仏の鉄の「必殺技・骨外しの効果音」などが収録されています。

NOVAにとっての西崎みどり

 「仕事人III」が必殺初体験だったNOVAにとっての西崎みどり初体験は、続く「必殺渡し人」においてレントゲン殺しを行った大吉(渡辺篤史)の奥さん・お沢役。
 第1話で悪人の拷問によって記憶を失い、その後、夫の殺しの現場を目撃したことで記憶を取り戻し、「裏稼業の掟(目撃者は消す)」で始末されそうになったものの、大元締めが彼女の心の強さを見込んで、夫と共に仲間であることを認められる、という、まあ結果的には比較的ハッピーな展開*6
 その後、西崎さんは仕切人、橋掛人にまで出演し、殺しのサポート役から最終的には元締め役まで務めるようになります。また、彼女のレギュラー出演初めは、渡し人の前の仕舞人、新仕舞人2作からですね。前述の主題歌を歌ったり、橋掛人の挿入歌「もどり道」を歌ったりして、歌手としても大活躍。


 そんな後期の常連女優の必殺デビューが、仕留人主題歌の「旅愁」だったわけですが、この歌が放送当時、大ヒットしたそうで、必殺名曲選の中でも欠かせない一つとなっています。
 殺しのテーマと言えば、アップテンポのアクション曲が多い必殺ですが、「旅愁」の仕留人でのアレンジは静かなもの。仕事人から入門したNOVAにとっては、再放送で初視聴した当初こそ違和感を覚えましたが、石坂浩二演じる「悩める蘭学者・糸井貢」のキャラクター性や、心臓つかみを必殺技とする「村雨の大吉」*7の心臓ドックンドックン、レントゲン&心電図ピーン効果音を引き立てるためには、やはりアップテンポのアクション曲じゃだめだったということで、仕留人の世界観的にも「旅愁」のしっとりしたムードは欠かせないと考えております*8

幻の「旅愁」バージョン違い

 そんな「旅愁」は、スローなアレンジだけでなく、歌入りでも効果的に使われ、さらには時を経た「仕事人」の73話でも主水の殺しの場面で使用されたり、必殺主題歌の中でも「荒野の果てに」に次ぐほど破格の扱いを受けています。
 以上、「旅愁」という歌の必殺的意義を、NOVA自身の体験に重ねて語ってみたわけですが、今回のアップテンポなアクション曲バージョンは、実は新曲に近い代物。実は「仕事人V激闘編」時に名曲復活として作られたものの、使う機会のなかった曲を発掘披露しているわけですね。年季の入った必殺ファンにとっても、聞き覚えのないレアな一曲ということで。
必殺仕事人5 激闘編/旋風編/風雲竜虎編 [ (オリジナル・サウンドトラック) ]
 ↑「激闘編」のBGM集に収められています。激闘編は、音楽関連に京本政樹が絡んでいることもあり、特撮マニアにとっても重要な作品ですぞ。


 ともあれ、そんな伝統とレアさを兼ね備えた曲を、殺しのBGMに使わせてもらっている源太。
 BGMファンとしては、彼のモチーフとして糸井貢を髣髴とさせる、仕留人由来の曲をいろいろ使っていただければ、その選曲センスに大いに拍手することでしょう。
 ま、殺しに迷って、貢みたいな最期を迎えないことだけは願いつつ*9

*1:目黒さんは、レギュラー放送としての前作「激突!」において、主水の同僚の同心・成川を演じていました。当作においては序盤、「覆面組」と呼ばれる仕事人狩りチームが奉行所内で暗躍しており、成川さんはその一員であるように思われており、いずれ主水との対決を期待されておりました……が、「覆面組」の設定はすぐに消え、成川さんはただの同心として平穏に務めを終えました。一部のファンはそれが不満だったので、今回の目黒さん登場で、主水との果たせなかった対決を期待したのですが……。

*2:現代に応用するなら、知人に携帯電話で呼び出しコールをさせて、「急用ができたので」と抜け出すようなものか。

*3:劇場版が代表的ですが、TV放送でも時々敵の殺し屋軍団とのバトル編がありました。

*4:刀の検分を理由に、相手を無防備にさせていました。斬られた相手に「卑怯者!」と言われて、「お前にだけは言われたくないな」とうそぶいていましたが、目黒さん、剣客として別に卑怯なことはしていないはず。息子たちならともかく。

*5:今までは、からくり人形が相手をおびき寄せるだけだったり、効果音だけで何かをしたように推察できるのだけど明確に描かれていなかったり、見せ方が効果的とは言えなかった。

*6:ラストは夫婦そろって江戸からの逃避行。これも夫婦仲睦まじい旅描写が幸せでした。大吉の仲間の惣太(中村雅俊)なんて、同じ夫婦者でも裏稼業のことを相手に伝えられず、最後は奥さんを残して旅に出ることを決意する……知人がみんないなくなって一人だけ取り残された奥さんがよっぽどお気の毒でした。

*7:演じるは近藤洋介。渡辺篤史演じる大吉とは別キャラですが、渡し人本放送と仕留人再放送で視聴した時期が近かったことで、「大吉」=「力自慢のレントゲンキャラ」という印象が固まりました。あと、NOVAの親友だった必殺マニアとの会話では紛らわしいので、仕留人の大吉は職業の「石屋」と呼称されていました。いや、八丁堀の旦那がそう呼んでいたし。

*8:あと、仕留人と西崎さんの組み合わせは、最終話でのゲスト出演も印象的でした。糸井さんは西崎さんの絵の師匠で、西崎さんの父親で殺しの的だったのが幕末の開国派役人で、2人と知己の仲にある糸井は裏稼業の最中に、「わしを殺すと日本の夜明けが遅れるぞ」との言葉に動揺し、返り討ちにあってしまう。非情にせつない終幕でした。もちろん、父親の悪人の素顔を知らない娘は、主水に殺された父親を見て悲しむわけで……単純に悪人を殺してハッピーエンドってわけでは済まないドラマ性が、初期必殺の魅力だったりも。

*9:願っていたのに、後の話で結局、殺しに迷って最期を迎えてしまいました。合掌。