今回も5話の時と同様、何一つ、不満がない素晴らしい回でした。
不満がなさすぎて、ここで何を書いていいのか困ってしまう(オイ)。
いや、まあ、実際は「見事な涼次主役編」と書くべきなんでしょうが、「昔、想いを寄せていた恋人と再会したら、悪女と化していて、未練を感じながらも始末して、ほんのり哀しい終わり方」という点で、一種のお約束ストーリーなんですな。
よって、過不足なく、うまく収まった話。それ以上の物はなし、と。
ブログ記事として書きやすいのは、「こいつは本当にすごいです。どこがすごいか、ひたすら羅列してヨイショ」となるか「こりゃあかん。不満たらたら。せめて、こういう風にしたら、まだマシになるだろうに」といった感じで、「普通によくできた話」というのは、正直書きにくい。
でも、あえて脚本家絡みで書いてみましょう。
今回の話は、「3話」「5話」の前川洋一さんですね。
前川脚本は、涼次びいき?
以前、前川脚本の特徴として、「割と無難な岡本さんよりも、もう少しアクティブな後期必殺で、若干センセーショナルな仕掛けを施してくる」という感じ、と書きました。
基本的には、小五郎が事件解決のために動くことは動くのだけど、どうも無能っぷりを発揮して、解決できず。その影で、涼次が調査活動で、おいしいところを持っていく印象、とも。
何となく、この人の書く小五郎は、普段はダメ同心、というところが必要以上に強調されて、仕事人としても何だか無能に描かれているような気がします。
ただ、今回は涼次が主役で、小五郎があまり動き回らなかったおかげで、作品としての完成度が大幅に上がっていました。
センセーショナルといえば、仕事料の受け渡しに際して、「小五郎による涼次イジメ」が印象的、というところでしょうか。情に流されかねない涼次に対する戒め、と解釈することもできますな。似たような「女性に対する情の混じった仕事」で、源太が命を落としているだけに、小五郎としては徹底して、仕事へのケジメとか決意を涼次に植え付けたかったのかもしれません。
レンの描かれ方
やっぱり、レンは動かしやすいキャラみたいですね。
床下に忍び込むのが定番になっており、涼次をスパイしたり、依頼人を救ったり、いろいろアクティブに動いてくれます。
今回の話は、情に流されている涼次が仕事人として当てにできないと思われている中で、一番役に立っていた感じ。
逆に言えば、源太が存命中に、今回のような「涼次の人情話」を成立させるには……などいろいろ考えてみるわけですが、源太じゃ、どうしても涼次に代わって、動き回る話は作れなかったろうな、と。
源太に代わって、レンが入ったことで、ようやく2009チームは「本当のプロチーム」として機能しているんだな、と感じさせました。
「想い出の糸車」祭り
これまでは、涼次の殺しのシーン専用でしたが、今回は、恋人との絡みでアレンジ曲を多用。
実は、以前、自分、2話のコメント欄でこういうことを書いております。
殺しのBGMでキャラ性を表すなら、日常シーンでも「涼次に糸車」「源太に旅愁」と徹底して欲しい気もするのですが
残念ながら、「源太に旅愁」はかなわぬ夢となりましたが、「涼次に糸車」は今回、実現しました。
しかも、殺しのBGMもいつものアクション曲でなく、バラードアレンジ。演出として、素晴らしすぎます。できれば、「源太の死」に際しても、「旅愁バラードアレンジ」で飾って欲しかったなあ、と今さら書いてみるわけですが、過ぎたことは悔やまない。
演出面でさらに望むこととしては、やはり「小五郎で締め」というパターンではなく、今回の話だと、「涼次で締め」に切り替えて欲しかったです。
そして、小五郎は「自分の殺し」を終えた後、「涼次の殺し」を物陰でそっと見守り、うまく仕留めたのを確認してから、一人うなずいて、その場を去っていく……そしてエンディングが流れ、という演出なら、小五郎のキャラも、涼次のキャラも引き立つのになあ、と思ってみたり。
そうすることで、仕事料受け渡しの際の「涼次イジメ」の真意も分かりやすくなっていたのになあ(仮定法過去完了)。
仮に、そこまできちんと描いてくれていれば、今回の話は絶賛していた、と思います。
何だか、悪くはないけど、「画龍点睛を欠いた」というオチで。