ヨッちゃん(野村義男)、そのオープニングのアレンジはないでしょう!
……ということで、何だか燃えない曲に成り下がった「ヤッターマンの歌」に不安を覚えつつ、録画分を視聴。
……まあ、悪くはないんじゃないでしょうか。
とりあえず、3悪&ドクロベエ様の声の張りとノリが、思っていたほど悪くなく、維持できていたので安心。
『天才ドロンボー』も、手に入れるアイテムがドクロストーンではなくなったので、そのままの歌詞では使えないだろうな、と思っていましたが、きちんと3悪のメカ作りの際に、挿入曲として流れてくれましたし。
アイちゃんの携帯の呼び出し曲が『ヤッターキング』だったりして、本編中の音楽の使い方については、回顧者にとっては、ベリーグッドでした。
望むべくは、現状のオープニングを1クールでやめて、2クール目から山本御大の歌う(アレンジャーは昔の神保正明)バージョンにアップデートして欲しいってことで。
以下、新オープニングに対する感想(愚痴?)を書きつらねます。
ヤッターマンの歌、かくあるべき
まず、前奏を変えちゃったのが気に入らない。
旧アニメでは、まず、「ヤッターワン」のエンジンをガンちゃんが起動させて、ワオーンと吠えるところからスタート。
その後、次第に気分を高め行く同じ節の前奏が4つ繰り返し、「ウ〜ワンワンワン♪」と続く。その時の気分は、ヤッターワンと共に走る疾走感が、オープニングの絵と同調しているのです。
そのため、「ワンと吠えりゃ」と歌われれば、即「ワン! ツー、スリー」と合いの手を自然に入れたくなっちゃう。
もうね、この疾走感とか、合いの手を入れるような気にさせてくれるかどうかで、アレンジ曲は、失敗しているのです。何だか、歌い手の独り善がりで歌っていて、聞く人に「一緒に歌おうね」という心意気が感じられない。ちょっと「格好良くアレンジしてやったぜ。ほら、聞き惚れろ」みたいなポップなクールさが耳につく。
……ポップなクールさって言っても、誉め言葉じゃありません。そういうイメージで作られたリメイク版オープニング(画面も含めて)は、ヤッターマンの雰囲気からは大きく逸脱している……というか、少なくとも、ぼくはもっと泥臭くて熱血なイメージを求めてました。
そして、「ヤッターマンの歌」の成否を決めるのは、「アチョーヒョヒョヒョヒョ」をどれだけ照れなく、堂々と歌えるか、に掛かっていると考えます。
でも……リメイク版は勢いが足りん。そこで勢いを落としてしまえば、その後の「お〜どろくほ〜ど〜に、つ〜よいんだ〜」からサビの部分の流れが断ち切られてしまうでしょうに。
こういうオープニングのアレンジが、旧作のテイストを崩してしまった例として、『ライオン丸G』という作品が挙げられますが、あれは物語の内容も、旧作とは完全に異なる雰囲気で、まあ、あの作品なら、ああいうオープニングがふさわしい、と結果的に納得できるものでした。
ヤッターマンの場合は、果たしてどうなるのでしょうね。
物語が旧作のように、「ヒーロー性とコミカルさ、ある種の童話的土俗っぽさ」を踏襲するのか、それともオープニングに合わせた「ポップなクールさ、熱い勢いで燃えるよりも軽いリズミカルなノリ」を前面に押し出すのか、ちょっと気になるところです。
物語の世界観
さて、旧作の物語の舞台は、主に「童話や古今東西の伝承のパロディ的世界観」と言えました。
「トンカ神殿」「イマラヤの雪男」「ナス湖のナッシー」「トースター島」「フラダースの猫」「ランプ売りの少女」などなど、各話のサブタイトル・キーワードを見るだけで、元ネタが想像できるものばかり。
一応、前作タイムボカンや後継作のゼンダマン以降と違って、時間移動をしているわけではなく、あくまで「現代の世界各地」を旅しているにも関わらず、ヤッターマンにおける世界は、時代を超越した不思議・神秘に満ち溢れています。
一方、リメイク版は、第1話の舞台が「東京」。
ドロンボーの製作メカも「東京タワー」ネタだったりして、とりあえずは現代日本でした。そこには、何の不思議も神秘もありませんでした*1。
まあ、一番不思議なのが、ドロンボーメカであり、ヤッターワンである、という見せ方。
こういう「現代を舞台にしたリアルな世界観」を今後も続けていくのか、それとも、もっと「世界を股にかけた伝承・童話的世界観」に通じていくのかは、きちんと見ていきたいところですね。
主人公の変化
3悪は相変わらずで何より、でしたので、考察は割愛。
一方で、主人公のヤッターマンの性格が、昔よりアレンジされていますね。
昔は、基本的に「あまり隙を見せない完全無欠なヒーロー&ヒロイン」といった、やや面白みのない性格でしたが、
リメイク版は「ガンちゃん=いい加減な怠け者(でも、やる時にはやる)」「アイちゃん=まじめでしっかり者だけど、やや思い込みが激しい」といった性格付けが為されていました。
行動的で正義感の強いアイちゃんに対して、ガンちゃんは「面倒くさいけど、仕方ないなあ」と尻拭い的に追随する立場として、1話では描かれておりました。
それから、今回は「無力な女子中学生」だった点が強調されたアイちゃん。
ヤッターマンに変身しても、戦闘はしていないので、強くなったのかどうかは、まだ明らかではありませんが*2、もしも、戦闘用の武器として「ケンダマチック」や「シビレステッキ」を製作するエピソードとか、特訓シーンが描かれたりしたら、それはそれで感心したい、と思います。
普通の少年・少女が、ヒーローとして強くなるために、あれこれ模索する修行話は好みですから。
あと、アイちゃんの口調の「メガパー」とか「(数字)パー」*3といった言葉は、スタッフが流行らせようとしているんだなあ、と理解。女子中学生の間で流行っていそうなら、報告してみたい、と思います。
職業柄、中学生には接しやすい立場なもんで(笑)。