昨夜に続き、『アイアンキング』です。
ところで、やはりこれも「はてなキーワード」に登録されていないんですね〜。マイナーヒーローの悲しさってところですか。
まあ、こういう作品を愛でる辺りに、マニアの心意気が表れる、と思っておきます。
さて、アイアンキングと言えば、たったの2クール26話の放送回の中で、3つの敵組織と戦い、壊滅させたわけで……それを順に見て行きましょう。
まず、最初の敵組織(1〜10話)が「不知火一族」。首領は、堀田真三氏演じる不知火太郎。堀田さんといえば、『仮面ライダー』のトカゲロンや、『(新)仮面ライダー』のゼネラル・モンスターを筆頭に、『忍者キャプター』の風魔烈風&暗闇忍堂、『宇宙からのメッセージ銀河大戦』のコーガー団長など、非常に濃い悪役連を演じてらっしゃいます。
彼らは、大和政府に恨みの念を抱く先住民族という設定。先住民族……と言えば、ノンマルトというのが出てくるのですが、特撮界ではどういうわけか、怪獣やらロボットやらを操る、という特技を習得しております。我々日本人は、そんなことできやしないのに、どうして、それができる人たちが、征服されてしまったのか、少々不思議に思えます。
あるいは、自分たちが迫害された、という被害妄想をお持ちの方々の恨みの念が、そういう不可能を可能にした、と考えることもできますが、過剰武装しているとはいえ、少数民族、幹部を十人倒せば、あっさり壊滅します。
続いて登場したのが、11〜18話の「独立幻野党(幻兵団)」。彼らは、アラブ風の民族衣装をまとったテロリスト集団です。でも、やっていることは、不知火一族と同様、怪獣ロボットを使った破壊活動。
怪獣ロボットの通称は『鋼鉄の同志』。そして、同志の一体に「ドジラ」なんて、『ヤッターマン』を先取りしたネーミングを付ける、笑劇のセンスの持ち主です。少なくとも、彼らのセンス(トラギラスやクマゴロス)は、不知火一族のセンス(ブラックナイト、シルバーライダー、ゴールドファイヤー)に遠く及びません。
ぼくが仮に悪の組織に入るなら、やはり「独立幻野党」よりは、「不知火一族」のセンスに惹かれます。
そして、最後の敵が、宇宙虫人間、略して宇虫人のタイタニアンです。
タイタニアンは、さすがに宇宙から来ただけあって、地球人にはない特殊能力を持っています。それは、地球人への憑依コントロール能力と、怪獣への変身能力。これには、さしものアイアンキングも大ピンチ……って、あれ? ここまで来ると、アイアンキングも強くなってるよ。弦の字の力を借りなくても、敵を倒したりしちゃってる。そんなのアイアンキングじゃないや〜なんて思って見ていると、
最終一話前に大イベント。アイアンキングの戦闘力を脅威と感じたタイタニアンが、変身前の霧島五郎に接触。あろうことか憑依して、そのまま変身してしまいます。黒いマントをまとって、タイタニアンの手先となったアイアンキングが、タイタニアン怪獣とともに街を破壊。街を守るはずのヒーローが怪獣とともに街を破壊する姿は、めったに見られるものじゃない。ウルトラマンのハヤタ隊員だって、地底人の催眠術に操られかけたことはあるけど、変身後は正気を取り戻して、テレスドンを倒しています。しかし、アイアンキングには、そんなセオリーは通じません。
ヒーローが敵に降って、一体、どうするってんだ?
あ、この作品のヒーローは、静弦太郎だった(爆)。ということで、弦太郎は、この事件を機に、相棒の五郎が実はアイアンキングだったことを知り、最後は、アイアンキングも奇跡の復帰(しかもパワーアップ)を遂げ、タイタニアンに勝利する大団円を迎えるわけですが、
ともあれ、敵を自ら倒すこともできず、相棒に助けられ、
最後は敵に操られるといった大失態を犯しつつも、周囲の応援で、最後は宇虫人を倒すことのできたアイアンキングが、
何だか他人のように思えなくて、ヨイショしたくなる今日この頃のNOVAでした。