Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

渡辺宙明さんを思い返す記事(メタルヒーロー編2)

特撮電子音楽の時代

 

NOVA「さて、今でこそレトロな伝統ミュージックとして宙明さんを考えがちだが、70年代から80年代にかけては、特撮アクションヒーローやスーパーロボットの時代を作り上げてきた人ということになる。そして、時代を作る=当時は斬新な試みをいっぱいしてきたわけで、その斬新さは『未来科学を感じさせる電子音を取り入れて行った』ということだな」

翔花「電子音?」

NOVA「それがデンジマン宇宙刑事の主題歌につながるイントロ部分だな」

NOVA「当時は、スターウォーズの影響で日本の特撮もハリウッドに負けないブラッシュアップが求められていた時期。スターウォーズスピルバーグ映画が日本の特撮ヒーロー番組の目指す目標として掲げられていたんだ」

翔花「ちょっと待って。TV作品で映画レベルを目指すというの?」

NOVA「そこが凄いんだな。TV作品なんだから、TV作品をライバルにすればいいんだが、それは60年代のサンダーバード→円谷のミニチュア特撮で通ってきた道で、次に70年代後半のスターウォーズの宇宙チャンバラが日本映画にも影響して、当時はとにかく特撮もアニメも宇宙というテーマで盛り上がっていた。アメリカのSFヒーローブームを追いかけるように、日本の意欲的なクリエイターが凄いものを取り込んでいってブラッシュアップして、発展した流れがある。ガンダムもそういう時代の産物だし、いかに未来と宇宙を感じさせるセンス・オブ・ワンダー映像を作るかがテーマとなり、それに音楽も相乗効果を付与していく。その流れで発展していったのが宙明サウンドと言っていい」

翔花「つまり、いわゆる宙明さんの音楽は70年代から80年代のSFムーブメントの産物なのね」

NOVA「そして、同時代の巨匠音楽家だと、ハリウッドではこの人になるからな」

NOVA「この巨匠ジョン・ウィリアムズも今年90歳になり、来年公開予定の『インディー・ジョーンズ5』で引退表明を最近したというニュースを聞いたんだが、90年代の『ジュラシックパーク』とかゼロ年代の『ハリー・ポッター』とか、その時代ごとの名作音楽を数々作って来た人。ただし、その評価は俺の中では2番めだ」

翔花「何ですって!? だったら1番は……って宙明さんか」

NOVA「そりゃあ、俺個人に幼少期から令和の今に至るまで、音楽面で影響を与え続けてきた人には、いかにジョン・ウィリアムズでも敵わないだろう。まあ、俺個人で順位を上げるなら、1位=渡辺宙明、2位=ジョン・ウィリアムズ、3位=冬木透、4位=伊福部昭、5位=菊池俊輔、6位=平尾昌晃、7位=すぎやまこういち、8位=久石譲、9位=渡辺岳夫、10位=川村栄二、次点=佐橋俊彦……ってなるかな。いや、京建輔さんや、田中公平さんや、矢野立美さんや、植松伸夫さんや、小林亜星さんや、三枝成章さんや、大谷幸さんや、ブラッド・フィーデルさんや、アラン・シルヴェストリさんなど、好きな作曲家を挙げればキリがないんだが、不動の1位が宙明さんであることに変わりはない。何しろ、スパロボと特撮ヒーロー関係で聞いた数が全然違う」

翔花「矢野立美さんや大谷幸さんも男性よね。女性作曲家はいないの?」

NOVA「う〜ん、大島ミチルさん、菅野よう子さん、中島みゆきさんぐらいかな、パッと出るのは。大体、俺のアンテナは一般歌謡曲よりも特撮アクションとか、SFロボットというジャンルに特化されているんだから、歌い手ならともかく、曲の作り手は限られて来るんじゃないかなあ。世間で有名な中島みゆきさんだって、俺の中では下位になる。その中で大島ミチルさんが別格だと思うけど、自分に影響を与えたというほどじゃない。普通に良い曲だからチェックしてみようって思うぐらいだ」

翔花「とにかく、そんなにいろいろと作曲家の名前を挙げても、不動の1位が宙明さんなんて、どれだけ好きなのよって感じね」

NOVA「そのレベルだと好きとか嫌いとかじゃなくて、魂にこびりついていると言ったところか。無人島に持って行ける作曲家の音楽と言われたら、迷いながらも宙明サウンドを選ぶだろうな」

翔花「迷うんだ」

NOVA「そりゃあ、ゴジラを聞きたいとか、ウルトラを聞きたいとか、ライダーを聞きたいとか、ドラクエ聞きたいとか、いろいろあるだろう。だけど、宙明さんの曲がなければ、人生の味わいを喪失するのは間違いない。考えてみろよ、キカイダーマジンガー、戦隊や宇宙刑事なんかが消えた世界を」

翔花「少なくとも、戦隊やメタルヒーローがなければ、今のニチアサヒーロータイムの歴史も消えそうね。仮面ライダーさんだって、BLACKさん以降はメタルヒーローの影響を受けているそうだし」

 

宇宙刑事以降の話

 

NOVA「ということで、宙明さんの凄さを何度も反芻し続けているわけだが、俺がこうして宙明サウンドを熱く語るようになったきっかけは90年代だな。大人になって、働いたお金でCDをいろいろ買って、そして幼少期から続く渡辺宙明って人への親和性をいっそう強く感じるようになって、いろいろな曲の歴史が心の中でつながった時期。

「そして、90年代は平成初期で、昭和の特撮アニメ文化の再研究や懐古が盛んになって、リメイクや往年の名作のゲーム化がどんどん生み出されて行ったんだ。その一つがスパロボなわけだが、CD化や映像ソフト化などで懐かし作品がどんどん発掘されていく時代でもあった。これは80年代までにはなかった現象で、古い映像音楽は個人的に録画録音しない限り、失われていく時代から、80年代の終わりに往年の映像音楽がソフト化されて、オタク文化が限られたマニアの世界から一般層へ広がるきっかけにもなる。そもそも、昭和時代には10年前の作品を語るには、書籍資料か再放送しかなくて、ビデオも旧作は傑作選しかなかった。ガンダムも劇場版しかなくて、TV版が再放送以外で全話見られるようになったのは、98年のLD化を待つしかなかった。劇場版からカットされたククルス・ドアンなんてものは黒歴史だった時期が長かったんだ」

翔花「90年代は旧作映像研究が盛んになったということね」

NOVA「そう。そして80年代に宇宙刑事好きの中学生だった俺だが、その後に始まったジャスピオンは見ていたけど、ハマりきれず、さらに5作めのスピルバンはリアルタイムで見てもいない。90年代になってから勉強を始めて、CDからの音楽面で、こいつは凄いと認識した作品となる。ジャスピオンもスピルバンも、宇宙刑事3部作の続編として試行錯誤が伺われる作品だが、中学生から高校生の俺にはマンネリ感を覚えて、細かい発展は見なくなっていた。ただ、実は映像よりも音楽面での発展が凄いことになっていたことに後から気づいたんだな」

NOVA「ジャスピオンは、メタルヒーローの中でも等身大アクションが円熟期に達していて、そこに巨大ロボットVS怪獣という要素を加えて非常に意欲的な作品と言えた。ただ、当時の俺はリアルロボットの洗礼を受けて、『今さらロボットと怪獣って言ってもな。未来科学で、SFメカが魅力の宇宙刑事が何だかなあ』と見下していたし、主演の黒崎輝のパンチパーマがヒーローらしくないと思ってたし、アンドロイド・パートナーのアンリのキャラも合わなかったし、魅力はライバルキャラのマッドギャランと、味方の助っ人のブーメラン(シャリバン渡洋史)ぐらいだと思っていた。これで、ブーメランがコンバットスーツを着装してくれたらいいのになあ、なんて思ったりも」

翔花「NOVAちゃんにとって、ジャスピオンは合わなかったわけね」

NOVA「まあ、当時の俺のベストヒーローは、必殺仕事人であり、影の軍団だったからな。JACのアクションの凄さとかは分かっていたのに、ジャスピオンに対しては宇宙刑事から変わった部分に違和感を覚えたり、その魅力を探ろうとするほど自分を特撮者であり、ロボット者であると定義できていなかった。当時は、そういうものから卒業しようとさえ考えていたわけだな。大人になりたい厨二病の時期だったんだと思う。後年、ジャスピオンを振り返って、どうしてその魅力に気付かなかったんだよ、と大人の自分が中学時代の自分の見る目のなさをツッコミ入れるという」

 

時空戦士だ

 

NOVA「そして、俺の特撮青春時代でミッシングリンクになっていたのが、次のスピルバンだ。この作品をリアルタイムで見ていたら、絶対にハマっていたのは間違いないが、諸事情で見ることができなかった。だから、後年、DVDも買ってハマり直すことになる」

NOVA「メタルヒーロー初の変身ヒロインのダイアナが大きなトピックだし、シャイダーのパートナーだったアニーを演じた森永奈緒美さんがスピルバンの姉ヘレンを演じ、前半は敵の女戦士ヘルバイラにされるという悲劇を提示し、それが助けられることで追加戦士になるという、ある意味、90年代以降のスーパー戦隊の追加戦士に受け継がれるような劇的なドラマ展開。しかも脚本家の上原正三さんのメタルヒーロー最終作であり、さらに雨宮慶太監督がキャラクターデザインするなど、東映特撮アクションヒーローの集大成であると共に、新たな才能を発掘した過去と未来をつなぐ、正に時空戦士のタイトルにふさわしい作品となったわけだ」

翔花「でも、リアルタイムでは見なかったのよね」

NOVA「当時はタイトルだけで見限ったのかもしれない。スピルバーグ監督の名前からスピルバンだろう? ギャバンシャイダーも映画監督の名前から取ったという話だが、スピルバンのネーミングはあまりにも安易に感じたのも事実。役者面でもシャリバン渡洋史スピルバンになるなど、とうとうメタルヒーローもネタ切れか? と番組内容を見もせずに見下していたような気がする。ジャスピオンのブーメランにメタルスーツを着てもらいたかったのに、いざ新ヒーローとして登場すると、手のひら返しするなど、その時の気分だけの定見のなさが情けない。若さゆえの過ちというか、まあ、仮に見ていてもOPの男の子と女の子が太陽をバックに手を合わせるカットだけで、気恥ずかしくて見れなかった可能性もあるし、一度チラッと見た時にEDのバラードが合わなかったような気もする。何だかんだ見ない理由を作っていたな。本当に見たければ、ビデオに録画してでも見ていたはずだろうから」

NOVA「後にEDもアクション曲に変わって好みになるんだが、スピルバンの良さは高校時代の俺には見ても分からなくて、大人になってから味わえたのかもしれないな。今だと、欠点も含めて大好きな作品だから、俺も時空魔術師を自称する理由の一つになっているわけで」

NOVA「スピルバンは、宙明さんのBGMがフル活用されたメタルヒーロー最終作だ。実際には、ジバンの劇伴も手掛けているんだが、ジバン用に作られた曲があまり選曲されず、旧作流用曲がほとんどだし、そもそも主題歌からして違う。したがって、スピルバン以降の宙明さんの主な戦場はアルベガスからのアニメロボットの方になったと見ていいだろう」

 

スピルバン以降の宙明ヒーロー話

 

NOVA「俺はスピルバンをリアルタイムで見なかったんだが、次のメタルダーは放送時間が月曜夜から日曜朝に変わったから見るようになった。ちょうど仮面ライダーBLACKが始まったことで、メタルダー→BLACKという流れができたんだな。そして、久々に見たメタルヒーローは新鮮でハマった。

「音楽の横山菁児さんも、宙明サウンドとは異なるシンフォニックさが新基軸に聞こえたと思ったら、実はハーロックとダイラガー、そして聖闘士星矢で感じ入り、後に戦隊のオーレンジャーで、はっきり存在を意識するようになった御仁だ。先ほどの好きな作曲家リストに挙げなかったことを悔やみつつ、さて宙明さんの方は、その頃、アニメ畑とは別に仮面ライダーBLACKに挿入歌を提供していたんだな」

翔花「え? 仮面ライダーにも参加していたの?」

NOVA「仮面ライダーはZXまでが菊池俊輔さんで、BLACKからは川村栄二さんが劇伴を担当していたんだが、歌はまた別で挿入歌が宙明さんということになる」

NOVA「編曲が石田勝範さんだから、少し違う気もするんだがな。それでも、メロディーは宙明さんなんだと思う」

NOVA「続編のRXにも宙明ソングは引き継がれた。今度は数が少ないけど、作編曲ともに宙明さんなので、誰が聞いても宙明サウンドだろう」

NOVA「以上が、昭和の話なので、次回から平成の宙明ヒーローサウンドに移ることにする」

(当記事 完)