Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

スパイダーマンの話(その2)

クモ怪人の話から

 

晶華「オレ、アクマ……」

翔花「キャー、アキちゃんが何か変!?」

NOVA「何だと!? おい、晶華、しっかりしろ。正気に戻れ」

晶華「へっ? 2人とも何を言ってるの? 私は正気だよ」

NOVA「正気の人間は、開幕早々、『オレ、アクマ……』って言わないだろうが」

晶華「大丈夫。私は正気の人間じゃなくて、ただの正気の花粉症ガールだし」

翔花「正気の花粉症ガールだって、『オレ、アクマ……』って言わないと思う」

晶華「もう。2人とも大げさなんだから。ちょっとデモンズドライバーのマネをしたくなっただけだし。本気で自分が悪魔なんて思ったりしてないわよ。私は悪魔じゃなくて、精霊少女なんだから」

NOVA「いや、お前はかつて吸血花粉症ガールに闇堕ちしていた過去があるからな。朝起きたら突然、悪魔堕ちしていても不思議じゃない」

晶華「そうなったら、NOVAちゃんも悪魔娘の父親魔王になってくれる?」

NOVA「そのルートフラグはへし折ったはずなんだがな。俺が妄魔時王となる未来は阻止できた。何で今さら、魔王になど……俺の夢は魔王になることじゃない」

翔花「そうね。神になることだし」

NOVA「ステイシーかよ。そんな厨二病丸出しの痛い夢なんて、今さら持つか。神とか悪魔とかじゃなくて、目指すなら仏だろう」

晶華「それも世間的には痛いと思うけど、まあいいわ。とにかく、ヒロミさんはまだ死ななかったみたいね」

NOVA「死ぬにせよ、生きるにせよ、来週には退場しそうだけどな。とにかく、デモンズドライバーが覚醒して、オルテカの手に渡るみたいだが、しばらくは仮面ライダーデモンズが敵になるのかな」

NOVA「俺としては、フリオこと玉置豪か、牛島光が2代めデモンズかな、と先週は思っていたが、まさかのオルテカだとはな。俺のデモンズドライバー返せ、と言いたくなる」

翔花「いや、NOVAちゃんのじゃないでしょう」

晶華「そんなにデモンズさんが好きなら、これをプレイしたらいいと思う」

NOVA「と言うか、今の俺がソード・ワールドでキャラ作りをすると、喜んでデーモンルーラー(魔神使い)を作りたくなるんだけど、妖精郷のPCにはできないよなあ。魔神は敵だってストーリーなんだし」

晶華「GMだったら、敵NPCで登場させたらいいんじゃない?」

NOVA「なるほど、その手があったか。少し考えてみよう」

 

翔花「と言うか、今回はスパイダーマンの話の続きなのに、悪魔の話に脱線しているじゃない?」

NOVA「ああ。デモンズ→クモ男→スパイダーマンにつなげるはずだったのに、デモンズ→悪魔→ソード・ワールドの魔神につながって、どうしようか、これと考えてる俺がいる」

晶華「一時期のスパロボ脳や必殺脳よりも、ソード・ワールド脳の方が私は歓迎なんだけどね」

NOVA「とにかく、強引にスパイダーマンの話に引き戻す。これを見よ」

NOVA「これは1967年に最初に映像化されたアニメ版スパイダーマンだ。ドクターオクトパスがタコハチ博士と訳されたのが時代だなあ、と」

翔花「スパイダーマンは実写映画よりも、アニメ作品の方がいっぱいあるみたいね」

NOVA「10シリーズ近くあるみたいだな。比較的近年の作品だと、2012年から4シーズン続いたアルティメット・スパイダーマンで、その後、2017年以降はマーベル・スパイダーマンのシリーズになっているらしい」

 

改めてMCU話を目指します

 

晶華「とにかく、スパイダーマンというタイトルの作品が実写映画に限らず、コミック、アニメ、ゲームも含めていっぱいあることは分かった。マニアだったら、どの作品シリーズがどういう内容か語れるわけね」

NOVA「さすがに、俺はスパイダーマンマニアを名乗るつもりは一切ない。山城拓也版を除けば、スパイダーマンについて考え始めたのは21世紀に入ってからだからな。一応、それなりに知ってるけど、20年ほどの実写映画の知識ぐらいしかない。マニアを名乗るには、掘り下げないといけないものが多すぎる。一応、こういう本で勉強中ではあるのだが」

NOVA「デアゴスティーニの雑誌も20号前後までは買っていたんだが、気づくとこんなに出ていたんだな」 

NOVA「ただ、スパイダーマンに話を絞るなら、これも買うべきかと悩んでいる」

翔花「というか、NOVAちゃんってこんなにスパイダーマンさんのことが好きだったんだ」

NOVA「この映画を期待するぐらいにはな」

NOVA「2019年に公開されたアニメ映画スパイダーバースの続編だが、今年の10月に続編が公開予定らしい。つまり、今年のスパイダーマンネタは正月映画だけじゃないってことだ。まだまだ、スパイダーマンの話題は旬が続くようだな」

晶華「スパイダーバースは、アベンジャーズMCUとはまた違った物語世界よね」

NOVA「ああ。コミック版のスパイダーバースでは、巨大ロボットのレオパルドンまで登場して、『レディ・プレイヤー1』の原作小説ともども、アメリカ人に日本のスパイダーマンの存在を強く認知させたんだ。まさか、スパイダーマンパワーレンジャーのメガゾードがリンクするとは! と海外のマニアが拍手喝采レオパルドンと聞く」

翔花「だったら、アニメのスパイダーバースの続編にも、レオパルドンさんが登場したらいいのにね」

NOVA「本当にそう思うぜ。ともあれ、スパイダーマンは戦隊ロボのルーツでもあるのだが、同時にライダー怪人のルーツでもある。仮面ライダーの記念すべき第1号怪人は蜘蛛男、2号怪人は蝙蝠男というのは常識だな」

晶華「クモとコウモリはライダー怪人でも重要な定番モチーフなのよね」

NOVA「これは、海外の有名ヒーローであるスパイダーマンバットマンを、バッタ男の仮面ライダーが倒すことで、海外ヒーローに負けない日本のヒーローとして盛り上げようというジンクスが込められていたらしい」

翔花「バッタ男だから、バッタマンってネタじゃなかったのね」

NOVA「ということで、スパイダーマンはライダーにも戦隊にも大きな影響を与えたヒーローと言えるわけだ。ここまで前置きして、ようやくMCUの話に突入だ」

 

サノス襲来(2018)

 

NOVA「スパイダーマンが前作ホームカミングにおいて、単独でヴァルチャーの計画を阻止し、アイアンマンのトニーはその活躍を称えて、正式なアベンジャーズ入りを告げようとするんだけど、成長したピーターは『親愛なる隣人』としてニューヨークの街を守ることに専念したいと辞退するわけだな」

翔花「アベンジャーズに入りたい、トニーさんに認められたいって気持ちで突っ走っていたのが、自分の身の丈に合った活動に切り替えたってことよね」

NOVA「世界規模のヒーロー活動が、未熟な自分が背負うには重くて険しいことをヴァルチャーとの戦いで実感したこともあるし、ホームカミングはタイトル通り、故郷の街に心身ともに帰還することで幕を閉じるわけだ。

「だが、その後、MCUマイティ・ソーの映画3作めでサノスの脅威が地球に迫っていることを示し、またブラックパンサーの映画で続編のクライマックス戦闘の舞台であるワカンダ王国の物語を提示して、ついに宇宙の命運をかけた壮大なアベンジャーズの3作めに突入する」

 

翔花「スパイダーマンさんが消滅しちゃった!?」

NOVA「そうなんだ。このクリフハンガー(大ピンチ)な結末を初めて見たときの俺の感想は、正直ガーンってものだ。このインフィニティ・ウォーと続くエンドゲームで、MCUの新旧メンバーの世代交代が行われるという前情報を聞いていたので、映画を見る前は『アイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティー・ソー』の通称BIG3が消えて、後継の『スパイダーマンブラックパンサードクター・ストレンジ』なんかが仇をとる内容かな、と思っていたら、見事に逆だった。後を託すべき新メンバーの方がことごとくサノスの指パッチンで消滅して、古い人たちばかりが残って、どうするの? って結末」

晶華「リセットを押して、なかったことにする」

NOVA「まあ、そうなるのかなあ、とは思っていたんだが、それは翌年の話まで待つとして、とにかく、このインフィニティ・ウォーは凄い映画だったな、という結論。スパイダーマン的には、改めてアイアンマン・トニーとの共闘が描かれて、新スーツのアイアンスパイダーが格好いいとなって、宇宙に飛び出してサノス一党と苦戦しながらも戦って、他の先輩ヒーローに負けず劣らずの大活躍を示したりするんだけど、最後に消失して絶望と、涙と、これ、どうするの? と大いなる疑問を突きつけて、情動を大いに揺さぶった作品なんだな」

翔花「感動じゃなくて、驚愕の結末ってことね」

NOVA「感動は、次回作の完結編を楽しみにってところだな。この年はスターウォーズのエピソード9で完結し、翌年春のエンドゲームを見て、そして平成が終わったという時代の変革期だったと言えよう」

晶華「コロナ禍はいつからだっけ?」

NOVA「2019年の年末からちらほら話が出て、翌年の春頃に緊急事態宣言が出たんだったな。エンドゲームできれいに完結した後で、まだ良かったぜ。これで、エンドゲームが巻き込まれて延期になっていたら、俺のコロナウィルスへの憎悪がこれ以上ないぐらいに吹き荒れて闇堕ち街道を突き進んでいたろうからな」

晶華「とにかく、インフィニティ・ウォーとエンドゲームはそれだけ凄い映画だったってことね」

 

MCUの歴史概観

 

NOVA「なお、この時点で、MCUアベンジャーズの歴史を語っておこう。傑作映画『アベンジャーズ』が上映されたのが2012年だから、今年でちょうど10周年だしな」

NOVA「現在のMCUはフェイズ4と言われている。フェイズ1は、2008年のアイアンマンからスタートして、ハルク、雷神ソー、キャプテンの映画を展開して、アベンジャーズ集結の2012年にクライマックスとなった」

晶華「ホークアイさんとブラックウィドウさんは?」

NOVA「ホークアイはソーの映画で顔見せして、去年の秋末から単独主役のドラマがディズニープラスで配信中だ。ブラックウィドウアイアンマン2でデビューして、去年の夏に単独主演映画が公開されたな。どちらも未見だがホークアイのドラマには興味がある」

翔花「ブラックウィドウさんの映画は興味ないわけ?」

NOVA「俺はヒーロー映画が見たいのであって、別に女スパイ映画が見たいわけじゃないからな。物語の時間軸も、シビルウォーとインフィニティウォーの間に位置する話で、フェイズ4と言いながら、実質はフェイズ3の前半に位置する内容。エンドゲームで亡くなった彼女が生き返るでもなく、故人の回想ストーリーでしかないから、個人的に興味は薄いわけだ」

晶華「つまり、ブラックウィドウさんの単独映画には惹かれない、と」

NOVA「ヒロインのスパイアクションには食指が動かないってことだな。さて、フェイズ2は2013年のアイアンマン3から、2015年のアントマンまでで、その間にアベンジャーズ2作めのエイジ・オブ・ウルトロンと、キャプテン・アメリカの2本めと、宇宙SFのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが挟まる」

晶華「アベンジャーズ史における拡張発展期ってことね」

NOVA「ガーディアンズは、宇宙の巨悪のサノスにつながる話だけど、フェイズ2の時点では伏線に過ぎない。そして、フェイズ3が2016年のシビルウォーから始まって、2019年のスパイダーマン2作めで終わる。今回の記事は、このフェイズ3が焦点になるわけだな」

 

ゲームの終わり(2019)

 

NOVA「サノスの持つインフィニティ・ガントレットの力で、宇宙の生命の半数が消失したMCUにおいて、奇跡を起こす希望と見なされた作品が、『アントマン&ワスプ』と『キャプテン・マーベル』だ」

NOVA「アントマン量子力学をテーマにしたSFコメディアクションで、その理論がエンドゲームの時間移動作戦の鍵になる。一方、キャプテン・マーベルは90年代を舞台にしたアベンジャーズ以前の時間軸になるけど、この90年代の再現ネタが非常に懐かしくて好みの作品だし、前半は宇宙を舞台にしたSF、中盤は失われた記憶を取り戻すためのスパイアクション風味、終盤は覚醒したマーベルの超パワーに感服する派手派手しい超ヒロイン活劇と、非常に密度の濃い映画と言えた」

晶華「つまり、キャプテン・マーベルさんならサノスさんに勝てるってわけ?」

NOVA「インフィニティ・ウォーの時は、サノス強すぎだろうと思わせたのが、キャプテン・マーベルの登場で戦力バランスが変わった感だな」

NOVA「そうして、インフィニティ・ウォーから1年経って、待望のエンドゲームが公開されたわけだ」

NOVA「インフィニティ・ウォーのラストでは、宇宙の生命の半数がサノスの指パッチンで消滅し、こんな恐ろしい相手をどう倒すのかと思わせたんだが、エンドゲームでは冒頭にあっさりサノスが殺害される」

翔花「え? どうやって?」

NOVA「目的を達成したサノスは、惑星ガーデンで賢者モードで隠遁していたんだな。キャプテン・マーベルの助けで地球に帰還したアイアンマン・トニーと、他のアベンジャーズの生き残りたちは、サノスを急襲し、ソーの斧であっさり殺害に成功する。だけど、当初の予定ではサノスからインフィニティ・ストーンを奪い返し、その奇跡の力で失った半数の命を蘇らせる作戦だったんだが、すでにサノスはストーンを自らの手で破壊していたんだな。敵は倒したけど、失った仲間たちは帰って来ないという過酷な結末で、ヒーローたちは失意の5年を過ごすことになるんだ。そして、物語が再び動くのが5年後、2023年ということになる」

晶華「来年ね」

NOVA「そうなるな。コロナ禍で停滞した未来を予測したかのような巡り合わせにも思える」

翔花「5年経ったら、どう変わったの?」

NOVA「サノスの指パッチンの影響で、量子世界から帰還することができずにいたアントマンが偶然、帰還することができたんだ。帰還には相棒のワスプたちが装置を操作する必要があったんだけど、サノスのせいで彼女たちが消失して、アントマンが量子世界に閉じ込められたエンディングが、アントマンの2作めの映画で提示されて、その装置を小動物が触れたことで5年後にとうとう帰還できたわけだ。その結果、アントマンの提案で、失った者を取り戻すための時間泥棒作戦が開始される糸口となる」

晶華「時間をいじって、悲劇をリセットするってこと?」

NOVA「そうじゃない。時間移動によって、過去の時代から健在なインフィニティ・ストーンを回収して、現代(2023年)で使おうという作戦だ。その結果、アベンジャーズの生き残りの面々が過去の出来事にこっそり干渉して、それぞれの物語を味わい直す『シリーズ集大成のドラマ』が見られたわけだ。過去の父親と話すことで、昔のわだかまりが消えたトニー。2作めの映画で死ぬ運命の母親と最後の語らいができたソー。そして北極海で冷凍睡眠に陥って時代の迷子になっていたキャプテンが改めて若き日の昔の恋人に出会うなど、それぞれのドラマがノスタルジー的な郷愁となって、じんわり感じ入る展開を見せる。ここまでのMCUを見続けてきたファンにとって、シリーズの各作品を振り返りたくなる展開だったわけだ」

晶華「物語の主題が、強敵サノスをどうやって倒すかじゃなくて、失った命をどうやって蘇らせるか、そして過去の思い出をどう昇華するかに移ったわけね」

NOVA「アベンジャーズ完結編にふさわしい時空を超えた壮大なドラマになったんだな。だけど、それだけだとバトル物としては物足りない。クライマックスにふさわしい大バトルの敵として、2014年の過去からまだ健在なサノス軍団が時間移動の秘密を知って襲来してくることに。そして、サノス軍団VS復活したメンバーも含めた総集結アベンジャーズの一大決戦が行われたわけだ。もちろん、本記事の主役であるスパイダーマンのピーター・パーカーも含めてな」

NOVA「とにかく、この映画で消滅したヒーローは全て帰ってきて、サノスとの決戦も勝利で終わるんだが、代償として3人のヒーロー・ヒロインが退場することとなった」

翔花「一人はトニーさんね」

NOVA「最終的にサノスとは、インフィニティ・ストーンの奪い合いになるんだな。どれだけ軍勢の戦いで勝ったとしても、ストーンの力で奇跡を起こされたら、それまでの苦労が水の泡になる。だから、トニーがストーンを自分の手に渡るように仕掛けをしておいて、そしてサノスの軍勢が消滅するように奇跡を起こす。ただ、ストーンを使った代償で自分の体に反動のダメージが来るようになっていて(強靭さを誇るサノスもハルクも衰弱してしまうほど)、トニーはそれによって命を落としてしまうわけだ」

翔花「命懸けで世界を救った。正にヒーローね」

NOVA「ああ。それと、ストーンをゲットするために命を犠牲にしたブラックウィドウ。最後に、ストーンを元の時代に戻すために過去に戻って、自分の本来の人生を生き直す決断をしたキャプテン・アメリカ。それぞれの物語がここで幕引きとなったわけだ」

晶華「感動の集大成か」

NOVA「そして、後事はスパイダーマンに託される……はずだったんだな」

 

スパイダーマン、彼方への旅(2019)

 

晶華「アイアンマンさんが亡くなった後、後継者と見なされたスパイダーマンさんが、ヒーローであることと、高校生として青春を送ることのジレンマに立たされる話ってことでいいのかしら」

NOVA「このMCUスパイダーマンの2作めは、一言で言えば、フェイク(騙し)ネタがいろいろ仕掛けられた作品で、ネタバレをすると興醒めになるわけだが、ここまで読んできた読者さんなら十分許容範囲だろう。

「エンドゲームという宇宙を股にかけた一大決戦が終わった後で、その後の世界をどう描くか、また派手な映画の後で地味に見えたりしないかなど心配要素もあったんだが、期待に違わぬ等身大ヒーロー、ピーター・パーカーの悲しみ→青春の葛藤と失敗→ヒーローとしての決意→最後のサプライズに通じて、3作めのノー・ウェイ・ホームに上手くパスをつなげた作品になったわけだ」

晶華「アイアンマンの後継者という、スパイダーマン評が物語の内外で描かれて、凄いプレッシャーにもなるのよね」

NOVA「MCUの中核ヒーローだったからな、アイアンマン。同じBIG3のソーは健在だけど、ガーディアンズと合流して宇宙に旅立ったし、続編映画は今年の7月公開予定。その前に、ドクター・ストレンジの映画2作めが5月公開予定で、どちらも興味いっぱいだ」

翔花「キャプテン・アメリカさんは?」

NOVA「続編は去年の3月からディズニープラスで配信された『ファルコン&ウィンターソルジャー』だな。フェイズ4はネット配信を追わないといけないという状況があって、昨年1月の『ワンダヴィジョン』、6月の『ロキ』、8月の改変世界もの『ホワット・イフ……?』、11月の『ホークアイ』までがネットドラマで構成されている。今年も3月から月神の化身にして多重人格な新ヒーロー『ムーンナイト』が配信される予定で、真のMCUマニアならそれらもチェックしないといけないのだろうが、今の俺にはちょっと着いて行けないレベルなので、とりあえず柱になる中核作品だけを追って行こうって考えている次第」

晶華「フェイズ4は、コロナ禍で劇場公開が延期されたり、大規模な製作体制が取りにくかったりで、展開がいろいろ試行錯誤中みたいだもんね」

NOVA「俺もとりあえず、スパイダーマンに絞って見ていて、去年の9月のカンフーアクション物『シャン・チー』や11月の神々の物語『エターナルズ』も未鑑賞だもんな。まあ、フェイズ4の行く末はまだ見えていない感じだけど、サノス撃退後の混迷した多元宇宙というのがテーマかな程度には思っている。

「そして、スパイダーマンの2作めも、アイアンマンの死を悼むピーターのところに、『別次元から来たヒーロー、ミステリオ』が出現したことで、『おお、次はマルチバース物かあ、別次元からの襲来とは燃えるなあ、ワクワク』と感じさせながら、2作めではフェイクでしたって話だからな」

翔花「え? マルチバースは嘘だったの?」

NOVA「ミステリオは詐欺師だったからな。これはアイアンマン3に出てきたマンダリンと同じで、凄い大物に見せかけて、実は舞台役者の仕掛けた大芝居で、劇中のヒーローも、映画の観客ファンも綺麗に騙す内容。この最初に思っていた予想と違う真実が明らかにされて、それでもより壮大な物語に膨れ上がるのが傑作の条件。逆に真実が明らかにされたと思いきや、そこで広がらずに小ぢんまりで肩透かしに終わってしまうと、気の抜けた作品と評価されてしまう。

MCUスパイダーマンの2作めは、マルチバースでワクワクというファンの気持ちを1度しぼませてから、3作めでファンが想定していた以上のマルチバースっぷりを見せつけてくれた。MCU以外のスパイダーマン物語を引きずり込んだ時点で、うおっ、こいつは凄いぞ、稀代の傑作だと思わせてくれる。この2作めから3作めに橋渡しした構成の巧みさには感服したね。3作めを見たことで、2作めの意味づけも大きく変わったし」

翔花「ちょっと、よく分からないので、順を追って説明して」

NOVA「まず、ホームカミングのピーターは、尊敬するアイアンマンを始めとするアベンジャーズの面々と知り合いになって、浮かれているんだな。だけど、ガールフレンドのリズとの失恋、倒すべき敵ヴァルチャーの家庭人としての顔(リズの父親)であることを知って、人の心や立ち位置の裏表に接して、揺れ惑うわけだ。ヒーロー活動もそれと同じで、華々しい活躍の裏で救われずに泣いている者たちがいる。そういう世界の裏を知ったピーターが、少年時代の憧憬から一皮剥けて、自分の身近なところから手の届くヒーロー活動をしようと決意したのが1作め」

翔花「ああ。その気持ちはよく分かる。わたしも世界がどうこう、勇者とか神霊見習いがどうこうと気負ってみたけど、コロナから世界を守ることもできなくて落ち込んだし、自分の身の丈や日常を守ることの大切さは、とっても共感できるもん」

NOVA「それでも、サノス事件に巻き込まれて、どうしようもないレベルで日常が崩壊したのを修復しようとしている流れがあって、まあ、アイアンマンの尊い犠牲で一先ずの日常は帰ってきた。ただ、時代はアイアンマンの後継者を求めていて、スパイダーマンに白羽の矢が当たっているんだけど、ピーターにそこまでの覚悟はまだない。世界を守るヒーローよりも、日常を守るヒーローで居続けたいし、高校生としての日常生活がヒーロー活動に侵食されていく現状で、そこから逃げ出したくなるという気持ちで、青春を謳歌したくなったのがファー・フロム・ホーム。その気持ちに寄り添ってみせたのがミステリオなわけだ。舞台役者という設定で、人の気持ちをつかむ演技がやたらと上手く、それでピーターも世界も綺麗に騙す」

翔花「ミステリオさんの目的は?」

NOVA「トニーがピーターに託した『アイアンマンの遺産としての超科学技術を利用する権限』だな。未熟なピーターには扱いきれない遺産を、『異次元の侵略から世界を守るために、自分が協力したい。君の重荷を私が代わりに引き受けてやろう』と言葉巧みに騙して、ピーターの依存感情にまんまと付け入る。その結果、ミステリオが強大な力を手に入れて、世界の脅威になろうとしたんだな。異次元からの侵略も、正義のヒーローとして戦っている姿も、手の込んだ映像効果によるもので、『目に見えているものが真実とは限らない。全ては虚構の上に成り立っているんだ。君だってそうではないか。マスクを付けたヒーローの虚構を演じて、真実の姿を人々は見ない』と嘯いて、ピーターや世界を騙していたことも正当化するわけだ」

晶華「スパイダーマンの2作めは、『アイアンマンの遺産』を巡るヒーローと、ヒーローを装ったヴィランの戦いに帰結するのね」

NOVA「これはキャプテン・マーベルの映画にも通じるんだが、『目に見えているものが真実とは限らない』というテーマで、それに立ち向かう孤高のヒーローに覚醒するという展開だけど、強い女性の自立を描いたマーベルと違って、未成熟でナイーブな少年が主人公のスパイダーマンはとことん善意でミステリオを説得しようとするんだな。人殺しのできないスパイダーマンは、アイアンマンの遺産の中に敵を殺傷できる武器がいっぱいあるにも関わらず、それが使えずにいた。あくまで撹乱と捕縛だけでヒーロー活動をやって来たんだけど、ピーターを本気で殺そうとするアイアンマンの武器の使用権を握ったミステリオの攻撃を凌いでいるうちに、派手な破壊活動を繰り返す相手の方が誤爆して、結果的に自滅してしまうわけだ」

翔花「とことん、小物的なヴィランだったわけね」

NOVA「非常に巧妙な計略家ではあったけどな。しかし、ミステリオの最後っ屁と言うべきピーター陥れは大成功して、『スパイダーマンは英雄ミステリオを殺害した悪党で、その正体はピーター・パーカーである』という虚偽の混じった真実が世界に公開されてしまうわけだ。スパイダーマンの正体が知られたことで、ピーター・パーカーの日常生活はどうなる? という引きで、映画は3作めに続いた。これが実質的に、ピーターのヒーロー人生の大きな転機となったわけで、『日常回帰のホームカミング』『日常から遠くに行かされたファー・フロム・ホーム』というタイトルにつながる形だ」

晶華「でも、ヒロインのMJさんに正体明かしができたのよね」

NOVA「ピーター自身が、本当の自分自身と、ヒーローという虚構の二重生活に耐えられなかった背景もある。師匠格のアイアンマンが素性を明かして、公私ともにヒーロー活動を続けていたのに対し、スパイダーマンは日常生活を守るために世間に正体を明かさずに来たのが、ここに来て大転換を迎えた流れだが、続きは次の記事にしよう」

(当記事 完)