Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

娘のために戦う裏稼業(まっしぐら&剣劇人)

これで最後の必殺ヒロイン話

 

NOVA「非・仕事人のヒロイン話も今回で終わりだ。仕舞人(81年)から橋掛人(85年)までの5年間、5作品は西崎みどりさんをレギュラーにした作品が続き、中村主水の仕事人シリーズよりも女性にスポットを当てた小品を基軸に、主水シリーズで描きにくいテーマを補完する役割を果たしたと言える」

晶華「ある意味、仕事人を表とするなら、非・仕事人が裏ということになるわね」

NOVA「仕舞人で元締めの坂東京山をチームの母親とするなら、若手の踊り子リーダーのおはなが娘に相当するし、非・主水シリーズは殺し屋チームの中での母娘関係や夫婦関係などの家族愛にスポットを当てた作風だと総じて言えるだろう。仕事人では、三味線屋のおりくさんと勇次の母子関係や、秀とお民ちゃんの年の離れた兄妹関係など、義理の家族模様を描いてはいたけど、政と竜の時代から壱弐参のはぐれ仕事人の時代にかけて、一匹狼的な仕事人キャラが定番になるのと比べると、その時期の非・主水シリーズの方がよりレギュラー男女の日常的な情愛が描かれやすい感じだな」

翔花「中村主水さんの夫婦関係は、情愛というよりもホームコメディ的な扱いだもんね」

NOVA「今の時代では、昭和のステロタイプ性別像と批判されるかもしれないが、女元締めはウェットな情に流されやすく、主水も含む父系組織の方が掟とか義といったハードな物語になりやすいという作品傾向がある。まあ、女殺し屋として散った、からくり人の元締め仇吉や、うらごろしのおばさんなどは、それぞれハードな最終回だったけど、結末はともかく女性が中心のチームは総体的に人情路線のストーリーになりやすいってことだ」

晶華「今の小五郎さんのシリーズは?」

NOVA「元締めは和久井映見さんのお菊さんだけど、彼女がチームのリーダーシップを積極的にとっているようには描かれていないよな。形式上のリーダーではあるけれど、どちらかと言えば受付嬢的な立場で、チーム運営については放任主義というか、元は主水さんの秘書とかマネージャー的なポジションから、惰性的に続けている気がする。

「脚本的にも、お菊さんをメインにした人情劇とかは、これまでも描かれて来なくて、小五郎と涼次だけだと意見が対立しがちなのをマイルドに仲裁する役どころ。でも、本人はあまり強く自己主張する姿勢は見せず、歴代の女元締めの中で最も押しが弱い感じだ。女性リーダーなんだけど、決して強いリーダーシップをとるわけじゃない。ただ、ドラマとして描かれていない範囲で、表でも裏でも顔が非常に広く、それなりに財力も持っていることが示唆されているから、チームのマネージメントはしっかりできているんだろう」

翔花「ビジネス的な関係ってこと?」

NOVA「何しろ、今のチームって成立過程が描かれていないからなあ。2007年にシリーズが始まった時点で、主水、小五郎、涼次、お菊のチームがすでに仕事していて、そこに新入りの源太や匳、リュウ、陣八郎の参入や退場エピソードが入ってくる。主水さんがいなくなった後で、小五郎、涼次、お菊の関係性が深く掘り下げられることもなく、ダラダラ付かず離れずのドラマを継続してきたわけだ。ここで小五郎が退場したら、お菊さんがリーダーシップをとることを期待するんだが、棗の参入によっても、チームの雰囲気がマイルドな方向になる可能性が高いなあ」

晶華「次があれば、女性主導の仕事人チームに変わるかもってことね」

NOVA「だから、過去のモデルケースを参考に、復習して来たわけだ。ただ、ここまでの小五郎シリーズの傾向としては、レギュラーの女仕事人とか人情重視ドラマを切り捨てる方向で、仕事人の80年代よりも70年代に時代を逆行していたような作風だから、ここで男女の殺し屋の数のバランスをとることで、作風がどう変わるかは気になる。役者を変えての2代め小五郎続投なら、キャラ配置は変わらないのだろうけど、現時点では何が正解かは分からない」

翔花「NOVAちゃんの希望は?」

NOVA「ゲスト出演でいいから、旧必殺俳優が出て来ることだな。涼次の忍者時代の師匠として京本政樹さんが出るとか、お菊さんの昔馴染みの女元締めとして工藤夕貴さんが出るとか、ちょっとぐらい昔の必殺作品とのリンクを匂わせるキャスティングがあれば嬉しいな。あるいは、谷村美月さんが成長した如月役として出ると、シリーズの歴史を大切にしている風で感じ入ると思うな」

晶華「NOVAちゃんの願望が実現したら、また祭り記事を書くとして、今回は昭和のレギュラー放送最後の2作について語って終わるのよね」

NOVA「ああ、ある意味、シリーズ内の異色作3本に入るであろう『必殺まっしぐら!』(86年)と『必殺剣劇人』(87年)だな。最大の異色作は『翔べ!必殺うらごろし』(78年)であることは言うまでもないとして」

 

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非・仕事人シリーズのヒロイン話2(仕切人、橋掛人から仕舞人へ)

再放送で追っかけて

 

NOVA「さて、83年に『仕事人III』の途中から必殺シリーズを見始めて、『渡し人』を経てから『仕事人Ⅳ』に至った俺。その後、時系列順に『仕切人』以降も喜んで追いかけたファンだったが、それとは別に、『シリーズがあるなら、旧作も何とかチェックしたい』というマニアの入り口に入るわけだ」

晶華「全作品網羅なんて考えるのが、ただのファンとマニアの違いらしいわね」

NOVA「受け身に与えられた、もしくは目についた作品をただ消費するだけの一過性なただの好きがファンで、それが積極的に追いかけて、シリーズコンプリートとか、レアアイテム見っけとか、作品論を語り始めるとか、愛好家の話を喜んで拝聴するとか、自分で喜んで小道具を作ったり映像編集したり、まあ道はそれぞれだが、とにかく過剰な心意気で作品を追いかけて、一家言ぶてるほどの執着を持つに至った愛好家がマニアだもんな」

翔花「NOVAちゃんの中でのファンとマニアの違いね」

NOVA「まあ、マニアにもいろいろなレベルがあるが、1983年だとまだレンタルビデオ業界も発展しておらず、そもそも必殺シリーズのビデオ商品なんて物も、その段階では存在しなかったはずだし、俺がビデオで必殺シリーズを追いかけるようになったのは、平成に入って大学生になってからの話だ。よって、それまでの必殺旧作追っかけの手段はTVの再放送に限られる。俺の記憶では、初めて見た必殺旧作は日曜の昼に地元ローカルのサンテレビの再放送でやっていた『必殺商売人』となる」

NOVA「で、商売人については、まだ必殺初心者の頃に再放送で見たわけだが、その内容をよく理解しておらず、後年(2009年)に再び再放送で見た話がここからになる」

NOVA「2009年の過去記事読んで、ついでに仕事人2009の昔書いた過去記事なんかを読むのも一興だなあ、なんて思ってるわけだけど、実は必殺シリーズの歴史懐古は昔、いろいろ書いているんだよね」

翔花「わたしたちが2018年に誕生して、ここのブログがNOVAちゃんと花粉症ガールのお喋りモードになる前から、NOVAちゃんは必殺追っかけを続けていた、と」

NOVA「だから、去年が俺の必殺追っかけ歴40周年だってことだよ。で、必殺シリーズの歴史を時系列順に語っても、今さら芸がないと考えているわけだから、テーマ別に記事書きして、今回は『女の仕事人ほかの裏稼業』で語り尽くそうとしているわけだな。棗さん登場記念でもあるし、小五郎の引退ということで、シリーズ継続が危ぶまれている中での総括とか、俺視点での必殺追っかけ史みたいなものも混ぜている次第だ」

晶華「時系列順なら、『うらごろし』→『仕事人』→『仕舞人』に続くところを、『渡し人』に行っちゃったのは、NOVAちゃん視点ってことね」

NOVA「そうだな。そして、サンテレビの再放送で『商売人』→『からくり人 富嶽百景殺し旅』→『暗闇仕留人』→『仕置屋稼業』ぐらいまでを追っかけつつ、『激闘編』時期の朝日放送の再放送で、『仕掛人』→『仕置人』→無印の『仕事人』などに続きつつ、87年にサンテレビで『うらごろし』も見たりしながら、少しずつ知識の穴を埋めて行ったわけだが」

翔花「再放送での追っかけは、地方ごとの放送タイミングに左右されるから、いつにどの番組をどの順番で見たかの感覚が、個々人ごとにズレて来るのね」

NOVA「同じ番組でも、中学時代に見たか、大人になってから見たかで感想が変わって来るものもありだからな。若いときに理解できなかったものが、10年後に味わいが分かるようになったり、誰か先達の感想に接して、そういう観点で見れば楽しめるのかあ、と開眼したりすることもあるから、作品に対して安易に駄作のレッテルは貼りたくないわけだよ。『自分にとっての傑作』は主張するけど、『自分にとっての駄作』を主張しても単に物を見る目がない(育っていない)だけ、というケースもあって、それは作品の罪ではなくて、自分が未熟なだけ(あるいはその作品を味わう素養の欠如)だからな」

晶華「でも、良い物と悪い物を峻別する目は必要よ」

NOVA「だから、評論家は良い物と悪い物の例を示しながら、良い物を教えてくれるのであれば建設的に学べるし、良い物の良さをろくに示すことなく、主観的な悪口をあたかも一般論のようにバラまくしか能のない輩は、話を聞くに値しないと俺は認識している。まあ、俺はせっかく作品を見るなら、楽しんで見たいわけだし、楽しめる要素を見出すことに喜びを感じる人間だからな」

翔花「だけど、楽しめない作品もあるでしょ?」

NOVA「まあ、好きなジャンルとか、作風とかもあるからなあ。それに、本当に美味しいものを食べた後だと、その味を繰り返し楽しみたいのに、他の同種の作品が見劣りするように思えて、その物足りなさの正体が何なのか探りたくもなる。そして、いろいろ追っかけているうちに自分の趣向を知って……別ジャンルにその要素を見出してセレンディピティを感じたり、自分が気付かなかった味わいを舌が肥えたから気付かされたり、逆に昔は好物だった濃い味付けがドギツく感じられて淡白な方向に好みが移ったり、作品論を語るにしても、料理を語るにしても、語り手の視点や感覚の変遷があったりする」

晶華「何だか難しいことを言ってるわね」

NOVA「簡単に言うと、夏の暑いときに食べるアイスクリームは美味しいが、冬の寒空の下で食べるアイスは美味しくいただけない。だけど、部屋の暖房がきいた場所で食べるなら、冬のアイスが季節外れなのに美味しく味わえたりもする。それを、単純に『冬にアイスを食べるなんてバカか?』と斬って捨てる人間に、アイス好きの人間は『冬アイスの美味しさが分からないなんて、可哀想な人間だ』なんて思ったりするわけだよ」

翔花「NOVAちゃんは冬アイス派?」

NOVA「いや、俺は夏冬関係なく、『食べたいときにアイスを食べる派』だ。アイスマニアじゃないので、自分から積極的にアイスを求める人間じゃないけど、アイス好きな人間を否定しないし、他人がアイスを美味しく食べているのにバカにするような輩は無粋だと思っている。ただ、世の中には自分が好まないことに対して、どうしようもなく攻撃的でバカにする人種がいるってことだ。こんなものが流行するなんて世も末だ。世の中を良くするために、私が間違った風潮を正さねば……と強烈な使命感に駆られがちな人とかな」

晶華「もはや、必殺話じゃないわね」

 

NOVA「おっと、『エセ評論家を斬る』みたいな話の流れになってしまったな。とにかく、軌道修正すると、中学時代に分からなかった商売人の良さは、大人になって多くのマニアな先輩諸兄の言論を土台に、少しは自分でも感じられるようになった。ただ、それには仕事屋稼業でのおせいさんの話の前提が必要だったし、夫婦の殺し屋という人情の機微が読みとれるほどの人生経験が必要だし、男女の仲のハッピーエンドで終わらないほろ苦さを受容する出会いと別離の人生経験も必要かもしれないし、作品を受け止められるタイミングがあると思うんだ」

晶華「だから、NOVAちゃん個人は、傑作・駄作の見極めはマニアほど慎重に、ってことね」

NOVA「時代が変われば、かつては駄作呼ばわりされたものが再評価されることもあるからな。ともあれ、前回、語っていた『渡し人』だけど、『商売人』がテーマとして掲げた夫婦というものを発展させて、殺し屋夫婦は幸せになれないという路線を見せたのがベテラン惣太で、被害者としての洗礼を経て殺し屋の世界に足を踏み入れた大吉夫妻は、新たに幸せになれる80年代の方向性を示したとも言える」

翔花「ああ、夫婦をテーマに『商売人』→『渡し人』につながるわけね」

NOVA「間にいろいろな作品を挟んだから気づくのに時間がかかったけど、自分にとっては、『渡し人』と再放送の『商売人』が同タイミングで視聴していたわけだよ。でも、今までこの両作は、自分の中ではつながっていなかった。ここに来て初めて、夫婦裏稼業の末路ってテーマで考えたときにつながったってことだ。両作を最初に見てから40年を経て、ようやくな」

 

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非・仕事人シリーズのヒロイン話(渡し人編)

今期最後の必殺懐古話(の予定だけど)

 

NOVA「さて、2月に入ったので、必殺話もそろそろ終わらないとな」

晶華「よく、ここまで語るネタがあるわね」

NOVA「むしろ、必殺ヒロインについて語るなら、仕事人以外の方がネタの宝庫だと思うな。仕事人は長らく密偵役のレギュラーだった加代さんや、中村主水の姑嫁のせんりつコンビ、それに山田五十鈴さんの枠が固定されているので、女性の殺し屋数が限られている。女性の裏稼業について語るなら、非・仕事人シリーズの方がネタが多いほどだ」

翔花「確か、仕事屋稼業から草笛光子さんの女元締めが始まって、1クール物のからくり人から山田五十鈴さんの女元締めが定着し、うらごろしから女性レギュラーの方が男性よりも多くなったって話を聞いたわ」

NOVA「元締め役だった草笛光子さんが中村主水と合流したのが商売人で、同じく山田五十鈴さんが主水と合流したのが仕事人。その後、第3の女元締めとして京マチ子さんが抜擢されたのが、必殺仕舞人のシリーズだ。旅芸人の一座が江戸以外で裏稼業を営む形式で、新からくり人以降の非・主水旅もの形式を受け継いでいるとも言える」

NOVA「歴史順に並べると、仕事人→仕舞人→新・仕事人→新・仕舞人→仕事人III……と続くわけで、最初の仕事人以降は、中村主水役の藤田まことさんのスケジュール空き期間を作るための非・主水シリーズが1クール分、仕事人の間に挟まる形で展開されるようになる。そして、どうしても仕事人中心で考えるなら、非・主水シリーズは場つなぎのための小品扱いされがちだが、『女性メインの裏稼業』『マンネリ化した仕事人に対して、いろいろなアイデアを試せる実験精神に富んだ佳作』『仕事人よりも奇抜な殺し技や演出』などで、シリーズの可能性を考える上では宝の山だと考えている」

晶華「仕舞人のテーマは『女の涙を晴らします』みたいね」

翔花「つまり、花粉症ガールと相性がいいってこと?」

NOVA「そして、この作品から歌手にして、女優にして、日本舞踏家の西崎みどり(現・西崎緑)さんが5作品の非・主水シリーズに連続出演して、マイ・ベスト必殺ヒロイン女優という道を歩むことになる」

晶華「あれ? 女仕事人の最高峰は何でも屋の加代こと鮎川いずみさんだと言ってなかった?」

NOVA「仕事人だけを考えるならそうなるが、昭和の必殺シリーズ全体を見ると、西崎みどりさんを抜きに語れない要素もいろいろあるんだよ。彼女のシリーズデビューは、第4作『暗闇仕留人』の主題歌、『旅愁』でまずは歌手としてのスタートだ。その時の彼女は弱冠14歳で、芸能活動は子役から始めて、作曲家・平尾昌晃先生の秘蔵っ子とも言われたそうだ」

NOVA「『暗闇仕留人』は1974年の作品だから、今年で50周年となる。そして、これまでの必殺シリーズが大体、殺しのシーンだとアップテンポのアクション曲が続いた中で、本作は『旅愁』アレンジのスローバラードの曲で、殺しのシーンが演出される。それと、主役の石坂浩二が演じるインテリ蘭学者・糸井貢の悩み多きドラマ、そして愛する妻を殺され、最終話で自身も非業の死を遂げた展開で、全体的に湿っぽいストーリーが特徴だけど、後期の仕事人にはなかなか見られない殺し屋の葛藤や悲劇的な末路、そして要所要所で挿入歌としても流される『旅愁』の演出などが相まって、歴代必殺シリーズの中でも人気の高い作品だ」

翔花「ふうん、話が遡ってる気がするけど、50周年記念なら納得ね」

NOVA「で、西崎さんはこの仕留人の最終話で、悪役の娘としてゲスト出演している。父親の悪業を知らない純朴な娘で、糸井貢が彼女の絵の先生として関わりのある関係だ。悪人と言えども、娘にとっては良き父親であり、また貢にとって大願とも言える開国派の役人だったために、殺しに迷いが生じた貢は返り討ちにされてしまうわけだな。

「また、父親を失った娘の悲劇も映し出して、遺体が海に流される貢と、自身の歌う主題歌をバックに孤独に巡礼の旅に出る西崎さんの姿で、話が終わる流れ。もう、『暗闇仕留人』で一話限りのゲスト出演とは言え、主題歌と合わせた西崎さん(弱冠14歳)のイメージが作品の雰囲気を引き立てたと言っても過言ではない。本当に、暗闇仕留人の最終話は、主水が初めて味わった仲間の死とも相まって、必殺マニアの間では大いに語り草となっている」

晶華「なかなかハードな話みたいね」

NOVA「時代背景が、ウルトラマンレオと同じく石油ショックで陰鬱世相の真っ只中だからな。仕置人のテーマが晴らせぬ恨みを晴らす怒りを強調しているのに対し、仕留人は主人公に殺しの虚しさを語らせている。そこから主水の本格的な『稼業としての殺し』に続くのが仕置屋稼業で、黒船が来た世相を巻き戻すなどの背景リセットを行いつつも、1人の殺し屋としてのドラマは継続されて、必殺マニアの研究ネタとなっていくわけだけど、それはさておき、その後の西崎みどりさんだ」

翔花「今回のメインヒロインは、西崎みどりさん?」

NOVA「ああ。俺が必殺シリーズで初めて、『萌え』という感情を意識した女優さんが西崎さんということになるな。当時は、そういう概念がなかったけど、とにかく西崎さんは清楚な美人のお姉さんという形で、『渡し人』で初めて見たときから必殺女優として注目していたんだ」

晶華「NOVAちゃんの必殺初恋ヒロインってこと?」

NOVA「まあ、当時はそういう意識はなかったけどな。ただ、後から振り返ると、西崎さんという女優にして歌手の声や演技に惹かれていたのは事実だと思う。後に『仕切人』で山本陽一演じる日増(通称スキゾー)というキャラとコンビで、火薬を使った殺しの前の陽動役を担当する形で、言わば順之助と加代コンビみたいな形の役回りを担当するんだが、順之助にとって加代が保護者的なおばさんだったのが、スキゾーにとっての西崎さん(役名はお清)は『おねぇと呼んで、スキスキと求愛する対象』だったわけで、この加代との扱いの違いは何だろうと思っていたんだが、役者の年齢が当時24歳ということか、と後年納得した」

翔花「加代さんに比べて、若いってことね」

NOVA「加代さんも美人女優で、それでも三田村さんより2歳上、西崎さんよりは9歳上ということになるのか。まあ、年齢差が9歳なら、加代さんがおばさんで、西崎さんはおねぇ扱いってことも納得かな。とりあえず、西崎さんと同年齢の有名女性だと、大場久美子山本百合子鶴ひろみ浅野ゆう子麻倉未稀、美保純、涼風真世黒木瞳石田えりなどなどとなって、俺の世代だと憧れても不思議じゃないわけか。まあ、俺にとっての当時のアイドルは中森明菜で、もう5歳年下になるんだが」

晶華「その世代だと、誰がいるの? NOVAちゃんのツボは?」

NOVA「佐久間レイ小林靖子さくらももこブルック・シールズ緒方恵美沢口靖子河合その子松本伊代、渡辺典子、大谷育江橋本潮柏原芳恵……と言ったところか。まあ、アイドルとしてファンになったというわけじゃなく、80年代に露出が高くて印象的だった歌手とか女優、それと90年代以降にクリエイターとして作品を楽しんだ女性に分かれているか。もう少し後になると、南野陽子が出て来るし、俺と同じ年齢の必殺女優は、剣劇人の工藤夕貴ということになる。まあ、当時は自分と同じ年齢=女優としては幼いというイメージで、TVに出る芸能人として憧れの対象になるのは5歳から10歳ぐらい上ということになるか。

「まあ、俺が初めて惚れた映画の登場人物の1人は、『メカゴジラの逆襲』に出てきたサイボーグ少女役の藍とも子さんと記憶するんだが、役者に惚れたというよりも役柄に惚れたという形だな。仕事人IIIでも順之助主役回で、被害者のお姉さん役で出ているので、悲劇女優に感情移入してしまう気質はあるらしい」

晶華「涙に惚れやすいのかもね」

NOVA「否定しない」

 

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続々・必殺仕事人本の話(竜の完結編)

最後の『最後の大仕事』話

 

NOVA「一記事で、政と竜の話が終わるかな、と思ったら、予想よりも長引いたので、竜の話を切り分けての完結編だ」

翔花「秀さんだけで二記事ぐらい書けるって言ってたけど、割愛したのよね」

NOVA「ああ、秀は最初の仕事人(79〜81年)と、新・仕事人〜Ⅳまで(81〜84年)と、映画の必殺3で復活してからの、まっしぐら(86年)と、激突(91年)で細かいキャラ付けが違っているので、いろいろ語ろうと思うと、ネタがたくさんあるんだよ。まあ、インタビュー本の主流は、最初の仕事人からⅣまでの5年間で、まっしぐら以降は触れられていないんだけどね」

晶華「撮影がきついから、と足抜けした秀さんがどうして帰って来たの?」

NOVA「役者としては必殺に限らず、舞台とかいろいろな仕事に触れたかったから、という理由もあって、必殺をやめる際にはプロデューサーさんとあれこれややこしく揉めたそうだけど、映画の撮影に際して、工藤栄一監督に来てくれ、と呼ばれて、その流れでまっしぐらにも出たらしい。工藤監督は、秀にとっても、政にとっても重要な恩人だったみたいで、どちらのインタビューでもいろいろ持ち上げてたほど」

翔花「どんな人?」

NOVA「仕事屋の最終話とか、からくり人の最終話とか、とにかくハードな作風に定評がある。映画の必殺3の予告編を見るだけで分かるだろう」

晶華「なるほど、からくり人を全滅させたり、組紐屋の竜さん他2名の仕事人を映画で殺した監督さんね」

NOVA「俺が必殺を見始めた時は、いわゆるバラエティ路線になっていて、この人は撮らなくなっていたんだが、映画の必殺3でハードな活劇スタイルに初めて触れて、ええって驚いて、後から集団抗争時代劇の名手という評価を聞く。必殺以外の代表作の一本が『十三人の刺客』だそうだ」

NOVA「2010年には、三池崇史監督の手でリメイク版が公開された、とも」

晶華「って、今回は組紐屋の竜さんの話のはずなのに、どんな話の転がし方をしているのよ!?」

NOVA「転がるものは仕方ないだろう。まあ、とにかく今は……前置き完」

 

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続・必殺仕事人本の話(政・竜編)

今回は84年以降

 

NOVA「さて、年末放送からの流れと、先週に発売された仕事人インタビュー本のネタも交えて、俺個人の必殺愛や蘊蓄を語る記事の続きだ」

翔花「もう、飽きちゃったよ」

NOVA「俺は飽きてないから、まだ続く」

晶華「私としては、さっさと妖精女王ズの続きをして欲しいけど、NOVAちゃんが必殺こじらせ脳から脱却しないと、必殺妖精稼業になっちゃいそうなので、とりあえずは必殺成分を吐き出してしまわないといけないのよね」

NOVA「必殺妖精稼業か。悪くない企画だな。で、表の稼業は花屋か? 花の枝で首を刺すのだと本家とかぶるから、ここは蔓による絞殺技がいいかもな」

晶華「はいはい、絞殺技も、花弁カッターもなしね。よけいな寄り道はしないと、さっさと必殺を語り尽くして、年末からの宿題を片付けましょう。黙って聞いてあげるから」

NOVA「いや、一人語りだけじゃ寂しいから、適度なリアクションをお願いしたいんだが。そのためのアシスタントガールだろう?」

翔花「花屋さんの話なら聞いてあげるわ。スカイライダーさんから、花屋、そして鍛冶屋に転職して、必殺を卒業してから改めて時代劇に開眼したという村上弘明さんね」

NOVA「89年の『月影兵庫』が契機と言ってるな、村上さんは。俺は月影兵庫を見ていなくて、その後の『付き馬屋おえん』を疑似必殺と思って見ていたわけだが」

晶華「また、知らない時代劇に脱線しようとしてる〜」

NOVA「今、村上さんの月影兵庫と、付き馬屋の動画を探してみたが、マイナー過ぎて見つからない。仕方ないので、必殺亜種として名高い『影同心』を紹介だ」

NOVA「東映の必殺コピーとして、『必殺必中仕事屋稼業』の移動した番組枠の後釜を狙った作品が作られた。それが影同心だ。東映の時代劇YouTubeで第1話と2話がアップされているので、必殺の歴史マニアはチェックしてもいいだろう。朝日放送の故・山内久志プロデューサー(必殺の生みの親とされる御仁の一人)を激怒させて、対抗馬として本家・中村主水を基軸とした長期シリーズ化の火付けを担った作品と言われる」

晶華「??? どうして、花屋の政さんの話をしようという時に、影同心なんてパクリ作品の話をするの?」

NOVA「いや、それがな。花屋の政の殺し技が、影同心IIの香月尼(演・浜木綿子)の殺し技のコピーなんだ。中村主水の設定をパクられたから、9年経って、花屋の政の技でパクリ返す。それぐらい経てば時効だろうということだな。花屋の政を語るには、影同心IIの存在は欠かせない、と俺は思ってるぜ」

翔花「つまり、殺し道具に花を使ったのは、影同心IIという前例があったわけね」

NOVA「なお、必殺シリーズ影同心の対決は、一部地域で仮面ライダーの放送枠を乗っ取ったゴレンジャー誕生と同じ1975年のネットチェンジ(腸捻転解消)というトピックと同じ背景だから、やはり仮面ライダーの村上さんと全く無縁の話じゃないってことだな」

晶華「無理やり、話をつなげているだけじゃない?」

NOVA「つながる物は仕方ないだろう?」

晶華「そうやって、都合よくつなげるから、寄り道脱線脳って言われるのよ」

翔花「とにかく、帰って来れなくなる前に、花屋の政さんの話に行くわよ。花だけに、花粉症ガールが仕切らせてもらうわ」

 

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必殺仕事人本の話withドンブラ

書籍を読んでいるので

 

NOVA「今回は、必殺の非仕事人シリーズのヒロイン話を、西崎みどりさんや京マチ子さん辺りから語ろうと思っていたけど、読んでる本に影響されて、こっちの話になった」

翔花「そんなことよりも、大事な話がある!」

NOVA「何? 俺の必殺愛よりも大事な話があるだと?」

翔花「チッチッチ、NOVAちゃんの必殺愛は、このブログでは2番めだ」

NOVA「だったら、1番は何だと言うんだ」

翔花「ヒュー、これさ」

NOVA「くっ、俺の必殺愛よりも、翔花のドンブラ愛の方が上だと言うのか? ガクッ」

翔花「フッ、今からここは、ドンブラが乗っとる」

NOVA「分かった。潔く負けを認めて、ドンブラに話を譲ろう。ゴールデンウィークの『王様VS暴太郎with獣電戦隊』の話をたっぷりしてくれ」

翔花「え? そんなに話すネタはないよ。速報が出て来た以上のことは、わたしも知らないし」

NOVA「ってことは、さっきの宣伝映像だけで終わり?」

翔花「うん、今から春が楽しみだね。当記事 完」

NOVA「って、宣伝だけして、期待だけさせて、勝手に話を終わらせるな。せめて、戦隊カテゴリーを付けるだけのネタを用意してから、記事を乗っとれよ」

晶華「乗っとっていいんだ」

NOVA「いや、良くない。軌道修正は図らないといけないが、まあ、俺も特撮者として、宣伝には協力してやらないとな」

晶華「その本は、去年の3月発売なので、そろそろ賞味期限切れよ。年が明けたんだから、新しい本を貼り付けないと」

NOVA「表紙は出ていないが、2月16日発売かあ。センターにブンブンジャーが出ているんだろうなあ」

翔花「ブンブンジャーなんて、どうでもいいし。時代はドンブラよ」

NOVA「いや、1年前ならともかく、2年前の古いのを貼りつけてんじゃねえよ。ここの読者が、間違えてアマゾンで購入したらどうするんだよ?」

翔花「NOVAちゃんが、アフィリエイトで得をする?」

NOVA「しねえよ。商品画像は時折り貼りつけているけど、うちからのリンクで購入されたことはほとんどないんだ。俺はアフィリエイトで儲けてない」

晶華「商品の宣伝が下手ってことね。もっと読者の皆さんが思わず、商品を買いたくなるような文章を書かないと」

NOVA「俺は金儲けのために、戦隊ファンをやってるんじゃねえ。ともかく、ドンブラ表紙の22年版は、ドンブラファンにはお勧めしない」

翔花「どうしてよ?」

NOVA「タイミング的に、ドンブラが番組開始した時期の本だから、ドンブラ情報が少ないんだよ。ドンブラファンなら、キングオージャーがセンターの23年版を買った方がいいし、王様ファンならブンブンジャー表紙になると思える2月発売の最新24年版を買う方が、情報が充実しているのでお勧めだ」

晶華「ドンブラファンなら、素直にこっちを買った方がいいと思うけど?」

NOVA「こっちもいいかもな」

 

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女仕事人話・完結編

前置き・リュウ

 

NOVA「さて、前回で『何でも屋の加代』の話に到達して続いたわけだが、現在の仕事人ではリュウが何でも屋と言うべき動き方をしている」

晶華「確かにそうね。wikipediaで調べると、見習い僧侶→賭場の雑役夫→蕎麦屋の手伝い→見習いテロリスト→治療院の患者(ケガをした後なので無職に見える)→庭師→屋台の蕎麦屋の手伝い→魚屋→橋工事の人足という職業遍歴を辿っているわ」

NOVA「転職RPGウォーハンマーだと、いろいろと細かい技能をかじってそうだな。ええと、アカデミックな方面で見習い僧侶から始めてみたはいいけど、道を踏み外して賭場で働いてみたが、どうも性に合わないので小料理屋の手伝いをしてみたら、何だか記憶を失って、おそらく、その時点でリセットされた。

「で、テロリストとして戦闘技能を強化した後で、身が軽いのを活かして庭師を務めながら、将来は花屋になろうかと思ったら、塾の先生が悪党なのを見てアカデミックな方面に嫌気が差して、肉体労働の方が向いていると開き直ってみたら、瓦屋さんに誘われて、蕎麦屋の手伝いもしていたことがあったから、これ幸いと屋台仕事を頑張ってみたら、鬼面風邪が流行して外食産業が厳しくなって、食材を売って自炊の方がマシかと川魚を運んで食いつないでいるうちに、川辺の橋作りに縁ができた……ってところだな。こういう経歴で、果たしてどんな技能を得たんだろう?」

翔花「見事に行き当たりばったりね。とりあえず、身が軽いから屋根の上でできる仕事として、瓦屋さんとか大工さんとか、建築関係が向いていると思うの」

NOVA「鳶職か。あとは火消しって方向性もいいかもな。一応、食べ物関係はグルメの涼次の伝手で紹介してもらった可能性があるし、僧侶系なら薬草治療の技能を習得していてもおかしくない」

晶華「TRPGなら、僧侶系だと回復呪文が使えるんだけど、必殺シリーズにはそういうのってないのね」

NOVA「呪文じゃないけど、坊主頭の鍼医者とか骨接ぎ師とかは初期の定番だったし、何よりも当時の僧職は知識人として故事来歴に詳しいとか、田舎の僧だと農業技術や治水技術などの実務漢籍を読み込んで村の生き字引的な尊敬を集めているケースもなくはない。リュウも多分、TRPG的な能力値は高い方だと思うが(体力、器用さ、知力、カリスマなど弱点らしい弱点がない)、幸運度は致命的に低いんだと思う」

翔花「え、幸運が低いの?」

NOVA「運が悪くなければ、着地に失敗して頭を打って記憶を失ったり、タガネ殺しでトドメが刺せなかったりしないって。たぶん、ダイスを振って、思いがけずピンゾロが出たんだな。キャラの幸運判定に失敗したのか、プレイヤーのダイス目がここぞというところでファンブルを起こしてしまうのか、背景の事情は分からんが、とにかく出目が荒れる傾向があるのは確かだ」

晶華「って、TRPG脳で考えるのはそれぐらいにして、NOVAちゃんはリュウ君にどうあって欲しいの?」

NOVA「定職に就けってのは、彼の個性をつぶしてしまう気がするな。シナリオの展開に合わせて、自由に職を転々とできるのは、彼の強みかもしれないと思い直した。でも、ただのリュウじゃ、仕事人としての箔が付かないので、何らかの二つ名が欲しいところだ」

翔花「フリーターのリュウ

NOVA「それで箔は付かないだろう。せめて日本語にしろよ。ええと、自由或売多(フリーアルバイター)のリュウとかどうだ?」

晶華「カタカナに無理やり漢字を当てはめているだけじゃない? ええと、無職のリュウ?」

NOVA「色が付かないという意味で、無色のリュウってのもいいかもな。『色即是空、我が色はすでに無なり、空なり。無ゆえにその存在は定まらず』とか言うと、元僧侶っぽく聞こえるし、忍者っぽくて格好いいかも」

翔花「無色のリュウねえ。意味を説明しないと分かりづらい二つ名はどうかと思う。それよりも演じる役者さんの名前になぞらえて、知念のリュウってのは? これはこれで僧侶らしいと思うし」

NOVA「なるほど。念仏の鉄がありなら、知念のリュウもありかもしれないな。少なくとも、アニメの一休さんの先輩たちは、秀念さんとか陳念さんとか黙念さんだったし(他は哲斉さんと哲梅さん)、念が付くのは僧侶っぽい。よし、ここでは以降、彼のことを特別に『知念のリュウ』と呼称することにする。これで始末人の『見習い大工のリュウ』とは区別が付くぞ」

 

晶華「で、前置きはどこまで続くの?」

NOVA「そろそろ、リュウの話にも結論を出しておこう。今年10年が経った知念のリュウ君だけど、仲間の死という経験は前回の陣八郎が初めてなんだな。小五郎、涼次、お菊は源太の死を経験しているけど、リュウだけはその気持ちをどう処理していいのか分からない。ここで、思い出すのは、MCUで『師匠格のアイアンマンのスタークさんを失ったスパイダーマンのピーター・パーカー』なんだけど、とりあえず陣八郎のタガネを使った殺しは、リュウなりの供養とか再出発の禊の儀式的な意味もあったのかもしれない。だけど、それで仕事を失敗したわけだから、仕事人を続けるか辞めるかまで、気持ちが追いつめられたりもする」

翔花「うん、だけど最後には復帰したわね」

NOVA「この復帰は、リュウの成長を描いているのかどうかは、次回作を見ないと分からないけど、少なくとも、『小五郎のピンチに助っ人に入った』のは事実だ。これまで、小五郎が仲間の誰かに仕事で助けられた描写はなかったので、今回のラストは『一番ベテランの仕事人が、一番のひよっ子に助けられた』ことになる。このことをもって、リュウが仕事人として一皮むけたと解釈することも可能かもしれないし、2014の登場編を除いて、ドラマ的接点の非常に薄かった小五郎とリュウの絡みが久々に描かれたことで、チームの雰囲気がまた変わる可能性もあるかもしれない。ただし、これで小五郎の退場になるなら、最後の絡みという形で新人がベテランを見送ったという象徴的な意味づけとも考えられる」

晶華「今回の描写の意味づけは、次回作以降の展開を見ないと、下手な断定はできないってことね」

 

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