魔法工房、浮上
GM(セイリュウ)「前回は、いろいろと道に迷って紆余曲折を経たものの、何とかケットシーのドリアを見つけ出すことに成功した。今回は、その後始末を果たすとしよう」
ミリィ(晶華)「5日めの夜から深夜にかけて、風車の谷で恩猫のドリアさんのための送別会が催されたのね」
GM「うむ。送別会であると共に、今後、谷の村とおもてなし亭の交流を祝い、かつ優秀な冒険者と目されたお前たちを歓迎する意味も込められている」
マークス(ケイPマーク2)「ほう、そうなんですか」
GM「宴の主賓であり、村人の信望篤いドリアが、お前たちのことを『私の試練を乗り越えた見込みある冒険者』であり、今後、村で問題が生じたときは『精力的に解決してくれる良き同志』として紹介したからな」
サイバ(NOVA)「それは過分な御引き立てと感謝しつつ、『ぼくたちに面倒なことは押し付けるつもりだってことだな』と小声でドリアに抗議するよ」
ドリア『だって、私を谷から連れ戻すのなら、それぐらいの埋め合わせをしないと、谷の皆さんも納得しないですのよ。私は谷に貢献して、皆さんから愛されていますからね』
ミリィ「大丈夫。ドリアさんの名声をあたしが引き継げば、いずれ女王として君臨するのにも役に立つはず」
ドリア『あなたが女王? ずいぶんとのぼせ上がったことを言うのね。この娘は』
ミリィ「天才の凄さは、ネコには分からなくても当然だわ」
ドリア『そういうことは、私のレベル7を越えてから言うことね。今のあなたでは力不足は明らか』
ミリィ「もちろんよ。あたしが女王になるのは未来のことだから、今はその夢に向けて修行中。あたしは栄光と希望を信じて、妖精郷のみんなを助けてシャイニー&ワンダーに生きるのよ」
ドリア『だったら、谷のためにも働いてくれるのね』
ミリィ「この谷の人たちも、あたしの王国の民なのだから、当然よ」
ドリア『ふうん。献身的に民に尽くす王を目指すのだったら、女王見習いの従僕1号として認めてあげるわ』
ミリィ「あたしをブラウニーと一緒にしないで」
GM「……とドリアとミリィが親交を深めているうちに宴が終了し、翌朝、お前たちは風車の谷を後にした」
ミリィ「6日めの朝は煙草好きの森を通過するわね」
GM「ランダムイベント判定をせよ」
マークス「6はセーフですね」
ミリィ「じゃあ、6日めの昼におもてなし亭に到着」
マークス「その前にランダムイベントが発生しました。イベント内容を決める1Dの出目6は、既出なので振り足して10です」
GM「道端に一輪の赤い花が咲いている。その花は摘んで欲しそうに揺れている。花を摘むか?」
マークス「お嬢さまのために……」
ミリィ「いいえ、あたしが摘むわ。妖精郷の花は、あたしの花なんだから」
GM「すると、やがて『見たことのあるだれか』が走って来て、ミリィの目の前で転んで泣き始めた」
ミリィ「何よそれ。うっとうしい……と思いながらも、あたしは優しいので手を差し伸べます。泣いてちゃダメよ。ハッピーの妖精が逃げて行っちゃうんだから」
だれか『ハッピーの妖精?』
ミリィ「そう。あなたが情熱をもって、涙に曇らず光り輝いていれば、ハッピーの妖精とシャイニーの妖精が味方してくれるの」
だれか『お花、きれい』
ミリィ「欲しいの?」
だれか『うん』
ミリィ「仕方ないわね。これは未来の女王の花なんだから。あなたがハッピーとシャイニーを信じるなら、特別にプレゼントしてあげる。大事にしなさいよね」
だれか『ありがとう。ハッピー、シャイニー、未来の女王……あたし、祝福されたのね』
GM「その『だれか』は、どうやら昔のカシュミーラらしい、と今のミリィは何となく思い出した。どこか知らない異世界に迷い込んで、そこで美しい年上の女性に祝福された夢の記憶。★2つを進呈しよう」
ミリィ「つまり、時空を超えて、あたしは自分で自分を祝福したのね。さすがはあたし」
GM「そんな薄ぼんやりした幻想を経て、お前たちはおもてなし亭に到着した。さっそくドリアはおもてなし亭の魔法工房を湖から浮上させ、2人のブラウニーと共に工房に入る。『ブラウニーが2人だけだと、まだまだ手が足りないので、5000MM分のマジックアイテムしか作れませんわ。もっと良いアイテムが欲しければ、人手を増やすことね。それと、お菓子作りのための蜂蜜も集めて来てくれればいいんだけど』と早速、要求してくる」
サイバ「蜂蜜集めは、推奨レベル3以上のミッションだな。今はまだ後回しだ」
GM「ということで、ドリア探しのミッションも、これで完全に終了して、シナリオ終了だ。例によって、わしは寝る。その間に、お前たちは成長の儀をしておくがいい。ZZZ」
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