Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

「必殺仕事人(2023年末)」と、女仕事人話

今年は仕事人45周年

 

NOVA「さて、年末仕事人の感想よもやま話だが、今年は無印仕事人(1979)の放送開始から45周年だ」

NOVA「それを記念してか、来週こういう本が出版されるそうで、今から楽しみにしている」

翔花「ええと、この本は?」

NOVA「2年前が必殺仕掛人放送開始(1972)で必殺シリーズ50周年、去年が必殺仕置人(1973)で中村主水誕生50周年で、こういう回顧本が続けて出版されて来たんだな」

必殺仕置人大全

NOVA「で、必殺シリーズを大きく4つに分類すると、まずは72年の仕掛人から78年の14作め、うらごろしまでを前期シリーズと呼ぶ。ぶっちゃけ仕事人以前のシリーズだな」

晶華「仕掛人、仕置人、助け人、仕留人、仕事屋、仕置屋、仕業人、からくり人、からくり人・血風編、新・仕置人、新・からくり人、商売人、からくり人・富嶽百景殺し旅、うらごろしの14本ね」

NOVA「おお、それを全部素で言えるのは、マニアの第一歩だな。成長したじゃないか」

晶華「さすがに素では言えないわよ。wikipediaに載ってるのを読み上げただけだし、中身はよく知らない」

NOVA「念仏の鉄ぐらいは知ってるだろう?」

晶華「誰それ?」

NOVA「お前、仕置人の主役だろうがよ!」

晶華「え、主役は主水さんじゃないの?」

 

翔花「わたし、知ってる。確か、骨つぎの人よね。レントゲンで骨外しする殺し技が有名」

晶華「ああ、それなら知ってる。ええと、その後、心臓をつかんだりもしてたよね」

NOVA「それは鉄じゃなくて、仕留人の石屋、村雨の大吉だな。なお、俺が初めて見たレントゲン殺しは、渡し人の大吉の腸つかみだったが、演じた渡辺篤史さんが後年に視聴した仕置屋や仕業人の捨三として、主水さんの下っ走りをしているのを見て、当初は違和感を覚えたものだ」

晶華「よく分からないマニアックな話は置いておいて、仕事人の話をしましょうよ」

NOVA「仕事人と言えば、秀と、畷左門さんと、質屋の加代さんのデビュー作だな。シンケンジャーのおでんネタは爺役の伊吹吾郎さんが演じた畷左門さんに通じる」

晶華「左門さんは、よく知らないけど、仕事人と言えば、かんざしの秀、三味線屋の勇次、花屋(鍛冶屋)の政、組紐屋の竜でしょ?」

NOVA「その辺が最盛期で、一番メジャーなのも確かだけどな。でも、西順之助を忘れるな。今度の必殺本のコンテンツに、ひかる一平さんのインタビューが入っていないのが残念だ。いや、秀、勇次、加代、政、竜の5人だけでも十分ワクワクもので売りになるんだが」

翔花「放っておくと、どこまでもマニアック街道を突き進みそうなので、交通整理してみるね。仕事人以前がマニアな人には、前期シリーズと呼称されている。79年の仕事人から中期シリーズ?」

NOVA「いや、後期シリーズだ。一度シリーズが終了した90年代に入って、謎本ブームで必殺シリーズ研究も活性化した歴史があったんだが、ハードシリアスな殺し屋物語の前期と、コミカルバラエティ化した軽妙種脱な仕事人メインの後期に分かれた分析が定着していた」

 

仕事人シリーズの歴史

 

NOVA「さて、必殺シリーズ最盛期は、79年の仕事人から87年にレギュラー放送が終了した必殺剣劇人までの期間。とりわけ秀&勇次コンビから政&竜コンビに切り替わる82年から85年、仕事人IIIからV前後だと思うんだが」

晶華「それまでは、新・◯◯人というタイトルで、続編が一つあって終わるのに、III以降、延々と仕事人シリーズが量産されて行ったわけね」

NOVA「前期では、からくり人シリーズが4本あったんだが、いずれも1クール13話前後のショートシリーズだからな。ユニークな殺し技の作品が多くて、後年マニアネタとして人気が高いんだが、王道として人気の中核を担ったのは、やはり中村主水を表看板に、若手アイドル俳優の人情ドラマと派手なアクション活劇と、清涼剤的な定番コミカルコントを売りにした仕事人にシフトしていくのが80年代だ」

翔花「要は70年代と80年代で、作風が大きく変わるのね」

NOVA「で、マニアは前期を高く持ち上げ、人気沸騰した後期(新参のファンが入門してくる)を大衆迎合した堕落した作品だと、見下す傾向にあるのは、どういうジャンルでもよくある現象だな。有名なのは、セブンまでの1期を持ち上げ、新マンからレオまでの2期を酷評したウルトラ評論家だけど、90年代に入って2期が再評価され、21世紀になるとタロウやレオが教官や師匠として持ち上げられることとなる」

晶華「10年経つと、ファン層も入れ替わったりするから、新しいものを見て育ったファンが自分たちの研究活動を発信する立場になって、低評価された作品群を再評価することもあるわけね」

NOVA「俺は初必殺が仕事人IIIで、それ以前は後からの再放送や書籍、映像ソフトで補完してきた人間だから、一番愛着あるのは、83〜85年の時期なんだな。ちょうど必殺とゴジラリバイバルが重なって、自分の意志と小遣いで劇場映画を見に行くようになったのも、その時期だ」

NOVA「84年の映画『THE HISSATSU』が当時の必殺ブームの象徴だったと思うが、俺の中では必殺映画の中でも、これが最高傑作だな。以降の作品は、コミカルバラエティに振り切りすぎた2作めと、ハードシリアスに振り切って多くのTVレギュラー殺し屋の死まで描いて後味悪かった3作めを経て、ちょっと好みとは言い難いなあと思っていたら、千葉真一さんのアクションと融合した4作めがツボに入り、結論。映画は1作めと4作めが大好き。まあ、他の作品もそれぞれ見所はあって語れるポイントはあるんだが、TVのレギュラーを劇場版で殺す作品は素直に好きとは言えないな」

晶華「誰が殺されたの?」

NOVA「必殺3で、組紐屋の竜と、壱および参が殺されて、必殺5で鍛冶屋の政が死神博士と相討ちになって死んだ。その後、主水さんも一回死んだ」

NOVA「95年の年末にゴジラデストロイアと戦った後で、メルトダウンを起こして消滅した翌年96年に、我らが中村主水さんも津川雅彦さんといっしょに爆死した……はずだった。今となっては黒歴史な映画だけどな」

晶華「ええと、87年の剣劇人でシリーズは一度、終了したのよね」

NOVA「いや、シリーズは続いたよ。終了したのは、毎週末のレギュラー放送で、それから後も2時間ドラマで必殺スペシャルと称した作品が続いて、年に2〜3回ぐらいの頻度で続いた流れで、レギュラー放送の『必殺仕事人・激突!』が91年に放送された。そして92年に番組終了して、TVスペシャルもなくなった後で、96年に主水シリーズの最期となったわけだ」

翔花「それで終わり?」

NOVA「いや、97年に新シリーズ『必殺始末人』が劇場映画および映像ソフトで制作される」

翔花「ガッチャードのお母さんが昔、殺し屋だったってことね」

NOVA「ここで、ジャニーズのたのきんトリオとして一世風靡したトシちゃんが、主役の剣豪殺し屋・山村只次郎を担当したことが、後にジャニーズ後輩だった東山紀之さんが渡辺小五郎の系譜につながると思えば、2007以降の仕事人・小五郎シリーズが必殺4期、そして剣劇人終了後から90年代の時期を必殺シリーズ3期と俺は分類するな」

晶華「ウルトラシリーズで言えば、レオさんまでが第2期で、ジョーニアスさんと80さんと、その他、ティガさんが始まるまでを第3期(79〜95年)、ティガさんからメビウスさん(および大怪獣バトル)までを第4期(96〜2008年)、ゼロさん以降のニュージェネレーションを第5期(2009年〜)と称するようなもの?」

NOVA「その辺の区分をどこで区切るかは、諸説あるだろうけど、第3期はレギュラー番組が少なくて、後年、黒歴史化しやすいという意味では、ウルトラ史における79年〜95年と、必殺史における88年〜2006年までは似たようなシリーズ谷間の時期(3期)として比較対照できるかもしれないな。逆に、マニアックな再評価が求められている頃合いかもしれんが」

翔花「小五郎さんのシリーズは、2007年から2023年まで続いて、これが4期に当たる?」

NOVA「惜しむらくは、ウルトラシリーズみたいなクロニクル作品が作られないことだな。歴代殺し屋列伝みたいなのを若手のリュウが研鑽して学ぶ『必殺クロニクル』とか『必殺ニュージェネレーション』みたいな番組が年間通して、毎週あれば、いいんだと思う。素材はいっぱいあるんだから」

晶華「『歴代レントゲン特集』とか、『殺し屋の最期を見届ける日』とか、『仕事人大集合』とか、いろいろと解説してくれるわけ? 誰が見るのよ、そんな番組?」

NOVA「俺は見たいけど、どちらかと言えば、YouTubeネタだろうな」

翔花「もし、『必殺ジェネレーション』みたいな番組を作るとして、ゼロさんみたいなナビゲーションキャラを用意しないといけないわね。誰かいい人いる?」

NOVA「永遠の素人仕事人と認定したリュウがあれこれ、昔の必殺を質問して、それを解説する必殺マニア的なキャラが欲しいな。やはり、ここは、ひかる一平さんを起用すればいいんじゃないか? 『仕事人に憧れている』なんて発言したキャラは彼ぐらいじゃないか?」

晶華「いや、ここで、マンガ家のゆでたまご先生に来てもらいましょう」

NOVA「いや、ゆでたまご先生は、今、新しいアニメや、マンガで忙しいはずだから」

 

翔花「え? ゼロさんが今度のキン肉マン?」

NOVA「おお。そして旧キン肉マン神谷明さんが、師匠のカメハメの声や、親父の先代キン肉大王・真弓の声で帰ってくるらしい」

晶華「へえ、まさにゴッドボイスってところね」

NOVA「まさか、うる星の面堂に続いて、神谷声の後継者を宮野さんが演じるとはな。スパロボ者としても、ウルトラ者としても、宮野さんの躍進ぶりは応援したいところだ」

翔花「だったら、宮野さんにも必殺に出演してもらって、48の殺人技で悪人を倒してもらいましょう。そして、ゆくゆくは『必殺ジェネレーション』のナビを担当してもらって。そうすれば、ゆでたまご先生も喜ぶし」

NOVA「夢の企画『必殺ジェネレーション』の妄想はさておき、そろそろ記事タイトルを消化しないといけない気になってきた」

晶華「さすがに、キン肉マンの話は今の必殺とは関係ないものね」

NOVA「そっちに足を踏み入れすぎると、帰って来れなくなりそうなので、話を戻す。今回の必殺スペシャルのメインネタは大きく3つ。『渡辺小五郎の最後の出演?』『女仕事人・棗(なつめ)の登場』『陣八郎の死で腑抜けたリュウの復帰なるか?』だ」

 

渡辺小五郎の最後?

 

晶華「最後に華々しく散るかと思ったけど、散らなかったわね」

翔花「散る散る詐欺よ」

NOVA「いや、東山紀之さんが最後のタレント活動と宣言しただけで、渡辺小五郎が最期を遂げるなんて、誰も言ってないんだが。強いて言えば、東山さんのタレント廃業宣言の前に、話は作られていて撮影終了後に、例のジャニーズ騒動があったんじゃないだろうか。今回のメインは、棗加入とリュウの葛藤が中心で、小五郎の件は後付け編集で、あわや散る? みたいな話になったと推察する」

晶華「でも、小五郎さんがいなくて物語が成立するの?」

NOVA「続編があるとして、本町奉行所の同心たちや、渡辺家の嫁と姑代行のおばさんの出番がなくなるな。ええと、東山さんに顔が似た別役者さんを連れてきて、2代め渡辺小五郎を演じてもらうとか?」

翔花「ショッカーの後を追って海外へ旅立った渡辺小五郎さんの代わりに、カメラマンの渡辺小五郎2号が新たに江戸の平和を守ることにしたってのは?」

NOVA「仮面の変身ヒーローじゃないから却下だ。まあ、役者・東山さんの去就はさておき、シリーズを続けるなら、いい加減、キャラクターや殺し技などがマンネリ化しているので、シリーズ刷新してもいいぐらいだと思うな。少なくとも、主題歌の『鏡花水月』はもうなしにして欲しい」

晶華「『鏡花水月』は、シリーズの顔として継続使用する取り決めでもあったんじゃないの?」

NOVA「シリーズの顔だったら、本当にそれをアレンジした殺しのテーマを作って欲しかったよね。あるいは、悲しみのテーマアレンジとか、劇中でも流して欲しかった。とりあえず、2009の時にレギュラー3人で番組を盛り上げるために制作したバラード調の曲で、仕事人シリーズ30周年を飾る名曲ではあると思うが、レギュラーの1人が交代して以降も新たに録音するでもなく、ずっと使い続けるってのが、露骨に手抜き感があってな。それこそ、2014以降は機を見て、リュウ役の知念侑李バージョンを作って欲しかったな。曲が同じでも歌い手が変われば、また違った味わいが出るだろうし」

翔花「リュウ君が出てから、もう10年になるのね」

NOVA「結構になるよな。10年も裏稼業で仕事をすれば、そろそろ一人前になってもいい頃合いなんだが、役者の経験はともかく、リュウというキャラクターは相変わらず『素人に毛が生えた程度の成熟しない仕事人』というキャラを維持し続ける。サザエさんにおけるタラちゃんかイクラちゃんかよ、と思いながら、十年一昔のまま20歳から30歳になった」

 

リュウの試練

 

晶華「必殺で、未熟キャラの代表といえば、やはり西順之助さんよね。デビューしたのは何歳のとき?」

NOVA「ひかる一平さんは64年生まれだそうだから、今年還暦だ。82年に西順之助役を始めたのが18歳で、その後、87年まで出演した。最初は蘭学塾に通う受験生だったけど、そこから5年後ぐらいには歯医者の先生になって、必殺技もエレキテルから投石器になって、殺しのサポート役に一歩下がったけど、最終的にはバズーカ砲を撃ち放つ最強火力の殺し屋に成長したものの、自分の火薬で夜鶴の銀平を巻き込んで爆死、あるいは行方不明になった」

翔花「たった5年で壮絶な人生ね」

NOVA「で、次の週に番組タイトルが旋風編から風雲竜虎編になって、目の前で仲間を失った鍛冶屋の政がちょっとだけ腑抜けた感じになっていたのを心配した主水さんが『銀平のことは忘れろ』みたいに言っていたシーンが印象的。でも、順之助のことは話題にも出なくなって、むしろ順之助のことを気にかけてやって、と思ったのがリアルタイム視聴だな。川に沈んだ銀平のシーンははっきり映し出されたのに、順之助の死は誰も口にしないので、てっきり『実は重傷を負ったけど生きてました』って再登場することを期待したし、そういう設定で2次創作の話を作ったこともあったけど、忘れ去られた順ちゃんのことが今なお気がかりだったりする」

NOVA「それはともかく、順ちゃんと言えば、オカマの玉助が江戸の町のいたるところに出現して、順ちゃん❤️とセクハラまがいの言い寄りをして、その気のない順之助が逃げ出す定番コントが毎週描かれていたのが、84年から85年の必殺界隈だったが、今の世相では『美少年タレントにセクハラを仕掛ける中年オヤジ』って描写はギャグネタにはならずに物議をかもすだろうな」

晶華「当時は、普通にギャグとして成立したの?」

NOVA「オカマの筆頭同心と言い、必殺はオカマキャラが定番ギャグだったぞ。まあ、その後、オカマじゃなくて女形(オヤマ)の仕事人が準レギュラーとして、登場したりもしていたが、今回の話も前半は歌舞伎の人気役者がアイドルを目指す少女に枕営業を強要する話で、割と生々しいというか、大丈夫か、このネタ? と思ったな」

翔花「芸能界の裏での性トラブルって、ジャニーズも当事者側だもんね」

NOVA「今回ばかりは、被害者が女性だったことで、よくある悪人ネタにされたが、被害者が少年だったりすると自虐ネタ以外の何者でもない」

晶華「で、もう一つの仕事が、橋掛け公共事業の中抜き問題で、善人だと思われていた女性が悪事の片棒を担いでいて、秘密を知った職人を殺したから仕事の的になった、と」

NOVA「被害者の職人がリュウの友人で、的の女性が棗の友人だったけど、リュウと棗にはドラマの接点が全くないのが、ドラマとしてはつながりが悪いというか、一本の大きな話としてはまとまってないと感じたな」

晶華「NOVAちゃんのブログと同じね」

NOVA「俺のブログはおしゃべり雑記だからな。一続きのドラマとして組み立てようとしていないから、起承転結とか、あまり考えていない。筋書きのない雑談と、筋書きが大事な物語を一緒にするな」

 

翔花「とにかく、今回はリュウ君の扱いがよろしくなかったわね」

NOVA「OPの殺しで、陣八郎の道具と技を真似してみたけど、力不足で脳天が割れずに殺しに失敗。何をしてんだ、とツッコミどころだったな。職業も殺し技も毎回、ストーリーの都合に合わせて、コロコロ変わっていて、だけど最後は面白みのない短刀殺しに落ち着く。一応、アクション担当なんだけど、演出的に派手な見得切りをしないリアル志向なので、マンネリな小五郎と涼次に対して、変化球を期待される若手ポジションなのに、総じてつまらないんだよな。一応、これまでのリュウの殺し技リストを作ってみた」

 

  • 2014:恋人の仇を、短刀で刺す。
  • 2015:素早い動きで相手を翻弄し、短刀で刺す。
  • 2016:相変わらずの短刀。最後の殺しのシーンでは、短刀殺しに失敗して、相手の反撃で返り討ちに合いそうになるも、涼次の密かなフォローで隙ができた際に、相手の脇差を使って逆転勝ち。涼次の支援に気付かず、見ていたんだったら助けてくれても、と愚痴る。
  • 2018年版:最初は短刀殺しをするも、序盤で頭を打って記憶喪失に陥る。悪人の殺し屋養成教室で洗脳されて、さまざまな暗器の使い方を学ぶ。敵として、涼次や陣八郎と戦うも、彼らの命がけの説得で記憶を取り戻して、暗器を悪人に突き立てる。
  • 2019:基本はいつもの短刀。最後のシーンでは、悪人と化した友人が恋人を殺そうとした際に使った脇差を見せしめとして使用。
  • 2020:庭師に転職。殺し技として、分割した剪定バサミを短刀代わりに使用して、相手の首を切る場面も。
  • 2022年版:陣八郎を手伝って蕎麦屋に鞍替え。よって、中盤は蕎麦屋ののし棒を使って、相手の首を押さえつけて圧死させる。終盤はいつもの短刀殺し。
  • 2023年版:いつもの短刀殺し。
  • 2023年末:陣八郎の遺したタガネ殺しを試みるも失敗。終盤の復帰時は、得意の体術と短刀で小五郎を支援した。

 

晶華「こう並べてみると、いろいろと変化があって健闘してるんじゃない?」

NOVA「どうだかな。彼の前任者が、からくり屋の源太(CGで動くからくり蛇を相手の首に巻きつけ、中に仕込んだ針で急所を突いたり、仕込み紐で絞殺したり)と、仕立て屋の匳(体術で相手を拘束して糸で絞殺)といった形で、演出的に凝った(ケレン味ある)技を披露していたから、彼らの後継者としては仕事人らしくない技だな、と」

翔花「仕事人らしい技って、針で首を刺すのと、糸や紐で首を絞めるの?」

NOVA「まあ、秀と勇次に代表される技はそうだな。今の仕事人は、今回、棗が加わるまで絞め技がなくなっていたし、涼次の針も首ではなくて心臓突き(レントゲン)だから、実は定番の技がしばらくなかったことになる」

晶華「短刀は必殺らしい技とは言えないってこと?」

NOVA「過去作でも、短刀殺しはいたけど、例えば普段は殺しに出ない元締めが非常時の護身武器に使ったり、何かの道具に仕込ませた刃だったり、女性キャラがよく使う印象がある。短刀を普段使いの得物として扱ったのは、仕事屋稼業の政吉が印象的だが、彼は定職を持たないヤクザ者な博打うちという設定で、しかも短刀が女物の装飾が施された上質の物でドラマ的にも重要なアイテム(生き別れの母親が残したもので、その母親が元締めのおせいだった)という描写だから、ただの武器じゃないんだ」

晶華「仕事屋稼業ね。確か、サイコロが出てくるのよね」

NOVA「サイコロの目に勝負をかけるという意味で、TRPGみたいなアナログゲームと相性のいい必殺シリーズだと思っている。あと、仕事屋はメンバー全員が殺しの素人という設定で、殺し道具が過去作と比べて地味で、リアル志向なんだよな。この場合のリアル志向は、それまでの、そして以降の作品が、派手なアクションや演出で殺しのシーンを見世物としてショーアップしていた傾向があるのに対して、いかにも目立たないように暗殺(布でカバーして、カミソリで首を切るとか)って感じで、効果音と事前事後の演出で技を描写する傾向がある」

翔花「事前事後の演出って?」

NOVA「事後は、首を切ったあと、傷跡を隠した布を絞ったら、そこから血が滴り落ちる演出で、切ったところを見せなくても切ったんだなってことが分かる。ふつう、首筋を切ったら血が噴き出すのがリアルなんだけど、TVの時代劇はあまり残酷に見せないように、そして噴き出す血の予算や衣装が汚れないようにとか、諸事情で血は省略する。で、仕事屋の場合は、『血が噴き出さないように布で押さえているけど、後から布を絞って血を流させる』という演出でリアルさを維持しているわけだな。他のシリーズで、流れる血の後始末なんて演出はしていないから、それだけ印象的だったと言える」

晶華「事前の演出は?」

NOVA「これは昔の仕事人でもしばしば見せていたが、殺しの前の出陣シーンで、仕事に使う道具の準備をしているんだ。仕事屋の半兵衛さんの場合、かみそりを研いで、しかも切れ味を確かめるように、自分の肌に当ててみるとか、素振りを何度かしてシミュレートを重ねているんだ。仕事屋とか仕事人だから、仕事の準備も丁寧に描写して、殺しの儀式に切り替わるのはクライマックスへの溜めとして盛り上がる。荒唐無稽な三味線の糸だって、事前にロウを垂らして糸の強度を高めたり、回を重ねるにつれて演出が次第に強化されて行くのがいい。今の仕事人はドラマ重視に反して、そういう細やかなルーティン作業を重ねて磨きをかける描写が足りないんだな」

晶華「仕事人は、殺しを生業としている職人だから、職人道具の手入れや仕込みは怠らないのがプロってこと?」

NOVA「プロもそうだけど、素人だって不慣れな作業だと、準備は丁寧にするだろう? まあ、画面に映っていないところで事前準備はしっかりしているのかもしれないが、ここでリュウの問題が出てくる」

翔花「一番、素人で失敗も多いんだから、その分、殺しの前の準備とか、日頃のトレーニングとか、しっかり描写して欲しいってこと?」

NOVA「例えば、秀とかでもレギュラー放送で殺しに怯えてスランプに陥ることがあったんだ。その時の描写は、自分の部屋に引きこもって、ひたすら手慣れた作業(かんざし作り)に打ち込み、外の世界を遮断する形で描写されていた。近所付き合いの加代が心配するぐらいだな。これが勇次だと、気晴らしに短い旅に出たりもするんだけど、とにかくスランプ時の行動が手に職を持ってると、表の職人仕事に専念するといった描写が印象的だった」

晶華「今のリュウ君にそれは期待できないわね」

NOVA「まず、彼の家がどこなのかが描写されていない(苦笑)。毎回、表の仕事をコロコロ変える日雇い人足みたいなことをしているから、定住しているのかどうかも不明だし、暇なときに家で何をしているのか、趣味嗜好がどの辺にあるのかも分からず、毎回、ゲストキャラと仲良くなるためだけの日常しか描写されていないわけだ」

翔花「元々は、寺の住職の息子だったのよね」

NOVA「生真面目な若者であることは確かで、初期は説教くさかったのだけど、涼次や陣八郎の影響で多少は融通がきくようになった。で、今は仕事を転々としながら、自分探しをしている……でいいのか?」

晶華「悩める今の若者像って感じ?」

NOVA「まず、定職に就けよ」

翔花「定職に就いたと思ったら、関係者が事件に巻き込まれて、殺されたり殺したりが続いているんだから、居場所が安定しないんじゃないの?」

NOVA「むっ、バイトしながら正社員に採用されるために頑張っていたら、勤務先が事件の渦中にハマったり、事故や災害で業務停止に追い込まれたり倒産したりして、別の仕事を探さないといけない生活が続いているのか。そう考えると、気の毒な若者だな」

晶華「性格は真面目なのにね」

NOVA「リュウって生活基盤がないんだよな。知り合いは裏稼業のメンツばかりで、これが職人だったら、知り合いの親方とか常連の客とか表付き合いもできるんだろうが」

翔花「でも、そうやって出てきたゲストの人って、みんな死んじゃうのが仕事人の世界観よね」

NOVA「いや、知ってる人がみんながみんな死んじゃうわけじゃないだろう? たまたま、死んじゃう人にスポットが当たるのが放送回なだけで、日頃付き合いしている(事件とは関係ないモブの)長屋の住人とか、得意先の店とか、馴染みの芸者とか、知り合いの職人とか、髪結いの亭主とか、小料理屋の親父とか、生活背景の人々がいるはずだろう」

晶華「よほどの引きこもりじゃなかったらね」

NOVA「リュウって引きこもりじゃないよな」

翔花「別にコミュ障ってわけじゃないよね。誰にでも話を合わせられるというか、人の話をよく聞くし、主体性があるようには見えないけど、真面目な人柄が信頼されやすいって感じ?」

NOVA「真面目だけど、何かこれと言ってやりたいことがあるわけじゃなくて、状況に流されているだけって感じだな。きっと人足寄場の常連で、もしもこの世界に、仕掛人音羽屋や、表の助け人とか、何でも屋の加代の手伝いとか、暇な若者を雇ってくれたり、引っ張ってくれるバイタリティあるお姉さんがいれば、いい助手ができるのにな」

 

晶華「お菊さんはリュウ君の表の面倒を見てくれないの?」

NOVA「あの人の表稼業は芸妓の師匠らしいけど、最近は仕事している姿を見ないな。仕事人か頼み人としか絡む機会がなくて、たとえば今回の前半の話が芸能界の裏事情にまつわるものだから、表稼業に関係するもので、もっと関心を持っていいのだろうけど、棗と涼次絡みでしか出番がなかった感じだ。それでも、いつもよりは出番が多かった方だと思うけど、とりあえず表でも裏でも顔が広いキャラなのは間違いない」

翔花「じゃあ、お菊さんの話になったところで、タイトルどおりの『女仕事人の話』に流れるわね」

NOVA「いや、リュウの話をもっとしたいんだが、記事が長引いたので、今回はこれぐらいで中断しよう。次回は『続・「必殺仕事人(2023年末)」と、女仕事人話』ってことで」

(当記事、一先ず完)