全力全開を超えて
NOVA「宙明さんの思い出を偲ぶ記事の2つめだ」
晶華「スーパーロボットの曲もいろいろ作った人だったけど、スーパーヒーローの曲もいろいろ作った人なのね」
NOVA「TVの変身ヒーローだと72年のキカイダーからだけど、実写アクションだと64年の『忍者部隊月光』、さらに映画も含めると57年の『鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)』シリーズからということになる。デビューが56年なので、デビューして1年でスーパーヒーローに携わり始めた偉人だな」
翔花「この時代は、まだヒーローが顔出しだったのね。仮面のヒーローじゃない、と」
NOVA「何しろ、ウルトラマン以前の話だからな。もちろん、日本最初の仮面ヒーローは58年の月光仮面になるのだろうが、スーパージャイアンツは一応、スーパーマンを目指し、プロ野球の読売ジャイアンツにあやかったネーミングらしい」
晶華「でも、『鋼鉄の巨人』ってそのままスーパーロボットにも通じるタイトルよね」
NOVA「なお、宙明さんの遺作はゼンカイジャーかと思いきや、実はこの作品だということが後から分かった」
晶華「凄いわね。キカイダーの伴大介さんや、全力全開にしてウルトラマンダイナのつるの剛士さんが出ている化け猫映画なんて」
NOVA「他に、特撮者としては斉藤麻衣さんと滝裕可里さんの名前が目立つな。まあ、でも、今回の話だと、やはりこの人にスポットが当たるわけだが」
キカイダーとイナズマン
NOVA「というわけで、宙明さんの特撮変身ヒーロー第1作がキカイダーだな」
NOVA「そして、キカイダーの続編がこうだな」
NOVA「そして、キカイダー01と同時期に、キカイダーはイナズマンに転生する、と」
NOVA「その後の伴さんは、火炎術を使う忍者に転生した後、神の名を持つ戦士になって再び宙明音楽で戦うようになるんだな」
晶華「それは2代目コサックさんの話ね。ずいぶん時代が飛んだと思うけど」
NOVA「1974年から79年に飛んだ形だな。その前に、ゴレンジャーを語らねばなるまい」
翔花「戦隊シリーズのスタートね」
戦隊と集団ヒーローの時代
NOVA「イナズマンからゴレンジャーに受け継がれた要素として挙げられるのが、メカアクションの発展だな。イナズマンに登場したライジンゴーが玩具的にも好評で、以降、ヒーローの乗る機動マシンがバイクからさらに大型メカに発展する流れがあるんだ」
NOVA「宙明ソングの歴史を辿ると、マジンガーに始まるロボット路線と、キカイダーに始まる等身大ヒーロー路線があって、それをつなぐのがヒーローの駆るマシン専用の劇伴や歌が増産されていく流れなんだな」
翔花「でも、宙明ソングと言えば、鋼鉄ジーグさんから受け継がれたバンバラバンバンバンも語らないといけないんじゃない?」
NOVA「作品ジャンル的には、マジンガー→グレート→鋼鉄ジーグ→ガ・キーンの流れは、ゴレンジャーなどの特撮ヒーローとは別路線なんだが、SF音楽史的には鋼鉄ジーグ→ゴレンジャーとつながる要素も大きいんだな。その象徴がいわゆるヒロインソングの類だ」
晶華「ヒロインソングと言えば、堀江美都子さんの存在も大きいわね」
NOVA「フェミニズム研究的には、70年代半ばの戦うヒロインにスポットが当たる時代があって、バトルという男性社会に進出する女性というテーマで語ることもできるんだが、この時代は女性の戦いというと悲壮な決意を固めて、男性ヒーローをサポートしつつ、偵察および補給、武装射出という支援や、変装や爆弾設置と解除というスパイアクション、そこから前線で戦える戦闘能力を会得する流れが徐々に生まれてくる。
「当然、男性と同格に立とうと思えば、それなりの能力や覚悟が求められて、危険な汚れ仕事も厭わないとか、個々の作品ごとの女性像の発展なんかも研究考察の材料になるんだが、現在の自称フェミニストはそういう研究をまともにすることなく、偏狭な印象論だけで物を語ってサブカルチャー攻撃を続けている浅はかさがあるからな」
翔花「現場を見ずに、机上の空論で物事を語っている、と?」
NOVA「ものづくりの現場だけでなく、作品そのものをろくに見ることなく、こうだと決めつけて断罪する姿勢は、いわゆる評論ではないからな。70年代では、女性の戦いには悲壮な覚悟が求められていたが、同じ宙明さんでも80年代のヒロインソングはこういう形になる」
ケイP『いや、マスターNOVA。「アニーにおまかせ」は確かに宙明さんの作曲だが、「ダイアナ・アクション」は田中公平さんの作曲なので、この流れで語るのは間違ってるッピ』
NOVA「何だと? だったら、アニーが転生したヘレンの歌ってるテーマソングは?」
ケイP『それも別の人だッピね。美野春樹さんっていう人の曲だッピ』
NOVA「そうだったのか。スピルバンは全曲が宙明さんだと思い込んでいたが、挿入歌は別の人だったとは盲点だぜ。今にして分かるこの事実。目から鱗が落ちた気分だ」
晶華「大体、ゴレンジャーの話のはずなのに、どうしてメタルヒーローに話が飛ぶのよ。10年、時代を先取りしすぎよ」
NOVA「いや、70年代から80年代で特撮ヒーロー界でヒロインの扱いが大きく変わったって話だったんだが、まあいい。ゴレンジャーからジャッカー、そしてスパイダーマンをはさんでバトルフィーバーにつながる戦隊史の影で、宙明ソングはこっちにも採用される」
晶華「アクマイザーさんは、フォーゼの冬映画でもスポットが当たったけど、超神ビビューンさんはリメイクされないわよね」
NOVA「まあ、そのエッセンスは戦隊シリーズに逆輸入されたがな」
NOVA「赤青黄の戦士がそれぞれ空海陸に配分され、赤が剣使いで、青が銃使いで、黄が力技のハンマー使いという役割分担は、その後ハリケンジャーなんかにもつながって来るなあ。一応、アクマイザーは脚本家的にキカイダーの路線を受け継いでいる要素があって、ビビューンはその後継者である一方、後に続かなかった。まあ、戦隊だってゴレンジャー→ジャッカーで一端、打ち切りだったから、2作続くだけでも当時のシリーズは当たりだったと言えよう」
翔花「ジャッカーの後は、ワンセブン、ドリちゃん、スパイダーマンと続いてから、バトルフィーバーってことね」
NOVA「そして、戦隊シリーズを定着させた作品がこれだな」
NOVA「バトルフィーバーは、スパイダーマンの延長で、別に戦隊シリーズとして作られたわけではない。完全に『5色の仮面ヒーロー戦隊チーム』というコンセプトでシリーズ化を意識したのがデンジマンということになる」
晶華「確かに2作めがなければシリーズとは言えないものね」
NOVA「当時の東映で、2作めの次まで続いた作品は仮面ライダーしかなかった。ゴレンジャー以降、集団ヒーローという方向性で亜流作品もいろいろ作られたが、新たな伝統を紡ぐとまではいかず、そこに等身大ヒーローと巨大ロボ戦という2つのクライマックス手法の戦隊形式が定着したのは、宙明音楽の功績も大きいと思うんだよね」
NOVA「そして、宙明さんの昭和戦隊劇伴最終作がゴーグルVだ」
NOVA「まあ、その後も挿入歌とかでスペシャル的に宙明ソングが何度も提供されながら、ゼンカイジャーまで受け継がれてきたんだが、これ(82年)以降の宙明さんの主戦場は宇宙刑事ギャバンから始まるメタルヒーロー世界となるわけだ」
翔花「宙明さんの音楽がスーパーロボットの歴史を始め、キカイダーさんからゴレンジャーさんを経てスーパー戦隊の歴史を開き、メタルヒーローの世界を拓いたわけね」
NOVA「ああ、そして特撮ヒーロー&ロボファンの心に熱き魂の響きを植え付けたことになるわけだな。まだまだ語りたいことは尽きないので、次回はメタルヒーロー以降の話だな」
(当記事 完)